にっ!:決断っ!
れすかてぃえっ! これまでのあらすじは!?
黒&球:神えも〜ん、レスカティエに行きたいよ〜!
↓
神:よ〜し、旅行ならまかせろ〜(バリバ……ハクションッ!
↓
黒:やめてっ!
以上!
私と球体はこちらに弓を向けてくるその物騒な少女をただじっと見つめていた。
それに対し、向こうもこちらに弓に矢をつがえた状態で向けてはきているが、それをこちらに向けて発射しようとはしてこない。
不自然なまでの膠着状態、真っ先に崩したのは……
「アンタたち、何者? 何で魔物がレスカティエの近くにいるのよ?」
こちらに弓を向けてくる物騒な少女だった。
「何って旅行よ旅行。別に私達がどこに行こうと関係ないじゃない」
私はその少女の問いに挑発交じりの返答をしながらついさっきの少女の言葉のおかしな点について考えていた。
(何で魔物がレスカティエの近くにいるのって、レスカティエは魔界になったんだからおかしくもなんともないはず……でも……)
私はその少女の姿を視界の中に納めながらも空を見上げる。
そこに広がるのはまごう事なき青空。
普通の魔界なら常に薄暗い暗黒魔界になっているはず。
仮に明緑魔界だとしても……
(魔力が薄すぎる……)
これは明らかに異常事態だ。
ぜひとも後ろで大の字になって気絶してる主神に事の次第を説明してもらいたいが、あいにくその主神は絶賛気絶中。
ワンピースの中のしまぱんが見えているのもお構いなしだ。
ちなみにしまは水色と白のストライプでござい。
もちろん神だった主神が下着つけるなどと言う習慣があるはずもなく、私が独断でチョイスしました。
なぜしまぱん?
ロリにしまぱんはジャスティスだろjk。
ストンッ
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ?! 撃たれた!? 今つま先2〜3mmのところに矢撃たれた!? つか何すんじゃこのスットコドッコイが!」
「分かってるでしょう? ここは反魔物領よ。魔物がいていい場所じゃないわ」
「にゃにおぅ!? そーいうアンタだって魔物じゃないの! エルフじゃん!! にしてはちょっと違和感感じるけど!!」
私の言葉を聞いた少女の雰囲気が変わる。
あ、やっべ、地雷踏み抜いてもうた。
「……一緒にしないでくれる?」
そう言葉を搾り出した彼女の顔に浮かぶのは……怒りだけじゃない?
何って言うか……悲しみとか、何かに対する悔しさとか、そんな感情も見て取れる……?
って、めっちゃ矢つがえてるぅ!?
「球体さん! 幼女組連れて一時退却!! スタコラサッサだぜぃ!!」
「(・ω・)ゝ」
球体さんが幼女二人を伸ばした触手でつかんだのを確認し、その場から駆け出した私達が先ほどまでいた場所に矢が突き刺さる。
それも一本じゃなく三本も。
「ちょwwそういう複数撃ちは漫画だけの話にしておけってww」
笑い事じゃねぇけどな!!
「……つかさー、旅行に来て襲われるとかないわー超ないわー」
あれからしばらくの後、私達はとりあえず森を抜けレスカティエの街の近くに来てみたんだけれども……
「球体さん、あれどう見ても魔界じゃないよね?」
「( ゚∋゚) ウン」
ふむ、生粋の魔界生まれ、いわば本能的に魔界のスペシャリストであるダークマターの球体がそういうなら、ここは魔界じゃないのだろう。
となると、やっぱりおかしい。
私が知ってるレスカティエは既に魔界に堕ちたはずなのだ。
なのに。私達がこうして遠くから見ているレスカティエは魔界のまの字もありゃしない。
「う〜ん……ぽんぽん痛い」
そりゃワンピースだってのに大の字で地面に寝てたら股から風入ってきて腹も痛くならぁね。
じゃなくて、ちょっとどういうことよ主神。
「ん〜……どうって……何?」
「……この幼女は……」
とりあえず現状説明。
すると私の説明が進むたびに親権勝つ深刻な顔つきになる主神。
「これは……ちとまずいやもしれぬ」
「と言うと?」
「考えたくはないし、認めたくはないが……わしらは時間を逆行して、魔界に堕ちる前のレスカティエにいるのやもしれん」
「工工エエエエ(´Д`)エエエエ工工」
もう何もいえない。
タイムスリップとか使い古されたネタは勘弁してよ……
とか何とか言っておきながら現在レスカティエ観光中なう。
へ? 「魔物が反魔物領とかあぶねぇだろう」って?
ふふふのふ、我々の面子にはご都合主義の権化がいるのだよ?
「これでよし。とりあえずわしと極端に離れなければ魔力がもれる心配はなし。見た目も普通の人間と同じに見えておるはずじゃ」
主神ぱわーパネェ。
さすが世界を作り出した神様だ。
たかが人間をだまくらかすなんて居間でバラエティ見ながらの片手間でもできるってもんだ。
でもさすがに球体さんはビジュアル的にだますこと不可能なので主神特性「魔力とかその他もろもろ漏れないボール」に収められてる。
しかしこのボール、赤と白の彩色で真ん中にボタンつきとか、絶対怒られるだろ……?
とりあえずこうして魔物だと言うことを隠して私達は正々堂々真正面からレスカティエ入りしたわけですよ。
まぁ、本来の目的とはずれちゃったけど、これはこれで楽しそうじゃない?
それにここってデルエラってリリムに魔界に堕とされる定めだし。
それが果たしていつかは分からないけど、主神ぱわーでどうとでもなりそうだし。
しかし、さすが反魔物領有数の国力を持った国だ。
人々が活気にあふれている。
これはこれでいいけど、これが魔界に堕ちたらもっといいんだろうなぁ……
「これが……こんなものが……!」
「……主神?」
しかし、先ほどから主神の様子がおかしい。
主神が見ているのは……あぁ、貧困街か……
こういう街ではさして珍しくもない光景。
ちょっとした弾みでいろんな意味で足を踏み外した人間と言うのは必ず存在する。
それに、こういう表はかなり発展してる国ではそういう人間が増えると言う傾向は顕著だ。
「主神、理不尽なようだけどこれが現実よ。……私も普通に天使だったころ、どうにかして救おうと思った。でも無理なのよ。あまりにも、あまりにも私達の手は小さくて、なおかつああいう人たちは多い……それどころか増え続けている」
10のうち10を救おうとあがいているうちに、その10が20にも30にも、それ以上に増えていくのだ。
いくら天の御遣いだ何だと言われても、それらすべては救えるはずがない。
この身のなんと無力なことか。
私の言葉に、主神は肩を震わせる。
このまま主神にこの光景を見せていてもつらいだけだろう。
そう思い私は主神の肩を抱いてその場を去ろうとする。
しかし、その光景を見てしまった。
教団の兵士であろう男数人が、いかにも貧困街の住民であろう少女に暴力を働いている光景を。
そしてそれを当然の事として見て見ぬ振りをする街の人々を。
「っ!」
瞬間、その兵士に向かって駆け出そうとした主神を、私はなんとか肩をつかんでとめた。
「なぜじゃ!? なぜとめる!?」
「馬鹿! ここで問題起こすわけにも行かないでしょ!?」
「だがっ!」
主神の言わんとすることは分かる。
堕落したとはいえ私とて天界の住人だったのだ。
でも、それを許すわけには行かない。
「お願い、ここは抑えて……」
「くぅ……うぅ……なぜじゃ……なぜなんじゃ……わしは、全ての人が平等であれと……この世界に生きる全ての生命が等しく幸せであれと……そう願い、人を、この世界を……」
「……残酷だけど、有史以来人が平等だった事なんて何処にもないのよ」
そしてそういった不平等は、こういった教団の息がかかった街ではたいてい「主神のため」と言うお題目が掲げられた上で発生するのだ。
私も、かつてはその光景を見ていた。
そしてこう思ったものだ。
『魔物を滅ぼすためなら仕方がない。なぜなら魔物を滅ぼすことを主神が望んでいるからだ。これはその為の必要な犠牲である』と。
今思うと反吐が出る。
そんな事を考えていた自分に。
それが主神の意思だと疑わなかった自分に。
「ぐすっ……やだよ、こんなの、こんなのってやだよぉ……こんな事のために私はがんばったんじゃなのにぃ……!」
しまいには主神は涙を隠すことなく泣き出してしまった。
私はそうやって泣きじゃくる主神を抱きしめた。
見るとダークマター幼女のほうも涙ぐんでいる。
主神とはなく理由は違うだろう。
あらかた、あの兵士に暴力を受けた光景が純粋に怖くて、それをそ知らぬふりをする街の人が怖くてないているのだろう。
二人の幼女を抱きしめながら、私は二人に聞こえないように歯軋りする。
……ぜったに堕としてやる。
よくこういうタイムスリップ系の話だとタイムパラドクスが云々言われるが、知ったこっちゃない。
あんな少女に暴行を働いて平然としているこんな街を……
全てが幸せであれと願い世界を作った主神を裏切り涙を流させるこの街を……
「徹底的に……堕としてやる」
来るべき日。
デルエラがこの街に攻めてきたら、私もそれに乗じて動き出そう。
私はそう決意した。
黒&球:神えも〜ん、レスカティエに行きたいよ〜!
↓
神:よ〜し、旅行ならまかせろ〜(バリバ……ハクションッ!
↓
黒:やめてっ!
以上!
私と球体はこちらに弓を向けてくるその物騒な少女をただじっと見つめていた。
それに対し、向こうもこちらに弓に矢をつがえた状態で向けてはきているが、それをこちらに向けて発射しようとはしてこない。
不自然なまでの膠着状態、真っ先に崩したのは……
「アンタたち、何者? 何で魔物がレスカティエの近くにいるのよ?」
こちらに弓を向けてくる物騒な少女だった。
「何って旅行よ旅行。別に私達がどこに行こうと関係ないじゃない」
私はその少女の問いに挑発交じりの返答をしながらついさっきの少女の言葉のおかしな点について考えていた。
(何で魔物がレスカティエの近くにいるのって、レスカティエは魔界になったんだからおかしくもなんともないはず……でも……)
私はその少女の姿を視界の中に納めながらも空を見上げる。
そこに広がるのはまごう事なき青空。
普通の魔界なら常に薄暗い暗黒魔界になっているはず。
仮に明緑魔界だとしても……
(魔力が薄すぎる……)
これは明らかに異常事態だ。
ぜひとも後ろで大の字になって気絶してる主神に事の次第を説明してもらいたいが、あいにくその主神は絶賛気絶中。
ワンピースの中のしまぱんが見えているのもお構いなしだ。
ちなみにしまは水色と白のストライプでござい。
もちろん神だった主神が下着つけるなどと言う習慣があるはずもなく、私が独断でチョイスしました。
なぜしまぱん?
ロリにしまぱんはジャスティスだろjk。
ストンッ
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉ?! 撃たれた!? 今つま先2〜3mmのところに矢撃たれた!? つか何すんじゃこのスットコドッコイが!」
「分かってるでしょう? ここは反魔物領よ。魔物がいていい場所じゃないわ」
「にゃにおぅ!? そーいうアンタだって魔物じゃないの! エルフじゃん!! にしてはちょっと違和感感じるけど!!」
私の言葉を聞いた少女の雰囲気が変わる。
あ、やっべ、地雷踏み抜いてもうた。
「……一緒にしないでくれる?」
そう言葉を搾り出した彼女の顔に浮かぶのは……怒りだけじゃない?
何って言うか……悲しみとか、何かに対する悔しさとか、そんな感情も見て取れる……?
って、めっちゃ矢つがえてるぅ!?
「球体さん! 幼女組連れて一時退却!! スタコラサッサだぜぃ!!」
「(・ω・)ゝ」
球体さんが幼女二人を伸ばした触手でつかんだのを確認し、その場から駆け出した私達が先ほどまでいた場所に矢が突き刺さる。
それも一本じゃなく三本も。
「ちょwwそういう複数撃ちは漫画だけの話にしておけってww」
笑い事じゃねぇけどな!!
「……つかさー、旅行に来て襲われるとかないわー超ないわー」
あれからしばらくの後、私達はとりあえず森を抜けレスカティエの街の近くに来てみたんだけれども……
「球体さん、あれどう見ても魔界じゃないよね?」
「( ゚∋゚) ウン」
ふむ、生粋の魔界生まれ、いわば本能的に魔界のスペシャリストであるダークマターの球体がそういうなら、ここは魔界じゃないのだろう。
となると、やっぱりおかしい。
私が知ってるレスカティエは既に魔界に堕ちたはずなのだ。
なのに。私達がこうして遠くから見ているレスカティエは魔界のまの字もありゃしない。
「う〜ん……ぽんぽん痛い」
そりゃワンピースだってのに大の字で地面に寝てたら股から風入ってきて腹も痛くならぁね。
じゃなくて、ちょっとどういうことよ主神。
「ん〜……どうって……何?」
「……この幼女は……」
とりあえず現状説明。
すると私の説明が進むたびに親権勝つ深刻な顔つきになる主神。
「これは……ちとまずいやもしれぬ」
「と言うと?」
「考えたくはないし、認めたくはないが……わしらは時間を逆行して、魔界に堕ちる前のレスカティエにいるのやもしれん」
「工工エエエエ(´Д`)エエエエ工工」
もう何もいえない。
タイムスリップとか使い古されたネタは勘弁してよ……
とか何とか言っておきながら現在レスカティエ観光中なう。
へ? 「魔物が反魔物領とかあぶねぇだろう」って?
ふふふのふ、我々の面子にはご都合主義の権化がいるのだよ?
「これでよし。とりあえずわしと極端に離れなければ魔力がもれる心配はなし。見た目も普通の人間と同じに見えておるはずじゃ」
主神ぱわーパネェ。
さすが世界を作り出した神様だ。
たかが人間をだまくらかすなんて居間でバラエティ見ながらの片手間でもできるってもんだ。
でもさすがに球体さんはビジュアル的にだますこと不可能なので主神特性「魔力とかその他もろもろ漏れないボール」に収められてる。
しかしこのボール、赤と白の彩色で真ん中にボタンつきとか、絶対怒られるだろ……?
とりあえずこうして魔物だと言うことを隠して私達は正々堂々真正面からレスカティエ入りしたわけですよ。
まぁ、本来の目的とはずれちゃったけど、これはこれで楽しそうじゃない?
それにここってデルエラってリリムに魔界に堕とされる定めだし。
それが果たしていつかは分からないけど、主神ぱわーでどうとでもなりそうだし。
しかし、さすが反魔物領有数の国力を持った国だ。
人々が活気にあふれている。
これはこれでいいけど、これが魔界に堕ちたらもっといいんだろうなぁ……
「これが……こんなものが……!」
「……主神?」
しかし、先ほどから主神の様子がおかしい。
主神が見ているのは……あぁ、貧困街か……
こういう街ではさして珍しくもない光景。
ちょっとした弾みでいろんな意味で足を踏み外した人間と言うのは必ず存在する。
それに、こういう表はかなり発展してる国ではそういう人間が増えると言う傾向は顕著だ。
「主神、理不尽なようだけどこれが現実よ。……私も普通に天使だったころ、どうにかして救おうと思った。でも無理なのよ。あまりにも、あまりにも私達の手は小さくて、なおかつああいう人たちは多い……それどころか増え続けている」
10のうち10を救おうとあがいているうちに、その10が20にも30にも、それ以上に増えていくのだ。
いくら天の御遣いだ何だと言われても、それらすべては救えるはずがない。
この身のなんと無力なことか。
私の言葉に、主神は肩を震わせる。
このまま主神にこの光景を見せていてもつらいだけだろう。
そう思い私は主神の肩を抱いてその場を去ろうとする。
しかし、その光景を見てしまった。
教団の兵士であろう男数人が、いかにも貧困街の住民であろう少女に暴力を働いている光景を。
そしてそれを当然の事として見て見ぬ振りをする街の人々を。
「っ!」
瞬間、その兵士に向かって駆け出そうとした主神を、私はなんとか肩をつかんでとめた。
「なぜじゃ!? なぜとめる!?」
「馬鹿! ここで問題起こすわけにも行かないでしょ!?」
「だがっ!」
主神の言わんとすることは分かる。
堕落したとはいえ私とて天界の住人だったのだ。
でも、それを許すわけには行かない。
「お願い、ここは抑えて……」
「くぅ……うぅ……なぜじゃ……なぜなんじゃ……わしは、全ての人が平等であれと……この世界に生きる全ての生命が等しく幸せであれと……そう願い、人を、この世界を……」
「……残酷だけど、有史以来人が平等だった事なんて何処にもないのよ」
そしてそういった不平等は、こういった教団の息がかかった街ではたいてい「主神のため」と言うお題目が掲げられた上で発生するのだ。
私も、かつてはその光景を見ていた。
そしてこう思ったものだ。
『魔物を滅ぼすためなら仕方がない。なぜなら魔物を滅ぼすことを主神が望んでいるからだ。これはその為の必要な犠牲である』と。
今思うと反吐が出る。
そんな事を考えていた自分に。
それが主神の意思だと疑わなかった自分に。
「ぐすっ……やだよ、こんなの、こんなのってやだよぉ……こんな事のために私はがんばったんじゃなのにぃ……!」
しまいには主神は涙を隠すことなく泣き出してしまった。
私はそうやって泣きじゃくる主神を抱きしめた。
見るとダークマター幼女のほうも涙ぐんでいる。
主神とはなく理由は違うだろう。
あらかた、あの兵士に暴力を受けた光景が純粋に怖くて、それをそ知らぬふりをする街の人が怖くてないているのだろう。
二人の幼女を抱きしめながら、私は二人に聞こえないように歯軋りする。
……ぜったに堕としてやる。
よくこういうタイムスリップ系の話だとタイムパラドクスが云々言われるが、知ったこっちゃない。
あんな少女に暴行を働いて平然としているこんな街を……
全てが幸せであれと願い世界を作った主神を裏切り涙を流させるこの街を……
「徹底的に……堕としてやる」
来るべき日。
デルエラがこの街に攻めてきたら、私もそれに乗じて動き出そう。
私はそう決意した。
12/09/16 00:19更新 / 日鞠朔莉
戻る
次へ