幼馴染は斬鉄剣 -そうだ、森へ行こう-
あー、やわらかく差し込んでくる日差しが気持ちいな。
これが木漏れ日って奴か?こりゃあいい気分だ。
森なんてそうそういったことなんか無いけど、いいもんだな。
クイッ、クイッ
「ん?どした?クゥ」
「置いてかれる」
「へ?」
隣に並んで歩いていたクゥが前を指差したので、そちらを向くと。
「おい!リィナ!!このままじゃカル君とクゥを置いていっちゃ……うわあああああああああああ!!!?」
「耳元で叫ぶな、少々頭に響く」
「だったらおろしてあげればいいのに〜」
ケインおじさんを肩に背負い、無表情ながらもいつもより若干、あくまで若干興奮した様子のリィナさんが木々の間を飛び跳ね、俺の母親が息一つ乱さずそれに習ってぴょんぴょん木々の間を飛び跳ねていた。
「やだ、なにこれ……」
「早く行こう、カル」
現状説明。
現在、俺と母親は、クゥの家族とハイキング中、のはずだ。
……どうしてこうなった?
事の始まりはかれこれ数時間前だ。
「よし、一緒に出かけよう」
「……はぁ」
いきなり我が家にリィナさんが押しかけたと思うと、開口一番こういってきたのだ。
当然、俺には訳がわからない。
リィナさんの重要な部分を抜かして完結に話す癖が遺憾なく発揮された瞬間だった。
「なぁ、あれどうしたんだ?いきなり」
「ん……一緒に出かけようと言うことだ。そういうわけだ、一緒に出かけよう」
「お前に聞いた俺が悪かった」
そのとき、リィナさんと一緒に突撃してきたクゥに事の詳細を聞こうと思ったが、あいにくリィナさんの娘であるクゥ。
しっかりばっちりリィナさんの癖は受け継いでいた。
「いや〜ごめんね?カル君。いきなりで」
「はぁ……まぁいつものことですし。で、どうしたんですか?やけにクゥが興奮してる気が」
そういって俺の隣にここにいるのが当然と言った風に立っているクゥを見る。
いつもどおり無表情を装ってはいるのだろうが、若干顔が紅潮しているのは隠しきれていない。
「あぁ、実はさっきこんな会話があってね……」
以下回想
『そういえば今日は珍しく僕もリィナもお休みだねぇ。久しぶりにどこかに出かけようか?』
『そうだな、それはいい考えだ。よし行こう』
『リィナ、何事も準備は必要だよ?』
『うっかりしていた』
『…………』
『?どうしたの?クゥ』
『カルも一緒がいいな、と』
『よし、ならば誘おう』
『じゃあ私も一緒に誘いに』
『え?お〜い、二人とも〜!?』
以上回想終了
「とまぁ、こんな感じ」
「そんなとこだろうと予想はしてましたよ」
「いいじゃない、行きましょうよ〜」
「母さん?とはいっても準備が……」
今まで黙っていた母が話しかけてきたので、母のほうを向くと……
「準備?もうできてるわよ〜。はい、これカー君の分」
「え?あ、うん……」
その手には5段位の重箱が抱えられ、その後ろにあるテーブルには雨具やおやつ、その他もろもろがすでに準備されていた。
「あ、ありえねぇ……」
「で、リィちゃん、どこに行くの?」
「ああ、それはすでに決めてある……」
と言うわけで、俺たちはこうして森の中で森林浴をしているわけだ。
何でも、ここはケインおじさんがリィナさんとであった場所であるらしく、それならリィナさんのあの興奮も頷けるというものだ。
「ちょ、リィナ、おろして!おろして!!僕高いとこだめだから!高所恐怖症だから!!だからおろし……てぇええええええええええ!?」
「これくらいでへばるな。私はまだ元気だ」
「私もまだまだ大丈夫よ〜。でもケイ君はそろそろグロッキーね〜」
「あの人たち、まだやってるよ……」
しかし、アレはあまりにも興奮しすぎではないのだろうか?
それに我が母も母だ。
うちの父親と結婚する人が常人なわけがないのだろうが、マンティスとタメをはる身体能力ってどうなのさ?
「なぁ、大丈夫なのか?ケインおじさん」
「ん、大丈夫。しばらく放置すれば元気になる」
父親を放置すればって簡単に言うもんじゃありません。
「……きっと父さんは、今日の夜は激しい」
「はい?」
「おもにせいt……」
「言わなくていいから!」
こういうときの腹いせはそういうときにする主義なのか?ケインおじさんは。
「……あー……」
アレから数分後。
リィナさんもようやく落ち着いたらしく、やっと木の上から降りてきたところで、ちょうどいい具合に目的地に到着したので、時間も時間なので昼食をとることにした。
その間、妙にケインおじさんを変な目で見てしまったのはしょうがないだろう。
で、今俺は手近な木に寄りかかって座っていた。
リィナさんは何故か知らないが我が母と追いかけっこをしている。
ケインおじさんがリィナさんに何かを耳打ちしたらこういう状況になったので、十中八九ケインおじさんが原因だろう。
しかし母よ、あなたはリィナさんとタメをはるどころじゃなくてその上を行っていたのですね。
ともかく、元気で何よりです。
「カル」
「んぁ?クゥか」
と、そこにクゥが近寄ってきて、俺の隣に腰掛ける。
「やけにぼーっとしてる。どうした?」
「ん?……いや、ここはいいところだなーって思って」
半分嘘で半分本当。
実際思っていたのは少し違うのだが、言うのは恥ずかしいことだったので、あえて半分嘘を言ってみる。
「なるほど、嘘か」
「…………」
あっさり見抜かれたけど。
「いや、嘘じゃないぞ?」
「そうだな、半分は」
「…………」
しかも嘘の具合までしっかりばれてーら。
「本当は何を思っていた?言ったほうがいいぞ?」
そういいながら、両手の鎌をキラリと光らせるクゥ。
やっぱりお前はリィナさんの娘だな、まったく。
「……いいところだから、俺たちに子ども生まれたらここに来たいな、って思っただけだ……恥ずかしいこと言わせるな、馬鹿」
「…………」
その言葉を聞いて、最初は呆けた顔をさらし、次第に顔を紅潮させ、そしてうつむいてしまったクゥ。
「……カ、カルは平然とそういうことを言う……」
「いや、ぜんぜん平然じゃないからな?すっげぇ恥ずかしいからな!?穴があったらって言うか、自分で穴を掘って入りたいくらいだからな!?いっそ埋まりたいよ畜生!!」
だから言いたくなかったんだ、畜生!!
次第に熱を持ってきた顔を両手で隠し、ずりずりと背もたれにしていた気をずり下がる。
「……4人だな」
「あ?」
「子どもは……4人が最低だ。もっと多くてもいい」
「おい、ちょ」
「そして、そうだな……いちいちここに来るのは面倒だ。ここに家を建ててしまおう」
「お〜い、クゥエルさ〜ん?」
「そうだな、そしたら子ども達も……」
「ていっ」
「あうっ!?」
急にクゥがトリップしだしたので、強制終了チョップ。
「……痛いではないか」
「痛くしたんだよ。とりあえず正気に戻ったか?」
「む?……ああ、そのようだ」
「さいですか」
それっきり、二人の間に会話は無かった。
「……クゥ」
「?」
「今度はさ、二人でここに来ような」
「……ああ」
これが木漏れ日って奴か?こりゃあいい気分だ。
森なんてそうそういったことなんか無いけど、いいもんだな。
クイッ、クイッ
「ん?どした?クゥ」
「置いてかれる」
「へ?」
隣に並んで歩いていたクゥが前を指差したので、そちらを向くと。
「おい!リィナ!!このままじゃカル君とクゥを置いていっちゃ……うわあああああああああああ!!!?」
「耳元で叫ぶな、少々頭に響く」
「だったらおろしてあげればいいのに〜」
ケインおじさんを肩に背負い、無表情ながらもいつもより若干、あくまで若干興奮した様子のリィナさんが木々の間を飛び跳ね、俺の母親が息一つ乱さずそれに習ってぴょんぴょん木々の間を飛び跳ねていた。
「やだ、なにこれ……」
「早く行こう、カル」
現状説明。
現在、俺と母親は、クゥの家族とハイキング中、のはずだ。
……どうしてこうなった?
事の始まりはかれこれ数時間前だ。
「よし、一緒に出かけよう」
「……はぁ」
いきなり我が家にリィナさんが押しかけたと思うと、開口一番こういってきたのだ。
当然、俺には訳がわからない。
リィナさんの重要な部分を抜かして完結に話す癖が遺憾なく発揮された瞬間だった。
「なぁ、あれどうしたんだ?いきなり」
「ん……一緒に出かけようと言うことだ。そういうわけだ、一緒に出かけよう」
「お前に聞いた俺が悪かった」
そのとき、リィナさんと一緒に突撃してきたクゥに事の詳細を聞こうと思ったが、あいにくリィナさんの娘であるクゥ。
しっかりばっちりリィナさんの癖は受け継いでいた。
「いや〜ごめんね?カル君。いきなりで」
「はぁ……まぁいつものことですし。で、どうしたんですか?やけにクゥが興奮してる気が」
そういって俺の隣にここにいるのが当然と言った風に立っているクゥを見る。
いつもどおり無表情を装ってはいるのだろうが、若干顔が紅潮しているのは隠しきれていない。
「あぁ、実はさっきこんな会話があってね……」
以下回想
『そういえば今日は珍しく僕もリィナもお休みだねぇ。久しぶりにどこかに出かけようか?』
『そうだな、それはいい考えだ。よし行こう』
『リィナ、何事も準備は必要だよ?』
『うっかりしていた』
『…………』
『?どうしたの?クゥ』
『カルも一緒がいいな、と』
『よし、ならば誘おう』
『じゃあ私も一緒に誘いに』
『え?お〜い、二人とも〜!?』
以上回想終了
「とまぁ、こんな感じ」
「そんなとこだろうと予想はしてましたよ」
「いいじゃない、行きましょうよ〜」
「母さん?とはいっても準備が……」
今まで黙っていた母が話しかけてきたので、母のほうを向くと……
「準備?もうできてるわよ〜。はい、これカー君の分」
「え?あ、うん……」
その手には5段位の重箱が抱えられ、その後ろにあるテーブルには雨具やおやつ、その他もろもろがすでに準備されていた。
「あ、ありえねぇ……」
「で、リィちゃん、どこに行くの?」
「ああ、それはすでに決めてある……」
と言うわけで、俺たちはこうして森の中で森林浴をしているわけだ。
何でも、ここはケインおじさんがリィナさんとであった場所であるらしく、それならリィナさんのあの興奮も頷けるというものだ。
「ちょ、リィナ、おろして!おろして!!僕高いとこだめだから!高所恐怖症だから!!だからおろし……てぇええええええええええ!?」
「これくらいでへばるな。私はまだ元気だ」
「私もまだまだ大丈夫よ〜。でもケイ君はそろそろグロッキーね〜」
「あの人たち、まだやってるよ……」
しかし、アレはあまりにも興奮しすぎではないのだろうか?
それに我が母も母だ。
うちの父親と結婚する人が常人なわけがないのだろうが、マンティスとタメをはる身体能力ってどうなのさ?
「なぁ、大丈夫なのか?ケインおじさん」
「ん、大丈夫。しばらく放置すれば元気になる」
父親を放置すればって簡単に言うもんじゃありません。
「……きっと父さんは、今日の夜は激しい」
「はい?」
「おもにせいt……」
「言わなくていいから!」
こういうときの腹いせはそういうときにする主義なのか?ケインおじさんは。
「……あー……」
アレから数分後。
リィナさんもようやく落ち着いたらしく、やっと木の上から降りてきたところで、ちょうどいい具合に目的地に到着したので、時間も時間なので昼食をとることにした。
その間、妙にケインおじさんを変な目で見てしまったのはしょうがないだろう。
で、今俺は手近な木に寄りかかって座っていた。
リィナさんは何故か知らないが我が母と追いかけっこをしている。
ケインおじさんがリィナさんに何かを耳打ちしたらこういう状況になったので、十中八九ケインおじさんが原因だろう。
しかし母よ、あなたはリィナさんとタメをはるどころじゃなくてその上を行っていたのですね。
ともかく、元気で何よりです。
「カル」
「んぁ?クゥか」
と、そこにクゥが近寄ってきて、俺の隣に腰掛ける。
「やけにぼーっとしてる。どうした?」
「ん?……いや、ここはいいところだなーって思って」
半分嘘で半分本当。
実際思っていたのは少し違うのだが、言うのは恥ずかしいことだったので、あえて半分嘘を言ってみる。
「なるほど、嘘か」
「…………」
あっさり見抜かれたけど。
「いや、嘘じゃないぞ?」
「そうだな、半分は」
「…………」
しかも嘘の具合までしっかりばれてーら。
「本当は何を思っていた?言ったほうがいいぞ?」
そういいながら、両手の鎌をキラリと光らせるクゥ。
やっぱりお前はリィナさんの娘だな、まったく。
「……いいところだから、俺たちに子ども生まれたらここに来たいな、って思っただけだ……恥ずかしいこと言わせるな、馬鹿」
「…………」
その言葉を聞いて、最初は呆けた顔をさらし、次第に顔を紅潮させ、そしてうつむいてしまったクゥ。
「……カ、カルは平然とそういうことを言う……」
「いや、ぜんぜん平然じゃないからな?すっげぇ恥ずかしいからな!?穴があったらって言うか、自分で穴を掘って入りたいくらいだからな!?いっそ埋まりたいよ畜生!!」
だから言いたくなかったんだ、畜生!!
次第に熱を持ってきた顔を両手で隠し、ずりずりと背もたれにしていた気をずり下がる。
「……4人だな」
「あ?」
「子どもは……4人が最低だ。もっと多くてもいい」
「おい、ちょ」
「そして、そうだな……いちいちここに来るのは面倒だ。ここに家を建ててしまおう」
「お〜い、クゥエルさ〜ん?」
「そうだな、そしたら子ども達も……」
「ていっ」
「あうっ!?」
急にクゥがトリップしだしたので、強制終了チョップ。
「……痛いではないか」
「痛くしたんだよ。とりあえず正気に戻ったか?」
「む?……ああ、そのようだ」
「さいですか」
それっきり、二人の間に会話は無かった。
「……クゥ」
「?」
「今度はさ、二人でここに来ような」
「……ああ」
11/03/13 18:13更新 / 日鞠朔莉