必殺たぬき人
♪たんたんたぬきのお〇んこはー 男もないのにぬーれぬれー
そーれ見ていた男たちー ちんちんち〇ぽこ挿しこんだー
な、何だ、この下品な歌は。旅の途中木陰で休んでいた僕は、気になって声のほうを見ると、頭の上にまるっこい耳をつけた娘が、つづらを背負ってこちらに歩いてきていた。
「あ、旅人さんですか。わっちは刑部狸でありんす。」
「………………」
「私は刑部狸。ジパングから来た。この大陸は狙われているっ。」
「……………………」
「こんにちは、いつもニコニコ………」
「いや、もういいから。僕もジパング出身だから刑部狸のことは知ってます。」
「そうでしたか、では話は早いです。何か買ってもらえますか。」
そう言ってつづらから商品を出し始めた。
「このバイブなんかどうです。ヘリカルウェーブが貴方を絶頂に導きますよ。」
「いや僕は男だから。」
「ではこのオナホなんてどうです。」
つい気になってしまうのは男のサガか。
「なんでもしょごすとかいうスライムの体を素材に使っているらしいです。この世のものとは思えない動きをするらしいですよ。EDの人さえいっちゃうらしいです。」
「それはすごいですね。」
「ただ使い過ぎると身体と融合しちゃうらしいですが。」
「そんな物騒な物売らないで下さい。」
「やっぱりそのせいで売れないんですね、いい商品なのに。」
いや融合するような物はいい商品とは言えないのでは。
「ではこのホルスタウロスミルクチョコはどうですか。彼女にあげるとメロメロになりますよ。」
「興味はあるけど彼女いないから。」
「………う、うわぁぁぁん。おねがいします何か買って下さいぃぃぃぃ。」
なんだか泣き出してしまった。刑部狸ってこんな魔物娘だったかな。
落ち着いてから話を聞いてみると彼女は刑部狸姉妹の長女だそうだ。妹達は商売上手なのだが自分だけどうにも物が売れず、こうして大陸まで渡ってきて商いをしているらしい。とりあえずほっておくのも気の毒なので、次の街まで一緒に行ってあげることにした。
街中をしばらく歩いていると、大きな屋敷の門から一人のメドゥーサが追い出されているところを偶然見てしまう。
「いいかげんにしろ。もう来るんじゃない。」
そう言って使用人が門を閉めている。門の前では意地っ張りのはずのメドゥーサが、プライドも無く辺りを憚らずに泣いていた。
何事かと思って二人で駆け寄り、離れた所で介抱して落ち着かせてみる。
話を聞くとこのメドゥーサはあの屋敷の息子に恋したそうだ。しかし由緒ある騎士の家柄の一門であり、魔物に息子はやれない、どうしてもというのなら少なくとも息子を倒せる腕前でなくてはならない、との事だった。
交渉の末、助けを借りてもよいとはなったものの、どんな傭兵に頼んでも、どんな魔物娘に助太刀してもらってもついに敵わなかったらしい。
「お願いします刑部狸さん。どうか彼の心を手に入れる商品を売って下さい。」
メドゥーサが懇願する。
「ごめんなさい、そんな商品は無いんです。それに物で人の心を手に入れても、幸せになれるとは限りません。でも私も商人、彼と仲良くなれるチャンスならなんとかお売りできるかもしれません。」
刑部狸はそう答えた。
例の子息は定期的に遠乗りに出かけるそうだ。一度はメドゥーサもそのタイミングで挑戦したらしい。
刑部狸が商品を売り込みがてらきっかけを作ってみると言うので、途中で待ち受ける事にした。騎士の彼が現れると刑部狸だけが道へと出て行く。
「騎士さま、なにか買って頂けないでしょうか。」
いつもの行商スタイルで前に進んで行くと。見慣れない姿に興味を覚えたのか、馬から降りて近寄ってくる。
「これなんかどうでしょうジパングでしか手に入らない品物ですよ。」
刑部狸がつづらから商品を取り出そうとした瞬間、騎士が目にも止まらぬ速さで切りかかる。だがそこに刑部狸はいない。いつのまにか騎士の背後から脇差で相手の腹を貫いていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
驚いたメドゥーサが慌てて駆け寄る。刑部狸がゆっくり脇差を引き抜くと不思議なことに傷がなかった。
「只者では無いとは思ったが。それにしても面妖な、身体が動かん。」
「この小刀は強力な治癒魔法が発動する仕掛けになっています。本来拷問用の御禁制の品です。即効性を高めたギルタブリルの毒をたっぷり刃に塗っておきました。メドゥーサさん、これが私にできる精一杯です。彼に好きになってもらえるかどうかは貴女次第です。」
そう言って二人を残し、僕を連れてその場を去っていった。
「凄いんだね、一体どうしたの。」
歩きながら僕は刑部狸に疑問を投げかける。
「私の父は侍でした。領主に対する謀反に加担している母を倒しに来たんです。でも母が、領主は御禁制の品を扱い、影で好き放題しており、このままでは領内の経済がガタガタになって領民が苦しむと説明したのです。父は母と戦うことを止め、やがて悪い領主は追われました。そして母と結婚したんです。私は商売はからっきしですが父に似たのか武道の素質がありました。長子として心強いと父が知りうる限りの武術を教えてくれたんです。」
「それであんなに強かったんだね。これからどうするの。」
「この近くにあまり知られていない街があるので寄ってみようかと。」
「へえ、どんな街。」
「サザンクロスと言うんです。あ、近くにはカサンドラと言う街もありますよ。」
「いやいやいやいや、行っちゃだめでしょその街。」
心配になってきた。どうやらしばらく付きあってあげなければいけなそうだ。
そーれ見ていた男たちー ちんちんち〇ぽこ挿しこんだー
な、何だ、この下品な歌は。旅の途中木陰で休んでいた僕は、気になって声のほうを見ると、頭の上にまるっこい耳をつけた娘が、つづらを背負ってこちらに歩いてきていた。
「あ、旅人さんですか。わっちは刑部狸でありんす。」
「………………」
「私は刑部狸。ジパングから来た。この大陸は狙われているっ。」
「……………………」
「こんにちは、いつもニコニコ………」
「いや、もういいから。僕もジパング出身だから刑部狸のことは知ってます。」
「そうでしたか、では話は早いです。何か買ってもらえますか。」
そう言ってつづらから商品を出し始めた。
「このバイブなんかどうです。ヘリカルウェーブが貴方を絶頂に導きますよ。」
「いや僕は男だから。」
「ではこのオナホなんてどうです。」
つい気になってしまうのは男のサガか。
「なんでもしょごすとかいうスライムの体を素材に使っているらしいです。この世のものとは思えない動きをするらしいですよ。EDの人さえいっちゃうらしいです。」
「それはすごいですね。」
「ただ使い過ぎると身体と融合しちゃうらしいですが。」
「そんな物騒な物売らないで下さい。」
「やっぱりそのせいで売れないんですね、いい商品なのに。」
いや融合するような物はいい商品とは言えないのでは。
「ではこのホルスタウロスミルクチョコはどうですか。彼女にあげるとメロメロになりますよ。」
「興味はあるけど彼女いないから。」
「………う、うわぁぁぁん。おねがいします何か買って下さいぃぃぃぃ。」
なんだか泣き出してしまった。刑部狸ってこんな魔物娘だったかな。
落ち着いてから話を聞いてみると彼女は刑部狸姉妹の長女だそうだ。妹達は商売上手なのだが自分だけどうにも物が売れず、こうして大陸まで渡ってきて商いをしているらしい。とりあえずほっておくのも気の毒なので、次の街まで一緒に行ってあげることにした。
街中をしばらく歩いていると、大きな屋敷の門から一人のメドゥーサが追い出されているところを偶然見てしまう。
「いいかげんにしろ。もう来るんじゃない。」
そう言って使用人が門を閉めている。門の前では意地っ張りのはずのメドゥーサが、プライドも無く辺りを憚らずに泣いていた。
何事かと思って二人で駆け寄り、離れた所で介抱して落ち着かせてみる。
話を聞くとこのメドゥーサはあの屋敷の息子に恋したそうだ。しかし由緒ある騎士の家柄の一門であり、魔物に息子はやれない、どうしてもというのなら少なくとも息子を倒せる腕前でなくてはならない、との事だった。
交渉の末、助けを借りてもよいとはなったものの、どんな傭兵に頼んでも、どんな魔物娘に助太刀してもらってもついに敵わなかったらしい。
「お願いします刑部狸さん。どうか彼の心を手に入れる商品を売って下さい。」
メドゥーサが懇願する。
「ごめんなさい、そんな商品は無いんです。それに物で人の心を手に入れても、幸せになれるとは限りません。でも私も商人、彼と仲良くなれるチャンスならなんとかお売りできるかもしれません。」
刑部狸はそう答えた。
例の子息は定期的に遠乗りに出かけるそうだ。一度はメドゥーサもそのタイミングで挑戦したらしい。
刑部狸が商品を売り込みがてらきっかけを作ってみると言うので、途中で待ち受ける事にした。騎士の彼が現れると刑部狸だけが道へと出て行く。
「騎士さま、なにか買って頂けないでしょうか。」
いつもの行商スタイルで前に進んで行くと。見慣れない姿に興味を覚えたのか、馬から降りて近寄ってくる。
「これなんかどうでしょうジパングでしか手に入らない品物ですよ。」
刑部狸がつづらから商品を取り出そうとした瞬間、騎士が目にも止まらぬ速さで切りかかる。だがそこに刑部狸はいない。いつのまにか騎士の背後から脇差で相手の腹を貫いていた。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ。」
驚いたメドゥーサが慌てて駆け寄る。刑部狸がゆっくり脇差を引き抜くと不思議なことに傷がなかった。
「只者では無いとは思ったが。それにしても面妖な、身体が動かん。」
「この小刀は強力な治癒魔法が発動する仕掛けになっています。本来拷問用の御禁制の品です。即効性を高めたギルタブリルの毒をたっぷり刃に塗っておきました。メドゥーサさん、これが私にできる精一杯です。彼に好きになってもらえるかどうかは貴女次第です。」
そう言って二人を残し、僕を連れてその場を去っていった。
「凄いんだね、一体どうしたの。」
歩きながら僕は刑部狸に疑問を投げかける。
「私の父は侍でした。領主に対する謀反に加担している母を倒しに来たんです。でも母が、領主は御禁制の品を扱い、影で好き放題しており、このままでは領内の経済がガタガタになって領民が苦しむと説明したのです。父は母と戦うことを止め、やがて悪い領主は追われました。そして母と結婚したんです。私は商売はからっきしですが父に似たのか武道の素質がありました。長子として心強いと父が知りうる限りの武術を教えてくれたんです。」
「それであんなに強かったんだね。これからどうするの。」
「この近くにあまり知られていない街があるので寄ってみようかと。」
「へえ、どんな街。」
「サザンクロスと言うんです。あ、近くにはカサンドラと言う街もありますよ。」
「いやいやいやいや、行っちゃだめでしょその街。」
心配になってきた。どうやらしばらく付きあってあげなければいけなそうだ。
12/02/12 13:13更新 / らいでん