〜Part7!!
〜犠牲〜
初夏の生暖かい風が俺の頬を撫でる。
夏の訪れを風が夏の匂いが混じっている。
正直、俺はこういった季節の匂いが混じった風は好きだ。
特に、季節の変わり目は、これから季節が来る感じがしてとてもワクワクする。
「はぁ・・・」
それなのに、こんな重い溜息をつくのは訳がある。
それ難しいようで簡単なこと。
家の壁に大きな風穴が開いてしまったんだよ、チクショー。
何で、こんな事になったか・・・。これも簡単なことである。
「「「「・・・・・・プルプル」」」」
後ろで俺に怒られる事を怖がって、部屋の隅で震えている俺の妹達である。
土筆を翡翠が、翡翠を雫が、雫を竜胆が抱きしめ、団子のようになっている。
ちゃんと悪い事をしたっていう認識はあるようだからいいんだけど、ちゃんとしないといけないな。
「お前達、俺との約束なんだったっけ?」
「・・・『喧嘩をしても良いけど、竜化して喧嘩しない』・・・です」
竜胆に抱かれている雫が、恐る恐るといった感じに放す。
「当たり。んで、それじゃあ、何でこんな事になったんだ?」
あくまで優しく、それでいて責めるように問い詰める。
「兄ちゃんと結婚するのは誰かってことで喧嘩になって、そのまま・・・」
「ヒートアップしてしまったと・・・」
「・・・コクンッ」
思ってくれるのは嬉しいんだけど、やりすぎなんだよ。
「お前達、これで壁壊すの何度目だ?」
「・・・4回目?」
「5回目だ・・・」
そう、これが初犯じゃない。
土筆が来てからは初めてだが、土筆が来る前にすでに4回壊している。
ドラゴン属だから仕方が無いとはいえ、何度も壊されたらたまらない・・・。
一応、ドラゴン属用の保険には入っているし、このマンションの一室もドラゴン属が暴れて、壁などを壊しても直しやすいように出来ている。
「全く、何度壊したら気が済むんだ?」
「「「「ごめんなさい・・・」」」」
反省はしているようだな。
それなら、これ以上怒らないけどお仕置きは必要だ。
俺は竜胆から順にお仕置きとして、デコピンをお見舞いしてやった。
ただのデコピンだと思うなよ。
学生時代には『黄金の指』と言われ、色々畏れられたものだ。
だから、性的なお仕置きを期待したやつ、残念だったな。
さて、後ろで痛みで悶える4人は放っておいて、修理の依頼でもするか。
「・・・・・・あっ、もしもし。久しぶり〜」
『おう?ショウちゃんか?』
「ショウちゃん言うな!!」
『ショウちゃん』とは、俺の学生の時の愛称だ。
そして、この電話の相手は学生時代の友達である。
ジャイアンアントの嫁を貰い、一緒に建築業を営んでいる。
家が壊れた時はいつも個々に依頼しているのである。
『はははっ、相変わらずだな。んで、今日はどうしたよ』
「ああ、いつもの頼むよ」
『またか!?おいおい、いくらなんでも早いだろ・・・』
「いや〜、家族が増えた所為でね・・・」
『家族が増えた?ああ、ワームが増えたらしいな』
「なんで知ってる・・・?」
『華南の奴に聞いた』
「あのネズミめ・・・」
『まぁまぁ、んで依頼はいつも通りに伝えればいいんだな』
「ああ、純から奥さんに依頼したいんだがいいか?」
『あぁ、前に来てた仕事がちょうど今日終わったから予定は開いてるぜ』
「それは良かった。それじゃあ、お願いするよ」
『応!任せておきな。でも、報酬はいつものな』
「はいはい。『夫婦の果実のタルト』だったな。作ってやるよ」
『へへへ、頼んだぜ』
「こっちこそ頼んだぜ」
そういって電話を切った。
さて、これで家は大丈夫だな。
あとは、こいつらにもう二度とこんな事が起こらないように注意しておくかな・・・。
〜授業参観〜
今日はあいつらの授業参観である。
3人同時だからずっと聞いていられない。
順番的には、翡翠→雫→竜胆の順番で回るつもりである。
授業参観が始まる時間は、俺の仕事をやっている時間なので有給休暇をとって行くことにした。
3人とも俺が行くことを言ったら、張り切って登校していった。
という訳なので、土筆を連れて行こうと思う。
「土筆、そろそろ行くぞ」
「は〜い」
流石に私服じゃまずいと思い、仕事用のスーツに着替え、土筆と手を繋いで3人の学校へ向った。
3人の学校は家からさほど離れていない。
だから、車や自転車なんて使う必要が無い。
そのため、土筆と散歩する感覚で歩いていると、3人の学校に着いた。
よくある普通の鉄筋コンクリートの4階建ての小学校。
一応、俺も通っていたけどもう知っている先生はいないから、『思い出のある別の場所』という感じである。
それはさておき、今日の回る順番を決めた理由は入り口から近い順である。
翡翠は1階に教室があり、雫が2階、竜胆が3階に教室がある。
早速スリッパに履き替えると、翡翠の教室に向った。
翡翠達は算数の授業らしくラミアの先生が黒板に書く数式を児童達が解いていく。
翡翠も自分の席で楽しそうに授業を聞いている。
普段からあんな感じなのか、それとも授業参観だから張り切っているのかは分からないが保護者としては前者を期待したい。
「はい。ここの問題分かる人〜」
『は〜い!!』
「はい。それじゃあ、翡翠ちゃん」
「はい!10-3は7です!!」
「はい、正解です。それでは次の問題分かる人〜」
ラミアの先生に当てられて元気一杯に答える翡翠。
正解したのが嬉しかったのか、物凄い笑顔で席に着いた。
そして、ちらりと後ろを向いたとき目が合った。
俺達が来ていることを確認すると、『パァ!!』と先程よりも輝いている笑顔になった。
ちゃんと来てくれたのが嬉しいようだ。
ふむ、真面目に授業を受けているか心配だったが、どうやら杞憂だったようだな。
もう少し見ていたい気もするけど雫や竜胆の様子も見ないといけないから残念だけど、ここで移動させてもらおう。
という訳で、翡翠の教室を出て2階にある雫の教室に向った。
雫たちはどうやら、理科の授業をやっているらしい。
サキュバス、いや、あれはアルプだな。
白衣姿のアルプが黒板に雄しべと雌しべについて書かれている。
どうやら、生物の授業のようだ。
「さて、雄しべと雌しべの違いは理解できましてか?それでは確認しましょう。雌しべは?」
『マ○コ!!』
「雄しべは?」
『チ○コ!!』
「はい。皆さんよく覚えましたね。ここは大切な所なのでしっかり覚えましょう」
『はーい!!』
・・・・・・。
いや、俺もこう教わったからいいんだけど・・・。
魔物だから別にいいんだけど・・・。
何かがおかしい。
これは怒られそうな気がするのは俺だけだろうか・・・。
と、雫がこちらに気付いたようで、軽く手を振ってきた。
俺的には、こちらより授業に集中して欲しいが、まぁ良いか、という事で手を振り替えしておいた。
その後も、下ネタをふんだんに取り入れた授業が続いた。
魔物から見たら別段おかしいところは無く、逆に関心を持ちやすく、覚えやすい授業と好評らしい。
さて、少し早いが竜胆のところに行こうかな。
という訳で、俺達は竜胆がいる3階に向った。
竜胆達は学習発表らしく、5つほどのグループに別れ、それぞれの調べたテーマを模造紙にまとめて発表している。
俺達が来た時には丁度竜胆たちの班の発表が始まる時だった。
竜胆達はこの街の魔物についてを調べたようだ。
「私達の班は、この街の魔物娘について調べました」
「その結果、この街には獣系の魔物が一番多く、次にサキュバス系の魔物が多い事が分かりました」
まぁ、ここら辺はそういった種類が多いよな。
ここら辺は寒いから四姉妹みたいなドラゴン属や爬虫類系の魔物はあまりいないんだよな。
それに反比例するかのように獣系は凄い沢山いる。
俺の知り合いも大半獣系の魔物だからな。
竜胆たちの班の発表を聞いていると、良く調べているのがよく分かる。
こういった統計は市庁のHPや関連書籍に載っているが、よくここまで詳しく調べて纏めたものだ。
俺を見つけた瞬間『遅い!!』と言いたげな視線を向けていたが、発表を始めた瞬間キリッっとした表情に戻った。
同じ班の紅ちゃんにいたっては、俺が来た瞬間『何しに来た!!』という怨念にも似た視線をぶつけた来た。
そして、発表中の竜胆を見て頬を若干だが紅くしていた。
この子、相変わらずぶれないな・・・。
と、そんな感じで3人の授業を参観した。
どうやら、竜胆たちの班が最後の発表だったらしく、竜胆たちが終わったら終わりのチャイムがなった。
さて、3人の様子も見れたし、土筆も楽しそうだったから良かったな。
本当はやってはいけないけど、今日はご褒美に美味しいものでも作ってあげるかな。
初夏の生暖かい風が俺の頬を撫でる。
夏の訪れを風が夏の匂いが混じっている。
正直、俺はこういった季節の匂いが混じった風は好きだ。
特に、季節の変わり目は、これから季節が来る感じがしてとてもワクワクする。
「はぁ・・・」
それなのに、こんな重い溜息をつくのは訳がある。
それ難しいようで簡単なこと。
家の壁に大きな風穴が開いてしまったんだよ、チクショー。
何で、こんな事になったか・・・。これも簡単なことである。
「「「「・・・・・・プルプル」」」」
後ろで俺に怒られる事を怖がって、部屋の隅で震えている俺の妹達である。
土筆を翡翠が、翡翠を雫が、雫を竜胆が抱きしめ、団子のようになっている。
ちゃんと悪い事をしたっていう認識はあるようだからいいんだけど、ちゃんとしないといけないな。
「お前達、俺との約束なんだったっけ?」
「・・・『喧嘩をしても良いけど、竜化して喧嘩しない』・・・です」
竜胆に抱かれている雫が、恐る恐るといった感じに放す。
「当たり。んで、それじゃあ、何でこんな事になったんだ?」
あくまで優しく、それでいて責めるように問い詰める。
「兄ちゃんと結婚するのは誰かってことで喧嘩になって、そのまま・・・」
「ヒートアップしてしまったと・・・」
「・・・コクンッ」
思ってくれるのは嬉しいんだけど、やりすぎなんだよ。
「お前達、これで壁壊すの何度目だ?」
「・・・4回目?」
「5回目だ・・・」
そう、これが初犯じゃない。
土筆が来てからは初めてだが、土筆が来る前にすでに4回壊している。
ドラゴン属だから仕方が無いとはいえ、何度も壊されたらたまらない・・・。
一応、ドラゴン属用の保険には入っているし、このマンションの一室もドラゴン属が暴れて、壁などを壊しても直しやすいように出来ている。
「全く、何度壊したら気が済むんだ?」
「「「「ごめんなさい・・・」」」」
反省はしているようだな。
それなら、これ以上怒らないけどお仕置きは必要だ。
俺は竜胆から順にお仕置きとして、デコピンをお見舞いしてやった。
ただのデコピンだと思うなよ。
学生時代には『黄金の指』と言われ、色々畏れられたものだ。
だから、性的なお仕置きを期待したやつ、残念だったな。
さて、後ろで痛みで悶える4人は放っておいて、修理の依頼でもするか。
「・・・・・・あっ、もしもし。久しぶり〜」
『おう?ショウちゃんか?』
「ショウちゃん言うな!!」
『ショウちゃん』とは、俺の学生の時の愛称だ。
そして、この電話の相手は学生時代の友達である。
ジャイアンアントの嫁を貰い、一緒に建築業を営んでいる。
家が壊れた時はいつも個々に依頼しているのである。
『はははっ、相変わらずだな。んで、今日はどうしたよ』
「ああ、いつもの頼むよ」
『またか!?おいおい、いくらなんでも早いだろ・・・』
「いや〜、家族が増えた所為でね・・・」
『家族が増えた?ああ、ワームが増えたらしいな』
「なんで知ってる・・・?」
『華南の奴に聞いた』
「あのネズミめ・・・」
『まぁまぁ、んで依頼はいつも通りに伝えればいいんだな』
「ああ、純から奥さんに依頼したいんだがいいか?」
『あぁ、前に来てた仕事がちょうど今日終わったから予定は開いてるぜ』
「それは良かった。それじゃあ、お願いするよ」
『応!任せておきな。でも、報酬はいつものな』
「はいはい。『夫婦の果実のタルト』だったな。作ってやるよ」
『へへへ、頼んだぜ』
「こっちこそ頼んだぜ」
そういって電話を切った。
さて、これで家は大丈夫だな。
あとは、こいつらにもう二度とこんな事が起こらないように注意しておくかな・・・。
〜授業参観〜
今日はあいつらの授業参観である。
3人同時だからずっと聞いていられない。
順番的には、翡翠→雫→竜胆の順番で回るつもりである。
授業参観が始まる時間は、俺の仕事をやっている時間なので有給休暇をとって行くことにした。
3人とも俺が行くことを言ったら、張り切って登校していった。
という訳なので、土筆を連れて行こうと思う。
「土筆、そろそろ行くぞ」
「は〜い」
流石に私服じゃまずいと思い、仕事用のスーツに着替え、土筆と手を繋いで3人の学校へ向った。
3人の学校は家からさほど離れていない。
だから、車や自転車なんて使う必要が無い。
そのため、土筆と散歩する感覚で歩いていると、3人の学校に着いた。
よくある普通の鉄筋コンクリートの4階建ての小学校。
一応、俺も通っていたけどもう知っている先生はいないから、『思い出のある別の場所』という感じである。
それはさておき、今日の回る順番を決めた理由は入り口から近い順である。
翡翠は1階に教室があり、雫が2階、竜胆が3階に教室がある。
早速スリッパに履き替えると、翡翠の教室に向った。
翡翠達は算数の授業らしくラミアの先生が黒板に書く数式を児童達が解いていく。
翡翠も自分の席で楽しそうに授業を聞いている。
普段からあんな感じなのか、それとも授業参観だから張り切っているのかは分からないが保護者としては前者を期待したい。
「はい。ここの問題分かる人〜」
『は〜い!!』
「はい。それじゃあ、翡翠ちゃん」
「はい!10-3は7です!!」
「はい、正解です。それでは次の問題分かる人〜」
ラミアの先生に当てられて元気一杯に答える翡翠。
正解したのが嬉しかったのか、物凄い笑顔で席に着いた。
そして、ちらりと後ろを向いたとき目が合った。
俺達が来ていることを確認すると、『パァ!!』と先程よりも輝いている笑顔になった。
ちゃんと来てくれたのが嬉しいようだ。
ふむ、真面目に授業を受けているか心配だったが、どうやら杞憂だったようだな。
もう少し見ていたい気もするけど雫や竜胆の様子も見ないといけないから残念だけど、ここで移動させてもらおう。
という訳で、翡翠の教室を出て2階にある雫の教室に向った。
雫たちはどうやら、理科の授業をやっているらしい。
サキュバス、いや、あれはアルプだな。
白衣姿のアルプが黒板に雄しべと雌しべについて書かれている。
どうやら、生物の授業のようだ。
「さて、雄しべと雌しべの違いは理解できましてか?それでは確認しましょう。雌しべは?」
『マ○コ!!』
「雄しべは?」
『チ○コ!!』
「はい。皆さんよく覚えましたね。ここは大切な所なのでしっかり覚えましょう」
『はーい!!』
・・・・・・。
いや、俺もこう教わったからいいんだけど・・・。
魔物だから別にいいんだけど・・・。
何かがおかしい。
これは怒られそうな気がするのは俺だけだろうか・・・。
と、雫がこちらに気付いたようで、軽く手を振ってきた。
俺的には、こちらより授業に集中して欲しいが、まぁ良いか、という事で手を振り替えしておいた。
その後も、下ネタをふんだんに取り入れた授業が続いた。
魔物から見たら別段おかしいところは無く、逆に関心を持ちやすく、覚えやすい授業と好評らしい。
さて、少し早いが竜胆のところに行こうかな。
という訳で、俺達は竜胆がいる3階に向った。
竜胆達は学習発表らしく、5つほどのグループに別れ、それぞれの調べたテーマを模造紙にまとめて発表している。
俺達が来た時には丁度竜胆たちの班の発表が始まる時だった。
竜胆達はこの街の魔物についてを調べたようだ。
「私達の班は、この街の魔物娘について調べました」
「その結果、この街には獣系の魔物が一番多く、次にサキュバス系の魔物が多い事が分かりました」
まぁ、ここら辺はそういった種類が多いよな。
ここら辺は寒いから四姉妹みたいなドラゴン属や爬虫類系の魔物はあまりいないんだよな。
それに反比例するかのように獣系は凄い沢山いる。
俺の知り合いも大半獣系の魔物だからな。
竜胆たちの班の発表を聞いていると、良く調べているのがよく分かる。
こういった統計は市庁のHPや関連書籍に載っているが、よくここまで詳しく調べて纏めたものだ。
俺を見つけた瞬間『遅い!!』と言いたげな視線を向けていたが、発表を始めた瞬間キリッっとした表情に戻った。
同じ班の紅ちゃんにいたっては、俺が来た瞬間『何しに来た!!』という怨念にも似た視線をぶつけた来た。
そして、発表中の竜胆を見て頬を若干だが紅くしていた。
この子、相変わらずぶれないな・・・。
と、そんな感じで3人の授業を参観した。
どうやら、竜胆たちの班が最後の発表だったらしく、竜胆たちが終わったら終わりのチャイムがなった。
さて、3人の様子も見れたし、土筆も楽しそうだったから良かったな。
本当はやってはいけないけど、今日はご褒美に美味しいものでも作ってあげるかな。
12/12/15 02:08更新 / ランス
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