番外編02 連絡員の正体
司令「ふむ・・・なるほど・・・」
副官「司令、どうされたのですか?」
司令「あぁ、過去の作戦での、連絡員からの報告をまとめて見返していただけだよ。」
副官「・・・司令、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか。」
司令「?なんだね?」
副官「連絡員とは、一体何者なのですか?
魔物や親魔物派の人間が、教団に協力するとは思えませんし
かといって普通の人間が、堕落せずにレスカティエに長期潜伏できるとは思えません。」
司令「連絡員か・・・一言でいえば『空想に生きる者』といったところだな。」
副官「ど、どういうことでしょうか?」
司令「過去に何があったのかは知らないが、あいつにとっては
『自分の頭の中の世界』こそが絶対でな。」
司令「他人のこと、周りのこと、果ては自分のことに至るまで
この世界で何があろうと知ったことではないし、どうでも良いと思っている。」
副官「現実に興味がない・・・ということでしょうか?」
司令「興味がない・・・というか、価値を見い出せないらしい。」
司令「自分が頭の中で空想している世界こそが、あいつにとっての理想郷であり
それを文章・絵・弾き語り・・・あらゆる手段で形にすることが
あいつにとって唯一価値のあることで、生きがいなんだそうな。」
司令「まぁ、芸術家肌というか・・・ずいぶんと偏屈な人間だよ。」
副官「はぁ・・・しかし、それがどうして連絡員をすることに?」
司令「原因は、あいつが造ったものにある。」
司令「今言ったとおり、あいつは自分の空想世界を形にすることを生きがいとしているが
その内容が世俗的というか刺激的というか・・・なんとも挑戦的でな。」
司令「その中でも、主神教の教えを否定する表現があったのが
教団関係者の目に留まってしまったのが特に不味かった。」
司令「公共良俗を乱すという理由で捕えられ
お決まりの宗教裁判で処刑台に送られる予定だったのを
私が身柄を預かって、取引を持ちかけたんだ。」
副官「取引・・・ですか?」
司令「あぁ。レスカティエに亡命させる代わりに、現地で連絡員をやって欲しいというな。」
司令「レスカティエに限らず、魔物領の表現の自由は我々の比ではない。
あそこなら、しょっぴかれるようなことなく、思うまま自由な表現ができるだろう・・・
という話を餌にして、喰いつかせたんだ。」
司令「本当は潜入捜査をさせたかったのだが、素人の半世捨て人には荷が重すぎるし
そんな面倒事を持ちかけても、絶対に首を縦には振らないだろうからな。」
司令「レスカティエで好き勝手しながら、たまにアルバイトで連絡員もやってもらう・・・
という形で了承を得て、レスカティエに送り込んだというわけさ。」
副官「そんなことが・・・堕落の危険はないのでしょうか?」
司令「考えなかったわけではないが、あいつは自分の頭の中しか興味のない奴だ。
それ以外は全て・・・魔物の誘惑さえも、どうでもいいし興味もないそうだ。」
司令「現に、『魔物娘に目もくれない変わり者の芸術家』ということで
レスカティエでは話題になっているそうだよ。」
副官「なんといいますか・・・潜入工作員にできないことが
本当に惜しまれる人材ですね。」
司令「それに関しては、今でも残念だと思っているよ・・・」
副官「司令、どうされたのですか?」
司令「あぁ、過去の作戦での、連絡員からの報告をまとめて見返していただけだよ。」
副官「・・・司令、ひとつお聞きしてもよろしいでしょうか。」
司令「?なんだね?」
副官「連絡員とは、一体何者なのですか?
魔物や親魔物派の人間が、教団に協力するとは思えませんし
かといって普通の人間が、堕落せずにレスカティエに長期潜伏できるとは思えません。」
司令「連絡員か・・・一言でいえば『空想に生きる者』といったところだな。」
副官「ど、どういうことでしょうか?」
司令「過去に何があったのかは知らないが、あいつにとっては
『自分の頭の中の世界』こそが絶対でな。」
司令「他人のこと、周りのこと、果ては自分のことに至るまで
この世界で何があろうと知ったことではないし、どうでも良いと思っている。」
副官「現実に興味がない・・・ということでしょうか?」
司令「興味がない・・・というか、価値を見い出せないらしい。」
司令「自分が頭の中で空想している世界こそが、あいつにとっての理想郷であり
それを文章・絵・弾き語り・・・あらゆる手段で形にすることが
あいつにとって唯一価値のあることで、生きがいなんだそうな。」
司令「まぁ、芸術家肌というか・・・ずいぶんと偏屈な人間だよ。」
副官「はぁ・・・しかし、それがどうして連絡員をすることに?」
司令「原因は、あいつが造ったものにある。」
司令「今言ったとおり、あいつは自分の空想世界を形にすることを生きがいとしているが
その内容が世俗的というか刺激的というか・・・なんとも挑戦的でな。」
司令「その中でも、主神教の教えを否定する表現があったのが
教団関係者の目に留まってしまったのが特に不味かった。」
司令「公共良俗を乱すという理由で捕えられ
お決まりの宗教裁判で処刑台に送られる予定だったのを
私が身柄を預かって、取引を持ちかけたんだ。」
副官「取引・・・ですか?」
司令「あぁ。レスカティエに亡命させる代わりに、現地で連絡員をやって欲しいというな。」
司令「レスカティエに限らず、魔物領の表現の自由は我々の比ではない。
あそこなら、しょっぴかれるようなことなく、思うまま自由な表現ができるだろう・・・
という話を餌にして、喰いつかせたんだ。」
司令「本当は潜入捜査をさせたかったのだが、素人の半世捨て人には荷が重すぎるし
そんな面倒事を持ちかけても、絶対に首を縦には振らないだろうからな。」
司令「レスカティエで好き勝手しながら、たまにアルバイトで連絡員もやってもらう・・・
という形で了承を得て、レスカティエに送り込んだというわけさ。」
副官「そんなことが・・・堕落の危険はないのでしょうか?」
司令「考えなかったわけではないが、あいつは自分の頭の中しか興味のない奴だ。
それ以外は全て・・・魔物の誘惑さえも、どうでもいいし興味もないそうだ。」
司令「現に、『魔物娘に目もくれない変わり者の芸術家』ということで
レスカティエでは話題になっているそうだよ。」
副官「なんといいますか・・・潜入工作員にできないことが
本当に惜しまれる人材ですね。」
司令「それに関しては、今でも残念だと思っているよ・・・」
14/01/30 23:56更新 / プロミス
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