優しい触手と純白の令嬢
Μ不思議の国・タマゴの里・初太とマドラ宅Μ
Μ初太視点Μ
｢初太、食パンにバターを塗り終えた？｣
｢あと一枚だ｣
｢こっちも具材を切り終えたから、パンの上に具材を乗せよう｣
｢キュウリと要り卵を乗せて、初太、食パン持った？｣
｢おう｣
｢いくよ、せーの｣
ﾊﾟﾝｯ♪
｢一枚目完成♪｣
｢次は生ハムとレタスを乗せて｣
マドラが食パンに具材を乗せたのを見計らって、俺はもう片方の食パンを持つ。
｢いくよ｣
マドラが具材を乗せた食パンを片手で持って
俺の食パンと重ね合わせる。
夫婦揃っての共同作業。
こうして俺とマドラが一緒に作るサンドイッチが出来上がる。
今日はマドラとデート。
場所はタマゴの里から北にあるソーンファーム。
触手と眠りと精液の牧場と呼ばれてる食糧調達スポットらしい。
｢行こうか初太｣
マドラは弁当や飲み物等をバスケットに詰め、家のドアを開ける。
｢今日はいい天気だね、初太｣
｢ああ、絶好のピクニック日和だな｣
雲ひとつ無い青空。
媚薬の雨が降る気配は無し――と言いたい所だが、ここは不思議の国。例え快晴でも急に媚薬の雨が降り注いでも不思議ではないようだ。
戸締まりをしたマドラは、俺に手を差し出す。
夫婦が手を繋いで歩くのは当然のことだな。
俺はマドラの手を握る。
暖かい
妻の手の温もりを感じながら里を歩く。
ΜΜΜ
それから道中、おつかい目的でソーンファームに向かう養鶏場の双子と会ったり、倒れた来訪者を救出したり、彼女達と共にソーンファームを見学したり、とあるドーマウスファミリーとの出会い等があった。
来訪者は養鶏場の双子が任せると言ったので、双子達に別れを告げ
Μソーンファーム・触手の草原Μ
｢よし、ここでお弁当を食べよう｣
俺とマドラのデートが始まった。
ビニールシートを敷き、朝作ったサンドイッチを食べる。
ﾊﾟｸｯ、ﾑｼｬﾑｼｬ…
うん、マドラと一緒に作ったサンドイッチは格別だ。
俺は食パンの食感とレタスの歯ごたえを噛み締めながら、草原を見渡す。
地平線の他にも、草原の触手が空に向かって伸び、触手の樹となり、樹から果物、野菜、肉や魚が実ってゆく。
樹の周りには人や魔物が集まり、樹に実る贈り物を食し、時に収穫する。
実を全て獲り終えた時、樹はその役目を終えるかのように縮み、母なる草原へと帰って行く。
｢食べ物に困らないんだな、食料調達に来た来訪者が永住しても不思議じゃないな｣
｢触手の樹は食べ物を収穫するだけじゃないよ｣
マドラに言われて気づいた。
触手の樹の下で厚い口付けを交わすカップルがいることに。
一組だけならまだわかる
それが十組になると、異様な光景にも――見えなくはない。
口付けを交わしていたカップル達が次々と消えて行く。
｢消えた……まさかあの樹はワープスポットなのか？｣
｢あの樹だけじゃない、不思議の国にはあちこちにワープスポットがあって、住人の殆どがワープの条件を把握してるんだよ｣
あんな風にと、マドラが指した先には、触手の樹で拘束プレイをしている男女がいた。
ボンテージを着用した褐色肌の女がロープを使って男性を樹にくくりつけているようだ。
あの二人も口付けをすれば――と思ってたら、二人が突然消えた。
｢おい、消えたぞ。まだ口付けをしてないのに｣
｢あれはロープ等で相手を一定時間拘束すればワープする仕掛けのようだね｣
｢拘束する需要はあるのか？｣
｢意外と多いよ。特にラミア属は夫が浮気しないよう蛇の体で夫を縛りつける傾向があるって｣
それから俺は、ソーンファームの仕掛けと起動条件を目にする。
交わりから手コキ、四つん這いといったエロありは勿論のこと、エロなしの条件も一言では言い表せない程様々なものがあり、一分間その場から一切動かないだけで、仕掛けが発動するのを見たときは呆気にとられたぞ。
｢あんなやり方でワープ出来るなら、移動にはさぞかし困らないだろうな｣
｢だからこの国では乗用車の需要は少ないんだよ。ぼくも最初の頃は馬車を全然見かけないから戸惑ったよ｣
｢その方がいいかもしれないな、事故を起こさなくて済むし｣
｢初太……｣ﾋﾞｭｳｳｳ｢キャッ！｣
突然の強風
マドラは咄嗟に頭の帽子を押さえる。
吹き抜ける風が俺の頬に当たり、草原を靡かせる。
この風は警告か？
安易に自身の過去を打ち明けるなという
だが
｢俺の両親はドライブ中に自動車事故を起こして命を落とした｣
俺はマドラに語り始める。
｢六歳だった俺を残して｣
風の流れが雑音となり
｢当時の俺は人の死とかわからないことだらけだったけど｣
妻が俺の告白を聴こえているかどうかの狭間で
｢もしその事故が人災で、犯人がいたらと思うと、俺はそいつを許せないと思ったよ｣
妻に打ち明ける。
やがて強風は風速を落とし、そよ風となる。
｢初太｣
今度はマドラが口を開く。
｢事故の後、初太は何処へ行ったの？｣
｢……俺の両親には親や兄弟がいなかったから、施設に引き取られた｣
｢施設での暮らしは――ううん、もし辛いならそれ以上言わなくても｣
｢大丈夫だよ。せんせーは優しくて、俺と平也と満知子をちゃんと学校へ通えるようにしてくれた｣
｢初太……｣
｢おっと、つい喋りすぎた。暗い気持ちにさせて悪かったな｣
｢いえ、別にわた……ぼくは気にしてないから｣
｢マドラちゃん？｣
｢マドラちゃんだ｣
マドラを呼ぶ女性の声がした。それも二人分。
巨大な花の中に二人の女性が入っていた。
｢えっと……リリラウネさん達はぼくを知ってるの？｣
｢観客席で見たわよ｣
｢コルヌ様との共演｣
｢コルヌ、共演……ひょっとして白百合の花園で開催されたベストカップルコンテストのこと？｣
リリラウネという二人の魔物娘は同時に頷く。
｢あのときのマドラちゃん｣
｢王子様って感じだったわ｣
｢コルヌのサポートがあったら……それにしてもまさかここでリリラウネに会うとは驚いたよ｣
｢会うのも当然。だって私達は……｣
｢普通のリリラウネに戻りました｣
｢ﾌﾞﾊｯ！｣
花の中から男が飛び出した。
｢ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ｣
｢どうだった？蜜の中に浸かりながらオマンコペロペロは？｣
｢オマンコに舌を入れられちゃって、気持ち良かったわよ｣
｢夫持ちだったんだ｣
｢この人、リリラウネと結ばれたいからって｣
｢自ら白百合の花園に足を踏み入れたんだよ｣
｢踏み入れたの？白百合の花園に!?｣
マドラが驚いたように大声を出す。
｢魔物化への誘惑に負けることなく｣
｢男として私達を愛したいって｣
二人で夫の股間にある男の証を擦る
二人分の手が男の証を膨張させるように。
｢マドラちゃん、そっちの人って親友？｣
｢それとも友達｣
｢ぼくの旦那様だよ｣
｢えっ、そうなんだ、意外｣
｢マドラちゃんも結婚したんだ｣
｢あうっ｣
｢最初来たときは箱入りのお嬢様って感じで｣
｢一年くらいしたら、男装の麗人に変わって｣
｢気持ちいい…｣
｢それが旦那持ちなんてビックリよ！｣
｢てっきり彼女作ってると思ってたわ｣
｢でるっ！｣
｢ああん、話の途中で射精？｣
｢胸に白くてベタベタしたのがべっとり♪｣
リリラウネ達は夫の精を蜜と一緒に舐め始める。
｢行こうか、初太｣
｢いいのか？｣
｢彼女達はもう、夫にしか目がないからぼく達がいても邪魔なだけだよ｣
マドラは手を差し出す
俺は手を繋ぎ、リリラウネ達にさよならを言う。
｢あんっ、ぺろっ｣
｢はむっ、ぱくっ｣
｢うぁぁ、でるっ｣
風が無いにも関わらず、俺の言葉は聞こえなかったようだ。
※
｢ぼくもここに来たばかりの頃は箱入りのお嬢様だったよ｣
今度はマドラが俺に過去を語り始めた。
｢サンドラ洋服店にある帽子を被ってマッドハッターになったけど……最初は男言葉を使ったり男の服を着るのに抵抗があったよ｣
今度は俺がマドラの過去を聴く番だ。
｢コルヌに白百合の花園に行ってみないかと勧められた｣
隣でマドラの話を聞きながら
｢コルヌもそこの卒園生で、ぼくはそこで一年間の研修を受けることにした｣
前を見て歩いていると
｢コルヌも付き添いでぼくと同じ部屋に泊まることになって――初太？｣
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
｢おい、豚がこっちに向かってくるぞ！｣
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
魔界豚の群れが俺達に向かって突進してくる。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！！！
｢逃げるぞマドラ、撥ね飛ばされる前に｢大丈夫だよ｣
だがマドラはその場を離れようとしない。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！！！！
そうこうしてるうちに魔界豚が接近してきて
ｼｭﾙﾙﾙﾙ、ｶﾞｼｯ
俺とマドラの足元から触手が伸びた。
奇妙な事が起こった。
前面から見ていたはずの豚の大群が、気づけば下から見下ろしていたから。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
豚の大群は俺の下を通りすぎ、そのまま彼方へと走り続ける。
｢ね、大丈夫だったでしょ｣
｢何が起こったんだ？｣
｢触手がぼく達を空へ避難させたの｣
｢触手が？｣
｢ここの触手は人や動物に優しくて、もし事故が起きそうになったら助けてくれるんだ｣
ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛﾛﾛﾛ……
｢今度はスクーターが数台こちらに向かってきたぞ｣
｢あれはスクーターの教習だね｣
ｼｭﾙﾙﾙﾙ、ｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝ
触手が踏切の形を作り、警音を鳴らす。
触手の遮断機がスクーターの走行を阻む。
｢よく見て｣
踏切の内側に通るは電車――
ガァーガァー カァーカァー
ではなく、カルガモの親子。
｢接触事故を起こさないよう触手が標識、歩道橋、遮断機の役目を果たしてるんだよ｣
よく見れば
触手に寝そべるカップルの上に巨大な橋が出来て、その上を魔界豚が走り
スクーターが接触しないよう触手のポールが自生し
触手で出来た信号機が赤く変色し、運転手達は赤信号に従いスクーターを一時停止させる。
｢標識が不意に現れるなんて、厳しい教習だな｣
｢あれでも優しいほうだよ。キョウシュウマウンテンではハプニングの中で教習が行われるから｣
｢触手ってすごいな、食べる者、寝る者、交わる者達を守ってくれるなんて｣
｢流石に異形なモノや不審者、牧場荒らしを見つけたら拘束して動けなくすることもあるけど……本当に優しい触手達なんだ｣
｢優しい、か。ここは優しいんだな｣
｢そう、ここは優しい場所なんだ｣
｢どんなにお腹を空かせた人や｣
ｶﾞﾂｶﾞﾂ、うめぇ、ﾑｼｬﾑｼｬ、こんなにうまい食い物が、ﾓｸﾞﾓｸﾞ、たらふく食えるなんて……
｢容姿を気にする女性も｣
これが、私？綺麗……胸も大きくてお腹もスッキリしてる……触手さん、私をもっと綺麗にして
｢心が荒んだ盗賊も｣
うっひょ～触手に搾られるのがこんなに気持ちいいなんて～今まで他人から物を奪ってきたのが馬鹿らしくなってきたよ～
｢触手達が彼らに安らぎを与えてくれるんだよ｣
｢マドラは安らいでるのか？｣
｢うん、とっても安らいでるよ。こうして初太とデート出来て……｣
｢久しぶりに女の子らしい格好が出来ますから｣
マドラの口調や声色が少女のそれへと変わる。
マドラはバスケットから白い服と白い帽子を取りだし
｢お願いします、触手さん｣
ｼｭﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ
マドラの全身に触手が包まれる。
｢ま、マドラ!?｣
俺は慌てて触手を引き剥がそうとするが、びくともしない。
ｷﾞｭｯｷﾞｭｯ
触手の柱が蠢く
｢服の裾……待ってろ、今助けてやる｣
触手と触手の間から見える服を引っ張る。
だが、触手の魔の手から解放出来たのは燕尾服の上着だけで
｢マドラ!?｣
ﾊﾞﾗｯ
触手が分散し
ﾊﾟｻｯ
足元にシルクハットとズボンが落ちる
唐突の事に俺の処理が追い付かない
だから最初、マドラと入れ替わる形で、別人が現れたのかと思ったが
確かに見覚えがあった。
｢お待たせしました、旦那様｣
いつも自宅で彼女の姿を見ていたのだから。
純白の令嬢
白の帽子に白いワンピース
女性の格好をしたマドラが立っていた。
Μ続くΜ
Μ初太視点Μ
｢初太、食パンにバターを塗り終えた？｣
｢あと一枚だ｣
｢こっちも具材を切り終えたから、パンの上に具材を乗せよう｣
｢キュウリと要り卵を乗せて、初太、食パン持った？｣
｢おう｣
｢いくよ、せーの｣
ﾊﾟﾝｯ♪
｢一枚目完成♪｣
｢次は生ハムとレタスを乗せて｣
マドラが食パンに具材を乗せたのを見計らって、俺はもう片方の食パンを持つ。
｢いくよ｣
マドラが具材を乗せた食パンを片手で持って
俺の食パンと重ね合わせる。
夫婦揃っての共同作業。
こうして俺とマドラが一緒に作るサンドイッチが出来上がる。
今日はマドラとデート。
場所はタマゴの里から北にあるソーンファーム。
触手と眠りと精液の牧場と呼ばれてる食糧調達スポットらしい。
｢行こうか初太｣
マドラは弁当や飲み物等をバスケットに詰め、家のドアを開ける。
｢今日はいい天気だね、初太｣
｢ああ、絶好のピクニック日和だな｣
雲ひとつ無い青空。
媚薬の雨が降る気配は無し――と言いたい所だが、ここは不思議の国。例え快晴でも急に媚薬の雨が降り注いでも不思議ではないようだ。
戸締まりをしたマドラは、俺に手を差し出す。
夫婦が手を繋いで歩くのは当然のことだな。
俺はマドラの手を握る。
暖かい
妻の手の温もりを感じながら里を歩く。
ΜΜΜ
それから道中、おつかい目的でソーンファームに向かう養鶏場の双子と会ったり、倒れた来訪者を救出したり、彼女達と共にソーンファームを見学したり、とあるドーマウスファミリーとの出会い等があった。
来訪者は養鶏場の双子が任せると言ったので、双子達に別れを告げ
Μソーンファーム・触手の草原Μ
｢よし、ここでお弁当を食べよう｣
俺とマドラのデートが始まった。
ビニールシートを敷き、朝作ったサンドイッチを食べる。
ﾊﾟｸｯ、ﾑｼｬﾑｼｬ…
うん、マドラと一緒に作ったサンドイッチは格別だ。
俺は食パンの食感とレタスの歯ごたえを噛み締めながら、草原を見渡す。
地平線の他にも、草原の触手が空に向かって伸び、触手の樹となり、樹から果物、野菜、肉や魚が実ってゆく。
樹の周りには人や魔物が集まり、樹に実る贈り物を食し、時に収穫する。
実を全て獲り終えた時、樹はその役目を終えるかのように縮み、母なる草原へと帰って行く。
｢食べ物に困らないんだな、食料調達に来た来訪者が永住しても不思議じゃないな｣
｢触手の樹は食べ物を収穫するだけじゃないよ｣
マドラに言われて気づいた。
触手の樹の下で厚い口付けを交わすカップルがいることに。
一組だけならまだわかる
それが十組になると、異様な光景にも――見えなくはない。
口付けを交わしていたカップル達が次々と消えて行く。
｢消えた……まさかあの樹はワープスポットなのか？｣
｢あの樹だけじゃない、不思議の国にはあちこちにワープスポットがあって、住人の殆どがワープの条件を把握してるんだよ｣
あんな風にと、マドラが指した先には、触手の樹で拘束プレイをしている男女がいた。
ボンテージを着用した褐色肌の女がロープを使って男性を樹にくくりつけているようだ。
あの二人も口付けをすれば――と思ってたら、二人が突然消えた。
｢おい、消えたぞ。まだ口付けをしてないのに｣
｢あれはロープ等で相手を一定時間拘束すればワープする仕掛けのようだね｣
｢拘束する需要はあるのか？｣
｢意外と多いよ。特にラミア属は夫が浮気しないよう蛇の体で夫を縛りつける傾向があるって｣
それから俺は、ソーンファームの仕掛けと起動条件を目にする。
交わりから手コキ、四つん這いといったエロありは勿論のこと、エロなしの条件も一言では言い表せない程様々なものがあり、一分間その場から一切動かないだけで、仕掛けが発動するのを見たときは呆気にとられたぞ。
｢あんなやり方でワープ出来るなら、移動にはさぞかし困らないだろうな｣
｢だからこの国では乗用車の需要は少ないんだよ。ぼくも最初の頃は馬車を全然見かけないから戸惑ったよ｣
｢その方がいいかもしれないな、事故を起こさなくて済むし｣
｢初太……｣ﾋﾞｭｳｳｳ｢キャッ！｣
突然の強風
マドラは咄嗟に頭の帽子を押さえる。
吹き抜ける風が俺の頬に当たり、草原を靡かせる。
この風は警告か？
安易に自身の過去を打ち明けるなという
だが
｢俺の両親はドライブ中に自動車事故を起こして命を落とした｣
俺はマドラに語り始める。
｢六歳だった俺を残して｣
風の流れが雑音となり
｢当時の俺は人の死とかわからないことだらけだったけど｣
妻が俺の告白を聴こえているかどうかの狭間で
｢もしその事故が人災で、犯人がいたらと思うと、俺はそいつを許せないと思ったよ｣
妻に打ち明ける。
やがて強風は風速を落とし、そよ風となる。
｢初太｣
今度はマドラが口を開く。
｢事故の後、初太は何処へ行ったの？｣
｢……俺の両親には親や兄弟がいなかったから、施設に引き取られた｣
｢施設での暮らしは――ううん、もし辛いならそれ以上言わなくても｣
｢大丈夫だよ。せんせーは優しくて、俺と平也と満知子をちゃんと学校へ通えるようにしてくれた｣
｢初太……｣
｢おっと、つい喋りすぎた。暗い気持ちにさせて悪かったな｣
｢いえ、別にわた……ぼくは気にしてないから｣
｢マドラちゃん？｣
｢マドラちゃんだ｣
マドラを呼ぶ女性の声がした。それも二人分。
巨大な花の中に二人の女性が入っていた。
｢えっと……リリラウネさん達はぼくを知ってるの？｣
｢観客席で見たわよ｣
｢コルヌ様との共演｣
｢コルヌ、共演……ひょっとして白百合の花園で開催されたベストカップルコンテストのこと？｣
リリラウネという二人の魔物娘は同時に頷く。
｢あのときのマドラちゃん｣
｢王子様って感じだったわ｣
｢コルヌのサポートがあったら……それにしてもまさかここでリリラウネに会うとは驚いたよ｣
｢会うのも当然。だって私達は……｣
｢普通のリリラウネに戻りました｣
｢ﾌﾞﾊｯ！｣
花の中から男が飛び出した。
｢ｹﾞﾎｯ、ｹﾞﾎｯ｣
｢どうだった？蜜の中に浸かりながらオマンコペロペロは？｣
｢オマンコに舌を入れられちゃって、気持ち良かったわよ｣
｢夫持ちだったんだ｣
｢この人、リリラウネと結ばれたいからって｣
｢自ら白百合の花園に足を踏み入れたんだよ｣
｢踏み入れたの？白百合の花園に!?｣
マドラが驚いたように大声を出す。
｢魔物化への誘惑に負けることなく｣
｢男として私達を愛したいって｣
二人で夫の股間にある男の証を擦る
二人分の手が男の証を膨張させるように。
｢マドラちゃん、そっちの人って親友？｣
｢それとも友達｣
｢ぼくの旦那様だよ｣
｢えっ、そうなんだ、意外｣
｢マドラちゃんも結婚したんだ｣
｢あうっ｣
｢最初来たときは箱入りのお嬢様って感じで｣
｢一年くらいしたら、男装の麗人に変わって｣
｢気持ちいい…｣
｢それが旦那持ちなんてビックリよ！｣
｢てっきり彼女作ってると思ってたわ｣
｢でるっ！｣
｢ああん、話の途中で射精？｣
｢胸に白くてベタベタしたのがべっとり♪｣
リリラウネ達は夫の精を蜜と一緒に舐め始める。
｢行こうか、初太｣
｢いいのか？｣
｢彼女達はもう、夫にしか目がないからぼく達がいても邪魔なだけだよ｣
マドラは手を差し出す
俺は手を繋ぎ、リリラウネ達にさよならを言う。
｢あんっ、ぺろっ｣
｢はむっ、ぱくっ｣
｢うぁぁ、でるっ｣
風が無いにも関わらず、俺の言葉は聞こえなかったようだ。
※
｢ぼくもここに来たばかりの頃は箱入りのお嬢様だったよ｣
今度はマドラが俺に過去を語り始めた。
｢サンドラ洋服店にある帽子を被ってマッドハッターになったけど……最初は男言葉を使ったり男の服を着るのに抵抗があったよ｣
今度は俺がマドラの過去を聴く番だ。
｢コルヌに白百合の花園に行ってみないかと勧められた｣
隣でマドラの話を聞きながら
｢コルヌもそこの卒園生で、ぼくはそこで一年間の研修を受けることにした｣
前を見て歩いていると
｢コルヌも付き添いでぼくと同じ部屋に泊まることになって――初太？｣
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
｢おい、豚がこっちに向かってくるぞ！｣
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
魔界豚の群れが俺達に向かって突進してくる。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！！！
｢逃げるぞマドラ、撥ね飛ばされる前に｢大丈夫だよ｣
だがマドラはその場を離れようとしない。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ！！！！
そうこうしてるうちに魔界豚が接近してきて
ｼｭﾙﾙﾙﾙ、ｶﾞｼｯ
俺とマドラの足元から触手が伸びた。
奇妙な事が起こった。
前面から見ていたはずの豚の大群が、気づけば下から見下ろしていたから。
ﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞﾄﾞ……
豚の大群は俺の下を通りすぎ、そのまま彼方へと走り続ける。
｢ね、大丈夫だったでしょ｣
｢何が起こったんだ？｣
｢触手がぼく達を空へ避難させたの｣
｢触手が？｣
｢ここの触手は人や動物に優しくて、もし事故が起きそうになったら助けてくれるんだ｣
ﾌﾞﾛﾛﾛﾛﾛﾛﾛﾛ……
｢今度はスクーターが数台こちらに向かってきたぞ｣
｢あれはスクーターの教習だね｣
ｼｭﾙﾙﾙﾙ、ｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝｶﾝ
触手が踏切の形を作り、警音を鳴らす。
触手の遮断機がスクーターの走行を阻む。
｢よく見て｣
踏切の内側に通るは電車――
ガァーガァー カァーカァー
ではなく、カルガモの親子。
｢接触事故を起こさないよう触手が標識、歩道橋、遮断機の役目を果たしてるんだよ｣
よく見れば
触手に寝そべるカップルの上に巨大な橋が出来て、その上を魔界豚が走り
スクーターが接触しないよう触手のポールが自生し
触手で出来た信号機が赤く変色し、運転手達は赤信号に従いスクーターを一時停止させる。
｢標識が不意に現れるなんて、厳しい教習だな｣
｢あれでも優しいほうだよ。キョウシュウマウンテンではハプニングの中で教習が行われるから｣
｢触手ってすごいな、食べる者、寝る者、交わる者達を守ってくれるなんて｣
｢流石に異形なモノや不審者、牧場荒らしを見つけたら拘束して動けなくすることもあるけど……本当に優しい触手達なんだ｣
｢優しい、か。ここは優しいんだな｣
｢そう、ここは優しい場所なんだ｣
｢どんなにお腹を空かせた人や｣
ｶﾞﾂｶﾞﾂ、うめぇ、ﾑｼｬﾑｼｬ、こんなにうまい食い物が、ﾓｸﾞﾓｸﾞ、たらふく食えるなんて……
｢容姿を気にする女性も｣
これが、私？綺麗……胸も大きくてお腹もスッキリしてる……触手さん、私をもっと綺麗にして
｢心が荒んだ盗賊も｣
うっひょ～触手に搾られるのがこんなに気持ちいいなんて～今まで他人から物を奪ってきたのが馬鹿らしくなってきたよ～
｢触手達が彼らに安らぎを与えてくれるんだよ｣
｢マドラは安らいでるのか？｣
｢うん、とっても安らいでるよ。こうして初太とデート出来て……｣
｢久しぶりに女の子らしい格好が出来ますから｣
マドラの口調や声色が少女のそれへと変わる。
マドラはバスケットから白い服と白い帽子を取りだし
｢お願いします、触手さん｣
ｼｭﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙﾙ
マドラの全身に触手が包まれる。
｢ま、マドラ!?｣
俺は慌てて触手を引き剥がそうとするが、びくともしない。
ｷﾞｭｯｷﾞｭｯ
触手の柱が蠢く
｢服の裾……待ってろ、今助けてやる｣
触手と触手の間から見える服を引っ張る。
だが、触手の魔の手から解放出来たのは燕尾服の上着だけで
｢マドラ!?｣
ﾊﾞﾗｯ
触手が分散し
ﾊﾟｻｯ
足元にシルクハットとズボンが落ちる
唐突の事に俺の処理が追い付かない
だから最初、マドラと入れ替わる形で、別人が現れたのかと思ったが
確かに見覚えがあった。
｢お待たせしました、旦那様｣
いつも自宅で彼女の姿を見ていたのだから。
純白の令嬢
白の帽子に白いワンピース
女性の格好をしたマドラが立っていた。
Μ続くΜ
14/08/13 23:11更新 / ドリルモール
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