咄嗟の追跡と娼妓の地下牢
※ラピッドタウン※
※ルーメ視点※
ドドドドドド!
「みんな、路肩に避難して!」
マワリさんの咄嗟の指示で、道路上から離れるあたし達。
ドドドドドド!
魔界豚が通過
ピッ!『こちらチェイス、ヨツンバウェイで暴走豚を追跡中、犯人がラピッドタウンへとワープ、周辺の婦警は避難要請を願います』
無線音声と共に
白のバイクに乗ったサングラスのチェシャ猫
があたし達の横を通り過ぎる。
『そこの豚、スピード違反だゾ、直ちに停車したほうが身のためだゾ』
同じく白いバイクに乗ったマーチヘアが拡声器で警告。
「白いヘルメットに白いバイク、彼女達はまさか……」
「あの二人は、チェイスとマーポ、白バイ隊員よ」
「白バイ隊員って、普段はヨツンバウェイで交通違反の取り締まりをしてるはずよね、なぜここに?」
「さっき無線であった通り、ヨツンバウェイからワープスポットを用いてここまで逃げてきたのでしょう。だが追跡のプロである彼女達に任せればーー」
ピッ!『道路上に清掃員一名確認』
「避難していない住人がいるの?シャウト!」
チェックはドーベルマンに跨り、追跡をする。
目的は避難していない住人の救助。
「清掃員……まさか」
あたしは、清掃員が彼女だと判断
魔界豚とアイツが接触
もし、フェイさまだったらきっとーー
ブォン!ブロロロロロロロロ!
気付けば考えるより先にスクーターを動かした。
「ルーメ!?」
メートがあたしを呼ぶが、アクセル全開で走行
ドーベルマンと白バイ二台を追い越し、魔界豚を追う。
(いた)
彼女は道路上を清掃中
(間に合って)
魔界豚を追い越そうとするが間に合わない。
魔界豚と彼女の距離はどんどん縮まり
ダンッ!
空間に罅が入り
魔界豚が崩れ落ちる。
あたしはスクーターを急停止
「ハァハァ、何が、起こった……まるで見えない壁に衝突したみたいだ」
魔界豚に騎乗していた男は、突然の出来事に状況の整理が追い付かないでいる。
「ちゃんと前見て運転しないから・・」
接触を免れた彼女が、男に言う。
『追い詰めたゾ、タイーホするゾ』
白バイのうちの一台が追い付く
「ヤバイ、逃げろ」
男が豚を置いて、逃走。
「大丈夫ですか?」
チェックさんが彼女に無事を尋ねる
「大丈夫です・・」
「そう、良かった」
次にあたしを心配そうに見る。
「あたしのことはマワリさんに任せて、チェックさんは犯人を追ってください」
チェックさんは何も言わずに男を追う。捕らえられるのも時間の問題だろう。
それはあたしも同様。
もう一方の白バイは男を追うことなく、あたしの前に停車、サングラスを外す
端的に白バイから刑歴書をプリントアウトし
「スピード違反だ」
それをあたしに差し出す。
「ルーメ!」
「はぁはぁ……ルーメちゃん」
メートとマワリさんが息を切らしながら向かってくる。
「マワリさん、あたしに触手錠を」
あたしはマワリさんに両腕を差し出す
マワリさんは緑色の塊を、そっとあたしの手首に置くと
「うっ…」
緑の塊がバラけて、あたしの手首に絡み付く。
触手だけあって、ヌルヌルしてる。
「署で事情を聞かせてもらおう」
「はい……」
「君も一緒に来てもらおう」
「はい」
メートもあたしの夫として同行する。
あたしはスクーターの制限速度を越えて運転した
それによりスピード違反の現行犯でタイーホ
事情聴取としてラピッド署に向かうことになった。
アリスの清掃員は魔界豚を退かし、周辺の掃除を始めていた。
※ラピッド署・受付※
「ここまでよく大人しく連行してくれたゾ、偉いゾ」
「いや、こんな状態じゃ抵抗もへったくれも……」
「はーい、さっきも言いましたが答えなら牢屋でじっくり聞きますからね」
ドーベルマンが容疑者の頭をくわえて吊り上げる形で地下の階段を降り、チェックさんとマーポさんがそれに続く。
後でわかったことだが、男の名は自称猛獣使いΒ-1007容疑者、ラピッドタウン道路の制限速度時速四十キロを越えての運転及び無免許運転により、その場で現行犯タイーホされたそうだ。
だが今のあたしは彼のことを気にする余裕は無かった。
マワリさんとチェイスさん、そして夫のメートと共にあたしは地下の階段を降り、地下牢へと向かう。
※ラピッド署・地下牢※
「どの部屋がいいかしら」
「この部屋は回るベッドつきだゾ」
「うーん、ぼくとしてはポピュラーな拷問部屋のほうが……全部使用中か、残念」
チェックさんとマーポさんが部屋の写真がズラリと並んだパネルの前に立っている。
「何をしている?」
何も知らない男が彼女達に尋ねる。
「何って、牢屋選びよ」
「ここは牢屋を自由に選択出来るんだゾ」
「君はどれがいい?」
「適当でいい!」
マーポさんがボタンを押すと、取出し口から硝子の鍵が出てくる。
「ベッドとバスルーム付きのスタンダードタイプにしたゾ、後で看守の娘がくるからそれまで大人しくするんだゾ」
「ルーメちゃん……」
チェックさんはあたし達に気付くが、あえて何も言わず部屋を選択する。
「ルーメ、部屋はどれにする?」
「……シンプルな部屋がいい」
「じゃあ、これね」
メートは牢屋の鍵を取り出す。
「さっさとイクゾ」
あたし達は地下通路を歩き始める。
「牢屋と言いながら鉄格子がないな」
「と思ったら、実は硝子張りの牢だゾ」
コンコン
「硝子張りに何の意味がある?」
「男女の交わりを見せるためだゾ」
「あっ、あっ、ヌルヌル動かさないで」
「あんあん、あなたのオチンポが子宮のトビラをノックしてるのを感じるわ」
拷問部屋風の牢屋では、マーチヘアが男を犯している。
「おらぁ、もっと乱暴に犯せ、二度と違反を起こせないくらいになっ!」
「はい、マーゾ様」
それを見ていた黒のボンテージにTバックのマーチヘアが彼女に指示を出す。
彼女の腰のスピードが早くなり、腰を打ち付ける音が漏れだす。
「やめてそれ以上激しく動いたらうわぁぁぁ!!」
「あれ?叫ぶなんて、そんなに気持ちいいの?もっとしてあげる」
「びゃああうぁあ」
「乳首をツンツンするだけでこんなに悲鳴をあげるんだ、きっと嬉しい悲鳴なんだね♪」
「まるで娼館の一室じゃないか」
「ここの地下牢は快適に取り調べや調教が出来るようにホテルの一室のような造りにしてるのだゾ」
常識はずれな光景に驚く男にマーポさんが説明を始める。
「夫婦やカップルは一緒の牢屋に投獄されるんだゾ、アレがその一例だゾ」
「はぁーはぁー」
「おい、しっかりしろ!」
ダブルベッドの部屋で男女二人。
「女の様子がおかしいぞ」
「牢屋に充満した魔力が彼女の身体を固有種へと作り変えてるのだゾ」
「キノコ、キノコが欲しい……」
女性の頭から巨大なキノコが生える。
あたしにとっては見慣れたものだが、男性の方は腰を抜かしている。
「ま、マタンゴ……」
惜しい、マタンゴならキノコがシルクハットの形にならない。
「すー、ふぅー」
キノコの成長が止まり、女性は大きく深呼吸をする
「さぁ、私と一緒に交わろうじゃないか?」
先程の苦痛が何事も無かったように男性を誘う。
「交わる?一緒にここを脱出するはずじゃ……」
「うーん、最初はそのつもりだったけど、冷静に考えて気付いたのさ、ここは自由の国。人と魔物が当たり前のようにお菓子を食べ、当たり前のように交わり、当たり前のように愛し合えるんだ。こんなに素敵な事は私達の国には無かっただろ?」
「確かにそうだな……」
「こんなに素晴らしい国を作ってくれた女王様には感謝しなきゃ」
「安心したら、股間がムズムズしてきた、交わっていい?」
「フフフフ……考えがすっかり私と同じになったね」
マッドハッターになった彼女は、相手の鎧を丁寧に脱がしてゆく。
彼女も鎧を脱ぎ裸体を曝す、身体に所々生えたキノコが帽子屋としての美を象徴していた。
「……ハッ!思わず見惚れたけど、何で当然のように交わってるんだよ。魔物化したら閉じ込める必要はないだろ?」
「妻は夫の精を奪い、夫は妻から魔力を受け取らない限り部屋から出られない、つまり交わらなければ出所出来ないのだゾ」
「独りの俺には関係のない話だ」
「仮に独り身で投獄されても看守の合法的な奉仕により、出所する頃には彼女達の夫になるゾ」
「彼女か……アイツじゃないなら別にいいか……って何を考えてるんだ!」
「地下牢の魔力は交わりに対する抵抗を弱くする効果があるゾ」
「少しずつ変になってゆく」
「それが不思議の国クオリティだゾ」
それからあたし達は牢屋での交わりを見ながら歩き続け
「到着」
取調室である部屋へと到着した。
※取調室※
そこは、日射しが差し込み小鳥の囀りとテーブルが一つだけある部屋
テーブルの上には紅茶入りのポットとカップが三つ
このままお茶会が始まりそうな展開だが、この一室で始まるのはお茶会ではなく取り調べ。
「マーゾさんが来るまで大人しくしてね」
マワリさんはそう言い残し、チェイスさんと共に部屋を出る。
因みに男の投獄先はもう少し奥にあるらしい。
「ルーメ、飲む?」
「いらない」
「カツ丼と違ってタダなのに……」
メートは紅茶をカップに注ぎ、勢い良く飲む
メートも内心不安なのだろう
自分達にどんな処分が待っているのかを
バタン!
「ゲホッ」
勢い良く扉が開かれ、メートが蒸せる。
「ハーイ、地下牢の所長、マーチヘアのマーゾよ」
黒のボンテージとTバックという先程と同じあり、違う点は黒い鞭を持ってることと
Tバックから愛液が漏れだしてること
余程尋問が楽しみなのだろう。
「ルーメ、タマゴの里出身、スクーターの制限速度三十キロを二十キロオーバーの五十キロで走行したと見て間違いないかしら」
「はい、間違いありません」
「ふーん、何でスピード違反したのかしら?ひょっとして日頃の鬱憤が溜まっちゃった?」
「いいえ、暴走した魔界豚を追っただけです」
「追ったの?」
「交通ルールを守らない奴が許せなかったので」
「だけどそれで交通違反をしたら本末転倒よね?」
「フェイさまならきっとそうします、例えそれが批判される行為であっても」
「ヤっちゃったことは仕方ないわ、あなた達は三日三晩、スクーターの代わりにお互いを騎乗して燃料を給油口に注入しあって、それからーー」
ガチャ
突如扉が開く
「その処分・・待ってほしい・・」
「誰?ここの扉は特注の鍵が無いと開かないわよ!」
入ってきたのはアリスの清掃員。
「貴女は……お、お勤め、ご苦労様です!」
マーゾが彼女に敬礼。
「別に畏まらなくてもいい・・それより彼女達の処分を軽減してほしい・・」
「軽減ですか?」
「彼女・・ルーメは自分と魔界豚の接触を防ぐために違反を顧みずスクーターを加速させたの・・」
「接触?防ぐ?この者はそんなことは一言も」
「自分を助けようとしたの・・」
「仮に嘘の自白だとしても、証拠となる物は無いし、刑歴書は本名や履歴が写し出されても、考えや心情は判らないし……ハァーハァー、考えたら興奮してきたわ」
マーゾは紅茶を飲み干し
「ルーメ及び夫のメート、二人には今からキョウシュウマウンテンにて違反者講習を受けてもらうわ」
「キョウシュウマウンテンで?」
メートは真っ青
「本来なら三日三晩の交わりの後で受けさせるつもりだったけど……とにかくアタイはマイヤにアポをとるから、待機するなり交わるなり好きにしなさい」
マーゾが部屋を出る。
「清掃員さん、ルーメの代わりに礼を言います」
「構わない・・ましてや現場清掃で来るのが遅れてしまった事を謝る・・」
「言っておくけど、フェイさまなら動くと思っただけよ」
「そう・・自分は空き牢屋の清掃でもするよ・・」
清掃員は部屋から出る。
あたしはまだ手に付けてないカップを手に取り、紅茶を注ぐ
「こくっ……苦い、インスタントの味がする」
だがこれから味わう講習はもっと苦い
舞台はキョウシュウマウンテンにある教習所。
※続く※
※ルーメ視点※
ドドドドドド!
「みんな、路肩に避難して!」
マワリさんの咄嗟の指示で、道路上から離れるあたし達。
ドドドドドド!
魔界豚が通過
ピッ!『こちらチェイス、ヨツンバウェイで暴走豚を追跡中、犯人がラピッドタウンへとワープ、周辺の婦警は避難要請を願います』
無線音声と共に
白のバイクに乗ったサングラスのチェシャ猫
があたし達の横を通り過ぎる。
『そこの豚、スピード違反だゾ、直ちに停車したほうが身のためだゾ』
同じく白いバイクに乗ったマーチヘアが拡声器で警告。
「白いヘルメットに白いバイク、彼女達はまさか……」
「あの二人は、チェイスとマーポ、白バイ隊員よ」
「白バイ隊員って、普段はヨツンバウェイで交通違反の取り締まりをしてるはずよね、なぜここに?」
「さっき無線であった通り、ヨツンバウェイからワープスポットを用いてここまで逃げてきたのでしょう。だが追跡のプロである彼女達に任せればーー」
ピッ!『道路上に清掃員一名確認』
「避難していない住人がいるの?シャウト!」
チェックはドーベルマンに跨り、追跡をする。
目的は避難していない住人の救助。
「清掃員……まさか」
あたしは、清掃員が彼女だと判断
魔界豚とアイツが接触
もし、フェイさまだったらきっとーー
ブォン!ブロロロロロロロロ!
気付けば考えるより先にスクーターを動かした。
「ルーメ!?」
メートがあたしを呼ぶが、アクセル全開で走行
ドーベルマンと白バイ二台を追い越し、魔界豚を追う。
(いた)
彼女は道路上を清掃中
(間に合って)
魔界豚を追い越そうとするが間に合わない。
魔界豚と彼女の距離はどんどん縮まり
ダンッ!
空間に罅が入り
魔界豚が崩れ落ちる。
あたしはスクーターを急停止
「ハァハァ、何が、起こった……まるで見えない壁に衝突したみたいだ」
魔界豚に騎乗していた男は、突然の出来事に状況の整理が追い付かないでいる。
「ちゃんと前見て運転しないから・・」
接触を免れた彼女が、男に言う。
『追い詰めたゾ、タイーホするゾ』
白バイのうちの一台が追い付く
「ヤバイ、逃げろ」
男が豚を置いて、逃走。
「大丈夫ですか?」
チェックさんが彼女に無事を尋ねる
「大丈夫です・・」
「そう、良かった」
次にあたしを心配そうに見る。
「あたしのことはマワリさんに任せて、チェックさんは犯人を追ってください」
チェックさんは何も言わずに男を追う。捕らえられるのも時間の問題だろう。
それはあたしも同様。
もう一方の白バイは男を追うことなく、あたしの前に停車、サングラスを外す
端的に白バイから刑歴書をプリントアウトし
「スピード違反だ」
それをあたしに差し出す。
「ルーメ!」
「はぁはぁ……ルーメちゃん」
メートとマワリさんが息を切らしながら向かってくる。
「マワリさん、あたしに触手錠を」
あたしはマワリさんに両腕を差し出す
マワリさんは緑色の塊を、そっとあたしの手首に置くと
「うっ…」
緑の塊がバラけて、あたしの手首に絡み付く。
触手だけあって、ヌルヌルしてる。
「署で事情を聞かせてもらおう」
「はい……」
「君も一緒に来てもらおう」
「はい」
メートもあたしの夫として同行する。
あたしはスクーターの制限速度を越えて運転した
それによりスピード違反の現行犯でタイーホ
事情聴取としてラピッド署に向かうことになった。
アリスの清掃員は魔界豚を退かし、周辺の掃除を始めていた。
※ラピッド署・受付※
「ここまでよく大人しく連行してくれたゾ、偉いゾ」
「いや、こんな状態じゃ抵抗もへったくれも……」
「はーい、さっきも言いましたが答えなら牢屋でじっくり聞きますからね」
ドーベルマンが容疑者の頭をくわえて吊り上げる形で地下の階段を降り、チェックさんとマーポさんがそれに続く。
後でわかったことだが、男の名は自称猛獣使いΒ-1007容疑者、ラピッドタウン道路の制限速度時速四十キロを越えての運転及び無免許運転により、その場で現行犯タイーホされたそうだ。
だが今のあたしは彼のことを気にする余裕は無かった。
マワリさんとチェイスさん、そして夫のメートと共にあたしは地下の階段を降り、地下牢へと向かう。
※ラピッド署・地下牢※
「どの部屋がいいかしら」
「この部屋は回るベッドつきだゾ」
「うーん、ぼくとしてはポピュラーな拷問部屋のほうが……全部使用中か、残念」
チェックさんとマーポさんが部屋の写真がズラリと並んだパネルの前に立っている。
「何をしている?」
何も知らない男が彼女達に尋ねる。
「何って、牢屋選びよ」
「ここは牢屋を自由に選択出来るんだゾ」
「君はどれがいい?」
「適当でいい!」
マーポさんがボタンを押すと、取出し口から硝子の鍵が出てくる。
「ベッドとバスルーム付きのスタンダードタイプにしたゾ、後で看守の娘がくるからそれまで大人しくするんだゾ」
「ルーメちゃん……」
チェックさんはあたし達に気付くが、あえて何も言わず部屋を選択する。
「ルーメ、部屋はどれにする?」
「……シンプルな部屋がいい」
「じゃあ、これね」
メートは牢屋の鍵を取り出す。
「さっさとイクゾ」
あたし達は地下通路を歩き始める。
「牢屋と言いながら鉄格子がないな」
「と思ったら、実は硝子張りの牢だゾ」
コンコン
「硝子張りに何の意味がある?」
「男女の交わりを見せるためだゾ」
「あっ、あっ、ヌルヌル動かさないで」
「あんあん、あなたのオチンポが子宮のトビラをノックしてるのを感じるわ」
拷問部屋風の牢屋では、マーチヘアが男を犯している。
「おらぁ、もっと乱暴に犯せ、二度と違反を起こせないくらいになっ!」
「はい、マーゾ様」
それを見ていた黒のボンテージにTバックのマーチヘアが彼女に指示を出す。
彼女の腰のスピードが早くなり、腰を打ち付ける音が漏れだす。
「やめてそれ以上激しく動いたらうわぁぁぁ!!」
「あれ?叫ぶなんて、そんなに気持ちいいの?もっとしてあげる」
「びゃああうぁあ」
「乳首をツンツンするだけでこんなに悲鳴をあげるんだ、きっと嬉しい悲鳴なんだね♪」
「まるで娼館の一室じゃないか」
「ここの地下牢は快適に取り調べや調教が出来るようにホテルの一室のような造りにしてるのだゾ」
常識はずれな光景に驚く男にマーポさんが説明を始める。
「夫婦やカップルは一緒の牢屋に投獄されるんだゾ、アレがその一例だゾ」
「はぁーはぁー」
「おい、しっかりしろ!」
ダブルベッドの部屋で男女二人。
「女の様子がおかしいぞ」
「牢屋に充満した魔力が彼女の身体を固有種へと作り変えてるのだゾ」
「キノコ、キノコが欲しい……」
女性の頭から巨大なキノコが生える。
あたしにとっては見慣れたものだが、男性の方は腰を抜かしている。
「ま、マタンゴ……」
惜しい、マタンゴならキノコがシルクハットの形にならない。
「すー、ふぅー」
キノコの成長が止まり、女性は大きく深呼吸をする
「さぁ、私と一緒に交わろうじゃないか?」
先程の苦痛が何事も無かったように男性を誘う。
「交わる?一緒にここを脱出するはずじゃ……」
「うーん、最初はそのつもりだったけど、冷静に考えて気付いたのさ、ここは自由の国。人と魔物が当たり前のようにお菓子を食べ、当たり前のように交わり、当たり前のように愛し合えるんだ。こんなに素敵な事は私達の国には無かっただろ?」
「確かにそうだな……」
「こんなに素晴らしい国を作ってくれた女王様には感謝しなきゃ」
「安心したら、股間がムズムズしてきた、交わっていい?」
「フフフフ……考えがすっかり私と同じになったね」
マッドハッターになった彼女は、相手の鎧を丁寧に脱がしてゆく。
彼女も鎧を脱ぎ裸体を曝す、身体に所々生えたキノコが帽子屋としての美を象徴していた。
「……ハッ!思わず見惚れたけど、何で当然のように交わってるんだよ。魔物化したら閉じ込める必要はないだろ?」
「妻は夫の精を奪い、夫は妻から魔力を受け取らない限り部屋から出られない、つまり交わらなければ出所出来ないのだゾ」
「独りの俺には関係のない話だ」
「仮に独り身で投獄されても看守の合法的な奉仕により、出所する頃には彼女達の夫になるゾ」
「彼女か……アイツじゃないなら別にいいか……って何を考えてるんだ!」
「地下牢の魔力は交わりに対する抵抗を弱くする効果があるゾ」
「少しずつ変になってゆく」
「それが不思議の国クオリティだゾ」
それからあたし達は牢屋での交わりを見ながら歩き続け
「到着」
取調室である部屋へと到着した。
※取調室※
そこは、日射しが差し込み小鳥の囀りとテーブルが一つだけある部屋
テーブルの上には紅茶入りのポットとカップが三つ
このままお茶会が始まりそうな展開だが、この一室で始まるのはお茶会ではなく取り調べ。
「マーゾさんが来るまで大人しくしてね」
マワリさんはそう言い残し、チェイスさんと共に部屋を出る。
因みに男の投獄先はもう少し奥にあるらしい。
「ルーメ、飲む?」
「いらない」
「カツ丼と違ってタダなのに……」
メートは紅茶をカップに注ぎ、勢い良く飲む
メートも内心不安なのだろう
自分達にどんな処分が待っているのかを
バタン!
「ゲホッ」
勢い良く扉が開かれ、メートが蒸せる。
「ハーイ、地下牢の所長、マーチヘアのマーゾよ」
黒のボンテージとTバックという先程と同じあり、違う点は黒い鞭を持ってることと
Tバックから愛液が漏れだしてること
余程尋問が楽しみなのだろう。
「ルーメ、タマゴの里出身、スクーターの制限速度三十キロを二十キロオーバーの五十キロで走行したと見て間違いないかしら」
「はい、間違いありません」
「ふーん、何でスピード違反したのかしら?ひょっとして日頃の鬱憤が溜まっちゃった?」
「いいえ、暴走した魔界豚を追っただけです」
「追ったの?」
「交通ルールを守らない奴が許せなかったので」
「だけどそれで交通違反をしたら本末転倒よね?」
「フェイさまならきっとそうします、例えそれが批判される行為であっても」
「ヤっちゃったことは仕方ないわ、あなた達は三日三晩、スクーターの代わりにお互いを騎乗して燃料を給油口に注入しあって、それからーー」
ガチャ
突如扉が開く
「その処分・・待ってほしい・・」
「誰?ここの扉は特注の鍵が無いと開かないわよ!」
入ってきたのはアリスの清掃員。
「貴女は……お、お勤め、ご苦労様です!」
マーゾが彼女に敬礼。
「別に畏まらなくてもいい・・それより彼女達の処分を軽減してほしい・・」
「軽減ですか?」
「彼女・・ルーメは自分と魔界豚の接触を防ぐために違反を顧みずスクーターを加速させたの・・」
「接触?防ぐ?この者はそんなことは一言も」
「自分を助けようとしたの・・」
「仮に嘘の自白だとしても、証拠となる物は無いし、刑歴書は本名や履歴が写し出されても、考えや心情は判らないし……ハァーハァー、考えたら興奮してきたわ」
マーゾは紅茶を飲み干し
「ルーメ及び夫のメート、二人には今からキョウシュウマウンテンにて違反者講習を受けてもらうわ」
「キョウシュウマウンテンで?」
メートは真っ青
「本来なら三日三晩の交わりの後で受けさせるつもりだったけど……とにかくアタイはマイヤにアポをとるから、待機するなり交わるなり好きにしなさい」
マーゾが部屋を出る。
「清掃員さん、ルーメの代わりに礼を言います」
「構わない・・ましてや現場清掃で来るのが遅れてしまった事を謝る・・」
「言っておくけど、フェイさまなら動くと思っただけよ」
「そう・・自分は空き牢屋の清掃でもするよ・・」
清掃員は部屋から出る。
あたしはまだ手に付けてないカップを手に取り、紅茶を注ぐ
「こくっ……苦い、インスタントの味がする」
だがこれから味わう講習はもっと苦い
舞台はキョウシュウマウンテンにある教習所。
※続く※
14/06/11 22:40更新 / ドリルモール
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