読切小説
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母への贈り物と盛大な拍手
※不思議の国・競技場※
※コーン視点※


「競技場に到着っと」
「やっと着いた……」
「どうしたリコ?顔を火照らせて」
「だって、競技場までワープするだけで何度もキスを繰り返したんだよ。顔くらい火照るよ」
「リコが恥ずかしがるからいけないんだぞ、裸でセックスすれば競技場から一発でワープできるのに、キスだけにしようというから、遠回りすることになったんだ」
「だって恥ずかしいんだもん」
「オレとリコは立派な夫婦なんだから、遠慮しないでガンガン交わればいいんだよ」
「夫婦といってもわたし達はまだ十歳なんだよ、子供なんだよ」
「ったく、リコがここに来てから二年が経つのに未だにそういう所は変わらないんだな」
「だって、おかーさんは無理して変わらなくていいって言ってるから」
「母ちゃんはリコには甘いんだよな。オレにはもっと不思議の国の住人らしく振る舞いなさいって叱るくせに」
「駄目だよコーン。おかーさんの悪口を言っちゃ、今日はおかーさんに日頃の感謝を込める日だよ」

リコは競技場入口の段幕を指差す。



母の日記念 母への贈り物ゲットマラソン



「ここの競技場って毎日色々な競技が開かれるよね」
「参加者の大半は夫目的だけどな」
「コルヌお姉さんも参加するの?」
「コルヌ姉ちゃんは実況をするって言ってた」
「マッドハッターらしい愛の実況が聴けるんだ……きゃっ、想像するだけでも恥ずかしいよ」


『『母への贈り物ゲットマラソン』の受付開始時刻となりました。母親へのプレゼントを手に入れたい参加者は受付前にお集まりください。勿論夫目的の方や脱出が目的な来訪者にも脱出用のチケットを用意しておりますのでこぞって参加してください』


「リコ、受付が始まるぞ。オレは先にイクからな」
「まってよー」


※競技場通路※


オレ達は受付を済ませ、通路に並ぶ。

「参加してる人いっぱいいるね」
「母の日のプレゼントが沢山用意されてるから子供でも参加できるからな」



「ヤッホー、コーン君にリコちゃん。今日は観戦じゃなく選手として参加するの?」



臍だしの上着とショートパンツ風の燕尾服のマッドハッターがオレ達に声をかけてきた。頭に被ったサンバイザーが活発さをアピールしてる。

「そうだよバイザーさん」
「おかーさんにプレゼントを贈るの……」

「母の日のプレゼントかー僕は今日販売するカーネーション一本を贈るつもりよ」

「えっ一本だけですか?」
「僕の母は記念日にこだわってないから、さりげなく感謝をするだけでいいの」
「……バイザーさんと母親の仲って良好ですか?」

リコは心配そうにしている。

「リコ、母親への感謝の気持ちは人それぞれなんだよ。見てみろ」



「おっかあのために魔宝石のネックレスを手に入れるっぺ」



「シャム無理しないでね」
「うん、おかあさんのために肩たたき券をプレゼントするから」



「ママの為に、淫乱なところを見せなくちゃ」



「様々な想いで参加してるね」
「中には別の目的に参加してる奴もいるけどな」



「何が母の日だ。競技に勝利してこんな国とっとと脱出してやる」



「だからオレ達はオレ達なりに頑張れば……ん?あれは」
「コーン、どうしたの?」
「ちょっと変わったランナーがいてな」
「角に翼、そして尻尾、アリスかな……でもアリスにしては背が高くて色っぽいし」

「多分彼女はアリスじゃなくてサキュバスだよ」

リコの疑問にバイザーさんが答える。



「競技開始五分前です。参加者はお集まりくださーい」



「おっ、そろそろ始まるぞ」
「ドキドキする」

「僕は観客席へ戻るよ。母の日用のカーネーションを販売しなくちゃ」

「バイザーさん、売り子の仕事がんばってください」
「リコちゃんも競技頑張ってね」

「イクぞ、リコ」
「うん」


※競技場フィールド※


『レディース&ジェントルマン、ようこそ不思議の国の競技場へ。ボクは司会兼実況、マッドハッターのコルヌです』

「きゃー、コルヌ様」
「ステキー!」

「コルヌお姉さんって女の子に人気があるんだね」
「中性的な容姿をしてるからな」

『毎日様々な試合が行われる競技、本日の競技は『母への贈り物ゲットマラソン』、ルールは簡単、参加者全員が競技場を一周するだけ、チェックポイントにあるテーブルに並ぶプレゼントは一つだけ持っていくことができます。勿論、プレゼントを受け取った時点で退場するのも自由、ただしここは不思議の国、競技中にハプニングが発生しても不思議じゃありません。様々なハプニングを乗り越え、無事母親への贈り物を手にすることが出来るか?』



「位置に着いて、よーい」


パァッン!


『各参加者一斉にスタートしました。走りだす選手と普通にあるく選手、勝敗の執着は違えど、彼らが望む者はほぼ一つ、母への感謝の気持ち!』



「魔宝石のネックレス、ゲットするっぺ!」

『先陣をきったのはジャバウォックのジャッキー選手、夫に跨って腰を振るいオチンポから精液を絞りだす強靭な足腰を、今回は地を蹴り俊足で駆けるために使う。見よ、これがジャバウォックの本気だ!だが未来の夫よ安心したまえ、狂暴そうなジャバウォックも勃起したオチンポの前には歯が立たず、とろけるなその舌でオチンポをねぶられ極上の射精を約束ーーおっ、空から緑色のボールが降ってきて、地面に激突した箇所から大量の触手が生えてきたぞ』

「キャアア」
「おっぱいとおまんこを擦らないでぇ!」
「じゅぽじゅぽして」
「気持ちよい!」

『早速発生したハプニング。今入りました情報によるとこの触手は親切にも参加者をプレゼントのあるテーブルまで運んでくれるようです。触手に絡まれ噛み付かれ粘液をかけられながら、プレゼントがある場所へと運んでくれる、何て親切な触手さんなんだ』

「コーン、触手が追いかけてくるよ」
「今は触手と遊んでる場合じゃねえ、走るぞ」
「うん」


※チェックポイント※


『次々と選手がプレゼントを手にしてゆく』

「コーン、この花束にしよう」
「ちょっと多くねぇか?」
「二人で担げば大丈夫だよ」

『コーン夫妻が選んだのは、カーネーションの詰め合わせのバスケットだ。へぇー、リコちゃんの今年の贈り物は王道路線だね。去年は母の代わりにコーンと一緒に手料理を振る舞って家族全員で食べたけど、コーンがキノコご飯の中にちゃっかりタケリダケを混入してね。ボク以外の家族全員凶暴化して、父と母、姉夫婦も、妹夫婦がいつも以上に激しく猛り立ったオスが、濡れたメスを蹂躙するという感謝の宴を繰り広げーーおやまたハプニング発生、今度は滝だ、媚薬の雨ならぬ媚薬の滝が参加者を襲う!』

「リコ、避難するぞ」
「うん」


「何とかチケットを手に入れた、これで不思議の国から脱出できるウワァ!」

『チェックポイントにも媚薬の滝が降り注ぐ』

「ハァハァ、なんだ身体が熱くなって……」
「ねぇねぇ〜」
「ん?」
「脱出したいなら、私を担いで脱出して〜」
「何をするうわっ」

『ベン選手がマーチヘアのエキ選手に襲われた』

「いやーん、オチンポおっきいーこんな大きいオチンポ、アタシのオマンコに無理矢理ねじ込むぅ!」ズプゥッ
「ああっ、これが魔物娘のオマンコ、何てキツい締め付け、デルッ!」
「アアーン、オチンポから精液がびゅくびゅく出てるぅ!」

「きゃっ、恥ずかしい」
「リコ、恥ずかしがってないでイクぞ」
「うん」

オレとリコはバスケットを担いでゴールを目指す。



「お先に」



サキュバスのランナーに追い抜かれた。



※ゴール目前※



『媚薬の滝の影響か、ゴール目前で交わりを始める選手が続出!見よあのモニターを』

モニターから複数の画面が映し出される。



『ねぇ〜だーりんもぅ我慢出来ないからここでシちゃお♪』『ゴールまであと五十メートルだぞ』『構わないわ、プレゼントも手に入れたし、ナ・ニ・よ・り♪娘とその夫が淫らに交わりあうことが母親にとって最高の贈り物よ♪』『確かにそうだな、よーし、俺のギンギンチンポとジュクジュクマンコを合体だ』『ああーん』



『このように参加者の殆どが全裸セックスを行う中、走り続けるのがジャッキー選手』

『おや、後続の選手が一名がジャッキー選手を追う。サキュバスのバリス選手だ。競技場初参加、媚薬の滝に打たれ濡れたランナー着が美しい』

モニターの画面がジャッキー選手とバリス選手の胸とお尻を映し出す。

『水に濡れてピッチリとしたバストライン、乳房の先端が浮き出ている。後ろのヒップラインも何ともいやらしく……どうやら選手達の情事に触発されたのか観客席の殆どが夫婦で交わっている!』

コルヌ姉さんの実況を聞きながら、酒池肉林の道を踏みしめながら、オレとリコはゴールへ向かう。

『ジャッキー選手とバリス選手の二名、先にゴールするのはどっちだ』

二人がほぼ同時にゴールテープを切るーー前にジャッキーが力尽き走りを止める。

『バリス選手一着でゴール!ジャッキー選手ゴール前で力尽きたか?惜しくも二着です!』

観客席からの歓声はほぼ無かった。

だって前述の通り、観客席はそれどころじゃない。

オレとリコは限られた歓声を浴びながらゴール地点に到着。

『三着はコーン&トリコ選手。夫婦仲良く花束を担いでゴール』

「駅弁!駅弁!」「ひゃぅっ♪ひゃぅっ♪」


『ベン選手駅弁スタイルでエキ選手と共にゴールこれは新たな夫婦の誕生か?』

「はぁはぁ……ゴール」


『最後は最年少、五歳児のプリティーなチェシャ猫、シャム選手が肩たたき券を持ってゴールイン。皆さん、母親の為に最後まで走りきった選手達に盛大な拍手と嬌声を』

拍手と淫らな嬌声が競技場全体を包みこんだ。





「リコ、オレ達、最後までゴール出来たな」
「うん、おかーさんのためだよ」

コルヌ姉さんがインタビューを始める。

「一着のバリス選手にインタビューをしましょう。バリス選手、母親へのメッセージをどうぞ」
「皆さん、私はアリスの母親から産まれましたサキュバスです」
「確かにアリスはサキュバスの突然変異種ですから、産まれるのは基本的にサキュバスですね」
「はい、アリスは交わりの記憶が無く妊娠することが出来ない種族です。夫と出会い結婚をしても、長い間子供以前に交わりすらも理解していませんでした」

バリスは続ける。

「ですが両親は不思議の国を訪れ、国中を冒険し、ハートの女王と出会うことで交わりの記憶を取り戻し、子供を作れる身体になり、その一年後、私を出産しました」

観客席で交わっていたはずの住人達が交わりを中断し、バリスの話を聞いていた。

「母は愛情を込めて私を育ててくれました。気付けば背を追い越しちゃったけど、私にとってはいつまでも大好きなお母さんです」

やがて嬌声が収まる。

「お母さん、私を育ててくれてありがとう」

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「おっかあー、手加減して良かったっぺ!」
「母ちゃん、ありがとう」
「おかーさん、不思議の国に迷い込んだわたしを本当の母親のように愛してくれてありがとう」
「ママー♪夫を手に入れたよ、ああーん」
「おかあさん、ちゃんと肩たたきしてあげるから」



「観客席や参加者からも拍手があがっている!今日は最高の母の日だ!」



※バイザー視点※



今日は母の日。

子供達は様々な形で母に贈る。

それは



「母ちゃん」
「おかーさん」



花束



「おっかあ」



魔宝石のネックレス



「おかあさん」



肩たたき券



「ママぁぁん♪」



自分の夫



「お母さん」



感謝の気持ち

と様々だ。



「あの、カーネーションをください」
「銅貨一枚です」

一方僕は、競技場の売り子として、観客にカーネーションを販売する。


※その夜※

※タマゴの里・バイザー宅※


「ただいま、母さん」
「おかえりなさい」
「今日の晩ご飯は?」
「魔界魚の煮付けよ」

僕はいつも通り母と会話を交わす。

「カーネーション、花瓶にさしておくね」
「ありがとう」
「どういたしまして」

僕はさりげなく、母に感謝をする。


※終わり※
15/05/10 00:00更新 / ドリルモール

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