連載小説
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第三話
В魔王城・食堂В
Вビューティ視点В

「女王様、カップケーキですぅ」
「ふむ、トビラよ。下がるが良い」
「はいですぅ」

「女王様、紅茶をどうぞ」
「ふむーーごくっ……おい!」
「はい」

「!」
「!」

「この紅茶、中々の美味じゃのう。名を何と申す?」
「キキーモラのラーモです」

「ふぅーヒヤッとしたわ」
「機嫌を損ねなくて良かったやんね」

「時に、アンジェラとクリアよ」
「はいっ!」
「何でしょうかっ!」

「何もそこまで驚かなくても良いじゃろ?」
「え、ええ、そうですね」
「も、勿論やな〜」

「クリアお姉様」
「ことばがへんだよ?」
「ラヴ、ピーシュ、クリアは今、焦ってる」

「何で」
「あせってるの?」
「目の前にいるのは、魔界第三王女、不思議の国を治める、ハートの女王」

「アンジェラよ。ドレッサは元気にしとるか?」
「勿論です。最近は娘のドルチュが生まれました」

「クリアよ。余があげた魔宝石は上手く使ってるかの?」
「はい、魔王城に住む名のある者達の精や魔力を込めてる……やんね」

「ふむ、正直で宜しい」
「はい……」
「どうも、やんね」

「二人共疲れてる」
「だいじょうぶかな?」
「……」

「ビューティお姉様?」
「おねえさま?」

「初めまして、女王様」
「む?そなたは誰じゃ?見たところ、リリムのようじゃが?」
「魔界第二十王女、ビューティと申します、以後お見知りおきを。女性様は、国を立ち上げ、人間や魔物、時に別世界の住民を招待しては、思考を快楽に染めていると聞きます」
「愉快じゃ、余を崇拝するとはのう」
「はい」

「姉上、さっきから、腰を低くするなど、姉上らしくありません」

「む、そなたは?」
「アタシはウォッカ、誇り高きドラゴンだ」
「礼儀がなっておらんのう……」

「待ってください、女王様」
「何じゃアンジェラよ」
「女王様が魔王城に来たという事は父の見舞いに来たのですよね」
「そうじゃの、我が父のお見舞に来たのじゃった」



「この詩集を土産にの♪」



「……」
「……」
「……ABC集合!」

アンジェ姉さん、あたし、クリアの三人は、密かに集まる。

「何で女王様が詩集を持ってるのよ!」
「魔界には、広まっていないはず?」
「反魔物領出身の人間から貰ったかもしれんよ?」
「あの女王の性格からして、反魔物領ごと不思議の国に転送しても不思議じゃないわ」
「エルゼルに、報告する?」
「余計話が捻れるやんね」
「ここはご機嫌取りをして」
「女王様を」
「留まらせるやんね」


「女王様」
「魔物が、勇者を」
「誘惑するのを披露するやんね」


Вキャサリン&バブリーの誘惑(ウォッカ不参加)В


「ほらほら〜中毒性のある香りだよ〜」
「何度も言わせるな!バブルスライム中毒にはならん!」
「オナニーくんはアタシの匂いが効かないの〜?」
「訓練生時代にバブルスライムの身体から採取したゼリーを少しずつ摂取してきたからな」
「そうなの〜?羨ましい〜」

「大体、我がエネミス帝国の国民は、魔物が性的に男性を襲うことを知っている」
「そうなの〜?」
「教団は、私達に魔物は人肉を食らうと教え込まれたのに?」

「ふん、下らん嘘を真に受けるとはな。だから二人共は魔物の誘惑に負けたのだ!」
「むか〜」
「今の発言はカチン、ときました」

「我が帝国は違う、魔物は皆女性で命を奪わず、男を犯し、女を魔物に変えるのだと教えられた」
「うんうん〜」
「魔物にしてくれた御姉様には感謝してます」

「人の子を産めぬ身体になったことがそんなに嬉しいか?」
「え〜?」
「……そ、それは」

「魔物は魔物しか産まん、そうなれば人類は絶滅し、魔物だけの世界となる。それは正に……地獄だ」
「でも〜」
「魔王様が言う、人類と魔物の統合が出来れば、魔物も男子を産むことが出来ます」

「アポラード様とピスコ様が治め、天使テキーラ様のご加護を受けたエネミス帝国はそんな賭けにはのらん!」
「アポラード〜?」
「ピスコ様?」

「双方ともに年齢二百歳の皇帝とその妃だ」
「二百さい〜?」
「人間の寿命を軽く超えてませんか?」

「皇帝と妃様は、不老長寿の為に百体分の人魚の血を飲んだのだ」
「百体〜」
「そんな数を、どうして」

「決まっている、人魚百体を奴隷として捕らえたのだ」
「え〜」
「今、奴隷って……」

「我が帝国は、魔物を捕らえ、奴隷にしている」
「奴隷〜?」
「嘘でしょ、魔物娘を奴隷にするなんて……」

「そいつの言うことは本当だ。奴隷商による魔物娘達の競売が開かれている……」
「ウォッカさん……」

「利用価値は奴隷だけではない。魔物と兵士達を一緒に住まわせ、魅了や誘惑に耐えるための訓練をする」
「魅了するんだ〜」
「素晴らしい訓練ですね」

「ただの訓練ではない。もし、誘惑に負けて堕落や魔物化すれば、地下牢獄で一生を過ごすというペナルティが待っている」
「そんな〜」
「一生なんて酷い」

「だからこそ、魔物の誘惑に屈しない兵士及び勇者が育つ。今もこうして、魔物の誘惑にも耐える事が出来る」
「だから匂い中毒にならず〜」
「私の魔力を込めた泡も平気だったんだ」

「我がエネミス帝国の支配力は世界一「あのさ、話の途中で、悪いけどさ」

「……何だ?魔界第二十王女よ」
「エネミス帝国の妃、ピスコ様はーー」







「アポピスよ」







「貴様、ピスコ様をアホ呼ばわりするとはいい度胸だな」
「アホピスじゃないわ、アポピス、蛇の魔物よ」
「……何を言い出すかと思えば」
「正確に言えば、百五十年くらい前に、あたしが、ピスコ様を、アポピスに変えたの。ピスコ様は、その後、エネミス帝国を、表向きは反魔物国家の親魔物国家に変えたの」
「……十秒で思いついた嘘をべらべらと」


「いや、妹の言ってることは本当じゃ」


「女王様?」
「ほんとうなの?」
「ラヴにピーシュよ」
「「はい」」
「あの鏡を持ってくるのじゃ」


В三十分後В


「鏡だよ」
「はい、女王さま」
「ふむ」

ハートの女王が、鏡を両手に持ち、



「鏡よ、鏡、鏡様、エネミス帝国の真実を映しておくれ」



そう、唱えると、鏡が揺らぎ始め、国らしき場所が、映し出された。

「エネミス帝国……」

オナニー君が、呟く。

「かがみにひとがうつった」
「汚れた服を着た男の人だ」
「ラヴ、人を指差したら、駄目やんね」

「こいつは帝国の意志に反発し、奴隷の烙印を押されたS-012だ」
「スレイブ君か」
「もう呼び名にはツッコミをいれん、朝は貧民街で荷物を運ばされている哀れな奴だ」

「ちかにはいった」
「奴隷は皆、夜は地下で一ヶ所に集まり就寝するのだ」
「またかわった」
「暗い部屋で眠るのがお似合いだな」

『どうかしら?S-012君、あたしのオマンコは?』
『あひっ、あひっ、サキュバスまんこ最高!一日の疲れも吹っ飛ぶよ』
『あはん、そう言って貰えると嬉しいわ。他の夫婦に負けないくらい気持ち良くなろうね♪』

「ほぅ、周囲の奴隷達も魔物娘と交わって幸せそうじゃの」

「次は」
「ちかろう」

「彼女は、誘惑に負けサキュバス化したA-902ではないか」
「悪堕ちさん、サキュバスになったのね」

『うっ、くすっぐすっ』

「ふっ、魔物になった事を深く後悔してるようだな」

『美味しい、美味しくて涙が出ちゃう。精液がこんなに美味しいなんて』
『やめっ、てっ』
『止めないよ。もっと精液を味あわせてぇ』

「……」
「むしろ、喜んでる」

「そして、トドメが」

『あなた〜アポピスの身体はどうかしら〜カプッ』
『我が妻、ピスコよ、毒牙気持ちよいぞーー』


В中継終了В


「愉快じゃのう。見よ、勇者オナニーが落ち込んだ姿を」

「ハァァー……何て事だ、難攻不落と言われた帝国が悪堕ち済とは」

「勇者さーん」
「だいじょうぶ?」
「ラヴ、ピーシュ、今はそっとするやんね」


「その程度で落ち込まないの。魔王様だって勇者に倒されない保証は無いのよ?」


「……魔界第十九王女よ、適当な励ましをするな」
「適当じゃないわ本当の話よ」
「どういうことだ?」
「大浴場で話し損ねた昔話をしてあげる、勇者パールの話をーー」


Вアンジェラ回想В


私が赤ん坊の頃の話よ

勇者とその夫が魔王城に乗り込んできたの

勇者と夫は百を超える魔王軍の兵士達を退け、魔王夫妻の部屋まで乗り込んだ

そう、はるか昔、教団の勇者が魔王城に乗り込み、魔王夫妻と直接対面したというのが、本当にあったの

ただ、一騎打ちは未遂だけどね

何故なら、勇者が見たのは、世界を支配する邪悪な存在ではなく

赤ん坊を抱き抱えた一人の母親だったから

勇者は魔王に傷どころか、剣を向けることすら出来なかった

勇者も後に母親になる運命だったから

だから、剣を鞘に収め、黙ってその場を去ろうとした

魔王夫妻も、黙って勇者を見送ろうとした

だけど、私は違った

突然の侵入者に、恐怖を感じた私は

髪の毛を伸ばし、勇者の全身を縛り

精を根こそぎ奪い、魔力を注ぎ、勇者を魔物へと変えた

純潔の象徴へとーー


В回想終了В


「その事件は、歴史的に黙秘され、パール様は夫と共にハーレムの国を築く形で魔王城に暮らすことになった……」
「まさか、魔王様とパール様にそんな過去があったなんて……」
「ラーモが気にすること無いわよ」

「第十九王女、貴様は後悔していないのか。勇者を魔物にしたことを」
「最初はそうだったけど……今じゃすっかり、嫁と姑の関係よ」

「パール……あのバイコーンか」
「ハートのお姉様?」
「しってるの?」

「そうじゃ、ラヴとピーシュよ。余もそのバイコーンにはちょっとした因縁があってのう」
「因縁?」
「どんなの?」

「パール夫妻がアリスと共に、不思議の国にやって来たことがあってのう……話せば長くなりそうじゃから、続きはハーレムの国で話すとしよう」



「トビラよ。余をハーレムの国に案内するのじゃ」



「判ったですぅ。女王様をパール様が治めるハーレムの国に案内するですぅ」
「いいの!?私達で勝手に決めて?」
「ラーモちゃん、パール様と柴様は今、大事なお客様の相手をしてるですぅ(性的に)、私達も女王様を(性的に)オゥ!モゥ!テェ!ナァ!シィ〜をするですぅ」
「トビラちゃん、何故に一文字言うたびに、股を弄っているの!?」

「ラーモちゃん、これはチャンスよ」
「アンジェラ様も何を言ってるのですか!?」
「アンジェ姉さんの言うとおり、女王様の機嫌を取るのが、先決」
「今、女王様を父様の所へ行かせたら駄目やんね」

「大丈夫、万が一の時は私が責任をとるから」
「アンジェラ様……判りました。ハートの女王様、これよりハーレムの国へと案内します」

「ふむ、ラヴ、ピーシュも一緒に来るのじゃ」
「はい、ハートのお姉様」
「ハーレム、わくわく」

「ウォッカ達も、勇者を連れて、一緒に来て」
「はい、御姉様」
「は〜いお姉さま」
「了解だ、姉上」
「……」


В魔王城・ハーレム部屋前В


「入る前に、入館証にサイン下さい」

「ここって、サイン必要だったっけ?」

「生憎、メシャスさんは今、不在なので記録として……」

「わかった、ビューティ、と」

続いてハートの女王様,アンジェ姉さん,クリア,ラヴピーシュ,キャサリン,バブリー,ウォッカ,そしてオナニー君も名前を書く。

「では、ハーレムの門を開け「その必要は無いわ。私もお義母様から鍵を貰ってるから」

アンジェ姉さんが、赤い門に手をかざすと、門が開きはじめた。

「入るわよ」

あたし達は、中へと、足を踏み入れる。





「あんっ、ソコを、弄っちゃダメぇ」
「あんたも、おっぱい、触りすぎよ」

「くちゅくちゅっ、ぐちゅ」
「んーっ、んーっ、女同士の、キスって、気持ちいいっ♪」

「いっいやっ、柴様、助けてぅくっ!このままじゃ私ぃ」
「残念、柴様はいませーん。だからこうして百合プレイをしてまーす」



「これって……」
「もしかしてだけど〜」
「百合ハーレム」

「うわぁぁぁ!地獄だー!魔物娘だらけのレズ地獄だー!」
「喧しいのじゃ!」バシッ
「痛てっ!」
「もういっちょ!」バシーン

「「「まさかの二発目!」」」

「ふん、オナニーごときが、女同士のオナニーに悲鳴をあげおって……まぁ良い許す。アンジェラよ、早速案内するのじゃ。ハーレムの国を」
「はい、女王様」



В続くВ



O-721「二回もビンタされた……」
14/02/13 23:31更新 / ドリルモール
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■作者メッセージ
 ドリルモールです。

 ハートの女王のご機嫌取りの為に、ビューティの仲間達が勇者を誘惑しては上手くいかず、女王様の気まぐれで、バイコーンのパール様が治めるハーレムに招待したりと大変なABC姉妹。

 三人共、本番はこれからですよ。


次回

溶岩のサウナ
サイン下さいパートV
変化へのカウントダウン

の三本です。



В



キャラクター紹介B
【名前】クリア
【性別】女
【年齢】魔界第二十一王女
【種族】リリム
【容姿】図鑑の魔女服+顔が隠れる程のつばが広い魔女帽
【魔宝石】無色透明
【口調・口癖】〜やんね(平常時)
【能力・特技】魔術,クリアハンドの精製
【概要】
 魔王の娘であるリリム。

 父が倒れた真相が詩集によるものである事を知っており、アンジェラとビューティの勇み足を止めるために独自で行動をしていた。

 見た目は幼い幼女で、サバト『魔宝石採掘隊』の長である。
 サバトの活動は、魔術・魔法薬の開発を含め、魔宝石の採掘及び加工を行っている。
 大の魔宝石コレクターで、名のある勇者や魔物等の著名人に魔宝石を渡して、魔力を込めた物を招集をしている。
 姉二人のような特殊な体質は無いが、魔宝石の採掘を安全かつ効率の良いものにするため、極力薄くした魔力を手の形にして、まるで自分の手のように遠隔操作をする魔術『クリアハンド』を後天的に生み出した。
 クリアハンドを用いることで、断崖等危険な場所での採掘を行う事が可能であり、また、魔宝石に魔力が染まる事を抑える事が出来る。
 一度に複数のクリアハンドを生み出す事も可能であるが、複数の手を一度に操るのは不可能なため、手に命令のルーンを刻み込む等して、自動操作を行う。

【補足事項】
 語尾の「〜やんね」は彼女のキャラ付けであり、パニックになると口調が乱れる。

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