連載小説
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お花見(当日)
※魔王城・ハーレム部屋※
※グリア視点※


「母上、見てください、桜の木(ドリアード)の周辺に集まる大勢の嫁を」
「全員樹液で誘われたの?」
「母上、ドリアードの樹液で誘われるのは私達昆虫属かバカぐらいですよ。今日は年に一度の花見なので弁当や宴会を楽しんでいるのです」
「うふふ、冗談よ。あら、スラミちゃーん」

母上が向かった先にはスライム達が楽しく話し合っています

「あっ、ピョアー」

そのうち一人であるスライム――スラミさんが母上に気づきます

「スラミちゃん元気してる?」
「うん、元気元気ー子供たちも元気だよーみんなごあいさつー」

他のスライム達も母上に挨拶をします

「おっす!」

レッドスライムのアカミが調子よく

「おはよう…ごさいます…」

バブルスライムのブルミがおどおどしながら

「グッモーニン、アハッ」

ダークスライムのダクミが妖艶な笑みを浮かべながら

「ハーイ」

シー・スライムのクラミが爽やかに

「お、おはよう……」

スライムキャリアのキャミがツンとそっぽ向きながら

コクッ

キャミとペアである寄生スライムのキセミは無言で頷きます

ハーレムの中で出産(という分裂)回数が最も多いスライムのスラミさん

未だ子供を身籠ってない私にとっては、羨ましい限りです

「他のスライムはいないのですか?」
「今日はここにいる娘たちだけー」
「そうですか…オウミがいないことが残念です。いつもなら召使い達を寄越すはずですが」
「オウミなら奥の方で『桜の木』の役割をしているよー交わりに夢中で花見にこれない嫁のためにねー」
「成る程……って桜の木担当がいるのですか!?」
「オウミはクイーンスライムだからー」
「確かにクイーンスライムの役割は多種多様、『竜』や『虫』といった生き物もいるくらいですからね」


「おはようごさいまちゅ」


スライムの子供達の中に見られない顔のスライムが一匹、スラミさんを小さくしたような容姿をしていることは――

「スラミさんの新しい子供ですか?」
「そうだよーこの前分裂したのー名前はスラコ」
「よろちくおねがいしまちゅ」

「これで一体何人目ですか…」
「さぁー?十は超えてると思うー」
「いや、それは母親としてどうかと思いますが」
「それよりもーこの娘がーどんなスライムになるのか楽しみー」
「うん、スラコも楽ちみ」


「スライムは環境の変化等で別のスライムに変化する種族ですからね……」
「自分の子供が新たな変化をするってワクワクよね」
「母上、それ娘の目の前で言うことですか?」
「グリアはグリーンワームのままなところが一種の変化だと思うわ。これからもずっとグリーンワームのままでいてね」
「と、当然です。そういう母上はグリーンワームからパピヨンになって何か変わりましたか?」
「グリアったら、またパパとのラブラブ思い出話を聞きたいのね」
「いや、思い出語りじゃなくてグリーンワーム時代との違いを――」
「ママがグリーンワームで色気よりも食い気だった頃、パパと交わることなくご飯をムシャムシャ食べてばかりで、ハーレムのみんなとピクニックに行ってパパの隣になっても弁当をつまみ食いするだけだったわ。そんなある日、夫婦の果実を食べたらこれがすごく美味しくて、パパも美味そうだってママにキスしてね、中の青い実を口移しで食べられちゃったの、最初は美味しく食べていたものを勝手に食べられて口喧嘩しちゃったけど、話をするうち胸がドキドキして――」

また、始まったです。こうなると母上は一時間は喋りつづけますからね

「スラミさん、母上には先に行ってると伝えてください」
「いいよー」



「それでパパと一緒に数週間蛹として過ごしたわ。その間は蛹の中でエッチしながら――」



※桜の木※


さて、マーチヘアのトビラに場所の確保を任せていたはずですが


「ヤッホー♥」


そこにいたのはマーチヘアではなく、チェシャ猫のメシャス


「待ちくたびれちゃったわ♥」
「乗っ取りじゃないですよね?」
「トビラちゃんに代理を頼まれているだけよ♥」
「肝心のトビラは何処へ?」
「場所取り中に妄想していたら「夫の場所取りをするの忘れてたですぅ」ってアタシに代理を頼んで夫探しに向かったわ♥今ごろは花見そっちのけでエッチで夫をアへ顔満開にしていると思うわ♥」

場所取りをするだけでいいのに、何が何でもエロ方向に話を曲解させるとは、彼女の頭の中は常に桜が満開なのでしょうか?


「ほらほら座って座って♥料理は用意してるから♥」
「重箱三段重ねですね」
「三つの箱にそれぞれ色々とりどりのメニューが詰まってるわ♥」


パカッ

「これはオードブル♥」

魔界豚のビフテキ、魔界甲殻虫のフライ、魔界魚の煮付け、だし巻き卵、長時間料理が楽しめるように味付けをしっかりされているのがわかるです


パカッ

「これはおにぎりの詰め合わせ♥」

海苔を巻いたシンプルなタイプ、三色のふりかけで味付け、炊き込みご飯、三通りの組み合わせが均一に並べられて、みんなで仲良く手にとって食べられるように一つ一つ丁寧に握られているのです


パカッ

「最後はデザートよ♥」

虜の果実のケーキ、ねぶりの果実のムース、堕落の果実のプリン、そして夫婦の果実のゼリー、持ち運びの際に崩れないよう表面はやや固めに作られておりますが、口に含めば柔らかくとろけるような食感が味わえる、甘党には堪らないことでしょう

「お花見にふさわしい期待通りの、いえそれ以上の料理です」
「待ったかいがあったわね♥」
「つまみ食いはダメですよ」
「アタシはただ見ているだけで満足なの曹の娘たちのように促


「あん、もっと突いて」

「オラオラ、もっと腰を振りやがれ」


「花見そっちのけで嫁達が分身薬で増やした夫と交わっているわ♥」

「私には関係のない話なのです、今は色気より食い気が勝っているのです」

モグモグ

だし巻き卵はホルスタロウロスのミルクが隠し味になっているのですね

モグモグ

海苔巻きおにぎりは塩だけの具なしですが、その分お米の味が活かされているのです

モグモグ

魔界魚の煮付けはフロウケルプの出汁で味付けがされているのですね

モグモグ

三色ふりかけのおにぎりは山葵、卵、鮭の粒がまぶされて、三つの味が一度に楽しめるのです

モグモグ

魔界豚のビフテキ、とろけるような脂身、冷めても美味しくいただけるよう調理されているのです

モグモグ

醤油と人参と筍で味付けされた炊き込みご飯のおにぎりは拘りを感じるのです

「……」

そしてメインは魔界甲殻虫のフライ

カリ…プリッ

見た目からは想像がつかない柔らかく弾力のある歯応えで、極上の海老や蟹といった海の幸を思わせるのです

樹液や果物、野菜を主食とするグリーンワームにとっては斬新な味と言えるでしょう

「このフライは『どんな味』なのでしょう」

なんといってもこの魔界甲殻虫のフライ最大の特徴は料理人によって一つ一つ焼き加減が違うことで、それによる殻と身が織り成す絶妙な味の違いが楽しめるのです

カリッ

ドラゴンのブレスで焼いたモノは脂ののった食べごたえがあるピリッとした辛味

フワッ

ジャバウォックのブレスで焼いたモノは不思議な世界に訪れたようなお菓子のような甘味とふんわり感

ジュワッ

火の魔法で焼いたモノは、かじれば燃えるような熱さの水分が口に広がりますが、喉元を過ぎれば風が通りずきるかのように熱さが収まります。仕上げにちょい足しされた砂のようなスパイスがグッドです

パキッ

未知の技術で調理した縞模様の焦げ目がついたモノは、言葉では言い表せない未知の食感

カリカリ

従来の調理器具で焼いたモノもありますが作ったそれも調理した嫁の愛情がこもっているのです


「さて、次はデザートですね」

オードブルをすべて平らげた私はデザート類に手を出します

虜の果実を初めとした魔界産の果物で作ったデザートを咀嚼

ケーキの甘味

ムースの柔らかさ

プリンの弾力

そして夫婦の果実のゼリーが織り成す甘味と酸味のハーモニー

当然果実特有の性欲増進の効果は健在なので――


「アンッ、アンッ」

「もっと出して」

「気持ちいいいい!」

周囲の性交が目に映ってしまうのです

「……」

いけない、花見に集中しなければ

私は散りゆく桜を見上げます

今父上は他の嫁との交尾で忙しいのですが、父上と一緒に見てみたいです



『なら、グリアちゃんもパパの場所取りしたら?』



「ひやあっ!」
「うふふ、グリアちゃんがびっくりしたわ」
「耳元で囁かないでください」
「アタシはチェシャ猫の役目としてグリアちゃんをその気にさせようとしただけよ♥パパと一緒にお花見してーその後交尾したいのでしょ♥」
「だからといって、変なこと吹き込まないでください!花見しながらセックスしたら花見に集中出来なくなるのです!」
「それなら精をぶっかけられるだけにしたらどう?」
「精を注がれても、父上の自慰に目がいって桜そっちのけになってしまいます!」
「予想通りの答えが返ってきたわ♥からかい作戦大成功♥」
「からかわないでください!父上の精を楽しみながらの花見は無理なのです……」

私はただ桜を見上げます

「だ・か・ら♥そのためにアメを用意したの♥」
「雨?雨なんて降ったら桜が一気に散ってしまいます」
「そっちの雨じゃないわ♥そろそろ来る頃だと思うけど…あら噂をすれば♥」


「はぁはぁ……開花がこんなに早いと思わなかったわ」


白い髪を両側に束ねた妖女――ぬらりひょんのりよんが息をあらげながらこちらへ向かってきます


「だから言ったのですよ。口より先に手を動かせって」


りよんの後ろを涼しい顔でついて行く二輪の乗り物――ではなくショゴスのショコ

「あんたが一番口を動かしてたじゃないの!っていうか何その乗り物」
「トランスフォーム、ばいく便」
「走りましょう全力で、って言ったのは誰よ!」
「ショコですが何か?」
「あたしも乗せないよ!」
「嫌です、りよん様は胸以外全身に贅肉がついてそうなので、胸以外」
「そこ強調するところ?」
「ほら、口を動かさないで手を動かす」

「あの二人は本当に仲良しね♥」
「まぁ、ある意味仲がいいのでしょうね」モグモグ

そんな二人は箱を床に置いて何やら準備を始めます

「まったく、花見目前で必要な量が出来た筈なのに、急に桜色に着色しましょうなんて言うから」
「だって花見ですよ、白よりもピンクがしっくりくるでしょ」
「着色に必要な材料を集めるの大変だったわ、虜の果実や夫婦の果実の赤い実、レップの赤い魔力も使ったわね」
「ああ、どうせ着色するならりよん様の処女膜も使えばよかったですね」
「あたし、処女じゃないわよ!主様と何度も夜を過ごしてるわよ!」
「そうなのですか?りよん様はぬらりひょんでありながら永遠の処女のアリスの性質を持った『ぬらりす』という新種かと思ってました」
「どんな根拠でそう思ってたの!?」
「だってりよん様、すぐ癇癪を起こす子供っぽいところがありますし、あと胸も幼児並み、ここ重要ですよ、テストに出ますから覚えておいてください」
「むっきー!」


「二人とも早く飴を配って♥でないとパール様やピョアちゃんといった調教係に言いつけるわよ♥」


「……りよん様」
「……仕方ないわね、後で覚えてなさい」


「グリアちゃんこれから瞬き禁止よ♥」
「?」
「飛び散るわよ――」

りよんが煙管を箱の中に向かって思い切り吹き付けると


「桜の花弁が♥」


箱の中から大量の桜が飛び始めました
正確にはシャボン玉入りのキャンディが飛び出ているのですが


「綺麗……です」


私の手元にきたシャボン玉が割れ

「この香りは――父上の精」

私は桜色のキャンディを口に含みます

コロコロ…

「どう?」
「あ、甘くて美味しいです。父上の味がします」
「貴女のパパの精液から作られたキャンディだから当然よ♥」

レロレロ

父上の快楽と私達ハーレムの愛を感じながら、桜を散りゆく見続けたのです――



※つづく※
18/05/04 23:58更新 / ドリルモール
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■作者メッセージ
花見の日 天気・晴れ

今日は花見の日

桜を見ながら重箱の料理を食べました。

口の中で父上の精入りキャンディを転がしながら、今度は父上と母上の三人で交尾をしながら桜が見れたらいいなと思いました。


次はこどもの日、菖蒲湯につかりながらの食レポです。

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