読切小説
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好きな人からのクリスマスプレゼントはクリスマスが過ぎても嬉しい byリコ
※不思議の国・ハッチ家※
※リコ視点※


ここは不思議の国

不思議な住人達が住む、不思議なことばかり起こる国

今日は楽しいクリスマス

この日は家族みんなで、クリスマスナイトへ出掛けます

毎年女王様から届くサンタなりきりセットで家族全員で着替え、移動用のソリに乗って隣町へ行きます

そして、楽しく遊びながら家族みんなでプレゼントを渡します

去年はコックおねーさんとジェフおにーさんからは料理用のエプロン、コルヌおねーさんからは魔物娘図鑑の製本版、おかーさんから手袋、おとーさんからトナカイの被り物をもらいました


『リコちゃん、これを被ればトナカイになりきれるよ!』
『ありがとう、これだけ大きいとわたしの顔どころか全身がすっぽり隠れちゃうね』
『そうだったあ!それじゃリコちゃんの可愛らしい姿が見れない、男サイ一生の不覚ぅ!』

そしてコーンからは毎年恒例の――

「リコくん、着替え終わった?」
「うん、終わったよ、ジェフおにーさん」
「じゃあ、リビングに行こうか、コック達を待たせたら悪いからね」

わたしはジェフおにーさんと一緒に部屋を出ます

「でもちょっと恥ずかしいな」
「恥ずかしくはないさ、僕もリコくんと同じスカートを履いてるからね」
「ごめんね、コーンが勝手に男子用のサンタ服を選んだばかりに」
「別に、気まぐれで着てみたかっただけだけさ」

気まぐれか、コーンが普段からわたしにする行為も気まぐれだったら楽なのに

「リコー!」
「きゃあ!」

と、思っていると突然コーンが後ろから抱きついてきました

「リコ、サンタスカート似合うぞ!チュッチュッ!」
「う〜いきなり抱きついて、ほっぺたチュッチュッしないでよ〜」
「いいじゃんか、オレ達夫婦なんだから遠慮すんなよ〜ぷにぷに〜」
「う〜ほっぺたぷにぷにしないで〜」

このように、コーンはいつもわたしに対して強引なスキンシップをとります

「今年のクリスマスは家族で過ごすから、いつも以上にスキンシップとらなきゃな」
「だからといって、強引すぎるよ〜」
「そうそう、リコが履いているか確認しないとな」

コーンがわたしのスカートを掴みます

「や、やめてよ、コーン」
「ははーん、その反応はひょっとして、ひょっとすると、履いていないのか?」
「履いてるよ、短パンだよ、短パン。パンチラしないようにコックおねーさんとジェフおにーさんから」

「リコちゃんの言う通りだよ。僕とコックからのクリスマスプレゼントである短パンを履いてるよ」
「ふーん、ジェフの兄貴がそういうなら――」

よかった、これでコーンが無理矢理捲ることは――

「だったら尚更確かめさせてくれよ」
「きゃああ!そんなことなかった、だから無理矢理捲らないで」
「まさか、嘘なのか?嘘だと女王様から極刑されるぞ」
「そうじゃ、なくて、コーンが無理矢理捲ろうとするから」
「スカートの中身を確認するのはマッドハッターとして当然だろ?」
「でも、無理矢理は――」
「スキアリ!」

ガバッ!とコーンが勢いよくわたしのスカートを上げました

「おお〜本当に短パンか」
「う〜嘘じゃないのに」
「しかも赤と白のデザインとは。じゃあ次は短パンの中身を確認するぜ」
「まだやるの!?」

コーンがわたしの短パンを強引に脱がし始めます

「一足早くクリスマスプレゼントをオープ「コラ!」グホッ!」

「お袋!クリスマスでも拳骨かよ!」
「リコちゃんが嫌がることをするからでしょ!全く、全然降りてこないから気になって、コックと一緒に様子見したら」
「そう言われてもリコが嫌がるのはいつものことだし、強引に脱がさないとキノコ見せてくれないもん」
「ごく自然な手つきで脱がせば嫌がらないの、コーンはいつもそれがわかってない!毎回同じこと言われてる!」

わたしに対しては優しい花月さんもコーンの前ではガミガミ叱るおかーさん

「私の妹はどうしてこうもヤンチャなんだろうね」
「そうだね、コーンちゃんも少しはコックやコルヌちゃん、二人のお姉さんを見習ってほしいね」
「ジェフもジェフだよ、少しは止めてもいいと思うけど?」
「花月さんならさりげなく拳骨して止めてくれると信じていたからね。だから横で見守ることにした」
「傍観って、ジェフのチェシャ猫っぷりは相変わらずだね」
「猫の王国出身だから当然さ」
「そういえばダディはまだ来ていないみたいだけど」

「親父?そっか親父の奴まだ部屋から出てないのか……プッ」
「どうしたの?コーン急に笑いだして」
「悪いリコ、親父の仮装がサンタじゃなかったことでちょっと思いだし笑いしただけ……プップッ」
「え?おとーさんの格好、わたし達と同じサンタじゃないの?」
「それがよ〜女王様から届いたサンタなりきりセットの中に親父宛の薬瓶が入っててさ、それを飲んだら身体が変化してさ……プッ『この姿はリコちゃんにはみられたくないって!』涙目だったぜ……プッ、まぁあの姿じゃ目がどこにあるかわかんねーけどな……プッ」


「コーン、笑ってないでお父さんを呼んできなさい」
「おかーさんの言う通りだよ、おとーさんが心配だよ」

「へいへい」

コーンとわたしの部屋へ向かうと

「うっ、うう……どうしようこの姿、リコちゃんが怖がる、うっうっ」

ドア越しで微かな声がします

「おーい親父、リコ連れて来たぞ〜」

「え、いたっ!天井打った〜」
「まぁ、あんだけ図体でかいなら頭ぶつけて当然だな」
「コーン、どうしてリコちゃん連れてきた!誰もそんなこと頼んでないぞ」
「いいじゃん、減るもんじゃないし」
「減るよ!こんな姿リコちゃんにみられたら減るよ!ショックで見投げしちゃう!」
「いいのか〜?見投げしたら赤と黒のサンタさんこと女神ヘル様がやってきて、蘇生という名のクリスマスプレゼントでインキュバスゾンビになって〜リコから『おとーさん怖い』って言われるぞ〜」
「だったら、この部屋から出ない!元に戻るまで引きこもる!」
「おいおい引きこもるなんてタチ悪いぜ、リコからのクリスマスプレゼントを諦める気か?」
「リコちゃんの机に飾ってある魔導写真のリコちゃんの部分を見つめるのを今年のプレゼントにする!」
「はっはっは、親父の奴今年のプレゼントリコの写真を眺めることだってよ……プッ」
「あと、押し入れのなかも物色する!」
「押し入れ物色ってもう大掃除かよ、気が早いな……プッ」

コーンはおとーさんのことをからかい続けます

「どうせ、そのうち泣きべそかきながら出てくるだろ……プッ」





「はぁはぁ、リコちゃんが貰った去年のクリスマスプレゼント、捨てずにとっていてくれた、これは写真映えするはぁはぁ!」


あれから午後11時を過ぎてもおとーさんが出る気配はありません

「おい親父、そろそろいい加減にしないとクリスマス過ぎるぞ」

「リコちゃんが去年貰ったクリスマスプレゼントをSNSに投稿、不思議の国の住人達よ、見よ我がマッドハッターファミリーがリコちゃんを愛している証、少年でありながらアルプになることなく維持し続けるこの可愛さ、SNS映えする男の娘」

「ちっ、これじゃあキリねーな。しょうがない、強引に部屋に入るための仕掛けを起動するか。みんな、下がっててくれ」

コーンはドアを右手で三回、左手で三回、両手で三回コンコンコンとリズムよく叩き

「はぁっ!」ドンッ!

の掛け声で、勢いよく両手でドアに張り手

ガラガラ……

するとドア――の周りの壁が崩れ落ちます

「ドアを突き破ると見せかけて周りの壁を崩す」
「これが不思議の国クオリティ」

「ケホケホ」
「おとーさん大丈夫?」

わたしはおとーさんの安否を確かめるため部屋に入ります



しかし、そこに『おとーさん』の姿はありませんでした



代わりにいたのは――



SHAAAAAAA!!!



巨大な蜘蛛



「きゃあああああ!!」

異形の怪物にわたしは悲鳴をあげます

「わー、リコちゃん、落ち着いて、おとーさんだよ、こんな姿してるけどおとーさんだよ」
「え、おとーさん?」
「黒い薬を飲んだらアトラクナクアの夫の姿になっちゃったんだ!」

アトラクナクア、確か魔物娘図鑑に載ってた、深淵の魔物

「夫を巨大蜘蛛の姿に変えるなんてアトラクナクアしかできない筈なのに……女王様の魔術の才恐るべしだぜ」
「それが不思議の国クオリティ(涙)」

「そ、そうなんだ……よかった。おとーさんが、一応、無事で」
「……リコちゃん、そういいながらコーンの後ろに隠れてるよね?」
「そ、そうだね、おとーさんの姿が怖いから、ごく自然に隠れちゃった」
「うう……リコちゃん、そこは嘘でもいいから『隠れてるわけじゃないよ、後ろからコーンを立ったまま犯してるんだよ、ナイトゴーントのように』って言ってほしかった……うう」


「ほらほら、泣かないの」


おかーさんはおとーさんをなぐさめています


ジップッジップッ


スカートを脱いでおとーさんに股がりながら

ジュプジュプ……ビュクッ

ごく自然に

「うふふ、巨大蜘蛛と交わるのもまた格別ね。女王様には感謝しないと」
「いいのか、この姿で交わっても?」
「ここは不思議の国、夫がどんな異形な姿になっても交わるのが当然よ?リコちゃんも紅茶を飲んでワンちゃんになった時があるでしょ」

「言われてみれば、犬化紅茶を飲んだらやたらおっきいワンちゃんになったことがあった」
「うんうん、その時のリコは発情期の犬のようにオレを組伏せて後ろからガツガツヤッたな」
「うん、あの時はコーンと交わりたいそんなことしか考えられなくて……う〜恥ずかしいよ」

「だからリコちゃんもおとーさんが蜘蛛になっても怖がらないであげてね」

おかーさんが微笑みながらわたしに言います、ジュプジュプと交わりながら

「もう恐くない……といったらウソだけど、少しは落ち着いた」
「リコちゃん……ありがとう」
「でも、わたしが良くても他の住人達は怖がっちゃうかも」
「そうだったあ!これじゃあ出かけることができない!」

「しかも午前零時を過ぎてるよね」
「いつの間に!?」
「大丈夫よ、ここは不思議の国、クリスマスを一日くらい過ぎても、クリスマス気分の住人達は沢山いても不思議じゃないわ」
「じゃあクリスマスナイトはまだ続くのか」
「あとは蜘蛛の姿を誤魔化せたらなぁ……」

「市販の犬化紅茶を飲ませるのはどうかな?」
「女王様お手製の薬だから、市販の紅茶で戻せる程甘くはないよ」

「全身にキノコをいっぱい生やして覆い隠すとかは?」
「かえって不気味よ」


「誤魔化す……何かで隠せば……あっ」
「リコ、何か思い付いたのか?」
「思い出した、確か去年貰ったクリスマスプレゼントの中に――」




「ママー見て、巨大なトナカイさんだ」
「あら、よくできたトナカイさんね」
「あのトナカイ、家族を乗せたソリを引いているのか」


「まさか、去年は失敗だと思ったトナカイの被り物がこんな形で役立つとは」
「うふふ、ここは不思議の国、去年のプレゼントが今年役に立っても不思議じゃないのよ」

「お袋の奴、親父に股がりながら交わりやがって、羨ましい」
「良かった、今年のクリスマスも家族で過ごせて」


「今年のクリスマス料理が楽しみだね」
「別に僕は猫カフェで猫と一緒に過ごせればいいけど」


「コックの姉貴やジェフの兄貴も平常運転だな」
「うん、仲のいい証拠だよ」


「二人ともその調子で交わって」


「コルヌの奴、カメラ回してるけど?」
「うん、朝からずっとだよ」
「マジか!?ごく自然過ぎて気づかなかった」


楽しくはしゃぐ家族を眺めていると


「……」
「コーン、どうしたの?」



「リコ、好きだ」



コーンからのさりげない『クリスマスプレゼント』にわたしはごく自然に


「コーン、うん、わたしもコーンのことが大好き」
「って!いきなり大好きって言うなよ、今のはクリスマスプレゼント、毎年恒例の奴、って抱きつくな」
「好き、大好きだよコーン」チュ
「だからさりげなくほっぺにキスするな」
「コーンのほっぺた、ぷにぷにしてる」
「ごく自然にぷにぷにするな!」
「大好き♥」



「うー!恥ずかしーい!」




※おしまい※
17/12/26 02:22更新 / ドリルモール

■作者メッセージ
ハートの女王「はっはっは、今年もこの一家は楽しませてくれるのじゃ!コルヌ、次も撮影係頼むぞ」

コルヌ「はい、報酬のサンタコスさえ貰えれば喜んで」







 ドリルモールです。



 クリスマス過ぎても不思議の国はまだまだクリスマスムードだよ!


 これ、不思議の国のハロウィーンネタでハロウィンが大分過ぎた時も言おうとしたけど、気づけば12月経っていたorz
 月日は経つの早いなあ……


 ここまで読んでいただき誠にありがとうございます。

 次はナイトゴーント読み切りで会いましょう。

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