ばいくのわっくす掛けとばいくとの結合
ΜΜΜ
Μ初太視点Μ
「故郷ですか?」
「そうだ、俺が住んでた家だ」
「ここが、初太が生まれ育った家……」
「いや、正確には両親が事故で亡くなってから住み始めた家だ」
「ご、ごめんなさい。つい余計なこと言って」
「いいよ、それよりちょっと寒いから入ろう。もしかしたらせんせーがいるかもしれない」
俺は冬の寒さを体感しながらマドラと一緒に家の敷地に入る。
この季節になると学校帰りがしんどくて、家を見るとホッとしたんだっけ。
せんせーがドアの鍵を開けてくれて、ドアノブを引けば玄関が――
ΜΜΜ
安心は、唖然へと変わる。
「なぜだ……入口には靴棚と植木鉢が置いてあるはず……こんな豪華な装飾じゃないぞ」
「わたしの家です」
「え?」
「ここはわたしが生まれ育ったの家の玄関です」
今度はマドラが饒舌に語り始める。
「絨毯の感触、ガラスから射す光、広間の湿度、何もかもが同じ」
まるで自分の家を説明するかのように。
「どうして戻ってきちゃったの?」
「二度とこの家には戻らないと決めていたのに……」
Μ不思議の国・ばいく屋Μ
Μ満知子視点Μ
「ドッペルゲンガー?」
アタシは先程まで白髪のアリスだった黒づくめの少女に言う。
「満知子、これがドッペルゲンガーだよ」
へーくんが図鑑アプリの『ドッペルゲンガー』の項目を見せる。
挿絵には黒づくめの少女とは似ても似つかない抜群のスタイルを持つお姫様が描かれていたが、よく見るとその後ろに黒づくめの少女が隠れるように潜んでいた。
「ドッペルゲンガーは別の女性の姿に化ける魔物だそうだ。彼女はその能力で女王様の姿に変化してたんだな」
「その通りですの。ツトムはハートの女王を愛してますの」
黒づくめの少女はくるりと回り、白髪のアリスへと姿を変える。
「更にツトムが理想とする慈悲深い性格が反映されてますの」
「そうですニャ、ゆえにキジコ様は城下町の住人から『優しい女王様』と呼ばれてますニャ」
「補足してくれて感謝しますの」
「女王様の顔で褒められるとちょっと寒気がしますニャ」
「チェルは相変わらず女王様からちょっかいを出されて大変そうですの」
「ニャー確かに女王様の我儘にはほとほと困ってますが、カミラ様、マーゾ様、シンデレラ様、それに轟店長に濃き使われるよりは…訂正ですニャ!轟店長は関係ありませんニャ!」
「大丈夫ですの、轟さんはドリフトさんと共に出張中ですの」
「そうニャのですか?」
「ばいく工場でトラブルが発生して、原因究明のため工場地帯へと向かったようですの。そこで事情を知ったわたしが店の手伝いに来ましたの」
「助かりましたニャ、もし轟店長の耳に入ったら、またばいくのわっくす掛けをさせられるところでしたニャ」
チェルがホッとしていると、バリスさんが思い出したかのように
「そうだった、彼女達の手入れをしなくちゃ」
棚にあるわっくすを数個取り出し、更に引き出しから化粧用のパフを取り出す。
「傷の修復もするのですニャ?」
「そうなのよ、不意にマッドハッターの若夫婦が現れてドーマウスばいくを踏みつけちゃってさ」
「それですよ、バリスさん!」
「ど、どうしたの急に大声を出して?」
「アタシ達はですね、行方不明の友達を探していてですね、ばいくに詳しいライド夫妻からドーマウスばいくの話を聞いて、討伐隊がばいくに目覚めちゃって、それからこの店を訪れた討伐隊を片っ端から紅茶を飲ませて、ドーマウスばいく全部討伐隊で――」
アタシはライドさんが教えてくれたことをバリスさんに伝えようとするが
「落ち着け満知子」
へーくんがアタシのウサ耳をピョイーンと引っ張った。
「ひゃう!?」
「何言ってるのかさっぱりだろ」
「だからと言って頭の耳を引っ張らないでよ、敏感なのよ」
「敏感だから、だろ♪」
へーくんはドヤ顔で語る。
こんな状況じゃなきゃ「何ドヤ顔で敏感な所を触ってるのよ、他にも触るところがあるでしょ!」と言いたい。
「ボクが説明するよ」
コルヌさんがアタシの代わりにバリスさんに事情を伝えた。
「――以上がボク達がここへ来た経緯です」
「成る程、道理で突然現れた訳ね」
「二人の行方は?」
「ううん、数秒もしないうちに消えたから判らないわ」
「そんな……ここも手がかりなしなの」
アタシは落胆する
「友達を探しているのですの?」
と、女王様……の姿をしたドッペルゲンガーがアタシに声をかけてきた。
「もしかしたら力になれるかもしれませんの」
「ちから……?」
「友達の手がかりを探れますの」
「ほ、本当ですか!?女王様」
「そうか、キジコさんの能力なら……」
「コルヌさんも心当たりがあるんだ。教えてください、女王様、まどっちは?初太は?何処にいるのですか?」
「ま、待つですの!?直ぐには判りませんの!」
「やっぱり知ってたじゃないですか、勿体ぶらないでよ、ね!?」
「だから落ち着け」ピョンピョン
「ひゃうっ、へーくん、耳を引っ張らないでぇ」
「ほぃ」
「ハァーハァー、参ったわ、こんな状況じゃなきゃ、へーくんを襲う所だったわ」
「つーか女王様じゃないって言ってるだろ」
「お、思い込みよ、マーチヘア特有の思い込み!」
「満知子ちゃん、キジコさんが二人の行方を探すには下準備が必要なんだ」
「コルヌの言う通りですの。慌てず騒がず、今は彼女達のわっくす掛けが優先ですの」
「じゃあこの娘の肌にパフを当てるから、キジコさんはその娘をお願い」
「はいですの、バリスさん」
女王様……いやキジコさんもわっくすをスポンジに吹き掛け、ドーマウスばいくの身体を拭き始める。
ムラなく縦に沿うように、幼い肌はつるつるピカピカになり、その魅力を増す。
もしアタシが男だったら、つい触りたくなる肌――
あ、ひょっとしてドーマウスばいく全部を洗うのかな?
アタシはそのことをキジコさんに尋ねると
「そうですの、例えばいくに成りきっても彼女達は魔物娘、キレイな状態で展示した方がお客さんも喜びますの」
「だったらアタシも手伝うわ」
「……手伝ってくれますの?」
「人数が多いほうが早く済むでしょ?コルヌさんとチェルも手伝って」
「ニャ!チェルもですか!?」
「わっくす掛けの経験があるんでしょ、猫の手も借りたいの」
「じゃあやり方を教えてあげるから手伝って」
「お願いします、バリスさん」
「困った時はお互い様よ。それに君達なら手入れ中に劣情を抱いて襲い掛かることは無いからね」
「じゃあオレも」
「『へーくん』を除けば、ね」
「ショボーン」
こうしてドーマウスばいくのわっくす掛け(へーくんは見学)が始まったわ。
Μ三十分後Μ
「バリスさん、九匹目終わりました」
「新しく入荷した娘は私に任せて」
「バリスさんの手で美しくなるばいくがまったひとつ〜♪」ニヤニヤ
へーくんがニヤニヤするのも無理ない。
わっくす掛けしたワイトばいくは言葉に出来ない美しさだったわ。
言葉に出来るのは同族であるワイトだけだと思う。
いよいよバリスさんの作業が始まる
スポンジが幼い身体に触れ
「ん、んんっ」
身体を拭かれる女性兵士が喘ぐ
「あー」
余分な脂肪が無くなりぷにぷにになった胸をやさしく撫でられ
「ひゃぅっ!」
スポンジが桃色の先端に触れるたび、快感を感じ
「もっ、と、せーえきかけて」
口元から涎が垂れる
「給油口は耐熱性のわっくすを使うからね」
バリスさんが別のわっくすをスポンジに浸すと給油口を拭き始める
シュッシュッシュッ
「ひゃううう!そこ、そこ」クチュ、クチュ
ゆっくりと、なぞるように
「感じちゃうよぉ〜」ビクンビクン
やさしく、いやらしく
Μ
「参ったわ、どうしてあんな気持ち良さそうに感じてるわけ?オマ……給油口を拭かれてるだけなのに?」
「わっくすに含まれる精が身体に染み込んでいますの」
「ま、参ったわ。道理で敏感に感じる訳ね」
「満知子〜顔赤いぞ?」
「う、うっさいわね!見学者が口挟むな!」
「挟む?ナニを、俺のナニを挟むのかな〜?」
「だから挟まないってば!」
「何、胸で挟む?おいおい、そんな出来もしないことをムグッ」
「へーくんの口を挟んでやる!」
「今日は個性的なお客様が多いわね」
バリスさんは微笑みながら丸耳を洗う。
「贅沢を言えば未婚の男性客が訪れてほしかったけど」
「ひょっとしてバリスさんの夫候補?」
「満知子ちゃん不正解、私は仕事一筋で結婚はまだまだ先の話」
「じゃあ答えは?」
「それは未婚の男性がドーマウスばいくを見れば――」
「脱出チケットの匂いを辿ってきたら、なんだここは!?」
「今度は男の討伐隊だね」
「お前がコルヌか?俺はK-250、お前のチケットを奪……」
K-250という男性兵士がドーマウスばいくを見て
「……」トコトコ
コルヌさんの横を通り、彼女達に近寄る。
「何だこの可愛らしい幼女たちは!?」
「ドーマウスばいくよ」
「そうか、ドーマウスばいくというのか、不思議と後ろから犯したくなる優れものだな!」
「どうぞ、十魔十色のばいく達から好きなのを一匹を選んで、熱い給油口から熱い燃料を注入してください」
「グヘヘヘヘ〜ドーマウスと合体するぞ〜」
「K-250はズボンを脱ぎ、膨張したノズルをドーマウスばいくの給油口に挿入!」
「前へ後ろへ獣のようにズン!ズン!とピストン!」
「ノズルから白い燃料が給油口に注入された!」
「K(け)2(つ)50(ごう)の名に恥じない見事な結合をしているぜ!」
「へーくん、やけに張り切って実況してるわね」
「オレを誰だと思ってやがる?陽気な住民も泣いて逃げ出す大の狂気好きだぜ?」
「そう言えば狂気の狩人(マッドハンター)と呼ばれていた時期があったわね……」
「おっと、賢者モードに入ったK-250は給油口からノズルを抜いた!給油口から白濁の燃料がゴボゴボと漏れだしている!」
「ふぅ、気に入った、このドーマウスばいくをくれ!」
「購入ですね?では購入の手続きをしますのでこちらへ」
バリスさんがK-250を事務用のテーブルへ案内する。選ばれたドーマウスもハイハイしながら彼についていく。
「本来なら一匹につき金貨十枚のローン払いですが、討伐隊特典として一匹までなら無料となっております。まずはこの紙にお名前のご記入をお願いします」
バリスさんが内容が書かれた刑約書を取り出す。
「K-250、と」
「購入後は四つん這い用の仮免許が適用されますが、有効期限は一年間ですので、それまでに教習所で免許の取得をお願いします」
K-250は刑約を終えると
「ヨツンバウェイを突っ走るぜ」
ドーマウスばいくに股がり、ばいく屋を後にした。
「良かったまた一人買い手が見つかって」
「すごく嬉しそうですね」
「当然よ、この娘達は自分専用の乗り手が見つかるまでばいく屋から出る気は無いのよ。一時期城の兵士が回収に来たけど、その場から一歩も動かなかったわ。購入を薦めたけど結果はお察しくださいだったわ」
「そもそも一匹につき金貨十枚は相場が高すぎるわ、ラピッドタウンじゃ食料品一年分買ってもお釣りがくるわよ」
「バリスさん、金貨九十枚ならボクが払うよ」
「コルヌさんが出してくれるのですか?」
「うん、競技場で稼いだ賞金がボクの金庫に眠っているから」
「ありがとうございます。出来れば保証人として乗り手を最低一人連れてきてほしいけど……」
「判りましたバリスさん、討伐隊を連れてきます――」
「――勿論、未婚の男性をね」
Μばいく屋入口Μ
「まずは相談所に戻る必要がありますの」
「よろしくお願いします」
ばいく屋を出たアタシ達はキジコさんの案内により、もと来た道へと戻る。
「相談所はばいく屋とは反対の方角にありますの」
「少し歩く必要がありそうね」
アタシは巨大門にいる彼等が様子が気になったので、振り向くと
「でな、ぴょいーん♪と飛び降りちゃう魔のカーブがあってな」「あってな」
「ライドバック夫妻が自慢話をしてますの」
「参ったわ、まだ語ってたのね」
「ライドさんは一度ばいくの事を語り出すと止まりませんの」
「寄り道してすみませんでした」
「大丈夫ですの、この国の住民は寄り道してなんぼですの」
アタシはライドを遠くから見つめながら巨大門を通過する
彼等はいつ交わりに直結するかしら?と思いながら。
Μ続くΜ
Μ初太視点Μ
「故郷ですか?」
「そうだ、俺が住んでた家だ」
「ここが、初太が生まれ育った家……」
「いや、正確には両親が事故で亡くなってから住み始めた家だ」
「ご、ごめんなさい。つい余計なこと言って」
「いいよ、それよりちょっと寒いから入ろう。もしかしたらせんせーがいるかもしれない」
俺は冬の寒さを体感しながらマドラと一緒に家の敷地に入る。
この季節になると学校帰りがしんどくて、家を見るとホッとしたんだっけ。
せんせーがドアの鍵を開けてくれて、ドアノブを引けば玄関が――
ΜΜΜ
安心は、唖然へと変わる。
「なぜだ……入口には靴棚と植木鉢が置いてあるはず……こんな豪華な装飾じゃないぞ」
「わたしの家です」
「え?」
「ここはわたしが生まれ育ったの家の玄関です」
今度はマドラが饒舌に語り始める。
「絨毯の感触、ガラスから射す光、広間の湿度、何もかもが同じ」
まるで自分の家を説明するかのように。
「どうして戻ってきちゃったの?」
「二度とこの家には戻らないと決めていたのに……」
Μ不思議の国・ばいく屋Μ
Μ満知子視点Μ
「ドッペルゲンガー?」
アタシは先程まで白髪のアリスだった黒づくめの少女に言う。
「満知子、これがドッペルゲンガーだよ」
へーくんが図鑑アプリの『ドッペルゲンガー』の項目を見せる。
挿絵には黒づくめの少女とは似ても似つかない抜群のスタイルを持つお姫様が描かれていたが、よく見るとその後ろに黒づくめの少女が隠れるように潜んでいた。
「ドッペルゲンガーは別の女性の姿に化ける魔物だそうだ。彼女はその能力で女王様の姿に変化してたんだな」
「その通りですの。ツトムはハートの女王を愛してますの」
黒づくめの少女はくるりと回り、白髪のアリスへと姿を変える。
「更にツトムが理想とする慈悲深い性格が反映されてますの」
「そうですニャ、ゆえにキジコ様は城下町の住人から『優しい女王様』と呼ばれてますニャ」
「補足してくれて感謝しますの」
「女王様の顔で褒められるとちょっと寒気がしますニャ」
「チェルは相変わらず女王様からちょっかいを出されて大変そうですの」
「ニャー確かに女王様の我儘にはほとほと困ってますが、カミラ様、マーゾ様、シンデレラ様、それに轟店長に濃き使われるよりは…訂正ですニャ!轟店長は関係ありませんニャ!」
「大丈夫ですの、轟さんはドリフトさんと共に出張中ですの」
「そうニャのですか?」
「ばいく工場でトラブルが発生して、原因究明のため工場地帯へと向かったようですの。そこで事情を知ったわたしが店の手伝いに来ましたの」
「助かりましたニャ、もし轟店長の耳に入ったら、またばいくのわっくす掛けをさせられるところでしたニャ」
チェルがホッとしていると、バリスさんが思い出したかのように
「そうだった、彼女達の手入れをしなくちゃ」
棚にあるわっくすを数個取り出し、更に引き出しから化粧用のパフを取り出す。
「傷の修復もするのですニャ?」
「そうなのよ、不意にマッドハッターの若夫婦が現れてドーマウスばいくを踏みつけちゃってさ」
「それですよ、バリスさん!」
「ど、どうしたの急に大声を出して?」
「アタシ達はですね、行方不明の友達を探していてですね、ばいくに詳しいライド夫妻からドーマウスばいくの話を聞いて、討伐隊がばいくに目覚めちゃって、それからこの店を訪れた討伐隊を片っ端から紅茶を飲ませて、ドーマウスばいく全部討伐隊で――」
アタシはライドさんが教えてくれたことをバリスさんに伝えようとするが
「落ち着け満知子」
へーくんがアタシのウサ耳をピョイーンと引っ張った。
「ひゃう!?」
「何言ってるのかさっぱりだろ」
「だからと言って頭の耳を引っ張らないでよ、敏感なのよ」
「敏感だから、だろ♪」
へーくんはドヤ顔で語る。
こんな状況じゃなきゃ「何ドヤ顔で敏感な所を触ってるのよ、他にも触るところがあるでしょ!」と言いたい。
「ボクが説明するよ」
コルヌさんがアタシの代わりにバリスさんに事情を伝えた。
「――以上がボク達がここへ来た経緯です」
「成る程、道理で突然現れた訳ね」
「二人の行方は?」
「ううん、数秒もしないうちに消えたから判らないわ」
「そんな……ここも手がかりなしなの」
アタシは落胆する
「友達を探しているのですの?」
と、女王様……の姿をしたドッペルゲンガーがアタシに声をかけてきた。
「もしかしたら力になれるかもしれませんの」
「ちから……?」
「友達の手がかりを探れますの」
「ほ、本当ですか!?女王様」
「そうか、キジコさんの能力なら……」
「コルヌさんも心当たりがあるんだ。教えてください、女王様、まどっちは?初太は?何処にいるのですか?」
「ま、待つですの!?直ぐには判りませんの!」
「やっぱり知ってたじゃないですか、勿体ぶらないでよ、ね!?」
「だから落ち着け」ピョンピョン
「ひゃうっ、へーくん、耳を引っ張らないでぇ」
「ほぃ」
「ハァーハァー、参ったわ、こんな状況じゃなきゃ、へーくんを襲う所だったわ」
「つーか女王様じゃないって言ってるだろ」
「お、思い込みよ、マーチヘア特有の思い込み!」
「満知子ちゃん、キジコさんが二人の行方を探すには下準備が必要なんだ」
「コルヌの言う通りですの。慌てず騒がず、今は彼女達のわっくす掛けが優先ですの」
「じゃあこの娘の肌にパフを当てるから、キジコさんはその娘をお願い」
「はいですの、バリスさん」
女王様……いやキジコさんもわっくすをスポンジに吹き掛け、ドーマウスばいくの身体を拭き始める。
ムラなく縦に沿うように、幼い肌はつるつるピカピカになり、その魅力を増す。
もしアタシが男だったら、つい触りたくなる肌――
あ、ひょっとしてドーマウスばいく全部を洗うのかな?
アタシはそのことをキジコさんに尋ねると
「そうですの、例えばいくに成りきっても彼女達は魔物娘、キレイな状態で展示した方がお客さんも喜びますの」
「だったらアタシも手伝うわ」
「……手伝ってくれますの?」
「人数が多いほうが早く済むでしょ?コルヌさんとチェルも手伝って」
「ニャ!チェルもですか!?」
「わっくす掛けの経験があるんでしょ、猫の手も借りたいの」
「じゃあやり方を教えてあげるから手伝って」
「お願いします、バリスさん」
「困った時はお互い様よ。それに君達なら手入れ中に劣情を抱いて襲い掛かることは無いからね」
「じゃあオレも」
「『へーくん』を除けば、ね」
「ショボーン」
こうしてドーマウスばいくのわっくす掛け(へーくんは見学)が始まったわ。
Μ三十分後Μ
「バリスさん、九匹目終わりました」
「新しく入荷した娘は私に任せて」
「バリスさんの手で美しくなるばいくがまったひとつ〜♪」ニヤニヤ
へーくんがニヤニヤするのも無理ない。
わっくす掛けしたワイトばいくは言葉に出来ない美しさだったわ。
言葉に出来るのは同族であるワイトだけだと思う。
いよいよバリスさんの作業が始まる
スポンジが幼い身体に触れ
「ん、んんっ」
身体を拭かれる女性兵士が喘ぐ
「あー」
余分な脂肪が無くなりぷにぷにになった胸をやさしく撫でられ
「ひゃぅっ!」
スポンジが桃色の先端に触れるたび、快感を感じ
「もっ、と、せーえきかけて」
口元から涎が垂れる
「給油口は耐熱性のわっくすを使うからね」
バリスさんが別のわっくすをスポンジに浸すと給油口を拭き始める
シュッシュッシュッ
「ひゃううう!そこ、そこ」クチュ、クチュ
ゆっくりと、なぞるように
「感じちゃうよぉ〜」ビクンビクン
やさしく、いやらしく
Μ
「参ったわ、どうしてあんな気持ち良さそうに感じてるわけ?オマ……給油口を拭かれてるだけなのに?」
「わっくすに含まれる精が身体に染み込んでいますの」
「ま、参ったわ。道理で敏感に感じる訳ね」
「満知子〜顔赤いぞ?」
「う、うっさいわね!見学者が口挟むな!」
「挟む?ナニを、俺のナニを挟むのかな〜?」
「だから挟まないってば!」
「何、胸で挟む?おいおい、そんな出来もしないことをムグッ」
「へーくんの口を挟んでやる!」
「今日は個性的なお客様が多いわね」
バリスさんは微笑みながら丸耳を洗う。
「贅沢を言えば未婚の男性客が訪れてほしかったけど」
「ひょっとしてバリスさんの夫候補?」
「満知子ちゃん不正解、私は仕事一筋で結婚はまだまだ先の話」
「じゃあ答えは?」
「それは未婚の男性がドーマウスばいくを見れば――」
「脱出チケットの匂いを辿ってきたら、なんだここは!?」
「今度は男の討伐隊だね」
「お前がコルヌか?俺はK-250、お前のチケットを奪……」
K-250という男性兵士がドーマウスばいくを見て
「……」トコトコ
コルヌさんの横を通り、彼女達に近寄る。
「何だこの可愛らしい幼女たちは!?」
「ドーマウスばいくよ」
「そうか、ドーマウスばいくというのか、不思議と後ろから犯したくなる優れものだな!」
「どうぞ、十魔十色のばいく達から好きなのを一匹を選んで、熱い給油口から熱い燃料を注入してください」
「グヘヘヘヘ〜ドーマウスと合体するぞ〜」
「K-250はズボンを脱ぎ、膨張したノズルをドーマウスばいくの給油口に挿入!」
「前へ後ろへ獣のようにズン!ズン!とピストン!」
「ノズルから白い燃料が給油口に注入された!」
「K(け)2(つ)50(ごう)の名に恥じない見事な結合をしているぜ!」
「へーくん、やけに張り切って実況してるわね」
「オレを誰だと思ってやがる?陽気な住民も泣いて逃げ出す大の狂気好きだぜ?」
「そう言えば狂気の狩人(マッドハンター)と呼ばれていた時期があったわね……」
「おっと、賢者モードに入ったK-250は給油口からノズルを抜いた!給油口から白濁の燃料がゴボゴボと漏れだしている!」
「ふぅ、気に入った、このドーマウスばいくをくれ!」
「購入ですね?では購入の手続きをしますのでこちらへ」
バリスさんがK-250を事務用のテーブルへ案内する。選ばれたドーマウスもハイハイしながら彼についていく。
「本来なら一匹につき金貨十枚のローン払いですが、討伐隊特典として一匹までなら無料となっております。まずはこの紙にお名前のご記入をお願いします」
バリスさんが内容が書かれた刑約書を取り出す。
「K-250、と」
「購入後は四つん這い用の仮免許が適用されますが、有効期限は一年間ですので、それまでに教習所で免許の取得をお願いします」
K-250は刑約を終えると
「ヨツンバウェイを突っ走るぜ」
ドーマウスばいくに股がり、ばいく屋を後にした。
「良かったまた一人買い手が見つかって」
「すごく嬉しそうですね」
「当然よ、この娘達は自分専用の乗り手が見つかるまでばいく屋から出る気は無いのよ。一時期城の兵士が回収に来たけど、その場から一歩も動かなかったわ。購入を薦めたけど結果はお察しくださいだったわ」
「そもそも一匹につき金貨十枚は相場が高すぎるわ、ラピッドタウンじゃ食料品一年分買ってもお釣りがくるわよ」
「バリスさん、金貨九十枚ならボクが払うよ」
「コルヌさんが出してくれるのですか?」
「うん、競技場で稼いだ賞金がボクの金庫に眠っているから」
「ありがとうございます。出来れば保証人として乗り手を最低一人連れてきてほしいけど……」
「判りましたバリスさん、討伐隊を連れてきます――」
「――勿論、未婚の男性をね」
Μばいく屋入口Μ
「まずは相談所に戻る必要がありますの」
「よろしくお願いします」
ばいく屋を出たアタシ達はキジコさんの案内により、もと来た道へと戻る。
「相談所はばいく屋とは反対の方角にありますの」
「少し歩く必要がありそうね」
アタシは巨大門にいる彼等が様子が気になったので、振り向くと
「でな、ぴょいーん♪と飛び降りちゃう魔のカーブがあってな」「あってな」
「ライドバック夫妻が自慢話をしてますの」
「参ったわ、まだ語ってたのね」
「ライドさんは一度ばいくの事を語り出すと止まりませんの」
「寄り道してすみませんでした」
「大丈夫ですの、この国の住民は寄り道してなんぼですの」
アタシはライドを遠くから見つめながら巨大門を通過する
彼等はいつ交わりに直結するかしら?と思いながら。
Μ続くΜ
14/12/21 21:50更新 / ドリルモール
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