今日からお姉ちゃん!
「と、いうわけで今日からヒューイは私の弟よ!!」
ベッドの上に仁王立ちになり、ヒューイを指さすデーモンのヴァーミリアスにヒューイはポカンとするしかなかった。
夜の闇をそのまま切り取ったかのような美しい群青色の髪をポニーテールにし、胸も尻も良い形をしており男を魅了するには充分すぎる。切れ長の瞳に、綺麗な青い肌のヴァーミリアスはヒューイの嫁である。
彼女と契約という名の結婚をしてから半年、ヴァーミリアスは時々こういった訳の分からない事を言いだす。しかし、それもまた彼女の魅力の一つだ。
「…とりあえず、ベッドの上に立つのはやめなさい」
「あ、ハイ」
ヒューイが叱るとヴァーミリアスは大人しくベッドから降りた。熱いコーヒーを飲みながらヒューイは彼女の言いたい事を理解しようとしたが、やはり分からなかった。
「なぁ、ヴァム…その、どういう意味だ?オレがお前の弟ってのは」
「え?言葉どおりの意味よ。私は今日からお姉ちゃん!そして、ヒューイは私の可愛い弟よ!!」
やはり分からない。
ドヤ顔で腕を組み、フフンと得意げに鼻を鳴らすヴァーミリアスには悪いが全く分からない。
コメカミを押さえ、ヒューイは唸った。
「…悪い、やっぱり意味が分からないんだ。というか、突っ込みきれない」
「あら?こんな昼間っから私に突っ込みたいの?もう、エッチな弟を持つとお姉ちゃんは大変だわぁ♪」
ダメだ、このお姉ちゃん…
ヴァーミリアスは頬を赤らめ、恥ずかしそうに体をくねらせる。尻尾もまた体の動きに合わせ、左右に揺れる。
「ほぉら♪弟は大人しくお姉ちゃんに甘えればいいの♪」
「む、ぐ…!」
考えていると、ヴァーミリアスがヒューイの足に座る。そのまま対面座位の姿勢で優しく抱きしめてきた。大きな胸がヒューイの頭を支え、甘く淫らな匂いがヒューイの鼻をくすぐる。よしよしと頭を撫でてくるが、心地良さと気恥ずかしさがあった。抱きしめながらもヴァーミリアスは甘えるようにヒューイに体を押し付けてくる。
ヒューイは苦笑しながら、ヴァーミリアスの体を抱き返す。丁度手の位置にあった丸い尻をなぞるように撫でるとヴァーミリアスはくすぐったそうに笑った。
「こーら、変な所触らないの。ん、あぁ…もう、悪戯っ子ね♪」
悪戯をした子どもをたしなめるようにヴァーミリアスはヒューイの額を指で小突くも悪い気はしていないようだ。
その証拠に、ヒューイは熱い視線を感じていた。
全身が焼けてしまいそうになるヴァーミリアスの熱がこもった視線が、ヒューイを射抜いている。その視線の中にはヒューイに対する愛情と欲望が渦を巻き、溢れかえっていた。
その熱視線にヒューイも感化されたようだ。
撫でるように動かしていた掌を揉む動きに変えると、ヴァーミリアスの反応は見て分かるほどに変わっていった。柔らかいがしっかりと弾力のある尻に指を食い込ませ、割れ目の方に指を進ませるとヴァーミリアスの唇からは呼吸が漏れ、切なそうな喘ぎ声が出た。
ヒューイの太ももに股間を押しあて、腰をゆっくりと動かし擦りつける。
「ん、あぁ…うふふ、さぁ、お姉ちゃんに甘えなさい♪」
「んああ!はぁ、あぐぅううう!」
ヴァーミリアスは露骨な声を上げる。ヴァーミリアスの中はまるで熱いゼリーのようだった。動かなくても肉壁が蠢き、肉棒に絡みつき、時々ギュウッと締めつけてくる。その動きにヒューイは呻き声を漏らさずにいられなかった。
ヴァーミリアスはベッドの上でヒューイに犯されていた。先ほどまでお姉ちゃんと言ってリードしようとしていた姿は既に無く、愛おしい雄に犯され汚されることに至上の喜びを覚えるだけの雌だ。
ベッドに押し倒され、両足を大きく広げヒューイを受け入れるその姿はまるで今まで待てをされて散々焦らされた犬がようやく食事にありつけたように貪欲なものだった。
「くふぅ!あぁ、ヒューイ!ヒューイィッ!!」
「ヴァム…!ッ!ぐう!!」
ヒューイの腰を足で挟み、甘えるようにヒューイの体に抱きつく。
のしかかったヒューイが腰を動かすと、部屋中に濡れた音とかき回す音が淫らに響く。
「あぁ、ヒューイのいい!すごく!すごくいいのォ!!」
ヴァーミリアスは自ら腰を浮かせ、少しでも動いて快楽を得ようと必死になる。そのいじらしさがたまらなく愛おしく、ヒューイは唇を近付けた。
ヒューイの唇を舐め、ヴァーミリアスは舌を絡ませて互いの唾液が混ざった物を飲み込んでいく。
「んぷ…ぷはぁ、あ!んんん…!もっと、もっとぉ♪」
甘えたようなその声に、ヒューイは思わずサディステックな笑みを浮かべた。ヒューイはヴァーミリアスの体を持ち上げ、上半身を抱き起こしながらヴァーミリアスに更に強く腰を打ちつける。
「ひぁぁぁ!ん、ヒューイ!あぁぁ!」
すっかり勃起した肉豆をヒューイが弄ってやると、ヴァーミリアスは更に甲高く声を上げイヤイヤと首を振る。しかし、抵抗しようとはぜずそれどころか更に快感を貪ろうと器用に腰を動かす。
ヴァーミリアスは体を前に倒され、ベッドに手を突いた。四つん這いの姿勢のままでバックからヒューイは責める。
「あ、んん!こ、こんな恰好で…あくぅ!」
恥じらうような言葉をもらしつつ、その表情は既に快感にとろけていた。
「ヴァムは…お姉ちゃんはこの恰好が好きだろう?」
ヒューイは意地悪くそう言いながら、ヴァーミリアスの尻を掴み、力強く腰を打ちつける。丸く柔らかい尻が腰とぶつかり、乾いた音が響き渡った。
こんな昼間から交わっていては近所に聞かれる可能性もあったが、今更気にする必要も無い。それどころか、誰かに見せつけてやりたいとまでヒューイは思っていた。そして、それはヴァーミリアスも同じであった。
「んうう!好き!これ、大好きぃぃぃ!!」
ヴァーミリアスの喘ぎ声がさらに高くなる。
ヒューイは射精をこらえるのに必死だったが、それも既に限界だった。ヴァーミリアスの肉壺に快感で恍惚となり、我を忘れて抜き差しをする。
「ぐぅ!!」
「んあああ、あ!一緒!一緒がいいぃぃ!」
まるで雌犬のような格好で犯されているヴァーミリアスも叫ぶ。先ほどから何回か軽い絶頂に達しているのだろう、何度もビクンッと背筋を反らす。
ヒューイは猛然と腰を動かし、肉棒が抜ける寸前まで引き抜くと、一気に奥深くに突き入れた。
「ひぐッ!ッああああぁぁぁぁぁッ!!!」
ヴァーミリアスが盛大に声を上げたと同時にヒューイも彼女の中に射精した。まるで塊のような精液がヴァーミリアスの中で弾け、ドロッとした精液が縦横無尽に暴れ回った。肉棒が何度も痙攣し、ヴァーミリアスはそれを感じ取ると胸の中が喜びでいっぱいになる。うつぶせで寝そべったヴァーミリアスにのしかかるヒューイの熱を感じながら、ヴァーミリアスは余韻に浸った。
「納得いかなーいッ!!!」
行為を終え、一息つくとヴァーミリアスは癇癪を起したようにベッドの上でジタバタと駄々をこね始めた。
「ちょ、どうした!?」
疲れと満足に浸っていたヒューイは慌ててヴァーミリアスを抱き締め、その頭を撫でてやる。ヴァーミリアスは抜け出そうともぞもぞと動いていたが、すぐに大人しくなった。
しかし、何かが気に食わないのか不機嫌そうな顔で頬を膨らませ、ブスーッとしている。
「うー…」
「突然どうした?何かあったのか」
「……」
唸り声を上げていたヴァーミリアスは急に黙るとヒューイを見上げた。
その瞳に映る不安をヒューイは見逃さなかった。
かつて、ヒューイはとある町で医者として働いていた。人のためになれるよう医者を目指し、その夢が叶ったのだ。
しかし、彼が診るのは大半が負傷兵だった。彼らは誰かのために戦い、傷ついており、中には助からなかった者もいる。怪我が治ればまた戦場へと戻り、そのまま戻らなかった者も多い。そして、彼らが戦っていた兵士もまた同じ理由で戦っていたのだった。
そんな負傷兵を診続けてヒューイは分からなくなっていた。このまま戦いが続けば、自分達は相手を憎み、また相手も同じように自分達を憎むようになる。そうなれば世界は憎しみでいっぱいになってしまう。
兵士を治し、戦場へ戻す医者もその憎しみの連鎖に関わっている歯車の1つであることにヒューイは気が付くと、彼は何もかもが分からなくなっていた。医者は人を治し、また戦場へと送り出し、負傷した兵士をまた診てまた戦場へと送り出す。その地獄の連鎖から抜け出す術を知らないヒューイはそのままズルズルと憎しみの連鎖に巻き込まれていった。
そんなある日、リリム率いる魔物娘の軍勢が両軍の争いを止めた。憎しみの連鎖を忌み嫌う魔物が断ち切るとは何とも皮肉な話だが、少なくともヒューイはその皮肉な話に救われたのだ。
そして、ヴァーミリアスと出会った。
「その苦しみ…悲しみ…全て、私が受け止めてあげるわ」
そう言って差しのべられた手をヒューイは一生忘れない。
その時の自分も今のヴァーミリアスのような顔をしていたのかもしれない。
「…ヴァム」
「嫌なのよ…私は貴方との関係が一般的であることに、ね」
そう呟くとヴァーミリアスは寂しそうに目を伏せ、より強くヒューイに抱きついた。ヒューイはただ彼女を抱きしめ、その頭を撫でてやる事しかできなかった。
「どういう意味だ?」
「この世界にはたくさんの愛し合う者達がいるわ。人間と人間、人間と魔物娘…それこそ、星の数ほどね」
「…あぁ」
「私はそれが嫌なの。そんな星の数なんて言葉に入りたくない…」
「……」
「だって、私とヒューイの出会いはもっと特別なはずでしょ?特別なものであって欲しいの…それこそ、他の星を照らすような、月のような存在でいたいのよ」
それが急にお姉ちゃんと言いだした理由か。
あの奇妙は言動も、彼女なりの工夫であり、そういった理由があったのだ。
彼女に救われ、力になりたい、支えてやりたいと思っていたが、ヴァーミリアスのそんな悩みにすら気付けなかったヒューイは自分の無力、そして愚鈍を呪った。
「…ヴァム」
「あ…」
彼女の苦しみを理解できなかったからとかそんな陳腐な理由ではなく、ヒューイはただただヴァーミリアスを強く抱きしめた。一瞬、ヴァーミリアスの体が震えたがヒューイは気にしなかった。
「…なれるさ」
「え…?」
「オレとキミなら月にだってなれるさ…なれるはずだ」
根拠はない。確実でもない。それでも、奇妙な自信がヒューイにはあった。
何と言えばいいか分からない。それでも、彼女の言うようにオレ達はもっと特別な存在でいたいのかもしれない。
いや、特別なんていらない。
「…本当?」
上目づかいにそう聞いてくるヴァーミリアスはまるで子供のようだった。そんな彼女が愛おしくなり、ヒューイは彼女の顔を近づけ唇を重ねた。ヴァーミリアスは驚いたように目を開いたが、すぐに目尻が下がり、侵入してくる舌を吸い、舐め回し舌を絡ませた。
しばらくそうしていたが、どちらともなく唇を離した。2人の唇を唾液が糸を引く。
「あぁ、なれる。なってやるとも」
「期待していいのかしら?」
「あぁ、約束する…オレ達の存在を多くの人に知ってもらうんだ。そして、誰もが妬むような夫婦になろう」
「ふふふ、素敵ね。ねぇ、ヒューイ…」
ヴァーミリアスは怪しく笑うと、ヒューイの首に腕を回す。
「見せつけてやりましょう?世界に…私達を、ね♪」
終わり
ベッドの上に仁王立ちになり、ヒューイを指さすデーモンのヴァーミリアスにヒューイはポカンとするしかなかった。
夜の闇をそのまま切り取ったかのような美しい群青色の髪をポニーテールにし、胸も尻も良い形をしており男を魅了するには充分すぎる。切れ長の瞳に、綺麗な青い肌のヴァーミリアスはヒューイの嫁である。
彼女と契約という名の結婚をしてから半年、ヴァーミリアスは時々こういった訳の分からない事を言いだす。しかし、それもまた彼女の魅力の一つだ。
「…とりあえず、ベッドの上に立つのはやめなさい」
「あ、ハイ」
ヒューイが叱るとヴァーミリアスは大人しくベッドから降りた。熱いコーヒーを飲みながらヒューイは彼女の言いたい事を理解しようとしたが、やはり分からなかった。
「なぁ、ヴァム…その、どういう意味だ?オレがお前の弟ってのは」
「え?言葉どおりの意味よ。私は今日からお姉ちゃん!そして、ヒューイは私の可愛い弟よ!!」
やはり分からない。
ドヤ顔で腕を組み、フフンと得意げに鼻を鳴らすヴァーミリアスには悪いが全く分からない。
コメカミを押さえ、ヒューイは唸った。
「…悪い、やっぱり意味が分からないんだ。というか、突っ込みきれない」
「あら?こんな昼間っから私に突っ込みたいの?もう、エッチな弟を持つとお姉ちゃんは大変だわぁ♪」
ダメだ、このお姉ちゃん…
ヴァーミリアスは頬を赤らめ、恥ずかしそうに体をくねらせる。尻尾もまた体の動きに合わせ、左右に揺れる。
「ほぉら♪弟は大人しくお姉ちゃんに甘えればいいの♪」
「む、ぐ…!」
考えていると、ヴァーミリアスがヒューイの足に座る。そのまま対面座位の姿勢で優しく抱きしめてきた。大きな胸がヒューイの頭を支え、甘く淫らな匂いがヒューイの鼻をくすぐる。よしよしと頭を撫でてくるが、心地良さと気恥ずかしさがあった。抱きしめながらもヴァーミリアスは甘えるようにヒューイに体を押し付けてくる。
ヒューイは苦笑しながら、ヴァーミリアスの体を抱き返す。丁度手の位置にあった丸い尻をなぞるように撫でるとヴァーミリアスはくすぐったそうに笑った。
「こーら、変な所触らないの。ん、あぁ…もう、悪戯っ子ね♪」
悪戯をした子どもをたしなめるようにヴァーミリアスはヒューイの額を指で小突くも悪い気はしていないようだ。
その証拠に、ヒューイは熱い視線を感じていた。
全身が焼けてしまいそうになるヴァーミリアスの熱がこもった視線が、ヒューイを射抜いている。その視線の中にはヒューイに対する愛情と欲望が渦を巻き、溢れかえっていた。
その熱視線にヒューイも感化されたようだ。
撫でるように動かしていた掌を揉む動きに変えると、ヴァーミリアスの反応は見て分かるほどに変わっていった。柔らかいがしっかりと弾力のある尻に指を食い込ませ、割れ目の方に指を進ませるとヴァーミリアスの唇からは呼吸が漏れ、切なそうな喘ぎ声が出た。
ヒューイの太ももに股間を押しあて、腰をゆっくりと動かし擦りつける。
「ん、あぁ…うふふ、さぁ、お姉ちゃんに甘えなさい♪」
「んああ!はぁ、あぐぅううう!」
ヴァーミリアスは露骨な声を上げる。ヴァーミリアスの中はまるで熱いゼリーのようだった。動かなくても肉壁が蠢き、肉棒に絡みつき、時々ギュウッと締めつけてくる。その動きにヒューイは呻き声を漏らさずにいられなかった。
ヴァーミリアスはベッドの上でヒューイに犯されていた。先ほどまでお姉ちゃんと言ってリードしようとしていた姿は既に無く、愛おしい雄に犯され汚されることに至上の喜びを覚えるだけの雌だ。
ベッドに押し倒され、両足を大きく広げヒューイを受け入れるその姿はまるで今まで待てをされて散々焦らされた犬がようやく食事にありつけたように貪欲なものだった。
「くふぅ!あぁ、ヒューイ!ヒューイィッ!!」
「ヴァム…!ッ!ぐう!!」
ヒューイの腰を足で挟み、甘えるようにヒューイの体に抱きつく。
のしかかったヒューイが腰を動かすと、部屋中に濡れた音とかき回す音が淫らに響く。
「あぁ、ヒューイのいい!すごく!すごくいいのォ!!」
ヴァーミリアスは自ら腰を浮かせ、少しでも動いて快楽を得ようと必死になる。そのいじらしさがたまらなく愛おしく、ヒューイは唇を近付けた。
ヒューイの唇を舐め、ヴァーミリアスは舌を絡ませて互いの唾液が混ざった物を飲み込んでいく。
「んぷ…ぷはぁ、あ!んんん…!もっと、もっとぉ♪」
甘えたようなその声に、ヒューイは思わずサディステックな笑みを浮かべた。ヒューイはヴァーミリアスの体を持ち上げ、上半身を抱き起こしながらヴァーミリアスに更に強く腰を打ちつける。
「ひぁぁぁ!ん、ヒューイ!あぁぁ!」
すっかり勃起した肉豆をヒューイが弄ってやると、ヴァーミリアスは更に甲高く声を上げイヤイヤと首を振る。しかし、抵抗しようとはぜずそれどころか更に快感を貪ろうと器用に腰を動かす。
ヴァーミリアスは体を前に倒され、ベッドに手を突いた。四つん這いの姿勢のままでバックからヒューイは責める。
「あ、んん!こ、こんな恰好で…あくぅ!」
恥じらうような言葉をもらしつつ、その表情は既に快感にとろけていた。
「ヴァムは…お姉ちゃんはこの恰好が好きだろう?」
ヒューイは意地悪くそう言いながら、ヴァーミリアスの尻を掴み、力強く腰を打ちつける。丸く柔らかい尻が腰とぶつかり、乾いた音が響き渡った。
こんな昼間から交わっていては近所に聞かれる可能性もあったが、今更気にする必要も無い。それどころか、誰かに見せつけてやりたいとまでヒューイは思っていた。そして、それはヴァーミリアスも同じであった。
「んうう!好き!これ、大好きぃぃぃ!!」
ヴァーミリアスの喘ぎ声がさらに高くなる。
ヒューイは射精をこらえるのに必死だったが、それも既に限界だった。ヴァーミリアスの肉壺に快感で恍惚となり、我を忘れて抜き差しをする。
「ぐぅ!!」
「んあああ、あ!一緒!一緒がいいぃぃ!」
まるで雌犬のような格好で犯されているヴァーミリアスも叫ぶ。先ほどから何回か軽い絶頂に達しているのだろう、何度もビクンッと背筋を反らす。
ヒューイは猛然と腰を動かし、肉棒が抜ける寸前まで引き抜くと、一気に奥深くに突き入れた。
「ひぐッ!ッああああぁぁぁぁぁッ!!!」
ヴァーミリアスが盛大に声を上げたと同時にヒューイも彼女の中に射精した。まるで塊のような精液がヴァーミリアスの中で弾け、ドロッとした精液が縦横無尽に暴れ回った。肉棒が何度も痙攣し、ヴァーミリアスはそれを感じ取ると胸の中が喜びでいっぱいになる。うつぶせで寝そべったヴァーミリアスにのしかかるヒューイの熱を感じながら、ヴァーミリアスは余韻に浸った。
「納得いかなーいッ!!!」
行為を終え、一息つくとヴァーミリアスは癇癪を起したようにベッドの上でジタバタと駄々をこね始めた。
「ちょ、どうした!?」
疲れと満足に浸っていたヒューイは慌ててヴァーミリアスを抱き締め、その頭を撫でてやる。ヴァーミリアスは抜け出そうともぞもぞと動いていたが、すぐに大人しくなった。
しかし、何かが気に食わないのか不機嫌そうな顔で頬を膨らませ、ブスーッとしている。
「うー…」
「突然どうした?何かあったのか」
「……」
唸り声を上げていたヴァーミリアスは急に黙るとヒューイを見上げた。
その瞳に映る不安をヒューイは見逃さなかった。
かつて、ヒューイはとある町で医者として働いていた。人のためになれるよう医者を目指し、その夢が叶ったのだ。
しかし、彼が診るのは大半が負傷兵だった。彼らは誰かのために戦い、傷ついており、中には助からなかった者もいる。怪我が治ればまた戦場へと戻り、そのまま戻らなかった者も多い。そして、彼らが戦っていた兵士もまた同じ理由で戦っていたのだった。
そんな負傷兵を診続けてヒューイは分からなくなっていた。このまま戦いが続けば、自分達は相手を憎み、また相手も同じように自分達を憎むようになる。そうなれば世界は憎しみでいっぱいになってしまう。
兵士を治し、戦場へ戻す医者もその憎しみの連鎖に関わっている歯車の1つであることにヒューイは気が付くと、彼は何もかもが分からなくなっていた。医者は人を治し、また戦場へと送り出し、負傷した兵士をまた診てまた戦場へと送り出す。その地獄の連鎖から抜け出す術を知らないヒューイはそのままズルズルと憎しみの連鎖に巻き込まれていった。
そんなある日、リリム率いる魔物娘の軍勢が両軍の争いを止めた。憎しみの連鎖を忌み嫌う魔物が断ち切るとは何とも皮肉な話だが、少なくともヒューイはその皮肉な話に救われたのだ。
そして、ヴァーミリアスと出会った。
「その苦しみ…悲しみ…全て、私が受け止めてあげるわ」
そう言って差しのべられた手をヒューイは一生忘れない。
その時の自分も今のヴァーミリアスのような顔をしていたのかもしれない。
「…ヴァム」
「嫌なのよ…私は貴方との関係が一般的であることに、ね」
そう呟くとヴァーミリアスは寂しそうに目を伏せ、より強くヒューイに抱きついた。ヒューイはただ彼女を抱きしめ、その頭を撫でてやる事しかできなかった。
「どういう意味だ?」
「この世界にはたくさんの愛し合う者達がいるわ。人間と人間、人間と魔物娘…それこそ、星の数ほどね」
「…あぁ」
「私はそれが嫌なの。そんな星の数なんて言葉に入りたくない…」
「……」
「だって、私とヒューイの出会いはもっと特別なはずでしょ?特別なものであって欲しいの…それこそ、他の星を照らすような、月のような存在でいたいのよ」
それが急にお姉ちゃんと言いだした理由か。
あの奇妙は言動も、彼女なりの工夫であり、そういった理由があったのだ。
彼女に救われ、力になりたい、支えてやりたいと思っていたが、ヴァーミリアスのそんな悩みにすら気付けなかったヒューイは自分の無力、そして愚鈍を呪った。
「…ヴァム」
「あ…」
彼女の苦しみを理解できなかったからとかそんな陳腐な理由ではなく、ヒューイはただただヴァーミリアスを強く抱きしめた。一瞬、ヴァーミリアスの体が震えたがヒューイは気にしなかった。
「…なれるさ」
「え…?」
「オレとキミなら月にだってなれるさ…なれるはずだ」
根拠はない。確実でもない。それでも、奇妙な自信がヒューイにはあった。
何と言えばいいか分からない。それでも、彼女の言うようにオレ達はもっと特別な存在でいたいのかもしれない。
いや、特別なんていらない。
「…本当?」
上目づかいにそう聞いてくるヴァーミリアスはまるで子供のようだった。そんな彼女が愛おしくなり、ヒューイは彼女の顔を近づけ唇を重ねた。ヴァーミリアスは驚いたように目を開いたが、すぐに目尻が下がり、侵入してくる舌を吸い、舐め回し舌を絡ませた。
しばらくそうしていたが、どちらともなく唇を離した。2人の唇を唾液が糸を引く。
「あぁ、なれる。なってやるとも」
「期待していいのかしら?」
「あぁ、約束する…オレ達の存在を多くの人に知ってもらうんだ。そして、誰もが妬むような夫婦になろう」
「ふふふ、素敵ね。ねぇ、ヒューイ…」
ヴァーミリアスは怪しく笑うと、ヒューイの首に腕を回す。
「見せつけてやりましょう?世界に…私達を、ね♪」
終わり
15/11/08 18:10更新 / ろーすとびーふ泥棒