読切小説
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カースドソードと侍と
 「だからねぇ!上田様の望まれるお仕事は無いんですよ!」

 「……」

 泣きそうな顔で叫ぶ権田を前に、上田 豊長(うえだ とよなが)は青虫を噛みしめたような苦い顔になった。
 とあるジパングの町、そこでは活気に溢れちょっと前までもののけと呼ばれていた魔物娘と人間が今では夫婦となり、生活している。最近では外国と貿易も盛んになり、外国の魔物娘も見るようになった。それが古き良きジパングの文化を害すという考えもあるようだが、ほとんどの者はそれを受け入れている。
 しかし、豊長にとってそんな事はどうでもよかった。
 外国との貿易が盛んになろうが、魔物娘と人間の夫婦が増えようが、彼のような浪人にとって関係の無い話だ。
 いや、浪人に関係ないわけではない。浪人だって上手く立ち回れば仕事に就けるご時世だ。
 上手く立ち回れない豊長のような浪人は今までと何も変わりはしないのだ。

 「上田様はねぇ、こだわりが強すぎるんですよ!平和になったこのご時世、今更剣の道だとか何だとかはもう古いんですよ!」

 「し、しかし…武士たる者、そう簡単に剣を捨てる事など」

 「そんな事言ってるから駄目なんですよ!良いですか!?このご時世、剣だけで食っていくなんて無理なんですよ!無理無理!上田様の望む剣術指南役だってねぇ、傘張りの仕事みたいに副業をやってる方が多いんですからね!」

 やっていられないと言わんばかりに権田は饅頭を頬張りながら愚痴り始めた。
 権田に言われなくたって豊長にだってそれぐらい分かる。

 「そんな風に我儘ばっかり言って、せっかく持ってきた仕事を武士の仕事じゃないってばっさり切り捨てられる私の気持ちが分かりますか!?」

 「……ぐッ」

 さっきまでの泣きそうな顔は何処へ行ったのか、権田は恨めしそうに豊長を睨み上げ怒鳴り散らした。口に含んだ饅頭がまるで散弾銃のように飛び散る。

 (きたねぇな…)

 「もうあれじゃないですか?上田様は大根育てて売った方が良いんじゃないですか?」

 「んぐ…」

 権田にそう言われると豊長は何も言えなかった。
 仕事も無く、万年金欠の豊長を支えているのは長屋の庭で細々と育てている大根であった。幼き頃、百姓の友人と遊んでいる時に手伝った経験を生かし、少しでも家計の足しになればと始めた大根栽培であったが、思った以上に好評であった。近所に配り、楽座に流せばそこそこの小遣いにはなる。
 確かに大根は万能だ。
 一晩煮込めば美味いのはもちろん、味噌汁の具にしても美味だ。大根おろしを焼き魚に乗せて醤油をかければ絶品モノである。その上、大根の葉も天ぷらにすればなかなかイケるのだ。

 (……今度焼いて醤油をかけて食ってみるか)

 「……大根侍」

 権田の言葉に思わず豊長はカッとなったが、店に飛び込んできた男によってかき消された。

 「大変だ!もののけだ!もののけが出たぞッ!!」





 男の話は単純だった。しかし、簡単ではない内容だ。
 最近、町外れの廃屋に魔物娘が住みついたらしい。その魔物娘はどうやら貿易船に密航し大陸を渡ってきたらしく、ここジパングで誰も見た事の無い魔物娘であった。
 それだけなら大した問題ではない。ジパングでは魔物娘と共存しているくらいだからだ。
 問題はその魔物娘が“人斬り”であるという点だ。

 「これこそ上田様の望まれたお仕事ですよ!もののけ退治!」

 「……」

 「そうだ、お侍さん!どうかそのもののけを退治してくだせぇ!」

 「……」

 縋るような男の声、面倒くさい客から解放される喜びに顔を輝かせる権田とは裏腹に豊長の顔は暗い。それもそのはず。
 豊長は臆病者であった。
 人を斬った事は無く、決闘らしい決闘などやった事が無い。いくつか御前試合は行なった事はあるが、それでも実戦は無いと言っても過言ではない。
 それに人間相手ならまだしも、相手は人外の存在だ。殺されるような事は無いと考えたいがどうやら相手は“人斬り”らしい。人は殺さない。近年の魔物娘に共通するこの常識も通用するか分からない。

 「上田様!今こそ、その刀を振るう機会ですよ!」

 (こ、怖い…)

 「弱者を助けてこそ、人が望む武士の姿!鏡!上田様、今こそ浪人の中の浪人という汚名を返上するべきですよ!」

 勝手な事を言う権田を豊長は睨む。
 しかし、権田は怯まず、ついでに飛び込んできた男も目をキラキラと輝かせている。
 マズい事になった…
 豊長が内心、頭を抱えていると

 「お侍さん、報酬は…」

 「!!?」

 男はそう言いながら、懐から小判を2枚取り出した。
 鈍く黄金色に輝くその小判は豊長の心をつかむのに充分であった。男の取りだした小判の魔力に目を奪われ、豊長は茫然としていた。

 「もののけ退治を依頼するのに集めたんですが…お侍さん、どうでしょうか?」

 「……」

 男の言葉は豊長の耳に入らない。
 しかし、豊長はゆっくりと確実に首を縦に振った。
 武士としての誇りも魂も今の豊長には無かった。





 「……」

 それからしばらく後、豊長は噂の廃屋の前にいた。時刻は夕刻、周囲を赤く染めゆっくりと日は傾いていく。
 門をくぐり、豊長は廃屋を見つめた。
 元は道場だったのだろうか、そんな風に思わせる作りだが、壁はヒビが入り庭は手入れがされず荒れ放題であった。

 (帰りたい…)

 帰って庭を耕して、大根を植えたい。そんな思いが豊長の頭をよぎるが、一応、依頼を引き受けた身としてはそうはいかない。それにここで尻尾を巻いて逃げだせばあの小判2枚は手に入らず、権田のみならず町民達に何を言われるか分かったものではない。
 嫌々受けた仕事ではあるが、仕方がない。
 豊長は大きく深呼吸すると、意を決して道場へ足を踏み入れた。





 道場内に生き物の気配は無かった。
 しかし、確実に何かがいるのは分かる。
 その証拠に壁や柱、さらには床にまで刃で斬りつけたような傷がある。その傷跡は新しく、依頼してきた男が言った通りならば最近密航してきたその魔物娘の仕業なのだろう。
 空気が冷たく重いのも気のせいではなく、その魔物娘の放つ“気”というものなのかもしれない。
 豊長はいつでも抜刀できるよう刀に手をかけ、ゆっくりと歩を進めた。戸をくぐり、部屋をいくつか見回り、廊下を進む。
 そして、“それ”を見つけた。
 不自然なほど広く、天井の高い道場内の日が当たらず陰になった隅の方、まるで獣のように赤く輝く瞳で豊長を見つめている。最初からそこにいたのか、それとも今この場に現れたのかそれすら分からないほど自然に、唐突に“それ”はいた。

 「…どこにでもいるものだな。命知らずの勇者気どりは」

 豊長の背筋を冷たいモノが走った。
 それは言葉ではない。声色にである。
 凛と響く美しい声、しかしその中には赤子にすら分かるほど狂気が混ざっている。静と動、その矛盾した声を“それ”は持っていたのだ。
 足の震えを必死に押さえ、豊長はまるでお守りであるかのように刀を握った。
 しかし、“それ”には分かっていたのだろう。まるで馬鹿にするように鼻を鳴らすと、ゆっくりと影の中で立ち上がった。

 「……」

 「どうした?足が震えているぞ?」

 そう言いながら“それ”は一歩ずつ歩を進め、ついに影から出るとその姿を豊長に見せた。
 剃刀のように鋭い切れ長の瞳は豊長を捉え、口元には邪悪な笑みが浮かんでいる。膝裏まで届くような赤みがかった美しい黒い長髪、雪のように白い肌をした豊満な身体、その身体の半分を禍禍しい鎧に似た何かが、拘束具のように締めつけている。そして、豊長はその腕を見て、思わず悲鳴をあげそうになった。
 “それ”の腕は剣であった。幅広で肉厚、ジパングの刀とは違って鋭さではなく重さで相手を両断する大陸の剣。さらにその剣には子どもの頭ほどの大きさがある瞳が豊長を見つめている。まるで血のように赤く染まったその瞳に見つめられていると、決して逃れられない、確実にお前を斬る、そんな強い意志と欲望が伝わってくる。
 豊長は知る由も無かったが、“それ”はカースドソードと呼ばれる魔物娘であった。
 遥か昔、旧魔王時代に手にした人間を狂戦士へと落とす呪われた魔剣。その魔剣を手にしたものは例え村娘であろうとも恐るべき狂戦士へと変化させたという。
 新魔王になってから、魔剣の特性は別の方向に変化したが、豊長はもちろん知らない。

 「…ッ…フゥ、ハァ」

 目の前のカースドソードの異形に豊長の心臓は規律を忘れ、狂ったように全身に酸素を送る。肺は大きく喘ぎ、喉からは水分が消える。頭が重く、集中できない。
 そんな豊長を見て、カースドソードはさらに口元を歪めた。

 「貴様もひと山いくらの我が剣の錆に過ぎぬか」

 「…ッ!」

 嬉しそうに笑うとカースドソードは剣を振るった。
 風を切る音が嫌というほどに響く。夕焼けを浴び、ギラリと剣先が怪しく輝く。
 それでも豊長は精一杯の勇気を振り絞り、カースドソードを静止した。

 「ま、待て!待って…くれぬか?」

 「んん?」

 突き出された手にカースドソードは首を傾げた。

 「お、俺は…キミと戦いたくない……だ、だから、大人しく何処かに行ってくれないか?」

 依頼は退治だが、別に倒す必要も無い。ただ、彼女が何処かへ行ってくれればいいのだ。
 それに、万が一にも勝ち目はない。勝てる気がしないのだ。

 「……」

 豊長の言葉にカースドソードは一瞬、寂しそうに目を伏せた。
 それは狂気に支配された存在には決して見る事の出来ないものであった。それが豊長には意外であり、同時に何処か罪悪感のようなものを感じていた。
 しかし、カースドソードはすぐに笑みを浮かべ、豊長を小馬鹿にするように鼻を鳴らした。

 「戯言を…我にとってそれは何の意味も無い。わざわざ貴様の言う通りにしてやる必要など無いな」

 「ぐ……」

 確かに。

 「戦うつもりがないのならそれでいい。貴様は我に斬られていろ。クフフ…クハハハッハハアハハッ!!」

 両手を広げ、心から楽しそうにカースドソードは笑った。
 それに豊長はまるで出来の悪い演劇を見ているようだった。壊れた役者が壊れた台詞を吐き出す。見ている者に恐怖と苦痛を与えるその演劇に豊長は吐き気を覚える。

 「さぁ、我に見せてみろッ!貴様の恐怖ッ!苦痛ッ!あぁ、見たい見たい見たいッ!貴様はどんな精を持っているッ!?貴様を切り裂き、どんな精が溢れるか楽しみで楽しみで楽しみで仕方がないなァッ!!」

 そう叫ぶと同時にカースドソードは一気に豊長に詰め寄った。それはまさに瞬間移動としか思えないような素早さであった。気が付けば、すでに目と鼻の先にいる。
 しまった、と思っても既に遅かった。

 「ッでぃいやああぁぁぁぁぁッ!!」

 「ぐあッ…!」

 豊長はカースドソードが剣を振り上げたのはギリギリ見えた。しかし、そこから先は見えず、気が付けば身体を嫌な感触と共に刃が切り裂いた。
 左肩から右の腹へ両断され、確かに斬られた感覚があった。
 しかし、

 「あぁ…!……?」

 豊長は死んでいなかった。

 (ど、どうなっている…!?オレは確かに今…)

 確かに斬られた感覚はあった。しかし、身体を見ても傷一つ無く、一滴も血は流れていない。
 魔術か何かは知らないが、まだ死んでいない。
 その事実が豊長の頭を冷静にした。落ち着いて距離を取り、カースドソードを両目に捉える。
  カースドソードは信じられないとでもいうかのように目を見開き、自分の右腕と一体化している剣と豊長を交互に見つめていた。そこに先ほどまでの狂気は無い。何か憑き物が落ちたかのようだった。

 「……汝は何だ」

 「む…?」

 ボソッと呟いた言葉に豊長は首を傾げた。
 それに構わず、カースドソードの口からは言葉が溢れだした。

 「…何なのだ何なのだ何なのだ汝は一体何だ、何者だ。何故違う。何故今までの者達と違うのだ。何故、汝の精はここまで違うのだ。何と甘美で眩しくて温かい精を持っている。もっと見せろ見せろ見せて見ろ、あぁ…欲しい、欲しい、欲しい欲しい欲しい!」

 そう叫ぶと再び狂気に目を輝かせ、カースドソードは豊長に斬りかかった。

 「我は汝が欲しい!気持ち良いのだ、汝が!汝を斬る事が気持ち良い!もっと斬らせてくれ!もっと!もっとだ!もっと我に温もりをぉぉォォォッ!!」

 「くッ…!」

 カースドソードの剣技は人間を超えていた。
 いや、それは剣技と呼べるものではなかった。
 豊長の動きに瞬時に反応し、最適の一手を叩きこむ。そんな人間離れした動きに豊長は対応できるはずも無かった。
 身体を再び斬られ、豊長はそれを実感した。

 「あ、ぐぅッ!」

 「あぁ!まただ!また気持ち良いッ!」

 豊長はたまらず後ろに倒れた。カースドソードはそのまま豊長に馬乗りになると、嬉しそうに微笑んだ。

 「くふ、くはッ…はぁ、はぁ……んちゅ」

 「んぶッ…!!ぐぐぐ…ッ!」

 不意に塞がれる唇、その唇に触れる温かく湿った感触に豊長は身体が硬くなり思考が停止した。
 そんな豊長に構わずカースドソードは唇を押しつけ、ついばむように唇を動かす。そして、豊長の唇を舌でこじ開けるとそのまま自らの舌を絡ませた。

 「んぢゅ…あむ、んん…ぢゅるる♪」

 「むッ、んぐぐぐぐッ!」

 口内に侵入する舌は豊長を味わうようにねっとりと舐め回す。舌はもちろん、歯や頬の裏側、まるで豊長の全てを自分で染めてしまうように。
 長い間なのか、それとも一瞬だったのかそんな区別もできないほど豊長の頭はカースドソードの貪るようなキスによって麻痺していた。
 カースドソードは満足したようにニンマリと笑うと唇を離した。離れた唇と唇を唾液が糸を引き、2人を繋いでいた。

 「あぁぁ…なんと甘美な感覚かぁ♪心地良い、気持ち良いぞぉぉ…」

 「な、何でこんな…」

 「くふふ、汝はそれを女に言わせるつもりか?くふふふ…まぁ、良い。汝を斬るのも気持ち良いが、今はそれ以上に…」

 カースドソードは上体を起こすと嬉しそうに豊長の胸に手を当てる。そのまま豊長の胸を撫でると、ゾクゾクとした何かが背筋を駆け抜けた。

 「こうして汝に触れている方がずっとずっとずぅぅぅぅっと、気持ち良いなぁ♪」

 カースドソードは残酷だが、無邪気で無垢な矛盾した笑みを浮かべる。

 「汝に触れるのも気持ち良いが、汝に触れられればどれだけ気持ち良いのだろうなぁ…んん?」

 そう言ってカースドソードは豊長の手を取ると自らの胸に押し当てた。
 南国の果実ほどの大きさもある乳房はツンと上を向き、桜色の乳首はぷっくりと勃起している。豊長は戸惑いつつも、手のひらに当たる確かな弾力に我慢できなくなり、ギュッと指先に力を込めた。

 「ひゃんッ!ん、んんんん♪」

 その瞬間、カースドソードはビクンと身体を震わせ、甘い声を漏らした。豊長はカースドソードの反応に何処か満足したような感じを覚えるとそのままゆっくりと乳房を揉み始めた。
 豊長の指を跳ね返すような弾力を持ちつつも、しっかりと受け入れる柔らかさを持っているその胸は揉んでいるだけでも高ぶり、下半身に血が集まっていく。カースドソードは豊長の愛撫を受け入れ、身体を前に押し出すようにして豊長が弄りやすいようにする。
 
 「ふあぁぁ…ん、いい♪もっとぉぉ♪」

 先ほどまでの高圧的な態度は何処へ行ったのか、カースドソードはすっかり甘えた声でおねだりをする。表情も熱を帯びた蕩けきった顔へ変わっている。
 そんなギャップに豊長はすっかりやられ、より強くまるで乳搾りをするかのような愛撫へと変更する。時折、乳首を摘まみ弾いたり、爪で軽く引っ掻いてやるとカースドソードは甘い喘ぎ声を漏らし、身体を震わせた。

 「あうんッ!ん、あひゃ、くうう…やはり、汝に触れてもらった方が気持ち良いぃ♪」

 「あ、あぁ…俺も気持ち良いよ」

 「くふふ、そうかそうか♪なぁら…」

 カースドソードはニンマリと笑い豊長の唇に軽くキスをすると、豊長の服をはだけさせ、彼のイチモツを優しく掴むとゆっくりと外に出した。

 「深い部分で触れ合ったならどれだけ気持ち良いのだろうなぁぁ?」

 そう呟きながら、カースドソードは手をゆっくりと上下に動かし、肉竿をしごいた。ゆったりと絡む指の動きと、じんわりと伝わる手の温もりが心地いい。豊長のモノからは溢れ出たカウパー液を潤滑剤に使いながら、カースドソードは手による奉仕を続けた。
 豊長のモノが次第に熱く硬くなっていくとカースドソードはより激しく、嬉しそうに激しく手を動かす。

 「ん、ふ…くふふふ、汝のモノが我の手で大きくなっているぞ?女にここまで好き勝手されて…は、全く、汝は情けない侍よなぁ?」

 「ぐ…だ、だまッ!んくッ!」

 「くふはは、怒るな、怒るな。なぁ、ん…口でしてやるから、な?」

 子どもをあやすような口調でそう言うと、カースドソードは豊長の身体から降りると豊長の足と足の間に身体を置き、肉棒へ愛おしそうに口付けをした。

 「ん…何と甘美な香りか。あぁ、もう我慢できんなぁ♪」

 カースドソードは口を開け、舌先で亀頭をなぞるように愛撫する。ねっとりと唾液を絡ませ、先端をほじるような動きに豊長は呻き、逃げようと腰を動かすがカースドソードはそれを許さなかった。
 亀頭に唇を当ててそのまま一気に口内へ導く。

 「んッ…!」

 「んぢゅ、むんん♪…ぢゅぷ、ぢゅるる…」

 カースドソードの口内は生温かく、肉棒に絡みつく舌、亀頭に擦るような頬の感触はこの世のものとは思えないほどに豊長に快楽をもたらした。
 カースドソードはわざとすする音、カウパー液を嚥下する音を響かせ、豊長の反応を楽しんだ。

 「んんん♪ろぉだ?ひもちいいらろ?」

 「あ、くぅぅ…」

 「んぢゅ…ふふ、何も言えぬ、か…♪まぁ、いい。そろそろ、メインディッシュといこうか?」

 射精寸前までいったところで、口淫を止めカースドソードは唇に付いた前走り液を舐めとり、豊長に跨りなおした。

 「ほぉら、見えるか?汝と我が一つになれるのだぞ?」

 そう言いながら、カースドソードは自らの秘所を指で広げて見せる。そこは綺麗なピンク色に染まり、愛液で濡れそぼっていた。豊長が興奮しきっているように、カースドソード自身も昂ぶり、熱を帯びていたのだ。
 見せつけるようにカースドソードは腰を前後に揺らした。その度に、愛液が落ちて豊長の身体を濡らす。
 豊長はただ、カースドソードの秘所に見とれ、何もできずにいた。
 カースドソードは勃起の先端を秘穴の入口にあてがった。そのまま、焦らすように亀頭を入口で擦ってやる。豊長がもどかしそうに呻き声をあげると、嬉しそうに笑い、そのままゆっくりと腰を沈めた。

 「あ、あぁぁぁぁ…♪」

 口から艶やかなため息を吐き出すと、カースドソードはそのまま肉棒を体内へ沈めていく。そして、まるで急かすように湧いてくる肉欲にうながされるままに尻を上下に動かす。

 「あ、や…んあッ、はぁッ」

 豊長は快楽に顔を歪め、カースドソードが尻を上下させる様を見ている。その視線が恥ずかしくも何故か嬉しく、カースドソードは手を豊長の胸について、さらに腰の動きを速める。

 「ん、や、やっぱりッ…こうした方が、ずっと、ずっとずっとずっと気持ち良いなぁぁ♪」

 快楽が甘く、切なくなっていくにつれカースドソードの動きは大きく、激しく、淫らになっていく。大きく円を描くように腰を動かし、膣内を埋める肉棒を強く締めつけ、絞るように。美しい黒髪を振り乱し、たわわに実った乳房がゆさゆさと揺れる。

 「くはぁ、や、な、汝がッ!わ、ああん!我の中でお、大きくぅぅ♪」

 実際、豊長は先ほどの手淫と口淫ですでに射精寸前であった。それらを寸止めされ、暴発寸前の豊長が長く持つはずも無かったのだ。
豊長は我慢できず無意識に下から力強く突き上げると、カースドソードはたまらず膣肉を締め上げる。

 「あ、ああぁッ!ん、い、いいぞ!や、すごッいぃぃ♪」

 「ううッ、だ、出るッ…!」

 豊長はズンッと力強く一突きを加えると、カースドソードは肉竿を締めつける膣がギュウッと収縮し

 「イク、あ!イクゥゥゥーッ!!」

 カースドソードが叫ぶと同時に秘所の奥に精液が噴き上がった。膣全体がまるで精液を飲み干すかのように何度も何度も収縮し、収縮するたびに愛液が溢れだす。膣内をまるで熱湯のように熱い精液が満たしていき、結合部から愛液と混じり合って漏れ出ていった。

 「はぁ、はぁ…くふふ♪ん、身体の相性は…良いみたいだなぁ?」

 カースドソードは強い快楽に意識を朦朧とさせながら満足げに呟いたが、豊長はまだ満足していなかった。その証に、肉竿は未だに熱も硬さも失っていない。
 しかし、カースドソードはそれに気付いていないのか嬉しそうに豊長の胸を撫でまわしていた。

 「む…くぅ」

 「あ、え?や…な、汝まだ」

 豊長が下から軽く動かし、揺らしてやるとさすがにカースドソードは豊長がまだ満足していない事に気が付き、見て分かるほどに狼狽していた。

 「んくぅ、や…ま、待って、まだッ、イッたばか…あんッ!」

 慌てるカースドソードの言葉を無視し、豊長は下から再び動かし、突き上げる。
 カースドソードは目を大きく見開き、まだ絶頂を迎え力が入らない身体では何もできずに豊長の好きなようにされてしまう。
 繋がったまま豊長はカースドソードの身体を支えると、道場に押し倒した。

 「んきゃッ!」

 押し倒され、カースドソードの口から可愛らしい声が漏れ出る。
 豊長はそのままカースドソードの波打つ胸を鷲掴みにした。

 「っくぅん、ひゃ、あ、それぇぇ♪」

 片手で頬を撫でられ、もう片方の手でずっしりと重量感のある胸を揉まれ、指で勃起した乳首を弄ばれるとカースドソードは喜びに身体を震わせた。

 「ッく、はぁ…あ」

 頬を撫でながら、豊長は腰を動かす。

 「あッ、ふああああッ!や、んんん♪」

 正常位の体位で組み敷かれたカースドソードは豊長に貫かれ、擦れる快楽に身悶えする。全身が汗で濡れて光り、快楽に蕩けきった表情を浮かべる。
 そんなカースドソードの顔を見ると豊長の欲望はさらに大きく燃え上がり、興奮は高まる。

 「んッ、ね、ねぇ…やぁぁ!」

 「ハァ、ハァ…な、何だ?」

 「な、汝のぁ、名前、あ、やッ名前教えてぇ?」

 上目づかいに豊長を見つめ、カースドソードは甘えるようにそう言った。快楽に呑まれつつも、カースドソードは潤んだ瞳で豊長を見上げる
 さっきまでの態度との差に豊長は思わずときめいた。

 「う、上田…豊長、だ…ッ!」

 「ト、トヨ、ナガ…んああ、トヨナガ、トヨナガ、トヨナガぁぁぁ♪」

 まるで赤ん坊が初めて覚えた言葉を褒めて欲しくて復唱するかのように、カースドソードは何度も豊長の名前を嬉しそうに口にした。

 「キミはッ…何、て呼べばいい?」

 「あぁ!ヴェルニーチェ!ヴェ、ヴェルニーチェ・ブラッツ!だ、からんんん♪ト、トヨナガの好きなようにッ、呼んでぇぇぇぇッ!」

 ヴェルニーチェはそう言うと豊長の首に手を回した。
 細くくびれた腰に、豊長の動きに合わせて波打つ乳房。長い黒髪が道場の床にまるで扇のように広がっている。
 目下のヴェルニーチェの全てが息をのむほどに美しく、淫らで芸術的であった。
 ヴェルニーチェの膣肉がギュウッと締り、豊長の肉竿を締めつける。それと同時に、膣壁がザワザワと蠢き、まるで肉竿を四方八方から舌で舐められているような錯覚を覚える。

 「む、ぐぅ…ヴェル、そんなにしたら…俺はま、た…!」

 「あッ、んんん♪い、イって?や、ヴェルの中にッ!トヨナガの…マスターの精液欲しい、欲しいよォォ♪」

 彼女の身体は無意識のうちに豊長を喜ばせようとしているのか勝手に蠢き、締めつける感触は弱まりそうにない。
 豊長は神経が切れそうなほどの快楽に酔いしれ、無我夢中になってヴェルニーチェを貪るように腰を動かす。もう少し、このまま繋がっていたい、そう思い沸き出る射精感から気を反らそうと、ヴェルニーチェの唇に吸いついた。

 「んん、ちゅ、ぷはぁ♪んんん、マスター、もっとキス、キスしてぇ♪」

 ヴェルニーチェは侵入してきた舌に吸いつき、流し込まれる唾液をまるで美酒のように飲み込んでいく。お互いに本能をむき出しにした野生味溢れる交わりに興奮が高まっていく。
 豊長はヴェルニーチェの身体を抱き締める。豊長を跳ね返しつつも優しく受け入れる柔らかい乳房の感触、お互いの乳首が擦れる度に痺れるような快感が走った。ヴェルニーチェも豊長を抱き返し、足を豊長の腰に回すといわゆるだいしゅきホールドのままで豊長に犯される。
 豊長の肉棒は痙攣を繰り返し、先ほどから精液交じりの粘液を放出する。それが子宮に当たるたびにヴェルニーチェは軽い絶頂を迎えており、白い身体を波打たせる。

 「やん!それッ!それいいのぉッ!」

 ヴェルニーチェは豊長の肩に顔を埋めて喘ぎ続ける。
 豊長は限界が近い事を悟ると、滅茶苦茶に腰を動かした。

 「ッくぅぅぅ!」

 「ひゃあああぁぁッ!ダメ、もうッダッめぇぇぇぇ!!」

 ヴェルニーチェがそう叫ぶと同時に、豊長は限界を迎えた。
 最後の一突きをすると、肉棒からおびただしい量の精液を吐き出した。

 「んきゃッ、あああああああああッ!」

 ヴェルニーチェは豊長に強く抱きつき、絶頂を迎えた。
 溢れ出た精液は受け止めきれず、まるでゼリーのように粘度の高い精液が2人の間から漏れ出す。
 まるで永遠とも思えるほどに長い射精を終え、豊長はヴェルニーチェの上に覆いかぶさる。
 ヴェルニーチェはのしかかってくる豊長の身体を受け止めると、頭を撫でそのまま豊長野唇を舐め回した。

 「んぶ…あむ…んにゃあぁ…あ♪」

 ヴェルニーチェは甘えるように豊長を見上げると、おねだりするように腰を揺らした。
 豊長もそれに応えるように再び、ヴェルニーチェの中へ肉棒を抜き差しするのだった。







 「ふぅ…」

 豊長は額から落ちる汗を拭うと、鍬を下ろした。
 狭く小さな庭に広がる豊長の大根畑、立派とは言えないがそれが豊長の生計を立てていると思えば贅沢は言えない。
 それに、小さな畑だが採れる大根は見事なものだ。

 「ん、イテテ…」

 すっかり硬くなった腰と肩をほぐすように動かすと、後ろから豊長に抱きつく影があった。

 「ますたぁ、ますたぁぁ♪」

 後ろから抱きつき、豊長の匂いを確かめるようにヴェルニーチェは頬ずりをしていた。

 「コラ、ヴェル。汚れてるから抱きつくな」

 「や」

 豊長の言葉にヴェルニーチェはムスッと頬を膨らまし、抱きつく腕に力を込める。
 そんなヴェルニーチェに苦笑しながら、豊長は縁側に腰を下ろした。
 ヴェルニーチェも豊長に連れ添うように縁側に座ると、胡坐をかいている豊長の膝の上に寝転がった。
 まるで猫だな、そんな事を考えながら豊長はヴェルニーチェの頭を撫でてやる。

 「ふああぁぁ♪」

 うっとりとした表情でヴェルニーチェはもっと撫でて欲しいと頭を擦り寄せる。
 あれから数日経った。
 ヴェルニーチェはそのまま豊長の家まで着いて来て今ではこうして共に生活している。
 もののけ退治しに行った侍がもののけを嫁にして戻ってきたという知らせに町の人間は驚き、豊長とヴェルニーチェは注目の的となった。
 しかし、注目の的になろうが豊長には仕事が無かった。見つからなかった。

 (どうしたものか…今月の家賃)

 「ますたぁ、怖い顔しちゃ…めッ!」

 ふぅと悩んでいるとヴェルニーチェに額を小突かれた。小突かれた部分を押さえると、ヴェルニーチェは嬉しそうに微笑んだ。

 「なぁ、前々から気になってたんだが…ますたーってのは何なんだ?」

 「んー…自分が仕えている人、ジパングの言葉で言えば主殿とか、ご主人様って意味だよ」

 「俺は…キミの主って意味か」

 「うん!ますたぁは我のますたぁで、鞘で…居場所なんだよ?」

 「居場所?」

 ヴェルニーチェの言葉に豊長は首を傾げた。

 「うん、居場所…だよ」

 ヴェルニーチェはその言葉に寂しそうに微笑んだ。

 「我のような魔剣…今は性質が変わってるけど、それでも旧魔王時代の伝説は残ってるの。そんなだからね、何処に行っても厄介者…人目に付かないような所にいても、誰かが来て追い出すんだよ?」

 「……」

 ヴェルニーチェはそう言うと左手で右の剣を撫でた。見れば、右腕の剣にある魔眼も寂しそうに曇っている。

 「だから、我に意場所なんて無かった。我が何処で作られ、誰が作ったかなんてもう分からなくなっちゃた…生まれた故郷も、生んでくれた親もいないんだもん…でもね、今は違うよ」

 「…そうなのか?」

 「うん、全然違う。だってますたぁがいるもん」

 ヴェルニーチェはそう言うと豊長の胸を軽く指でつついた。

 「ますたぁがいるだけですごく安心なんだよ?」

 「そうか…俺もだ。俺もキミがいてくれるだけですごく…安心できる」

 「えへへ、そっかぁ♪」

 豊長の言葉がよほど嬉しかったのかヴェルニーチェはゴロゴロと喉を鳴らし、気持ち良さそうに目を細める。
 そんなヴェルニーチェを見て、豊長は確かな幸せを感じていた。
 金も無ければ、仕事も無い。明日の食事にさえ困るような生活だ。
 それでも彼女がいる。
 ただそれだけで、豊長は幸せだった。

 おわり

16/05/05 01:27更新 / ろーすとびーふ泥棒

■作者メッセージ
どうも皆さん、こんばんは。
ろーすとびーふ泥棒です。

カースドソードって可愛いけど、表現に困るよね。
 寄生する系の魔物娘さんって書いた事が無くて、どうすればいいのか思考錯誤していたんですが……こんな形になってしまいました。
 ヴェルニーチェの元になった人間も確かにいるんでしょうが、それが誰なのか、全く考えずに書いていたら魔剣の意思そのものみたいになってしまい、元の人間に全く触れていない事に気が付きました。なまらヤベェ
 思い付いたら、続編という形でそこら辺を補完できれば良いなと思っております。
 ここまで読んでくれた皆さんに最大の感謝を。
 でわでわ。

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まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33