連載小説
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2. 私と看護士と夫婦生活のあれこれ
 
 
 
 
 
 
「エブリデイ・クリニック」にはセレスタインと私の他に、もう一人スタッフが存在する。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
朝。私は股間に感じるむず痒い刺激で起床した。
「……また潜り込んだの?」
「じゅる、じゅじゅっ」
布団をめくり上げると、中には私のモノを咥える魔物娘がいた。
彼女はゾンビ種の魔物娘で名前はアレンシア・ヨハンソン。当クリニックの看護士兼事務スタッフで私の二人目の妻でもある。
で、何故その彼女が朝も早くから私のモノを咥えているのかというと。
「あ、うー、じゅるるっ……もうおな、かが、すいて、すいて……じゅじゅじゅぅ!」
ゾンビ種の特徴として彼女は精の消費スピードが速い。そして精が尽き始めると理性が失われていき、最終的には本能を剥き出しにして私を襲う事だろう。
(誰彼構わず、ではない所が魔物娘たる所以かなぁ……)
「ん、ちゅるっ……おしごとのまえに、ちゅっ……ちゅるっ……せいをもらわない、と、おしごとができな、い……じゅじゅぅっ!」
反対に沢山の精があれば、彼女は誰よりも優秀なスタッフとなってくれる。だから精をあげる事には何の抵抗もないのだけれども。
「まずは一声かけてほしいな……吃驚するからさ」
「んんっ、じゅ、ちゅうっ!」
もう話を聞く理性すらも残っていないらしい。
それならばこちらも自重をする必要はないと言うものだ。私はアレンシアの首筋にある大きな傷跡を優しく撫でてやる。
「んんぅっ!?」
アレンシアの口の動きが止まった。私はちょっと良い気分になりながら、意地悪く笑う。
「アレンシアはここを触られるのが好きだよなぁ」
「んんっ!んんんっ!」
アレンシアの首筋には大きな刺し傷がある。何が原因で出来たものなのかはアレンシアですら知らないのだが、どうやらこの刺し傷は彼女の大きな性感帯となっているようなのだ。
「んんっ! ……じゅっ、じゅぶぶっ!」
「ぁぅ」
悪戯の意趣返しとばかりにアレンシアのフェラチオが激しくなる。頭を激しく動かしてのそれに、私は忽ち絶頂へと追い込まれてしまった。
「で、出るっ……!」
「じゅぶっじゅぶっ……じゅじゅじゅぅっ!!」
止めとばかりの強烈な吸引に耐えられず、私はアレンシアの口内に精を吐きだしてしまう。だが私も負けじと射精の間際に首筋の傷を強めに撫で擦ってやる。
「んんっ!? ……んんんぅぅぅっ!?」
傷跡への刺激と喉を叩く精液でアレンシアは大きな絶頂を迎えたようだ。その最中でもゆっくりと精液を嚥下できるのは流石というべきか。
「ぁ……ぷ、あぁ……」
精が充填されたからかアレンシアの肌に少し血色が戻っている。蕩けた瞳にも理性の光があり――――――その姿は逆に私の情欲を煽った。
「先生の精液、おいし……きゃぁっ!?」
私は勢いよくアレンシアを押し倒すと、彼女の陰部にモノを添える。そこは既に濡れそぼっていて、挿入するのにも苦労しなさそうだ。
アレンシアは少し驚きながらも、直ぐに私の思惑を理解したようで、
「先生……きて、ください」
蕩けた目でそんな事を言われれば、誰だって我慢など出来ないと言うもの。
「言われなくても……っ!」
「あ、あああぁぁっ!!」
彼女の求めに応じて一気にモノを埋没させると、アレンシアは喉を反らせて歓喜の声を上げた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
アレンシアとの交わりに夢中になって朝食を食べ損ねてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
しかしインキュバスである私には何ら問題が無い。魔物は元々交わってさえいれば生きていける生物だからだ。
空きっぱらを抱えていたら仕事が出来ない所であった。インキュバスで良かった!
「はい、次の方ー?」
呼びかけに少し間を置いて、しゃっ、と勢いよくカーテンが空いた。
「先生、おはようございます!」
元気良く診察室に現れたのはグリズリー種の女の子。名前は確かメアリーだった筈。
「今日も診察、よろしくお願いします!」
「はい、じゃあそこに座ってもらえるかな?」
さて、ここからが正念場である。
メアリーちゃんは喘息持ちの患者。つまり聴診器等での触診が必要なのだが。
「……メアリーちゃん、ちょっと鼻息が荒い」
「ええっ!? え、えーっと、ソンナコトハナイデスヨー?」
未婚の魔物娘への触診は大層気を使う作業である。何故か?それは気を抜くと襲われてしまうから。
本来ならばセレスタインの方に任せたい所だが、彼女は既婚の魔物娘担当なのである。これは例え医者であっても、他の男が愛する妻に触れるのは夫が不快に思うだろう、と思っての事だ。
というか、私なら嫌だね!
(成程、魔物娘担当の男性医者が少ない訳だよねぇ)
しかし目の前に患者が居るならば診察をするのが医者である。私は細心の注意を払いながら、彼女の胸へと聴診器を当てるのだった。
「あぁ……せんせー、もうちょっと上に当ててぇ?」
「そういうサービスはやっておりませんので!」
……本当に細心の注意が必要なのだ。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
無邪気な魔物娘は更に厄介である。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「せんせー、私の身体はどうですか〜?」
「うん、大分水分が戻ってきたね」
今診察しているのはスライム種の女の子だ。名前はりんねちゃんだったか。彼女は体の水分調節が巧くできない病気を発症していた。
さて、基本的にスライム種には素直な子が多い。ちょっと考えが足りない時もあるが、キチンと言い聞かせれば言いつけを良く守ってくれるのでとても診察がしやすい。
が、
「……♪」
「えーと……どうかしたの?ずっとこっちを見てるけど……?」
「えーっと、せんせーってカッコいいなぁ、って!」
そう言ってこちらを見詰める目は女の子というよりもまるで捕食者の様だった。スライム種は本能にも素直なのである。
「えーと、水分調節用の薬を出しておきます。 忘れずに飲んでくださいね?」
「はい!」
本当に素直でいい子だよなぁ。色々な意味で早くお婿さんが見つかると良いのだけれど。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
午前中の診察を終えても、私達が休む事はない。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
診察室のさらに奥。そこには大の大人が五人位寝れる大きなベットが備え付けてある。
何でって……ねぇ、言わなくても解るっしょ?
「うわーん! 寂しかったよ、えーくん!」
部屋に入ると同時にセレスタインに抱きつかれる。今日の彼女は随分と甘えん坊なご様子。
「もう、皆酷いんだよ! 私が旦那さまから離れてお仕事しているのに、目の前でいちゃいちゃいちゃいちゃ……!」
先程も言った通り、彼女は既婚の魔物娘担当だ、きっと夫連れで訪れた患者達に当てられたんだろうなぁ。
「寂しくなっちゃったんだ?」
私の問いに、こくこく、とセレスタインが頷く。ああもう可愛いなぁ!
「じゃあ思いっきり甘えて良いよ。 俺も午後の仕事を頑張れるように甘えるし」
「……! えーくん、大好き!愛してる!らぶゆー!じゅてーむ!あと何かいろいろ!」
最後の方が適当に過ぎる。
胸元に頭を擦りつけるセレスタインの頭を撫でつつ、私は入口で立ち止まっているアレンシアへと振り返った。
「アレンシアもおいで?」
「い、いえ、私は……」
アレンシアが二、三歩後ろへと後ずさる。うーむ、彼女の遠慮癖はなかなか治らないなぁ。
 
 
彼女は同じく妻であるセレスタインに遠慮しているようなのだ。
 
 
それは順番か種族の力関係か。私は何と言っていい物かを少し考えてみる。
「……でもアレンシアも私の妻なんだ。妻が夫に甘えるのは当然の事だろう?」
「で、でも今はセレスタイン様の御時間では……?」
「そんなの気にする必要ないわよ?」
「ひゃぁんっ!?」
何時の間にかセレスタインがアレンシアの背後へと回っていた。セレスタインは楽しそうな笑顔でアレンシアの豊かなおっぱいを揉みしだく。
「んふふ〜、アレンシアちゃんのおっぱいは大きくて柔らかいわねぇ〜」
セレスタインの手によって、アレンシアのおっぱいがむにゅむにゅと形を変える。私も混ざりたいが今は空気を読むべきだろうなぁ。
「ふふ、えーくんも貴方のおっぱいが大好きみたいよ?」
「ひゃ、ぁ、そ、そんなセレスタイン様の方が……」
「勿論私だって負けるつもりはないわよ?でも貴方のおっぱいも素敵だと思うのよ」
セレスタインが、ちらり、と私を――――というよりも下の方へと視線を向ける。
「ほら、えーくんもその気になって来たみたいだし……♪」
彼女は、ちろり、と唇を舐めて笑った。
「みんなで、しよっか♪」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今日は私達がしてあげるわ、というセレスタインの指示通りに私はベッドの上で仰向けに転がる。
「アレンシアちゃんは左側。私は右側ね?」
「は、はい……」
何をするつもりであろうか……等と考えていると半勃ち状態の私のモノが、ふんにょり、とした感触に包まれた。
「こ、これはまさか……!?」
「そう、Wパイズリよ!」
セレスタインとアレンシアの豊かなおっぱいで私のモノが完全に埋もれてしまっている。視覚的にも感覚的にも凄く淫靡だ。
「先生、如何でしょうか……?」
「って、訊く必要もないみたいね?」
「あ、ああ、すっごく気持ちいい」
私のモノがどんどん充血していくのが解る。セレスタインも解ったのか、にんまり、といやらしく笑う。
「じゃあ、もっと気持ち良くしてあげるね……」
二人の妻がアイコンタクトを交わす、と同時にふにょりふにょりとペニスへのマッサージが開始された。
「ぅ、ぁぁ……」
何とも言えぬ心地よさ。私は歯を食いしばって射精への衝動を耐える。
そんな私の思惑を見透かしたのかセレスタインは、にや、と挑発的に笑って言う。
「我慢しないで出していいのよ? ほら、アレンシアちゃんも精が尽きて理性が無くなっちゃったみたいだし……♪」
見るとアレンシアは一心不乱におっぱいをペニスに押し付けている。その瞳からは理性が消え、完全に精を搾り取ろうとする魔物娘の本能のみで動いていた。
「私も早く欲しいし……どぴゅどぴゅ出しちゃいなさいよ♪」
「う、ぐぐ……」
ここで言われるがままに出すのは男として恥ずかしい物がある。が、愛する妻達のWパイズリに耐えられる魔物の夫などいようはずもない訳で。
「で、出るっ!」
呆気なく妻達のおっぱいの中で精を吐きだしてしまった。それに直ぐ様しゃぶりついたのは、やはりアレンシアだ。
「んじゅっ、じゅるるるっ!」
「う、あぁ、吸い出されるぅ……!」
ペニスから出る精液を残す事無く吸い出そうとするアレンシアのフェラに、私は二度目の放出を迎えてしまった。
「ん、ごく、ごく……んんぅっ!」
「すっごい……今のアレンシアちゃん、上級淫魔の私よりもえっちぃかも……」
うっとりとした表情で呟くセレスタインもとても扇情的だ。ここまで来ると私も理性などというものは捨て去ってしまう。
「セレスタイン!」
「え、きゃあっ!?」
最初に目に入ったセレスタインを強引に押し倒して、一気にペニスを膣内へ挿入する。前戯すらも必要としないのは単に行為に慣れたからか、既に濡れていたからか。
どちらにせよ私もセレスタインも一気に高みへと上り詰めていく。
「ああっ!ああぁぁっ!気持ちいい、気持ちいいよぉっ!」
「はっ、はっ、はっ……」
「えーくんは?えーくんは気持ちいい?」
「とても、気持ちいいよっ……!」
「嬉しい、嬉しいよぅ……!」
もう我慢する必要はない。私は渾身の力で子宮口へと亀頭を押し付けて射精する。
「で、出るっ!」
「ああ、イクッ! ああああぁぁぁっ!」
勢いよく吐きだされる精液にセレスタインは歓喜の声を上げて震える。やがて私の射精が収まるとセレスタインは、ぐったり、と四肢を投げだした。
「ふわぁぁ……」
「気持ち良かったよ、セレスタイン」
虚ろな目で見上げるセレスタインに口づけをしてから体を離す。そうしてから私はもう一人の妻へと視線を向けた。
アレンシアも既に出来上がっており、こちらも前戯などは必要なさそうだ。
「う、あー、あー……」
アレンシアは欲情するあまり言葉すらも発せられないようだ。
「いくよ」
私の短い言葉に、こくり、とアレンシアが頷く。それを聞いた私はアレンシアへとモノを埋め込んでいく。
「うあ、ああぁぁっ……」
アレンシアがシーツを掴んで快感に耐えている。何度か精を吐きだして少しだけ余裕がある私は、ゆっくりと腰を動かして彼女を責めていく事にした。
「うあ、あぁ、あぁぁ……」
「どう、アレンシア。こう言うのは好き?」
「うぅ……も、もどかしい……で、すぅ」
気づくと既にアレンシアは自ら腰を打ちつけていた。ゆっくりとした挿入は焦れてしまって逆に辛い様だなぁ。
「じゃ、そろそろ……!」
「ああぁんっ!」
激しい挿入に切り替えるとアレンシアはよりいっそう高く悦びの声を上げた。
「ああぁんっ!ああぁぁっ!うー、あー!あー!」
「どう?気持ち良いかい!?」
今だ言葉が発せない彼女だったが、頷く事で私の問いに答えた。
アレンシアは逆に問いかけるかのように私の顔へ振り向く。
「ああ、私もとても気持ちが良いよっ!」
「はあぁんっ!はああぁっ!ああぁんっ! ぅうあぁぁーっ!」
激しい責めに、遂にアレンシアは、がくがく、と体を痙攣させて絶頂を迎えた。私はそれを知りながらも自身の高みを目指してさらに激しく腰を打ちつける。
「あああぁぁっ!はぁ、はあぁぁんっ!!」
「こう言うのが好きなんだよねっ……?」
「ああぁぁぁっ!ああぁぁんっ!う、ああぁぁぁっ!」
必死に頷いたアレンシアの身体が再びがくがくと震える。
そして私も遂に限界を迎えた。
「限界だ……っ、出すぞ、アレンシア!」
「ひゃあぁぃっ!は、ふわぁぁんっ!」
「う、あぁっ……」
「んあああぁぁぁっ!!」
私の射精と同時に、アレンシアが背中を反らしてひと際大きな絶頂の声を上げた。
やがて落ち着いた彼女の肌には血色が戻り始め、瞳にも理性が宿っていた。精は十分に吸収できたようだ。
「愛してるよ、アレンシア」
「ひゃぁ……い」
半ば失神寸前のアレンシアだったが、声をかけて頭を撫でてやると嬉しそうに頷いてくれた。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
当然の様に昼食は食べ損ねてしまった。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
さて、午後の診療ではインキュバスの男性を診察する事になった。
男性のいう症状とは「性欲過多」らしい。
「いや、ちょっと何を言ってるか解らないです」
「す、直ぐにヤりたくなっちまうんですよ!」
心底不思議そうに訊ねる私に、男性は必死に窮状を訴えた。が、どれもこれもインキュバスとしてはありがちな事柄ばかりである。
私はどう言って聞かせた物か頭を悩ませながら問診を始めてみた。
「……ちなみにインキュバスになってどれぐらいかな?」
「さ、三ヶ月位っす」
「一日に何回ぐらいしてる?」
「ろ、六回ほど……」
「どういうプレイがお好み?」
「……え、それも言わなくちゃいけないっすか?」
男性の口ぶりに、これだな、と私は直感を覚えた。
「出来れば教えてください」
私の質問に男性は数分ほど逡巡した。が、やがて腹を括ったようで複雑そうな表情で口を開く。
「……レイプです」
「は?」
「れ、レイプですよ!レイプ! 家事をしている最中の妻を衝動に任せて襲っちまうんですよ!!」
「成程」
何となく答えが見えてきた。私は最後の確認のために男性の奥さんを呼び出してもらう事にした。
奥さんの種族は刑部狸。いよいよ私は確信を深めていく。
「単刀直入に聞きます。奥さんの好むプレイはどのようなものですか?」
直截な私の質問に、刑部狸の奥さんは、あちゃー、と頭を抱えた。
「解ってもうたか……」
「人の夫婦生活に口を挟むつもりはないんですけどね。しかし旦那さんはかなり悩んでいる様子でしたので……」
「あー、そっか。 まぁ、ウチの旦那は真面目やからなぁ……」
「え?ど、どういう事ッスか?」
旦那さんの方は未だに理由が掴めていない様子。そんな旦那に刑部狸の奥さんは申し訳なさそうに頭を下げた。
「すまん、いっちゃん!いっちゃんのレイプ癖はウチが仕組んだ事なんや!」
「ええ!?」
「実はウチ、無理やりなシチュエーションが好きやって……んでも、いっちゃんは真面目やから言ってもしてくれへんと思って……ウチの商売道具から一つ見繕って、な……?」
「つまり貴方の性欲過多は奥さんの仕組んだ事だったんですよ」
「そうなんですか!?」
私が出した結論に旦那さんは目を見開いて驚いた。私はこの結論に至った理由を説明する。
「一応訊きますけど、奥さん以外の女性を襲った事は?」
「ある訳ないでしょう!? ……あ」
「貴方に本当にレイプ癖があるなら、他の女性をも襲っていた筈です。なのに貴方の癖は奥さんのみに向けられていた訳でしょう?」
「そ、そう言う事だったのか……」
得心のいった顔の旦那さんに刑部狸の奥さんが涙目ですがりついた。
「なぁ、いっくん。ウチが悪かったんや、悪かったから、ウチを見限らんといて、離婚とかせんといて……!」
その言葉に旦那さんは首を横に振る。
「り、離婚なんてする訳ないだろう!? ……り、理由が解ったなら良いんだ。俺も、その……結構気持ち良かったからさ……」
「いっちゃん……!」
「のぞみ……!」
涙を流して抱き合う二人。ああ、麗しきかな夫婦愛。
そして私は静かに思う。
「……帰ってからやってくれないかなぁ」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
午後の診察時間も終わり、私は診療所に鍵をかけて外へと出る。
「大分暖かくなってきたかなぁ」
「そうねぇ、過ごしやすくはなったかも」
「先生、お疲れ様です」
私の目の前には先に帰った筈の妻達が居た。
「あれ、二人とも先に帰った筈じゃ?」
私の疑問に二人は笑って答える。
「これからは皆で一緒に帰ろう、って二人で話してたの」
「お仕事が終わったら直ぐにいちゃつきたい……これって魔物としては間違っていないでしょう?」
「その通りだねぇ」
「でしょう? じゃあ、そうと決まれば早く帰りましょう!」
言うなりセレスタインが私の右腕に抱きついてきた。
「あ、ずるいですよ、セレスタイン様!?」
負けじとばかりにアレンシアが左腕に抱きつく。
うむ、正に両手に花だ。
「じゃあ帰ろうか」
「うん!」「はい」
 
 
 
 
 
 
 
 
 
三人の距離が縮まった春の夜であった。
 
 
 
 
 
 
 
続く
 
 
 
13/04/30 09:29更新 / うりぼー
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■作者メッセージ
診療所の第二話をお送りしました。


今回は二番目の妻であるゾンビ看護士さんが登場。普段は知性的、発情すると野獣のようになる、というギャップを表現したかったが故のキャラです。
今回は少し大人しくなった印象なので、次はもっとガッツリと行くように書きたいと思う次第でして。
そう言えば概要欄で彼女の事を「愛人」とか書いちゃいましたけど、正しくは「妻」というべきでしたよね。
一番とか二番とか言うのは只の順番で、愛は平等であるべき。ハーレムとはそうあるべきだな、と今になって思いました。修正しておこうと思います。


前回を読んでくださった方、評価してくださった方には厚く御礼を申し上げます。
コメントで質問のあった病院の評判ですが、今の所は「少しづつ名前が知られ始めている」といった所です。
まだ設立して間もないのです。でも今回は商売柄顔の広い刑部狸の夫婦を治療(?)しましたしね。これから名が知られていくのではないでしょうか!


次回は何が起こるのか。どのような患者が訪れるのか。引き続きお付き合いいただければ幸いです。

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