築いた心は脆く秘めた愛は深く
教団の訓練場。
隊長である俺は今日も訓練に打ち込んでいた。
今日の相手は中堅３人。
何かと突っかかってくるこいつらに
正々堂々勝負しろと殴り掛かられたので相手しているのだが
「・・！！甘い、そこだ！」
振り返りざまに裏拳を打ち込み、一人の脇腹を強打する。
「ぐうっ・・」「どうした！そんなものではワーシープすら倒せないぞ！」
油断なく構えつつも思う。
（手応えがなさ過ぎる・・この程度なのか！？）
後ろの奴と前の奴が動いた。
どうやら挟み撃ちにするつもりらしい。
「あんたが、ブレイル隊長がっ・・！！」
何か喚いているがそんなことはどうでもいい。
今大事なのはどうやってこれを脱するかだ。
「知ったことか！！俺は俺、それだけだ！」
まずは前に、渾身の右ストレートを差し込む。
勢いの乗ったパンチは吸い込まれるように止めようとした男の手へと進む。
（止められたか・・？いや、それはないな）
「っ〜〜！！あ〜〜っ！！」
痛みが襲ってきたようで転がる男。
残るはあと一人のみ。
「・・ひ・・！！う、うわああああ！！」
半狂乱になり襲いかかってくる。
だがちぐはぐになり踏み込みすらままならない攻撃を受け止めるのは容易だ。
片手で腕を掴んで止め、そのまま足を払う。
見事にすっ転んだ最後の一人は俺に向かって口走った。
「や、止めろ！来るなぁ！うわあああああ！！」
全く何をそんなに怯えているのか分からない。
「気が済んだか？だったらこれから用もなく俺に突っかかるな！
正直なところ貴様等と遊んでいられるほど暇じゃない！」
イライラする気持ちを抱えながら俺は訓練場を後にした。
次の日、俺は王に呼び出された。
玉座に鎮座する女王に頭を下げ礼を示す。
「ブレイルよ、お主は昨日部下に対して暴言を吐いたそうだな？」
「はっ・・間違いありません。」
「そのことに関してはお主にも事情があったのだろう。
でも、どのようなことがあったとて暴言はいけないの。
八つ当たりなどもっての外。
導き手は厳しくも優しくあらねばならないのよ、分かる？」
（くっ・・正論なのは分かっている、
だがあのような不当な行為にもその理論は通ずると言うのか・・！！）
煮えくりそうな腹を押し隠し礼を取る。
「はっ・・改めて承知いたしました、重々肝に銘じておきます。」
それを聞くと次に女王は俺にこう言った。
「少々無茶な作戦になるが参加して欲しい。
こちらに攻め込むために山間部にオーガなどが多数集結しているらしいの。
これを今宵か明日叩くという、出来るかしら？」
「出来るかでは御座いません、王自らの頼みとあっては私に断る理由など御座いませんよ。」
即答する私に女王は破顔する。
「おお、やってくれるの！これでこの作戦の成功率もまた上がるわけね。
では、今一度よろしく頼むわ！」
「は・・それでは失礼いたします。」
もう一度礼をして俺はその場を立ち去る。
・・女王が一人、妖艶な笑みを浮かべたことなど俺は知る由もなかった。
そして作戦の地である山間部のテントに俺は今いる。
「・・明日が決戦か・・どれほどの戦いとなるのだろうか・・」
駒としての立場から考えてみても明日の戦いが険しいことはわかった。
オーガやワームもきっといるだろう。
その他諸々の強力な魔物達を相手にどれほどの戦いが出来るのか。
（そもそも勝ち目があるのか・・？）
弱気になりそうな心を押さえ付け、勝てるのだと自己暗示した。
（心が負けた時点で負けなのだ、戦う前から負けてどうする・・！！）
体を休ませすぎぬ程度に布団に座り心を落ち着ける。
大丈夫、俺は今冷静になれていると確認して夜明けを待つ。
しばらくすると、見知った顔が入ってきた。
シャイアという女拳闘士で俺がまともに話す数少ない人物だ。
「あ・・ブレイル、一人で休んでたのかい？
呼んでくれれば私も一緒に休んだのに・・」
「しょうがないだろ？シャイア以外に話してもらえないんだから。
一人でいるのが俺にとって当然なんだよ。」
他愛の無い話をしながら二人で夜明けを待つ。
シャイアは女だが、そこらの武闘家など片手で倒せる強さを持っていた。
「シャイアがいるなら、この戦いも少しは楽になるな。」
「ブレイルこそ、頼りにしてるよ。
どんな訓練だって乗り越えた、うちで最強の拳闘士だもん！」
「そう言うな、恥ずかしくなってくるだろ。」
言い合いつつ、二人で笑う。
戦い続ける中、いつでも一緒に居てくれたのはシャイアだった。
だから、こいつとなら負ける気なんてしない。
夜明けの光が見えかけた頃総隊長から声が掛かった。
「お前達、そろそろ作戦準備に取り掛かれ。
大きな戦いになるが、死ぬなよ！」
「あたし、もう行かなきゃ・・じゃそっちの部隊も頑張ってね！」
「当然だ！勝って帰って一緒に笑う・・だろ！！」
シャイアと俺の部隊は別行動だ。
しかし、隊の位置としては近いので援護はしやすい筈だ。
「皆！悪しき魔物を討ち滅ぼし、平和を手にするのは我らだ！
我らには主神の加護がある！では・・行くぞ！！」
その言葉を合図に俺達は魔物の集団へと駆けていった。
戦いは熾烈を極めた。
オーガや近くの洞窟から溢れ出てくる大量の魔物。
しかし、こちらも負けじと応戦し、なんとか第一波を撃退した。
「・・ふぅ・・皆！気持ちを強く持て！つけこまれたものがやられるぞ！」
「了解です！さぁ皆、まだまだ行けるな！！」
あまり被害が出なかったとはいえ、確実に疲労は溜まっていく。
それを払いのけるべく、大声で皆を鼓舞する。
それに応えてくれた皆のためにも俺は負けられなかった。
「！！・・第二波・・来ました！！凄い数です！！」
その言葉のとおり今度は先程撃退したのものも含まれており多い。
（だが、ここで負ける訳にはいかない！！）
「ハッハァー！！こりゃよりどりみどりだねぇ！！」
ひときわ目立つオーガに目が行く。
奴が目指しているのが司令塔だと気付き止めに入ろうとする。
「ん？何だいあんたは・・あたしゃあの中の男の一人が気に入ったのさ！
あんたも、いい男だけど・・ん！！」
話の腰を叩き折り、蹴りを一発ぶち込む。
しかし彼女はそれを両手で受け止めニヤッと笑った。
「ほほ〜う・・なかなかにいい筋だ・・！
人間の中にもこんな猛者が居たたぁねぇ！！」
足を引っ込めつつ周りの状況を確認する。
苦戦を強いられ、連れていかれる者も多くなってきていた。
「ほぉ〜ら、返すよ！余所見なんてしてんじゃぁないぜ！！」
意識を戻せばオーガが俺に拳を放ってきていた！
なんとか受け止めたが・・重い！！
まるで鉄で出来た壁に押されているようだ！！
それでもなんとか耐え、司令塔に叫ぶ。
「おい！全軍に伝えろ！全員後退だ！！」
司令塔から伝令の風の魔術が飛んでいくのが見える。
同時に地面が盛り上がり、弾けた！！
咄嗟に飛び退けば、そこから巨体を揺らしてワームが這い出て来る。
「・・ここで、ワームか・・！！」
ワームといえば無尽蔵な体力だ。
その体力で追いかけられれば逃げることなど不可能となってしまう。
そんな俺の懸念を余所にワームも司令塔の方を見る。
「あの男・・♥私が貰う・・！！」
「ほお・・じゃあ、協力と行こうか！！」
このままでは司令塔に居る者達が危ない！
そう思い、寄ろうとするが
「駄目だ、ブレイル隊長！貴方は今のうちに行って、俺達の分まで生きてください！」
大声で止められる。
しかし見捨てるなど、俺には・・！！
「だが！！」
「貴方が行かなくて、誰が指揮を取るのですか！
貴方が居なければ、総崩れで皆死んでしまう！！さぁ早く！！」
「く・・！！許せ！！お前達の犠牲を無駄にはしない！！」
それ以来振り返らずに、ただ振り返らずに走った。
シャイアと合流したが、数は最早三人になってしまっている。
「シャイア！無事だったか・・！！」
「ブレイル・・！！こっちはこのざまだね・・！！」
「へっへ・・見つけた・・！！」
話していると前方からミノタウロスが来た。
降り下ろされる銀の斧をミノタウロスを挟む形で回避する。
しかし、それはシャイアと俺が分断されたと言うことでもあった。
分断されて出来た隙間にミノタウロスが突進し残った一人の男を連れていく。
後には俺とシャイアだけが残されてしまう。
「く・・！！なんと不甲斐ない・・！！」
「だけど・・なんでこっちから・・回り込まれでもしたのか！！」
「それには私が答えるわ・・ふふっ。」
思案する俺達の背後から、声と共に出てきたのは、膨大な魔力を身に宿し、
男を魅了するために必要な全てを持ち合わせているとされるリリムだった。
「「り、リリムだと！？魔王の娘が何故ここに！？」」
絶望的すぎる状況に二人して声を上げる。
「うふふ・・この顔・・見覚えは無いかしら・・？」
「見覚えだと・・？・・っ！！まさか！！」
ある考えにたどり着き、体を悪寒に包まれるような錯覚に陥る。
今目の前にいる魔物の顔と、昨日あった女王の顔がそっくりなのだ！！
「そう、そのまさかよ、あなたたちは見事に騙されてくれたって訳ね。
ああ、本物の女王様は生きてるから安心していいわよ？」
リリムがそう言う間にも俺は無意識のうちに殴りかかっていた。
「あら・・レディに手を出すのは性的な意味だけにしなきゃダメよ？」
「ふざけたことを！・・何っ！？・・うおああっ！！？」
しかしリリムは腕をかざして魔力を集中させ盾を作りいとも簡単に俺を弾き返して見せた。
転がる俺に駆け寄ろうとするシャイアを奴は後ろから羽交い締めにし動けなくする。
「くっ・・！！放せっ、ブレイルッ！大丈夫か！？」
「う・・っ・・大丈夫・・だっ・・」
答えたものの体が動こうとしてくれない。
まるで布団を被せられているかのように体が重いのだ。
「大丈夫よ・・♥あなたの愛するあの人は動けないだけ。」
「愛する・・！？違うっあいつは・・うあっ！！」
反論しようとした彼女の体を奴は優しく撫で始めた。
「そうなの？あなたは、彼が好きなんでしょう・・？」
「それはっ！好きだけど・・っ、止めろっ・・あっ、こんなぁっ・・！！」
更に彼女の耳を口の中に含むと舐め回し始める。
「ふあむ・・彼を無茶苦茶にしたいんでしょう・・？」
「ふあっ・・やぁ・・こんあ・・わらしっ・・はっ・・！！」
「やめろっ！！シャイアから離れろっ！！」
動かない体で声だけを張り上げた。
しかしそんなことは気にも留めず奴は彼女を抱いたまま俺に近づく。
そして耳に口を当て、こう囁いた・・
「あなた・・シャイアちゃんに激しく犯されたいと思わない・・？フフッ」
その言葉がまるで呪いか何かのように心にまとわりつき離れない。
（俺が・・シャイアに？っ、駄目だ考えるなっ・・！！）
心が揺れ、魔の誘いを受けてしまいそうになる。
「・・ぶれ・・いるぅ・・！わらひっ・・！！おかしくっ・・！！」
俺の意識を引き上げたのは皮肉にも震えるシャイアの声だった。
シャイアを取り戻そうと意思は訴えるが、体は動いてくれない。
「ふふ・・望みは分かったわ・・じゃあ始めるわよ・・♥」
リリムの体から魔力が溢れ出しシャイアの体に入っていく。
「ふぁ・・ブレイるぅ・・わらしは・・変わる・・」
「な、何を言っている！シャイアァッ！駄目だっ、戻ってくれぇっ！！」
そして、シャイアの体に変化が訪れ始める。
まず、体つきががっしりとしたものになっていき爪も伸びた。
それに体の色もどことなく緑に近くなった。
決して小さいとは言えない胸も更に大きくなった。
何より・・角が二つ、生えた！！そう、それはつまり・・オーガだ！
彼女はオーガに変わってしまった！！
だが・・雰囲気は間違いなくシャイアであった。
「う・・ん・・あ、あたしは・・これは・・？」
「あなたはね・・変わったのよ。
あなたの大好きな人を、素直に大好きって言えるように。」
「あ・・ホントだ・・ふふ・・好きだったんだ・・！！」
起き上がったシャイアに何やら吹き込むリリム。
吹き込まれた彼女は俺に歩み寄ると押し倒しつつこう言った。
「なぁ・・ブレイル？あたしがこうなれたの・・
あんたのおかげでも・・あるんだよ？
だから・・たっぷりとお礼してあげるね・・♥」
「シャイア！待て、しゃぅ・・むっ・・！！？」
引き剥がそうとした手ごと押さえ込まれ強引に唇を奪われる。
はじめてのキスにも関わらず、彼女の舌は無理やりに口の中に押し入り
こちらの口内を蹂躙し始めた。
「むっ！？・・む！！・・ん！・・んぅ！・・っ・・！！」
「むぅ・・れあ・・ん・・ふ・・んんんっ！！・・はぁ・・♥♥」
「っ・・はぁ・・っぅ・・はぁっ・・あぁっ・・」
散々に口を貪り尽くされたというのに俺はあろうことか快楽を感じていた。
何より・・彼女の舌が気持ちよすぎたのだ。
俺が動けないと分かるや否や彼女は俺の装備を剥ぎ取り跨ってくる。
「っ・・しゃ、イアっ・・何を・・！？」
「我慢なんてもうやめる・・♥♥ずっと前からこうしたかったのかも・・
それに、ブレイルももうこんなにビンビンにして・・♥♥」
彼女の言うとおり俺の股間のそれは反り返っていた。
「じゃ・・ブレイルの・・頂くよぉっ♥♥」
直後俺の股間から痺れるような強い快感が迸り意識がとびかける。
「はっ・・シャイアっ・・お、前っ・・何をしているか、分かって・・」
「あたしはぁ・・あんたを気持ちよく・・んっ、してあげたいだけだよ？
間違ってなんかぁ・・無いんだよ・・？」
彼女が腰をひと振りする度にペニスは締め上げられて、腰が砕けそうになる。
（そろそろ・・やばいっ・・！！何か、おかしくなるっ！！）
「あ、そろそろなんだね？
顔をみりゃあすぐに分かるよ・・いいんだぞ？出しても・・！！」
更にギュウギュウとペニスは締め上げられる。
その刺激にもはや抵抗する手段もなければ意思も無かった。
「くあぁ・・！！だめっ、いやっ、おかしくなるっ、シャイアっ俺はっ、
く、うああああああああぁあっぁぁっっあああっっ！！」
遂に壁は決壊して彼女の膣内に精液が流れ込んでいく。
「んっ・・♥♥たくさん出したな・・♥♥でも・・まだ出せるよな・・？」
しかし、彼女と膣は更に精を欲しがり腰を振り締め付けてきた。
おかしくなったばかりなのにその刺激でまた俺は・・っ！！
「ひゃああっ、ひゃいあ！！らめぇっ！！しゃいあぁぁっ！！
またっ、おかひくなって、トンじゃうっ！！アタマがあっ！
う、あ、ひやああぁぁっあああああああ！！！！」
あ・・駄目だ・・目の前が・・暗く・・まだ・・シャイアと・・続けたいのに・・
意識が、落ちる。
その瞬間見れたのは彼女のこれ以上ない笑顔だった。
「ん・・ここは・・俺の部屋・・？」
目が覚めた時俺は俺の家に居た。
普通さっきのは夢では無いか、と疑いそうな物だが俺は現実だと思う。
なぜなら・・俺の胸の上ですやすやとオーガが眠っているからだ。
まじまじと見つめていると部屋の中に魔方陣が描かれリリムが出てくる。
「ふふ・・ご機嫌、いかがかしら？その子、撫でてもいいのよ？」
シャイアを撫でる俺を見つけると彼女はこう言った。
「私はね・・？その子みたいに我慢しすぎる子を見るのが辛いのよ。
我慢しすぎて心まで壊れちゃうってことがあるの、そんなの・・嫌でしょう？」
「・・そんな思いをシャイアにさせてたのか・・俺は。」
「でもこれからはそんな思いさせなくていいのよ。
いつだって一緒にいられるんだから・・ね？」
彼女の言葉に無言で頷く。
「・・勝って帰って一緒に笑う・・か、できなかったね。」
するといつの間にか起きていたシャイアにそう言われた。
「ん・・おはよう、でもシャイア・・笑えただろ？」
「そうだね・・笑えた・・ね！！」
その笑顔を見て、ああ、やっぱりこいつはシャイアなんだ、と思う。
その様子を見ながらリリムは問いかける。
「ふふ・・ああ、これは魔物にした子達とその彼に帰り際に
絶対聞いてることなんだけど・・今、幸せかしら？」
以前ならば、戦いばかりで答えられなかっただろうが、今は違う。
俺とシャイアは顔を見合わせ笑うと、はっきりと答えた。
「「当然！！とっても幸せだよ！！」」
隊長である俺は今日も訓練に打ち込んでいた。
今日の相手は中堅３人。
何かと突っかかってくるこいつらに
正々堂々勝負しろと殴り掛かられたので相手しているのだが
「・・！！甘い、そこだ！」
振り返りざまに裏拳を打ち込み、一人の脇腹を強打する。
「ぐうっ・・」「どうした！そんなものではワーシープすら倒せないぞ！」
油断なく構えつつも思う。
（手応えがなさ過ぎる・・この程度なのか！？）
後ろの奴と前の奴が動いた。
どうやら挟み撃ちにするつもりらしい。
「あんたが、ブレイル隊長がっ・・！！」
何か喚いているがそんなことはどうでもいい。
今大事なのはどうやってこれを脱するかだ。
「知ったことか！！俺は俺、それだけだ！」
まずは前に、渾身の右ストレートを差し込む。
勢いの乗ったパンチは吸い込まれるように止めようとした男の手へと進む。
（止められたか・・？いや、それはないな）
「っ〜〜！！あ〜〜っ！！」
痛みが襲ってきたようで転がる男。
残るはあと一人のみ。
「・・ひ・・！！う、うわああああ！！」
半狂乱になり襲いかかってくる。
だがちぐはぐになり踏み込みすらままならない攻撃を受け止めるのは容易だ。
片手で腕を掴んで止め、そのまま足を払う。
見事にすっ転んだ最後の一人は俺に向かって口走った。
「や、止めろ！来るなぁ！うわあああああ！！」
全く何をそんなに怯えているのか分からない。
「気が済んだか？だったらこれから用もなく俺に突っかかるな！
正直なところ貴様等と遊んでいられるほど暇じゃない！」
イライラする気持ちを抱えながら俺は訓練場を後にした。
次の日、俺は王に呼び出された。
玉座に鎮座する女王に頭を下げ礼を示す。
「ブレイルよ、お主は昨日部下に対して暴言を吐いたそうだな？」
「はっ・・間違いありません。」
「そのことに関してはお主にも事情があったのだろう。
でも、どのようなことがあったとて暴言はいけないの。
八つ当たりなどもっての外。
導き手は厳しくも優しくあらねばならないのよ、分かる？」
（くっ・・正論なのは分かっている、
だがあのような不当な行為にもその理論は通ずると言うのか・・！！）
煮えくりそうな腹を押し隠し礼を取る。
「はっ・・改めて承知いたしました、重々肝に銘じておきます。」
それを聞くと次に女王は俺にこう言った。
「少々無茶な作戦になるが参加して欲しい。
こちらに攻め込むために山間部にオーガなどが多数集結しているらしいの。
これを今宵か明日叩くという、出来るかしら？」
「出来るかでは御座いません、王自らの頼みとあっては私に断る理由など御座いませんよ。」
即答する私に女王は破顔する。
「おお、やってくれるの！これでこの作戦の成功率もまた上がるわけね。
では、今一度よろしく頼むわ！」
「は・・それでは失礼いたします。」
もう一度礼をして俺はその場を立ち去る。
・・女王が一人、妖艶な笑みを浮かべたことなど俺は知る由もなかった。
そして作戦の地である山間部のテントに俺は今いる。
「・・明日が決戦か・・どれほどの戦いとなるのだろうか・・」
駒としての立場から考えてみても明日の戦いが険しいことはわかった。
オーガやワームもきっといるだろう。
その他諸々の強力な魔物達を相手にどれほどの戦いが出来るのか。
（そもそも勝ち目があるのか・・？）
弱気になりそうな心を押さえ付け、勝てるのだと自己暗示した。
（心が負けた時点で負けなのだ、戦う前から負けてどうする・・！！）
体を休ませすぎぬ程度に布団に座り心を落ち着ける。
大丈夫、俺は今冷静になれていると確認して夜明けを待つ。
しばらくすると、見知った顔が入ってきた。
シャイアという女拳闘士で俺がまともに話す数少ない人物だ。
「あ・・ブレイル、一人で休んでたのかい？
呼んでくれれば私も一緒に休んだのに・・」
「しょうがないだろ？シャイア以外に話してもらえないんだから。
一人でいるのが俺にとって当然なんだよ。」
他愛の無い話をしながら二人で夜明けを待つ。
シャイアは女だが、そこらの武闘家など片手で倒せる強さを持っていた。
「シャイアがいるなら、この戦いも少しは楽になるな。」
「ブレイルこそ、頼りにしてるよ。
どんな訓練だって乗り越えた、うちで最強の拳闘士だもん！」
「そう言うな、恥ずかしくなってくるだろ。」
言い合いつつ、二人で笑う。
戦い続ける中、いつでも一緒に居てくれたのはシャイアだった。
だから、こいつとなら負ける気なんてしない。
夜明けの光が見えかけた頃総隊長から声が掛かった。
「お前達、そろそろ作戦準備に取り掛かれ。
大きな戦いになるが、死ぬなよ！」
「あたし、もう行かなきゃ・・じゃそっちの部隊も頑張ってね！」
「当然だ！勝って帰って一緒に笑う・・だろ！！」
シャイアと俺の部隊は別行動だ。
しかし、隊の位置としては近いので援護はしやすい筈だ。
「皆！悪しき魔物を討ち滅ぼし、平和を手にするのは我らだ！
我らには主神の加護がある！では・・行くぞ！！」
その言葉を合図に俺達は魔物の集団へと駆けていった。
戦いは熾烈を極めた。
オーガや近くの洞窟から溢れ出てくる大量の魔物。
しかし、こちらも負けじと応戦し、なんとか第一波を撃退した。
「・・ふぅ・・皆！気持ちを強く持て！つけこまれたものがやられるぞ！」
「了解です！さぁ皆、まだまだ行けるな！！」
あまり被害が出なかったとはいえ、確実に疲労は溜まっていく。
それを払いのけるべく、大声で皆を鼓舞する。
それに応えてくれた皆のためにも俺は負けられなかった。
「！！・・第二波・・来ました！！凄い数です！！」
その言葉のとおり今度は先程撃退したのものも含まれており多い。
（だが、ここで負ける訳にはいかない！！）
「ハッハァー！！こりゃよりどりみどりだねぇ！！」
ひときわ目立つオーガに目が行く。
奴が目指しているのが司令塔だと気付き止めに入ろうとする。
「ん？何だいあんたは・・あたしゃあの中の男の一人が気に入ったのさ！
あんたも、いい男だけど・・ん！！」
話の腰を叩き折り、蹴りを一発ぶち込む。
しかし彼女はそれを両手で受け止めニヤッと笑った。
「ほほ〜う・・なかなかにいい筋だ・・！
人間の中にもこんな猛者が居たたぁねぇ！！」
足を引っ込めつつ周りの状況を確認する。
苦戦を強いられ、連れていかれる者も多くなってきていた。
「ほぉ〜ら、返すよ！余所見なんてしてんじゃぁないぜ！！」
意識を戻せばオーガが俺に拳を放ってきていた！
なんとか受け止めたが・・重い！！
まるで鉄で出来た壁に押されているようだ！！
それでもなんとか耐え、司令塔に叫ぶ。
「おい！全軍に伝えろ！全員後退だ！！」
司令塔から伝令の風の魔術が飛んでいくのが見える。
同時に地面が盛り上がり、弾けた！！
咄嗟に飛び退けば、そこから巨体を揺らしてワームが這い出て来る。
「・・ここで、ワームか・・！！」
ワームといえば無尽蔵な体力だ。
その体力で追いかけられれば逃げることなど不可能となってしまう。
そんな俺の懸念を余所にワームも司令塔の方を見る。
「あの男・・♥私が貰う・・！！」
「ほお・・じゃあ、協力と行こうか！！」
このままでは司令塔に居る者達が危ない！
そう思い、寄ろうとするが
「駄目だ、ブレイル隊長！貴方は今のうちに行って、俺達の分まで生きてください！」
大声で止められる。
しかし見捨てるなど、俺には・・！！
「だが！！」
「貴方が行かなくて、誰が指揮を取るのですか！
貴方が居なければ、総崩れで皆死んでしまう！！さぁ早く！！」
「く・・！！許せ！！お前達の犠牲を無駄にはしない！！」
それ以来振り返らずに、ただ振り返らずに走った。
シャイアと合流したが、数は最早三人になってしまっている。
「シャイア！無事だったか・・！！」
「ブレイル・・！！こっちはこのざまだね・・！！」
「へっへ・・見つけた・・！！」
話していると前方からミノタウロスが来た。
降り下ろされる銀の斧をミノタウロスを挟む形で回避する。
しかし、それはシャイアと俺が分断されたと言うことでもあった。
分断されて出来た隙間にミノタウロスが突進し残った一人の男を連れていく。
後には俺とシャイアだけが残されてしまう。
「く・・！！なんと不甲斐ない・・！！」
「だけど・・なんでこっちから・・回り込まれでもしたのか！！」
「それには私が答えるわ・・ふふっ。」
思案する俺達の背後から、声と共に出てきたのは、膨大な魔力を身に宿し、
男を魅了するために必要な全てを持ち合わせているとされるリリムだった。
「「り、リリムだと！？魔王の娘が何故ここに！？」」
絶望的すぎる状況に二人して声を上げる。
「うふふ・・この顔・・見覚えは無いかしら・・？」
「見覚えだと・・？・・っ！！まさか！！」
ある考えにたどり着き、体を悪寒に包まれるような錯覚に陥る。
今目の前にいる魔物の顔と、昨日あった女王の顔がそっくりなのだ！！
「そう、そのまさかよ、あなたたちは見事に騙されてくれたって訳ね。
ああ、本物の女王様は生きてるから安心していいわよ？」
リリムがそう言う間にも俺は無意識のうちに殴りかかっていた。
「あら・・レディに手を出すのは性的な意味だけにしなきゃダメよ？」
「ふざけたことを！・・何っ！？・・うおああっ！！？」
しかしリリムは腕をかざして魔力を集中させ盾を作りいとも簡単に俺を弾き返して見せた。
転がる俺に駆け寄ろうとするシャイアを奴は後ろから羽交い締めにし動けなくする。
「くっ・・！！放せっ、ブレイルッ！大丈夫か！？」
「う・・っ・・大丈夫・・だっ・・」
答えたものの体が動こうとしてくれない。
まるで布団を被せられているかのように体が重いのだ。
「大丈夫よ・・♥あなたの愛するあの人は動けないだけ。」
「愛する・・！？違うっあいつは・・うあっ！！」
反論しようとした彼女の体を奴は優しく撫で始めた。
「そうなの？あなたは、彼が好きなんでしょう・・？」
「それはっ！好きだけど・・っ、止めろっ・・あっ、こんなぁっ・・！！」
更に彼女の耳を口の中に含むと舐め回し始める。
「ふあむ・・彼を無茶苦茶にしたいんでしょう・・？」
「ふあっ・・やぁ・・こんあ・・わらしっ・・はっ・・！！」
「やめろっ！！シャイアから離れろっ！！」
動かない体で声だけを張り上げた。
しかしそんなことは気にも留めず奴は彼女を抱いたまま俺に近づく。
そして耳に口を当て、こう囁いた・・
「あなた・・シャイアちゃんに激しく犯されたいと思わない・・？フフッ」
その言葉がまるで呪いか何かのように心にまとわりつき離れない。
（俺が・・シャイアに？っ、駄目だ考えるなっ・・！！）
心が揺れ、魔の誘いを受けてしまいそうになる。
「・・ぶれ・・いるぅ・・！わらひっ・・！！おかしくっ・・！！」
俺の意識を引き上げたのは皮肉にも震えるシャイアの声だった。
シャイアを取り戻そうと意思は訴えるが、体は動いてくれない。
「ふふ・・望みは分かったわ・・じゃあ始めるわよ・・♥」
リリムの体から魔力が溢れ出しシャイアの体に入っていく。
「ふぁ・・ブレイるぅ・・わらしは・・変わる・・」
「な、何を言っている！シャイアァッ！駄目だっ、戻ってくれぇっ！！」
そして、シャイアの体に変化が訪れ始める。
まず、体つきががっしりとしたものになっていき爪も伸びた。
それに体の色もどことなく緑に近くなった。
決して小さいとは言えない胸も更に大きくなった。
何より・・角が二つ、生えた！！そう、それはつまり・・オーガだ！
彼女はオーガに変わってしまった！！
だが・・雰囲気は間違いなくシャイアであった。
「う・・ん・・あ、あたしは・・これは・・？」
「あなたはね・・変わったのよ。
あなたの大好きな人を、素直に大好きって言えるように。」
「あ・・ホントだ・・ふふ・・好きだったんだ・・！！」
起き上がったシャイアに何やら吹き込むリリム。
吹き込まれた彼女は俺に歩み寄ると押し倒しつつこう言った。
「なぁ・・ブレイル？あたしがこうなれたの・・
あんたのおかげでも・・あるんだよ？
だから・・たっぷりとお礼してあげるね・・♥」
「シャイア！待て、しゃぅ・・むっ・・！！？」
引き剥がそうとした手ごと押さえ込まれ強引に唇を奪われる。
はじめてのキスにも関わらず、彼女の舌は無理やりに口の中に押し入り
こちらの口内を蹂躙し始めた。
「むっ！？・・む！！・・ん！・・んぅ！・・っ・・！！」
「むぅ・・れあ・・ん・・ふ・・んんんっ！！・・はぁ・・♥♥」
「っ・・はぁ・・っぅ・・はぁっ・・あぁっ・・」
散々に口を貪り尽くされたというのに俺はあろうことか快楽を感じていた。
何より・・彼女の舌が気持ちよすぎたのだ。
俺が動けないと分かるや否や彼女は俺の装備を剥ぎ取り跨ってくる。
「っ・・しゃ、イアっ・・何を・・！？」
「我慢なんてもうやめる・・♥♥ずっと前からこうしたかったのかも・・
それに、ブレイルももうこんなにビンビンにして・・♥♥」
彼女の言うとおり俺の股間のそれは反り返っていた。
「じゃ・・ブレイルの・・頂くよぉっ♥♥」
直後俺の股間から痺れるような強い快感が迸り意識がとびかける。
「はっ・・シャイアっ・・お、前っ・・何をしているか、分かって・・」
「あたしはぁ・・あんたを気持ちよく・・んっ、してあげたいだけだよ？
間違ってなんかぁ・・無いんだよ・・？」
彼女が腰をひと振りする度にペニスは締め上げられて、腰が砕けそうになる。
（そろそろ・・やばいっ・・！！何か、おかしくなるっ！！）
「あ、そろそろなんだね？
顔をみりゃあすぐに分かるよ・・いいんだぞ？出しても・・！！」
更にギュウギュウとペニスは締め上げられる。
その刺激にもはや抵抗する手段もなければ意思も無かった。
「くあぁ・・！！だめっ、いやっ、おかしくなるっ、シャイアっ俺はっ、
く、うああああああああぁあっぁぁっっあああっっ！！」
遂に壁は決壊して彼女の膣内に精液が流れ込んでいく。
「んっ・・♥♥たくさん出したな・・♥♥でも・・まだ出せるよな・・？」
しかし、彼女と膣は更に精を欲しがり腰を振り締め付けてきた。
おかしくなったばかりなのにその刺激でまた俺は・・っ！！
「ひゃああっ、ひゃいあ！！らめぇっ！！しゃいあぁぁっ！！
またっ、おかひくなって、トンじゃうっ！！アタマがあっ！
う、あ、ひやああぁぁっあああああああ！！！！」
あ・・駄目だ・・目の前が・・暗く・・まだ・・シャイアと・・続けたいのに・・
意識が、落ちる。
その瞬間見れたのは彼女のこれ以上ない笑顔だった。
「ん・・ここは・・俺の部屋・・？」
目が覚めた時俺は俺の家に居た。
普通さっきのは夢では無いか、と疑いそうな物だが俺は現実だと思う。
なぜなら・・俺の胸の上ですやすやとオーガが眠っているからだ。
まじまじと見つめていると部屋の中に魔方陣が描かれリリムが出てくる。
「ふふ・・ご機嫌、いかがかしら？その子、撫でてもいいのよ？」
シャイアを撫でる俺を見つけると彼女はこう言った。
「私はね・・？その子みたいに我慢しすぎる子を見るのが辛いのよ。
我慢しすぎて心まで壊れちゃうってことがあるの、そんなの・・嫌でしょう？」
「・・そんな思いをシャイアにさせてたのか・・俺は。」
「でもこれからはそんな思いさせなくていいのよ。
いつだって一緒にいられるんだから・・ね？」
彼女の言葉に無言で頷く。
「・・勝って帰って一緒に笑う・・か、できなかったね。」
するといつの間にか起きていたシャイアにそう言われた。
「ん・・おはよう、でもシャイア・・笑えただろ？」
「そうだね・・笑えた・・ね！！」
その笑顔を見て、ああ、やっぱりこいつはシャイアなんだ、と思う。
その様子を見ながらリリムは問いかける。
「ふふ・・ああ、これは魔物にした子達とその彼に帰り際に
絶対聞いてることなんだけど・・今、幸せかしら？」
以前ならば、戦いばかりで答えられなかっただろうが、今は違う。
俺とシャイアは顔を見合わせ笑うと、はっきりと答えた。
「「当然！！とっても幸せだよ！！」」
13/09/01 16:45更新 / GARU