読切小説
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魔物娘に、愛って何だと思う?って訊いてみた。
・リリム(カリスマ・オンver)
「そうね…ねぇ、手繋いでくれるかしら?」
「ふふ…握ってくれたわね、つまりはそういう事。
握ってくれたし、握って欲しいと思った。」
「それに…この掌から伝わってくる、単なる熱ではないこの暖かさ…
私が好きなこれを言葉にすると、愛と呼ぶんじゃないかしら…」
「なーんてね?ちょっとかっこつけちゃったわ♪」



・リリム(カリスマ?ありませんよ、そんなのver)
「愛…?そのうち分かるわよ、そのうち、ね。
そんなに焦って聞くようなことではないでしょう?」
「…」
「あ…ごめんなさい…ちょっとお花摘んでくるわ。」


「な、何よ、なんなのいきなり…!?
あ、愛なんて、わ、分かるわけ無いじゃない…!」
「そもそも、私が今感じているこの感情が…」
「いいやいやいやいや!そんな事言えるわけ無いわ…!」(顔真っ赤)



・マンティス
「…?うん…そう…?そう…」
「……」
「……ねぇ。」
「…さっきの、多分。」
「こうやって、一緒に…
ご飯とか、食べたいって思う事…だと思う。」
「…勿論。」
「ご飯だけじゃ、無いけど…」
「…これ以上、言わせたら、や…だからね。」
「…」
「んっ…」



・スライム
「えー?」
「んー…」
「…」
「ちょっと包むよー」
「んふ〜」
「こういう、こと〜?みたいなー」
「わかんないや〜…でも、気持ちいから、いいやー」



・アヌビス
「お前がこうやって、私の指示に従ってくれることだ。」
「…などと言うかと思ったか?ふふ、馬鹿め。」
「それは、計算とか数値とか、そういうものではない。
得てして予想外の…そう、私の大嫌いな事を起こすものだ。」
「しかし、だな?」
「そういう事を、お前だったら許せてしまう…
そう思えてしまうことが、愛なのではないだろうか、と思うよ。」
「…ど、どうだ?すべて即興で言ってみたが…
や、やはり、あれだな!何も考えずに話すのはその、いや、もういい!」
「さぁ、早く続きだ続き!仕事はまだ残っているぞ!」
「…」
「…ふふ。」



・ドッペルゲンガー
「愛…難しいことを訊くんですね。」
「私は…その愛に付け込んで、恋愛をする、そんな酷い魔物娘ですよ?」
「え?そんな風に言うな…ですか。
もう…話は、最後まで聞いてください、ね?」
「でも、そんな酷い魔物娘でも、一緒に居てくれる人がいます。」
「その人が教えてくれた、そんな酷さを受け入れてくれる事が、
愛だって、私は思ってます。」
「…」
「それに…そ、その…あなたの…愛を守りたいって思ったあれも、
この、あなたと一緒にいると感じる暖かさも…」
「いえ、何でもないです!で、ですから、気にしないでくださいっ!」



・セイレーン
「あいー、ふるぅ〜えるぅ…え、違う?
んー、アイ、ビリーブ、月の光…え、これも違う…参ったなぁ。」
「…」
「…じゃ、じゃあさ…それについて即興で考えたのがあるんだけど。
おかしくっても下手でも、笑っちゃ、や、だからね?」
「っ…ん、ん…」
「…だ、大好き…!」
「っ、あ、アンコールはなしだよ!もう忘れちゃったもん!」
「それに、今度は…君の番でしょ…?
でゅ、デュエットは…交互に、歌うものだし…」
「え?デュエットとアンコールはタイミングが違う?
いーの!そんな細かいことは!ほ、ほらっ、君のばんっ♪」



・ダンピール
「え?そうだなぁ、君と一緒に居たいって思えること、かな。」
「つまらない答えだって?…意外に酷い物言いをするね…」
「…」
「ずっと。」
「ずっと、いつまでも、永久の時を共に、全てを分かち合いたい。
これで…どうだい?」
「おや、今度は照れてるんだ?ふふ、分からない人だね、キミは。」
「まぁ、だから好きなんだけども、ね。」



・リッチ
「愛、アイ、あい…まぁ、そうだね。
何かと何か、誰かと誰かを結びつける、
互いを想い合う気持ち、とでも言おうか。」
「だけど、君の表情から察するにどうやら、
辞典を引けばわかるような、そういう事を聞きたいのではないらしい。」
「…ふむ、ならばこっちに来るといい、直接伝えてあげるよ。
百聞は、という言葉もあるくらいだ、それが一番いいだろう。」
「…おや、こんなことを訊ける間柄のくせに、
何を恥ずかしがっているのやら?」
「…ああそれとね…」
「一つ、気になってもいるんだ。
何故、君がそんな事を訊きたくなってしまったのか…
それを、私と君とで実験をして、解き明かしたいというのもある。」
「さ、せっかく私の方から誘いをしているんだ。
据え膳食わぬは…という奴だよ?どうするんだい?」



・ワーム
「んえ?あい?愛、かぁ…」
「そういうのは、ちょっと分かんないなぁ…」
「んー…あー、でも。」
「んぎゅーっ」
「こうやって、あなたの体を私の体で感じて、
いいなぁって、そう思えるのが、そうなんじゃないかなぁ?」
「え?それっぽい!?んへへ、じゃあじゃあ、ほめてほめて〜!」
「んへへへ〜、やっぱりよく分かんないけど、ほめられたからいいや!」



・龍
「愛…ですか…難しいことをお聞きなさるのですね。」
「正直な話をしますと…分かりません。」
「あっ、いえ、それが何なのかはぼんやりとは分かってはいるのです。
ですが、こう…言葉にするとなるとやはり、分かりません。」
「…でも、それで良いのかもしれない、と、そうも思っているのです。」
「だって、貴方と他愛ないおしゃべりをするだけで満たされる、
この暖かな、とめどなく溢れる感情は、
愛という言葉の器では、抱えきれずにこぼれていってしまいますから。」
「ならばいっそ、器に閉じこめようとするのではなく、
溢れるまま、流れるがまま。
それを穏やかにただ感じるのも、良いのでは、と。」
「…だって…」
「言葉にせずとも、愛はそこにあります…そうでしょう?旦那様…?」



・ジャバウォック
「愛?それは無論、お前と体を重ねたいと思うことに決まっている。」
「…なんだ、だと思ったみたいなその表情は。」
「言っておくがな…これはただの性欲ではないぞ?」
「交わりの中、そして交わっておらずとも、
最も熱く激しく、燃え上がり続ける、そんな性欲の事だ。」
「何があってもこやつだけは離すまい、そう思わせてくれる性欲、
そしてそんな性欲を抱かせてくれる者に向ける感情、それが愛だ。」
「…なんだ、口をポカーンと開けて。
ハハーン、さては私がそこまで深く考えていたとは思わなんだな?
そして、まだどこか、信じ切っておらんようにも見える。」
「ふむ…これは、しっかりと私の言葉が嘘偽りなどではないと、
その身にしっかりと教え込んでやらねばならんようだな!」
「ん?結局それか、だと?クックックッ…当然だろう?
そうであってこそ、私が私たりえるのだからな!」



・ワイバーン
「…そっか。
じゃあさ、一つ、聞いて欲しいことがあるんだ。」
「私達にとって後ろってね?とっても大事なものなの。
そしてそこにいるって事は、自分の大事な所にその誰かがいる、
それを認めるってことなんだよ?」
「気に入らない奴なら勿論、どうでもいい奴でも、
そんな所になんていさせたくない、それが当たり前でしょ?」
「それに、そこはとっても無防備になっちゃう場所だしね。
だから、ちょっとくらい良いなって思ってる人でも、
近寄らせるのは、どうだろうって躊躇っちゃうくらいなの。」
「…うん。」
「だから、さ…もう分かってると思うけど、
私にとって、乗せても良いって思える事…
私の大事な大事なそんな場所を、独り占めさせても良いって思える人。」
「それは、そこと同じ…ううん、それよりもずっと大切な人なんだ。
だから、その人を背中に乗せてあげる、乗せてあげたいと思える…
そういう風に思える人に向ける感情が、愛だと思う。」
「え?分かりにくい?やっぱりか…じゃあ、分かりやすくまとめるよ。」
「…貴方を、愛してる。」
「どう?感じた?伝わった?…それが、愛、だよ。」




・ドラゴン
「…宝物とはな、光り輝いていて手放したくないものだ。
そして欲とは、そんな宝物を手に入れる度に、
さらに上の宝物を求めさせる、そんな業深きものだ。
しかも、際限なく、な。」
「故に…例え極上の宝物を手に入れようとも、心は渇く。
いつかは飽きてしまうことを知っているからだ。
その宝物の輝きが、永久であり、そして一定であるがために。」
「だが…真の宝物はそうではない。
常に輝き方を変え、価値を様々に上下させる。
それが見せる一つ一つが心を満たし、欲を押さえ込みさえする。」
「そんな物を見られる者が、どうして飽きよう?どうして心が渇こう?
どうして…特別な感情を向けずにいられよう?」
「そう…その特別な感情を愛と呼ぶのだろうと、我は思う。」
「執着…?そうか、そうだな…そう呼んでしまえないこともない。
だがな…物事は幾多の側面を持つ、それが世の理というものだ。
我が生きるはそんな世、そして、我が愛する者も、そんな世にある。」
「ならばいっそ、誇り高く高らかにその理の元に愛を語ろうともよ。」
「それに…貴様も、我をそのように思ってくれているのだ。
それが愛であるならば言わずもがな執着であっても、
執着し合う、それを今度は…愛し合う、と言い換えても良いのだろう?」
15/09/05 22:46更新 / GARU

■作者メッセージ
チャットでのやり取りからのネタをちょちょいっと。
同じような結論だらけ?それは、まぁ…そう…そうねぇ…
ごめんなさい。
あ、それと、作中の魔物娘達の答えはあくまで個人的なものです。

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