読切小説
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とある提出記録の一枚
 提出者 ヴェリス・リーン 
 パートナー グラネア・ルー 種族 ワイバーン


 細かいことは苦手ではないしむしろ得意だが、あえて直球に記す。
 ワイバーンにおいて私が一番好むところはその気安さにある。
 無論竜における第一の必要条件は強さや威圧感であり、ドラゴンなどはその最たるものであることは理解している。
 事実としてその傲慢ともいえる気高さ、しかしてそれを持つに相応しい実力からなる単なる恐ろしさとは違う荘厳がかの種族の魅力でもあるだろう。
 それは認めるし、尊敬もする。
 だがこの課題を課されたからにはワイバーン、私が全幅の信頼を置く彼女の種族について書かせてもらうものとする。

 さて、先にも書いたが私が思う最たるものは気安さだ。
 ドラゴンと聞けば上にある通り、いっそ煌びやかな実力ながらも山脈の如き気性を思い浮かべるのが普通だろう。
 だがワイバーンにはそれがない。
 気性自体は荒い為安全というのは少々違うだろうが、それでも人懐っこさという点では間違いなく勝っている。
 これは触れ合いを好むと言い換えてもいい。
 事実として、今も私の肩越しにグラネアはこれを覗き込んでいる。
 多少……正直なところを書かせてもらえば鬱陶しくなる時も無いではないが、それでも触れてもらえるというのは嬉しいものだ。
 というのも、こちらから触れる口実が出来る。
 白状すると私は彼女に触れたい。
 しかしながら羞恥心というか常識というかが邪魔をして、どうにも自分から触れに行くのは気恥ずかしさが勝ってしまう。
 もちろん自分からは全くというわけでもない、私とて人間なのだから我慢の限界がある。

 と、話を戻そう。
 彼女が触ってきてくれることで、単なるスケベ心は求めに対する応えに変わる。
 そして一回触ればそこから先は何故か抵抗はかき消えるものだ。
 慣れ、と一言で言うのもまた違うのかも知れないが、しかしながら最初の一歩を踏み出す足取りがどうにも重い私にとっては彼女のそういう気安さは大いなる力である。
 もっとも、これは私に欲望に忠実であろうとする素直な心が足りていない為でもあり、世の中には真っ先に胸元へ飛び込まんとできる猛者も居るとも聞く。
 ここは未だ未熟である点ではあろう。

 ともあれ、彼女の気安さが良い事なのは理解してもらえると思う。
 大げさでも何でもなく、この気安さがあればこそ私は彼女を好き、そして愛するに至ったのだろうと思える。
 その他翼の大きさや案外に器用な尻尾なども愛らしい点だ。
 翼の大きさは包み込まれる安心感をもたらしてくれるときもあれば、逆に抱きつかれるときは全力で甘えに来ていると感じられるのもよい。
 尻尾も、持とうと思えばペンも持て、たどたどしい筆跡ながら字も書ける。
 流石にお前の五本の指ほどに器用ではないとは彼女の弁だが、それでも代わる技術を身につけようとする頑張り屋な所はきちんと見て褒めるべきだと思う。

 と、多少のろけ気味になったところで纏めに入る。
 ワイバーンとは流石に竜種、力は強い。
 しかしながらそれを感じさせずこちらの生活に溶け込む力としては秀でていると言ってもいいだろう。
 噛み砕けば、何度も言っているが気安く触れやすい。
 流石に十人十色、彼女ら風に言えば十竜十色であるから私の見た全てがワイバーンのすべてとは言えないが、それでも彼女の気安さはありがたく心地がいいものだ。

 なのでというのもなんだか催促をしているようだから言わないが、しかしワイバーンの魅力が少しでも伝わればとも思う。
 そんな、少しばかり気障な言葉を使わせてもらったところで締めとさせていただく。









 追伸者  グラネア・ルー

 何か 書きたいかと 言われたから 少しだけ。
 
 ヴェリス は 割とむっつりすけべ だから そういう 人も 大丈夫だよ。


 
                   
                     白竜翼の月  2 日
17/03/29 00:49更新 / GARU

■作者メッセージ
カッとなってやった。

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