読切小説
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精霊使いの村
夜のとある砂丘。
男の子が暗い中一人彷徨っています。

この男の子は精霊使いの村の人間。
この子の村ではある程度の歳になったら、
精霊と契約しなければならないという決まりがあるのです。

もちろん幼いうちに契約する必然性はありません。
世の中には老人になってから必要に迫られて契約する者もいるのですから。

しかしこの子の親は村の長。
いずれ後を継ぐ者として、早いうちに優秀である所を見せなければならないのです。

男の子は泣きべそかきながら彷徨います。
というのも。
(んー、なんか合わないからパス)
(ごめんね、他の精霊を探してねー)

見つけた精霊ことごとくに契約を断られてしまったのです。
このまま誰にも認められずに手ぶらで村へ帰れば父親にこっぴどく叱られるでしょう。
おまえはそれでも自分の息子か、こんな出来損ないは村から追い出してやる。
後半はどうか分かりませんが、前半分は確実。

親の怒声とゲンコツという、この歳では最大級の恐怖を後に控え岩の陰でしゃがみ込んでしまいます。
ぐすんぐすんとえずく男の子。
その声を聞いて興味を引かれたのか一人のイグニスが寄ってきました。

「どうしたんだい? こんなところで一人で泣いて」
人間らしき肉声に顔を上げる男の子。その目に映るのは体の一部が炎で覆われた若い女性。
男の子は一瞬魔物かと思いましたが、この地域はそんなものが入ってこれるような緩い場所ではありません。
夜中一人で子供を出歩かせる程度には安全なのですから。

男の子は言います。
親に怒られるのが怖い。もしかしたら家を追い出されるかも。
最初は単純に家出かと思っていた精霊ですが、詳しい話を聞いて同情した顔になりました。
「そうかいそうかい。よしよし、もう泣くな。あたしが一緒に行ってやるから」
頭を撫でるイグニス。しかし男の子の涙は止まりません。
自分が連れて行かなければならないのは精霊。精霊使いの彼女が来てくれてどうなるというのか?

「あー、分からないのかあ。あたしこれでも精霊なんだけど」
男の子は訝しげな顔。精霊とは形の定まらない存在。
中には人型になる者もいますが、こんな人間そっくりの姿になることなどありません。
自分をからかっているのかと怒りだす男の子。それをからからと笑うイグニス。

「本当だって。これがその証拠」
ちゅっとキスをするイグニス。
その瞬間男の子は目の前の相手との繋がりを感じました。
初めての体験ですが漠然と分かります。自分と目の前の女は契約で結ばれたと。


こんな精霊見たことない男の子でしたが、これで家に帰れると一安心。
イグニスを連れて帰ろうとしましたが、ちょっとストップ。
「今のは仮の契約だから、1時間もすれば繋がりは消えるよ」
えっ? という顔になる男の子。

「あたしが精霊だって信じてくれなかったろ? さっきのはただの証明。本契約はこれからさ」
クックックと笑う精霊。男の子はその顔に嫌なものを感じました。

「じゃあ、本契約しようか。まず、服を脱げ。全部」
その言葉にためらいを見せる男の子。
裸になることをなんとも思わない歳はとっくに過ぎているのですから。

「んー、できないのかぁ? ならしょうがないな。この契約はお流れと」
男の子は慌ててすぐ脱ぐからと背を向けたイグニスを引き止めます。
この精霊を逃したら次のチャンスは無いかもしれません。

「その気になってくれたか。じゃああたしも裸になってやる」
イグニスは服のように体を覆っていた炎を消し去りました。
その下から現れた肉体は人間の若い女性そのもの。
まだ性欲を持て余すような歳ではない男の子も勃起してしまいます。
「こら、手で隠すな。あたしはどこも隠してないだろ?」

そう言われては仕方ありません。男の子は股間を隠していた手を離します。
「これが男のちんぽか……。ああ、お前ぐらいの歳だとおちんちんって言うんだったか?」
自分の股間を凝視されて男の子の顔はもう真っ赤。
「あたしの契約方法はちょっと変わっててな。セックス…って言っても分からないか。
 お前のおちんちんをあたしの穴に入れて契約するんだ」
そう言ってねちゃりと女性器を広げるイグニス。
男の子は未知への不安に一歩退いてしまいます。
「逃げるなよ、痛くは無いはずだ。…あたしも初めてだけどさ」
そう言ってイグニスは男の子をそっと砂地に押し倒します。



精霊が人間とともに生きようとすることは珍しい事じゃない。
あたしの嫌いなウンディーネなんかは少しでも人に近づこうと、出来損ないの人形のような姿になることもあるぐらい。
そんな姿になったからって愛してもらえるわけないのにねえ。

そんな風に考えていたあたしだったが、最近奇妙な魔力を感じるようになった。
通常の自然とは違う力。粘つくような不穏さを感じるが生的な力強さも感じる。
一体何があったんだろうねと、知り合いたちと話していたらある奴がこう言い出した。

この魔力には生命への強い変換力を感じる。
もしかするとこれを上手く使うことで精霊も人間の様な肉体を持てるかもしれない。

おまえ頭いいな、INT500くらいあるんじゃね?
そんな感じで少し盛り上がったが、実際に試してみるとなると誰もが押し付け合った。
お前やってみろよ、いやいやアンタから先に。

無理もない。失敗したら精霊でさえない化け物になってしまうかもしれないのだ。
そんなことやる度胸のあるバカは……ここにいた。

あたしは悩むより動くタイプ。ちょっくら試してみるわとやってみたら……成功した。
特定の姿をイメージすることなく出来上がった体は人間の女。…ちょっと耳がとがっているけど。
人間は服を着るものだけど、こんな所には布なんてない。しょうがないので炎で胸や腰を隠す。

周りの奴があたしの姿を見てどんな感じかと訊いてくる。
いや、どうと言われても……言葉で説明などできない。
そんな気になるならお前たちもやってみろと言ったが、二の足を踏む奴ばかり。

とりあえずこの体になって一番の感覚は。
人間の男とエロいことしたい、だった。

しかしここは近くの人間にとって聖地と呼ばれている場所。
年一回の祭以外は契約希望者がまれに訪れる程度。
こんな所にいても男は釣れない、どうしようか。
そう思っていたら聞こえた男の声。


とまあそんな感じであたしの下には男がいる。
まだ幼いけど勃起はするし、セックスはできるだろう。
さあ早速……と思うけど、この子は怯えているようだ。
まずは安心させてあげよう。大丈夫、怖くは無いよ。
微笑んでやって優しくキス。落ち着かせるには愛情を示してやるのがいい。

それで男の子も少しは心を開いたのか、固まっていた体を柔らかくしてくれた。
よし、じゃあ本番といこう。
勃起していても小さい子供のちんぽを指で掴む。

さあ、これからおまえのおちんちんがあたしのまんこ…穴に入るんだ。
なんか出そうになるかもしれないが、その時は遠慮なく中で出していいからな。

男の子がコクリと頷いたのを確認して、そっと挿入。
ん……これが、男のちんぽ? 

サイズのせいか思っていたほどの衝撃は無かった。
しかし心の中にじんわりと幸福感が広がる。
本来触れあうこともできない人間。その人間の大事な部分が自分の中へ入っている。
生物の熱と柔らかさ。性器のすれあう快感。
精霊の自分が人間と繁殖行為を行うという不可思議。

周りでこっそりと見ている精霊たちに言う。
ほら、これが人間のするセックスだよ! 
あたしが最後までやってみるから、よく見ておくれ!
男の子は精霊が見ていることが恥ずかしいのか手で顔を隠してしまった。

……可愛い。ああ、これが人間のいう可愛いという感情なのか。
可愛い人間ともっと肌を触れ合わせようと体を倒して抱きしめる。
ちょっと重いかもしれないけど、男なんだから我慢我慢。

ん? なんだい? 重くてダメ?
男の子が何かを言う。
あたしへの苦情かと思ったら全く違った。

気持ちいいよ、おねえちゃん。

おねえちゃん。
その言葉にあたしの心はブチ抜かれてしまった。
精霊には親も兄弟も子供もいない。
契約者を除けば、あとは顔見知りという程度の薄っぺらい関係しかないのだ。

それなのに……人間の子供におねえちゃんと呼ばれるとは。
先の可愛さとは違う、愛しさがこみ上げてくる。
この子のためなら何だってしてやる。自分の身を捨てたって構うものか。
…そして汚らしい独占欲が腹の底で蠢く。
もうこの子はあたしのモノ。他の誰にも渡さない。

二つの感情を飲み込みあたしはゆっくりと動き続ける。
男の子も少しばかり突き上げているようだ。
そして耐えきれないようにあたしに言う。

おちんちんがおかしいよ! なにか出ちゃいそう!

初めてだが私はきちんと知っている。
射精。女を孕ませ子供をつくるための材料を注ぎ込む行為。
もっともこの子はそんなこと知らないだろうし、精霊のあたしが子供を作れるのかも分からない。

何か出そうなの? 我慢しないで出していいよ!
まんこの中に出しなさい! おねえちゃんに精液ちょうだいっ!

ビクンと男の子が震える。そして腹の中に熱い感触。
あっ、出てるっ! 人間の精液があたしの中にっ…!
膣の中がネバネバ……っ! ああ、男があたしを孕ませようとしてるんだ……。
初めての射精にあたしたちは互いの体を固く抱き合って快楽に震える。
今までの人生で貯め込んでいた分をすべて放出したのか、男の子の射精は長く感じた。



さて、こうして男の子はなんとかイグニスと契約を結ぶことができ、
一晩中愛し合った後大手を振って村へ帰ることができました。

ところが幼い身で精霊と契約を済ませたというのに、父親は良い顔をしません。
男の子の父は経験を積んだ精霊使いでしたから、連れてきたものが火の精霊であることは一目で見抜きました。
しかしその姿はどう見ても人間。いえ、耳はとがっていますがそれを除けば人間そっくりです。

こんな精霊見たことも聞いたこともない。
父親は不審に思いましたが、その力はこの村の誰よりも強大。
村の守り神としてはこれ以上ない存在です。
けっきょく姿以外は特に問題も見当たらないので、イグニスは男の子の家に迎え入れられることになりました。

こうして村に住むことになったイグニスですがいつでもどこでも男の子にべったり。
他の精霊と違い美しい姿ですから、周囲の人々に釘を刺されることもあります。

いいか、綺麗だからって間違っても精霊さまに手を出したりするんじゃないぞ。
人間そっくりだからといって甘えたりするな。敬意を持って接するように。

この村は精霊信仰の村ですから、精霊は人間以上の扱いをされています。
最低でも契約者と対等、一家の守り神として崇める者も大勢います。
もしそんな精霊に乱暴を働いたとなれば……。

ある日の夕方。
「んっ…! いいぞ、おまえも上手くなってきたな……」
イグニスが四つん這いになり、男の子が後ろから腰を振っています。
「つっ…! そこは、初めて……! ちんぽも成長してるんだなっ……!」
二人は家人の居ない隙を見てはまぐわっていました。
「あ…? もうイクのか? 持久力も少しは鍛えないと…まあいい」
とりあえず腹を満たしたいのか、イグニスは本日一発目の射精を受けます。
「よし、おねえちゃんのまんこに出せっ…! 気持ち良くなってくれよっ…!」
男の子がすっかり病みつきになってしまった射精の瞬間。
「おーう! オマエんとこの精霊さまに珍しい菓子を……」
部屋へ入ってきた父の友人が見たのは、後ろから精霊を犯している男の子。


部屋へ入ってきたのが男の子の父であったなら内々に済ませられたかもしれませんが、友人は熱心な精霊崇拝者。
父の友人は村の主だった人々に、この事を伝え集会が開かれました。
男の子は父親とともに輪の中央へ引っ張り出され、四方八方から厳しい視線を受けています。
「オマエんとこは子供にどういう教育したんだ! 精霊さまにあんなことするなんて!」
男の子の父親をみんな口々に非難します。

「何だよお前らっ! あたしがしたいって言ったんだから、この子は何も悪くないだろっ!」
イグニスは男の子をかばいますがあまり効果はありません。
「申しわけありませんが、精霊さまは黙っていてください。これは我々人間の問題です」
男の子が人間と精霊の一線を越えてしまったこと。問題にされているのはそこなのです。
互いに望んでいるとか、許されているとかそんなことは関係ありません。

このままでは男の子には厳しい罰が与えられることでしょう。
そして罰が終わった後も村人たちの冷たい視線にさらされ続けることは確実です。


その日は皆に罪状を述べたところで終わり、罰を与えるのはまた改めてということで解散となりました。
次の村長はどうするんだ、いっそ一家丸ごと追放でもするかなどと、
不穏なことを口にしながら村人はぞろぞろと家へ帰っていきます。

家へ帰った男の子は逃走防止も兼ねた罰として倉庫へ閉じ込められることになりました。



あー! 何だっていうんだよ村の奴らっ! あたしがあの子としたいんだから別にいいだろっ!
普段は村の守り神だなんだと拝んでくるくせに、あいつらは肝心な時に話を聞こうともしない。
あたしが神だっていうなら、その言葉には従えってーの。

あの子は家へ帰るなり、罰として真っ暗な倉庫へ閉じ込められた。
……一人寂しく泣いているのだろうか。もしそうならあたしは耐えられない。
いっそ倉庫を燃やして出してやろうかとも思ったが、そんなことをすればさらにあの子の立場が悪くなるだろう。
まったく、人間のルールってのは面倒だ。

……何か良い手はないものか。
あの子がもっと大きければ村を出ようと提案しただろうけど、一人旅にはまだ早すぎる。
考えろ。あたしとあの子が存分にイチャつけ、なおかつ周りに白い目で見られない方法を。

そのときピンと一つ閃いた。
人間とまぐわう精霊があたしだけだからあの子は罪を犯したと言われた。
なら、村中の人間と精霊がそうだったとしたら?
契約者と精霊が当たり前のように愛し合い交わり合う村。
そんなだったらあの子の行為はごく自然な事として、村人に弾劾されることなどないだろう。
……やってみるか。

あたしは家を出て村の精霊たちに声をかけて回った。
やあやあ、きょう村中が騒がしくなったことは知っているだろう。
実はそれはあたしが契約者と愛し合ったことが原因でね。
どうも村の人間は精霊と人間が愛し合うのを良しとしないんだ。

あたしの言葉に精霊たちは落ち込んだ雰囲気。
肉体云々ではなく人間との心の隔たりを感じたのだろう。

でもあたしは愛し合うことが悪いとは思わない。
互いを大切に思い快楽を与え合うことの何がいけないっていうんだろうね?
だからあたしたちが愛し合うところを見て、それが悪でないと思ったなら契約者へ弁護してもらえないだろうか。

もちろんあたしは契約者以外への関心が薄い精霊が弁護してくれるなどとは思っていない。
しかし聖地と違いずっと村の中で暮らしてきた彼らは、人間への強い憧れを持っている。
あたしとあの子の交わりを見れば、きっと自分もそうしようと肉体を持って契約者の元へ向かうだろう。
そうすればこの村は罪人だらけ。全員が負っている罪なんて罪じゃなくなるのさ。

村中の精霊たちを連れて倉庫の中へ。
鍵がかかっていたけど、他の精霊たちの協力により穏便に突破できた。

あの子は暗い中泣いているんじゃないかと思ったが、そんなことはなかった。
おお、成長したんだな。よしよし、おねえちゃんが撫でてやろう。

ぎゅっと抱いて頭をなでる。そうしたらいきなりポロポロ涙をこぼしはじめた。
あらら、せっかく褒めてやったらこのザマかい。
ま、これはこれで可愛いからいいんだけど。

しばらく泣き続けてこの子はやっと落ち着いてくれた。
そして倉庫中にいる精霊たちに気付き目をむく。

大丈夫、こいつらはお前に酷いことなんて何もしないよ。
それどころかお前を助けてくれる。ただしそれには条件があってね。
こいつらの前であたしとセックスしないといけないんだ。

見られながらするということで、久しぶりにこの子は恥ずかしがった。
でも罪を許してもらえるというあたしの説得で納得してくれたのか首を縦に振る。

じゃあやろう。邪魔の入った夕方のやり直しといこうじゃないか。
あたしは炎を消し裸体を見せる。そして床に伏せ――ようとしたところで止まった。
一体のノームがベッド代わりに土の寝床になったのだ。
別に気を利かせたわけじゃないだろう。単にこうすれば一番近くでまぐわいを見られるからだ。

まあ硬い床よりは柔らかい土の方がいい。せっかくなので、こっちにおいでと手を引き連れて土のベッドの上へのる。
姿勢は尻を突き出した四つん這い。あたしのまんこから滴る液が土に染み込む。

さあ入れておくれ。あたしたちの愛し合う姿を見せてやろうじゃないか。
穴にちんぽが当たる感覚。そのまま真っ直ぐ……。
つぷっとあたしの中に性器が入ってくる。
膣肉で皮がめくれ、むき出しになった亀頭が壁と擦れ合い快感を生む。
この子のちんぽは同年代と比べれば十分立派だろうけど、成人に比べればまだまだ小さくて膣の奥になんて届かない。
ぬぷぬぷと進んでいたがやがて根元で止まり、今度は引き抜く。

出て行かないでと、あたしの膣はちんぽに絡み付き快楽で引き留めようとする。
膣内の液で濡れたちんぽがあたしの中から再び姿を現す。
…すごい視線を感じる。肉体の無い精霊にとって男と女が繋がる性器部分はやはり興味深いのだろう。
そして再び腰を進める男の子。前にも増して粘つく体液が土へ零れ落ちる。

動き続けるうちに、あたしたちの息は荒くなっていく。
普段は平熱の体温も熱病のように上がり、肌から汗が染み出る。
腰の動きも早くなり、水っぽい物がぶつかる音が倉庫に響きだした。

あたしのとろけた顔を見て、一人の精霊が訊ねてくる。
人間と交わるのはそんなに気持ち良いのかと。
当然だ。男と女にとってこれに勝る快楽など存在するわけがない。

多くの精霊たちが見守る中まぐわっていたあたしたちだがそろそろ限界が近い。
いつもと同じように膣内へ精液を出してもらう。

さあみんな! もうすぐこの子が射精するよっ!
あたしたちがどれだけ快楽を感じているか、よーく見なっ!

その言葉とともに一番深くまでちんぽが突き刺さり射精が始まる。
小便の出る穴から噴き出す熱くて白い液体。
それがあたしの膣内に飛び散り、壁に張り付き、体液と混ざり、腹の中に溜まっていく。

あ、出てるっ! いまこの子があたしに射精してるよっ!
精液でまんこの中がドロドロっ! もう妊娠しちゃいそうっ!

妊娠という言葉に、周りの精霊たちが反応を示す。
精霊は子供なんて作ることは出来ない。本当に妊娠するのかと皆が聞いてくる。

あー…どうなんだろうね……。でもデキてもおかしくないと思うよ…。
あたし、もう生物だから。繁殖能力あるかも……。

妊娠する“かも”しれない。その程度の可能性だ。
あたしは避妊なんて一度もしていないが今のところ変った様子は無い。

射精も終わったので、モノを穴から抜かせる。
すると開いた穴から体液と精液の混合液がどろりとこぼれ土に落ちた。

その瞬間。
土のベッドが揺れて放り出されたかと思うと、下にいたノームは女の姿になっていた。
「……セックス、気持ち良さそう。私も…したい」
そう言って彼女は扉を開き外へ出ていった。
たぶん契約者の元へ向かったんだろうな。

その様子を見て周りの精霊たちも、自分も自分もと次々に人型へと変わっていく。
キャッキャ騒ぎながら村へ繰り出していく精霊たち。

作戦成功。
さーて、明日の朝はどうなるかな?



村中の家で悲鳴が響いた夜も明けて。
村人たちはどうしたものかと顔を見合わせました。
自分一人ならともかく、村中の男が精霊と交わるという禁忌を犯してしまったのです。
村の長も襲われていたというこの状況。一体誰が罰するというのでしょう。
(ちなみにこの地域は男尊女卑なので女が男を罰するという選択肢はありません)

とにかく多かれ少なかれ罪悪感を感じている村人ですが、精霊たちはお気楽にもっとシタイと誘ってきます。
そんな中誰かが言いました。

「精霊さま皆が望んでいるんだから、悪い事じゃないんじゃないか?」

それは自分の罪悪感を和らげるための物であると同時に、再びあの快楽を味わいたいという下心でもありました。
他の村人も同じ思いなのか躊躇いながらも、そうだよな、精霊が喜んでいるんだから…と頷きます。

結局、精霊から求められたときは許す。
ただし村の中で精霊との交わり話題に登らせるのは禁止ということで話はまとまりました。

男の子も白い目で見られる恐れは無くなり、いつも通りの日常へ戻ります。
イグニスは前以上にベタベタしてきますがもうそれを咎める者はいません。
なにしろ村の精霊たちはみんな契約者に張り付いているのですから。



この村が変わったあの日からずいぶん経った。
もうあたしがこの子とイチャついても誰も邪魔しない。
ああなんて素晴らしいんだろう!

そう思いまぐわっていたある日。
いつもと同じように射精を受けた瞬間、腹の底でドクリと何かが蠢いたのを感じた。
なに…? 今の感じ?
不思議だが不快ではない。むしろ温かくて慈しみを覚えた。

それ以来ときおり腹の中に奇妙な存在感を感じるようになった。
これは、まさか……。
腹に手を当てながら期待に笑みを浮かべるあたし。
そして予想通り、だんだんと腹は膨らんでいった。


あたしは妊娠して性欲が減退するどころか、より強く男を求めるようになった。
すっかり膨らみ胎児の存在を主張する腹。
孕むことなどない、ただ快楽のためだけのセックス。
あたしはすっかりそれに溺れてしまった。

この子は胎児を心配するけど、あたしはまぐわうほどに力が強くなっているのを感じている。
丈夫な子にするためもっと精液を注ぎ込んでくれと今日もねだるのだ。

契約者の部屋でベッドに仰向けに横たわり、一つになる。
この子はもう臨月のあたしと交わることに何の疑問もためらいも持たなくなった。
今のあたしの子宮は下がっているので、この子のちんぽでも子宮口へ届く。
腰を打ちつけられるたびにツンツン刺激されて中身が出てしまいそう――あれ?

……なんか、得体のしれない液体がシーツに零れている。
もしかしてこれ羊水?
そう思ったとき、腹にズシッと重い感覚。
ま、まさか、産まれる……?

そのまさか。
男性器で子宮口を突かれすぎてあたしは破水してしまったのだ。
子宮がギュッと収縮し胎児を外へ押し出そうとする。
背筋を走る快感。

あ、あ…っ! こっ、子供…産まれるっ…!
胎児が子宮を出ようとしている。
ちんぽよりずっと太い頭でグッと拡げられる子宮口。

子宮、広がって…! あたま、通るっ…!
あたしはシーツを掴んでうなり声を上げる。
その間も出産は続き、胎児の頭がまんこの中を進む。
羊水で濡れている髪の毛。それが膣のヒダヒダと絡み合い目がくらむ。
出産とはこんなに気持ちいいものだったのか。こりゃ人間がポンポン産まれるわけだ。
頭の片隅で納得しながら胎児の父親を見る。

彼は心配そうにあたしをじっと見ている。
そんな緊張すること無いって、安心しろ。そう頭の中で思うが当然伝わらない。
そうしている間に胎児は顔を出し始めた。

ああ…見られている。あたしが子供を産むところを。
精霊のあたしが人間と作った子供を産んでいる。
子供なんて持てないはずのあたしが、女として命を生み出そうとしている。
そのことに肉体的な快楽とは違う幸福感を感じ口が動く。

ほら、おねえちゃんが、おまえの子供を産むよっ!
しっかり目に焼き付けなっ! 精霊が出産するなんてそうそうないんだからっ!

力み過ぎて腰が上がる。
胎児の頭がじりじりと時間をかけて穴の外へ進む。

もうすぐ! もうすぐ出るよっ! もうちょっとでまんこ抜けるっ!
あたま、頭が出っ――くあぁぁっっ!

頭の太い部分が抜けた瞬間、勢い余って胴体までズルリと出てしまった。

ひっ…ひっ……産まれ、ちゃった……の? あたしの、赤ちゃん……。

一気に胴が抜けたときの快楽であたしは腰が抜けてしまった。
どんな子が産まれたのか見えない。

ねえ、見せてよ…あたしの子供…。

すると彼が子供を抱きかかえてあたしに見せてくれた。
赤い髪の精霊。あたしと同じイグニスだ。
人間じゃなかったのはちょっと残念だけど、この子はあたしの可愛い娘。
渡してもらって頬ずりをする。うん、柔らかい肌。

しばらく母になれた喜びに浸っていたあたしだが、やがて疑問が生まれた。
あれ? この子へその緒ついてなかったよね。
なのにどうしてへその穴があるんだろう?



「おい、今日の勤めは済ませたのか?」
全く歳をとらなくなった父が自分に言う。
まだこれからと答えたら、早くしろと言いつけて家の外へ出ていった。

自分が小さかった頃と比べてこの村はずいぶん様変わりした。
そこかしこで女性の姿をした精霊と村の男がイチャつき、物陰でまぐわう。
もちろん精霊への敬意を失った者はいないが、人間的な愛情に近くなっている。

「こんにちわー! ここが村長さんの家ー!?」
物思いに沈んでいたら玄関に来客。
訪ねてきたのは緑の肌をしたシルフだった。

はいそうですが、ただいま村長は留守にしております。
ご用件があるなら伝えておきましょう。
「はーい。アタシは聖地から来たんだけどー、男の人と契約したいから誰か紹介してくれないって伝えてくれる?」
またか。かなり前からこういう精霊が増えた。
聖地からこの村までやってきて契約してくれと自分を売り込むのだ。
こういう輩のおかげでこの村では複数の精霊と契約しているものも珍しくない。

「あ、でもキミが今すぐアタシと契約してくれるっていうなら、伝言しなくていいよ?」
謹んでお断りします。
「えー、そんなー。たっぷりイイコトしてあげるからさぁ、お願い…」
そんなこと言われても困る。なにしろ自分には……。
「オイコラ。あたしの契約者に手を出そうってんなら、燃やすぞ」
不機嫌に家の奥から現れたイグニス。その殺気を感じてシルフは速やかに退散した。

「……行ったか。よし、あたしの部屋へ行くぞ。今日はまだお前としてないんだからな」
四人目を孕んで腹を大きくしたイグニスが、彼女のために設けられた部屋へ自分を誘う。

「おかーさんおかえりー」
「お父さんもお帰りなさい」
「はやくセックスみせてよー」
ずいぶん育った自分の娘たち。全員火の精霊で人間の男が一人もいない。
これは他の家も同じで、村は女っ気がやたら増えた。
「よしよし。今日もあたしたちの愛し合うところを見せてやるからなー」
娘たちに笑って言うイグニス。やれやれ。

自分がベッドに寝てイグニスが上に乗る。
三人産んだというのに、彼女の性器は綺麗なままで締まりも変わらない。
「じゃ、入れるぞ。今日も腹の子に飲ませてやってくれ」
指で穴を開き自分のモノを飲み込んでいく。
「んっ…。ああ…おまえはずいぶん立派になったよなぁ…」
そんなとこが立派になったと言われて喜んでいいものか。
「憶えてるか? 昔のおまえは孕んでいても子宮まで入らなかったんだぞ?
 それが、今じゃ胎児を突くぐらいに育ったんだからなあ……」
喋るイグニスの胸を掴む。
「お、飲むのか。じゃあ温めてやろう」
彼女が胸から搾り出す母乳は熱を持ち湯気を立てる。
「どうだ。ヤギの乳よりあたしの母乳の方がずっと美味いだろ?」
とろけた笑みを浮かべながらイグニスは喋る。まあ、確かに美味しいけど……。

彼女の膣は締まりが変わらないが、子宮口は別だ。
緩くなった……いや、失礼だから柔らかくなったと表現するべきか。
以前は力を込める必要があったが、今はすんなりと入る。
羊水に満たされた子宮の中は風呂のように熱い。
……この熱さとなるとやっぱり四人目も精霊なんだろうな。

「ん? なんだい…? 精霊じゃ嫌なのかい?」
まさか、そんなことはない。
自分は崇拝心が強い方ではないが、新しく精霊が増えるのは喜ばしいことだと思う。
それに自分の子供でもあるし。

「自分の子供ね…。ククッ、泣き出した子を抱えておねえちゃんどうしよう、なんて言ってた子がねえ…」
それは言わないでくれ。だいたい3人も子供を育てれば慣れるだろう?
「ほとんど面倒見てたのはあたしじゃないか。それじゃあ今腹にいる子はお前が育ててみるか?」
いや、それはちょっと……。
「ほらな。結局お前はあたしがいないと子育て一つできないのさ。
 ほら、おねえちゃん僕の子供を育ててよって言ってごらん」
この歳になって恥ずかしいぞ、そのセリフ。
「最近のおまえは反抗期っぽいからな。さ、昔みたいにおねえちゃんって呼びな」
……おねえちゃん子供を育ててください。
「あはっ! 懐かしいな、その言葉! よしよし、新しい子もおねえちゃんが育ててやるぞ!
 それじゃ、お父さんの精をたっぷりくれてやりなっ!」
その言葉に彼女の子宮へ精を放つ……が。
「あ…っ! ちょっ、ずれてる…! 直接、かけてやりなよっ…!」
どうやらあさっての方向に出てしまったらしい。
胎児にはかからず、彼女もあまり気持ち良くなかったようだ。

「ダメなお父さんだねえ……。やっぱりおまえはあたしが面倒を見てやらないといけないね」
ニタリと笑いながら言うイグニス。

セックス一つでそこまで見下さなくてもいいだろ?
そうも思うが、今の村で最も重要視されるのはそれなので仕方ない。


はあ……彼女が子供扱いを止めてくれるのはいつになるのだろうか。
11/11/26 11:46更新 / 古い目覚まし

■作者メッセージ
物語部分をもっと増やすべきでしょうか。



ここまで読んでくださってありがとうございました。

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