連載小説
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二人の暮らした曇りの日
さて、あの雨の夜からの私たちの日々のことを書いておきます、
いえ..私道子と、旦那様、幸助さんとの、
大切な思い出ですので....

あの夜が明けた後、私の家でお休みになられた幸助さんは、
すぐに会社の方に「今日は休む」、と連絡を取り
業者の方にもお電話をしてくださって、
私の家の物をその日の内に、全てご自分の家に運ばれました、

とても仕事が早く、勤務中は余計なお喋りは一切しない幸助さん、
しかし、私と一緒のときは、とても甘えん坊な幸助さん、
どちらもとても魅力的で...ああ、
珍しいお菓子などを作って差し上げた時、
じーっと眺めて、恐る恐る口に運ぶときの仕草といったら..
私の体にもよく興味を示して、
どろーっとくつろいでいるときなどに、
よくスライム状の所に飛び込んできます、
そのとき、包んであげて、ふにふにとマッサージしてあげると、
何とも可愛らしい声をあげて...はあん///

それから、気になったのが一緒にお料理を作るとき、
お肉やお魚を使うときは、幸助さんは必ず
自分でタレを作って、最後にかけるのです、
えと...作り方を載せておきますね、

まず、ニンニクとショウガをすりおろして、多めの油で少し炒めます
ちょっぴり黄色になって、臭いがしてくるまでがいいそうです、
そこにお酒を少しだけ入れて、市販のソースとケチャップを
先に入れた物の半分の分量入れます、
あとは、胡椒を少しふって完成..らしいです、

幸助さんのオリジナルなのだとか...
ニンニクのいい香りがたっぷりして、疲れが取れます、
後片付けの時、幸助さん口にソースを付けていたことがあって、



そうっと舐め取って差し上げると、可愛らしく俯いて..
そして..いろんなところが元気になった幸助さんを
お布団に押し倒して....うふふ、

寝る際は、私をぎゅっと抱き寄せて、
耳元で「おやすみ」と呟く幸助さん...
今夜も、私は甘い夢の中に落ちていきます..

一度、妖怪の集落に、共に行ったことがありましたっけ..
初めは、少し怖がっていた幸助さんも、
他の方とすぐに打ち解けて..
性的な目つきで見られる幸助さんと手をつないで..
「夫婦なんですよー」とアピールしたりして..
幸せです...旦那様..
道子は..今..とても、幸せです................


「なんでぼーくらはー...であったんーだろう..」

ん..んん? 幸助さんの声..あれ、何処..?

「きみはぼーくの..かわーいいーひと..」

あっ...
薄目を開けて見ると、お布団の上に座り込んでいます、

「そばーに..おいでー..あさーに..なってー..」

何の歌だろう..じいっと、耳を澄ませます、

「ドアーを..あけるー...まではー..」

いつもキスしている口から紡がれる、言葉、

「まーだ...いーいよ..まーだ..いーいよ...」

....切ない..寂しげな...でも、温かいメロディ..

「こーと..ばにー..まーだーしーなーくーてもー..

 ただー...いーつもー...たーだ...いーつもー...

 いーたーずらーに..ぼーくを こまーらーせーてー..」

気付きました、
幸助さんの声が震えていること、鼻声だということ、

幸助さん、泣いてる...

「こーと..ばーはぁ...つーたぁ..なぁーいやぁあーー...あぁー...」

...そうか、まだ私たちは......

「っあ..! 道子....起きてたのか...あ....うう」

お辛いなら、そういって下さい、

私が温めます、こうやって......

私が癒します...これから..ずうっと、

「ごめんなあ..ごめんな....こんな..ずっと泣いてばかりの..」

いいのですよ、私が、守ります


私たちは今夜も、お互いの心を満たし合い、
深く、深く、愛と優しさの海へ、落ちていきます

                  
                   続く



13/01/07 12:43更新 / 酢飯
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■作者メッセージ
今回は道子の視点で書かせていただきました

挿入歌 
going under ground
「なんでぼくらは」

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