あ〜んでっどまんしょん見学編1
私は玉井 知里(たまい ちさと)、この4月から大学生。
まあ今は卒業式を終えちゃったから進学予定の事実上無職なんだけど。
本当は都内の大学に行きたかったんだけど、その・・・ね、共通一次試験の点数が悪かったから二次試験にも引っかからなかったなんていうのは恥ずかしくて口が裂けても言えない・・・ってどうして秘密にしておきたい事がネットの海に投げ込まれてるの!?ねぇどうして!?
ごめんなさい、少し取り乱しました。私は玉井 知里(たまい ちさと)、この4月から大学生・・・あれ?このフレーズはどっかで見た事がある気がする、これが・・・既視感!?
えっと、色々・・・そう色々あって地方の大学に進学する事になった私は学校周辺の下見もかねて4年間、もしかすると5年になったり6年になったりするかもしれないけれど、お世話になる物件を探しに来ています。
両親は「家賃と電気、ガス、水道代くらいは払ってあげるから、4万までなら。それ以上は自分で何とかしてね?」なんて言っていたけれど、一人娘への態度にしちゃ厳しくない?いや、お父さんが薄給なのは分かるけどさ・・・、この条件だとどう頑張っても家賃は3万程度が限度だよね。
ざっくりと生活費の試算をしながら周辺の下見を終えた私はその足で不動産屋へと向かう。ちなみに、この手の商売が水曜定休なのは「契約が水に流れないように」という信心から、どうでも良いけれど。
家賃が3万、水道・光熱費が1万、通信機器はスマフォで何とかするしか無いか・・・これが5千円程、後は食費、週5千円で月2万くらいかな?それから雑貨類、これはいくら掛かるかまだ分からないなとりあえず1万、後は交友費、大学生なんだからたくさん掛かりそうだよね、2万くらい見積もって、結構ギリギリだなあ、月6万以上・・・土日含めて週4日以上はバイト入れないときついよね、これで大学生活を楽しむのって厳しいよ、チサト・マスト・ダイレベルだよ。
そんな試算をしながら知里は不動産屋にたどり着く、黄色と黒の看板が若干目に痛い不動産屋。
中に入ってアパートを借りたいと言うや否や「学生さんですか?でしたらこちらの物件がおすすめです!」なんて紹介をされるが、そんな高い所を借りる学生がどこにいるか、家賃6万とかどこのセレブだ一体。
店員に勧められるまま話を聞いていても埒があかないのでこちらの条件:家賃3万以下を提示した所、
「ごめんなさいね〜、この時期ですからそういった安い物件ほど早く決まってしまってもう残って・・・あ、ありましたよお客様、家賃3万、敷金・礼金無し、朝・夕食サービスあり、居間共有、風呂・トイレ共同、日当たりは・・・あまり良くないですね、北窓です。でも、南側に庭があるみたいですよ。」
「そこ、お願いします。」
私は即答していた、あろう事かなけなしの現金を机に叩きつけて。今思えばこのとき既に墓場の中から出て来た手に片足を捕まれていたのかもしれない、おかげで今は愉快な話には事欠かない生活を送っているんだけどね。
「えっと・・・もうなんか決めちゃってるみたいだけど一応、見学します?」
「はい、是非!」
意気揚々と鼻息荒く・・・いや、鼻息が荒いのは年頃の乙女としてどうかと思うけど、並々ならぬ決意を持って私は答える。
「じゃあ、向こうに連絡とってみますので少々お待ち下さいね。」
そう言っておば・・・じゃなかった、お姉さんは事務所の置くにある電話へと向かう。
その頃、電話線でつながったダイヤル式黒電話の向こう側では・・・、
「はい、こちらふし荘です。日中ですので管理人のチェルシーに変わり刹那が応対します。」
日本人を象徴する黒髪と西洋人を彷彿とさせるスレンダーな体型と整った顔立ち、まさしく頭の中の都合の良い妄想を具現化したとも言えるハーフの美人が電話に出ていた。
ちなみにもう一人日中起きている住人は居間にあるソファーに横になりながらビーフジャーキーをむさぼっていた、時折気だるそうに欠伸をしながら。
「ええ、はい、分かりました。私の一存では決められないので管理人に聞いてみます。」
そう言うと彼女は一旦受話器を置き、大きく息を吸い込み、
「チェルシー・・・エジソン。」
とソファーに横になっているだらけた住人にも聞こえるかどうかといった小声でこの時間はまだ二階の個室で寝ているであろう管理人に呼びかける。
普通であればどう考えても聞こえるはずも無いのだが、どういう訳かその一瞬後には呼ばれていた当人、チェルシー・ローゼリッテが優雅に居間のソファーに座って眠気をごまかす為のコーヒーをたしなんでいた。無論、だらけた住人を下にして。
「それで刹那君、一体どういう用件だね。私としては大したもので無ければ日も傾いていないこの時間帯はまだ眠っていたいのだが。あと、それの件で人を呼ぶ時はエジソンでは無く電話と呼んでくれた方が通じやすい。」
「エジソンは偉い人。」
「いや、確かに彼が偉い人だというのはそんなの常識ではあるが・・・いいや、この話はまた今度にしよう。それで、私がでなければならない用件とは何だろうか?」
「入居希望者。」
「それは本当か!?それで、種族は?」
「多分・・・人間。」
「人間!人間が来るのか!男、男が良いな!イケメンで彼女無しなら更に良い!」
「サラ、お前は黙ってろ!何だったら今すぐ庭に穴掘って埋めてきてやる。今なら、その辺の石ころにサラの墓ってレーザーで彫刻も入れてやるぞ。」
「ごめん、黙ってるから見逃して。流石に生きたまま地中に埋められるのを2度も経験したくはないわ。」
「大丈夫、君はグールだ。既に死んでいるから何の問題も無い。」
「チェルシー・・・電話。」
「あ。」
ふし荘はたった一本の電話で無駄に慌ただしくなっていた。
まあ今は卒業式を終えちゃったから進学予定の事実上無職なんだけど。
本当は都内の大学に行きたかったんだけど、その・・・ね、共通一次試験の点数が悪かったから二次試験にも引っかからなかったなんていうのは恥ずかしくて口が裂けても言えない・・・ってどうして秘密にしておきたい事がネットの海に投げ込まれてるの!?ねぇどうして!?
ごめんなさい、少し取り乱しました。私は玉井 知里(たまい ちさと)、この4月から大学生・・・あれ?このフレーズはどっかで見た事がある気がする、これが・・・既視感!?
えっと、色々・・・そう色々あって地方の大学に進学する事になった私は学校周辺の下見もかねて4年間、もしかすると5年になったり6年になったりするかもしれないけれど、お世話になる物件を探しに来ています。
両親は「家賃と電気、ガス、水道代くらいは払ってあげるから、4万までなら。それ以上は自分で何とかしてね?」なんて言っていたけれど、一人娘への態度にしちゃ厳しくない?いや、お父さんが薄給なのは分かるけどさ・・・、この条件だとどう頑張っても家賃は3万程度が限度だよね。
ざっくりと生活費の試算をしながら周辺の下見を終えた私はその足で不動産屋へと向かう。ちなみに、この手の商売が水曜定休なのは「契約が水に流れないように」という信心から、どうでも良いけれど。
家賃が3万、水道・光熱費が1万、通信機器はスマフォで何とかするしか無いか・・・これが5千円程、後は食費、週5千円で月2万くらいかな?それから雑貨類、これはいくら掛かるかまだ分からないなとりあえず1万、後は交友費、大学生なんだからたくさん掛かりそうだよね、2万くらい見積もって、結構ギリギリだなあ、月6万以上・・・土日含めて週4日以上はバイト入れないときついよね、これで大学生活を楽しむのって厳しいよ、チサト・マスト・ダイレベルだよ。
そんな試算をしながら知里は不動産屋にたどり着く、黄色と黒の看板が若干目に痛い不動産屋。
中に入ってアパートを借りたいと言うや否や「学生さんですか?でしたらこちらの物件がおすすめです!」なんて紹介をされるが、そんな高い所を借りる学生がどこにいるか、家賃6万とかどこのセレブだ一体。
店員に勧められるまま話を聞いていても埒があかないのでこちらの条件:家賃3万以下を提示した所、
「ごめんなさいね〜、この時期ですからそういった安い物件ほど早く決まってしまってもう残って・・・あ、ありましたよお客様、家賃3万、敷金・礼金無し、朝・夕食サービスあり、居間共有、風呂・トイレ共同、日当たりは・・・あまり良くないですね、北窓です。でも、南側に庭があるみたいですよ。」
「そこ、お願いします。」
私は即答していた、あろう事かなけなしの現金を机に叩きつけて。今思えばこのとき既に墓場の中から出て来た手に片足を捕まれていたのかもしれない、おかげで今は愉快な話には事欠かない生活を送っているんだけどね。
「えっと・・・もうなんか決めちゃってるみたいだけど一応、見学します?」
「はい、是非!」
意気揚々と鼻息荒く・・・いや、鼻息が荒いのは年頃の乙女としてどうかと思うけど、並々ならぬ決意を持って私は答える。
「じゃあ、向こうに連絡とってみますので少々お待ち下さいね。」
そう言っておば・・・じゃなかった、お姉さんは事務所の置くにある電話へと向かう。
その頃、電話線でつながったダイヤル式黒電話の向こう側では・・・、
「はい、こちらふし荘です。日中ですので管理人のチェルシーに変わり刹那が応対します。」
日本人を象徴する黒髪と西洋人を彷彿とさせるスレンダーな体型と整った顔立ち、まさしく頭の中の都合の良い妄想を具現化したとも言えるハーフの美人が電話に出ていた。
ちなみにもう一人日中起きている住人は居間にあるソファーに横になりながらビーフジャーキーをむさぼっていた、時折気だるそうに欠伸をしながら。
「ええ、はい、分かりました。私の一存では決められないので管理人に聞いてみます。」
そう言うと彼女は一旦受話器を置き、大きく息を吸い込み、
「チェルシー・・・エジソン。」
とソファーに横になっているだらけた住人にも聞こえるかどうかといった小声でこの時間はまだ二階の個室で寝ているであろう管理人に呼びかける。
普通であればどう考えても聞こえるはずも無いのだが、どういう訳かその一瞬後には呼ばれていた当人、チェルシー・ローゼリッテが優雅に居間のソファーに座って眠気をごまかす為のコーヒーをたしなんでいた。無論、だらけた住人を下にして。
「それで刹那君、一体どういう用件だね。私としては大したもので無ければ日も傾いていないこの時間帯はまだ眠っていたいのだが。あと、それの件で人を呼ぶ時はエジソンでは無く電話と呼んでくれた方が通じやすい。」
「エジソンは偉い人。」
「いや、確かに彼が偉い人だというのはそんなの常識ではあるが・・・いいや、この話はまた今度にしよう。それで、私がでなければならない用件とは何だろうか?」
「入居希望者。」
「それは本当か!?それで、種族は?」
「多分・・・人間。」
「人間!人間が来るのか!男、男が良いな!イケメンで彼女無しなら更に良い!」
「サラ、お前は黙ってろ!何だったら今すぐ庭に穴掘って埋めてきてやる。今なら、その辺の石ころにサラの墓ってレーザーで彫刻も入れてやるぞ。」
「ごめん、黙ってるから見逃して。流石に生きたまま地中に埋められるのを2度も経験したくはないわ。」
「大丈夫、君はグールだ。既に死んでいるから何の問題も無い。」
「チェルシー・・・電話。」
「あ。」
ふし荘はたった一本の電話で無駄に慌ただしくなっていた。
11/11/13 00:03更新 / おいちゃん
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