僕は遭難するためにここに来ていた。学校に、人生に、全てに嫌気が差してこの森林の中に踏み入ったんだ。
　樹海を選ばなかったのは怖いから。暗くて怖くて不気味な場所で死ぬのは嫌だ。死に場所くらいは選ばせて欲しい。
　名前も知らない木々の枝葉の間から木漏れ日が差し込んでいる。息を吸い込むと澄んだ空気が肺を満たした。これなら溜息も澄んだものになりそうだ。
　ここには遭難して死ぬために来たから、当然帰り道は分からない。ここまでも当てもなく歩いてきた。
　引き返そうとはもう思わない。思ったって帰れる気はしないし、帰りたくない。
　僕はさっきも見たような木々の間を歩いていく。それももう見飽きたな……と思い始めた頃、開けた場所に出た。
　そこは綺麗な水の湖だった。僕は途端に喉の渇きを覚えた。死にに来た僕は飲み水も買ってきていなかったから。
　僕は水を飲もうと湖に近寄ろうとした。けどそれをやめた。誰かが湖にいたからだ。反射的に近くの木に身を隠す。
　気付かれないように気をつけながら様子を窺う。湖にいたのは女の子みたいだ。……水浴びの途中みたいで裸の。
　綺麗な長い金髪に大きくて張りがある胸。むっちりとした太ももも、その全てが隠されることなく露わになっている。
　それにちょうどよく僕のほうに向いて水浴びをしていた。高校一年生の僕ならそれだけでオカズにできてしまうだろう。もう股間は硬くなって、我慢汁が溢れてるし。
　どうせここで死ぬんだ、好きにしよう！ 僕はそう決めて下を脱ぐとオナニーを始めた。目の前の、僕より年上の女の子の裸をオカズにしてやる！
　背徳感にぞくぞくとした。こんなことはもちろんしたことがないから、未知の快感が僕を苛む。女の子は僕に気付かない。
　妄想の中で彼女を犯す。手の動きが激しくなって息も荒くなる。ぐちゅぐちゅと音がし始める。
「何をやっているの」
　耳元で声がした。僕は一瞬にして頭が冷えていくのを感じた。頭の中が混乱して手の動きは止めてしまった。
　声はなおも続ける。
「ティターニアをお前の妄想の中で犯しているの？ 最低ね、くすくすくす」
　僕の視界の中、水浴びしていた彼女は僕に気付いていないようだ。それじゃあ、この声は。
「それにティターニアを直接犯そうとしないところが本当に情けないわ。そんなだから一人でシコシコするしかないのよ」
　そう言って僕の背後から回り込んできた声の主は妖精だった。小さな体に背中から生えた四枚の羽。ぴっちりとした衣装は腕と足が剥き出しになっている。
　妖精の少女はやれやれといったような仕草で僕を見下している。見下された僕は少女の体に勃起を強めた。こればっかりはしょうがない。
「あたしの体にも欲情したの？ 見境のない変態ね。お前はあれかしら、言葉責めもご褒美になるのかしらね？」
「そんなことない。僕はノーマルだよ」
「信用ならないうえにあたしに欲情しているのは否定しないのね、射精できたら何でもいいのかしら」
「あっ、あんまり言うと精液で撃ち落とすぞ！」
　僕史上稀に見る脅し文句だった。稀に見るって言うかもう見たくない。
「そうね、一人で快感を貪るしか能のない童貞の精液でも無いよりはましだわ。ここでは貴重な人間の男の精だもの。ほら、早くあたしにかけなさい。どうせ早漏なんでしょう？」
「セックスするまでは早漏かどうかなんて分からないし！」
「哀れね。可哀想になってきたわ」
　可愛らしくも色気を含んだ声で続けざまに罵倒される。でもなんだろう、僕はセックスもしないで死のうとしてたのか……。
「可哀想だからあたしが手伝ってあげる。精液の対価ね。女の子の気持ちよさも少しは知ったほうがいいもの。そしてお前はあたしのことを思い出して何度も何度もオナニーするの。ああ、気持ち悪い」
　陶然とした表情で少女は言う。気持ち悪いならやらなければいいのに、して欲しいけど。
「お前のそれから手を離して。オナニーの邪魔よ」
「手伝ってくれたならそれはもうオナニーじゃないんじゃない？」
「何よ、オナニーって言われるのは嫌い？」
「女の子がオナニーって口にするのは好きだけど、オナニーじゃないことをオナニーって貶められるのは嫌いかな」
　どんな形でも、女の子が僕のためにしてくれたって事実は変わらないから。それに僕はMじゃないし。
「そう、じゃあやめてあげる」
「ありがとう」
「意外と素直で良い子なんだね」
「意外とは余計よ、調子に乗らないで」
「そうだね、分かったよ」
　ツンツンしてるけど素直で良い子だ。ちゃんと話もしてくれるし、嗜虐的なのはそういう外用の人格なのかも。
　少女は高度を低くして僕の反り返ったペニスに相対する。もしこの子の中にペニスを入れたらどうなるんだろう。いや、それは物理的に無理か。
　邪な考えを持ちながら邪な目で少女を見ていると、少女は何の前置きもなくその先端にキスをした。紛れもない少女の、瑞々しい唇の柔らかさに僕は危うく射精するところだった。普通にキスするよりも先に亀頭にキスされてしまった！
「くうっ……」
「イクかと思って身構えてたけど耐えられたのね、褒めてあげる。次はないけれど」
「そうなんっ……はっ、くああっ！」
　そのまま少女はペニスの先端にまたがり、腰を揺すり始めた。僕の我慢汁に濡れながら素股をする少女に僕はよがる。
「これで終わりよ。手加減なんてしてあげないんだから。んっ、ほらっ、早く出しなさいっ」
「あっだめ、あ、ああっ出るっ！」
　どぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅっ、どぴゅっ。
「きゃあっ！」
　勢いよく飛び出た精液は少女を溺れさせた。顔も体も隈なく白く汚した。
　放心状態になってもおかしくない僕だったけど、目の前で僕の精液に溺れている少女を見過ごすことはできない。
「だ、大丈夫⁉︎ 助けようか？」
「げほっ、けほ、ごくっ。……大丈夫よ。お前の精液に殺されて堪るものですか」
　顔を顰め、口や体から精液を垂らしながら少女は応えた。
「そうだ、水！ 湖の水を飲んで」
「でも驚いたわ。濃いのね、お前の精液。それに甘くて美味しい……あたしに精が足りてなかっただけかもしれないけれど、とりあえず」
　そこで少女はたっぷりと間を取って。
「このまま帰すわけにはいかないわ」
　言ったが早いか、少女の体は光に包まれその眩しさに僕は目をつむる。再び目を開けると少女はその足で地面に立って、獲物を狩る目で僕を見つめていた。体は人間くらいの大きさになっている。
「えっ、え……どうして大きく？」
「お前の精で回復した魔力を使ったのよ。だから最低でもその魔力の分は搾らせてもらうわよ」
　艶かしく舌なめずりをする。その姿は淫靡に過ぎた。
「搾る⁉︎ って言うかその精は元々僕のだよね⁉︎ 僕のせいじゃないでしょ⁉︎」
「うるさい、黙ってあたしに犯されろ」
　僕は地面に押し倒され、彼女にのしかかられる。完全に発情している様子の彼女は荒々しい手つきで僕のズボンのベルトを外し、パンツも脱がした。彼女も服を脱ぎ、間髪入れずにまたがって腰を下ろす。みちみちみち、と彼女の膣に僕のものが収まっていく。
「あっ、いっ⁉︎」
　どぴゅるっ、びゅるびゅるびゅるっ！
　直前の挿入で敏感になっていた僕は絶大な刺激に耐えきれず挿入だけで射精する。口端から涎が垂れた。
「あはっ、やっぱり早漏だったじゃない！ これなら労せず搾精できそうね」
　きゅんきゅん、と蜜壺が吸い上げてきた。その脈動の度に体から生気が奪われているような気さえする。そのくらい気持ちがいい。
「女の子の中はこうなの。こんなにも気持ちがいいのよ。お前、顔が蕩けているわよ。可愛いじゃない」
　少女は繋がったまま顔を近づけてきて僕にキスをした。舌が入れられて、前後不覚になるほどの快感に頭が痺れる。
「ぷはぁ……ふふ、女の子に手伝ってもらうだけじゃなくてキスもできて、セックスまでできてお前は幸せね。それにその相手があたしなのよ。お前はそのことをどう思っているの？」
　唾液のアーチがつっと切れた。艶かしい手つきで頬を撫でられる。愛撫されてるみたいだ。
「人間サイズになってもロリだけど、こんな可愛い子とできて僕は幸せだよ。精液が目当てだったとしてもお礼は言わせてよ。……ありがとう」
　膣がきゅん、と締め付けを強くしたような気がした。思うのは勝手だ。
「この変態。でも善人なのね。今からあたしに搾り殺されるかもしれないのに」
「それはないよ」
「……どうしてよ？」
「君のことを信じてるから」
　例え裏切られてここで死んでも、それは僕にとって良い死に方だし。僕は君になら殺されてもいいから。
「……ふん、お前はそれで、どうして今まで童貞だったのよ」
　彼女は頬を染めているように見えた。なんでかな、童貞って言うのが恥ずかしかったのかな、なんて。
「ところで君の名前は？」
「イクときに名前を呼びたければティターニアって呼びなさい……あそこで水浴びをしている女の子の名前よ」
「それはまた倒錯的な……」
　それに対する返事はなくて、少女は淫らな腰つきで騎乗位を再開した。前後に腰を動かす彼女に、僕はなす術なく犯される。
「あっ、いいっ。くっ、はあっ」
「あたしに欲情した分全部出して。中に注ぐの、お前の全部を出すのよっ」
　いやらしい腰使いは見ているだけで唆られる。彼女の中で扱かれるペニスが張り裂けそうなほどに大きくなる。
「手。せめて手を繋がせてよ」
「手？ いいわよ、それも対価として認めてあげる。だから精液出しなさいっ」
「うん、あっ、く、うう……うっ！」
　騎乗が縦の動きに変わる。彼女と両手を繋いで、彼女の奥のほうまで貫く。
「あっ、はぁ、んっ、ああっ、あん」
　彼女も喘ぎ声が後押しになり、僕はまたしても意識が白むほどの絶頂を迎えた。
「は、くううっ……ティターニアっ！」
　ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんびゅっ、びゅるる、どびゅううっ、びゅるるるるるーっ‼︎
「はああんっ！ ああああっ」
　膣が射精しているペニスを締め上げる。最後の一滴まで精液を出させようとする。
　射精と絶頂が終わった。僕の上で乱れた髪の彼女が肩で息をしている。肌は桃色に染まって、行為の後なことを伝える。
　でも、まだ終わりたくなかった。
「ねえ、まだ続き……」
「ん、その精液に免じて許してあげるわ。今度はお前からあたしを犯してみなさい」
　悩ましい吐息を漏らしながら彼女はそう応え、繋がったままぐりんと体勢を入れ替えると近くの木の幹に手を突く。
　僕はその綺麗なお尻を撫で、腰を掴みまだ硬いままのペニスを彼女の中に突き入れた。
「あぁん、はあっ」
　彼女が声を出すのも構わず、腰をぶつける。奥まで貫き、限界まで引き絞ったら奥を狙ってまた突き入れる。結合部から精液と愛液の混ざったものがぼたぼたと落ちる。
　腰を激しく動かしながら、彼女の控えめな胸を鷲掴みにした。ピンと立った乳首も挟んだりつついたりして苛める。彼女の嬌声が鼓膜を震わせる。
「あ、あ、あんっ、んっ、んやぁっ」
「行くよ、最後の……っ」
　両腕で力いっぱい彼女を抱き締め、痛いほどに乳房を鷲掴みにし、苛烈なピストンの後、彼女の奥のほうにありったけの精液を注ぎ込んだ。
　びゅる、びゅるるるるるるるっ、どぴゅっ、びゅぐん、びゅっ、どぴゅるるるるるるーっ、どぴゅっ、どぴゅっ、どぷっ、どぴゅっ‼︎
「はぁっ、あああああああああっ‼︎」
　膣から溢れた精液が繋ぎ目からごぽごぽと漏れ出す。僕は余韻に浸るように繋がったまま彼女を抱き締め続けた。
　このままずっと繋がっていてもいいかもしれないと思った。その声がするまでは。
「きみは……誰？」
　水浴びをしていたはずの女の子が僕達の目の前にいた。近づいてくるのに気付けなかった。僕達は今も繋がったままだ。言い訳は無理だろう。
　僕は逆上せた頭で考える。この場を切り抜ける上手い方法を。