レザエルのリザノール襲撃から早くも１０日が過ぎた。
町には再び活気が戻りつつある。
しかし、俺達一行はここで足止めを食らっていた。
何故なら、あの戦いの後から俺の足は凍りついたように動かなくなってしまったからだ。
医者が言うには、身体を固定するために働いてた魔法（おそらくレザエルが使ったあの魔法だろう）を俺が無理やり引き剥がした反動らしい。
普通はそんな事できるはずがないのだが、あの瞬間だけ身体中の魔力が暴走して一時的な解除状態にしたのではないか、というセシリアの予想である。
あの時は無我夢中で何をやったのか自分でも覚えていないし・・・。
おかげで今は、車椅子生活真っ最中。
・・・歩けない事がこんなにも不便だとは思わなかった。
車椅子の上で頭を抱える俺のもとに、なにやら食欲を刺激される匂いが漂ってくる。

「ん・・・？もう昼か・・・？」

だいぶ車椅子にも慣れたので、方向転換も思いのまま。
もはや俺の手足の一部だなこれは。
そうしてすいすいとキッチンへ行ってみると、シアさんがテテスに料理を教えていた。
ぐつぐつ煮立つ鍋の中に、大根、人参、そして鶏肉などは入っていく。
なるほど、道理で美味そうな匂いがするわけだ。
しっかりメモをとるテテスの目もいつにもなく真剣なものである。
あぁ・・・、腹減ってきた・・・。
今にもよだれを垂らしそうになりながら鍋を凝視する俺。
すると、シアさんが俺の存在に気づいた。
彼女はいたずらっぽく微笑むと、『テテスの後ろに回りこめ』という身振りをする。
ははぁん・・・、なるほど・・・。
俺はこっそりテテスの後ろに回り込み、そして・・・。

「わっ！！！」

「ひゃあっ！！！！？？？？？」

テテスは間の抜けた声を上げて小さくピョンッと飛び上がった。
驚きのあまり、彼女は手に持っていたメモ帳を目の前の壁に投げつけている。
ここまで良いリアクションをしてくれると、悪戯した側にとっては本望だ。
シアさんと俺は大成功と言わんばかりにハイタッチをする。

「も、もうっ、カイさん！！おどかさないでください！！」

「悪ぃ、悪ぃ。ついつい魔が差してさ。」

「あっははははは！！テテスちゃん可愛かったわよ！！」

「シアさんまで・・・。アタイは本当にびっくりしたんですからね！！」

そう言って頬を膨らますテテス。
シアさんは子供をあやすようによしよしと頭を撫でていた。

「そういえば、エフィ達はどうしたんだ？さっきから姿どころか声も聞こえないけど。」

「エフィ達ならさっきシアさんに頼まれて買い物に行きましたよ。今頃おそらく隣町です。」

「隣町？なんでまた・・・。」

「今日はバザールの日よ、だからねエフィちゃん達に買い物をお願いしたの。」

「なるほど。」

「ついでにカイさんの財布があったそうなので、甘いお菓子とか買って来るそうですよ。」

「へ！！？？」

慌てて俺のポケットを探ってみる。
だが、いつもあるべきはずのそれが今はポケットにない。
おそらく昼寝をしている間に抜き取られたのだろう。
畜生・・・、やられた。

「あっははははははは、お兄さんの財布持ってかれたのかい？だから、皆やけに上機嫌だったのか。」

「ゆ、油断も隙もあったもんじゃない・・・。」

「天罰ですよ、カイさん♪って、あわわわ、沸騰しちゃう！！」

「あ、もう火を切ってもいいわよ！！後はそのまま少し置いておいてね。」

「置いて・・・おくんですか？」

「そうよ、そうすればちゃんと野菜に出汁が染み込んでおいしくなるわ。」

「は、はいっ！！」

なんだ、思ったよりも真面目にやってるじゃないか。
シアさんのことだからテテスをいじって遊んでるのではないかと思ってたけど。
なるほど、料理に対する情熱は本物だったわけだ、少し見直したなぁ。

「そうだ、テテスちゃん！！お料理完成までちょっと時間あるし、ちょっと来てちょーだい！！」

「へ？へ？」

「あ、お兄さんは鍋見ててねー。」

「りょーかい。」

そう言い残すと、そそくさとテテスを連れて奥へと引っ込むシアさん。
何かあったのだろうか。
まあ、大したことではなさそうだが・・・。
すると、遠くからドタンバタンという音が聞こえてくる。
・・・？
いったい何をやってるんだ・・・？

「ちょっと、シアさん！？こ、この格好は！！？？」

「んふふー♪いいの、いいの♪私もこの格好だから♪」

一瞬、背筋が冷たくなる感じが・・・。
そして瞬間的に察知する身の危険。
もう何度も同じ悪寒を感じている俺は、条件反射としてすぐさま次にとるべき行動がわかってしまう。
や、やべぇ・・・、に、逃げなきゃ・・・。
本能の警鐘に従って、早々に車椅子で逃げ出そうとする俺。

「あら、お兄さん♪どこ行くの〜？」

ガシッ。
しかし、シアさんに回りこまれてしまった。
おもいっきり背もたれの部分を掴まれて逃走不可能に。
俺はひきつった笑顔で後ろを向く。
すると、そこには・・・。

「はぁい♪どう？似合うでしょ？」

「うぅ・・・、恥ずかしいのでそんなに見ないでくださいぃ・・・。」

目の前の二人の姿は、男の夢の代名詞『裸エプロン』。
テテスは正統派のフリルがついた可愛らしい白いエプロンで、シアさんは滑らかな生地で身体のラインが丸見えな黒エプロン。
さらにシアさんは妖狐特有のふさふさの尻尾で器用に自分のエプロンをめくって見せ付けてくる。
うぅ・・・、エロい・・・。
シアさんの身体はラインの起伏がはっきりとしていて、更に胸や尻、太もものたわわな柔肉が挑発的に俺の欲望を刺激する。
頬をうっすらと紅潮させて、美しい微笑を浮かべながら誘ってくるその姿を見て、当然我慢などできるはずもなかった。
俺の足はまるで光におびき寄せられる虫のように、ふらふらと二人のもとへ寄っていく。
少し鼻先を近づけただけで、女子特有の甘い香りがしてきた。

「ふふふ・・・、作戦成功♪ほらほらぁ、テテスちゃんももっとサービスしてあげて♪」

「ひゃあっ、め、めくらないでくださいぃ・・・。」

「あらら・・・、テテスちゃん・・・。もう濡れちゃってるの？」

「うぅ・・・、そんな事ないですぅ・・・。」

「私もほら・・・、こんなに濡れちゃった。ねぇ、お兄さん。早くちょうだい・・・？」

そうしてシアさんは顔を俺の顔に近づけて熱っぽい吐息を吹きかける。
指でいじればくちゅくちゅという音がしそうな彼女の秘所に、妖しく誘惑されてしまう。
彼女の細い指はそのまま俺のズボンの中へするりと入り込み、俺の立ち上がったモノをさすり上げた。

「あらあら・・・、思った以上に大きいわね・・・。ふふふふふ、さすがねぇ・・・。」

「ず、ずるいぃ・・・。アタイもカイさんのが欲しいです・・・。」

ついに我慢できなくなったのか、テテスも俺に抱きついてきてシアさんと同じように俺の息子を撫で始めた。
シアさんの少しひんやりとした手はつつーっと裏の筋をなぞり、テテスの柔らかい手は俺の亀頭をやさしくこする。
うぅ・・・、気を抜いたらそれでイってしまいそうだ・・・。
腰に力を入れてなんとか射精をコントロールしようとする。

「くすくす・・・、お兄さん可愛いねぇ・・・。そ〜んなに気持ちよさそうな顔されたら私だって我慢できなくなるわぁ〜。」

「カイさん、気持ち良いですか？もっと・・・、もっと気持ちよくなってくださいね。」

うぅ・・・、恥ずかしい・・・。
というか、俺って何でこういう責められる展開が多いんだ・・・？
自分の脳に向けて発信したその疑問に対して、脳はマッハのスピードで返答を返してくる。
・・・そうか、俺がヘタレだからか。
あぁ、自分で言っておいて凹んでしまいそうだ。

「もうビンビンね・・・、じゃあ、私のほうにちょうだい・・・。」

「ア、アタイもぉ・・・。」

二人ともとろんとした目をしながら、肉付きの良いお尻をこちらに向ける。
濡れて艶めいた秘部、充満した女性の匂い、そして今にも溶けてしまいそうなほどトロンとした目元。
俺の興奮は最高潮に達して、背中をゾクゾクと駆け上がっていた。
待ちきれないテテスが煽情するようにお尻を振ると、つつーっと太ももに愛液が伝っていく。
もう・・・、我慢しなくていいよな・・・？

「テテス、いくぞぉ・・・！！」

「は、はい・・・ん、や、ひゃぁっ！！」

「あっ、テテスちゃんずる〜い！私の方が先でしょ〜！？」

「やっ・・・はぁっんぅ・・・。ひ・・・、ひもちいいでしゅぅ・・・。も、もっとぉ・・・、もっとはげしく・・・んやぁっ！！」

車椅子から降りて背もたれのない椅子に腰掛けた俺はテテスを引き寄せて、俺にまたがらせるような体勢で剛直を彼女の膣内へと挿入する。
ずるるっという感触とともに俺のモノは簡単に飲み込まれた。
すぐ目の前には挿入の快楽に喘ぐテテスの顔。
こちらと一度目が合うと唇と唇を合わせて、お互いの舌を絡め唾液を貪る。
シアさんも自分もして欲しいと言わんばかりに、俺を背中から抱きしめて耳を甘噛みしていた。

「ふぁっ・・・、やっ・・・、こ、これぇ・・・。お、奥までぇくるよぉ・・・んやぁ・・・。」

「ず、ずる〜い！！・・・って、え？お。お兄さん・・・？お兄さんの身体・・・、なんか光ってない？」

「へ？光ってるってなにｇ・・・ああぁぁあああっ！！？？」

自分の腕を見てみると、皮膚から何か淡くて青い光が煙のように立ち上っている。
な、なななななんだ、これぇっ！！？？
しかも、これどっかで似たようなのが・・・。
そうだ！！レザエルが身体にまとってた紫炎にそっくりだ！！
というか、なななななにこれ！！
俺はテテスを一回どけると、おもむろにその場に立ち上がる。
立ち・・・上がる・・・？
って、うおぉぉぉおおっ！！？？
俺、立ってる！！立ってるぞ俺！！
一切の自由が利かなかった両足が何事も無かったように機敏に動く。
ど、どうなってるんだ・・・！？

「あ、光が消えていく・・・。」

「カ、カイさん大丈夫ですかっ！？それに立てるようになったんですか！？」

「ああ・・・、立てる・・・ようになった。身体もなんともない・・・。」

「ふふふ♪でもまあ、直ったなら好都合ね。さあ、次は私の番よ。」

「あ、あぁっ！！ア、アタイまだイってないんですよ！！まだアタイの番です！！」

「まあまあ、テテスちゃん。お兄さんも元気を取り戻したようだし・・・、きっともぉっと楽しませてくれるわよ♪」

そう言って舌をぺろっと出すシアさん。
すっかり二人とも火がついてしまっているようだ。
・・・仕方ない。今日はとことん相手をするとしよう・・・。
俺は覚悟を決めて二人と向き合い、そして快楽のままに豊満な身体を貪る。
こうしてこの淫靡な時間はエフィ達が帰ってくる直前まで続けられたのであった・・・。






「お、この野菜・・・、すごく味が染みていて美味しいな。すごいワタシ好みだ。」

ホクホクと湯気が立つ野菜を頬張りながら、エフィがそう言う。
当然と言えば当然であろう、あれだけ長い時間していれば味も染みるというものだ。
俺達三人の交わりは昼前から始まり、夕方になるまで続けられた。
文字通り、俺は精も根も尽き果てた廃人状態。
もう一滴たりとも出せないぞ・・・。
そんな俺とは対照的に、シアさんとテテスの肌は見違えるほどツヤツヤになっていた。
俺の寿命・・・、とられてないよな・・・。

「おいしー！！テテスお姉ちゃん、おかわりー！！」

「はいはーい、セシリアちゃんもいっぱい食べてねー。」

「うん！！」

「ダーリンの脚も治ったことだし、これでようやく出発できるわ。でも、何があったの？今日の朝まではまったく動けなかったのに。」

「ああ、そのことなんだがな・・・。」

俺はフォークを置いて、真面目な顔に切り替える。
その雰囲気を察したのか、全員の顔つきが少し真剣なものに変わった。

「皆。レザエルのまとっていた炎みたいなの思い出せるか？」

「ああ、覚えているぞ。紫色のオーラみたいなアレだろ、ワタシにも見えた。」

「あれについて、セシリアはどう思う？」

「ムグムグ・・・ゴクン。ボクの予想だとあれはね、おそらく魔力の流れだと思うよ。でも・・・、あんな風に魔力の流れが見えるなんて聞いたことがないけど・・・。」

「ワタクシも聞いたことがありませんわ・・・。で、それがどうしたのダーリン？」

「あれと同じもの・・・、いや色違いのヤツが俺の身体から出てきたんだ。なぁ、テテス。」

「はい、カイさんの身体から青い炎みたいなのが出てました。」

「うぅん・・・、きっとあれじゃないかなぁ・・・。あのレザエルって人にかけられてた魔力が蒸発したみたいに身体から消え去ったからじゃないかなぁ。」

セシリアは一度、考え込むようなポーズをした後にそれについての予想を述べる。
なるほど、俺の身体から消え去った魔力が消えた時に発生したのか。
全員が納得できる答えを出されて、うんうんとうなずく俺達。

「でも・・・、何故いきなり魔力が解けたのお兄ちゃん？」

「うっ・・・、それはだな・・・えぇと・・・。」

「どうしたんだ、カイ？」

「それはね、アタイとシアさんといっぱいえっちしたからもががっ！！？」

「馬鹿！！！余計な事言う・・・な・・・。」

「ちょっと待ってダーリン！！私がいない間にえっちしてたってこと！！？？」

「いや、あははははは、それは誤解・・・。」

「本当よ。お兄さんったら私の身体を貪るように激しく交わったのよ。」

「シアさんまでぇっ！！」

「ちょっと、カイ！？当然、この後ワタシ達にもしてくれるんでしょ！？」

「も、もう・・・やすませてくれ・・・な？」

「セシリア、例のアレを持ってきて！！」

「らじゃっ！！」

エフィにそう指示されて、セシリアが荷物置き場から何かを持ってくる。
透明な液体が入った小瓶・・・、まさかそれは・・・。
予想はズバリ的中。
悪夢の拷問薬液、またの名を『アルジールの秘薬』・・・ッ！！

「ふふふふ・・・、ダーリン・・・。これさえあればまだ出来るわよね？」

「えぇと・・・俺疲れて・・・。」

「もちろん、カイならＮｏなんて言わないよな？いや、言わせないぞ？」

「う、うぅ・・・、ごめんっ！！」

椅子から立ち上がり、ようやく治った脚で逃げ出そうとする俺。
・・・ってあれ？
とっさに逃げ出そうとした俺の服の裾を何かが掴んでいる。
それはふさふさとした金色の尻尾・・・。
ま、まさかぁ・・・。

「お兄さん、私にもお願いねぇ♪」

「い・・・、いやぁあ嗚呼あああぁぁぁぁぁあああぁぁああっ！！」

リザノールの夜に俺の絶叫がむなしくこだまする。
言うまでもなく、これから永い・・・とても永い夜が始まるのであった・・・。
つ、月が・・・笑ってるぜ畜生・・・。夜明けは・・・まだなのか？

■作者メッセージ

お久しぶりです、アカフネです。
まずはこれだけ遅くなった事を謝りたいと思います。
すみません、申し訳ありませんでした！！

これからのことですが、ちゃんと連載は続けていきます！
『竜騎士』も『剣術修行』も。
どうか暖かい目で見守ってくださったらこれ以上の幸せはございません。
本当に申し訳ありませんでした！！