少女が見た英雄。
「ボク・・・、えぐっ。もうすぐボクじゃなくなるんです・・・。」
セシリアから告げられた衝撃の言葉に耳を疑う。
どういう事だかわからない俺達は彼女に何が起こったのかを訪ねた。
すると彼女は一枚の新聞を差し出す。
それはこの町独自の新聞「フォルヘルム・タイムズ」の今朝の朝刊だった。
早速俺達は部分を見てみる。
『アカデミー生徒連続惨殺事件発生!!犯人は同校の女学生か!?』
昨夜、森に「月食草」を採取しに行ったクルッコス王立アカデミーの生徒4人が何者かに魔法で焼殺されるという事件が発生した。
調べによると生徒達は次の授業で使うための「月食草」を採取する目的でクラスメイト6人とアカデミー近くの森へ入っていった。
「月食草」は通常、夜にしか咲かない花で生徒達は次の授業で使うその花を採取しに行ったとのこと。
生き残ったクラスメイト2人の目撃証言から犯人は、同校に通う女子生徒セシリア=ヘゲンウッドだと断定。
また彼女はその日、深夜遅くに一人で帰宅したという同校の教官からの証言が出ている。
この事件を聞いたオルストス王宮騎士隊はすぐさまセシリア=ヘゲンウッドの逮捕、および王立裁判所での裁判を行うことを発表した。
アカデミー側は彼女の死刑の代わりに、ある特例を裁判所に要求。
その特例とは彼女の特異能力を今後の学問に生かすために、彼女の精神を崩壊させて実験体にする、というものである。
被害者の遺族もこれに同意している。
この事件について・・・・・・・・・・・・・・(略)
「嘘でしょ・・・?だってセシリアは昨日の夜、ずっとワタクシ達と一緒に酒場にいたのよ。クラスメイトを殺すなんてできっこない。」
「ああ。それに俺達は昨夜は彼女をアカデミーまで送り届けたんだ。なのにこの新聞じゃ一人で帰ったってことになってる。」
「ボク・・・、このままどうなっちゃうのかなぁ・・・。もしか・・・。」
「オルストス王宮騎士隊だ!!ここにセシリア=ヘゲンウッドがいるとの通報を受けてやってきた!!おとなしく出て来い!!」
図書館にゾロゾロと入ってくる甲冑を着た騎士達。
騎士達はセシリアを見つけると、腕を掴み乱暴に彼女を連れて行こうとする。
俺達は騎士の肩を掴んで彼女の無罪を訴えた。
「離せっ!!」
「セシリアは昨日、俺達と酒場にいたんだっ!!殺人なんかできるわけないんだっ!!」
「そうなの!!昨日の夜はずっと私達と一緒にいたわ!!だから、セシリアは犯人じゃないの!!」
「ええいっ、離さないと斬るぞっ!!」
「まぁ、待て。話だけでも聞いてやろうじゃないか。」
「た、隊長・・・。」
騎士は剣に手をかける。
するとすぐさま右目に傷をつけた男が止めに入った。
その姿はまさに歴戦の勇将という感じだ。
騎士もその男の言葉に従い、手を元に戻す。
どうやらこの男は騎士隊の隊長らしい。
俺達は騎士隊長に昨日あったことを全て離した。
彼は顎に手をあててふむ、と考え込む動作をする。
「裁判は今夜、司法の鐘が鳴ったら始まる。それまでに証人を連れて来い。」
そう言い残して騎士隊はセシリアを連れて行く。
俺達の足は自然と駆け足になる。
酒場に行けば、証人はいる。
外の嵐は既に去ったようで青い空が見えている。
俺達は泥でぬかるんだ道を無我夢中で駆け抜けた。
・・・どういうことだ?
酒場から出てきた俺達は憤りの声をあらわにした。
それから力が抜けたようにドアの横に座り込む
酒場に着いたのは良かったのだが、中にいたマスターと従業員全員が昨日セシリアを見ていないと言っていた。
「どうなってるの・・・?全員がワタクシ達の事を覚えていても、セシリアだけが覚えていないなんて・・・。」
酒場の全員が口々にセシリアだけ見ていないと言っていた。
俺達のことは覚えているが誰一人、彼女のことを覚えている人間は一人もいないのである。
これはさすがにおかしい。
「もしかして誰かに買収されたのかもしれない。カイ、どうする?」
「んー・・・。」
「そうだ!!アカデミーへ行かない!?あの教官ならワタクシ達のこと、覚えているかもしれないわ!!」
「アカデミー・・・、確かにいいかもしれないな。よし、行こう。」
俺達は立ち上がり、アカデミーへと足を急がせる。
普段ならもうクタクタなのだが、今はそんな事を言ってられない。
一刻も早く証人を見つけなければ、セシリアの精神が壊されてしまう。
その危機感に動かされていた。
俺達はやっとのことでアカデミーに着く。
そして昨日門の前で話をした教官に会うことができた。
・・・が、彼はまるで俺達と初対面のような口ぶりで話し始める。
「はじめまして。あなた方はどちら様でしょうか?」
「昨日、セシリアを寮まで送った者です!!」
「ミス・ヘゲンウッドを・・・。おかしな事をいいますね。昨日、彼女は一人で寮に帰ってきましたよ。私が見たんだから間違いありません。」
「ちゃんと思い出してください!!ワタクシ達と門の前で会話をしたじゃないですか!!」
「門の前・・・?失礼ですけど、どこかでお会いしたことがありましたか?」
教官の眼鏡の奥がギラリと光る。
その瞬間に俺は確信した。
−−−−−−−−間違いない、こいつが犯人だ。
人を小馬鹿にしたような態度を取り続ける教官に苛立ったのか、ティタンは大きく手を上に上げる。
「このぉっ、馬鹿にしてっ!!」
俺は振り上げた彼女の右腕を掴む。
ティタンは驚いてこちらを見た。
俺は何も言わずに首を横に振って、叩けばセシリアが不利になると伝える。
今はセシリアがその時間に犯行が行えないとだけ証明すればいい。
本当の犯人を追い詰めるのはその後でもできる。
彼女は悔しそうに歯を食いしばった。
「用がないのなら、これで失礼しますよ。私も暇じゃないので。」
そう言って教官は去っていく。
俺達は怒りをこらえながら学校の外へと歩いた。
門の外へ出た途端、大きくため息を吐き出す。
これで手がかりはなくなった。
あとはあの晩に酒場にいた人物を地道に探すしかない。
最後まで絶対に諦めない・・・。
そう決意した俺達は広場で証人を探し続ける。
しかし司法の鐘が鳴るまでに証人となる人物は現れなかった・・・。
リーン、ゴーン・・・。
司法の鐘が鳴り響く。
俺達はその音を聞いた瞬間、身体中から全ての力が抜ける感覚がした。
テテス、ティタン、そして気丈なエフィでさえも涙を落とす。
俺は噴水の手すりに力なく座り込んだ。
言いようのない脱力感が襲ってくる。
助けられなかった。
その言葉がグルグルと頭の中を駆け巡っていた。
「おや、兄ちゃん。どうしたんだい?」
二人組みの男が話しかけてくる。
俺はそれに力なく返事をした。
もはや愛想を使うほどの元気も残っていない。
「何かあったのかい?それに・・・、昨日兄ちゃん達と一緒にいたあの制服の嬢ちゃんはどうした?」
「制服の・・・?」
「ああ。昨日、兄ちゃん達酒場にいただろ?あの時にいたもう一人のアカデミーの制服を着たお嬢ちゃんだよ。」
俺達は目を丸くして男の方を見る。
男が発した言葉は今日一番聞きたかった言葉。
神様は最後の最後で俺達を見捨てなかったのだ。
俺達は急いで彼に全ての事情を話す。
それを聞いた男の顔は青ざめた。
「おいおい、嘘だろ?こりゃ一大事だ。グルス、すぐさま昨日一緒に飲んだジャンとオルゲスを呼んで来い。証人は多いほうがいいだろう。」
「わ、わかった。」
「俺は先にこの兄ちゃん方と裁判所へ行ってくる。二人を裁判所まで連れてきてくれ。」
「おう。」
片方の男がダダダッと駆けていく。
俺達も裁判所へ足を急がせた。
ようやく見つけた証人。
俺達にとってこの男は救世主と呼んでも過言じゃなかった。
息を切らしながらやっとの事で裁判所まで辿り着く。
俺達は門番の兵士に詰め寄った。
「証人を連れてきたんだ!!通してくれ!!」
「ならぬ!!もう裁判は開廷している!!」
「頼む!!そこを何とか!!」
「しつこい!!できぬと言ったらできぬ!!」
頑なに門を閉ざす番兵。
俺は処罰を承知の上で剣に手をかける。
セシリアを助けられるなら、俺は捕まってもかまわない。
そう思ったとき・・・。
「通してやれ!!そいつは証人を連れてきたのだ!!」
後ろから怒鳴り声が響いてくる。
俺の背後には今朝の騎士隊長が立っていた。
騎士隊長の姿を見た番兵は姿勢を正す。
「しかし・・・。」
「聞こえなかったか?通してやれと言ったんだ。それとも上官の命令に背くとでも言うのか?」
「う、うう・・・。」
そう言われ、番兵はあっさりと引いた。
騎士隊長は俺の背中を押す。
どうやら行けということらしい。
俺は勢い良く裁判所のドアを開いた。
裁判所の中にいた全員の自然が俺に集まる。
向けられる視線の中には、あの教官もいた。
「カ、カイさんっ!!」
セシリアが泣きそうな声で俺の名前を呼ぶ。
ずいぶん怖い思いをしたのか少しやつれているようにも見えた。
俺は心配ない、と笑顔を向ける。
「セシリアが犯人ではないと証明できる証人を連れてきました!!」
俺は男にセシリアの顔を見るよう促した。
証人となる男はセシリアの顔をまじまじ見る。
男は間違いないと大きく頷いた。
これで大丈夫だ。
「衛兵っ!!何をやってる、この者を捕らえろっ!!」
座っていた貴族のかけ声で衛兵が何人も俺達を取り囲む。
すると先程の騎士隊長が飛び込んできて、裁判長に頭を下げた。
「裁判長っ!!この者達は被告人の無実を証明するために証人を連れてきたのです!!どうか発言の許可を!!」
「お主は・・・?」
「私はオルストス騎士隊隊長ガルダ=サンダロスと申します!!」
「ふむ・・・、良かろう。新たな証人の参加を認める。」
「なっ、裁判長!?」
「ここは私の管轄だ。私の決定が絶対だぞ。いいから衛兵を下げろ。」
「は、はい・・・。」
貴族の男の合図で衛兵は下がっていく。
どうやら俺達は裁判に参加できることになったらしい。
ガルダが「頑張れよ」という意味をこめて肩を叩いてくれた。
俺達はホッとしながら、男と一緒に前に進んでいく。
「で、証人。証言してくれ。」
「はい。俺は昨夜、酒場で仕事仲間と酒を飲んでいました。その時にそこのお嬢ちゃんがこの人達と一緒に飯を食べているの見ました。酒場に制服の女の子がいるなんて珍しいからハッキリと覚えています。」
「どれぐらいまでいたのかな?」
「大体、日付が変わるぐらいじゃないでしょうか。俺達もそれぐらいに帰ったので・・・。」
「日付が変わったぐらいとは確か・・・。」
「はい。被告人が寮に帰った時間と計算があいます。」
裁判長は隣の書記官らしき人物と話し合う。
そして再度、証人に向き合った。
「で、他にそのことを証明できる人物は?」
「えっと、今呼びに行かせてます・・・って、来ました!!」
男は大きく外へ向かって手を振った。
先程の男が仲間を連れてやって来たらしい。
更に増えた三人の証人も同じ証言をした。
裁判所内がざわめき始める。
「裁判長、私も調べたことがあります。どうか見てください。」
「何かね、ガルダ騎士隊長?」
裁判長は騎士隊長の方を見る
ガルダは二枚の紙を広げ、裁判長に見せた。
「これは・・・?」
「はい。クルッコス王立アカデミーの備品購入表とその商品を売った店の領収証です。よく見るといくつかの備品の個数が違っています。そしてそれはすべて変身薬の素材となるものばかりです。」
「変身薬?」
「はい。法律で禁止されている薬品ですが、アカデミーは特例としてその製造が許されています。問題はこの二つに書かれているサインは同じ人物のモノであるという事です。」
「その人物とは?」
「アカデミー教官、ゲルメイ=クレッグスです。」
裁判所内が彼に注目する。
ゲルメイは「それがどうかしたのか?」と手を横にやった。
確かにそれだけでは見落としと言われてしまう。
「更に被害者が森へ立ち入った理由である『月食草』の準備は彼が突然言い出したことだと判明しました。他にも彼の管理している薬品庫からは同じく禁止とされている忘却薬の材料も消えていたそうです。忘却薬はその後、証人のいた酒場で使われたのでしょう。酒場から忘却薬の痕跡が出ました。」
どんどんゲルメイを追い詰めていく。
ガルダの手法はまるで詰め将棋だった。
どんどん攻め込まれ、後が無くなっていくゲルメイ。
彼は「もういい」としきりにつぶやいていた。
「もういい、もういいんだ!!これ以上私の邪魔をするな!!」
ゲルメイは高らかに右手をかかげる。
彼の服の下からずんぐりとした鉄の身体が現れた。
噂で聞いたことがある。
こいつは魔法と機械の融合体、魔導機。
よく見るとゲルメイの本体が見えており、どちらかというと鎧に近かった。
「せっかくミス・ヘゲンウッドの能力をこの身体に加えようと計画を練ってきたのに、お前等のせいで全て水の泡だ!!」
ゲルメイはその大きな拳を俺達に向けて振り下ろす。
隕石が落ちたかのように地面がへこんだ。
俺達はそれを回避して、武器を構える。
「私も戦うぞ。」
「はいっ!!」
何度も何度も剣で斬りかかる俺達。
ティタンが魔法を何発も打ち込んでいるのだが、ダメージは受けていないみたいだ。
剣は弾かれるし、魔法は意味をなさない。
どうやって倒せばいいんだ!?
攻撃を受けてなお、俺達をあざ笑うゲルメイ。
不快な笑い声に全員が苛立っていた。
「ぎゃっはっはっはっは!!スキありぃぃぃぃぃ!!」
「しまった!!??」
ガルダの身体が魔導機に掴まれる。
そしてそのまま彼の身体を壁に叩きつけた。
ガルダは一撃で気を失う。
彼の身体がブランブラン揺れていた。
ゲルメイは投げ捨てたガルダの身体を掴みまじまじと見る。
彼の身体はこの後、紙くずのように投げ捨てられた。
この強さは反則だ。
やはり秘剣参式を出すしかないのか・・・。
正直俺の一番苦手な技だ。
やるしかないのだ、そう思い俺は剣を構える。
「ぎゃっはっはっはっはっはっは!!もう諦めなさいぃぃぃぃ!!今なら許してあげますよぉぉぉぉぉ!!ぎゃっはっはっはっは!!」
「誰がお前なんかに許してもらうか!!」
「じゃあ、死になさい!!ぎゃっはっはっはっは!!」
振り下ろされる拳は完全な俺へのヒットコース。
回避しようとしたが・・・。
やべ、秘剣の準備動作中で動けないっ!?
なんてこった、こんな凡ミスで死ぬなんてっ・・・。
全てがスローモーションに見える。
終わったか、俺の命。
そう覚悟した瞬間、セシリアの悲痛な叫びが聞こえる。
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
言葉がまるで俺を包むかのようだ。
暖かい感覚に満たされる。
甲高い金属音が響き渡った。
俺に触れる手前で何かにぶつかるゲルメイの拳。
ゲルメイは驚いた顔をする。
「まさかっ、ミス・ヘゲンウッド!!??まさかあなた魔法が使えたのですか!?」
「おいおい、どこを見ている。お前の相手はこっちだぞ。」
「ひぃっ!!???」
「秘剣参式 崩(くずす)ッッ!!!!!」
確かな手応えがあった。
魔導機からピキピキッという音が響く。
この秘剣参式 崩は特殊な技で、普通の生物にはそれほどダメージを与えられない。
それどころかスライムなどにやろうものなら、何も起こらず終わってしまう。
この技は無生物、つまり岩や鉄などの硬いものにしかきかないのだ。
が、硬い防御力が自慢の魔導機との相性は抜群である。
硬い防御力が仇となったようだ。
やがて魔導機がボロボロ崩れ落ちる。
もはや原型をとどめていられるのは時間の問題だろう。
これで勝負は決した。
「カイ、もう行くのか?」
「君にはずいぶんと世話になったよ。ガルダ。」
あの戦いを通じて、俺達の間には確かに友情が芽生えていた。
セシリアはあの後当然ながら無罪の判決を受ける。
かわりにゲルメイが死刑宣告。
ざまぁ見ろと思ったのはおそらく俺だけじゃないはずだ。
ガルダがいなければおそらく裁判所にも入れなかった。
その点では感謝しないといけない。
「あれ、セシリアちゃん・・・?」
「ああ、セシリアには黙って出発しようと思って。だって彼女はアカデミーの生徒、まだまだ未来ある。俺達が出発すると言えば必ずついてくるって言うだろうしな。」
「いや、それはさっき聞いた。だからこうして驚いてるんだ。」
「へ?」
クイクイッと俺の服のすそを指差すガルダ。
何だって言うんだ・・・うお!!??
そこにはセシリアが俺の服のすそをしっかりと掴んでいるではないか。
俺が気付いたことを知ると、彼女は天使のような笑顔で笑う。
「ど、どうしたんだ!!??」
「えへへへぇ。ボク、アカデミー辞めてきたからカイさ・・・お兄ちゃんに付いていこうと思って・・・。」
アカデミーを辞めた!?
確かに制服を来ていない。
そして背中にはリュックを背負っている。
「どうする、カイ?アカデミーを辞めてきたなら、拒む理由なんかないぞ。」
「もしかしてお兄ちゃん・・・迷惑・・・だった・・・?えぐっ・・・。」
「いやいや、OKだ!!全然OKだ!!」
彼女の顔がすぐに太陽の笑顔になる。
その様子をみてガルダは大きく笑った。
くそ、人事だと思って・・・。
セシリアがいることに俺の仲間も反応する。
「ああ、もしかしてセシリア付いてきちゃったの!?」
「え、セシリア!?カイ、これは一体どういうことだ!?」
「もしかしてセシリアちゃんも仲間になるの?」
「うん、ボクも旅をするの!!よろしくね、ティタンお姉ちゃん!!エフィお姉ちゃん!!テテスお姉ちゃん!!」
「大歓迎よぉ!!」
セシリアを抱えたままクルクル回るティタン。
二人の様子を見ていると微笑ましくなるな。
こうして俺達はセシリアを仲間に加えてガルダに別れを告げた。
セシリアから告げられた衝撃の言葉に耳を疑う。
どういう事だかわからない俺達は彼女に何が起こったのかを訪ねた。
すると彼女は一枚の新聞を差し出す。
それはこの町独自の新聞「フォルヘルム・タイムズ」の今朝の朝刊だった。
早速俺達は部分を見てみる。
『アカデミー生徒連続惨殺事件発生!!犯人は同校の女学生か!?』
昨夜、森に「月食草」を採取しに行ったクルッコス王立アカデミーの生徒4人が何者かに魔法で焼殺されるという事件が発生した。
調べによると生徒達は次の授業で使うための「月食草」を採取する目的でクラスメイト6人とアカデミー近くの森へ入っていった。
「月食草」は通常、夜にしか咲かない花で生徒達は次の授業で使うその花を採取しに行ったとのこと。
生き残ったクラスメイト2人の目撃証言から犯人は、同校に通う女子生徒セシリア=ヘゲンウッドだと断定。
また彼女はその日、深夜遅くに一人で帰宅したという同校の教官からの証言が出ている。
この事件を聞いたオルストス王宮騎士隊はすぐさまセシリア=ヘゲンウッドの逮捕、および王立裁判所での裁判を行うことを発表した。
アカデミー側は彼女の死刑の代わりに、ある特例を裁判所に要求。
その特例とは彼女の特異能力を今後の学問に生かすために、彼女の精神を崩壊させて実験体にする、というものである。
被害者の遺族もこれに同意している。
この事件について・・・・・・・・・・・・・・(略)
「嘘でしょ・・・?だってセシリアは昨日の夜、ずっとワタクシ達と一緒に酒場にいたのよ。クラスメイトを殺すなんてできっこない。」
「ああ。それに俺達は昨夜は彼女をアカデミーまで送り届けたんだ。なのにこの新聞じゃ一人で帰ったってことになってる。」
「ボク・・・、このままどうなっちゃうのかなぁ・・・。もしか・・・。」
「オルストス王宮騎士隊だ!!ここにセシリア=ヘゲンウッドがいるとの通報を受けてやってきた!!おとなしく出て来い!!」
図書館にゾロゾロと入ってくる甲冑を着た騎士達。
騎士達はセシリアを見つけると、腕を掴み乱暴に彼女を連れて行こうとする。
俺達は騎士の肩を掴んで彼女の無罪を訴えた。
「離せっ!!」
「セシリアは昨日、俺達と酒場にいたんだっ!!殺人なんかできるわけないんだっ!!」
「そうなの!!昨日の夜はずっと私達と一緒にいたわ!!だから、セシリアは犯人じゃないの!!」
「ええいっ、離さないと斬るぞっ!!」
「まぁ、待て。話だけでも聞いてやろうじゃないか。」
「た、隊長・・・。」
騎士は剣に手をかける。
するとすぐさま右目に傷をつけた男が止めに入った。
その姿はまさに歴戦の勇将という感じだ。
騎士もその男の言葉に従い、手を元に戻す。
どうやらこの男は騎士隊の隊長らしい。
俺達は騎士隊長に昨日あったことを全て離した。
彼は顎に手をあててふむ、と考え込む動作をする。
「裁判は今夜、司法の鐘が鳴ったら始まる。それまでに証人を連れて来い。」
そう言い残して騎士隊はセシリアを連れて行く。
俺達の足は自然と駆け足になる。
酒場に行けば、証人はいる。
外の嵐は既に去ったようで青い空が見えている。
俺達は泥でぬかるんだ道を無我夢中で駆け抜けた。
・・・どういうことだ?
酒場から出てきた俺達は憤りの声をあらわにした。
それから力が抜けたようにドアの横に座り込む
酒場に着いたのは良かったのだが、中にいたマスターと従業員全員が昨日セシリアを見ていないと言っていた。
「どうなってるの・・・?全員がワタクシ達の事を覚えていても、セシリアだけが覚えていないなんて・・・。」
酒場の全員が口々にセシリアだけ見ていないと言っていた。
俺達のことは覚えているが誰一人、彼女のことを覚えている人間は一人もいないのである。
これはさすがにおかしい。
「もしかして誰かに買収されたのかもしれない。カイ、どうする?」
「んー・・・。」
「そうだ!!アカデミーへ行かない!?あの教官ならワタクシ達のこと、覚えているかもしれないわ!!」
「アカデミー・・・、確かにいいかもしれないな。よし、行こう。」
俺達は立ち上がり、アカデミーへと足を急がせる。
普段ならもうクタクタなのだが、今はそんな事を言ってられない。
一刻も早く証人を見つけなければ、セシリアの精神が壊されてしまう。
その危機感に動かされていた。
俺達はやっとのことでアカデミーに着く。
そして昨日門の前で話をした教官に会うことができた。
・・・が、彼はまるで俺達と初対面のような口ぶりで話し始める。
「はじめまして。あなた方はどちら様でしょうか?」
「昨日、セシリアを寮まで送った者です!!」
「ミス・ヘゲンウッドを・・・。おかしな事をいいますね。昨日、彼女は一人で寮に帰ってきましたよ。私が見たんだから間違いありません。」
「ちゃんと思い出してください!!ワタクシ達と門の前で会話をしたじゃないですか!!」
「門の前・・・?失礼ですけど、どこかでお会いしたことがありましたか?」
教官の眼鏡の奥がギラリと光る。
その瞬間に俺は確信した。
−−−−−−−−間違いない、こいつが犯人だ。
人を小馬鹿にしたような態度を取り続ける教官に苛立ったのか、ティタンは大きく手を上に上げる。
「このぉっ、馬鹿にしてっ!!」
俺は振り上げた彼女の右腕を掴む。
ティタンは驚いてこちらを見た。
俺は何も言わずに首を横に振って、叩けばセシリアが不利になると伝える。
今はセシリアがその時間に犯行が行えないとだけ証明すればいい。
本当の犯人を追い詰めるのはその後でもできる。
彼女は悔しそうに歯を食いしばった。
「用がないのなら、これで失礼しますよ。私も暇じゃないので。」
そう言って教官は去っていく。
俺達は怒りをこらえながら学校の外へと歩いた。
門の外へ出た途端、大きくため息を吐き出す。
これで手がかりはなくなった。
あとはあの晩に酒場にいた人物を地道に探すしかない。
最後まで絶対に諦めない・・・。
そう決意した俺達は広場で証人を探し続ける。
しかし司法の鐘が鳴るまでに証人となる人物は現れなかった・・・。
リーン、ゴーン・・・。
司法の鐘が鳴り響く。
俺達はその音を聞いた瞬間、身体中から全ての力が抜ける感覚がした。
テテス、ティタン、そして気丈なエフィでさえも涙を落とす。
俺は噴水の手すりに力なく座り込んだ。
言いようのない脱力感が襲ってくる。
助けられなかった。
その言葉がグルグルと頭の中を駆け巡っていた。
「おや、兄ちゃん。どうしたんだい?」
二人組みの男が話しかけてくる。
俺はそれに力なく返事をした。
もはや愛想を使うほどの元気も残っていない。
「何かあったのかい?それに・・・、昨日兄ちゃん達と一緒にいたあの制服の嬢ちゃんはどうした?」
「制服の・・・?」
「ああ。昨日、兄ちゃん達酒場にいただろ?あの時にいたもう一人のアカデミーの制服を着たお嬢ちゃんだよ。」
俺達は目を丸くして男の方を見る。
男が発した言葉は今日一番聞きたかった言葉。
神様は最後の最後で俺達を見捨てなかったのだ。
俺達は急いで彼に全ての事情を話す。
それを聞いた男の顔は青ざめた。
「おいおい、嘘だろ?こりゃ一大事だ。グルス、すぐさま昨日一緒に飲んだジャンとオルゲスを呼んで来い。証人は多いほうがいいだろう。」
「わ、わかった。」
「俺は先にこの兄ちゃん方と裁判所へ行ってくる。二人を裁判所まで連れてきてくれ。」
「おう。」
片方の男がダダダッと駆けていく。
俺達も裁判所へ足を急がせた。
ようやく見つけた証人。
俺達にとってこの男は救世主と呼んでも過言じゃなかった。
息を切らしながらやっとの事で裁判所まで辿り着く。
俺達は門番の兵士に詰め寄った。
「証人を連れてきたんだ!!通してくれ!!」
「ならぬ!!もう裁判は開廷している!!」
「頼む!!そこを何とか!!」
「しつこい!!できぬと言ったらできぬ!!」
頑なに門を閉ざす番兵。
俺は処罰を承知の上で剣に手をかける。
セシリアを助けられるなら、俺は捕まってもかまわない。
そう思ったとき・・・。
「通してやれ!!そいつは証人を連れてきたのだ!!」
後ろから怒鳴り声が響いてくる。
俺の背後には今朝の騎士隊長が立っていた。
騎士隊長の姿を見た番兵は姿勢を正す。
「しかし・・・。」
「聞こえなかったか?通してやれと言ったんだ。それとも上官の命令に背くとでも言うのか?」
「う、うう・・・。」
そう言われ、番兵はあっさりと引いた。
騎士隊長は俺の背中を押す。
どうやら行けということらしい。
俺は勢い良く裁判所のドアを開いた。
裁判所の中にいた全員の自然が俺に集まる。
向けられる視線の中には、あの教官もいた。
「カ、カイさんっ!!」
セシリアが泣きそうな声で俺の名前を呼ぶ。
ずいぶん怖い思いをしたのか少しやつれているようにも見えた。
俺は心配ない、と笑顔を向ける。
「セシリアが犯人ではないと証明できる証人を連れてきました!!」
俺は男にセシリアの顔を見るよう促した。
証人となる男はセシリアの顔をまじまじ見る。
男は間違いないと大きく頷いた。
これで大丈夫だ。
「衛兵っ!!何をやってる、この者を捕らえろっ!!」
座っていた貴族のかけ声で衛兵が何人も俺達を取り囲む。
すると先程の騎士隊長が飛び込んできて、裁判長に頭を下げた。
「裁判長っ!!この者達は被告人の無実を証明するために証人を連れてきたのです!!どうか発言の許可を!!」
「お主は・・・?」
「私はオルストス騎士隊隊長ガルダ=サンダロスと申します!!」
「ふむ・・・、良かろう。新たな証人の参加を認める。」
「なっ、裁判長!?」
「ここは私の管轄だ。私の決定が絶対だぞ。いいから衛兵を下げろ。」
「は、はい・・・。」
貴族の男の合図で衛兵は下がっていく。
どうやら俺達は裁判に参加できることになったらしい。
ガルダが「頑張れよ」という意味をこめて肩を叩いてくれた。
俺達はホッとしながら、男と一緒に前に進んでいく。
「で、証人。証言してくれ。」
「はい。俺は昨夜、酒場で仕事仲間と酒を飲んでいました。その時にそこのお嬢ちゃんがこの人達と一緒に飯を食べているの見ました。酒場に制服の女の子がいるなんて珍しいからハッキリと覚えています。」
「どれぐらいまでいたのかな?」
「大体、日付が変わるぐらいじゃないでしょうか。俺達もそれぐらいに帰ったので・・・。」
「日付が変わったぐらいとは確か・・・。」
「はい。被告人が寮に帰った時間と計算があいます。」
裁判長は隣の書記官らしき人物と話し合う。
そして再度、証人に向き合った。
「で、他にそのことを証明できる人物は?」
「えっと、今呼びに行かせてます・・・って、来ました!!」
男は大きく外へ向かって手を振った。
先程の男が仲間を連れてやって来たらしい。
更に増えた三人の証人も同じ証言をした。
裁判所内がざわめき始める。
「裁判長、私も調べたことがあります。どうか見てください。」
「何かね、ガルダ騎士隊長?」
裁判長は騎士隊長の方を見る
ガルダは二枚の紙を広げ、裁判長に見せた。
「これは・・・?」
「はい。クルッコス王立アカデミーの備品購入表とその商品を売った店の領収証です。よく見るといくつかの備品の個数が違っています。そしてそれはすべて変身薬の素材となるものばかりです。」
「変身薬?」
「はい。法律で禁止されている薬品ですが、アカデミーは特例としてその製造が許されています。問題はこの二つに書かれているサインは同じ人物のモノであるという事です。」
「その人物とは?」
「アカデミー教官、ゲルメイ=クレッグスです。」
裁判所内が彼に注目する。
ゲルメイは「それがどうかしたのか?」と手を横にやった。
確かにそれだけでは見落としと言われてしまう。
「更に被害者が森へ立ち入った理由である『月食草』の準備は彼が突然言い出したことだと判明しました。他にも彼の管理している薬品庫からは同じく禁止とされている忘却薬の材料も消えていたそうです。忘却薬はその後、証人のいた酒場で使われたのでしょう。酒場から忘却薬の痕跡が出ました。」
どんどんゲルメイを追い詰めていく。
ガルダの手法はまるで詰め将棋だった。
どんどん攻め込まれ、後が無くなっていくゲルメイ。
彼は「もういい」としきりにつぶやいていた。
「もういい、もういいんだ!!これ以上私の邪魔をするな!!」
ゲルメイは高らかに右手をかかげる。
彼の服の下からずんぐりとした鉄の身体が現れた。
噂で聞いたことがある。
こいつは魔法と機械の融合体、魔導機。
よく見るとゲルメイの本体が見えており、どちらかというと鎧に近かった。
「せっかくミス・ヘゲンウッドの能力をこの身体に加えようと計画を練ってきたのに、お前等のせいで全て水の泡だ!!」
ゲルメイはその大きな拳を俺達に向けて振り下ろす。
隕石が落ちたかのように地面がへこんだ。
俺達はそれを回避して、武器を構える。
「私も戦うぞ。」
「はいっ!!」
何度も何度も剣で斬りかかる俺達。
ティタンが魔法を何発も打ち込んでいるのだが、ダメージは受けていないみたいだ。
剣は弾かれるし、魔法は意味をなさない。
どうやって倒せばいいんだ!?
攻撃を受けてなお、俺達をあざ笑うゲルメイ。
不快な笑い声に全員が苛立っていた。
「ぎゃっはっはっはっは!!スキありぃぃぃぃぃ!!」
「しまった!!??」
ガルダの身体が魔導機に掴まれる。
そしてそのまま彼の身体を壁に叩きつけた。
ガルダは一撃で気を失う。
彼の身体がブランブラン揺れていた。
ゲルメイは投げ捨てたガルダの身体を掴みまじまじと見る。
彼の身体はこの後、紙くずのように投げ捨てられた。
この強さは反則だ。
やはり秘剣参式を出すしかないのか・・・。
正直俺の一番苦手な技だ。
やるしかないのだ、そう思い俺は剣を構える。
「ぎゃっはっはっはっはっはっは!!もう諦めなさいぃぃぃぃ!!今なら許してあげますよぉぉぉぉぉ!!ぎゃっはっはっはっは!!」
「誰がお前なんかに許してもらうか!!」
「じゃあ、死になさい!!ぎゃっはっはっはっは!!」
振り下ろされる拳は完全な俺へのヒットコース。
回避しようとしたが・・・。
やべ、秘剣の準備動作中で動けないっ!?
なんてこった、こんな凡ミスで死ぬなんてっ・・・。
全てがスローモーションに見える。
終わったか、俺の命。
そう覚悟した瞬間、セシリアの悲痛な叫びが聞こえる。
「だめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!」
言葉がまるで俺を包むかのようだ。
暖かい感覚に満たされる。
甲高い金属音が響き渡った。
俺に触れる手前で何かにぶつかるゲルメイの拳。
ゲルメイは驚いた顔をする。
「まさかっ、ミス・ヘゲンウッド!!??まさかあなた魔法が使えたのですか!?」
「おいおい、どこを見ている。お前の相手はこっちだぞ。」
「ひぃっ!!???」
「秘剣参式 崩(くずす)ッッ!!!!!」
確かな手応えがあった。
魔導機からピキピキッという音が響く。
この秘剣参式 崩は特殊な技で、普通の生物にはそれほどダメージを与えられない。
それどころかスライムなどにやろうものなら、何も起こらず終わってしまう。
この技は無生物、つまり岩や鉄などの硬いものにしかきかないのだ。
が、硬い防御力が自慢の魔導機との相性は抜群である。
硬い防御力が仇となったようだ。
やがて魔導機がボロボロ崩れ落ちる。
もはや原型をとどめていられるのは時間の問題だろう。
これで勝負は決した。
「カイ、もう行くのか?」
「君にはずいぶんと世話になったよ。ガルダ。」
あの戦いを通じて、俺達の間には確かに友情が芽生えていた。
セシリアはあの後当然ながら無罪の判決を受ける。
かわりにゲルメイが死刑宣告。
ざまぁ見ろと思ったのはおそらく俺だけじゃないはずだ。
ガルダがいなければおそらく裁判所にも入れなかった。
その点では感謝しないといけない。
「あれ、セシリアちゃん・・・?」
「ああ、セシリアには黙って出発しようと思って。だって彼女はアカデミーの生徒、まだまだ未来ある。俺達が出発すると言えば必ずついてくるって言うだろうしな。」
「いや、それはさっき聞いた。だからこうして驚いてるんだ。」
「へ?」
クイクイッと俺の服のすそを指差すガルダ。
何だって言うんだ・・・うお!!??
そこにはセシリアが俺の服のすそをしっかりと掴んでいるではないか。
俺が気付いたことを知ると、彼女は天使のような笑顔で笑う。
「ど、どうしたんだ!!??」
「えへへへぇ。ボク、アカデミー辞めてきたからカイさ・・・お兄ちゃんに付いていこうと思って・・・。」
アカデミーを辞めた!?
確かに制服を来ていない。
そして背中にはリュックを背負っている。
「どうする、カイ?アカデミーを辞めてきたなら、拒む理由なんかないぞ。」
「もしかしてお兄ちゃん・・・迷惑・・・だった・・・?えぐっ・・・。」
「いやいや、OKだ!!全然OKだ!!」
彼女の顔がすぐに太陽の笑顔になる。
その様子をみてガルダは大きく笑った。
くそ、人事だと思って・・・。
セシリアがいることに俺の仲間も反応する。
「ああ、もしかしてセシリア付いてきちゃったの!?」
「え、セシリア!?カイ、これは一体どういうことだ!?」
「もしかしてセシリアちゃんも仲間になるの?」
「うん、ボクも旅をするの!!よろしくね、ティタンお姉ちゃん!!エフィお姉ちゃん!!テテスお姉ちゃん!!」
「大歓迎よぉ!!」
セシリアを抱えたままクルクル回るティタン。
二人の様子を見ていると微笑ましくなるな。
こうして俺達はセシリアを仲間に加えてガルダに別れを告げた。
10/06/24 12:40更新 / アカフネ
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