情欲と愛情の坩堝
一週間ぶりの交わりを終えた凱と瑞姫は翌日の昼、デオノーラ、アルトイーリス、瑠珠、シグニカの四人から改めて竜騎士と認められた後、デオノーラからエルノールに渡すようにと封筒を受け取り、彼女らに見送られ、転移魔法陣を伝ってドラゴニアを後にした。
行きつく先は風星学園特別クラスの校庭。
ボスンッ！と軽い衝撃を伴った土煙りを上げ、二人は校庭の中央に姿を見せた。
魔力の膨張を察して構成員に監視を命じていたエルノールは、それが凱と瑞姫と分かるや否や、中央塔を飛び出して特別クラスの校庭に駆け付ける。
「おお、二人共！ 良く帰って来たのう！」
「ただいま帰りました、学園長」
「三ヶ月ぶり、かな」
あっという間の三ヶ月が凱を竜騎士とし、婚約者達との絆を強くした。
それは彼自身がもう独りでないという確かな証でもある。
呪具という想定外の要素こそあったが、彼にはその実感があった。
それらを己の力と成していく為にも、今後の研鑽を怠る事など出来ない。
竜騎士叙任は次のステップへの踏み出す為の段階に過ぎないのだ。
「色々と大変な目に遭ったそうじゃな」
「本当に、色々と大変でし――」
「兄上、ドラゴニアでわしらが言った事を忘れたかのう？」
エルノールの笑顔が心なしか冷たくなっている。
「いや、でも、やっぱり慣れない……な」
「真面目なのは認めるが、それも大概にせい。プライベートでも堅苦しかったら息が詰まるわい。……おっと、此処で長話をしとる場合では無い。まずは特別寮に行くぞ。そこで改めて話をしよう」
先へと歩き出すエルノールの後を、二人はついていくしかない。
特別寮に到着するや、朱鷺子、亜莉亜、マルガレーテ、ロロティアが凱と瑞姫を出迎える。
ただ、前日の情事も薄々察していたようで、朱鷺子以外は少々面白く無さそうな表情ではあったが、マルガレーテとロロティアは情欲の念がこもった目で凱を見ていた。
しかもマルガレーテはいつものゴスロリドレスではなく、ミニスカメイド服であったのも凱を驚かせた。
「さて、今日からまた、特別寮での生活だな」
「おっと、今日は兄上を厨房には立たせぬ。復帰祝いなんじゃ、主賓が料理を作っては意味無いぞ」
「そうです。今日は、私たちが、お料理を作ります」
「でしたらロロティア、準備しましょう」
マルガレーテとロロティアはそう告げつつ台所へと入って行くが、それ程の時間をかけずに再び出て来る。
彼女らは朱鷺子と亜莉亜からしゃぶしゃぶを教えて貰っており、折角だからと魔界豚の肉を使ったしゃぶしゃぶ鍋をしようと提案していたのだ。
「もう冬になり始めましたから。みんなでお鍋を囲って、あったまりましょう」
水と昆布が入った専用鍋にはイグニスの魔力を宿した卓上コンロが置かれ、ロロティアが魔力を注いで点火する。鍋とコンロは特注品であり、鍋はマルガレーテが図鑑世界で作らせ、取り寄せたもので、コンロはサバト風星支部がエルノールの依頼を受けて作った魔道具である。
出来あがった途端に箸の乱舞が飛び交い、食材はあっという間に食べ切り、〆で用意されたラーメンも程無くして食べ切っていった。
ゆったりした食後の時間は各々でデザートを食したり、テレビを観たり、本を読んだり、凱と瑞姫がドラゴニアで体験した事を話したり……。
七人が再び一つに集い、語らう時間はあっという間に過ぎ、眠りの時を迎える。
もっとも、魔物娘達に囲まれている以上、そうは問屋が卸さない。
就寝前、凱はエルノールに呼ばれて学園長室に出向くと、彼女から小さな箱を手渡される。
何かと問おうとした時、エルノールは答えた。
「それは触手薬と分身薬を調合して作った試作の薬じゃ。兄上のその素晴らしいモノだけを増やし、わし等を一度に相手に出来るようになる。触手薬は兄上の見た目そのものが変わってしまうし、分身薬は複数の男にされるなんて感覚が好かん。それで、兄上と瑞姫がドラゴニアに行っておる間に研究しておったんじゃ」
エルノールは一呼吸置いて話を続ける。
「ロロティアとマルガレーテが今宵辺りに何かしらのアクションを起こすじゃろうから、あの二人に使うと良かろう。使ってどうなったかの報告も、済まんが頼む。わし等の為にも更なる改良も必要にあるじゃろうからな」
気まずそうに苦笑するエルノールの姿に、凱は黙って頷くしか無かった。
特別寮に帰ると、今度はロロティアから精緻な細工が施されたガラス瓶を二本渡された。
その中身は青と赤の《水薬（ポーション）》だ。
ロロティアは渡すなりこう告げる。
「お休み前にこれを飲み、誰ともエッチをせず寝て下さい」
訳が分からず、彼女に水薬の効果を問うと、「翌朝になればわかります」としか語らない。
婚約者の懇願を断る事も出来ず、言われた通りに二本共飲んで眠りに入った……のだが、暫くして身体中が火で焙られているような熱気に長時間襲われ、流れ出た汗も半端な量では無い。
汗を拭いて別の寝間着に着替えて水分を摂り直し、気だるい身体をベッドに横たえ、再び就寝出来たのは夜が明ける頃だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝――
「おはようございます、旦那さま」「おはようございます、ご主人様」
優しい声と凛とした声が同時に発せられ、凱の寝室にハーモニーが響く。
二つの声で、泥海から引き揚げられるような感覚を伴いながら目覚めた凱の前には、何時もの姿のロロティアに加え、昨日と同じミニスカメイド服に身を包んだマルガレーテの姿がある。
しかも「ご主人様」と呼んだマルガレーテへの驚きで、一気に眠気が覚めた凱にロロティアは尋ねた。
「旦那さま。昨夜お渡しした二本の水薬、お飲みになりましたか？」
「？ これの、事……？」
二つの空瓶をロロティアに出すと、安堵したようにロロティアが答える。
「きちんと飲んでいただけたのでしたら、何らかの変化がすでに起こっているはずです」
一も二も無く凱を信じ切っているロロティアの言葉に今一つ要領を得ない凱だったが、思い当たる節が一つある。
「ご主人様の身体が高熱に襲われた。そうではありませんこと？」
「ああ……。けど、何の薬なんだ？」
マルガレーテの発した言葉は的を得ていた。凱は肯定しつつも彼女に問う。
「飲んで頂いた二つの水薬はそれぞれ、体力と精力を永続的に増強させると同時に、強力な媚薬でもありますわ。それも王魔界で作られた特別製ですから、本当ならもっとわたくし達を欲しがって、獣のように襲いますのよ。ましてやそれを二つも飲んだのにこうしているなんて、意外と順応性があるのかしら？ でも、たとえインキュバスと言えども、急な変化に身体が追いつけていない筈ですわ」
「そうですね。では、効果を定着させるためにも、始めましょう」
ロロティアとマルガレーテは言い終えた途端に凱を抑え込み、寝間着と下着を剥ぎ取っていく。
「旦那さま、何もなさる必要はございません。全て、私たちにお任せください」
「ご主人様はわたくし達に、何もかもを委ねて下さればそれでよろしいですわ」
ロロティアが左から、マルガレーテが右からそれぞれに愛する主の耳元で囁く。
二人の声が凱の心を甘く溶かし、ベッドという揺り籠の中に誘う。
「こうして改めて、じっくりと見てみますと、わたくし達を抱いたご主人様の身体は王魔界の力で更に……逞しく、そして敏感になっているようですわね♪」
マルガレーテはそう言いながら、凱の右乳首を人差し指で転がすように撫でたり、つねったり、指で挟んでこねる等の指技で愛撫し、ロロティアは凱の左乳首を円を描くようにしたり、細かく弾くようにしたり、時には舌先を乳首の先端につけてこね回したりといった舌技で愛撫していた。
数回身体を重ねただけとは思えない攻め技に、凱自身も思わず喘ぎ声を洩らしてしまう。
「旦那さま、これはまだまだ手始めなんですよ？ 感じてくださるのは嬉しいですが、イってしまわれたら困ります」
ほんの少し拗ねた口調でロロティアがぼやく。
飲ませた水薬の媚薬効果は非常に強く、人間か並みのインキュバスならこれだけで既に絶頂、精液を派手に噴出させている程の代物だ。
現状六人もの魔物娘を婚約者として抱え、その内の一人はリリムという、なかなかあり得ない取り合わせ。
目下のところドラゴンを始めバフォメット、キマイラ、人虎、キキーモラを一手に抱えているのだから、ますますあり得ないと言えるだろう。
「ちゅっ♥ はむっ♥ こりこり♥」
「あむっ♥ ぅん♥ ちゅっ♥」
「あぁ……、んく、おぅ……」
舐めたり、吸ったり、噛んだりと二人の愛情が詰まった乳首攻めが、凱の体内の媚薬と重なり、この上ない快楽を生む。前戯も同然の行為だというのに、凱の身体は性的刺激を更に求めるかのようだ。
「まあ、旦那さまのがご立派に起き上がりました♥」
「本当ですわね。いつ見ても素晴らしいですわ♥」
「あぐっ！」
言うが早いか、二人の手が凱の肉槍に被さる。
先端からの半分をマルガレーテの手が覆い、残る半分をロロティアが包むように握ったのだ。
「熱いですわ……♥ わたくし達にこんな熱いモノが入っていたかと思うと、ゾクゾクしますわ♥」
「本当……。ますます愛おしいです。私たちはこれからも愛し合えるんですから♥」
肉槍への愛撫が始まると同時に、乳首への攻めは激しさを増し、凱は上半身と下半身の同時攻めに喘ぐのみ。
そうしている間にロロティアは着物の裾を大胆にめくり上げ、空いた手で凱の左手を自分の秘部に当て、秘部を弄らせる。これを見たマルガレーテも倣うようにスカートをめくり上げ、同じように凱の右手を使って自分の秘部を弄る。
愛撫をして欲しいと悟ったのか、彼も二人の秘部を嬲るように弄りまくると、彼女達の下着が一気に湿り、粘り気を帯びていた。
「「ひぃぃ、あっ、あっ、あっ、ああんっ……♥」」
二人の喘ぎは同じフレーズとなって響き渡る。
先に離れたのはマルガレーテだ。
「ご主人様……、もう、我慢出来ませんわ……。早く、わたくしの、ここに」
「だめです。旦那さま、私から先に、お願いします」
二人は凱から身を離し、紐パンティの片方の結び目を解きながら取り払う。更に二人並んでのＭ字開脚でしゃがむと、淫らに濡れそぼった陰唇を割り開いて鮮やかな膣肉を見せる。
「二人共……、綺麗……」
凱はロロティアとマルガレーテの鮮やかな鮭肉色の膣に思わず魅せられてしまっていた。
彼が思わず呟いた言葉は本心からであり、決してお世辞でも何でもない。
自分の方から先にして欲しい、とねだる彼女達だが、凱にして見れば優先順位をつけられない。
通常であれば、だが――
凱は思い出したようにベッドに置いていた小さな箱を取り出し、入っていた一錠の薬を飲み込む。
不思議に感じたロロティアとマルガレーテだったが、少しして凱が苦しみ出した。
身体が急激に熱くなり、その熱はやがて陰茎に集約されて数分の後に収まったのだが、見ていた二人はとある変化に驚く。
何と、陰茎が横二つに分かれているのだ。それも同じ形、同じ大きさ、同じ太さに。
「旦那……さま……。それは、一体……」
「エルがくれた、薬、さ。試験段階らしいけど……ね」
「いくらエルノールでも、ご主人様に無理を強いるなんて……！」
「そう、言うなって」
効果を定着させようと、凱は少し汗ばんだ身体を起こし、呼吸を整えながら体内の気を循環させる。
すると、それに反応したのか、精力が漲る感覚が体内を駆け巡った。
「ごめん……」
「どうかなさいましたの？」
「ふ、二人共……、襲って、しまいそう」
「遠慮はいりません、旦那さま。性処理も……メイドの、嗜みでございます♥」
「じゃあ、二人は抱き合って、横になって」
「「はい」」
ロロティアとマルガレーテはレズプレイのように抱き合うと、ばふんっ！ とベッドに横たわる。
「さあ、ご主人様」
「どうぞ私たちの中へ……」
言うが早いか、各々片足を上げて秘所を見せびらかすと、淫らな花唇からは既に愛液が零れ落ちていた。
凱はすかさず二人の片足を掴み、股間でギラギラとそそり立つ双槍の先端を花唇に触れさせる。
すると二人の雌はぶるりと身体を震わせながら、その直後の展開を期待し、凱もそんな彼女達の期待に応え、股間のショットガンで二人の膣肉を貫いていく。
「おっ、おっほおおおおおお♥」「あひいいいいいいいいいい♥」
膣肉に入り込んだ双棒の熱量は相当のものだったのか、ロロティアもマルガレーテも身体を震わせてよがる。
凱も二人の膣壁がもたらす甘美な刺激に身体の芯から酔いしれる。服用した薬の副作用からか、感度が上がってしまっていたのだ。
快楽に呑まれまいと、凱は足掻くように腰を振り始めると、ロロティアとマルガレーテは子宮口と膣肉から駆け昇って来る快感に陶酔させられてしまう。
「いひっ、い、いひぃいいいぃ！ ごひゅじんひゃまぁっ、もっと、もっとおぉン！」
「んい、ひっ、ヒイィ！ イイッ！ オマ×コ、とろけ、ひゃうっ、わらひぃ、もっと、ほひいぃっ！」
下がり切った子宮を元の位置に押し戻すかのような容赦のない一撃を繰り出し、肉のリングをノックする。失禁したのではないかと思う程に溢れたラブジュースを掻き分けながら、凱は力の限りロロティアとマルガレーテの秘部を抉り、貪り続ける。
二人は何度も浅い頂に到達していたが、凱の逞しい肉槍をその程度で止める事は叶わず、それどころか決定的なアクメを美しい牝達に刻み込もうとラストスパートに入っていた。
「だんな、ひゃま、イ……ク、ロロは、もうっ、イッちゃ……ぅッ！」
「ごひゅじんひゃまぁ……、わらくひも、わたくひも……ウウッ、んぐふうう……ッッ！」
「あ、あっ、ああぁ、出る……出る、二人の中に、出すよ……っ!!」
凱の双槍がその言葉と同時に、二人の子種へ特濃の子種を爆発させる。
「あぁっ！ イク、イクイク……イッくぅ……ひぃいいいいっ!!」
「オオン！ ンオオッ、オオッ、ホオオオオオッ!!」
長引く射精と流れ出る濃密な魔力が三人の時間を支配し、二人の魔物娘は最後の一滴も逃さないとばかりに膣をきゅっと窄め、愛情を確かめ合っていた――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
情事を終えた翌日の昼下がり――
凱はエルノールに結果を報告する為、学園長室を訪れていた。
「――そうか。左様な事になったか」
慌てるでもなく、喜ぶでもなく、エルノールは凱の報告を淡々と聞いた。
「済まぬが、これからも薬の試験台になって貰いたい。わし等の今後が掛かっているでな……」
もう行って良いと手を払うと、凱はそのまま学園長室から出て行った。
ため息をつきながら、エルノールは声を上げる。
「我がサバトも、生まれ変わらねばならん。そしてこの世界と――」
言いかけて止めた彼女の表情は闇に覆われたかのような憂いを見せていた――
行きつく先は風星学園特別クラスの校庭。
ボスンッ！と軽い衝撃を伴った土煙りを上げ、二人は校庭の中央に姿を見せた。
魔力の膨張を察して構成員に監視を命じていたエルノールは、それが凱と瑞姫と分かるや否や、中央塔を飛び出して特別クラスの校庭に駆け付ける。
「おお、二人共！ 良く帰って来たのう！」
「ただいま帰りました、学園長」
「三ヶ月ぶり、かな」
あっという間の三ヶ月が凱を竜騎士とし、婚約者達との絆を強くした。
それは彼自身がもう独りでないという確かな証でもある。
呪具という想定外の要素こそあったが、彼にはその実感があった。
それらを己の力と成していく為にも、今後の研鑽を怠る事など出来ない。
竜騎士叙任は次のステップへの踏み出す為の段階に過ぎないのだ。
「色々と大変な目に遭ったそうじゃな」
「本当に、色々と大変でし――」
「兄上、ドラゴニアでわしらが言った事を忘れたかのう？」
エルノールの笑顔が心なしか冷たくなっている。
「いや、でも、やっぱり慣れない……な」
「真面目なのは認めるが、それも大概にせい。プライベートでも堅苦しかったら息が詰まるわい。……おっと、此処で長話をしとる場合では無い。まずは特別寮に行くぞ。そこで改めて話をしよう」
先へと歩き出すエルノールの後を、二人はついていくしかない。
特別寮に到着するや、朱鷺子、亜莉亜、マルガレーテ、ロロティアが凱と瑞姫を出迎える。
ただ、前日の情事も薄々察していたようで、朱鷺子以外は少々面白く無さそうな表情ではあったが、マルガレーテとロロティアは情欲の念がこもった目で凱を見ていた。
しかもマルガレーテはいつものゴスロリドレスではなく、ミニスカメイド服であったのも凱を驚かせた。
「さて、今日からまた、特別寮での生活だな」
「おっと、今日は兄上を厨房には立たせぬ。復帰祝いなんじゃ、主賓が料理を作っては意味無いぞ」
「そうです。今日は、私たちが、お料理を作ります」
「でしたらロロティア、準備しましょう」
マルガレーテとロロティアはそう告げつつ台所へと入って行くが、それ程の時間をかけずに再び出て来る。
彼女らは朱鷺子と亜莉亜からしゃぶしゃぶを教えて貰っており、折角だからと魔界豚の肉を使ったしゃぶしゃぶ鍋をしようと提案していたのだ。
「もう冬になり始めましたから。みんなでお鍋を囲って、あったまりましょう」
水と昆布が入った専用鍋にはイグニスの魔力を宿した卓上コンロが置かれ、ロロティアが魔力を注いで点火する。鍋とコンロは特注品であり、鍋はマルガレーテが図鑑世界で作らせ、取り寄せたもので、コンロはサバト風星支部がエルノールの依頼を受けて作った魔道具である。
出来あがった途端に箸の乱舞が飛び交い、食材はあっという間に食べ切り、〆で用意されたラーメンも程無くして食べ切っていった。
ゆったりした食後の時間は各々でデザートを食したり、テレビを観たり、本を読んだり、凱と瑞姫がドラゴニアで体験した事を話したり……。
七人が再び一つに集い、語らう時間はあっという間に過ぎ、眠りの時を迎える。
もっとも、魔物娘達に囲まれている以上、そうは問屋が卸さない。
就寝前、凱はエルノールに呼ばれて学園長室に出向くと、彼女から小さな箱を手渡される。
何かと問おうとした時、エルノールは答えた。
「それは触手薬と分身薬を調合して作った試作の薬じゃ。兄上のその素晴らしいモノだけを増やし、わし等を一度に相手に出来るようになる。触手薬は兄上の見た目そのものが変わってしまうし、分身薬は複数の男にされるなんて感覚が好かん。それで、兄上と瑞姫がドラゴニアに行っておる間に研究しておったんじゃ」
エルノールは一呼吸置いて話を続ける。
「ロロティアとマルガレーテが今宵辺りに何かしらのアクションを起こすじゃろうから、あの二人に使うと良かろう。使ってどうなったかの報告も、済まんが頼む。わし等の為にも更なる改良も必要にあるじゃろうからな」
気まずそうに苦笑するエルノールの姿に、凱は黙って頷くしか無かった。
特別寮に帰ると、今度はロロティアから精緻な細工が施されたガラス瓶を二本渡された。
その中身は青と赤の《水薬（ポーション）》だ。
ロロティアは渡すなりこう告げる。
「お休み前にこれを飲み、誰ともエッチをせず寝て下さい」
訳が分からず、彼女に水薬の効果を問うと、「翌朝になればわかります」としか語らない。
婚約者の懇願を断る事も出来ず、言われた通りに二本共飲んで眠りに入った……のだが、暫くして身体中が火で焙られているような熱気に長時間襲われ、流れ出た汗も半端な量では無い。
汗を拭いて別の寝間着に着替えて水分を摂り直し、気だるい身体をベッドに横たえ、再び就寝出来たのは夜が明ける頃だった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
翌朝――
「おはようございます、旦那さま」「おはようございます、ご主人様」
優しい声と凛とした声が同時に発せられ、凱の寝室にハーモニーが響く。
二つの声で、泥海から引き揚げられるような感覚を伴いながら目覚めた凱の前には、何時もの姿のロロティアに加え、昨日と同じミニスカメイド服に身を包んだマルガレーテの姿がある。
しかも「ご主人様」と呼んだマルガレーテへの驚きで、一気に眠気が覚めた凱にロロティアは尋ねた。
「旦那さま。昨夜お渡しした二本の水薬、お飲みになりましたか？」
「？ これの、事……？」
二つの空瓶をロロティアに出すと、安堵したようにロロティアが答える。
「きちんと飲んでいただけたのでしたら、何らかの変化がすでに起こっているはずです」
一も二も無く凱を信じ切っているロロティアの言葉に今一つ要領を得ない凱だったが、思い当たる節が一つある。
「ご主人様の身体が高熱に襲われた。そうではありませんこと？」
「ああ……。けど、何の薬なんだ？」
マルガレーテの発した言葉は的を得ていた。凱は肯定しつつも彼女に問う。
「飲んで頂いた二つの水薬はそれぞれ、体力と精力を永続的に増強させると同時に、強力な媚薬でもありますわ。それも王魔界で作られた特別製ですから、本当ならもっとわたくし達を欲しがって、獣のように襲いますのよ。ましてやそれを二つも飲んだのにこうしているなんて、意外と順応性があるのかしら？ でも、たとえインキュバスと言えども、急な変化に身体が追いつけていない筈ですわ」
「そうですね。では、効果を定着させるためにも、始めましょう」
ロロティアとマルガレーテは言い終えた途端に凱を抑え込み、寝間着と下着を剥ぎ取っていく。
「旦那さま、何もなさる必要はございません。全て、私たちにお任せください」
「ご主人様はわたくし達に、何もかもを委ねて下さればそれでよろしいですわ」
ロロティアが左から、マルガレーテが右からそれぞれに愛する主の耳元で囁く。
二人の声が凱の心を甘く溶かし、ベッドという揺り籠の中に誘う。
「こうして改めて、じっくりと見てみますと、わたくし達を抱いたご主人様の身体は王魔界の力で更に……逞しく、そして敏感になっているようですわね♪」
マルガレーテはそう言いながら、凱の右乳首を人差し指で転がすように撫でたり、つねったり、指で挟んでこねる等の指技で愛撫し、ロロティアは凱の左乳首を円を描くようにしたり、細かく弾くようにしたり、時には舌先を乳首の先端につけてこね回したりといった舌技で愛撫していた。
数回身体を重ねただけとは思えない攻め技に、凱自身も思わず喘ぎ声を洩らしてしまう。
「旦那さま、これはまだまだ手始めなんですよ？ 感じてくださるのは嬉しいですが、イってしまわれたら困ります」
ほんの少し拗ねた口調でロロティアがぼやく。
飲ませた水薬の媚薬効果は非常に強く、人間か並みのインキュバスならこれだけで既に絶頂、精液を派手に噴出させている程の代物だ。
現状六人もの魔物娘を婚約者として抱え、その内の一人はリリムという、なかなかあり得ない取り合わせ。
目下のところドラゴンを始めバフォメット、キマイラ、人虎、キキーモラを一手に抱えているのだから、ますますあり得ないと言えるだろう。
「ちゅっ♥ はむっ♥ こりこり♥」
「あむっ♥ ぅん♥ ちゅっ♥」
「あぁ……、んく、おぅ……」
舐めたり、吸ったり、噛んだりと二人の愛情が詰まった乳首攻めが、凱の体内の媚薬と重なり、この上ない快楽を生む。前戯も同然の行為だというのに、凱の身体は性的刺激を更に求めるかのようだ。
「まあ、旦那さまのがご立派に起き上がりました♥」
「本当ですわね。いつ見ても素晴らしいですわ♥」
「あぐっ！」
言うが早いか、二人の手が凱の肉槍に被さる。
先端からの半分をマルガレーテの手が覆い、残る半分をロロティアが包むように握ったのだ。
「熱いですわ……♥ わたくし達にこんな熱いモノが入っていたかと思うと、ゾクゾクしますわ♥」
「本当……。ますます愛おしいです。私たちはこれからも愛し合えるんですから♥」
肉槍への愛撫が始まると同時に、乳首への攻めは激しさを増し、凱は上半身と下半身の同時攻めに喘ぐのみ。
そうしている間にロロティアは着物の裾を大胆にめくり上げ、空いた手で凱の左手を自分の秘部に当て、秘部を弄らせる。これを見たマルガレーテも倣うようにスカートをめくり上げ、同じように凱の右手を使って自分の秘部を弄る。
愛撫をして欲しいと悟ったのか、彼も二人の秘部を嬲るように弄りまくると、彼女達の下着が一気に湿り、粘り気を帯びていた。
「「ひぃぃ、あっ、あっ、あっ、ああんっ……♥」」
二人の喘ぎは同じフレーズとなって響き渡る。
先に離れたのはマルガレーテだ。
「ご主人様……、もう、我慢出来ませんわ……。早く、わたくしの、ここに」
「だめです。旦那さま、私から先に、お願いします」
二人は凱から身を離し、紐パンティの片方の結び目を解きながら取り払う。更に二人並んでのＭ字開脚でしゃがむと、淫らに濡れそぼった陰唇を割り開いて鮮やかな膣肉を見せる。
「二人共……、綺麗……」
凱はロロティアとマルガレーテの鮮やかな鮭肉色の膣に思わず魅せられてしまっていた。
彼が思わず呟いた言葉は本心からであり、決してお世辞でも何でもない。
自分の方から先にして欲しい、とねだる彼女達だが、凱にして見れば優先順位をつけられない。
通常であれば、だが――
凱は思い出したようにベッドに置いていた小さな箱を取り出し、入っていた一錠の薬を飲み込む。
不思議に感じたロロティアとマルガレーテだったが、少しして凱が苦しみ出した。
身体が急激に熱くなり、その熱はやがて陰茎に集約されて数分の後に収まったのだが、見ていた二人はとある変化に驚く。
何と、陰茎が横二つに分かれているのだ。それも同じ形、同じ大きさ、同じ太さに。
「旦那……さま……。それは、一体……」
「エルがくれた、薬、さ。試験段階らしいけど……ね」
「いくらエルノールでも、ご主人様に無理を強いるなんて……！」
「そう、言うなって」
効果を定着させようと、凱は少し汗ばんだ身体を起こし、呼吸を整えながら体内の気を循環させる。
すると、それに反応したのか、精力が漲る感覚が体内を駆け巡った。
「ごめん……」
「どうかなさいましたの？」
「ふ、二人共……、襲って、しまいそう」
「遠慮はいりません、旦那さま。性処理も……メイドの、嗜みでございます♥」
「じゃあ、二人は抱き合って、横になって」
「「はい」」
ロロティアとマルガレーテはレズプレイのように抱き合うと、ばふんっ！ とベッドに横たわる。
「さあ、ご主人様」
「どうぞ私たちの中へ……」
言うが早いか、各々片足を上げて秘所を見せびらかすと、淫らな花唇からは既に愛液が零れ落ちていた。
凱はすかさず二人の片足を掴み、股間でギラギラとそそり立つ双槍の先端を花唇に触れさせる。
すると二人の雌はぶるりと身体を震わせながら、その直後の展開を期待し、凱もそんな彼女達の期待に応え、股間のショットガンで二人の膣肉を貫いていく。
「おっ、おっほおおおおおお♥」「あひいいいいいいいいいい♥」
膣肉に入り込んだ双棒の熱量は相当のものだったのか、ロロティアもマルガレーテも身体を震わせてよがる。
凱も二人の膣壁がもたらす甘美な刺激に身体の芯から酔いしれる。服用した薬の副作用からか、感度が上がってしまっていたのだ。
快楽に呑まれまいと、凱は足掻くように腰を振り始めると、ロロティアとマルガレーテは子宮口と膣肉から駆け昇って来る快感に陶酔させられてしまう。
「いひっ、い、いひぃいいいぃ！ ごひゅじんひゃまぁっ、もっと、もっとおぉン！」
「んい、ひっ、ヒイィ！ イイッ！ オマ×コ、とろけ、ひゃうっ、わらひぃ、もっと、ほひいぃっ！」
下がり切った子宮を元の位置に押し戻すかのような容赦のない一撃を繰り出し、肉のリングをノックする。失禁したのではないかと思う程に溢れたラブジュースを掻き分けながら、凱は力の限りロロティアとマルガレーテの秘部を抉り、貪り続ける。
二人は何度も浅い頂に到達していたが、凱の逞しい肉槍をその程度で止める事は叶わず、それどころか決定的なアクメを美しい牝達に刻み込もうとラストスパートに入っていた。
「だんな、ひゃま、イ……ク、ロロは、もうっ、イッちゃ……ぅッ！」
「ごひゅじんひゃまぁ……、わらくひも、わたくひも……ウウッ、んぐふうう……ッッ！」
「あ、あっ、ああぁ、出る……出る、二人の中に、出すよ……っ!!」
凱の双槍がその言葉と同時に、二人の子種へ特濃の子種を爆発させる。
「あぁっ！ イク、イクイク……イッくぅ……ひぃいいいいっ!!」
「オオン！ ンオオッ、オオッ、ホオオオオオッ!!」
長引く射精と流れ出る濃密な魔力が三人の時間を支配し、二人の魔物娘は最後の一滴も逃さないとばかりに膣をきゅっと窄め、愛情を確かめ合っていた――
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
情事を終えた翌日の昼下がり――
凱はエルノールに結果を報告する為、学園長室を訪れていた。
「――そうか。左様な事になったか」
慌てるでもなく、喜ぶでもなく、エルノールは凱の報告を淡々と聞いた。
「済まぬが、これからも薬の試験台になって貰いたい。わし等の今後が掛かっているでな……」
もう行って良いと手を払うと、凱はそのまま学園長室から出て行った。
ため息をつきながら、エルノールは声を上げる。
「我がサバトも、生まれ変わらねばならん。そしてこの世界と――」
言いかけて止めた彼女の表情は闇に覆われたかのような憂いを見せていた――
19/01/16 02:52更新 / rakshasa
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