かたくて、おっきいの!
カン、カン、カン、
小気味良い音が広い工房の岩壁に響く。
壁面にはところ狭しと長剣や戦斧、槍などの武器が飾られ、窓から入る日ざしに照らされて、鋭く、暖かな光を放っている。
その真ん中で、ひとり黙々と槌を振るう少女が一人。その肌は薄く澄んだ青色をしている。
ふう、こんなもんかな。
少女は出来上がったナイフの裏表を、その大きなたった一つの目でチェックしている。
よし、これで完成〜。
ナイフをあらかじめ作っておいた鞘に収める。
鞘すべりも完璧。
そして、少女は誇らしげに壁にわずかに残されたスペースにそれを陳列し、ちょっと離れたところから少しの間眺めた。そして、ひよひよと作業場に戻り、言った。
客、来ねえぇぇぇぇぇ!
ええぇぇ〜、いや、覚悟はしてたけどさ〜、まさかこんなにこないと思わないよー。
師匠(母)いわく、「山奥に工房開くと、そりゃ普通のお客は来ないよ。でもさ、結構いるんだよ、真の強さを求めるために、一生戦える相棒を作ってくれって言う、いい目をした男がね。アンタの父さんも、いい男だったよ。本当に強い人だった。体も、心も…、夜のほうもね。もうあの時は朝までに何回イかs(ry」
あれ?トチュウカライイハナシヂャナイヨ?
とまあ、そんな話を信じてわたしも遠路はるばるやってきてこの山に工房を開いたわけだが。行く場所を間違えたらしい。
なんと言ってもこの国は、リンボー公国、人呼んで、『放蕩者の国』である。
勇者とか、武闘家とか、そういうものは生息しておらず、詩人とか、発明家とか、投資家とか、そんなのばっかりいる。陸軍にいたっては、『穀潰し』と呼ばれている。
ぶっちゃけ、だれも武器を買わないのだ。狩猟すらしないし。
あ〜、どうしよう。もう工房たたんで故郷に帰ろうかな…
ガタン。
ん?
ふと顔を上げると、そこには、私と同じくらいの年格好の男性の姿があった。
え、もしかして、お客さん?
一瞬目と目が合う。そして次の瞬間。
「あ、えっと、失礼しました!」
男は脱兎のごとく逃げ出した。
え!?ちょっと?何で逃げるの!?
何とか引き止めなきゃ、という一心で、無我夢中のまま手近にあった物をつかんで男に向かって投げつけた。
あ…
それがハンマーだったと気づいたときには、もう、男は地面に横たわっていた。
「えと、あの、ごめんなさい…」
少女は、目が覚めた俺にお茶を出してくれた。
「あ、いや、あの、どういたしまして。どういたしましてじゃないな。えーっと。」
なんでテンパッてんの!?俺!?
「あ、あの、別に大丈夫ですから。僕、丈夫ですし。あはは。」
「ほんとですか?良かったー。大事になったらどうしようと思って。」
少女がほっと胸をなでおろす。その様子は…可愛いな畜生!!一つ目なのに、何でこんな可愛いんだよ!そして、胸!胸元!何ソレ!?くそ、免疫無いと、刺激が強すぎる。
「それでですね。」
「はいぃ!?」
胸元に目を奪われていたところで急に声を掛けられ、あわてて視線を外す。
「はい、え?なに?」
「それでですね。何を作ればいいんですか?」
「え?」
「いや、ですから、何かしらの注文があるから、ここに来たんですよね?」
俺はすっくと立ち上がって、2,3度肩を回した。
「ああ、もうすっかり傷も癒えました。お茶、ご馳走様でした。それではまたの機会にお会いしましょう。では。」
そう言って俺はまっすぐ出口へと向かい…
がし。
「なーにを作ったらいーんですかー!」
腕をつかまれた。さすが魔物、強い。
「いや、いいのいいの。急ぎじゃないから。」
「いやいや、そんなこと言わずにウチで。」
そのままぐいと引き倒され、工房のほうへずるずると連れて行かれる。
「あ、青銅細工とか、そういうのは出来ないよね?」
「できます。師匠からみっちり仕込まれました。」
万事休す。
「いや、ほんとに、ダメだって。」
「じゃあ、なんでウチに来たんですか!?」
「だって、サイクロプスがやってるなんて知らなくて…?」
突然引っ張る力が無くなった。
「そ、それは、魔物の、作った道具なんて、使いたく、ないってこと、ですか?」
声が震えている。
「ち、違う違う!そうじゃなくて、女の子だったから…」
「女じゃ、鍛冶なんか出来ないってことですか!?」
彼女の一つ目が涙を湛えたまま、こっちをじっと見ている。怪力で引きずられるよりも、正直、何倍も耐え難い。
ああ、もう、しゃあない。
「分かった!ここで頼む!お願いする!お願いするから!」
「本当ですか…?」
「ああ!本当!だから、泣くな!頼むから。」
少女の顔がぱっと明るくなる。
「はい、それで何を作ればいいんですか?」
反比例するように、俺の表情が重くなる。
「えっと、あの、どうしました?」
どうした俺。さっき腹はくくっただろう。いいから言え!
俺は勢いよく座卓に腰掛けると、その勢いに任せて言った。
「張形を一個、特注で頼む!」
「張形、ですか。」
やばい、今なら顔からリアルに火が出せそうな気がする。
「わかりました!じゃあ、とりあえず、3日あれば出来ると思うんで、そのとき取りに来て下さい!」
俺と対照的に、彼女はあっけらかんとしている。さすが魔物。あんな若い女の子が、こんなセクハラ注文に全く動じず…。
「すいません、ちなみに、はりがた、ってなんですか?」
そこから!?てか何で分かんないのにスケジュールまで立てちゃった!?
「あ〜、昔から無鉄砲ってよく言われます。」
ふーんそうなん…って今、心を読まれた!?
「で、何なんですか。」
大きな目でじっとこちらを見つめてくる。これはなんの拷問ですか!?
「その、青銅細工でだな、アレの形を…」
「あれというと?」
「だから、ナニの形、」
「なにといわれても…」
「そう、あの、陰茎の形に、」
「インケイ、と、いうと?」
「だから…、その、だ、男性器の…。」
「ああ!おち○ち○ですね!」
直球だよ!!ジェントリな表現を心がけた俺の苦労がパーだよ!!てか、それはこんな清純系美少女が!付きで発音していいワードじゃないよ!!
「って、ええぇ!?」
自分がなにを言ったか気付いたのか、薄い青色の顔にぼっと朱がさす。
「そ、そんなの一体何に使うんですか。」
「いや、別に僕が使うわけではなくて、うちの奥方様が、ご主人様が商用で出張している間、孤閨を慰めるために、と。」
説明はするものの、いまいち理解していない様子だ。
「あ、あの、やっぱり、よそで頼みますよ?」
そう言うと、彼女は机に手を付いてこちらに身を乗り出した。
「いいえ!わたしも一応プロですから、一度受けた注文はきっちりやります!」
いや、ちょっと、顔を近づけるのは百歩譲っていいとして、その下のなにやら二つがオプションで俺に接近してきてるんですが!?
「あ、でも、形がよく分からない…、どうしよ…。」
例の危険物がもうちょっとでマイボディと接触するか否かというところで、すっと離れる。
安堵しつつ、すこし残念でもある。
「せめて何かモデルでもあれば…。」
ふと顔を上げると、彼女がその大きな目で俺を射るように見据えていた。俺の顔ではない、どこかを。
背筋が、季節はずれの寒気を覚えた。
どうしてこうなった。
俺は工房の高い天井を見上げている俺の両手はベルトにかかっている。バックルはすでに外してあるので、手を軽く下ろせば、俺のズボンはすとんと真下に落ちるわけだ。そして、右手には黄色い消しゴムつき鉛筆。左手にはオーソドックスなメモ帳を構えた可愛い女の子が、こともあろうに俺の股間を凝視して、ズボンを下ろすのを待ち構えている。
もう一度言おう。どうしてこうなった。
「あの、お願いします。」
「待って!ちょっと待って、心の準備が…」
これはなんだ。夢か。こんな夢を見るとは、俺の深層心理はどんなことになってんだ。
あれー、俺Mだったのかなー。夢だったらあの膨らみを揉み揉みしてもいいのかな…
「もー、早くしてくださいよ。」
ズルッ
思考の海に没入した隙を突かれ、アンダーパンツもろともズボンを引き摺り下ろされる。
心の準備もへったくれも無い。
「いやあああああああああああ!」
と、叫びたい衝動に駆られるが、俺の中のわずかの漢気を振り絞って平静を保つ。
「わ。」
これが遂に表舞台へとその姿を現した俺の一本を見ての彼女の第一声。
顔を赤らめて、少し恥ずかしそうな様子を見せながら、可憐な少女が俺の一本を凝視している。やばい、これはやばい。事件現場を見ていられない。恥ずかしさがK点越えして、逆に血の気が引いていく。
あー、もう、早く済ませ…
ぷちゅ。
「オウフッ!!」
おもわず奇天烈な声を上げる。
鉛筆でつつかれた。
「あ、ごめんなさい。つい好奇心で。」
めっ!それ、めっ!コイツは好奇心で手を出すにはあまりに危険なブツだ!
「痛かったですか?」
そりゃ、痛かった…って、何してんの!?さすったらダメ!そこはダメ!
「い、いいから、大丈夫だから続けて。」
何もしてないのに息が上がってくる。しかし、なんとか少女の手を危険区域から引き離すことに成功した。幸いにも俺の一本は未だピクリとも動いた様子は感じない。流石は毎晩、千変万化の妄想の渦の中で鍛えあげただけのことはある。
「え、えと、これをそのまま作ればいいんですかね。」
「あ、いや、その、このままじゃ、まだダメで。勃ってないと。」
「たってる?」
まいった、これも通じないか。
「あの、勃ってるって言うのは、その、これが上を向いて、かたくなることで…。」
「え、これはそれと違うんですか?」
「はい?」
顔を下ろしてみると、何ということでしょう。
ピクリとも動かないと思っていたのは、もう動く余地が無いほど稼動しきった結果だったのです。と、いうわけで、俺の一本が、一本の名の通り、一本天を仰いでいた。
どうしたマイ一本!あの特訓の日々を忘れたのか!それともこれがリアルの力なのか!?
「ほあー。」
彼女はさっきにも増してまじまじと俺のを見つめつつスケッチをする。
その視線と時折吹きかかる熱い吐息だけで、俺の一本は爆発しそうに膨れ上がっている。
恥ずかしいとかそういうレベルで無くなり出した。穴があったら墜死したい。
と、
「ちょっと失礼しますね。」
ぎゅ。
あは―――い!?ワッチャードゥーイング!?
「わぁ…、固いですね…。」
彼女の細い指が俺の一本に絡んでいる。その程よい冷たさたるや、しっとり感たるや、その威力、まさに凶器と呼ぶにふさわしい。それが俺の表面を探るように這っているのだ。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、何して!?」
「え?いや、感触を知ってたほうが、造形したときにリアルな曲線が出せるので。」
「あ、そうなんだ。って、ア―――ッ!?」
「ふむふむ、先っぽは柔らかい、と。」
ぷにぷにするんじゃない!お願いだから!やばいよ。俺の中からこみ上げるような何かを感じるよ?
「ここが二重になってるわけですね。」
皮――っ!引っ張るのはアウト!!何だこの展開!何だこのアグレッシブ!
「えっと、これはつけたほうがいいですか?」
細い指で、俺の玉をふにふにとつまむ。
臨界点が見えてきた。まずい。このままでは、彼女の凛としているようでまだ若干のあどけなさの残る顔を、戦火にさらすこととなる!それはなんとしても阻止せねば!
しかし、もう、俺には、どうすることも…。
「あ、そーだ。えと、大きさは、これそのまんまでOKですか?」
「え、あ、大きさ?そうだな、奥様の注文だと、これと比べて一回り、いや、二回りくらい大きくていいかな。」
必死で平静を取り繕って言う。
「これだとちょっと小さい訳ですね。」
小さッ…!いやそりゃ大物といえば嘘になるが、それにしても、小さッ…。
悪意の無いその一言に、危うく心を砕かれそうになる。恐ろしい。
まあ、メンタルダメージのおかげで、一斉射撃が多少延期になったという点では助かったのではあるが。
しかし、それもまた時間の問題である。
あちこちぺたぺたと撫で繰り回し、つまみ、つつき、その快感はゆっくりと穏やかに、されど確実に俺の脳内を蹂躙していく。
頬の内側を噛み締めて、必死で堪える。息を吸うだけで崩壊してしまいそうだ。
「こっちはどうなってるのかな、と。」
彼女は一本の上側面を観察しようと軽く引っ張りながら覗き込むような体勢をとった。
その際、おそらく彼女は気づいていないだろうが、彼女の例の二つと、俺のぶら下がってる二つが、接触した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
意識してしまったが最後、体中を突き上げるような衝動が襲う。電気を流されているようだ。脳内は混濁して、もう意識など在って無いようなものだ。
理性の搾りカスまでフル動員して、耐える。強く噛みすぎたのか、血の味がする。
もう…、ダメだ…。
覚悟を決めたその時。
「よし、OK!ご協力ありがとうございます!じゃあ、これから製作に入りますんで。」
彼女が手を離し、俺の顔を見上げていった。その声はさながら天使の福音。
勝った…。俺はこの試練を耐え抜いたのだ。このわずかな時間の内に、人間として大きく成長したような気さえする。とにかくもう、俺はあの塗炭の苦しみから解放され…
「けど、これより二回りか…、これで、もう結構おっきいと思うのにな…。」
おっきいと思うのにな…
おっきいとおもうのにな…
オッキイトオモウノニナ…
その声はさながら悪魔の誘惑。
いや、本当に、あんな可愛い娘がさ、上目遣いで、頬なんかちょっと染めてそんなこと言うのはどう考えても反則だと思うんだよね。ましてやこんな状況で、ってこんな状況滅多に無いとは思うけども。え?何でそんなに落ち着いてるかって?そりゃ、決まってる。
もう我慢する必要が無いからだ。
俺の一本から彼女の顔に向けて美しいアーチが架かっている。
この世の全ての苦しみから解脱したような解放感。
それと同時に、俺の中で今まで積み上げてきた色々な何かが瓦解していくのが分かる。
そして、その白いアーチが切れて床に滴ると同時に、
俺の中の何かも、音を立てて切れた。
ぷつりと。
何が起こったのか、さっぱりわからない。
なんだろう。この暖かい何かは。
顔に触ってみると、ぬるっとする。慌てて手を離すと、細い糸を引いて、切れた。
出所はおそらく目の前で脈を打っている、あれ。
その持ち主である彼は、まるで魂が抜けたように立ち尽くしている。
「あ、あの〜、これって一体…。」
「…だよ。」
「え?」
なにやらつぶやいたような気がしたが、聞き取れない。
「今なんて言った…きゃあ!?」
突然、私は床に倒れこんだ。彼が私に飛びかかってきたのだ。見ると、目が据わっている。その手には壁に飾ってあったナイフが握られている。
「あっ、あっ、あのっ。」
あまりに急な事態に、言葉が出てこない。手足は体重をかけて封じられているので、もがくこともできない。
「アンタが悪いんだよ。そんな体してさあ、初心なふりして、あんなことまでやってさ。」
彼がナイフを振り上げる。
「ひっ…!」
恐怖のあまり目をつぶってしまう。
ドッ。
鈍い音がして、ナイフが刺さる。
「ひっ…、ひっ…、はぁ、さ、刺されてない…。えっ!?」
動けなくなっている。首を下に向けると、服がナイフで床に止められてしまっている。さながら昆虫標本のように。
逃げられない…。
「アンタさ、何から何までエロいんだよ。自覚してないのか、それとも、わざとやってるのかな?えっちいなあ。」
彼が耳元でささやくように言う。
「ち、ちがいます。そ、そんな、ことっ…!」
「じゃあ、ここはどうしてこんな事になってんだ!?」
彼は勢いよく私のチューブトップの胸元を引き摺り下ろす。
ぷるん、と震え、二つの塊があらわになる。
「きゃあああああ!?」
あわてて隠そうとするが、両手は封じられている。
何とかしようとするが、首を左右に振るぐらいしかできない。
「うわ、予想以上だな。こんなになるまで一体どのくらい一人で揉んだのやら。」
「そ、そんなこと、してな…ひゃん!?」
突如として恐怖とは別の感覚が私を襲った。
彼がピンク色のつやつやとした乳首を、ぺろりと舐め上げたからだ。
「や、やめ、ひゃうぅ!?」
すかさず追撃が入る。こんどは軽くくわえると、力強く吸い出した。
もう片方も、肘で私の腕を押さえながら器用に揉む。
「ひゃああああああ!?な、なにこれぇ…。」
その感覚はあっという間に恐怖を駆逐し、頭の中を駆け巡る。体中が熱くなり、何も考えられなくなる。
「ちょっ、待っ!やっ!ひっ!きゃううううううん!」
おもわずのけぞってしまう。
彼が乳輪を甘噛みしてきた。今まで感じたことの無い刺激に、意識が飛びそうになる。
と、そのとき、
「はううっ!?」
突然、違う場所に刺激を感じた。彼の指が、私の中に入っている。
「あれー、おかしいな。もうどろどろだよ?えっちい娘じゃないんじゃなかったのかな〜?」
「ち、ちがうの…ひゃう!」
彼はわざと弾みをつけるようにして指を引っこ抜くと、私の目の前で開閉して見せた。指が開くたびに、間に糸が引く。
「ほら、見ろよ。こんなにびしょびしょになっちゃって、やらしいなあ。」
自分の熱い汁が私の体に滴る。すっかり敏感になった体はそのたびに反応してしまう。
「そんなえっちい娘はこうだ。」
彼は私の乳首をつまんだかと思うと、思い切り引っ張った。
「きゃうううううううううううううううううううん!」
瞬間、言いようも無い甘美な快感が、全身を貫いた。
あまりの気持ちよさに、息をするのさえ忘れてしまう。
「は、はぁー、はぁー。」
「あれ?もしかして、おっぱいだけでイっちゃったの?この淫乱め。」
彼が淫靡な笑みを浮かべて言う。顔が真っ赤になっているのが自分でもよく分かる。
「しょうがないなあ、じゃあ、責任を持って鎮めてあげようじゃないか。」
彼はそう言うと、おもむろに私のズボンを下げた。
「ひゃあ!?」
さっき絶頂を経験して水浸しになった私の秘所が白日の元にさらされた。
「ふーん、ちゃんと毛は生えてるんだ。」
私のヘアをつまむと、ぴっぴっと引っ張る。
「痛っ!やめて下さ…。」
ぴとっ。
何かが接触している。
「え、あの、何を…。」
「職人ってのはさあ、やっぱり、作る品物のことをよく分かってないといけないでしょ?」
なにか、が発する熱が私の秘所の周りにじわじわと伝わっていく。
「あれだけ念入りに調べるくらいだからさ。そこでね、いや、俺って親切だよね。」
彼の目に黒い笑みが浮かぶ。
「使い方も、教えてあげようかと思って。」
そう言い切る前か、後か、さっきまで丹念に調べ上げたあれが、私の中を、貫いた。
鋭い痛みが走る。おもわず涙がこぼれる。
「っっ!」
「痛かった?大丈夫、すぐ気持ちよくなる。」
彼はそれをゆっくりと引き抜くと、また、勢いよく差し入れる。
「あっ!はっ!いっ…!」
さっきイったばかりの秘所は、あまりにも過激に快感を伝えてくる。初めての痛みもあいまって、もう何がなんだか分からなくなる。
今度は中をかき回すように突いてきた。
「あっ、いいっ、いいっ!」
思わず声が出てしまう。
「さっき破瓜したばっかで、もういいのかよ。ほんとに淫乱だな。」
そう言い放つと、彼は腰をスピードアップさせた。
「ああああぁ!?はあ、はああん!」
ぱんぱんという乾いた音が工房に響き渡る。
とめどなくあふれでる愛液が、初めての鮮血と交じり合って、床に水溜りを作りつつある。
彼は激しく突きながら、ふたたび胸を弄りだす。
「ふあぁん!や、やあ!やめへぇ…。」
「本当にいいのか?」
「ふぇ?」
彼がぴたりと腰を止め、すっかりグチョグチョになったものを抜く。
「本当に、やめていいのか?」
「は、はううぅ…。」
止められたとたん、猛烈なもどかしさを感じる。体が続きを渇望しているのが分かる。体が熱い。やめたくない。というか、もうやめられない。あれが、欲しい!
「や、やめたくないです…。」
「はい?聞こえないなあ?」
「やめたくないれすぅ!」
声が裏返ってしまい、また赤面する。
「何を、やめたくないのかなぁ?」
「な、なにを、て」
「なーにーを、して欲しいの?言ってごらん。」
彼が指で唇に触れる。
「あ、あの、わたしの、あそこに、その、つっこんで下さい…。」
「何を?」
「そ、その…」
「どうしたの?さっきはあんなに臆面もなく言ってたのに。」
ほとんど額がくっつくほど顔を近づけて言う。
「お、おちんちんを…」
「どこに?」
「あの、それは…」
「言えないの?じゃあ止めちゃおうかな…?」
いやだ!やめたくない!やめたくない!
「わ、わたしの、おまんこに…。」
「はっきり言わないと分かんないな。」
「わたしのおまんこに、おちんちん突っ込んで、えっちにかき回してくださいっ!」
彼は満足げにふふんと笑うと、さっきよりも硬度を増したそれをまた、私の中に、今度は、ゆっくりじらすように入れた。
「はぁぁぁぁぁん、はやくっ、はやくっ!」
「そんなにコイツが欲しいのか?」
「ほしい、ほしいです。はやくぅ…。」
「じゃあ、お望みどおりにしてやるよ!」
彼はまた勢いよく腰を跳ねだす。私の体は、まるで欠けていたパーツが補われたかのように、彼のものを受け入れ、包み込む。
「くっ、はあっ!締め付けきつすぎだろ。どんだけ欲情してんだよ。」
体中を幸せが包み込む。さっきの、あの、甘美な瞬間が、眼前に迫っている。
「おい、どうだ、気持ちいいか!?」
「きもひいい!いい!もっと、もっとちょうらい!」
「ったく、このエロ女め!くれてやるよ!」
「あああああ!きもひぃ!おかしくなっひゃうよぉ!」
もう、何もいらない。ただ、ただ、目の前の人が欲しい。この人のすべてが。
「おい、アンタ、そろそろイくぞ!」
「あんた、じゃ、やらぁ!」
「何?」
「なま、えで、よんれ、くらはい!」
「名前!?なんつーんだよ。」
「はっ、はっ、ら…らー、まっ!」
「分かったよ…。ラーマ!イくぞ!」
「うん、ぜんぶ、ぜんぶちょうらいぃ!」
「っ―――!」
「あはあああああああん!」
彼が、私の中に流れ込んでくる。全身がびりびりとしびれて、飛び散るような衝撃が中から沸き起こる。
彼の白と、私の血が混ざったピンクの液体が、私の秘所からこれでもかというぐらいに溢れ出す。なおも彼は私の中に新たな白濁を注ぎこみ続けた。
「はあ、はあ、きもち、よかった。」
ふと目をやると、彼は私の上で、気絶したかのように眠っていた。
その体温を感じているうちに、私もゆっくりと眠りに落ちていった。
ん、うーん。
あれ、ここどこだ?
石造りの小屋。
壁にはたくさんの武器。
隣には裸の魔物の女の子。
うーん、どこだ?ってはいいいいい!?
え!?なんで裸!?というか俺もなんでパンツはいてないの!?
やばい、なにがあった?思い出さないとまずい。えーとえーと。
ウィーン。
記憶をバックアップしていまス。
チ―ン!
バックアップが、完了しましタ。
うん。
思い出さなきゃよかったー!
というかあの時の俺何者!?おれってSだったのかなー。
というか、この状況はやばい。
顔面蒼白。サイクロプスより青い。
どうする、どうする、どうするよ!
この娘が寝ている間に逃げる?
男として最低の行為だが、このままではわが身に危険が及びそうな気がする。致し方ない。
すばやく辺りを見回して、俺のズボンとパンツを探す。
起きるなよ、起きるなよ。
ベルトのバックルがカチャカチャなるたびに冷や汗ものだったが、ついに、ベルトの穴を通して、と、後はズボンのチャックを閉めるだけ!
ジーッ!ガッ!
「ア―――ウチッ!」
焦っていたため一本がソーシャルウィンドウからはみ出ているのも気づかずに勢いよくチャックを引き上げ、一本の上着を挟み込んでしまった、どういうことになるかは、男子諸君のご存知の通り。
悶絶。
で、奇声を上げたもんだから、
「ん?あ、おはようございます。」
ナムサーン!!万策尽き果てたー!
「あれ?え!?なんで私裸なの!?って、あ…。」
昨日のことを思い出したのか、真っ赤になった顔を手で隠している。可愛い。
「え、えーっと。あのー、ラーマさん?」
「は、はい!?」
わー、慌ててる。可愛い。
服に刺さったナイフを抜いてあげながら、訊く。
「あのー、僕、やっちまいましたよね?」
「あ、ええ、その…、はい。」
戸惑ってる。うーん、可愛い。とか言ってる場合じゃねえ!
「あ、あの、ちなみにどんな風に?」
「そ、その、なんというか、とっても、激しく…。」
やっちまったー!あ、でも赤面可愛い。
つか、もう、どうしろと!
「あのー、ラーマさん。」
「はい。」
「壁の剣、一本借りてもいいですか?」
「あ、え、いいですけど、一体何に…。」
「腹切ります。責任を取って。」
「まっ!ちょっ!待ってください!ねっ!」
後ろから羽交い絞めにされる。背中に!背中に当たってるよ!
「だ、大丈夫ですから。あのっ、気にして、ないですから。」
手を大きく振って否定する。可愛い。
「え、いや、でも…。」
「ええ、ほんとに!平気です!平気!それに…。」
「それに?」
「気持ち、よかったですから。」
全身の血が顔へと集結する。
可愛すぎる。これはもう違法なレベルで。
ダメだ、このままここにいたら何時またアイツに体を乗っ取られるか分からん。
「じゃ、じゃあ、帰ります!」
ああ、やべ、俺今どのくらい顔赤いんだろう。
「あ、はい。じゃあ、三日後にまた取りに来て下さい。」
「ワッカリマシター。」
いま傍から見たら頭から煙が出てるんじゃなかろうか。
ラーマさんの顔を見ないように出口まで行く。
「責任はとりますから!」
そういい残して、俺は一目散に山を降りた。
三日後、俺は再びあの工房を目指していた。
手には、代金分の銀と、菓子折り。の、高いやつ。
いやいやいや、いくら何でも菓子折りひとつで許されるとか思ってないですよ?
え?その菓子折りに小判がぎっしり?入ってないですよ?金で解決とかしませんよ?
なんにもできないけど、せめて、ね!せめてもの!
そうこういっているうちに、工房が、見えてきた。
…。
入りづらい!
え、どんな顔して入ったらいいの!?
え、ふつうに「あ、ども。」とか絶対ダメだよね!?
うわ、気まずい。
しかし、待てよ。ここで突っ立ってるところで突然中から扉が開いて鉢合わせでもしたら、そのほうがよっぽど気まずいよな。
なら、もう、腹くくってすっと入っちゃったほうが、まだいいんじゃないかな。うん。そうしようか。
思い切ってドアを開ける。
ほらやっちゃえばこんなに簡単…。
「あ、らめ、らめえぇぇ!」
…。はい!?
「あ、イっちゃ、イっちゃ…。うわぁ!?」
ラーマさん。自家発電中でした。しかもお手製の名器で。
…。
沈黙がのしかかってくる。
こんなことなら扉の前で逡巡していればよかった。
「あ、あの、えっと、受け取りに来ました…。」
「え、あ、はい、出来てますよ!」
「え、まさか、それ?」
俺は彼女の手の中で青白く輝くモノを指差した。
彼女は首を激しく左右に振る。
「ち、ちがいます、それはこっちです。」
奥から注文の品が現れた。なるほど。デカイ。こんなやついるのか。人類に。
「え、じゃあ、それは?」
「え、あ、これは…。」
彼女は真っ赤になって後ろ手に隠す。
「そ、その、あれだと、大きすぎるので、作ったんです、自分用に、あ、あれが…。」
彼女は蚊の鳴くような、それでいて熱を帯びた声で言った。
「気持ちよかったので♪」
おいおいおいおい、ちょっと待て。可愛殺される。
「え、えーっと。」
何か言わなくては、また理性崩壊の危機だ。なにか、なにか。
「あ、あの。僕でよければ、いつでもお相手しますから。」
「へっ!?」
「えっ!?」
何言ってんの!?何言っちゃってんの!?俺!?
「あ、あわわわわわわわわわわ。」
ラーマさんの目の焦点が合ってない。耳が火のように紅蓮に染まっている。
「な、何言ってんですかーっ!!!」
「ちょ、何持ってんの!?待って、投げな…。」
ぐしゃ。
鋼の巨根に頭を打ちぬかれ、あっけなくくず折れる俺。
「わーっ!ごめんなさーい!」
薄れゆく意識の中、心配そうに覗き込む彼女の目を見て、感じた。
やっぱ、こいつ。
可愛すぎるわ。
小気味良い音が広い工房の岩壁に響く。
壁面にはところ狭しと長剣や戦斧、槍などの武器が飾られ、窓から入る日ざしに照らされて、鋭く、暖かな光を放っている。
その真ん中で、ひとり黙々と槌を振るう少女が一人。その肌は薄く澄んだ青色をしている。
ふう、こんなもんかな。
少女は出来上がったナイフの裏表を、その大きなたった一つの目でチェックしている。
よし、これで完成〜。
ナイフをあらかじめ作っておいた鞘に収める。
鞘すべりも完璧。
そして、少女は誇らしげに壁にわずかに残されたスペースにそれを陳列し、ちょっと離れたところから少しの間眺めた。そして、ひよひよと作業場に戻り、言った。
客、来ねえぇぇぇぇぇ!
ええぇぇ〜、いや、覚悟はしてたけどさ〜、まさかこんなにこないと思わないよー。
師匠(母)いわく、「山奥に工房開くと、そりゃ普通のお客は来ないよ。でもさ、結構いるんだよ、真の強さを求めるために、一生戦える相棒を作ってくれって言う、いい目をした男がね。アンタの父さんも、いい男だったよ。本当に強い人だった。体も、心も…、夜のほうもね。もうあの時は朝までに何回イかs(ry」
あれ?トチュウカライイハナシヂャナイヨ?
とまあ、そんな話を信じてわたしも遠路はるばるやってきてこの山に工房を開いたわけだが。行く場所を間違えたらしい。
なんと言ってもこの国は、リンボー公国、人呼んで、『放蕩者の国』である。
勇者とか、武闘家とか、そういうものは生息しておらず、詩人とか、発明家とか、投資家とか、そんなのばっかりいる。陸軍にいたっては、『穀潰し』と呼ばれている。
ぶっちゃけ、だれも武器を買わないのだ。狩猟すらしないし。
あ〜、どうしよう。もう工房たたんで故郷に帰ろうかな…
ガタン。
ん?
ふと顔を上げると、そこには、私と同じくらいの年格好の男性の姿があった。
え、もしかして、お客さん?
一瞬目と目が合う。そして次の瞬間。
「あ、えっと、失礼しました!」
男は脱兎のごとく逃げ出した。
え!?ちょっと?何で逃げるの!?
何とか引き止めなきゃ、という一心で、無我夢中のまま手近にあった物をつかんで男に向かって投げつけた。
あ…
それがハンマーだったと気づいたときには、もう、男は地面に横たわっていた。
「えと、あの、ごめんなさい…」
少女は、目が覚めた俺にお茶を出してくれた。
「あ、いや、あの、どういたしまして。どういたしましてじゃないな。えーっと。」
なんでテンパッてんの!?俺!?
「あ、あの、別に大丈夫ですから。僕、丈夫ですし。あはは。」
「ほんとですか?良かったー。大事になったらどうしようと思って。」
少女がほっと胸をなでおろす。その様子は…可愛いな畜生!!一つ目なのに、何でこんな可愛いんだよ!そして、胸!胸元!何ソレ!?くそ、免疫無いと、刺激が強すぎる。
「それでですね。」
「はいぃ!?」
胸元に目を奪われていたところで急に声を掛けられ、あわてて視線を外す。
「はい、え?なに?」
「それでですね。何を作ればいいんですか?」
「え?」
「いや、ですから、何かしらの注文があるから、ここに来たんですよね?」
俺はすっくと立ち上がって、2,3度肩を回した。
「ああ、もうすっかり傷も癒えました。お茶、ご馳走様でした。それではまたの機会にお会いしましょう。では。」
そう言って俺はまっすぐ出口へと向かい…
がし。
「なーにを作ったらいーんですかー!」
腕をつかまれた。さすが魔物、強い。
「いや、いいのいいの。急ぎじゃないから。」
「いやいや、そんなこと言わずにウチで。」
そのままぐいと引き倒され、工房のほうへずるずると連れて行かれる。
「あ、青銅細工とか、そういうのは出来ないよね?」
「できます。師匠からみっちり仕込まれました。」
万事休す。
「いや、ほんとに、ダメだって。」
「じゃあ、なんでウチに来たんですか!?」
「だって、サイクロプスがやってるなんて知らなくて…?」
突然引っ張る力が無くなった。
「そ、それは、魔物の、作った道具なんて、使いたく、ないってこと、ですか?」
声が震えている。
「ち、違う違う!そうじゃなくて、女の子だったから…」
「女じゃ、鍛冶なんか出来ないってことですか!?」
彼女の一つ目が涙を湛えたまま、こっちをじっと見ている。怪力で引きずられるよりも、正直、何倍も耐え難い。
ああ、もう、しゃあない。
「分かった!ここで頼む!お願いする!お願いするから!」
「本当ですか…?」
「ああ!本当!だから、泣くな!頼むから。」
少女の顔がぱっと明るくなる。
「はい、それで何を作ればいいんですか?」
反比例するように、俺の表情が重くなる。
「えっと、あの、どうしました?」
どうした俺。さっき腹はくくっただろう。いいから言え!
俺は勢いよく座卓に腰掛けると、その勢いに任せて言った。
「張形を一個、特注で頼む!」
「張形、ですか。」
やばい、今なら顔からリアルに火が出せそうな気がする。
「わかりました!じゃあ、とりあえず、3日あれば出来ると思うんで、そのとき取りに来て下さい!」
俺と対照的に、彼女はあっけらかんとしている。さすが魔物。あんな若い女の子が、こんなセクハラ注文に全く動じず…。
「すいません、ちなみに、はりがた、ってなんですか?」
そこから!?てか何で分かんないのにスケジュールまで立てちゃった!?
「あ〜、昔から無鉄砲ってよく言われます。」
ふーんそうなん…って今、心を読まれた!?
「で、何なんですか。」
大きな目でじっとこちらを見つめてくる。これはなんの拷問ですか!?
「その、青銅細工でだな、アレの形を…」
「あれというと?」
「だから、ナニの形、」
「なにといわれても…」
「そう、あの、陰茎の形に、」
「インケイ、と、いうと?」
「だから…、その、だ、男性器の…。」
「ああ!おち○ち○ですね!」
直球だよ!!ジェントリな表現を心がけた俺の苦労がパーだよ!!てか、それはこんな清純系美少女が!付きで発音していいワードじゃないよ!!
「って、ええぇ!?」
自分がなにを言ったか気付いたのか、薄い青色の顔にぼっと朱がさす。
「そ、そんなの一体何に使うんですか。」
「いや、別に僕が使うわけではなくて、うちの奥方様が、ご主人様が商用で出張している間、孤閨を慰めるために、と。」
説明はするものの、いまいち理解していない様子だ。
「あ、あの、やっぱり、よそで頼みますよ?」
そう言うと、彼女は机に手を付いてこちらに身を乗り出した。
「いいえ!わたしも一応プロですから、一度受けた注文はきっちりやります!」
いや、ちょっと、顔を近づけるのは百歩譲っていいとして、その下のなにやら二つがオプションで俺に接近してきてるんですが!?
「あ、でも、形がよく分からない…、どうしよ…。」
例の危険物がもうちょっとでマイボディと接触するか否かというところで、すっと離れる。
安堵しつつ、すこし残念でもある。
「せめて何かモデルでもあれば…。」
ふと顔を上げると、彼女がその大きな目で俺を射るように見据えていた。俺の顔ではない、どこかを。
背筋が、季節はずれの寒気を覚えた。
どうしてこうなった。
俺は工房の高い天井を見上げている俺の両手はベルトにかかっている。バックルはすでに外してあるので、手を軽く下ろせば、俺のズボンはすとんと真下に落ちるわけだ。そして、右手には黄色い消しゴムつき鉛筆。左手にはオーソドックスなメモ帳を構えた可愛い女の子が、こともあろうに俺の股間を凝視して、ズボンを下ろすのを待ち構えている。
もう一度言おう。どうしてこうなった。
「あの、お願いします。」
「待って!ちょっと待って、心の準備が…」
これはなんだ。夢か。こんな夢を見るとは、俺の深層心理はどんなことになってんだ。
あれー、俺Mだったのかなー。夢だったらあの膨らみを揉み揉みしてもいいのかな…
「もー、早くしてくださいよ。」
ズルッ
思考の海に没入した隙を突かれ、アンダーパンツもろともズボンを引き摺り下ろされる。
心の準備もへったくれも無い。
「いやあああああああああああ!」
と、叫びたい衝動に駆られるが、俺の中のわずかの漢気を振り絞って平静を保つ。
「わ。」
これが遂に表舞台へとその姿を現した俺の一本を見ての彼女の第一声。
顔を赤らめて、少し恥ずかしそうな様子を見せながら、可憐な少女が俺の一本を凝視している。やばい、これはやばい。事件現場を見ていられない。恥ずかしさがK点越えして、逆に血の気が引いていく。
あー、もう、早く済ませ…
ぷちゅ。
「オウフッ!!」
おもわず奇天烈な声を上げる。
鉛筆でつつかれた。
「あ、ごめんなさい。つい好奇心で。」
めっ!それ、めっ!コイツは好奇心で手を出すにはあまりに危険なブツだ!
「痛かったですか?」
そりゃ、痛かった…って、何してんの!?さすったらダメ!そこはダメ!
「い、いいから、大丈夫だから続けて。」
何もしてないのに息が上がってくる。しかし、なんとか少女の手を危険区域から引き離すことに成功した。幸いにも俺の一本は未だピクリとも動いた様子は感じない。流石は毎晩、千変万化の妄想の渦の中で鍛えあげただけのことはある。
「え、えと、これをそのまま作ればいいんですかね。」
「あ、いや、その、このままじゃ、まだダメで。勃ってないと。」
「たってる?」
まいった、これも通じないか。
「あの、勃ってるって言うのは、その、これが上を向いて、かたくなることで…。」
「え、これはそれと違うんですか?」
「はい?」
顔を下ろしてみると、何ということでしょう。
ピクリとも動かないと思っていたのは、もう動く余地が無いほど稼動しきった結果だったのです。と、いうわけで、俺の一本が、一本の名の通り、一本天を仰いでいた。
どうしたマイ一本!あの特訓の日々を忘れたのか!それともこれがリアルの力なのか!?
「ほあー。」
彼女はさっきにも増してまじまじと俺のを見つめつつスケッチをする。
その視線と時折吹きかかる熱い吐息だけで、俺の一本は爆発しそうに膨れ上がっている。
恥ずかしいとかそういうレベルで無くなり出した。穴があったら墜死したい。
と、
「ちょっと失礼しますね。」
ぎゅ。
あは―――い!?ワッチャードゥーイング!?
「わぁ…、固いですね…。」
彼女の細い指が俺の一本に絡んでいる。その程よい冷たさたるや、しっとり感たるや、その威力、まさに凶器と呼ぶにふさわしい。それが俺の表面を探るように這っているのだ。
「ちょ、ちょ、ちょ、ちょ、何して!?」
「え?いや、感触を知ってたほうが、造形したときにリアルな曲線が出せるので。」
「あ、そうなんだ。って、ア―――ッ!?」
「ふむふむ、先っぽは柔らかい、と。」
ぷにぷにするんじゃない!お願いだから!やばいよ。俺の中からこみ上げるような何かを感じるよ?
「ここが二重になってるわけですね。」
皮――っ!引っ張るのはアウト!!何だこの展開!何だこのアグレッシブ!
「えっと、これはつけたほうがいいですか?」
細い指で、俺の玉をふにふにとつまむ。
臨界点が見えてきた。まずい。このままでは、彼女の凛としているようでまだ若干のあどけなさの残る顔を、戦火にさらすこととなる!それはなんとしても阻止せねば!
しかし、もう、俺には、どうすることも…。
「あ、そーだ。えと、大きさは、これそのまんまでOKですか?」
「え、あ、大きさ?そうだな、奥様の注文だと、これと比べて一回り、いや、二回りくらい大きくていいかな。」
必死で平静を取り繕って言う。
「これだとちょっと小さい訳ですね。」
小さッ…!いやそりゃ大物といえば嘘になるが、それにしても、小さッ…。
悪意の無いその一言に、危うく心を砕かれそうになる。恐ろしい。
まあ、メンタルダメージのおかげで、一斉射撃が多少延期になったという点では助かったのではあるが。
しかし、それもまた時間の問題である。
あちこちぺたぺたと撫で繰り回し、つまみ、つつき、その快感はゆっくりと穏やかに、されど確実に俺の脳内を蹂躙していく。
頬の内側を噛み締めて、必死で堪える。息を吸うだけで崩壊してしまいそうだ。
「こっちはどうなってるのかな、と。」
彼女は一本の上側面を観察しようと軽く引っ張りながら覗き込むような体勢をとった。
その際、おそらく彼女は気づいていないだろうが、彼女の例の二つと、俺のぶら下がってる二つが、接触した。
「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!?」
意識してしまったが最後、体中を突き上げるような衝動が襲う。電気を流されているようだ。脳内は混濁して、もう意識など在って無いようなものだ。
理性の搾りカスまでフル動員して、耐える。強く噛みすぎたのか、血の味がする。
もう…、ダメだ…。
覚悟を決めたその時。
「よし、OK!ご協力ありがとうございます!じゃあ、これから製作に入りますんで。」
彼女が手を離し、俺の顔を見上げていった。その声はさながら天使の福音。
勝った…。俺はこの試練を耐え抜いたのだ。このわずかな時間の内に、人間として大きく成長したような気さえする。とにかくもう、俺はあの塗炭の苦しみから解放され…
「けど、これより二回りか…、これで、もう結構おっきいと思うのにな…。」
おっきいと思うのにな…
おっきいとおもうのにな…
オッキイトオモウノニナ…
その声はさながら悪魔の誘惑。
いや、本当に、あんな可愛い娘がさ、上目遣いで、頬なんかちょっと染めてそんなこと言うのはどう考えても反則だと思うんだよね。ましてやこんな状況で、ってこんな状況滅多に無いとは思うけども。え?何でそんなに落ち着いてるかって?そりゃ、決まってる。
もう我慢する必要が無いからだ。
俺の一本から彼女の顔に向けて美しいアーチが架かっている。
この世の全ての苦しみから解脱したような解放感。
それと同時に、俺の中で今まで積み上げてきた色々な何かが瓦解していくのが分かる。
そして、その白いアーチが切れて床に滴ると同時に、
俺の中の何かも、音を立てて切れた。
ぷつりと。
何が起こったのか、さっぱりわからない。
なんだろう。この暖かい何かは。
顔に触ってみると、ぬるっとする。慌てて手を離すと、細い糸を引いて、切れた。
出所はおそらく目の前で脈を打っている、あれ。
その持ち主である彼は、まるで魂が抜けたように立ち尽くしている。
「あ、あの〜、これって一体…。」
「…だよ。」
「え?」
なにやらつぶやいたような気がしたが、聞き取れない。
「今なんて言った…きゃあ!?」
突然、私は床に倒れこんだ。彼が私に飛びかかってきたのだ。見ると、目が据わっている。その手には壁に飾ってあったナイフが握られている。
「あっ、あっ、あのっ。」
あまりに急な事態に、言葉が出てこない。手足は体重をかけて封じられているので、もがくこともできない。
「アンタが悪いんだよ。そんな体してさあ、初心なふりして、あんなことまでやってさ。」
彼がナイフを振り上げる。
「ひっ…!」
恐怖のあまり目をつぶってしまう。
ドッ。
鈍い音がして、ナイフが刺さる。
「ひっ…、ひっ…、はぁ、さ、刺されてない…。えっ!?」
動けなくなっている。首を下に向けると、服がナイフで床に止められてしまっている。さながら昆虫標本のように。
逃げられない…。
「アンタさ、何から何までエロいんだよ。自覚してないのか、それとも、わざとやってるのかな?えっちいなあ。」
彼が耳元でささやくように言う。
「ち、ちがいます。そ、そんな、ことっ…!」
「じゃあ、ここはどうしてこんな事になってんだ!?」
彼は勢いよく私のチューブトップの胸元を引き摺り下ろす。
ぷるん、と震え、二つの塊があらわになる。
「きゃあああああ!?」
あわてて隠そうとするが、両手は封じられている。
何とかしようとするが、首を左右に振るぐらいしかできない。
「うわ、予想以上だな。こんなになるまで一体どのくらい一人で揉んだのやら。」
「そ、そんなこと、してな…ひゃん!?」
突如として恐怖とは別の感覚が私を襲った。
彼がピンク色のつやつやとした乳首を、ぺろりと舐め上げたからだ。
「や、やめ、ひゃうぅ!?」
すかさず追撃が入る。こんどは軽くくわえると、力強く吸い出した。
もう片方も、肘で私の腕を押さえながら器用に揉む。
「ひゃああああああ!?な、なにこれぇ…。」
その感覚はあっという間に恐怖を駆逐し、頭の中を駆け巡る。体中が熱くなり、何も考えられなくなる。
「ちょっ、待っ!やっ!ひっ!きゃううううううん!」
おもわずのけぞってしまう。
彼が乳輪を甘噛みしてきた。今まで感じたことの無い刺激に、意識が飛びそうになる。
と、そのとき、
「はううっ!?」
突然、違う場所に刺激を感じた。彼の指が、私の中に入っている。
「あれー、おかしいな。もうどろどろだよ?えっちい娘じゃないんじゃなかったのかな〜?」
「ち、ちがうの…ひゃう!」
彼はわざと弾みをつけるようにして指を引っこ抜くと、私の目の前で開閉して見せた。指が開くたびに、間に糸が引く。
「ほら、見ろよ。こんなにびしょびしょになっちゃって、やらしいなあ。」
自分の熱い汁が私の体に滴る。すっかり敏感になった体はそのたびに反応してしまう。
「そんなえっちい娘はこうだ。」
彼は私の乳首をつまんだかと思うと、思い切り引っ張った。
「きゃうううううううううううううううううううん!」
瞬間、言いようも無い甘美な快感が、全身を貫いた。
あまりの気持ちよさに、息をするのさえ忘れてしまう。
「は、はぁー、はぁー。」
「あれ?もしかして、おっぱいだけでイっちゃったの?この淫乱め。」
彼が淫靡な笑みを浮かべて言う。顔が真っ赤になっているのが自分でもよく分かる。
「しょうがないなあ、じゃあ、責任を持って鎮めてあげようじゃないか。」
彼はそう言うと、おもむろに私のズボンを下げた。
「ひゃあ!?」
さっき絶頂を経験して水浸しになった私の秘所が白日の元にさらされた。
「ふーん、ちゃんと毛は生えてるんだ。」
私のヘアをつまむと、ぴっぴっと引っ張る。
「痛っ!やめて下さ…。」
ぴとっ。
何かが接触している。
「え、あの、何を…。」
「職人ってのはさあ、やっぱり、作る品物のことをよく分かってないといけないでしょ?」
なにか、が発する熱が私の秘所の周りにじわじわと伝わっていく。
「あれだけ念入りに調べるくらいだからさ。そこでね、いや、俺って親切だよね。」
彼の目に黒い笑みが浮かぶ。
「使い方も、教えてあげようかと思って。」
そう言い切る前か、後か、さっきまで丹念に調べ上げたあれが、私の中を、貫いた。
鋭い痛みが走る。おもわず涙がこぼれる。
「っっ!」
「痛かった?大丈夫、すぐ気持ちよくなる。」
彼はそれをゆっくりと引き抜くと、また、勢いよく差し入れる。
「あっ!はっ!いっ…!」
さっきイったばかりの秘所は、あまりにも過激に快感を伝えてくる。初めての痛みもあいまって、もう何がなんだか分からなくなる。
今度は中をかき回すように突いてきた。
「あっ、いいっ、いいっ!」
思わず声が出てしまう。
「さっき破瓜したばっかで、もういいのかよ。ほんとに淫乱だな。」
そう言い放つと、彼は腰をスピードアップさせた。
「ああああぁ!?はあ、はああん!」
ぱんぱんという乾いた音が工房に響き渡る。
とめどなくあふれでる愛液が、初めての鮮血と交じり合って、床に水溜りを作りつつある。
彼は激しく突きながら、ふたたび胸を弄りだす。
「ふあぁん!や、やあ!やめへぇ…。」
「本当にいいのか?」
「ふぇ?」
彼がぴたりと腰を止め、すっかりグチョグチョになったものを抜く。
「本当に、やめていいのか?」
「は、はううぅ…。」
止められたとたん、猛烈なもどかしさを感じる。体が続きを渇望しているのが分かる。体が熱い。やめたくない。というか、もうやめられない。あれが、欲しい!
「や、やめたくないです…。」
「はい?聞こえないなあ?」
「やめたくないれすぅ!」
声が裏返ってしまい、また赤面する。
「何を、やめたくないのかなぁ?」
「な、なにを、て」
「なーにーを、して欲しいの?言ってごらん。」
彼が指で唇に触れる。
「あ、あの、わたしの、あそこに、その、つっこんで下さい…。」
「何を?」
「そ、その…」
「どうしたの?さっきはあんなに臆面もなく言ってたのに。」
ほとんど額がくっつくほど顔を近づけて言う。
「お、おちんちんを…」
「どこに?」
「あの、それは…」
「言えないの?じゃあ止めちゃおうかな…?」
いやだ!やめたくない!やめたくない!
「わ、わたしの、おまんこに…。」
「はっきり言わないと分かんないな。」
「わたしのおまんこに、おちんちん突っ込んで、えっちにかき回してくださいっ!」
彼は満足げにふふんと笑うと、さっきよりも硬度を増したそれをまた、私の中に、今度は、ゆっくりじらすように入れた。
「はぁぁぁぁぁん、はやくっ、はやくっ!」
「そんなにコイツが欲しいのか?」
「ほしい、ほしいです。はやくぅ…。」
「じゃあ、お望みどおりにしてやるよ!」
彼はまた勢いよく腰を跳ねだす。私の体は、まるで欠けていたパーツが補われたかのように、彼のものを受け入れ、包み込む。
「くっ、はあっ!締め付けきつすぎだろ。どんだけ欲情してんだよ。」
体中を幸せが包み込む。さっきの、あの、甘美な瞬間が、眼前に迫っている。
「おい、どうだ、気持ちいいか!?」
「きもひいい!いい!もっと、もっとちょうらい!」
「ったく、このエロ女め!くれてやるよ!」
「あああああ!きもひぃ!おかしくなっひゃうよぉ!」
もう、何もいらない。ただ、ただ、目の前の人が欲しい。この人のすべてが。
「おい、アンタ、そろそろイくぞ!」
「あんた、じゃ、やらぁ!」
「何?」
「なま、えで、よんれ、くらはい!」
「名前!?なんつーんだよ。」
「はっ、はっ、ら…らー、まっ!」
「分かったよ…。ラーマ!イくぞ!」
「うん、ぜんぶ、ぜんぶちょうらいぃ!」
「っ―――!」
「あはあああああああん!」
彼が、私の中に流れ込んでくる。全身がびりびりとしびれて、飛び散るような衝撃が中から沸き起こる。
彼の白と、私の血が混ざったピンクの液体が、私の秘所からこれでもかというぐらいに溢れ出す。なおも彼は私の中に新たな白濁を注ぎこみ続けた。
「はあ、はあ、きもち、よかった。」
ふと目をやると、彼は私の上で、気絶したかのように眠っていた。
その体温を感じているうちに、私もゆっくりと眠りに落ちていった。
ん、うーん。
あれ、ここどこだ?
石造りの小屋。
壁にはたくさんの武器。
隣には裸の魔物の女の子。
うーん、どこだ?ってはいいいいい!?
え!?なんで裸!?というか俺もなんでパンツはいてないの!?
やばい、なにがあった?思い出さないとまずい。えーとえーと。
ウィーン。
記憶をバックアップしていまス。
チ―ン!
バックアップが、完了しましタ。
うん。
思い出さなきゃよかったー!
というかあの時の俺何者!?おれってSだったのかなー。
というか、この状況はやばい。
顔面蒼白。サイクロプスより青い。
どうする、どうする、どうするよ!
この娘が寝ている間に逃げる?
男として最低の行為だが、このままではわが身に危険が及びそうな気がする。致し方ない。
すばやく辺りを見回して、俺のズボンとパンツを探す。
起きるなよ、起きるなよ。
ベルトのバックルがカチャカチャなるたびに冷や汗ものだったが、ついに、ベルトの穴を通して、と、後はズボンのチャックを閉めるだけ!
ジーッ!ガッ!
「ア―――ウチッ!」
焦っていたため一本がソーシャルウィンドウからはみ出ているのも気づかずに勢いよくチャックを引き上げ、一本の上着を挟み込んでしまった、どういうことになるかは、男子諸君のご存知の通り。
悶絶。
で、奇声を上げたもんだから、
「ん?あ、おはようございます。」
ナムサーン!!万策尽き果てたー!
「あれ?え!?なんで私裸なの!?って、あ…。」
昨日のことを思い出したのか、真っ赤になった顔を手で隠している。可愛い。
「え、えーっと。あのー、ラーマさん?」
「は、はい!?」
わー、慌ててる。可愛い。
服に刺さったナイフを抜いてあげながら、訊く。
「あのー、僕、やっちまいましたよね?」
「あ、ええ、その…、はい。」
戸惑ってる。うーん、可愛い。とか言ってる場合じゃねえ!
「あ、あの、ちなみにどんな風に?」
「そ、その、なんというか、とっても、激しく…。」
やっちまったー!あ、でも赤面可愛い。
つか、もう、どうしろと!
「あのー、ラーマさん。」
「はい。」
「壁の剣、一本借りてもいいですか?」
「あ、え、いいですけど、一体何に…。」
「腹切ります。責任を取って。」
「まっ!ちょっ!待ってください!ねっ!」
後ろから羽交い絞めにされる。背中に!背中に当たってるよ!
「だ、大丈夫ですから。あのっ、気にして、ないですから。」
手を大きく振って否定する。可愛い。
「え、いや、でも…。」
「ええ、ほんとに!平気です!平気!それに…。」
「それに?」
「気持ち、よかったですから。」
全身の血が顔へと集結する。
可愛すぎる。これはもう違法なレベルで。
ダメだ、このままここにいたら何時またアイツに体を乗っ取られるか分からん。
「じゃ、じゃあ、帰ります!」
ああ、やべ、俺今どのくらい顔赤いんだろう。
「あ、はい。じゃあ、三日後にまた取りに来て下さい。」
「ワッカリマシター。」
いま傍から見たら頭から煙が出てるんじゃなかろうか。
ラーマさんの顔を見ないように出口まで行く。
「責任はとりますから!」
そういい残して、俺は一目散に山を降りた。
三日後、俺は再びあの工房を目指していた。
手には、代金分の銀と、菓子折り。の、高いやつ。
いやいやいや、いくら何でも菓子折りひとつで許されるとか思ってないですよ?
え?その菓子折りに小判がぎっしり?入ってないですよ?金で解決とかしませんよ?
なんにもできないけど、せめて、ね!せめてもの!
そうこういっているうちに、工房が、見えてきた。
…。
入りづらい!
え、どんな顔して入ったらいいの!?
え、ふつうに「あ、ども。」とか絶対ダメだよね!?
うわ、気まずい。
しかし、待てよ。ここで突っ立ってるところで突然中から扉が開いて鉢合わせでもしたら、そのほうがよっぽど気まずいよな。
なら、もう、腹くくってすっと入っちゃったほうが、まだいいんじゃないかな。うん。そうしようか。
思い切ってドアを開ける。
ほらやっちゃえばこんなに簡単…。
「あ、らめ、らめえぇぇ!」
…。はい!?
「あ、イっちゃ、イっちゃ…。うわぁ!?」
ラーマさん。自家発電中でした。しかもお手製の名器で。
…。
沈黙がのしかかってくる。
こんなことなら扉の前で逡巡していればよかった。
「あ、あの、えっと、受け取りに来ました…。」
「え、あ、はい、出来てますよ!」
「え、まさか、それ?」
俺は彼女の手の中で青白く輝くモノを指差した。
彼女は首を激しく左右に振る。
「ち、ちがいます、それはこっちです。」
奥から注文の品が現れた。なるほど。デカイ。こんなやついるのか。人類に。
「え、じゃあ、それは?」
「え、あ、これは…。」
彼女は真っ赤になって後ろ手に隠す。
「そ、その、あれだと、大きすぎるので、作ったんです、自分用に、あ、あれが…。」
彼女は蚊の鳴くような、それでいて熱を帯びた声で言った。
「気持ちよかったので♪」
おいおいおいおい、ちょっと待て。可愛殺される。
「え、えーっと。」
何か言わなくては、また理性崩壊の危機だ。なにか、なにか。
「あ、あの。僕でよければ、いつでもお相手しますから。」
「へっ!?」
「えっ!?」
何言ってんの!?何言っちゃってんの!?俺!?
「あ、あわわわわわわわわわわ。」
ラーマさんの目の焦点が合ってない。耳が火のように紅蓮に染まっている。
「な、何言ってんですかーっ!!!」
「ちょ、何持ってんの!?待って、投げな…。」
ぐしゃ。
鋼の巨根に頭を打ちぬかれ、あっけなくくず折れる俺。
「わーっ!ごめんなさーい!」
薄れゆく意識の中、心配そうに覗き込む彼女の目を見て、感じた。
やっぱ、こいつ。
可愛すぎるわ。
11/10/30 20:03更新 / 好事家