黒髪ストレイト
床屋を開いた。
俺個人としては美容院のつもりなのだが、見てくれはどう頑張ったって床屋の域をでないほどには床屋だった。
立地は海の近く。眺めがいいといえば利点の一つにもなろうが、実際のところ潮風にやられた髪をいじらなくてはならない俺からすれば最悪もいいところだ。
美容師養成施設を出て免許を取り、大きな店での仕事に就ければ収入も安定するのだろうが、俺にはやはりというか……
「だめなんだよなぁ、あのおちゃらけた雰囲気……」
俺はどうやら相当な硬派だったらしく、どうしても初めて就職した店に馴染むことができず、そのままいくらも経つ前に辞めてしまった。
かといって自分の資格を無駄にできるべくもない。
そういうわけで一人俺は店を立ち上げたわけなのだが。
「今日も一日、平和だったなぁ……（訳：今日もお客様は訪れてくださらなかったなぁ、詠嘆。）」
親父がどこかから譲り受けて来て勝手に置いた飴ん棒（三色のぐるぐる回ってるアレ）さえなければ、我が店ももう少し落ち着いた雰囲気のある外観になっていたはずなのだけれども、今更撤去するのはなんとなく親父に悪いかなとか思ってしまうあたり俺はかなり親思いなのではないか？ まあ本当に親思いならさっさと安定した収入を得ろというのは聞こえないとしてだ。
「そろそろ経営の方針を考えなきゃいけない頃か……？」
などと言いつつ店の外に出て、閉店のため飴ん棒の電源に手をかけたその時だ。
「あのー……髪を切って頂けますか？」
ふり向くと、そこにいたのは女性だった。
驚くほどに透き通った声で呼びかけられたのが自分だということに気がつけたのは、髪を切ってという単語とそばで未だくるくると回る飴ん棒のおかげだと言っても過言では無い。
それほどに現実離れした美しさだった。沈みかけの夕日を受けた、地面までもある長い黒髪は、そこだけが夜を切り取ったかのように昏く妖しく光を呑み込んでいた。和装から覗くほっそりとした身体つきに這うようにして絡みついている黒い線が彼女の一部であることが、いっそう妖しい魅力を放っている。
「ど、どうぞ中へ……」
閉店しようとしていたことなどついぞ頭から吹き飛んでしまい、俺はドアマンよろしく彼女を店まで招き入れた。
使われていない分新しい匂いのする皮椅子に彼女を座らせ、俺は訊く。
「……それで、仕上がりはどのような感じに？」
「肩まで、バッサリと切ってくれませんか？ 短くしたいんです、髪」
鋏を持つ手が止まった。
なんとも思い切ったことをするものだ、この女性は。
「お、おおぅ……」
「……何か？」
俺の反応に怪訝な声を出す女性。俺は慌てて鋏を構え直し、もう片方の手に持った櫛で取り繕うように彼女の髪を梳いてみると、潮風での痛みなどまるで無いかのように驚くほど滑らかに歯が通りぬけていった。
「すごい……なんていい髪なんだ、本当に切るのが勿体無いくらいですよ」
「そうですか、褒めてくれると嬉しいです……！」
「ええ、こんなの初めてですよ」
仕事をこなした経験も浅いのに何を、というのはさておいても、掛け値なしに魅力的な髪だ。
「……いいんですね？ 本当に切りますよ？」
何故俺の方が未練がましいのだろうか。少しおかしいが俺はもう一度だけ確認を取った。それとこの女性に合いそうなショートの髪型を考えることも忘れないようにしなければ。
「お願いします」
丁寧な口調で断言されてしまえば流石に仕方ない。
俺は肩から下をヘアゴムで縛り、一息に粗切りした。
ばさり、と髪の束が床に落ちる。
「あっ……ん。ふふ、なんだか気持ちが良いものですね。ざく、ざくって……荒々しく、あなたが私に刻みこまれているみたいです」
肩口で切られた髪をキチンと揃えるためにつむじから下へ、つむじから下へと撫でるように繰り返し櫛で梳く。
鏡ごしに見えた、彼女の前髪で少し隠れている目が蕩けたように細められていて、思わずどきりとしてしまった。
「か、痒いところはございませんか？」
ってコレはアレだ。髪の毛を洗うタイミングで訊くことじゃないか。テンパってどうするんだ俺。
「も、もう少しだけ……このまま梳いていてくれませんか……？ こうされていると落ち着くので……」
「は、ははははいっ畏まりました!?」
この女性はゆるふわ系ショートボブが似合うだろう、と、そう俺の直感が告げた。
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「八重樫 六花（やえがし りっか）さん……いい名前ですね」
いくらか時間が経ち、俺はこの女性、六花さんと少しだけ打ち解けていた。互いの自己紹介を今終えたところだが。
「そうですか？ もう……一樹さんは褒め上手ですね」
そうは言われても六花さんは貶し様が無いのだから仕方ないじゃないか、などと言いかけて、これではただの軟派ではないかと思い直した。
「七竈 一樹（ななかまど いつき）、あなただって素敵な名前ですよ？ 七竈の花言葉と言えば『慎重、怠りない心』、そして……」
自分の名字にそんな真面目な花言葉がついていたとは、やはりというかなんというか堅物なのか俺は？
「そして？ なにか、他にも意味があるんですか？」
六花さんは少しだけ息を整えて、いたずらそうに言った。
「くすっ……『私と一緒にいれば安心』、です」
そして小さく「その通りですね？」と囁かれた。安心……してくれているのか？
「す、ストレスは髪に良くないですから、少しでも六花さんがリラックスして頂けたなら俺としてはその、嬉しい……ですよ」
「ええ、それはもう……！ あなたになら安心して私の髪を任せられます。可愛く、してくださいね？」
すでに殺人級の可愛さだが、という言葉を苦笑いで飲み込んで、俺は作業に本格的に取り掛かった。
どうせなら前髪も切って、目元をはっきりとさせてみよう。イメージはおしとやかに、明るく……。
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「……どう、ですか？ はい、ご確認ください」
「ええ、とっても綺麗に整ってますよ。頭がとても軽くなりました……ありがとうございます」
ショートボブの髪型になった六花さんはまた違った魅力があった。妖艶さが何処か醸し出されていた入店前とはうって変わり、花の香りを今にも振りまきそうな感じだ。
「髪が伸びてしまったら、このお店まで切ってもらいに来ますね。一樹さん、それではまたお会いしましょうね？」
会計を済ませた六花さんは俺に笑いかけてくれて、そのまま出口へ向かって行った。
少しだけ名残惜しくて、店先の飴ん棒の電源を切るのでと理由をつけて一緒に店を出る。
「あれ位になるまで伸ばすのなら、また会うのは随分先になりそうですね」
何せ地面に擦れていたほどだ。三月四月程度ではああはならないだろう。つまりは再会も遠い先の話だということを思うと、胸がちくりと痛んだ。
「あなたが私に会いたいと強く思ってくれるのなら、意外と早く出会えるかもしれませんよ？ ……なんてね、くすすっ」
冗談めかした彼女の口ぶりに俺も笑った。
「またのご来店、お待ちしてます」
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俺は店の中に戻った。
床にはまだ彼女の髪の毛が残っている。掃除をして明日に備えてから店じまいだ。
「………………六花さんの、髪の毛」
パラパラと散在している分を片付け、はじめに切り落とした束の部分の処理をしようとして、ふと頭をよぎる妄想。
「これは……六花さんだ。六花さんの一部だったんだ……」
最上級の絹のような触り心地が残るそれに鼻を押し付け、息を吸い込む。彼女の香りだ、まごうべくもない。
……完全に、俺はあの人に惚れてしまっていた。一目惚れなんてことが本当にあるのだということを知った。
「はぁっ、六花さん……六花さんっ……！」
そうこうしていると、どうしてか性欲ばかりがとめどなく膨らんで止まらない。
たまらず俺は店の奥にある自室に篭ると服を脱ぎ、どうしようもないほどにいきり立った逸物を夢中でしごき始めた。
しかし、いつまでたっても絶頂が訪れる気配がない。気持ちがいいのに、イって楽になりたいのに、本能が邪魔をする。繁殖という名の本能が。
……六花さんの中で果てたい、六花さんでイきたい、イかされたい…………！！
そんな征服欲と肉欲がごちゃ混ぜの思考の中で、俺はあることを思いつく。
そうだ、髪の毛だ。
俺はおもむろに毛束を掴むと、自分のそれに思い切り絡みつかせた。その瞬間だ。
「くっ……あぁ、出る、六花さんの中に……出すっ！！」
びゅくっ、びゅるるるっ！
六花さんに包まれた、それだけで達してしまった。極上の感触と、自分のしていることの背徳感が、今までにない快感を呼び込み、さらなる射精を促した。まるで本当に六花さんに搾り取られているかのようで、俺の意識は絶頂しながら薄れていった。
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「はああ〜〜っ。俺は一体何をやってしまってるんだ……それに後始末もしなきゃな……」
目覚めるとまず強烈な自慰の記憶が思い出される。
俺はいつ意識を失ったのだろうか。それすら曖昧だ。
「って……あれ？」
気がつくと髪にどっぷりと出したはずの精液はなく、ただただ六花さんの黒髪が俺の手に握られているだけだった。
「夢、だったのか……？」
心なしか、黒髪のツヤが増しているような気がした。
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それからというもの、俺は毎日のように六花さんの髪を使っていた。
どうやら俺が出した精液はこの髪の毛が吸収しているようだということもわかった。が、日増しに良くなってゆく触り心地と、六花さんへの欲望がそのことを気にならなくさせていた。
一週間ほど経ったある日、俺は人通りの多い商店街に出かけていた。流行は逐一変化していくものだから、できるなら自分の目で把握しておきたいというわけだ。
俺は道行く人たちを観察しながらも、つい自分の手がけたショートボブの女性……つまるところ六花さんを探してしまっていた。
「やっぱり夏は短い髪の人が多いな、暑いし。六花さんも俺が切るまであの髪じゃ大変だったんじゃないか……って、やっぱり暑さに参ってるのは俺の方か？」
大まかにノートに分類された『今回見かけた髪型のカウント表』のショートボブ欄には意図してかせずか正の字がどんどん増えて行くが、そのほとんどがまず茶髪だった。
それとは別に祭りでもあるのか、和装をしている人も多くどうしても頭に六花さんの姿がちらつく。
こんな調子じゃ調査になりやしない、と日が暮れるより少し早く観察を切り上げて、俺は家の前まで帰り着いた。
「はぁ〜〜……っ」
今回の調査が自分の虚しさを増加させただけだということに俺はため息を吐いて、店兼自宅の扉に手をかける。
「あの、もしかして今日は定休日でしたか？ 髪を切りに来たのですけど……」
後ろから声が聞こえた。確かに休みは休みだが気分次第では店を開けることだってできるのが個人営業の利点だが、とてもじゃないが今はそんな気分でもない。
「ああそうです、ごめんなさい今日はウチお休みしてまして……っ!?」
そう思って断ろうとして、俺は固まってしまった。
そこにあったのは夜だ。あの時と同じ、切り取られたはずの夜だった。和服に身を包んだ、美しい女性がいた。
「り、六花さん!? どうしてもうそんなに髪が伸びてるんですか!?」
「ふふ、それは……後でお話ししましょう？ でも、私は朝からずっとあなたの近くにいたのに、全然気がついてくれないんですから……」
「え？」
俺は慌てて持っていたノートを見てみた。
「あっ……!?」
あるじゃないか、確かに。『黒髪ストレート、ロング』と書かれた場所に正の字の一画目が。
「これ、六花さん……だったんですね」
「朝この店に来た時、ちょうど一樹さんはお出かけなさるところでしたから……私も今日は一日何もありませんし、一樹さんのご用事に付き合ってみようと思いまして。何か人を探してる様子でしたし、話しかけるのも悪いのでしょうかと……」
「うっ…………そ、それは、その……」
まさかあなたのことを探してました、などと言えるはずもない。
「と、とりあえず店に入りますか？」
結局俺は有耶無耶にして、彼女を店に招き入れたのだった。
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「ふふ、なんだか久しぶりですね？」
薄暗い店内に足を踏み入れると、六花さんがそんなことを言う。
「久しぶり、って……散髪から一週間しか経ってないじゃないですか六花さん」
そう、これはあり得ないことだ。六花さんの長い髪は確かに俺が切って、そして俺が……使っているのだから。
「でも、会いたかったのですよ私、一樹さんに……それこそ一日千秋の思いでした。だから、お久しぶりなのです」
「え……っ!?」
六花さんが、俺に会いたがってた？
そんな事実を受け入れるまでもなく、俺は彼女に押し倒されていた。再び長く長く伸びた彼女の髪がさらっ、と俺に垂れ、もはや嗅ぎ慣れた匂いが俺を包む。
「くす、くすくすっ……！ もうここまで来たら、私も我慢なんてできませんよ……？ 毎日毎日あなたに出して頂いている精液のお礼、たぁっぷりとさせていただきますから……♪」
「!?」
「オナニー……してくれているのですよね……？ だってあの髪の毛は私なんですもの。一樹さんの熱っつい精液のお味、いつも私に届いていたんですからね？」
なんということだ。恥ずかしいなんてレベルの話ではない。自分の性欲処理が、よりにもよって好きになった人に筒抜けだとは。
「私は毛娼妓（けじょうろう）という、男性の精を糧に生きる魔物なのです。だから、あなたの精液のおかげですぐに髪の毛も伸びてしまって……」
好きな人が魔物だったということに落胆はない。だがしかし恥ずかしいものは恥ずかしい。
「どうか恥ずかしがらないでください、精液は私たちにとって至上のごちそうなのですから……！ 私たちは夫とする男性に髪の毛を渡すしきたりがあるのですが……一目惚れというものが本当にあるものなのですね。つい、髪を切って欲しいなどと言って……もしあなたが私の髪を受け取っていただけたなら、私は今後の生涯をあなたと過ごしたい、と……そう思ったのです」
完全に熱に浮かされた顔でゆっくりと、彼女の唇が近づいてくる。
「一樹、さん……っ」
俺は……彼女を、受け入れた。
「ちゅ、んん……んっ、はーっ……れろっ、ちゅるっ……はぁん……ふ♪」
5分か、10分か。長い結合のあとにようやく口が離れる。
「俺も、一目惚れでした……好きです、六花さん。あなたが……欲しい」
俺の告白に、六花さんは身震いした。それから目尻に涙を浮かべ、満面の笑みで俺を抱きしめた。
「私でよければ……たくさん、一樹さんのことを気持ち良くしてあげます……！」
するりとズボンの方へと身体をずらすと、六花さんは器用に俺のベルトを外し、そのまま性器を露出させる。
「髪コキ、お好きなんですよね？ 良いんですよ……全部包んで、いっぱい射精させてあげますから……！」
彼女の髪がひとりでにうねったかと思うと、束になった部分がまるで口のように開いて俺のそれを呑み込んだ。内側の毛が絡みつき、その上から六花さんは直接手でしゅっ、しゅっと上下に刺激を与えてくる。
「射精（だ）したいんですか……？ ふふ、こんなにもお汁をねとねとにして……でもまだ駄ぁ目、ですよ？ このままでも充分嬉しいですけれど、今度はちゃんとお口で味わってみたいのです……はあむ、んっ♪」
自分の髪ごと六花さんは俺を咥え込んだ。ただでさえカウパーでねとついていた性器と髪が、唾液によってさらに執拗に絡みつき、俺から精液を搾り出そうとしてくる。
「じゅっ、じゅぼっ……いいん、れすよ？ はあっ、もっと私に、溺れて……んんっ、ぷ、じゅるるるっ♪」
腰が勝手に跳ねて六花さんの台詞を遮ってしまっても、彼女は嬉しそうにそれを啜り、受け入れてくれる。
「すいませ、っく、気持ち良すぎて……！！」
そんな俺の反応にすら六花さんは興奮したのか、一度口での奉仕をやめ、もう一度深いキスをしてくれた。もちろんその間じゅうも髪は刺激を与え続けてくれているが、絶妙な加減で射精しないようにされていた。
「六花さん、六花さんっ、そろそろ……イかせて欲しいっ、六花さんの口で、いっぱい射精したいっ……！」
「ふふ、おねだりの可愛いところも素敵です、一樹さん……！ ええ、今から全力でシコシコしてあげますから、いっぱい一樹さんの赤ちゃん汁、出してくださいね？」
もちろん、と言わんばかりに俺の性器が跳ねた。六花さんは細い指でしっかりと俺のそれを包み込むと、激しく動かし始めた。
「うぁっ!? くぅぅぅあ、きも、気持ちいいっ……！！！」
「ふふ……んれぇろ……ちろちろっ……♪」
さらに先端の敏感な部分を舌で可愛がられ、俺の限界はすぐに訪れてしまう。
「イく、六花さん、イく……っ！！！」
射精を悟った六花さんはすぐに大きく口を開け、喉奥深くまで一息に俺の性器を呑み込んだ。ネバネバの口内を押し広げる感触が最後の引き金となって俺は彼女の口で絶頂を迎えた。
「んんんんっ！！ ん、んんっ！ うぐっ！ ごく、んぶっ……じゅるっ、ん、んくっ……っ、はぁ……♪」
絶頂の最中、彼女の頭を掴んで何度も腰を喉に打ち付けてしまったにもかかわらず、健気に彼女は俺の精液を飲んでくれた。
「あぁ……これが私の旦那様の、一樹さんの味……！！ 私、しあわせです……！」
恍惚とした表情で、口から漆黒の髪の毛と白濁した液体を垂らす六花さんを見るだけで、俺の性器は硬さを取り戻してゆく。
「わかってますよ……次はこっち、おまんこの方に挿れたいんですよね……？」
彼女が和服の股間にあたる部分を少しずらしただけで、濡れそぼった秘所が覗いた。髪の毛同様に恥毛も動かせるのか、それとも単純に膣が疼いているのかはわからないが、今か今かと俺の性器をねだるようにいやらしく蠢いていた。
彼女は俺の上から退くとそのまま仰向けになり、俺に向かって大きく脚を広げて見せた。
「あなたが……一樹さんが今度は上になって、私を犯して犯して、快楽で染め上げてください……！」
くぱ、くぱ……と触れてもいないのに蜜弁が閉じては開き、俺を妖しく誘う。
辛抱たまらず俺は両手で彼女の太腿を掴み、ぐっと腰を突き出して肉棒を挿入した。
「はぁぁぁぁっ、ん、ああっ!? いきなりっ奥になんてぇ、もっ、もう……仕方のない人なんですから、あぁ♪」
ふぁさっと六花さんの髪が動いて俺の背中に回り、その次に腕が、脚が俺の身体をホールドした。逃げる気も無いが、これでより一層六花さんとの距離は縮まった。文字通り全身を彼女に包まれピストン運動が出来なくなってしまった俺は代わりに六花さんの胸を荒々しく掴み、それを支えにして膣壁上部の敏感な部分をカリ首で抉るように動かす。
「ん、嬉しい、嬉しいっ……！ 私、あなたとひとつになって、犯されてます、壊されちゃってますぅっ！ は、あっあっあっあぁっ！！ はひ、もっとわらひのこと、だめにしてくださいっ、ひぁ、あぁ……♪」
喜びがそのまま膣の蠕動運動となっているかのように六花さんは俺を深く深く誘い込む。唇を貪ったあとに豊満な胸の桜色を舐め回し、甘噛みしてやるとさらに締め付けが強くなった。
「六花さんの膣内、ぐにゅぐにゅいやらしく動いてますよ……っ！ 俺のが動くたびにドロドロが溢れてきて、最高に気持ち良いですっ！」
「良いです……あぁ、イイっ！ きてきてきて、キてくださいぃっ！ 一樹さんっ、一樹さんの精液ぃ！ 私に膣内射精して溢れさせてくださいぃんぁ、はぁああっ♪ あぁぁあぃきますぅぅっ！！！」
「六花さん……俺も、イきますっ！ 六花さんに中出ししますから、しっかり受け止めてください……っあ、イッ、く…………ぅ、ぁ、あぁぁぁぁあっ！！！」
どぷっ、どぷっ……！ と、絶頂している最中の六花さんに追い打ちをかけるかのように俺は精液を注ぎ込む。
膣の収縮に合わせて性器が跳ね、彼女が達している間じゅう俺も精を吐き出し続けた。
「はぁっ、六花さん……っ」
ビクンビクンと痙攣する六花さんを抱き締め、その腹を撫でてやる。ぐっ、と子宮の上あたりから押し込むと俺の欲望汁がごぽりと溢れ出した。
「んっ、一樹さぁん……」
悩ましげな声で六花さんが俺を呼んだ。何を言われるかなんて直感的にわかっているが、あえて俺は聞き返した。
「なんですか、六花さん？」
「次は、ベッドの上でシましょう……？ 一回膣内射精されたくらいじゃもう私、満足出来ないです……♪」
その後、一晩中俺は六花さんと愛し合った。
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ーーー
……とある町の海岸沿い、そこそこ繁盛している店がある。
髪の毛にビーズを通して作られた小物や、まるで絹のような肌触りのウィッグが売られているらしい。何故か女性にしか販売されないといわれるが、売り子が絶世の美人だということで評判が広がっていた。
「あなた以外の男に、私の髪はあげられませんよ……？ 私はあなたの、あなただけの女なのですから……♪」
今日も彼女の髪の毛は艶を増し、伸びていっていることだろう。
〜fin〜
14/08/18 23:11更新 / ノータ