馴れ初め
街から東にある山岳地帯の遺跡に、神々の秘宝が眠っている。
そんな噂話は、俺の興味を惹きつけるには十分なものだった。
俺が雇われ傭兵として拠点を置いているのは、メサイアと呼ばれる主神信仰の盛んな、しかし勇者が生まれずエンジェルやヴァルキリーが一度たりとも降臨したことのない、『神に捨てられた地』という名である意味知られた街だ。
賢王アリソンの統治と采配のおかげで多数の魔物の国に囲まれる立地ながらも侵攻を許さないこの国は、その関係故武具の精製技術や魔法の研究、そして王の直属の部下『三賢者』の手により祝福されたマジックアイテムのおかげで、人の身で魔物と拮抗することが可能なほどの戦力を作り出すことができる。
俺がこの国にいるのも、それらが目当てと言って過言ではない。
それにこの国は傭兵の需要が高い、稼ぐには絶好の街と言える。
そして、俺がそんな噂話を耳に挟んだのは、この街にある酒場の一角でのことだった。
すでに常連になりつつある俺がいつも座るカウンター席でミードを傾けていると、いくつか離れた席で国の兵士らしき男らがこんなことを言っていたのだ。
『街の東の山脈の頂上に、古びた遺跡が見つかった。そこは伝承に残る神の秘宝が封じられた古代遺跡と酷似している。そして伝承通りならばそこには強大な力を持つ守護者が秘宝を守っているだろう』
「……ここが」
そして今、俺の眼前には遺跡がそびえ立っていた。
露出した白い石柱は風雨にさらされところどころが欠けていて、多くの部分が苔や雑草に覆われている。
そんな『いかにも』な雰囲気を漂わせているこれこそが、秘宝が眠るとされている遺跡で間違いないだろう。
街で地図を買い、野を越え山を越え三日三晩歩き続けた甲斐が報われたというものだ、野営具や保存食にかけた金が無駄にならずに済む。
「……いや、まだまだ」
まだ気は抜けない、俺は腰にさげた剣の柄を握りしめて気合を入れた。
この遺跡には、秘宝を守る守護者がいるという。
それを打ち倒さねば神の宝を手にすることは叶わないだろう。
故郷に住まう両親と、幼い妹と弟のことを想う。
貧しい農民である家族を養うため、俺は傭兵となった。
ここでその秘宝を手に入れれば、弟たちを学校に行かせてやれる、両親にも楽をさせてやれる。
俺は、気を引き締めて遺跡の中へと踏み出した。
***
遺跡の中は、意外なことに外ほど風化が進んでいなかった。
ひび割れた天井から差し込む光が薄暗い内部を照らし、チラチラと舞う埃が照らされている。
罠がないことを確認しながら、一歩一歩慎重に歩を
進めていくが、拍子抜けなほどに何もなく、魔物の一体も現れやしない。
「……噂は所詮噂だったのか?」
こうまで守りが薄いと逆に不安になってきた。
この遺跡は学術的な価値はあれど神の秘宝などありはしないのではないか。
そうなればここに来た意味がまるでない。
俺は焦りからか少しだけ歩調を早めて、さらに遺跡の奥に進む。
そうするうちに階段が現れた。
外から見たときも巨大な遺跡だとは思ったが、内部を探索してそれをますます実感する。
異様なほど広い遺跡の内部のどこに宝が眠っているかもわからず地道に探索しながら進んでいると、二階の半ばほどまで探し回った時点ですでに日が傾き始めていた。
探索を開始した頃は昼時だったというのに。
「……これ以上は危険、だな」
ただでさえ薄暗い遺跡の内部、夜には一歩前も見えないほどの暗闇に包まれるに違いない。
今日はここまでにして、また明日探索することにしよう。
念のために魔物避けの香を焚いて、保存食を齧り眠りについた。
そして、翌日、また翌日と遺跡の中を探索する。
宝らしきものはは欠片も見当たらず、俺の焦りは少しずつ強くなっていく。
気がつけば保存食も帰りの分しか残っていない、今日中に見つけられなければ、断念して帰らざるをえないだろう。
「くそ……」
結局野生動物すらも一匹も見かけぬまま、俺は苛立ち混じりの早足で遺跡の中を探索していた。
すでに7階、でかいと思っていたがこれほどとは。
太陽がてっぺんから傾き始めた頃、俺は半ばヤケッパチになりながら次の階へと進む階段を登る。
「……ん?」
そこで、俺は屋上へと出た。
山の上故に遮るものの少ない強い太陽が目を焼いてくる。
辺りを見渡せば、何一つ遮蔽物のない絶景が辺りを覆い尽くしている。
山の頂上からただ見た眺めも良かったが、ひときわ高い遺跡の頂点からの眺めは格別だ、あれはメサイアか……そして、それを囲むようにして不死者の国、あれは暗黒魔界、あれは明緑魔界……なぜメサイアがあれらに囲まれて無事でいられるのか、こうしてみるとますます疑問になってきた。
「……んん?」
と、周囲を見渡すことで、俺はようやくこの屋上にも一つ目につくものがあることに気がついた。
その平らな構造の屋上に唯一の起伏、黒い石造りの小さな建物があるのだ。
扉には幾何学的な、神秘的文字が大量に掘られている。
「……」
怪しい、いかにも怪しい。
宝があるとすれば、あれではないだろうか。
しかしここまで見てきた遺跡の惨状を見ればあまり期待はできない。
今まで知られていなかっただけで、誰かがすでに遺跡の中の宝を漁り尽くしていた可能性もある。
諦観にも似た思いを抱きながら、俺はその建物へと歩み寄る。
不意に、影が目に入った。
何も遮るもののない、鳥すらめったにいないこの場所で、影?
大きく翼を広げたその影は、やはり鳥のもの……にしては、大きすぎる。
ひときわ大きく、何かが風を切る音がする。
「うわっ、くああぁっ!?」
半ば反射的に真横に跳んだ俺は、辛うじてその『影』
突撃を回避することができた。
ゴロゴロと転がりながらも慌てて立ち上がり、空からの襲撃者を視界に収める。
そこにいたのは……
「フン、躱されたか」
そこにいたのは、見たこともない魔物だった。
二色に分かれた張りのある髪を持つ顔と露出の多い上半身こそ人間と大差ないが、しかし明らかに違う
まず目に入ったのは巨大な翼。
灰色がかった白い翼は、髪と同じように途中から鳶色の巨大な羽根が生えそろう、見たこともない二色の翼となっている。
それを見てハーピー系の魔物かとも思ったが、それにしてはおかしい。
そいつは、鳥にも似たかぎ爪をもつ腕も生えているのだ、ハーピー系は翼と腕が一体化しているはずだ。
それに、下半身。
民族服の腰巻を巻いたその下半身は、翼の鳶色よりも若干薄い獣毛で覆われた、獅子の形をしている。
そして、肩口から大きな胸を覆うごく短いポンチョのような布を留めるくちばしのような形状の、黄金の留め具。
俺はそれらを見て、頭の片隅にかつて読んだことのある冒険譚を思い出す。
魔物が今の形に変わるより前、神々の宝を守る使命を授かったその魔物の名は……
「グリフォン……」
俺がその名を呟くと、魔物はピクリと眉を動かした。
「知っているか、長く人からは忘れられた存在かと思っていたが……」
不機嫌そうに鼻をならし、強大な威圧感を伴ってグリフォンは俺を睨みつけてくる。
「3日前からこの遺跡を荒らしていたのはお前だな、盗掘者め。手を下すのも面倒だ、ここまで来なければ見逃してやろうかと思っていたが……足を踏みいってきたな」
ますますもって敵意を募らせてくるグリフォン、逞しい獅子の下半身故か長身で、それでいてまさしく猛禽類のような鋭い視線が蔑むように背の低い俺を見下ろせば、その威圧感に思わず後ずさりしそうになるが俺は怯まず剣を引き抜いた。
「グリフォン、か……どうやらここに宝があるのは本当のようだな。内心、どこを探しても金貨一つ見つからないかなり焦っていたんだ……話に聞いていた守り人がいる、むしろ安心したよ」
「口は達者なようだな。まぁ察する通り、貴様が今向かおうとしていた宝物庫にこそ、私が守護の任を承った秘宝が安置されている」
どうやらビンゴだ、ギリギリで無駄足にならずに済みそうだ。
俄然やる気が湧いてきた、俺は剣を握り直して緊張に固まる身体をほぐして身構える。
「逃げる気はないか。まあそうだろうな、貴様から感じる欲望の強さは並ではない……」
「強固な守り人が立ちふさがるほど、その奥の宝への期待は高まる……」
「ハッ、卑しい盗掘者風情が大言をいうじゃあないか」
グリフォンもまたその鋭い爪を持つ手をこちらに向けて、独特の構えをとった。
途端、威圧感が増す。
「身の程を思い知らせてやろうか、貴様のような盗人風情がこの私に勝つ目など、万に一つもありはしないとな」
そして、グリフォンが地を蹴り、その巨大な翼を広げながら一足でこちらへ飛びかかってきた。
「くっ!」
とっさに剣を構えつつ、横へ跳ぶ。
その真横を突き抜けていく強烈な飛び膝蹴り。
凄まじい風切り音に身震いしつつも反撃の一撃を繰り出す。
「遅いな!」
しかし向こうは優雅にも見えるステップでそれを回避し、息をつかせる間もなく連続攻撃を繰り出してくる。
「うっ、おああぁ……!」
「ハハハッ、この程度か?口ほどにもないなぁ」
なんとか回避し剣で去なすも、一撃一撃が必殺の威力を持つ乱撃の嵐、このままではジリ貧だ。
つま先が頬をかすめただけで深い裂傷が刻まれ、受け流す剣を握る手はあっという間にしびれてくる、このままでは、まずい。
「せやあああ!!」
「フンッ!」
ガキンと、攻撃の間を縫って振るった一撃とグリフォンの硬質の拳がぶつかり合えば、生物を叩いたとは思えない音に、岩を殴ったような感触。
咄嗟に後ろに跳んで距離をとる。
強い、予想をはるかに超える。
こちらは今の応酬だけで息が切れかけているというのに向こうは涼しい顔だ。
「クハハハハ、今更力の差を思い知ったか盗掘者。よくもまあそんな腕で私に挑もうなどと思い上がったものだ」
「……口が達者なのはそっちじゃないのかい?ベラベラベラベラと」
「強者の余裕、というやつだ」
皮肉を投げかけても軽く受け流された。
余裕の笑みを浮かべてこちらを見下してくるグリフォン、苛立ちが募る。
そう言いつつも、グリフォンはその翼を羽ばたかせ、疾風を巻き起こしながら空へと浮かんだ。
俺の背を三つほど重ねた高度に滞空し、太陽を背にしてその顔を厳しく歪める。
「しかし盗掘者風情に耐えられるとは少々手を抜きすぎたな、次のこれには耐えられるか!」
そして奴は、角度をつけて一気にこちらへと急降下してきた。
そしてそのまま、凄まじい速度を乗せた強烈な蹴撃!
「うおお……!?」
先ほどまでよりもさらに速くなった、竜巻のごとき一撃を辛うじて躱すも、それだけでは終わらず更に2撃、3撃と、強靭な手足を武器とした必殺の攻撃が上から降り注いでくる。
剣で受け流すことも無理だ、必死で避ける。
「逃げるだけかぁ!」
「ぐあっあぁ……!」
旋風のような鋭い爪撃に、落石のような威力の蹴り。
隙をみては反撃を繰り出すも高く飛ぶやつにはかすりもしない
「このっ!」
「おお?」
破れかぶれ、日よけのマントを取り外して、グリフォンに向けて投げつけた。
留め具が重しとなったそれはうまい具合に広がって視界を覆い尽くすも、翼が生み出す風圧であっという間に吹き飛ばされる。
しかし距離を取ることができた。
荒い呼吸を整えつつ、地に降り立ったやつを見据える。
「……場馴れはしているようだな、しかしその小細工は二度と通じんぞ。しかし盗掘者らしい小細工だったな、お前には似合いだ」
「黙れっ……」
こちらをあざ笑うグリフォンに言葉を返すも、もはや奴の顔には苛立ちすら浮かばずあるのは嘲りと、かすかな哀れみのみ。
しかし、このままではまずい、地力の差で押し切られる、なんとか手は……
「さて、長引かせるのも面倒だしこれで終わらせてやろう」
グリフォンは目を細めて、再び最初と同じ構えをとる。
ここだ、狙うならここしかない。
やつはこちらを侮っている、最初と同じような飛びかかりで決めてくるに違いない。
来る技が分かってるなら、迎え打てる。
俺は迎撃の構えをとった。
「トドメだ!!」
「おおオオォっ!!」
グリフォンが地を蹴り飛びかかってきた。
今だ、俺は腰に構えた剣を一気に逆袈裟に切り上げる、獲った……!
俺の握る剣がグリフォンの脇腹へと叩きつけられ、大きく切り傷をつけ……た、はずだった。
しかし、その剣先は、無情にも空を切る。
「浅はかだな」
眼前には、突き出した剣が伸び、グリフォンの姿はない、ただあるのは、太陽を背負う形の俺の影と、奴の影のみ……
とてつもない衝撃、腹にぶつかったそれに思わず剣を取り落とし、俺は組み伏せられた。
「が、グフッ……」
「勝負あり、だ……勝負になっていたかといえば疑問だがな?」
両手首を押さえつけられ抵抗するすべはない。
霞む視界の中、俺の腰にのしかかったグリフォンが優越感に満ち溢れた顔で笑っている。
「く……そ……」
「……ん?なんだ、落ちるのか。仕方がない、貴様を嬲るのは巣に連れ帰ってからとしよう」
最後にそんな言葉を聞いて、俺の意識は闇に落ちた。
***
……
瞼が重い。
ズシリズシリと、身体に何かがのしかかっては離れていく。
ひどく、体が気怠い……
なんなのだろう……
「ん……ぐぅ……」
やっとの思いでうっすらと目を開くが、見開いたところで大差はなかった。
どうやら辺り一帯が薄暗いらしく、寝起きで霞む視界をわずかな明かりが照らすだけだ。
ここはいったい……俺はいったいどうなった……?
「ぐあっ」
しかし、そんなぼやけたおれの意識を覚ますほどの、刺すような感覚が下腹部に叩きつけられた。
「んっ……フッ、フフ、目を、覚ました、ンン♪ かっ」
「……なっ、これ、は……!」
視界が開ければ、俺の上にはグリフォンがまたがっていた。
先ほどと同じ、二色の髪に翼、民族風のポンチョと腰巻をまとった魔物は、しかし先ほどとは明らかに違い、頬を朱に染めてその巨大な乳房をゆさゆさと揺さぶっている。
そしてその果実が柔らかそうに上下するたびに俺の下半身を中心に過剰なほどの快楽が駆け巡り、呼吸がつまり、体を強張らせてしまう。
「己、何をっ……」
「うん?なんだ、敗者を嬲っているだけだぞ?このまま人の尊厳を無くすまで延々と犯してやる、覚悟しろよ、卑しい盗掘者め」
「ふざけたことを……くあぁっ!」
見てみれば、獣毛に覆われたグリフォンの引き締まった下半身の、股の間。
そこが不自然なほどにぐちょぐちょに濡れそぼり、そしてその中へ俺の逸物が飲み込まれてしまっていた。
理解不能だ、なぜ、どうしてこんなことを。
「ハハッ、考え事を、あっ、してる余裕があるかぁ?ほら、ほらぁ♪」
「うあっ、やめ、離せぇ……!」
考え事をしている間も、グリフォンは容赦なくその下半身を揺すってきた。
こちらのことなど一切鑑みない、鍛えられた体が織り成す野性的な腰つきはまるでこちらの肉棒を削り取るかのように激しく擦りあげてきて、抽送を行うたびに理性が剥がされていってしまう。
「このっ、このぉ!」
「はは、はぁっ、ん♥ 大の男が生娘のように、みっともないな、ははは!」
暴れ回るも、グリフォンの人類をはるかに超越した力を持つ鳥足の手がこちらの手首をがっちりと押さえつけてきて、ただ体をよじるに止まってしまう。
その度に奴の上下する腰とよじって振られる自分の腰が不規則な快楽を生み出し、また快楽の渦に引き込まれてしまう。
「ぐあっ……ァァァ……」
「なんだ、自分からっ、腰を振るか、卑しい上に犯されて喜ぶ変態なのか、この盗人め♥ そんなな嬉しいならもっとしてやるぞ♪」
「やめっ、ヒグッ……」
グリフォンはそんな俺を見てますます嗜虐的な笑みを深めて、その腰を激しく振り始めた。
まるで幼い女を凌辱するかのような乱暴な腰つきでひたすらに陰茎をしごきあげられ、その度にたまらない快楽が刻み込まれる。
(だめだ、抜け出せない……)
抜け出せる、はずがない。
奴の強力な力でこうも押さえつけられて馬乗りにされれば、体格に劣る俺が抜け出すことのできる道理などない……
半ば無意識にグリフォンから顔を逸らす。
「なんだもう諦めるかっ♪ 情けない盗人め、二度と逆らえないようにしてやる♪ そら、出せ、負けて諦めて出してしまえ♥」
「うああぁ!」
グリフォンはますます調子に乗って、バチュンバチュンと激しく水音を鳴らしながらますます強く腰を叩きつけてくる。
あまりにも乱暴な凌辱に、もう体が、耐えられない。
「ひ、ぐ、あああぁぁっ」
そして、限界が訪れた。
「んんっ、出したな、盗掘者なんぞが私の中にっ♥」
俺は屈服して、グリフォンの体内に敗北の証の白濁液を吐き出した。
激感にさらされ続けた肉棒は驚くほど大量の精液を吐き出し、何度もビクビクと痙攣しても治る気配がなく、またその度に頭の中がチカチカと光る。
女を抱いたことがないわけじゃないが、こんな激しい絶頂は初めてだった。
「んっ、まだ出てるっ♪ 盗掘者の敗北チンポが、あんっ♥ 生意気な、フフッ」
グリフォンは、優越感と恍惚にまみれた顔で俺を見下ろす。そのまますっかり脱力した俺の片腕だけを離し、そのまま頬に手を添えてきた。
「ふふっ、これで四度めの射精だ♥ お前は気絶してる間に三度も私の膣内に出してるんだぞ?恥ずかしくないか、寝てる間に負けた相手に好き勝手されて」
「っ、守護者様は、負けた相手を随分と陰惨な手で嬲るのだな」
「なんとでもいえ、負け犬の遠吠えだ……いや、犬に失礼かな?どうだ?ん?」
ペチペチと頬を撫でるように叩かれて、屈辱感が胸の底から湧き上がる。
くそ、なんとかして、なんとかしてこいつから逃げないと。
「逃すと思うか、お前の貧相な盗人思考などお見通しだ」
「うっ」
しかし、反抗心が鎌首をもたげた俺の心をグリフォンは即座に折りにきた。
未だ膣に収まった萎えかけのペニスを、腰を密着させたままぐちゅぐちゅと前後左右に捻ることで刺激を加えてくる。
精液と愛液でぐしょ濡れの性器がこすれ合い膣内が蠕動して肉棒を揉みしだくだけで堪らない快楽が湧き上がってきてあっという間に再び勃たされてしまう。
おまけに両腕が頭上で交差させられ、それを片腕で抑え込まれる。
抵抗も何もできたものじゃない。
「どうだ、自分の無力を思い知れ、罪人め♥ お前はもう逃げられないんだ」
「ぐ、ううぅ、んむっ……」
そして、奴はその硬質の鱗に覆われたその手を俺の口の中に挿し入れてきた。
口の中を掻き回され、苦しくない程度の深さまで差し込まれたそれは逃げようと引っ込めた舌を絡め取りゾリゾリと刺激してくる
その鋭い爪はなぜか一切口の中を傷つけることなく、力を込めて噛み付いてもまるで歯が通らないのになぜか妙に弾力があって柔らかい。
「んんんっ♥ 私の指が美味しいか?」
「!?」
無意識のうちに、俺はグリフォンの太い指を舐めしゃぶっていた。
なんだ、今一瞬意識が。
「あはははっ、なかなか反省してるようじゃないか……そういう素直な態度なら私も優しくしてやるぞ、ん?ほぉら、今度は静か〜に優し〜く腰を動かしてやる。これなら根性なしの盗掘者ちんぽでも我慢できるかな?」
「んむ、ぐぅ」
あっけにとられている俺をよそに、グリフォンはいやらしい笑みを浮かべながら、腰をゆったりとした速度で前後左右上下に動かし始めた。
先ほどとは違う、優しく溶かすような腰使い、グニグニと動く膣内にもみ洗いされる逸物があちらこちらへこねくり回され、たまらない多幸感と蕩ける快楽が生まれてくる。
「んっ、んんっ、んん」
だからこそ、危険だった。
まずい、こんな、こんなことをされ続けたらだめだ。
先ほどからおかしい、まるで俺がこいつから快楽を与えられることを望んでいるかのような、そんな風に勝手に思考がそれてしまう。
危機感が溢れ出す、必死に体を暴れさせて抜け出そうとするが、やはりグリフォンの拘束から逃れられない……
「なんだ、暴れるのか?なら乱暴にするぞ♪ こっちのほうが好きなのか!変態チンポめ♥」
「んぐぅぅぅぅっ!」
すると奴はまたも胸を弾ませながら腰を激しく動かし始めた。
下腹部の筋肉が躍動し俺の肉棒がきゅうきゅうと締め付けられ、押し付けられた子宮口がジュルジュルと鈴口を啜ってくる。
いきなり激しくなった快楽に耐えることができない
「う、アアアァッ」
「んひゃっ♥ また出た♥ 堪え性のないドロボーチンポめっ♪」
そして、またも俺は射精してしまった。
先ほど出したとは思えないほどの多量の精液が再び奴の中へ解き放たれる。
「んんっ♪ もっとだせ♪ 遺跡荒らしの罪人め、許して欲しければもっと出せっ♥」
「んぐっ、むぅぅぅっ!?」
さらに、グリフォンは何を思ったかその嘴の留め具を取り払いポンチョを脱ぎ捨てると、上半身を倒して俺の顔を胸で押しつぶしてきた。
大質量の柔肉は自在に形を変えて俺の顔に密着し、しかし強い弾力でもってむにゅむにゅと押し返してくる。
(甘っ……)
女特有の甘い香りと、どういうわけかねっとりと溶けるような濃い香りに包まれて、あっという間に意識が蕩け、ますます大量の精を放ってしまう。
止まらない射精、恍惚とする香り、痺れるような快感。
もうわけがわからない。
「ふ〜っ、ふ〜っ」
「ウァ……ァー……」
やがて、やっと長い長い射精が終わった。
甘い乳の香りと魅惑の感触に顔面を包まれて、奴の心臓の鼓動を聞きながら荒い息を整える。
対するグリフォンはのしかかったまま微動だにせず、獣のような呼吸をするだけだ。
(おわった……のか……)
やっと、激しすぎる凌辱劇が終わった……そのことに安堵しつつ、何故か感じる疼きを心の隅に追いやった。
これで、ようやく……
「どうだ……宝は諦めたか」
すると、グリフォンが体を持ち上げて相変わらず見下すような目でこちらを見てきた。
……宝を諦める?
……そうだ、あまりにも激しい性交に翻弄されて忘れていたが……俺は、宝を求めてここに……
……諦めるわけにはいかない、宝を売り払った金さえあれば、弟を、妹を……学校に行かせてやれる、家族に裕福な暮らしをさせてやれる、諦めるわけには。
「〜〜っ、このぉ!」
「あぐっ!」
そこまで考えたところで、再びグリフォンが腰を激しく打ち付けた。
何故……!?
「まだ諦めないか♥ 意地汚い盗掘者めっ、こうなったら徹底的に分からせてやるっ、宝のこと忘れるくらい徹底的にやってやるっ♥」
「あああぁ……」
だめだ、もはや抵抗する気力が微塵もわかない……
またも俺の両腕を押さえつけ腰を上下に振るグリフォンを、もはや眺めることしかできない。
腰元からせり上がる射精欲を堪えられない。
こんなの、我慢できるわけが……
………………
…………
……
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、んあっ♥」
「んぐっ、んぐっ、うあっ」
そのまま、何度か辺りが明るくなってまた暗くなってを繰り返して、俺はまだこのグリフォンに犯されていた。
一度たりとも膣内から抜かれることのなかった肉棒はもはや何度その精を膣内にぶちまけたかわからない。
お互いの体は汗と唾液と、愛液と精液、そしてなんだかよくわからないものにまみれていて、なにがなんだかごちゃごちゃだ。
「どおだぁっ♥ まいったかぁ♥」
「うあっ、あああぁ」
再び湧き上がる射精欲に抗うこともできず、俺はグリフォンの豊満な胸に顔を埋めて情けなく射精した。
それを受け入れるグリフォンもまた俺の首筋に顔を埋める。
気が付いた時には体を抱き起こされ、対面座位のような姿勢で俺たちはまぐわっていた。
俺はグリフォンの背に両腕を回し必死にしがみつき、グリフォンもその腕と翼で俺を抱きかかえ、決して離そうとしない。
「は、は、ん、むぐっ……」
「あむっ……」
そしてそのまま、グリフォンが乱暴に俺の唇を奪ってきた。
熱い舌がれるれると俺の口の中を這い回り、チュルチュルと唾液をすすってくる。
俺もたまらずその舌の愛撫に自分の舌で返答をして、お互いの舌を絡め合わせる。
「んんん〜〜っ♥」
「っ!?」
そして久方ぶりに、またも俺は押し倒されて、体を押さえつけられた。
しかし最初とは違う、グリフォンの翼と腕は俺を逃すまいと抱きすくめてくる。
もはや身じろぎすらできない密着感。
「ぷはっ」
「っ、は、へは……」
そして互いの唇が離れる。
離れていってしまうグリフォンの唇が愛おしい、消えてしまった口内の温もりがたまらなく寂しい。
「んっ、はぁ♥ どうした、そんな寂しそうな顔をして♥」
「あぁ、あああぁぁ……」
意地悪そうな笑みを浮かべて、俺の頬を舐めあげてくるグリフォン。
アァ、だめだ、我慢できない、できっこない。
「もっと、もっとお前が欲しいんだ、もっと繋がりたいんだ……」
心の内を素直に吐き出す。
するとグリフォンは堪えきれない笑みにブルブルと体を震わせて、そしてより一層俺に覆いかぶさり、その姿勢のまま激しく腰を振り下ろし始めた。
「うあっああぁ!」
「このっ♥ この♥ そんな可愛いことを言って、いいぞ♪もっと繋がるぞ、もっとくっつくぞ♥」
そう叫びながらグリフォンは今までで一番強く俺を抱きしめて、これ以上ないほど激しく腰をグリグリと押し付けてきた。
「んんっ、は、うあっ、もうっ!」
「どうだ、出したいか♥ 私の中に、お前のを出したいかっ♥」
「出したいっ、出させてくれぇ!」
「なら結婚しろ♥ 私を幸せにしろっ♥」
「そ、そんな、いきなり」
「煩い口答えするなっ♥」
むちゃくちゃ言いながらますます激しく抱擁して、腰を、子宮口をグリグリと俺に押し付けてくる、しかし、どういう技か一向に射精できない!
こんなの耐えられるわけがない!!
「す、する、するから出させてくれっ!」
「言ったな!嘘はだめだぞぉ♪」
「嘘じゃない、嘘じゃな、んむっ!?」
「ん〜〜〜〜〜〜♥」
その言葉を皮切りにグリフォンはこれ以上ないほどに深いディープキスをしてきた。
互いの喉奥に届きむせそうなほど深く舌を絡み合わせ、溢れ出てくる唾液をぐちゃぐちゃに掻き混ぜ合う。
そしてグリフォンはその押し付けていた腰をズルズルと見せつけるように引き抜いていく……
「〜〜〜〜んっ♥」
「んぐむっ!?」
そして、それを最奥まで再び一気に叩きつけた。
それが、皮切りだった。
「っーーーーーーー!!??」
「〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥♥♥」
今までで最大の幸福すぎる射精が訪れた。
先ほどまでと比べても格の違うゼリーのような精液が大火山の噴火のごとく射出され、そしてそれがあますことなくグリフォンの子宮の中に飲み干されていく。
グリフォンは目をつぶって、俺にぎゅうと抱きついてくる。
その姿が、威厳のある凛々しい容姿とは違ってあまりにも可愛らしくて、愛おしさが胸の奥から溢れ出てきて、ますます射精が加速して……
2分ほど経ってようやく射精が収まった。
「はぁ……はぁ……」
「ぁ……」
ダメだ、今まで散々まぐわってたのに、というべきか、だからこそというべきか。
今の最大の射精で、完全に精も根も尽き果てた。
凄まじいまでのだるさと、確かな満足感が、胸の奥を満たしてくる。
それでも、なんとか俺にのしかかるグリフォンの背に回した腕だけはしっかりと固めて、俺はまどろみの中に落ちていった……
***
「おはよう」
目を覚ますと、グリフォンが目の前にいた。
どうやら俺は抱き枕にされて横になっているらしい。
その視線には隠しきれない……隠す気もない深い愛情が込められている。
「あぁ……」
「もう少し横になっているといい、疲れてるだろう?」
「うん」
グリフォンに深く抱き直されて、より体が密着する。
あれだけの量精液を放ったというのに、体は特に違和感もなく、むしろ力が湧き上がってくるようだった。
グリフォンの目を見つめる。
最初の時と違いこちらを見てくる瞳に宿る光は優しくて……淫靡だ。
「……んっ」
「ん?ふふっ、どうしたんだ?」
なんとはなしに、グリフォンの豊満な胸に顔を埋めた。
優しく受け止めてくれる柔らかさと弾力に心が安らぐ、グリフォンもまたそれを受け入れ俺を優しく抱いてくれた。
「もうすこし……寝てていいかな?」
「もちろん」
ほのかに明るいグリフォンのねぐらの中、恐らくは正午を過ぎた頃、抱きしめ合う俺とグリフォンは幸せだった。
(……あ、でも、宝は手に入れないと、家族の生活が……)
「あ!お前!私というものがありながらまた宝のこと考えてるな!?」
「何!?何故ばれた!?」
「わかるんだそういうの!このー!お前の欲望は私が独り占めするんだぞ!こうなったら、この胸でお前にそれを教え込んでやる!」
「わっ、ちょ、やめ、これ割と真面目な話で、うおおっ、や、柔らか……」
……幸せだっ……た?
そんな噂話は、俺の興味を惹きつけるには十分なものだった。
俺が雇われ傭兵として拠点を置いているのは、メサイアと呼ばれる主神信仰の盛んな、しかし勇者が生まれずエンジェルやヴァルキリーが一度たりとも降臨したことのない、『神に捨てられた地』という名である意味知られた街だ。
賢王アリソンの統治と采配のおかげで多数の魔物の国に囲まれる立地ながらも侵攻を許さないこの国は、その関係故武具の精製技術や魔法の研究、そして王の直属の部下『三賢者』の手により祝福されたマジックアイテムのおかげで、人の身で魔物と拮抗することが可能なほどの戦力を作り出すことができる。
俺がこの国にいるのも、それらが目当てと言って過言ではない。
それにこの国は傭兵の需要が高い、稼ぐには絶好の街と言える。
そして、俺がそんな噂話を耳に挟んだのは、この街にある酒場の一角でのことだった。
すでに常連になりつつある俺がいつも座るカウンター席でミードを傾けていると、いくつか離れた席で国の兵士らしき男らがこんなことを言っていたのだ。
『街の東の山脈の頂上に、古びた遺跡が見つかった。そこは伝承に残る神の秘宝が封じられた古代遺跡と酷似している。そして伝承通りならばそこには強大な力を持つ守護者が秘宝を守っているだろう』
「……ここが」
そして今、俺の眼前には遺跡がそびえ立っていた。
露出した白い石柱は風雨にさらされところどころが欠けていて、多くの部分が苔や雑草に覆われている。
そんな『いかにも』な雰囲気を漂わせているこれこそが、秘宝が眠るとされている遺跡で間違いないだろう。
街で地図を買い、野を越え山を越え三日三晩歩き続けた甲斐が報われたというものだ、野営具や保存食にかけた金が無駄にならずに済む。
「……いや、まだまだ」
まだ気は抜けない、俺は腰にさげた剣の柄を握りしめて気合を入れた。
この遺跡には、秘宝を守る守護者がいるという。
それを打ち倒さねば神の宝を手にすることは叶わないだろう。
故郷に住まう両親と、幼い妹と弟のことを想う。
貧しい農民である家族を養うため、俺は傭兵となった。
ここでその秘宝を手に入れれば、弟たちを学校に行かせてやれる、両親にも楽をさせてやれる。
俺は、気を引き締めて遺跡の中へと踏み出した。
***
遺跡の中は、意外なことに外ほど風化が進んでいなかった。
ひび割れた天井から差し込む光が薄暗い内部を照らし、チラチラと舞う埃が照らされている。
罠がないことを確認しながら、一歩一歩慎重に歩を
進めていくが、拍子抜けなほどに何もなく、魔物の一体も現れやしない。
「……噂は所詮噂だったのか?」
こうまで守りが薄いと逆に不安になってきた。
この遺跡は学術的な価値はあれど神の秘宝などありはしないのではないか。
そうなればここに来た意味がまるでない。
俺は焦りからか少しだけ歩調を早めて、さらに遺跡の奥に進む。
そうするうちに階段が現れた。
外から見たときも巨大な遺跡だとは思ったが、内部を探索してそれをますます実感する。
異様なほど広い遺跡の内部のどこに宝が眠っているかもわからず地道に探索しながら進んでいると、二階の半ばほどまで探し回った時点ですでに日が傾き始めていた。
探索を開始した頃は昼時だったというのに。
「……これ以上は危険、だな」
ただでさえ薄暗い遺跡の内部、夜には一歩前も見えないほどの暗闇に包まれるに違いない。
今日はここまでにして、また明日探索することにしよう。
念のために魔物避けの香を焚いて、保存食を齧り眠りについた。
そして、翌日、また翌日と遺跡の中を探索する。
宝らしきものはは欠片も見当たらず、俺の焦りは少しずつ強くなっていく。
気がつけば保存食も帰りの分しか残っていない、今日中に見つけられなければ、断念して帰らざるをえないだろう。
「くそ……」
結局野生動物すらも一匹も見かけぬまま、俺は苛立ち混じりの早足で遺跡の中を探索していた。
すでに7階、でかいと思っていたがこれほどとは。
太陽がてっぺんから傾き始めた頃、俺は半ばヤケッパチになりながら次の階へと進む階段を登る。
「……ん?」
そこで、俺は屋上へと出た。
山の上故に遮るものの少ない強い太陽が目を焼いてくる。
辺りを見渡せば、何一つ遮蔽物のない絶景が辺りを覆い尽くしている。
山の頂上からただ見た眺めも良かったが、ひときわ高い遺跡の頂点からの眺めは格別だ、あれはメサイアか……そして、それを囲むようにして不死者の国、あれは暗黒魔界、あれは明緑魔界……なぜメサイアがあれらに囲まれて無事でいられるのか、こうしてみるとますます疑問になってきた。
「……んん?」
と、周囲を見渡すことで、俺はようやくこの屋上にも一つ目につくものがあることに気がついた。
その平らな構造の屋上に唯一の起伏、黒い石造りの小さな建物があるのだ。
扉には幾何学的な、神秘的文字が大量に掘られている。
「……」
怪しい、いかにも怪しい。
宝があるとすれば、あれではないだろうか。
しかしここまで見てきた遺跡の惨状を見ればあまり期待はできない。
今まで知られていなかっただけで、誰かがすでに遺跡の中の宝を漁り尽くしていた可能性もある。
諦観にも似た思いを抱きながら、俺はその建物へと歩み寄る。
不意に、影が目に入った。
何も遮るもののない、鳥すらめったにいないこの場所で、影?
大きく翼を広げたその影は、やはり鳥のもの……にしては、大きすぎる。
ひときわ大きく、何かが風を切る音がする。
「うわっ、くああぁっ!?」
半ば反射的に真横に跳んだ俺は、辛うじてその『影』
突撃を回避することができた。
ゴロゴロと転がりながらも慌てて立ち上がり、空からの襲撃者を視界に収める。
そこにいたのは……
「フン、躱されたか」
そこにいたのは、見たこともない魔物だった。
二色に分かれた張りのある髪を持つ顔と露出の多い上半身こそ人間と大差ないが、しかし明らかに違う
まず目に入ったのは巨大な翼。
灰色がかった白い翼は、髪と同じように途中から鳶色の巨大な羽根が生えそろう、見たこともない二色の翼となっている。
それを見てハーピー系の魔物かとも思ったが、それにしてはおかしい。
そいつは、鳥にも似たかぎ爪をもつ腕も生えているのだ、ハーピー系は翼と腕が一体化しているはずだ。
それに、下半身。
民族服の腰巻を巻いたその下半身は、翼の鳶色よりも若干薄い獣毛で覆われた、獅子の形をしている。
そして、肩口から大きな胸を覆うごく短いポンチョのような布を留めるくちばしのような形状の、黄金の留め具。
俺はそれらを見て、頭の片隅にかつて読んだことのある冒険譚を思い出す。
魔物が今の形に変わるより前、神々の宝を守る使命を授かったその魔物の名は……
「グリフォン……」
俺がその名を呟くと、魔物はピクリと眉を動かした。
「知っているか、長く人からは忘れられた存在かと思っていたが……」
不機嫌そうに鼻をならし、強大な威圧感を伴ってグリフォンは俺を睨みつけてくる。
「3日前からこの遺跡を荒らしていたのはお前だな、盗掘者め。手を下すのも面倒だ、ここまで来なければ見逃してやろうかと思っていたが……足を踏みいってきたな」
ますますもって敵意を募らせてくるグリフォン、逞しい獅子の下半身故か長身で、それでいてまさしく猛禽類のような鋭い視線が蔑むように背の低い俺を見下ろせば、その威圧感に思わず後ずさりしそうになるが俺は怯まず剣を引き抜いた。
「グリフォン、か……どうやらここに宝があるのは本当のようだな。内心、どこを探しても金貨一つ見つからないかなり焦っていたんだ……話に聞いていた守り人がいる、むしろ安心したよ」
「口は達者なようだな。まぁ察する通り、貴様が今向かおうとしていた宝物庫にこそ、私が守護の任を承った秘宝が安置されている」
どうやらビンゴだ、ギリギリで無駄足にならずに済みそうだ。
俄然やる気が湧いてきた、俺は剣を握り直して緊張に固まる身体をほぐして身構える。
「逃げる気はないか。まあそうだろうな、貴様から感じる欲望の強さは並ではない……」
「強固な守り人が立ちふさがるほど、その奥の宝への期待は高まる……」
「ハッ、卑しい盗掘者風情が大言をいうじゃあないか」
グリフォンもまたその鋭い爪を持つ手をこちらに向けて、独特の構えをとった。
途端、威圧感が増す。
「身の程を思い知らせてやろうか、貴様のような盗人風情がこの私に勝つ目など、万に一つもありはしないとな」
そして、グリフォンが地を蹴り、その巨大な翼を広げながら一足でこちらへ飛びかかってきた。
「くっ!」
とっさに剣を構えつつ、横へ跳ぶ。
その真横を突き抜けていく強烈な飛び膝蹴り。
凄まじい風切り音に身震いしつつも反撃の一撃を繰り出す。
「遅いな!」
しかし向こうは優雅にも見えるステップでそれを回避し、息をつかせる間もなく連続攻撃を繰り出してくる。
「うっ、おああぁ……!」
「ハハハッ、この程度か?口ほどにもないなぁ」
なんとか回避し剣で去なすも、一撃一撃が必殺の威力を持つ乱撃の嵐、このままではジリ貧だ。
つま先が頬をかすめただけで深い裂傷が刻まれ、受け流す剣を握る手はあっという間にしびれてくる、このままでは、まずい。
「せやあああ!!」
「フンッ!」
ガキンと、攻撃の間を縫って振るった一撃とグリフォンの硬質の拳がぶつかり合えば、生物を叩いたとは思えない音に、岩を殴ったような感触。
咄嗟に後ろに跳んで距離をとる。
強い、予想をはるかに超える。
こちらは今の応酬だけで息が切れかけているというのに向こうは涼しい顔だ。
「クハハハハ、今更力の差を思い知ったか盗掘者。よくもまあそんな腕で私に挑もうなどと思い上がったものだ」
「……口が達者なのはそっちじゃないのかい?ベラベラベラベラと」
「強者の余裕、というやつだ」
皮肉を投げかけても軽く受け流された。
余裕の笑みを浮かべてこちらを見下してくるグリフォン、苛立ちが募る。
そう言いつつも、グリフォンはその翼を羽ばたかせ、疾風を巻き起こしながら空へと浮かんだ。
俺の背を三つほど重ねた高度に滞空し、太陽を背にしてその顔を厳しく歪める。
「しかし盗掘者風情に耐えられるとは少々手を抜きすぎたな、次のこれには耐えられるか!」
そして奴は、角度をつけて一気にこちらへと急降下してきた。
そしてそのまま、凄まじい速度を乗せた強烈な蹴撃!
「うおお……!?」
先ほどまでよりもさらに速くなった、竜巻のごとき一撃を辛うじて躱すも、それだけでは終わらず更に2撃、3撃と、強靭な手足を武器とした必殺の攻撃が上から降り注いでくる。
剣で受け流すことも無理だ、必死で避ける。
「逃げるだけかぁ!」
「ぐあっあぁ……!」
旋風のような鋭い爪撃に、落石のような威力の蹴り。
隙をみては反撃を繰り出すも高く飛ぶやつにはかすりもしない
「このっ!」
「おお?」
破れかぶれ、日よけのマントを取り外して、グリフォンに向けて投げつけた。
留め具が重しとなったそれはうまい具合に広がって視界を覆い尽くすも、翼が生み出す風圧であっという間に吹き飛ばされる。
しかし距離を取ることができた。
荒い呼吸を整えつつ、地に降り立ったやつを見据える。
「……場馴れはしているようだな、しかしその小細工は二度と通じんぞ。しかし盗掘者らしい小細工だったな、お前には似合いだ」
「黙れっ……」
こちらをあざ笑うグリフォンに言葉を返すも、もはや奴の顔には苛立ちすら浮かばずあるのは嘲りと、かすかな哀れみのみ。
しかし、このままではまずい、地力の差で押し切られる、なんとか手は……
「さて、長引かせるのも面倒だしこれで終わらせてやろう」
グリフォンは目を細めて、再び最初と同じ構えをとる。
ここだ、狙うならここしかない。
やつはこちらを侮っている、最初と同じような飛びかかりで決めてくるに違いない。
来る技が分かってるなら、迎え打てる。
俺は迎撃の構えをとった。
「トドメだ!!」
「おおオオォっ!!」
グリフォンが地を蹴り飛びかかってきた。
今だ、俺は腰に構えた剣を一気に逆袈裟に切り上げる、獲った……!
俺の握る剣がグリフォンの脇腹へと叩きつけられ、大きく切り傷をつけ……た、はずだった。
しかし、その剣先は、無情にも空を切る。
「浅はかだな」
眼前には、突き出した剣が伸び、グリフォンの姿はない、ただあるのは、太陽を背負う形の俺の影と、奴の影のみ……
とてつもない衝撃、腹にぶつかったそれに思わず剣を取り落とし、俺は組み伏せられた。
「が、グフッ……」
「勝負あり、だ……勝負になっていたかといえば疑問だがな?」
両手首を押さえつけられ抵抗するすべはない。
霞む視界の中、俺の腰にのしかかったグリフォンが優越感に満ち溢れた顔で笑っている。
「く……そ……」
「……ん?なんだ、落ちるのか。仕方がない、貴様を嬲るのは巣に連れ帰ってからとしよう」
最後にそんな言葉を聞いて、俺の意識は闇に落ちた。
***
……
瞼が重い。
ズシリズシリと、身体に何かがのしかかっては離れていく。
ひどく、体が気怠い……
なんなのだろう……
「ん……ぐぅ……」
やっとの思いでうっすらと目を開くが、見開いたところで大差はなかった。
どうやら辺り一帯が薄暗いらしく、寝起きで霞む視界をわずかな明かりが照らすだけだ。
ここはいったい……俺はいったいどうなった……?
「ぐあっ」
しかし、そんなぼやけたおれの意識を覚ますほどの、刺すような感覚が下腹部に叩きつけられた。
「んっ……フッ、フフ、目を、覚ました、ンン♪ かっ」
「……なっ、これ、は……!」
視界が開ければ、俺の上にはグリフォンがまたがっていた。
先ほどと同じ、二色の髪に翼、民族風のポンチョと腰巻をまとった魔物は、しかし先ほどとは明らかに違い、頬を朱に染めてその巨大な乳房をゆさゆさと揺さぶっている。
そしてその果実が柔らかそうに上下するたびに俺の下半身を中心に過剰なほどの快楽が駆け巡り、呼吸がつまり、体を強張らせてしまう。
「己、何をっ……」
「うん?なんだ、敗者を嬲っているだけだぞ?このまま人の尊厳を無くすまで延々と犯してやる、覚悟しろよ、卑しい盗掘者め」
「ふざけたことを……くあぁっ!」
見てみれば、獣毛に覆われたグリフォンの引き締まった下半身の、股の間。
そこが不自然なほどにぐちょぐちょに濡れそぼり、そしてその中へ俺の逸物が飲み込まれてしまっていた。
理解不能だ、なぜ、どうしてこんなことを。
「ハハッ、考え事を、あっ、してる余裕があるかぁ?ほら、ほらぁ♪」
「うあっ、やめ、離せぇ……!」
考え事をしている間も、グリフォンは容赦なくその下半身を揺すってきた。
こちらのことなど一切鑑みない、鍛えられた体が織り成す野性的な腰つきはまるでこちらの肉棒を削り取るかのように激しく擦りあげてきて、抽送を行うたびに理性が剥がされていってしまう。
「このっ、このぉ!」
「はは、はぁっ、ん♥ 大の男が生娘のように、みっともないな、ははは!」
暴れ回るも、グリフォンの人類をはるかに超越した力を持つ鳥足の手がこちらの手首をがっちりと押さえつけてきて、ただ体をよじるに止まってしまう。
その度に奴の上下する腰とよじって振られる自分の腰が不規則な快楽を生み出し、また快楽の渦に引き込まれてしまう。
「ぐあっ……ァァァ……」
「なんだ、自分からっ、腰を振るか、卑しい上に犯されて喜ぶ変態なのか、この盗人め♥ そんなな嬉しいならもっとしてやるぞ♪」
「やめっ、ヒグッ……」
グリフォンはそんな俺を見てますます嗜虐的な笑みを深めて、その腰を激しく振り始めた。
まるで幼い女を凌辱するかのような乱暴な腰つきでひたすらに陰茎をしごきあげられ、その度にたまらない快楽が刻み込まれる。
(だめだ、抜け出せない……)
抜け出せる、はずがない。
奴の強力な力でこうも押さえつけられて馬乗りにされれば、体格に劣る俺が抜け出すことのできる道理などない……
半ば無意識にグリフォンから顔を逸らす。
「なんだもう諦めるかっ♪ 情けない盗人め、二度と逆らえないようにしてやる♪ そら、出せ、負けて諦めて出してしまえ♥」
「うああぁ!」
グリフォンはますます調子に乗って、バチュンバチュンと激しく水音を鳴らしながらますます強く腰を叩きつけてくる。
あまりにも乱暴な凌辱に、もう体が、耐えられない。
「ひ、ぐ、あああぁぁっ」
そして、限界が訪れた。
「んんっ、出したな、盗掘者なんぞが私の中にっ♥」
俺は屈服して、グリフォンの体内に敗北の証の白濁液を吐き出した。
激感にさらされ続けた肉棒は驚くほど大量の精液を吐き出し、何度もビクビクと痙攣しても治る気配がなく、またその度に頭の中がチカチカと光る。
女を抱いたことがないわけじゃないが、こんな激しい絶頂は初めてだった。
「んっ、まだ出てるっ♪ 盗掘者の敗北チンポが、あんっ♥ 生意気な、フフッ」
グリフォンは、優越感と恍惚にまみれた顔で俺を見下ろす。そのまますっかり脱力した俺の片腕だけを離し、そのまま頬に手を添えてきた。
「ふふっ、これで四度めの射精だ♥ お前は気絶してる間に三度も私の膣内に出してるんだぞ?恥ずかしくないか、寝てる間に負けた相手に好き勝手されて」
「っ、守護者様は、負けた相手を随分と陰惨な手で嬲るのだな」
「なんとでもいえ、負け犬の遠吠えだ……いや、犬に失礼かな?どうだ?ん?」
ペチペチと頬を撫でるように叩かれて、屈辱感が胸の底から湧き上がる。
くそ、なんとかして、なんとかしてこいつから逃げないと。
「逃すと思うか、お前の貧相な盗人思考などお見通しだ」
「うっ」
しかし、反抗心が鎌首をもたげた俺の心をグリフォンは即座に折りにきた。
未だ膣に収まった萎えかけのペニスを、腰を密着させたままぐちゅぐちゅと前後左右に捻ることで刺激を加えてくる。
精液と愛液でぐしょ濡れの性器がこすれ合い膣内が蠕動して肉棒を揉みしだくだけで堪らない快楽が湧き上がってきてあっという間に再び勃たされてしまう。
おまけに両腕が頭上で交差させられ、それを片腕で抑え込まれる。
抵抗も何もできたものじゃない。
「どうだ、自分の無力を思い知れ、罪人め♥ お前はもう逃げられないんだ」
「ぐ、ううぅ、んむっ……」
そして、奴はその硬質の鱗に覆われたその手を俺の口の中に挿し入れてきた。
口の中を掻き回され、苦しくない程度の深さまで差し込まれたそれは逃げようと引っ込めた舌を絡め取りゾリゾリと刺激してくる
その鋭い爪はなぜか一切口の中を傷つけることなく、力を込めて噛み付いてもまるで歯が通らないのになぜか妙に弾力があって柔らかい。
「んんんっ♥ 私の指が美味しいか?」
「!?」
無意識のうちに、俺はグリフォンの太い指を舐めしゃぶっていた。
なんだ、今一瞬意識が。
「あはははっ、なかなか反省してるようじゃないか……そういう素直な態度なら私も優しくしてやるぞ、ん?ほぉら、今度は静か〜に優し〜く腰を動かしてやる。これなら根性なしの盗掘者ちんぽでも我慢できるかな?」
「んむ、ぐぅ」
あっけにとられている俺をよそに、グリフォンはいやらしい笑みを浮かべながら、腰をゆったりとした速度で前後左右上下に動かし始めた。
先ほどとは違う、優しく溶かすような腰使い、グニグニと動く膣内にもみ洗いされる逸物があちらこちらへこねくり回され、たまらない多幸感と蕩ける快楽が生まれてくる。
「んっ、んんっ、んん」
だからこそ、危険だった。
まずい、こんな、こんなことをされ続けたらだめだ。
先ほどからおかしい、まるで俺がこいつから快楽を与えられることを望んでいるかのような、そんな風に勝手に思考がそれてしまう。
危機感が溢れ出す、必死に体を暴れさせて抜け出そうとするが、やはりグリフォンの拘束から逃れられない……
「なんだ、暴れるのか?なら乱暴にするぞ♪ こっちのほうが好きなのか!変態チンポめ♥」
「んぐぅぅぅぅっ!」
すると奴はまたも胸を弾ませながら腰を激しく動かし始めた。
下腹部の筋肉が躍動し俺の肉棒がきゅうきゅうと締め付けられ、押し付けられた子宮口がジュルジュルと鈴口を啜ってくる。
いきなり激しくなった快楽に耐えることができない
「う、アアアァッ」
「んひゃっ♥ また出た♥ 堪え性のないドロボーチンポめっ♪」
そして、またも俺は射精してしまった。
先ほど出したとは思えないほどの多量の精液が再び奴の中へ解き放たれる。
「んんっ♪ もっとだせ♪ 遺跡荒らしの罪人め、許して欲しければもっと出せっ♥」
「んぐっ、むぅぅぅっ!?」
さらに、グリフォンは何を思ったかその嘴の留め具を取り払いポンチョを脱ぎ捨てると、上半身を倒して俺の顔を胸で押しつぶしてきた。
大質量の柔肉は自在に形を変えて俺の顔に密着し、しかし強い弾力でもってむにゅむにゅと押し返してくる。
(甘っ……)
女特有の甘い香りと、どういうわけかねっとりと溶けるような濃い香りに包まれて、あっという間に意識が蕩け、ますます大量の精を放ってしまう。
止まらない射精、恍惚とする香り、痺れるような快感。
もうわけがわからない。
「ふ〜っ、ふ〜っ」
「ウァ……ァー……」
やがて、やっと長い長い射精が終わった。
甘い乳の香りと魅惑の感触に顔面を包まれて、奴の心臓の鼓動を聞きながら荒い息を整える。
対するグリフォンはのしかかったまま微動だにせず、獣のような呼吸をするだけだ。
(おわった……のか……)
やっと、激しすぎる凌辱劇が終わった……そのことに安堵しつつ、何故か感じる疼きを心の隅に追いやった。
これで、ようやく……
「どうだ……宝は諦めたか」
すると、グリフォンが体を持ち上げて相変わらず見下すような目でこちらを見てきた。
……宝を諦める?
……そうだ、あまりにも激しい性交に翻弄されて忘れていたが……俺は、宝を求めてここに……
……諦めるわけにはいかない、宝を売り払った金さえあれば、弟を、妹を……学校に行かせてやれる、家族に裕福な暮らしをさせてやれる、諦めるわけには。
「〜〜っ、このぉ!」
「あぐっ!」
そこまで考えたところで、再びグリフォンが腰を激しく打ち付けた。
何故……!?
「まだ諦めないか♥ 意地汚い盗掘者めっ、こうなったら徹底的に分からせてやるっ、宝のこと忘れるくらい徹底的にやってやるっ♥」
「あああぁ……」
だめだ、もはや抵抗する気力が微塵もわかない……
またも俺の両腕を押さえつけ腰を上下に振るグリフォンを、もはや眺めることしかできない。
腰元からせり上がる射精欲を堪えられない。
こんなの、我慢できるわけが……
………………
…………
……
「ハァッ、ハァッ、ハァッ、んあっ♥」
「んぐっ、んぐっ、うあっ」
そのまま、何度か辺りが明るくなってまた暗くなってを繰り返して、俺はまだこのグリフォンに犯されていた。
一度たりとも膣内から抜かれることのなかった肉棒はもはや何度その精を膣内にぶちまけたかわからない。
お互いの体は汗と唾液と、愛液と精液、そしてなんだかよくわからないものにまみれていて、なにがなんだかごちゃごちゃだ。
「どおだぁっ♥ まいったかぁ♥」
「うあっ、あああぁ」
再び湧き上がる射精欲に抗うこともできず、俺はグリフォンの豊満な胸に顔を埋めて情けなく射精した。
それを受け入れるグリフォンもまた俺の首筋に顔を埋める。
気が付いた時には体を抱き起こされ、対面座位のような姿勢で俺たちはまぐわっていた。
俺はグリフォンの背に両腕を回し必死にしがみつき、グリフォンもその腕と翼で俺を抱きかかえ、決して離そうとしない。
「は、は、ん、むぐっ……」
「あむっ……」
そしてそのまま、グリフォンが乱暴に俺の唇を奪ってきた。
熱い舌がれるれると俺の口の中を這い回り、チュルチュルと唾液をすすってくる。
俺もたまらずその舌の愛撫に自分の舌で返答をして、お互いの舌を絡め合わせる。
「んんん〜〜っ♥」
「っ!?」
そして久方ぶりに、またも俺は押し倒されて、体を押さえつけられた。
しかし最初とは違う、グリフォンの翼と腕は俺を逃すまいと抱きすくめてくる。
もはや身じろぎすらできない密着感。
「ぷはっ」
「っ、は、へは……」
そして互いの唇が離れる。
離れていってしまうグリフォンの唇が愛おしい、消えてしまった口内の温もりがたまらなく寂しい。
「んっ、はぁ♥ どうした、そんな寂しそうな顔をして♥」
「あぁ、あああぁぁ……」
意地悪そうな笑みを浮かべて、俺の頬を舐めあげてくるグリフォン。
アァ、だめだ、我慢できない、できっこない。
「もっと、もっとお前が欲しいんだ、もっと繋がりたいんだ……」
心の内を素直に吐き出す。
するとグリフォンは堪えきれない笑みにブルブルと体を震わせて、そしてより一層俺に覆いかぶさり、その姿勢のまま激しく腰を振り下ろし始めた。
「うあっああぁ!」
「このっ♥ この♥ そんな可愛いことを言って、いいぞ♪もっと繋がるぞ、もっとくっつくぞ♥」
そう叫びながらグリフォンは今までで一番強く俺を抱きしめて、これ以上ないほど激しく腰をグリグリと押し付けてきた。
「んんっ、は、うあっ、もうっ!」
「どうだ、出したいか♥ 私の中に、お前のを出したいかっ♥」
「出したいっ、出させてくれぇ!」
「なら結婚しろ♥ 私を幸せにしろっ♥」
「そ、そんな、いきなり」
「煩い口答えするなっ♥」
むちゃくちゃ言いながらますます激しく抱擁して、腰を、子宮口をグリグリと俺に押し付けてくる、しかし、どういう技か一向に射精できない!
こんなの耐えられるわけがない!!
「す、する、するから出させてくれっ!」
「言ったな!嘘はだめだぞぉ♪」
「嘘じゃない、嘘じゃな、んむっ!?」
「ん〜〜〜〜〜〜♥」
その言葉を皮切りにグリフォンはこれ以上ないほどに深いディープキスをしてきた。
互いの喉奥に届きむせそうなほど深く舌を絡み合わせ、溢れ出てくる唾液をぐちゃぐちゃに掻き混ぜ合う。
そしてグリフォンはその押し付けていた腰をズルズルと見せつけるように引き抜いていく……
「〜〜〜〜んっ♥」
「んぐむっ!?」
そして、それを最奥まで再び一気に叩きつけた。
それが、皮切りだった。
「っーーーーーーー!!??」
「〜〜〜〜〜〜〜♥♥♥♥♥♥♥」
今までで最大の幸福すぎる射精が訪れた。
先ほどまでと比べても格の違うゼリーのような精液が大火山の噴火のごとく射出され、そしてそれがあますことなくグリフォンの子宮の中に飲み干されていく。
グリフォンは目をつぶって、俺にぎゅうと抱きついてくる。
その姿が、威厳のある凛々しい容姿とは違ってあまりにも可愛らしくて、愛おしさが胸の奥から溢れ出てきて、ますます射精が加速して……
2分ほど経ってようやく射精が収まった。
「はぁ……はぁ……」
「ぁ……」
ダメだ、今まで散々まぐわってたのに、というべきか、だからこそというべきか。
今の最大の射精で、完全に精も根も尽き果てた。
凄まじいまでのだるさと、確かな満足感が、胸の奥を満たしてくる。
それでも、なんとか俺にのしかかるグリフォンの背に回した腕だけはしっかりと固めて、俺はまどろみの中に落ちていった……
***
「おはよう」
目を覚ますと、グリフォンが目の前にいた。
どうやら俺は抱き枕にされて横になっているらしい。
その視線には隠しきれない……隠す気もない深い愛情が込められている。
「あぁ……」
「もう少し横になっているといい、疲れてるだろう?」
「うん」
グリフォンに深く抱き直されて、より体が密着する。
あれだけの量精液を放ったというのに、体は特に違和感もなく、むしろ力が湧き上がってくるようだった。
グリフォンの目を見つめる。
最初の時と違いこちらを見てくる瞳に宿る光は優しくて……淫靡だ。
「……んっ」
「ん?ふふっ、どうしたんだ?」
なんとはなしに、グリフォンの豊満な胸に顔を埋めた。
優しく受け止めてくれる柔らかさと弾力に心が安らぐ、グリフォンもまたそれを受け入れ俺を優しく抱いてくれた。
「もうすこし……寝てていいかな?」
「もちろん」
ほのかに明るいグリフォンのねぐらの中、恐らくは正午を過ぎた頃、抱きしめ合う俺とグリフォンは幸せだった。
(……あ、でも、宝は手に入れないと、家族の生活が……)
「あ!お前!私というものがありながらまた宝のこと考えてるな!?」
「何!?何故ばれた!?」
「わかるんだそういうの!このー!お前の欲望は私が独り占めするんだぞ!こうなったら、この胸でお前にそれを教え込んでやる!」
「わっ、ちょ、やめ、これ割と真面目な話で、うおおっ、や、柔らか……」
……幸せだっ……た?
16/12/06 00:07更新 / 車輪(人物)