食らい蟷螂
こんにちわ、皆さん。
私はアルバといいます。
普段は僕の生まれの街でお医者さんの製薬助手を務めてます。
今日は普段材料を運んできてくれるハーピーさん達が発情期で私が危ないので、仕方なく自分で取りに来たんですが…。
「広い広い森の中で迷ってしまい、今はどうにか薬剤で空腹を紛らわせています…。
はぁ、拡散錠は苦いよぉ…」
そう、私アルバは今、猛烈に困っています。
この森には何度も来た事があるんですが、普段の森と進行ルートが違いまして…。
だって正面から入ろうとしたら物凄く気持ち悪い植物に襲われかけたんですもん。
うねうねって、服の中に入ってきそうな勢いで絡み付いてきたんですけど、私の股間に触れた瞬間興味を失ったように離れていきました。
もしやとは思っているんですが…。
「もしかしたら、この辺にも魔力が影響し始めて…。
この一帯が、触手の森になり始めているのでは…?」
だとすると、なぜ触手植物に襲われたのかが分かりません。
私は男です、13歳のピッチピチの。
普段から院長の夫のルゥキさん共々\カワイイ!/とか「え、女の子じゃないの!?」とか言われますけど…。
「はぁ、でもなぁ…。このまま触手のぬるぬるに苛まれるのも…」
さっき話したとおり、服の至る所に触手植物に襲われた形跡が残ってます。
なぜか、軽くマーキングされているような気もしますが。
…取り敢えず、洗おう。
「…でも、こんな森の真ん中で脱いで湖で洗うのも…。
軽くピンク色になってるし…、うわ、とろとろしてる」
あ、因みに私は私で何故平気なのかと言うと、魔力が全く効かない体質だからです。生まれつき。
自慢じゃないですが患者のリリムさん(独身・重度の魔界熱)の誘惑を右から左へ受け流した経験もありますし。
とはいえ、ここまで空気がねっとりとへばりついてくるような感覚は流石に気分が変になるんです。
だって、なんと言うか、その…。
『おい、何やってるんだ?、インキュバスになっちまうぞ?』
「ひゅい!?」
びびびびびっくりした!
後ろから声を掛けるとか、もう少し優しく声を掛けてほしいです。
いや、肩を叩かれたり抱きつかれたりの方が怖いですけど…。
って、あれ?、女性?
「あ、貴女の方こそ、ここは最早触手の森ですよ?
危険ですから、早く帰ったほうが…」
『一人でこの最深部まで来たのにか?』
…へ?
「い、今なんて?」
『だから、一人でこの森の中心かつ最深部のこの湖まで来てるのに、危険だとでも?』
…嘘だ。
ここはこの森の最深部?
そして前の女性はここまで恐らく無傷。
そんな事よりも、私はここにあるはずの物を採取しに来たのに、欠片も見つからないんですけど。
「う、嘘です!」
『なんで初対面の奴に嘘付かなきゃいけねーんだよ。お前、ノアトゥールの医者の助手だろ?、調剤の。
悪いことは言わねーから、さっさと帰りな。この辺もそろそろヤバイから』
ヤバイ?、一体何が。
そう思っていた時期が私にもありました。
地面からのこっと顔を出した触手が、目の前の女性を数十株で完全包囲し、襲い掛かり。
そして女性が呟いた一言で一瞬で蒸発したではありませんか。
「(゜Д゜ )」
『分かっただろ?、この森は勿論、俺もアブねーんだよ。
さっさと逃げないと、蒸発したり凍ったり石になったり犯されたりするぞ』
女性がそう言ってる間に、私は走り出していました。
何ですかこれ。貞操の危機と生命の危機を同時に味わえるなんて、なんてドM向けなんでしょうか。
後ろに眼を向ける暇もありません、なんと数本の触手が緩やかにこちらへ近付いてくるのですから。
兎に角逃げるしかないのです。
『…全く、冗談のつもりだったのに、本気で逃げる奴有るかね。
ま、エミアの助手か。なら別に大丈夫だな、報告でも聞いて俺の事説明してくれるだろうし。
さーてと、虜の果実はあるのかなーと』
彼女の声なんてもう聞こえません、どうにか後ろを向けば、呆れ顔がどうにか認識できる距離でしたから。
何を呆れられているのかが分かりませんが、私はそのまま逃げ続け、触手達から逃げることが出来ました。
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「な、何がどうなってるんですか、この森は…」
そこには、僕の知ってる森なんか有りませんでした。
ただただ魔性の瘴気が立ち込め、斑に矯声が聞こえるカオスな森に変貌を遂げてしまったのです。
幸い、殆どの植物が嬌声の方に向かっているようで、襲われはしないようです。
「こ、これから森に行きそうな人たちに報告しなくちゃ…。
って、あ、あれ?」
体が動きません。
触手かと思いましたが、そんな感じのぬるっとした感触はありません。
どちらかと言うと若干暖かい物に濡れたようなひんやりとした刃物状の…。
まさか。
『…捕まえた』
「きゃぁぁあああぁぁああぁあ!?」
なんということでしょう。
私、魔物に捕まってしまいました。
そしてこの刃物状の物から考えて、導き出されるのは…。
「マンティス…」
『…冷静ね、良いことなのかもしれないけど』
「わ、私をどうする気ですか?」
『繁殖の為に犯す』
「やっぱり…」
覚悟はしていましたが、流石に恥ずかしいと言うか…。
面と向かって「子作りしましょう」って言われるのと同じような感じですからね?
『まぁでもその前にこの森から出るのが先決。
ご飯も食べなきゃ疲れるって母様が言ってたからこの熊も食べる』
よかった、心の準備ができrふぉあぁっ!?
なんと、マンティスさんが僕を抱え熊を片手で持ち上げて、超スピードで森の出口方面(多分)に走りだしたではありませんか。
って、あれ?良く見たら熊の頭…。
「く、首がっ!?、首が無いっ!?」
『…騒ぐ必要は無い、屠殺しただけ』
「ま、まさか私も…」
聞く限り、蟷螂と言うのは性交の後出産への栄養に回すためオスを食べてしまうと言う話がありますが…。
まさか、そんなはずは…。魔物は人を殺さないって言うし…。
いやでも、冷酷非道のマンティスならあるいは…?
「…ガクガクブルブルガクガクブルブルガクブルガクブル」
『ん…。もう森の外だから怯えなくて良い。あそこの小屋を借りよ…』
「は、はひ…」
あぁ、お母さん、お父さん、院長、ルゥキさん…。
私の人生は此処で終わってしまうようです…。
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『食べないの?』
「ガクガクブルブルガクガクブルブル」
取り敢えず先程マンティスさんが言っていた通り、今は熊を食べているんですが…。
彼女、お腹を切り裂いてゆっくりと解剖するように肉を食べていくんですよ…!!。
恐る恐る「生じゃ体に悪いですよ」って言ったら…。
『腹を膨らませるのに食べ方なんて関係ない、空腹を満たせればそれで良い』
なんて言われてしまいまして、そのまま彼女は熊の内臓へ…!!
ああ、私は一体どんな食べられ方をされてしまうんでしょうか…、なんて考えているうちにどんどんスプラッタな方向になり、最早彼女の顔を直視することが出来ません。
『…?、変な子…』
「へ、変でも何でも良いですから。命だけは…」
『別に、繁殖の為の行為が終わったら好きにすれば良い』
え。
救い!?、救いは此処に有りました!!
…いや待て、そう言って後ろからばっさりと…?
いや、別に私なんか逃げても追いつかれるだろうし…。
カチャカチャ、『…ベルトが取れない…(イラッ』、バリィッ、ブチッ
「きゃあぁ!?」
『…、たってない…』
「…はい?」
『僕と一緒に居ればオスは勝手に発情するって母様が言ってた』
…ああ、そうだ…。
私は今、このマンティスさんとそういう事をしようとしているんだ。
…死に際には子孫を残そうと躍起になるって聞いたけど、私は臆病だから縮こまってしまっています…。
でも、そういう意識をするとその形も大きさも半端なく卑猥な胸に、魅力的な体のライン。
そして、恐らく入り込むことになるであろう場所が、イメージされてしまって…。
『…勝手に大きくなった』
「あう…」
『好都合、触りたくなかったから』
ぐはっ。
さ、さり気に酷い事を言われました…。
た、確かに私のなんて大きいだけですけど…。
『…んちゅ』
「ひぁ!?」
『んぶぶぶ…、うぐ』
「あっ…、あ、あ。喉に…!?」
わ、私は今、女性の口の中にいる…!?
う、あわわ、凄く苦しそうな表情…。
『うぇっ。…っげほ。無理っ…』
「あひゃっ…、だ、大丈夫ですkひっ!?」
マンティスさんの事を気遣おうとしたら鎌を向けられ睨まれました。
こ、殺される…?
『………死ぬほど苦しかった』
「す、すみませんっ!?」
『…まぁ、この棒が濡れたから後は僕の中に出すだけ』
「あ、う…/////」
そうでした。
これはあくまで前戯、本命は彼女を孕ませるためだけに彼女に犯されるだけ…。
そしてその後は…。((((゜Д゜`;;))))ガクガクガクガクガクガクガクガク
…そんなこんな考えているうちに彼女に跨られ、後は入れるだけとなってました。
『…』
「あ、あの、できれば名前だけでも先に…」
『必要ない、あなたは僕の中で出して後はサヨウナラ。名前なんて知らないほうがお互いのため。
くだらない慕情で他を疎かにしちゃ駄目でしょ』
「うぐぅ…」
せめて死ぬ前に初めての相手の名前ぐらい聞いておきたかったのに…。
でも、彼女も殺した相手の名前なんて覚えてないんだろうか?
繁殖のためと言っていたけど、其れは恐らく周期性だし…、もう何人も経験済みで、そしてその相手達を。
うう、せめて気持ち良くなる事だけに意識を向けておきたい…。
『…いく』
「は、はい」
あぁ、でも、初めてがこんな美人さんで本当によかった。
それはきっとあの世でも自慢できることだと思うから…。
…メ゛リッ
『…ッ!?』
「うあぁぁあぁ…!!」
…彼女の中は、想定以上に気持ちよかった。
私が想定していたのは恐らくよく患者の男性(独身)の皆さんが使っていてとても気持ち良いと評判の「おなほーる」とか言うものよりちょっときつい位かと思っていた。
しかし実際にはまるで肉の壁に押し潰される様な感覚ながら、其れは決して痛くは無い。
きっとこう言うのを「ごくじょうのめいき」とか言う、…のかな?
皆さんの話を聞く限りはそうだと思うけど。
『なっ…、あ…!?』
「ど、どうし…、たんです、か…!?」
よくよく見ると、私と彼女の結合部からは、紅い液体が滲み出ているのです。
彼女の反応から見るに、恐らく破瓜血とおもわれ…、って、え?
つ、つまり私達は初めて同士と言うことで…?
『な、んあ。なに、こ、れ…』
「だ、大丈夫ですか!?、痛く…。ないわけないですよね!?、あ、あわわわ、私はなんという…」
『…っ』
ずぢゅっ
『あぁあっ…!?』
「んぅあぁ…!!、ちょ、落ち着いてっ!」
私が狼狽している内に、なんと彼女がゆっくりと腰を打ち付け始めていました。
ずっ、ずっ、時折ぱちんっ、と肉のぶつかり合う音が聞こえます。
『わかん、ないぃ…』
「な、何がですか!?、痛みを引かせる方法なら一旦抜いて私が薬を…」
『ちがう、の。わかんないのは、君のこと。
わかんない、なんで…、君なんて、只のオス、だったのに…。
今、きみ、が僕の中にいるって考えると、あったかくなるの。
君の声が、聞こえたらっ、なんか、こころが、落ち着くのっ。
なんで…?、僕、このままじゃ…、おかしくなっちゃうよっ…』
涙を浮かべた眼で必死に今の状況を説明してくれる彼女。
…、もしかして、彼女は…。
私を好きになってくれたのでしょうか?
『んむぅぅっ♪』
「ふむっ!?」
突然、彼女が私にしなだれかかって来て、唇を重ねてきました。
彼女の口内は柔らかく、暖かく、そしてその舌は貪欲に私を求めてきます。
『はぷ、ぢゅずずっ、んふぅう…』
「ん、んむっ、んぷ」
そのまま私達はキスを続け、二分後に私が苦しくなったので離れてもらいました。
キスをお預けされたのが寂しかったのか、彼女が腰を打ち付ける速度を上げて…。
『あ、っつあぁ!!、ね、きみっ…』
「あぐぅっ…、な、なんですかっ?」
『名前…、やっぱり、なまえっ。おしえてぇっ♪』
「わ、私はっ…、アルバ、ですっ」
『あるば…、あぁぁぁ…♪』
突然彼女の顔が綻びました。
私の名前を呼ぶのがそんなに嬉しい事なのか、そんなに私を好いてくれているのでしょうか…。
しかし、私も彼女がどんどん愛しくなって来て…。
「あ、貴女のっ、なまえ、はぁっ?」
『ぼ、僕、リスティルっ。リスティル・アルールっ!』
「りす、てぃる…、リスティル…っ!!」
『♪♪』
私が彼女の名前を呼んであげると、嬉々として腰を打ち付ける速度がまた上がる。
気付けば私は彼女を抱きかかえ(とは言っても身長差と言うものがあるせいで彼女の胸に私の頭がある)一心不乱に腰を打ちつけていました。
リスティルの方も私の精一杯を受け止めてくれているようで、体を私に任せつつも自分も腰を振るのです。
「りす、てぃるっ。リスティル…、リスティルぅ…!!」
『あはぁっ、アルバっ、アルバぁっ!!、僕、なんか…、まえが、まっしろにぃ…っ!』
「奇遇だねっ、リスティル、私も、視界が定まらなくなってきて…っ!」
『くあぁっ、ぎゅうっ、ぎゅうすればこわくないよっ!』
「わかったっ、じゃあ、しっかり抱きしめててっ…!」
二人とも最早限界を迎える寸前。
私のせき止めてきたダムももう直ぐ決壊寸前。
だと言うのにリスティルはなおも激しく腰を打ちつけてくる…。
全く、淫乱な子だなぁ…。
ドック、ドクドクドクッ、ドクン、ドクッッ…!!
「あっ、はっぁあぁあぁ…♪」
『あひぃっ!?、あっ、あっ。アァ…♪』
そんな事を考えているうちに、ダムが決壊する。
私の体を苛んで行く虚脱感と幸福感、そしてリスティルに対する愛情が湧き出していく。
やがてリスティルの方も落ち着きを取り戻し、時折ビクッ、ビクンッ、と震えながら彼女の中のダムで私がせき止められなかった物を受け止めてくれる。
『あ、あぁっ、アルバ…♪、分かったよ…♪
僕、アルバのことが、大好きぃ…♪』
「…私もですよ、リスティル」
『!、…えへへ…』
どちらかとも言わずに、お互いの唇を重ね、舌でお互いを愛し合う。
心なしか疲れているはずの彼女の舌の動きが先程の行為の最中より熱っぽく、より情熱的な気がした。
そして、これまたどちらかとも言わずに唇を離した後。
二人同時に眠りに付いた。
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…明朝。
なんとなーく気まずくなってしまった私は、取り敢えず森が触手の森にトランスフォームしてしまったことを院長とルゥキさんに伝えるために帰ろうとした。
しかし、彼女に手をつかまれ、連れて行って欲しいと強請られてしまいました。
私も、彼女の事を愛してはいますが、昆虫系の魔物が苦手なルゥキさん達が許してくれるかどうか分からないから、と彼女に事情を説明した所。
『…その人達が許してくれないからって、女の子をこんな危険な所に残してくの…?』
と、言われてしまいました。
多分演技なのではあろうが、そんなに泣きそうな表情をされると流石に…。ねぇ?
仕方なく(とは言えどちらにしろ来させただろうなーとも思いますが)同行を許可したら、今度は。
『じゃあ早く行こう?、そのルゥキさんとインチョウさんに、結婚報告しに…♪』
だ、そうです。
いや、確かにする事にはなるでしょうが…、大事な事は触手の森の件ですからね?
あと、多分院長って人名だと思ってるなぁ…、この子。
そんなこんなで、ノアトゥール・「ノアトゥール総合病院」にて。
『……………(殺気』
『あらあら、そんなに睨まないで?。別にアルバをあげない、なーんて言ってないでしょ?』
『…所有物発言は聞き逃せない、訂正して』
『だってそうでしょ?、ここの従業員はみんな私のモノ♪』
(…どうしてこうなった)
(院長がリスティルに向かって挑戦的な発言するから…)
(いや、個人的にはあの子があんなにエミアに突っかかれるのに驚いてるんだがな)
見事な修羅場?でした。
ていうかエミアさん、そういう発言しないでくださいよ。
あなた自身のイメージダウンにもなるんですから。
この後、空気に耐えかねたルゥキさんが無理矢理エミアさんを院長室でレイプしたためこの討議はお流しになりました。
そして私はリスティルに病院内を案内しつつ、従業員寮に帰ることになりました。
『…アルバ』
「なに?」
『アルバは僕の嫁(キリッ』
「突然何を言い出すの君は」
『いや、この辺の従業員さんにアルバは僕のものだよって事をアッピルしてる』
本当に、この子は不思議な子だ。
先のvs院長の時もまるで子供が駄々を捏ねる様な風に感じたし。
意外と子供っぽいところもあるなーと思う。
「…流石にリスティルには食べられそうにないかな」
『?』
「いや、蟷螂は性交の後にオスを食べて栄養分にしちゃうからさ」
『…、(owo)!』
「どうかした?」
『…じゃあ、僕。
(性的な意味で)アルバを食べるね♪』
「…え?」
『さぁ、それじゃ早く従業員寮に帰ろ』
「え!?、ちょ、公開処刑!?、や、やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ…」
…この後、三日間ほど仕事を休む羽目になりました…。
皆も、発言には気をつけようね!
【喰らい蟷螂】
END
12/01/27 21:58更新 / 荷重狐