※恍惚。蹂躙。そして思い。
匂いの下につくまで、そう時間は掛からなかった。
ただよう匂いを元に歩き続けていったら、人間の作った建物についた。
中は誰もいなかった。私は匂いをたどった。
一つの場所についた。開けた。匂いで一杯だった。暖かかった。
特に匂いの強い場所を見つけた。心の底がぽかぽかした。まぶたが落ちるぐらい。幸せな空間。
・・・まどろみに、堕ちる。
扉を開けるとそこから広がる6畳一間のオレの部屋。
扉のすぐ横にグラキエスの能力を用いた魔力製の冷蔵庫がある台所、そのまた横にはトイレのある個室。
台所の方から後ろを向けば6畳の居間。
普段はそこで布団を敷いて寝たり、古紙を敷いてその上で訓練用の槍の手入れをしていたりしている。
その居間は壁際に小さな本棚と畳まれた布団がおいてあるだけで、殺風景な部屋というイメージが強い。
・・・そんな面白みも何も無い部屋の一角・・・厳密には畳まれたオレの布団の上に。
「すぅー・・・スゥー・・・ZZZ」
名も知れぬ誰かがうつ伏せで寝ころんでいた。
「・・・。」
しばし眼を瞑って、再度目を開く。同じ光景。どうやら夢ではないようだ。
部屋で待っている竜というのは、おそらくこの人ではないか。うつ伏せで寝ているその体の背には、大きな翼が生えていた。
・・・その翼がなんというか、禍々しい形になっているのが気になるが。
「えっと・・・あのー、起きてください」
とりあえずこのままではいけないだろうと、寝息を立てて眠る竜をしゃがんでその肩を軽く揺さぶる。・・・起きない。
揺さぶる。起きない。大きく揺さぶる。寝息は変わらない。力をこめて揺さぶる。ごろん。
「うおっと」
竜が突然寝返りを打った。うつ伏せから仰向けの状態になる。
そこでオレはまた気がついた。
「・・・なんだ。これは」
竜の体を見て思う。
あまり見たことがない色白・・・というか血の気のなさそうな青みがかった肌。
その肌を守るように突き出されている骨みたいな鱗。
顔の方を見れば、色白だが整った顔立ちに銀色の髪。頭から生える、これまた禍々しい形の角。
たぶん竜・・・種族的にはドラゴン、なのだろう。
だが、こんな妙な色合いと形をしたドラゴンは見たことが無かった。
「ん? 待てよ」
オレは思い出そうとする。
騎士団本部での講義の中で、今この世で知られている竜種について学んだ。
たしかその中に、こんな特徴を捉えた竜がいたような。
「んー・・・んうう・・?」
「お」
その竜の種類を思い出す前に、目の前の竜が目を覚ます。
生気が全くなさそうな肌なのに、その眼はどこか燃えるような、まるで太陽そのものを眼に宿したかのような紅(あか)い色をしていた。
そいつは寝ぼけまなこな状態で、何度も眼をこすりながら大きなあくびを漏らす。
そしてその視線がオレの方を見ると。
「・・・?」
一瞬キョトンとした顔をし、
「・・・。」
「お、おい?」
その顔をオレに近づけてきて。
「・・・(スンスン)」
「な、う、お!?」
オレの顔を嗅ぎ始めた。
いきなりのことにびっくりしてしゃがみながら後ろに離れようとしたが、その瞬間に竜の両腕が俺の腰をつかむ。
そのまま尻餅をつき、しゃがんだ状態から半ば押し倒されるような状態になるオレ。
「(スンスン)」
「な、ちょ、おい!?」
腰に手を回されながら、一心不乱に目の前のオレの体を嗅ぎ続ける竜。
竜の顔はだんだんオレの顔に近づいてきて、腰から腹を、腹から胸を、胸から首へ嗅ぎ続ける。
そして首を一通り嗅いだ後、顔をオレと同じ高さの部分で止める。
「・・・。」
「あ、あの・・・?」
無表情でじっと紅い目をこちらに向ける竜。その眼からは感情があまり読み取れない。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
二人で沈黙。そして―――。
「・・・あはぁ♪」
「・・・!?」
急に竜の顔がニヘラぁ、と歪んだ。眼の中に表情が、笑みが見えた。
その不気味な笑みを直視し、オレは「それ」が何なのかを一瞬で理解してしまう。
―――餌を見つけた魔物の顔。
「ぐっ、放せ!」
急いで竜から距離をとろうとする。が、それより速く両肩を竜の両腕で抑えられしまい、竜に完全に押し倒される状態になった。
「にげちゃ、やぁ・・・♪」
「ええい、くそ!」
もがいてみるが、竜は放そうとしない。
肩はガッチリ固定されたまま。竜の体が、やわらかな胸が、ふくれた腹が、オレの体に押し付けられる。
竜はオレを見下ろしたまま不気味な笑みを絶やさない。口からは涎が垂れ、オレの顔にかかってくる。
「これでもう、にげられなぃい・・・」
「ぐ・・・!」
ほかになにか試す。オレにできることは。今のオレにできることは!!
―――このまま分け分からん竜に、喰い殺されること。
―――手足を拘束された今の状態では、他に何も出来ない。
魔物娘は人間を殺さないというが、見たこともない奴にこんな表情を向けられては、そんな常識も通じるかどうか微妙だった。
そもそもオレはこいつが魔物娘かどうかも分からないのだし。
(・・・万策尽きた、か)
オレはそう悟ると硬く眼をつぶった。せめて最後が出来るだけ痛みを感じないものであることを祈りながら。
―――その違和感に気づくのに、あまり時間は掛からなかった。
「ん〜・・・ちゅう・・・」
口に何かが覆いかぶさるような感触。
・・・なんだ? 予想していたものと何か違うものを感じて、閉じた眼をゆっくり開けると。
「アむ・・・ちゅぅうう」
「・・・!?」
オレの視界いっぱいに入る竜の顔。その顔は先ほどの不気味・・・というより、どこかうっとりとしたような表情をしている。
竜は、オレに口付けをしていた。
「ん、あむぅ・・・んっん〜♥」
「!、ッ〜〜〜!?」
それどころか、オレの口の中に竜の舌が入ってくる。
竜はオレの舌を絡めとると、それをそのまま今度は竜の口の中に持っていく。
竜の唾液の感覚が、口の温度が、オレの舌にダイレクトに伝わる。息が出来ない。
「ぷはぁ・・・んん〜!!」
「はぐっ、〜〜!」
口が離されたと思いきや、息つく暇も無くまた口をふさがれる。先ほどよりも強く口を押し付けて。
竜は肩においていた両腕をオレの頭に回し、片方をオレの頬に、片方を後頭部に回す。
オレの頭を動かないよう固定して・・・まるで大事そうに抱えながら、一心不乱にオレの口の中を蹂躙する。
「んっ、んっ、ん〜〜〜♥」
「〜〜〜〜!!」
どれくらい長くそうしていただろうか。
「ん、ちゅる・・・ぷはぁ」
息が出来ず、意識がもう少しで途切れそうな時に、竜はやっと口を開放してくれた。
竜とオレの口に透明な線が引かれる。それを見たのか竜は先ほどよりさらにうっとりとした表情を浮かべた。
「あはぁ・・・オスのニオイ、オスの味・・・おいしいぃ」
「けほっ・・・う、あ」
オレは咳き込みながらも、なんとか今の状況を見ようとする。
「まだたりなぁい・・・もっと、あたたかいのぉ・・・」
そんな中で聞いた竜の声。
歪む視界の中でその竜のほうを見ると、竜はオレの下半身を何か漁っていた。
そして。
「これ、じゃまぁ!」
竜はオレの履いていたズボンを引き裂いてしまった。
「あはぁ♪」
露になったオレの"モノ"を見て、竜は目を輝かせていた。
人間は命の危険を感じると、子孫を残すためにそういう機能を全開にするというが。今のオレのモノはそういう状態であった。
竜はそれに自分の腰を・・・露にした秘所をすり合わせ始める。
「はぁぁぅ・・・キモチいい・・・あったかい・・・」
「あ、うあああ・・・!」
竜は気持ちよさそうに顔をだらしなく緩めていたが、オレのほうもそれに負けないくらいの快感が襲っていた。
ただすり合わせているだけ・・・だというのにその感触は今まで受けたことの無い感触に満ちていた。
やがて竜はすり合わせるのをやめ、腰を浮かす。
「はぅあ・・・もっとぉ・・・」
竜はそのまま、自らの秘所を指で広げた。
朦朧とする意識の中でも、そのピンクに染まった内壁がヒクヒクと蠢いているのが分かる。
そこから口と同じくらいの、涎のように垂れてくる粘液。それがオレのモノにポタリと落ちて来る。
そこまできて、次に竜が何をするのかが分かる。
「ま、まさ、かっ・・・や、やめ・・・!?」
なんとか今出せる力で止めようとしたが、竜を止めるにはそんな力はあまりにもあっけなく。
「ふぅ・・・あああああああああああああああああ!!」
「ぐ、ああああああ!!?」
竜がもう待てないと言わんばかりに腰を落とす。
オレのモノは竜の中に一気に招き入れられてしまった。
「はぐ、あ、ああ!!?」
瞬間、快楽の渦が襲う。
入れられたときもだが、竜の中はやわらかく、それでいてわずかな弾力があった。
それが一気に肉棒に締め付けるように収縮し、肉壁についていたひだが艶かしく絡みつく。
もう放さないといわんばかりに肉棒を締め上げ、それに粘液がついたひだの一粒一粒が全身を擦っていく。
その感触はオレの体の力を奪っていくには十分すぎる威力だった。
「あ、あへぁ、ああ・・・♥」
竜の方はというと上体を大きく反らし、ビクビクと体を震わせていた。
たぶん、入れた瞬間にイったのだろうか。ここからでは表情が見えないが、きっと今まで以上にだらしない表情をしているだろう。
「おおきい・・・あったかい・・・あったかいよぉ・・・」
竜はしばらくの間体を震わせていたが、やがてゆっくりと腰を動かし始める。
「は、がぁ!!」
「あはっ♥ いいっ♥ これ、いい〜っ♥」
腰を動かすスピードがだんだん速くなってくる。打ち付ける水音が大きくなってくる。
入れられるだけで快楽がすさまじいのに、動かしてくるとなると、いよいよもってこちらも我慢が消えかかりそうになってきた。
「や、やめ・・・で、出るか、ら!」
なんとか懇願の声を出したオレであったが。
「はぁ♥はぁ♥もっと♥もっとぉ〜〜♥」
必死に打ちつける竜の耳には届いていなかったらしく。
竜は腰をくねらせ、なにかをせがむ様に肉壺を締め続けた。
「だ、い、射く!!」
「はう、あ、あっああああああああああああああああああ♥♥♥♥♥♥♥!!!」
我慢の線が一線を越えた。
もはや暴発に等しい勢いで竜の中をオレの物で染め上げていく。
肉棒は脈動を続け、そのたびに竜の体がビクンと跳ね上がる。
「は、はぁぅ・・・」
ひときしりだし終えた後、大きく息を吐いた。
・・・と、また腰に違和感・・・もとい、快楽が走る。
「なっ・・・え!?」
「はぁ♥はぁ♥」
出し終えてしばらく恍惚に酔っていた竜が、またゆるゆると腰を動かし始めた。
「あったかいの・・・もっとぉ・・・たりないのぉ・・・♥」
「ま、待て、まだ敏か、あぐうぅ!」
射精直後のオレの体を、暴力的なまでの竜の腰使いが襲う。
竜は先よりも激しく上下に動き、狂おしいほどのに往復快楽攻撃を繰り出してくる。
気持ちいいのに、それに伴う、傷では味わえない形容しがたい痛みがオレの全身を回る。
「また、イ、く・・!?」
有無を言わさぬ射精への導きに、オレはまた竜の中に射精していた。
・・・が、竜はそんなことお構いなしに腰の動きを緩めない。
「は、がああ!!?」
「もっと、もっとちょうだい♥あったかいの♥! わたしにちょうだいいいいいぃいっぃぃいい♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
その声は懇願というより悲鳴に近い。
竜はオレの体をしっかりとつかみ、決して放さない。
「はむぅ、ん〜〜〜♥♥」
「あ、〜〜〜っ」
またも口付け。しかし、今度はオレに何かを流し込んでいるような気がした。
・・・気がした、というのは、もうこの時点でオレが竜に何をされているのかが分からなくなっていたからだ。
意識は朦朧として、何もしゃべれない。思考がドロドロに解けて、考えることさえ出来なくなった。
「あはぁ♥またでたぁ♥♥もっと♥♥♥♥♥もっとぉおお♥♥♥♥♥♥あったかいのぉおおおお♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
「・・・。」
―――痛みは無いようにって祈ったけど。
―――こんな死にかたってどうなのさ。
オレは、竜の嬌声を聞きながら、意識を落とした。
その人を見たとき。何も考えられなくなった。
その人を嗅いだとき。暖かさを感じた。
その人に触れたとき。確かな居心地の良さを感じた。
その人のものを受け入れたとき。これ以上無い幸せを感じた。
その日。私―――エルフィニーシャにとって、トマ・ヤシロは大切な存在になった。
ただよう匂いを元に歩き続けていったら、人間の作った建物についた。
中は誰もいなかった。私は匂いをたどった。
一つの場所についた。開けた。匂いで一杯だった。暖かかった。
特に匂いの強い場所を見つけた。心の底がぽかぽかした。まぶたが落ちるぐらい。幸せな空間。
・・・まどろみに、堕ちる。
扉を開けるとそこから広がる6畳一間のオレの部屋。
扉のすぐ横にグラキエスの能力を用いた魔力製の冷蔵庫がある台所、そのまた横にはトイレのある個室。
台所の方から後ろを向けば6畳の居間。
普段はそこで布団を敷いて寝たり、古紙を敷いてその上で訓練用の槍の手入れをしていたりしている。
その居間は壁際に小さな本棚と畳まれた布団がおいてあるだけで、殺風景な部屋というイメージが強い。
・・・そんな面白みも何も無い部屋の一角・・・厳密には畳まれたオレの布団の上に。
「すぅー・・・スゥー・・・ZZZ」
名も知れぬ誰かがうつ伏せで寝ころんでいた。
「・・・。」
しばし眼を瞑って、再度目を開く。同じ光景。どうやら夢ではないようだ。
部屋で待っている竜というのは、おそらくこの人ではないか。うつ伏せで寝ているその体の背には、大きな翼が生えていた。
・・・その翼がなんというか、禍々しい形になっているのが気になるが。
「えっと・・・あのー、起きてください」
とりあえずこのままではいけないだろうと、寝息を立てて眠る竜をしゃがんでその肩を軽く揺さぶる。・・・起きない。
揺さぶる。起きない。大きく揺さぶる。寝息は変わらない。力をこめて揺さぶる。ごろん。
「うおっと」
竜が突然寝返りを打った。うつ伏せから仰向けの状態になる。
そこでオレはまた気がついた。
「・・・なんだ。これは」
竜の体を見て思う。
あまり見たことがない色白・・・というか血の気のなさそうな青みがかった肌。
その肌を守るように突き出されている骨みたいな鱗。
顔の方を見れば、色白だが整った顔立ちに銀色の髪。頭から生える、これまた禍々しい形の角。
たぶん竜・・・種族的にはドラゴン、なのだろう。
だが、こんな妙な色合いと形をしたドラゴンは見たことが無かった。
「ん? 待てよ」
オレは思い出そうとする。
騎士団本部での講義の中で、今この世で知られている竜種について学んだ。
たしかその中に、こんな特徴を捉えた竜がいたような。
「んー・・・んうう・・?」
「お」
その竜の種類を思い出す前に、目の前の竜が目を覚ます。
生気が全くなさそうな肌なのに、その眼はどこか燃えるような、まるで太陽そのものを眼に宿したかのような紅(あか)い色をしていた。
そいつは寝ぼけまなこな状態で、何度も眼をこすりながら大きなあくびを漏らす。
そしてその視線がオレの方を見ると。
「・・・?」
一瞬キョトンとした顔をし、
「・・・。」
「お、おい?」
その顔をオレに近づけてきて。
「・・・(スンスン)」
「な、う、お!?」
オレの顔を嗅ぎ始めた。
いきなりのことにびっくりしてしゃがみながら後ろに離れようとしたが、その瞬間に竜の両腕が俺の腰をつかむ。
そのまま尻餅をつき、しゃがんだ状態から半ば押し倒されるような状態になるオレ。
「(スンスン)」
「な、ちょ、おい!?」
腰に手を回されながら、一心不乱に目の前のオレの体を嗅ぎ続ける竜。
竜の顔はだんだんオレの顔に近づいてきて、腰から腹を、腹から胸を、胸から首へ嗅ぎ続ける。
そして首を一通り嗅いだ後、顔をオレと同じ高さの部分で止める。
「・・・。」
「あ、あの・・・?」
無表情でじっと紅い目をこちらに向ける竜。その眼からは感情があまり読み取れない。
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
二人で沈黙。そして―――。
「・・・あはぁ♪」
「・・・!?」
急に竜の顔がニヘラぁ、と歪んだ。眼の中に表情が、笑みが見えた。
その不気味な笑みを直視し、オレは「それ」が何なのかを一瞬で理解してしまう。
―――餌を見つけた魔物の顔。
「ぐっ、放せ!」
急いで竜から距離をとろうとする。が、それより速く両肩を竜の両腕で抑えられしまい、竜に完全に押し倒される状態になった。
「にげちゃ、やぁ・・・♪」
「ええい、くそ!」
もがいてみるが、竜は放そうとしない。
肩はガッチリ固定されたまま。竜の体が、やわらかな胸が、ふくれた腹が、オレの体に押し付けられる。
竜はオレを見下ろしたまま不気味な笑みを絶やさない。口からは涎が垂れ、オレの顔にかかってくる。
「これでもう、にげられなぃい・・・」
「ぐ・・・!」
ほかになにか試す。オレにできることは。今のオレにできることは!!
―――このまま分け分からん竜に、喰い殺されること。
―――手足を拘束された今の状態では、他に何も出来ない。
魔物娘は人間を殺さないというが、見たこともない奴にこんな表情を向けられては、そんな常識も通じるかどうか微妙だった。
そもそもオレはこいつが魔物娘かどうかも分からないのだし。
(・・・万策尽きた、か)
オレはそう悟ると硬く眼をつぶった。せめて最後が出来るだけ痛みを感じないものであることを祈りながら。
―――その違和感に気づくのに、あまり時間は掛からなかった。
「ん〜・・・ちゅう・・・」
口に何かが覆いかぶさるような感触。
・・・なんだ? 予想していたものと何か違うものを感じて、閉じた眼をゆっくり開けると。
「アむ・・・ちゅぅうう」
「・・・!?」
オレの視界いっぱいに入る竜の顔。その顔は先ほどの不気味・・・というより、どこかうっとりとしたような表情をしている。
竜は、オレに口付けをしていた。
「ん、あむぅ・・・んっん〜♥」
「!、ッ〜〜〜!?」
それどころか、オレの口の中に竜の舌が入ってくる。
竜はオレの舌を絡めとると、それをそのまま今度は竜の口の中に持っていく。
竜の唾液の感覚が、口の温度が、オレの舌にダイレクトに伝わる。息が出来ない。
「ぷはぁ・・・んん〜!!」
「はぐっ、〜〜!」
口が離されたと思いきや、息つく暇も無くまた口をふさがれる。先ほどよりも強く口を押し付けて。
竜は肩においていた両腕をオレの頭に回し、片方をオレの頬に、片方を後頭部に回す。
オレの頭を動かないよう固定して・・・まるで大事そうに抱えながら、一心不乱にオレの口の中を蹂躙する。
「んっ、んっ、ん〜〜〜♥」
「〜〜〜〜!!」
どれくらい長くそうしていただろうか。
「ん、ちゅる・・・ぷはぁ」
息が出来ず、意識がもう少しで途切れそうな時に、竜はやっと口を開放してくれた。
竜とオレの口に透明な線が引かれる。それを見たのか竜は先ほどよりさらにうっとりとした表情を浮かべた。
「あはぁ・・・オスのニオイ、オスの味・・・おいしいぃ」
「けほっ・・・う、あ」
オレは咳き込みながらも、なんとか今の状況を見ようとする。
「まだたりなぁい・・・もっと、あたたかいのぉ・・・」
そんな中で聞いた竜の声。
歪む視界の中でその竜のほうを見ると、竜はオレの下半身を何か漁っていた。
そして。
「これ、じゃまぁ!」
竜はオレの履いていたズボンを引き裂いてしまった。
「あはぁ♪」
露になったオレの"モノ"を見て、竜は目を輝かせていた。
人間は命の危険を感じると、子孫を残すためにそういう機能を全開にするというが。今のオレのモノはそういう状態であった。
竜はそれに自分の腰を・・・露にした秘所をすり合わせ始める。
「はぁぁぅ・・・キモチいい・・・あったかい・・・」
「あ、うあああ・・・!」
竜は気持ちよさそうに顔をだらしなく緩めていたが、オレのほうもそれに負けないくらいの快感が襲っていた。
ただすり合わせているだけ・・・だというのにその感触は今まで受けたことの無い感触に満ちていた。
やがて竜はすり合わせるのをやめ、腰を浮かす。
「はぅあ・・・もっとぉ・・・」
竜はそのまま、自らの秘所を指で広げた。
朦朧とする意識の中でも、そのピンクに染まった内壁がヒクヒクと蠢いているのが分かる。
そこから口と同じくらいの、涎のように垂れてくる粘液。それがオレのモノにポタリと落ちて来る。
そこまできて、次に竜が何をするのかが分かる。
「ま、まさ、かっ・・・や、やめ・・・!?」
なんとか今出せる力で止めようとしたが、竜を止めるにはそんな力はあまりにもあっけなく。
「ふぅ・・・あああああああああああああああああ!!」
「ぐ、ああああああ!!?」
竜がもう待てないと言わんばかりに腰を落とす。
オレのモノは竜の中に一気に招き入れられてしまった。
「はぐ、あ、ああ!!?」
瞬間、快楽の渦が襲う。
入れられたときもだが、竜の中はやわらかく、それでいてわずかな弾力があった。
それが一気に肉棒に締め付けるように収縮し、肉壁についていたひだが艶かしく絡みつく。
もう放さないといわんばかりに肉棒を締め上げ、それに粘液がついたひだの一粒一粒が全身を擦っていく。
その感触はオレの体の力を奪っていくには十分すぎる威力だった。
「あ、あへぁ、ああ・・・♥」
竜の方はというと上体を大きく反らし、ビクビクと体を震わせていた。
たぶん、入れた瞬間にイったのだろうか。ここからでは表情が見えないが、きっと今まで以上にだらしない表情をしているだろう。
「おおきい・・・あったかい・・・あったかいよぉ・・・」
竜はしばらくの間体を震わせていたが、やがてゆっくりと腰を動かし始める。
「は、がぁ!!」
「あはっ♥ いいっ♥ これ、いい〜っ♥」
腰を動かすスピードがだんだん速くなってくる。打ち付ける水音が大きくなってくる。
入れられるだけで快楽がすさまじいのに、動かしてくるとなると、いよいよもってこちらも我慢が消えかかりそうになってきた。
「や、やめ・・・で、出るか、ら!」
なんとか懇願の声を出したオレであったが。
「はぁ♥はぁ♥もっと♥もっとぉ〜〜♥」
必死に打ちつける竜の耳には届いていなかったらしく。
竜は腰をくねらせ、なにかをせがむ様に肉壺を締め続けた。
「だ、い、射く!!」
「はう、あ、あっああああああああああああああああああ♥♥♥♥♥♥♥!!!」
我慢の線が一線を越えた。
もはや暴発に等しい勢いで竜の中をオレの物で染め上げていく。
肉棒は脈動を続け、そのたびに竜の体がビクンと跳ね上がる。
「は、はぁぅ・・・」
ひときしりだし終えた後、大きく息を吐いた。
・・・と、また腰に違和感・・・もとい、快楽が走る。
「なっ・・・え!?」
「はぁ♥はぁ♥」
出し終えてしばらく恍惚に酔っていた竜が、またゆるゆると腰を動かし始めた。
「あったかいの・・・もっとぉ・・・たりないのぉ・・・♥」
「ま、待て、まだ敏か、あぐうぅ!」
射精直後のオレの体を、暴力的なまでの竜の腰使いが襲う。
竜は先よりも激しく上下に動き、狂おしいほどのに往復快楽攻撃を繰り出してくる。
気持ちいいのに、それに伴う、傷では味わえない形容しがたい痛みがオレの全身を回る。
「また、イ、く・・!?」
有無を言わさぬ射精への導きに、オレはまた竜の中に射精していた。
・・・が、竜はそんなことお構いなしに腰の動きを緩めない。
「は、がああ!!?」
「もっと、もっとちょうだい♥あったかいの♥! わたしにちょうだいいいいいぃいっぃぃいい♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
その声は懇願というより悲鳴に近い。
竜はオレの体をしっかりとつかみ、決して放さない。
「はむぅ、ん〜〜〜♥♥」
「あ、〜〜〜っ」
またも口付け。しかし、今度はオレに何かを流し込んでいるような気がした。
・・・気がした、というのは、もうこの時点でオレが竜に何をされているのかが分からなくなっていたからだ。
意識は朦朧として、何もしゃべれない。思考がドロドロに解けて、考えることさえ出来なくなった。
「あはぁ♥またでたぁ♥♥もっと♥♥♥♥♥もっとぉおお♥♥♥♥♥♥あったかいのぉおおおお♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥♥」
「・・・。」
―――痛みは無いようにって祈ったけど。
―――こんな死にかたってどうなのさ。
オレは、竜の嬌声を聞きながら、意識を落とした。
その人を見たとき。何も考えられなくなった。
その人を嗅いだとき。暖かさを感じた。
その人に触れたとき。確かな居心地の良さを感じた。
その人のものを受け入れたとき。これ以上無い幸せを感じた。
その日。私―――エルフィニーシャにとって、トマ・ヤシロは大切な存在になった。
17/04/24 18:59更新 / キンロク
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