連載小説
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ある道中の話
ある晴れた昼下がり、スオミへと続く道
荷馬車がゴトゴト、冒険者を乗せていく

「かわいそうなルース♪ 怪我しているよー♪」
「曇りなき瞳で見ているよー♪」
「ドナドナドーナードーナー♪ ルースをのーせーてー♪」
「ドナドナドーナードーナー♪ 荷馬車がゆーれーるー… なんなんですかこの曲?」
「俺作詞。 怪我をして暇なテーマ」
「ふざけてると、ほんとにお前を売っぱらっちまうぞ!? おとなしくしてろよ!!」

いつもの色々足りない3人衆と、魔物美少女2人である。
彼らは、前回山賊から助けた行商隊にそのまま雇われて、スオミまでの道中をともにしているのである。
と言っても、基本的には夜間にキャンプをする時の見張りくらいしか仕事がないので、昼間は療養中のルースが寝ている馬車に集まっていたのであった。

「つまり、早い話が彼らは暇を持て余しているのである」
「おい、スピット。 さっきから何をしゃべってるんだ?」
「いえ… ここに置いてあった『ナレーション用台本』というのを音読しているのですが…」

ホ! いつの間に!

「早く返してあげなさい!!」
「では、代わりにこの『今回の話の概要』という紙を読みましょうか…」
「何それ!?」
「今回の話はいわゆる番外編みたいなものです。 長いのを書きすぎて疲れた作者の息抜きです。 4コマみたいなものだと思って気軽にお読みください。 だそうです」
「メタ全開じゃねえか!!」
「始まるよー」
「ツッコミが追い付かねー!?」


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怪我

「それで、結局ルースさんの怪我はどんな感じだったんですか?」
「完全に折れていると思ったのですが… ひびが入っただけで済んだようです」
「でもなー、こうやって治癒の魔法陣の上に寝て、骨接ぎの薬飲んで安静にしてないといけないんだってー」

そう言って、ルースは自分のそばにあった薬ビンを投げてよこした。

「へぇー… 世の中にはこんな薬もあるんですね… ん?」

スケルトン印の骨接ぎ薬!
私の骨を混ぜました♪

「えぇー…」

本人の写真付きでした。


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「しかし、鉱山でも捕まって縛られてたのに、また山賊にも縛られてたとはなぁ…」
「いやぁ、まったく面目ない」
「ルースはよく縛られるっていう星の元に生まれたのかねぇ」
「それなら、今度は亀甲縛りにされちゃったりして…」
「いいえ、シェリル。 私の予想では、首輪ではないかと」

各々冗談を飛ばしていたが、ルースがさらりと言った。

「それどっちも小っちゃいころに母さんにやられたよ?」
『うわぁ…』

縛っておかないと、すぐにどこかに行っちゃうんです… by ルースの母


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モデルはア○シンブレードなんです

「縛るって言えばさぁ。 スピットは暗器で縄を切ればよかったんじゃないかい?」
「そうですよ。 イザヤさんに信号を送ってたんですから、暗器は没収されてなかったんでしょう?」
「ええ、一応試そうとはしたのですけれども… 奴らの縛り方がよくなかったので…」
「それで? どうなったんだい?」
「掌の肉をうっすらと削ぎおと…」
「止めろぉ!! それ以上言うなぁ!!」

指が無事でよかった…


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あの口調はすごく書きやすかったです

「そう言えば、シェリルは自分のこと“我”って呼ばないんだねぇ」
「それはもう蒸し返さないでってばぁ…」
「あれは必死に威厳を出そうとしてたんだっけなぁ! ハァッハッハッハッハ!」

ヒュン
バシィィィィン!!

「ウボァー!?」
「尻尾の一撃でオディがすっ飛んでった…」
「シェリル。 単純な興味なのですが、そのキャラには何か参考にしたものがあるのですか?」
「え? えっとですね… あのしゃべり方はですね…」

しばらく考えてから、思い出して言った。

「あ、そうだ! あれは夫婦喧嘩の時のママを参考にしたんでした!」
「団長ぉぉぉぉぉぉぉぉ!?」
「おお、おかえりオディ」

オディ… 尻に敷かれるってのも… 悪くないぜ? by 元騎士団長


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トラン○ム

「オディの体って、魔力で動くんだよね?」
「あぁ… 正確に言うと、体内の魔力炉ってのを動かすのに魔力が必要なんだがな」
「その魔力ってのは、どうしてるんだい?」
「今までは魔力を封入した特別な箱… アイツは魔力バッテリーって呼んでたか… とにかく、そのバッテリーを交換して補給してた。 今はスミの付けた龍撃砲の機構を利用して、空気中から吸い取ったり、魔物から吸い取ったりもできるがなぁ」
「それじゃあさ! たとえばシェリルが持ってる魔力を吸い取って、その魔力を使って出力を上げるってのはできないのかい?」
「あぁー… まぁできなくはないだろうなぁ、うん」

それを聞いていたルースがぽつりとつぶやいた。

「女性から吸い取って、元気になる男かぁ…」

………………

「変態だなー」
「変態ですね」
「変態だねぇ」
「変態です…」
「ひどいっ!?」

これが世界の歪みか…


―――――――――――――――――――――――……


トラン○ムライザー

「オディが使ってる剣は、オディが魔力を注ぎ込んで刀身を作るんだって?」
「ああ。 動力となっている魔力を剣にまわすことによって、刀身を形成するんだ」
「その刀身の強さってのはどうなってるんだい?」
「注ぎ込んだ魔力に比例する。 魔力を多く注ぎ込むほど強い剣になるぞ」
「それじゃあさ! シェリルから魔力を吸い取って、その魔力を全部剣にまわせばものすごくでかい剣が作れるのかい?」
「あ…あぁ… 多分作れると思うぞ…?」

「女性から吸い取って、ぶっとい剣を作る男か…」

………………

「変態だなー」
「変態ですね」
「変態だねぇ」
「変態です…」
「お前らなぁ!?」

やぁぁぁぁってやるぜ!!


―――――――――――――――――――――――……


旅のお供に

「オディ、この前の整備で増えた機能を確認したいのですが…」
「あぁ、腕部に龍撃砲機構と、頭部の視覚認識機構の一新だそうだ。 詳しくは…」
「スピットさんはなんでおじさんの機能を確認してるんですか?」
「それはですね、私が、オディに何か異常があった際の緊急の整備士を兼任しているからです。 一応魔術師なので、オディの体の仕組みなどは理解しているのです」
「幸い、今まで一度も診てもらったことはないがなぁ… こいつに俺の体をいじらせたら、どうなるかわからんからなぁ…」
「それじゃあ、おじさんの体にどんな仕掛けがついてるかとかも知ってるんですか?」
「ええ。 腕部の武装に射出式パイル。 脚部には魔力原動車輪と魔力剣を格納。 腰部に魔力式チャフスモークなんてのもありますね… ああ、あとこんなものもありましたね」

そう言って、スピットはオディの腕をひっくり返して、肘の裏側の方に向けた。

パカッ
ウィィィィィィィン…

腕を開くと、中には無数のローラーが蠢いていた。

「こ…これは… 一体なんですか…?」
「これはですね…」

ごくりっ…

「美顔ローラーです」
「ズコー!!」

旅人にも美顔ケアは必要でしょ、とは改造主の言


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ボーイズトーク

「あれ? イザヤとシェリルはどこだ?」
「あー… なんか二人で手合せをしに行ったみたい」
「今この場には我々しかいませんね」
「ほぅ… 俺らだけかぁ… となると…」
「猥談だね!」

オディとルースの息はぴったりだ。

「待ってください。 なぜ男性だけの会話が猥談になるのですか?」
「おいおい、とぼけてくれちゃって〜… お前、なんだかんだ言ってイザヤとはやることやってるんだろ〜?」
「そうだよ〜。 心が無いから発情はしないって言ってたのはどこの誰だっけ〜?」

二人が囃し立ててきた。
まるで、中学生みたいなノリだった。

「なるほど。 確かに私は発情することはできませんけど、やりようによってはなんとかなることがわかりました」
「ひゅ〜! ヤリようによってはだってさぁ! それで? 発情できないはずのスピットさんは、どうヤってるんですかぁ〜?」
「ひゅーひゅー!」

この二人、ノリノリである。
スピットはそれに対して、ふつうに答えた。

「そうですね… 本番に入る前に、薬理的な作用によって勃起を促していますね。 具体的には、魔界製のバイア○ラなどを服用しています。 それと、普段の食事に亜鉛を多くとるようにしています。たとえばレバーや豆類をよく食べるように心がけていますね。 そして、毎日有酸素運動を…」
「ごめん、スピット。 俺たちが悪かった。 もう聞かないからそれ以上言わないで…」
「? 何故ですか、ルース?」
「なんだか… 聞いてるうちに男として辛くなってくるんだよぉ…!」

違和感を感じたら、あなたもすぐに病院へ。


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ステンバーイ…

「距離…およそ300くらいかねぇ?」
「よーく狙って… 魔力充填… ファイアッ!」

タァ――――ン!………

「……ハズレだねぇ…」
「あぁぁー… なかなか上達しないなぁ…」
「ハーピー達と戦ってた時はちゃんとできてたのにねぇ」
「あの時はめくら撃ちでなんとか当たってただけですよぉ… どうにもこういう細かいことはまだうまくいかなくて…」
「う〜ん… アタイの里では、森の妖精に頼めば腕が上がるって言われてるんだけどねぇ…」
「なんですか? その森の妖精って?」
「知らないのかい? 全身から草が生えた妖精さんにお願いすれば、弓の腕前がみるみる上達するのさ! 上手くいったときは『ビューティホー…』って言って褒めてくれるんだよ!」
「う〜ん…? よくわからないけど、そういうのじゃないので何かないですか?」
「そうさねぇ… 細かいことが苦手なら、普段から細かいことをしてみるとかどうだい?」
「それ良さそうですね! 普段からお裁縫とか、お料理とか、武器の手入れとかしてみるといいかもしれませんね!」
「あとは、相手の揚げ足を取ったり、どうでもいい失敗をあげつらったり、相手の仕事の粗を探すのもいいかもねぇ!」
「いえ… その細かさは必要ないような気がするのですが…」

窓枠を指でつーっと。


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ハートを、ぶち抜くゾ?

「そういえば、その銃は魔力を飛ばしてるんだよねぇ?」
「えぇ、私の魔力を注ぎ込んで、それを弾丸にして飛ばしているみたいです」
「それで撃たれるとどうなるんだい?」
「圧縮した魔力を直接ぶつけているので、すごい衝撃を感じて、なんだか痛いらしいです。 でも、もともとが魔力なので肉体に傷が残ったりすることはないそうです。 最大まで溜めるとさすがに命の危険が伴うかもしれませんが…」
「てぇことはだよ? アタイたち魔物の魔力で人間を魅了したりするじゃないか。 だから、その銃で撃ったら、もしかして相手を魅了できるんじゃないかい?」
「まさかぁ〜。 そんなことがあるわけないじゃないですかぁ〜」
「じゃあ試してみないかい? ほらあそこでけだるそうにしてる見張りに、気付かれない程度の威力でさぁ!」
「えぇ〜? まぁ…そこまで言うなら… 無駄だとは思いますけども… えいっ」

チューン
ピシッ

―アゥン!

「当たったみたいだねぇ」
「当たりましたねぇ」

―ナ、ナンダ!? イマノハ!? カラダニ、ナニカガアタッタヨウナ…

「慌ててるねぇ」
「慌ててますねぇ」

―ア、アレ…? ナンダカ、カラダガアツクナッテ…

「もじもじしてるねぇ」
「もじもじしてますねぇ」

―ン? アソコニイルオンナノコ… スゴイキレイ…

「こっちを見てるねぇ」
「こっちを見てますねぇ」

―モシカシテ… サッキノハ… コイ!? ソウカ! オレハ、アノオンナノコニホレタノカ!

「何か納得してるねぇ」
「何か納得しましたねぇ」

―ソウトキマレバコクハクダ! イイカラコクハクダ! トニカクコクハクニカケロ!

「こっちへ走ってくるねぇ」
「こっちに走ってきましたねぇ… って、えぇ!?」

―すいませーん! そこの方! 俺の話を聞いてくださーい!!

「どうするんだい? シェリル」
「こうなったら、仕方がありません…! 逃げるんですよぉ―――!!」

結局、彼の気のせいでした。


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設定その1

「そういえば、イザヤっていくつなの?」
「おいルース… 女性に年を訊ねるのは失礼だろうが…」
「別にかまやしないさ。 アタイは今年で19になるよ!」
「ほう。 私と3つ違いだったのですね」
「ということは… スピットさんは22なのですか?」
「ええ、そうです。 ちなみに、ルースとは19のときに知り合いました」
「その時、俺は14だったよ」
「じゃあ今は17… 二人ともまだ若いんですねぇ」
「そうなると、あとはオディとシェリルの年齢だけですね」
「そういえばオディの年齢は俺も知らないや」
「それで? 二人はいくつになるんだい?」
「50です」「75だな」

『………えっ?』

「あれっ? あのっ。 ですから、私達ドラゴンは長寿の種族でして…成長もそれに伴って緩やかなのでして… けしてすでに中年というわけでは…」
「俺は25の時に体を失って… アイツに見つかるまで42年だったかな… とりあえずそのくらい時間が経ってるからなぁ。 今はもう75だぞ?」

「25歳の年の差カップルかぁ…」
「その言葉だけならものすごい犯罪の匂いがしますが… いかんせん両方の年が高いせいか、多少軽減されてしまいますね…」
「まぁ、愛に年の差なんて関係ないからねぇ」

「? 何話してるんでしょうか?」
「どうせ碌な話じゃないだろうよ…」

これにはアグ○スも苦笑い。


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設定その2

「さっきは年齢と来たから、次はみんなの身長を聞いてみよー」
「いつのまにか暴露大会に…」
「まぁ、こいつのノリなんて大体こんなもんだ」
「一番身長が高いのは間違いなくオディでしょう。 全高1950mmですから」
「その表し方はやめろ! 素直に195cmって言えばいいじゃねえか!」
「その次はシェリルかなぁ。 角も合わせれば180くらいに見えるし」
「年齢も身長もツートップですね」
「アタイとスピットがあまり変わらないくらいかい?」
「そうですね、大体175と言ったところでしょうか?」
「俺168くらいなんだー。 やっぱり俺が一番低いのかー」
「あれ? ルースさんってもう少し大きい印象があったんですが…」
「そりゃぁ… ルースにはアレがあるからなぁ…」
「アレ? アレっていったいなんですか?」
「オディの言っているのは、あそこにあるアレのことでしょう?」
「え?」

⇒“槍(アレ)”

「ああ… なるほど…」

槍とルースでワンセット。


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妥協

「シェリル、武器の手入れはちゃんとしておけよ。 自分の身を守るものだからなぁ。 ちゃんと自分で手入れしないといけないんだ」
「はい、わかりましたおじさん」
「オディ。 私の武器の手入れをお願いしてもよろしいでしょうか」
「あれ? スピットさんはご自分で手入れをなさらないんですか?」
「ええ。 私の武器の手入れは、いつもオディにやってもらうことにしています」
「へぇー… なんだか意外です… スピットさんは自分の武器にはこだわっていて、他人には触れさせないっていうイメージでした…」
「いえ、そのイメージで合っています。 本来であれば自分で手入れをしたいのですが…」
「どうして自分で手入れをしないんですか?」
「こだわりすぎて妥協点が見いだせず、いつまでたっても手入れが終わらないのです」
「なるほど…」

職人のこだわり


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ヘリコプター

「…」
「ふーんふふーんふふーん♪(料理中)」

パタパタパタ

「…」
「ふーふふー… ひゃっ!?」

ぴーん

「…」
「ああ… そんな…」

ぺたーん

「…」
「おや、イザヤ。 どうしたのですか?」
「あっ! スピット! いや大丈夫さね! なんでもないよ!」

ブンブンブンブンブン

「…なー? 分かりやすいだろー?」
「ええ… 尻尾にあんなに感情でるんですね… 私も気を付けます…」

犬のしっぽって、なんであんなにわかりやすいんでしょうね。


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サンズリバー観光

「ご飯ができたよ! みんなたんと食いな!」
「うっひょー! いただきまーす!」
「イザヤさんのお料理、よくできてて美味しいです!」
「あぁー… こういう時だけは生身の体が懐かしくなるなぁ…」
「では、今度味覚認識を調整してもらいましょうか?」
「よせやぃ。 食費がかからないってのは、それはそれで便利だからなぁ」
「ねぇ… スピット… 実はアンタに用意した特別な料理があるんだけど… いるかい?」
「あー、いいなぁー。 スピットだけずりぃなー」
「野暮なこと言うもんじゃないぞ、ルース。 妻の手料理が食べれるってのは夫の特権だからなぁ」
「ええ、是非。 イザヤの料理ですから喜んでいただきましょう」
「よかった! これなんだけど、腕によりをかけて作ったんだ! 味わって食べてね!」

ずもももももももももも…

イザヤが取り出した器には、名状しがたい食事のようなナニカが入っている…

「…!? なんだありゃぁ…!? あれが料理だっていうのか…!?」
「イザヤの料理から光が逆流して… うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あぁ!? 見ただけでルースさんがやられた!? そんなバカな! イザヤさんは普通においしい料理が作れる人のはず…! ハッ!? まさかっ!?」
「知っているのか! シェリ電!」
「ええ… 聞いたことがあります… 普通に料理をすれば美味しいものを作れるのに、一度張りきってしまうとよせばいいのに余計な手を加えたがる料理人… あれは間違いありません! イザヤさんはアレンジャー! 限定的メシマズなんです!」
「な、なんだってェー!?」
「あ… あんなものを作って喜ぶか… 面妖な変態料理人め…」
「だが、相手はあのスピットだ…! あいつならバッサリと断るに違いない…!」

「ありがとうございます。 それではいただきます」

『イったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?』
「なんて懐の深さだ!! 嫁のすべてを取り込もうというのかぁ!? あいつは!!」
「でっ…ですがっ! いくらスピットさんと言えど、あんなの無茶です! 彼は大丈夫なんですか!?」
「ス…スピット… それ… 大丈夫なの…?」
「ルース達が何を騒いでるのか知りませんが、料理は料理なのです。 別に食べれないものというほどでは… !?」

腹<アノヨデオレニワビツヅケロォー!!

「イ…イザヤ… 次からは… 張りきって頑張らず… 普通に作って… うわらばっ!!」
『スピットぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
「きゃぁーーー!? あんたーーーーーー!!」

FATAL K.O.


―――――――――――――――――――――――……


日も沈むころ…

「ごめんよぉ、スピットぉ… 次からは変なことしないよぅ…」
「ふぅ、ヘルメットが無ければ即死でした」
「いや、それ全然関係ないし、そもそもお前ヘルメットなんかつけてないだろう」
「むしろ、即死しかねない時点で何もかも間違ってます…」
「細かいことはいいんです。 それより、そろそろ見張りの時間ですが…」
「おお、もうそんな時間か。 それじゃぁルース、俺らは行ってくるからおとなしく寝てろよ?」
「おっけー。 いやー、なんか今日も楽しかったなー。 毎日暇しねぇや!」
「ふふっ、そうだねぇ。 スピット達と居ると毎日愉快でたまらないねぇ」
「その愉快の裏で、おじさんの屍がいくつ築かれたのでしょう…」
「そういうセリフは死亡フラグって言うんだそ、シェリル… 油断してると、お前もあおりをうけるぞ?」
「いえ… もう遅いです…」
「どうしてこうなった… さっさと仕事終わらして、寝ることにしよう… そうして忘れるんだ…」
「それでは、行きましょうかイザヤ」
「うん! 行こう、スピット!」
「みんな行ってらっしゃーい」
「ええ、ルースさんも安静にしていてくださいね」
「それじゃあ、仕事をするとしますかぁ…」

そうして、行商隊での夜は更けていく。
彼らの旅路はまだまだ続くのであった。


―――――――――――――――――――――――……


「………えっ? 今回、ラストの部分の話進めないの?」

日常回にオチ担当はいらぬのだよ。

「そんなぁ〜… ただでさえ、ヒロインなのに最後の部分しか出番がないから困ってるのにぃ〜…」

ナレーションの仕事なら空いてますが。

「いらないわよ!」

じゃあ、せめてこれだけ読んでくださいよ。

「何よこの紙… 『みなさん、次回もまた見てくださいね〜』?」

またね〜。

「え? ちょっと!? これで終わりなの!? うぅ… 早くあの人に会いたい…」
12/07/21 13:56更新 / ねこなべ
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■作者メッセージ
皆さまここまで読んで下さってありがとうございます。
作者のねこなべです。

今回のお話は口直しといいますか、かるーい雰囲気の小ネタ集がやりたくて書いた回です。
最初でメタってる通り息抜きのつもりだったのですが、8000文字超えてる時点息抜きとしてでどうなんでしょうね。

ついでに、ちょっと設定を垂れ流したり、ツッコミが入るかなぁと思った部分の言いわ…ゲフンゲフンをやったりしてます。

さて、次回はシェリルメインのお話…になるかなぁ?
もしかしたら違う感じになるかも、まぁ書き始めてみないとなんともです。
まったりゆったりお待ちしていてくださいね。

それでは、また次回

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