プロローグ《淫乱竜姫の夫とガイドブック》
何が不思議の国だ、と僕は無意識に独りごちた。
猫の耳と尻尾を生やし、胸をほとんどさらけ出しているような格好の魔物娘に言われた事を思い出しながら、ド派手で可愛らしいピンクや紫に彩られた急斜面を僕は登り続けていた。
ちらりと後ろを振り向くと、先程まで普通の道だった場所が、明らかに身体に悪そうな色合いをした極彩色の液体がゴウゴウと氾濫した河川のごとく流れている。
時折その流れの中で、楽しそうな歓声を上げつつ下流へと流されていく人間や魔物娘たちが居たが、僕はあえて見なかったことにした。
見ての通り、この国はおかしいことだらけだ。そもそも僕がなぜこの国に居るのかも良く分からない。
いつも通りに道場で剣術の稽古を終えて、いつも通りの道のりで帰宅していたにも関わらず気づけばこのめちゃくちゃな世界に放り出されていた。
初めは稽古の疲れで幻でも見ているのかと思った。それにしては見るもの触れるものに現実感がありすぎるし、たぶん違う。
次に何らかの魔物娘の仕業なのでは、と考えついたが、このヘンテコな場所に迷い混んでから恐らく既に三時間以上は経過しているし、もしそうならばとっくの昔に襲われてしまっているだろう。
分からないことを考えていても仕方ない。そこで僕はしばらく辺りを歩き回り少しでも現状の理解に努めようとしていたのだが……そんな中出会ったのが先程の猫耳魔物娘だ。彼女はチェシャ猫という種族で、ケイトと僕に名乗った。
彼女はその奇抜な見た目とは裏腹に、ここが不思議の国という土地で、僕がいた世界の常識は通用しないこと、そして幾つか気をつけておいた方がいいことを親切に教えてくれたのだった。その大半ははっきり言って何を言ってるのか理解できなかったのだが。
あらかた説明し終えると彼女はいやらしい微笑みを浮かべながら、ぼんっ、と煙と共に一瞬でどこかへと姿を消してしまった。いったい彼女は何者だったのだろうか。
それから奇妙な植物の生える森(やはりというかどの草木も極彩色の不可思議の色合いをしていた)を抜け、湖にたどり着いたと思ったら、突然その湖の水面が爆発的に盛り上がり、周囲にいた人々を呑み込んでいったのだった。
僕は命からがらその洪水から逃げおおせることに成功し、なんとか高台にまで辿り着くことが出来たのだった。
そして今に至るというわけだ。
おかしいことと言えばこれら以外にもまだある。
その、少々恥ずかしいことなのだが……湖から溢れ出たこの謎の液体が発する匂いを嗅いでから、どうも愚息の勃起が治まらないのだ。
初めは稽古や見慣れぬ土地に対する疲れによるものかと考えていたが、この液体の匂いが鼻腔を満たす度に下半身に血が集まっていくのを感じた。
着物の股間をパンパンに膨らませながら歩くのは少々難儀で、どこか独りになれるところがあれば、すぐさま抜いてしまいたい衝動に駆られ、抑えられなくなってきていた。
辺りを見渡す限り、どこにも人はいない。ならば、ここで情欲を発散してしまってもよいのではないか?そんな淫らな考えが頭をよぎる。
それは、この国の不思議な空気に充てられて今のおかしくなってしまった僕にとって、これ以上ない名案に思えた。
地面に座り込み着物をたくしあげると、下に穿いていたふんどしを脱ぎ、熱く滾った肉棒を解放する。ぶるん、と音が聞こえるような勢いで股間のそれは天を突き反り返る。へそに先端がついてしまうほど、かつてないほどにビンビンに勃起している逸物を見て、僕は思わずごくり、と喉を鳴らした。これを思いっきりしごいてしまったら、どんなに気持ちいいだろうと想像して。
いよいよ自慰を始めようと手を伸ばしたところで……僕の耳はバサバサと空気を叩く乾いた音を捉えた。鳥か何かだろうか、と顔を上げると、僕の顔に何か透明な液体が降り注いだのだった。
反射的に顔を俯かせて付いた液体を手のひらで拭き取ると、なにやら粘ついている……それは今も僕の愚息の先端からとぷとぷと滲み出ている、先走りにも似ている液体だった。
頭上に何かいる―――再び見上げた僕の目に映ったのは、この浮わついた国におよそ似つかわしくない、鱗に覆われたゴツゴツの手足と翼。トカゲを想起させる細くしなやかな物と、それぞれ口を備えた、一対のぬらりとした質感の計三本生えた尻尾。頭の横から背中の方向に伸びた四本の角は、光を照り返し妖しくも勇壮な輝きを辺りに放っていた。
その角の下では、宝石を思わせるオレンジ色の瞳が僕を射抜くような眼光を放ち……そのさらに下では、むちむちとしたチョコレート・スキンが眩しい太ももを伝って、股ぐらから流れ出した滴がこちらへ垂れてきている。
―――間違いない、彼女がケイトの言っていた、ニバンメ山の頂上に住む、竜の魔物娘。ジャバウォックだ……!
「……」
「…………」
「………………」
僕たちはしばらく互いを見つめあっていた……。僕は彼女の視線で縫い止められたかのように、その場から動けない。恐怖か何かで固まっていたのか、何らかの魔術がかけられていたのかは分からない。ぴちゃぴちゃと彼女の股間から溢れてくる液体が僕の顔を打つ音だけが辺りに響いている。
「……♥」
不意に、彼女がにんまりと口角を釣り上げた。その笑顔を見て僕は背筋がゾクゾクと震えるのを感じた。
恐怖からではない。その、とろとろに爛れきった笑みを見て、僕の身体が反射的に反応したのだ。
―――彼女は類い希なる、極上のメスなのだと。
「き、君は……」
「ふふっ、ようやく見つけたぞ……♥
私に相応しい、私だけのオス。……私だけの夫(つま)を!!」
……これが、僕と彼女との出会い。
アーネスト・ヴォーパル二世ことアニーとの、淫らな生活の始まりだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
時は過ぎ、あの出会いからおよそ二年の月日が経った。
あの後アニーと僕はすっかり意気投合したどころか、互いに好意を寄せるようになり、今では立派な夫婦としてニバンメ山で幸せな生活を送っている。
そして僕はすっかり不思議の国の奇妙な習慣や常識にも慣れてしまい、むしろ元の生活よりも心身ともに充実した毎日を過ごしていた。
そんなある日のことだ。
「ううっ……この私がこんな醜態を晒すなんて……!
アズマよ、見ていろっ!次こそは耐えきってみせるからな……!」
「はいはい、分かったから静かにしていてよ。お医者さまからは安静にしているように言われたんだから」
「くぅ……面目ない……頭がまだくらくらするぅ……」
僕はうんうんと熱に浮かされるように身悶えするアニーの頭を膝の上に乗せて(所謂膝枕というやつだ)、団扇で火照って真っ赤になっている顔を扇いであげていた。
別に病気かなにかと言うわけではない。ドラゴンの一種である彼女の身体は強靭で、そうそう病気などにかかることなどない。
彼女の今の状態を説明するには、不思議の国で発生するとある現象と、アニーが与えられたとある仕事のことについて話さなくてはならない。
不思議の国はハートの女王と呼ばれる、強大な力を持った魔物娘が作り出した異世界だ。
魔物娘が作り出した世界なだけあって、そこかしこに淫らで愉快なハプニングが引き起こされるように魔法が仕込まれており、不思議の国の住人たちはそれらのイベントを日々楽しみつつ、自由気ままに生活を送っている。
そのイベントの中に、媚薬の雨というものが存在する。
これは文字通り人間や魔物娘の情欲を掻き立てる強力な媚薬が空から降ってくるものであり……降ってきた雫が直接身体にかかるのはもちろんのこと、その雫で出来た水溜まりから立ち上る香りを吸っただけで発情を促す。そうして理性を溶かされた住人たちはこの降って湧いたイベントを楽しむべく、大抵外だろうとお構い無くパートナーと交わり始める。そして雨が止んだ後もしばらく、辺りは肉と肉がぶつかるパンパンという音や淫らな体液、魔物娘たちの嬌声で満たされるのだ。
そしてアニーはそんな不思議の国を治めているハートの女王から、この不思議の国に訪れたり迷ってきたりと、様々な理由でやってくる者たちから、国を守る仕事を仰せつかっている。
無害そうな男やハートの女王が呼び寄せた者が入った場合はともかく、ときおり魔物娘を毛嫌いしている者たち……例えば神に仕える教団の司祭や修道師……などの魔物娘やそのパートナーに危害を可能性がある者が現れた場合、彼女は彼らの元に急行し、速やかに無力化。女王に仕える兵士たる、トランパートという宙に浮かぶ巨大なトランプに身を宿した魔物娘にその獲物≠引き渡したり、場合によっては女王陛下に断罪してもらうべく、裁判所へ直接連行することもある。
そんな栄誉ある役目だが、アニー自身は実はあまり乗り気ではない。正確には、乗り気ではなくなってしまった=B
理由は単純で、
「最愛の夫(つま)と片時でも離れたくない!ほんの少しでもアズマの顔を見られなくなるのは余りにも辛すぎるのだ!頭おかしくなるぞっっ!」
……ということらしい。
そう言ってくれるのは嬉しいのだけど、仕事は真面目にやって欲しいと僕がしっかり頼み込んだ後はいくらかマシになったものの、それまでは行きたくない行きたくないと子供のように駄々をこねる始末だった。今でもたまにそんな風になるが。
そんな訳で、僕と離れ離れになっている間に溜まりに溜まったストレスを吐き出すべく、仕事帰りの彼女はいつにも増して激しくねっとりとした性交をするのがお決まりとなっていた。
現在の彼女は、その仕事から帰ってきたばかりである。普段ならすぐにでもベッドで愛し合うのだが、彼女はふらふらへろへろとまるで酔っぱらいのような姿で帰ってきたのだ。すぐさま医者を呼び、診察してもらったところ……原因は媚薬の過剰摂取=B
なんと彼女はより僕と淫らで新鮮なセックスをするべく、帰り際にたまたま発生していた媚薬の雨雲に突っ込んでしまったそうなのだ!
媚薬が完全に抜けるまで安静にするよう医者に言いつけられた僕たちは、こうして久々にまったりとした時間を過ごしていたのだった。
「ほら、アニー。君の好きな代用海亀頭のスープだよ。飲める?」
「んくっ、んくっ……はやくアズマと交わりたいのに……」
「はいはい、元気になったら幾らでも、どんなプレイでも付き合ってあげるから」
「何!?今どんなプレイでもと言ったか!……ぐぎぎ、頭が痛い……」
だが、そんな時間も長くは続かなかった。
「や〜や〜てっきり今ごろえっちの最中かなって思ってたんだけど……これは珍しい光景だねぇ」
「ケイト!いらっしゃい、久しぶりだね」
「うんうんアズマくん、アニー、久しぶりぃ」
唐突にぼん!と何もない空中で紫色の煙が弾けたと思うと、その中から見慣れた猫耳娘が現れた。
「……変態猫娘が、私の家に何の用だ?」
闖入者の登場に、アニーが不機嫌そうな声を上げる。
彼女のそんな声はドラゴンだけあってかなりの迫力がある。並みの人間や魔物娘なら震え上がってしまうだろう。
だがケイトはそんなこともどこ吹く風といった様子で、いつものいやらしいにやにや笑いを崩さない。
「おやおやぁ?ボクにそんな態度取っちゃっていいのかな〜?これはどこかの誰かさんが昔、いそいそと露出プレイに励んでいたことをうっかりばらしちゃうかもにゃ〜♥」
「うわぁぁぁぁぁやめろぉぉぉ!!」
突然告発された衝撃の事実。頭を抱えて僕の膝枕の上でゴロゴロと転がりながら喚くアニー。
家や僕の前では甘々だが、他人に対しては威厳のある態度で接するアニーがそんな属性(露出癖)を持っていたなんて……ちょっと意外で……興奮する、かも。
(あとでその時のことを記録した映像結晶(スクリーンクリスタル)、渡してあげるからね♥)
声に出さずに口の動かした形でケイトは僕にそう伝えてきた。是非ともよろしくお願いします。僕はアニーに気づかれないように隠してケイトにサムズアップを送った。
「まぁまぁ淫乱メストカゲの話はこの際ど〜でもいいのさ!アズマくん、ハートの女王からお手紙を預かってるにゃん」
「陛下が……?」
その言葉に僕は頭の中に疑問符を浮かべた。気づかない内に、何かマズいことでもしてしまっただろうか。
「そうさ、是非ともキミの力を借りたいと仰せでねぇ〜、ボクはその使いで来たってワケ!」
そう得意気に言ってどやぁ!と胸を張るケイト。そのはずみに、柔らかで豊かな二つの双丘がたゆんと揺れた。
ハートの女王が自分の能力を求めている。その言葉を聞いて、心が躍らない住人は不思議の国にはいないだろう。
ケイトは胸元からおもむろに一枚の封筒を取り出した。裏側にはしっかりとハートの女王の紋章の焼印が押されている。
「これが女王から預かった封書だにゃ〜。後でボクにも何が書いてあるかみせてね〜」
「ありがとう、ケイト」
封筒を渡された僕は、すぐにペーパーナイフで切り開くと、中身をあらためた。
そこには、
アーネスト・ヴォーパル二世の夫、アズマ。
そなたはこの国でもっとも淫らな種族であるジャバウォックを妻に迎え、立派な不思議の国の住人となりつつも、ある程度の理性を保持した珍しいインキュバスである。
そこで、そなたのその精神を見込み、この不思議の国の年鑑……ガイドブック作成の任を与える。
「ガイドブック……?」
「すご〜い!アズマくん、とっても名誉なお仕事じゃない!」
首を傾げる僕に対して、いつの間にか後ろに回り込んでいたケイトが歓声を上げる。
「ガイドブック?それは本当か!」
アニーも随分と驚いた様子で、上体を引き起こし、手紙を覗き込んだ。
二人はなにか知っているようだが、ガイドブックとはいったいなんなんだろう?
「ガイドブックっていうのはね、ここに来たばかりでなかなか馴染めないカップルや人間たちに……不思議の国はこんなところがありますよー、みんなはこうやって暮らしてますよー、って紹介するための教科書見たいなものなんだよ?」
「確かに最近は全く更新されていなかったが……まさかアズマが選ばれるとは。うんうん、さすが我が夫(つま)だな!」
アニーはしきりに深く頷き、ケイトはなにやら不思議なリズムの踊りを踊っている……何だかとっても嬉しそうな二人を見て、僕の顔も自然と綻ぶ。
「これは明日から忙しくなるにゃ〜!お茶会のメンバーにも伝えとかないとね〜!」
「私もできる限りのことは手伝おう。というか嫌だと言っても何でも手伝うからなっ!」
突然任命された大役に、僕は改めて身と肉棒を引き締める。
これからはもっと刺激的でえっちな毎日になるだろうという期待と予感に心を震わせながら。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
その夜、日課のアニーとのまぐわいを始める前に、僕は自分の書斎でいくつかの旧い不思議の国ガイドブックに目を通していた。
不思議の国の名所、固有の魔物娘の図鑑に、住人の文化や生活、不思議の国の大まかな地図……。
読み物としての面白さもさることながら、このガイドブックを作った者の、不思議の国への確かな愛を感じ、僕は静かな感慨を抱いた。
僕にこんな素晴らしいものが作れるだろうか?いや、作らねばならない。女王陛下から賜った名誉ある仕事だ。しっかりやり遂げないと。
僕は椅子に深く腰掛けながら、今までの自分の人生を思い返していた。人間の世界では、僕は武家の次男坊だった。
家族は跡継ぎである兄にばかり手をかけ、僕のことはほとんどほったらかしにして育ってきた。僕は何かが欠けたまま、幼少の頃を過ごしていた。
そして、僕は不思議の国へ迷い込み、アニーと出会い……誰かを愛すること、愛されることを彼女との交わりの中で教わった。
誰かに想われることがこんなに心地いいことなんて、誰かを想うことがこんなに気持ちいいことなんて、ジパングにいたら絶対に知ることは無かっただろう。
だから僕はこの国を愛しているし、いつの日からか、こんな素敵な日々を送れるこの国に、恩返しをしたいと考えるようになっていた。そして、その想いがようやく叶いそうなのだ!
そして次に……。僕は最愛の妻である、褐色の肌をした竜姫のことを思い浮かべる。
彼女たちジャバウォック属は、不思議の国で誰よりも淫らなメスであるようにといつでも研鑽を欠かさない。
無論僕もそんな彼女の夫に恥じぬよう努力は重ねているが……まだ、彼女に相応しいレベルではないと思っている。
だから、このガイドブックの作成という仕事を通して、他のカップルから、より良く、淫らな夫になれるよう学んでいこうと思う。
それが無償の愛を与えてくれた、彼女に報いることができる方法なのだと信じて。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
「ようやく本調子に戻れたぞ……ほら、見てくれアズマ♥
媚薬が一度全身に染み込んだお陰で、私のおまんこはぐちゅぐちゅのとろとろだ♥♥
挿入したら……くふふっ♥さぞ気持ちいいだろうなぁ♥♥」
私は寝室にやって来たアズマの前で、しゃがんで股をおもいっきり開き……アズマの故郷では蹲踞という姿勢に近いらしい……口のついた尻尾でおまんこを左右に引っ張って、愛液が止めどなく流れ出る膣のなかを見せつけて彼の情欲を誘った。
両手で胸をぐにゅぐにゅと揉みしだき、限界まで勃起した乳首を時折弾くことで、自分の中の昂りを最高潮まで高めていく。
ジャバウォック族の汗は天然のローション。蝋燭によって照らされた私の濃い褐色の肌は、艶かしく輝き、今が食べ頃なのだとオスに主張している。
そうだ、もっといやらしく、もっと淫らに。それこそがジャバウォック族の、ヴォーパル家の誇り。
そして今日はアズマが大きな仕事を、あの女王陛下から任された素晴らしい日。しっかりと記憶に残るようなセックスをしなければ。
……否。それらもあるが、それだけではない。
ただ単に、私は昼間の件で欲求不満なだけだった。ここにいるのは、夫(つま)のちんぽが恋しくて仕方ない淫乱メストカゲ♥もうガツンと肉欲をおまんこに打ちつけてもらわねば、脳を溶かすこの甘くてどろっとした身体の疼きは治まらん♥
私はこれからの激しい性交を想像して、思わず腰を震わしてしまう。ぴゅっ、と軽く潮が尿道から噴き出し、シーツに一筋の跡を残した。
もはや私たちの間に言葉は要らない。そこにはただ、二匹の獣がいるだけだった―――。
猫の耳と尻尾を生やし、胸をほとんどさらけ出しているような格好の魔物娘に言われた事を思い出しながら、ド派手で可愛らしいピンクや紫に彩られた急斜面を僕は登り続けていた。
ちらりと後ろを振り向くと、先程まで普通の道だった場所が、明らかに身体に悪そうな色合いをした極彩色の液体がゴウゴウと氾濫した河川のごとく流れている。
時折その流れの中で、楽しそうな歓声を上げつつ下流へと流されていく人間や魔物娘たちが居たが、僕はあえて見なかったことにした。
見ての通り、この国はおかしいことだらけだ。そもそも僕がなぜこの国に居るのかも良く分からない。
いつも通りに道場で剣術の稽古を終えて、いつも通りの道のりで帰宅していたにも関わらず気づけばこのめちゃくちゃな世界に放り出されていた。
初めは稽古の疲れで幻でも見ているのかと思った。それにしては見るもの触れるものに現実感がありすぎるし、たぶん違う。
次に何らかの魔物娘の仕業なのでは、と考えついたが、このヘンテコな場所に迷い混んでから恐らく既に三時間以上は経過しているし、もしそうならばとっくの昔に襲われてしまっているだろう。
分からないことを考えていても仕方ない。そこで僕はしばらく辺りを歩き回り少しでも現状の理解に努めようとしていたのだが……そんな中出会ったのが先程の猫耳魔物娘だ。彼女はチェシャ猫という種族で、ケイトと僕に名乗った。
彼女はその奇抜な見た目とは裏腹に、ここが不思議の国という土地で、僕がいた世界の常識は通用しないこと、そして幾つか気をつけておいた方がいいことを親切に教えてくれたのだった。その大半ははっきり言って何を言ってるのか理解できなかったのだが。
あらかた説明し終えると彼女はいやらしい微笑みを浮かべながら、ぼんっ、と煙と共に一瞬でどこかへと姿を消してしまった。いったい彼女は何者だったのだろうか。
それから奇妙な植物の生える森(やはりというかどの草木も極彩色の不可思議の色合いをしていた)を抜け、湖にたどり着いたと思ったら、突然その湖の水面が爆発的に盛り上がり、周囲にいた人々を呑み込んでいったのだった。
僕は命からがらその洪水から逃げおおせることに成功し、なんとか高台にまで辿り着くことが出来たのだった。
そして今に至るというわけだ。
おかしいことと言えばこれら以外にもまだある。
その、少々恥ずかしいことなのだが……湖から溢れ出たこの謎の液体が発する匂いを嗅いでから、どうも愚息の勃起が治まらないのだ。
初めは稽古や見慣れぬ土地に対する疲れによるものかと考えていたが、この液体の匂いが鼻腔を満たす度に下半身に血が集まっていくのを感じた。
着物の股間をパンパンに膨らませながら歩くのは少々難儀で、どこか独りになれるところがあれば、すぐさま抜いてしまいたい衝動に駆られ、抑えられなくなってきていた。
辺りを見渡す限り、どこにも人はいない。ならば、ここで情欲を発散してしまってもよいのではないか?そんな淫らな考えが頭をよぎる。
それは、この国の不思議な空気に充てられて今のおかしくなってしまった僕にとって、これ以上ない名案に思えた。
地面に座り込み着物をたくしあげると、下に穿いていたふんどしを脱ぎ、熱く滾った肉棒を解放する。ぶるん、と音が聞こえるような勢いで股間のそれは天を突き反り返る。へそに先端がついてしまうほど、かつてないほどにビンビンに勃起している逸物を見て、僕は思わずごくり、と喉を鳴らした。これを思いっきりしごいてしまったら、どんなに気持ちいいだろうと想像して。
いよいよ自慰を始めようと手を伸ばしたところで……僕の耳はバサバサと空気を叩く乾いた音を捉えた。鳥か何かだろうか、と顔を上げると、僕の顔に何か透明な液体が降り注いだのだった。
反射的に顔を俯かせて付いた液体を手のひらで拭き取ると、なにやら粘ついている……それは今も僕の愚息の先端からとぷとぷと滲み出ている、先走りにも似ている液体だった。
頭上に何かいる―――再び見上げた僕の目に映ったのは、この浮わついた国におよそ似つかわしくない、鱗に覆われたゴツゴツの手足と翼。トカゲを想起させる細くしなやかな物と、それぞれ口を備えた、一対のぬらりとした質感の計三本生えた尻尾。頭の横から背中の方向に伸びた四本の角は、光を照り返し妖しくも勇壮な輝きを辺りに放っていた。
その角の下では、宝石を思わせるオレンジ色の瞳が僕を射抜くような眼光を放ち……そのさらに下では、むちむちとしたチョコレート・スキンが眩しい太ももを伝って、股ぐらから流れ出した滴がこちらへ垂れてきている。
―――間違いない、彼女がケイトの言っていた、ニバンメ山の頂上に住む、竜の魔物娘。ジャバウォックだ……!
「……」
「…………」
「………………」
僕たちはしばらく互いを見つめあっていた……。僕は彼女の視線で縫い止められたかのように、その場から動けない。恐怖か何かで固まっていたのか、何らかの魔術がかけられていたのかは分からない。ぴちゃぴちゃと彼女の股間から溢れてくる液体が僕の顔を打つ音だけが辺りに響いている。
「……♥」
不意に、彼女がにんまりと口角を釣り上げた。その笑顔を見て僕は背筋がゾクゾクと震えるのを感じた。
恐怖からではない。その、とろとろに爛れきった笑みを見て、僕の身体が反射的に反応したのだ。
―――彼女は類い希なる、極上のメスなのだと。
「き、君は……」
「ふふっ、ようやく見つけたぞ……♥
私に相応しい、私だけのオス。……私だけの夫(つま)を!!」
……これが、僕と彼女との出会い。
アーネスト・ヴォーパル二世ことアニーとの、淫らな生活の始まりだった。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
時は過ぎ、あの出会いからおよそ二年の月日が経った。
あの後アニーと僕はすっかり意気投合したどころか、互いに好意を寄せるようになり、今では立派な夫婦としてニバンメ山で幸せな生活を送っている。
そして僕はすっかり不思議の国の奇妙な習慣や常識にも慣れてしまい、むしろ元の生活よりも心身ともに充実した毎日を過ごしていた。
そんなある日のことだ。
「ううっ……この私がこんな醜態を晒すなんて……!
アズマよ、見ていろっ!次こそは耐えきってみせるからな……!」
「はいはい、分かったから静かにしていてよ。お医者さまからは安静にしているように言われたんだから」
「くぅ……面目ない……頭がまだくらくらするぅ……」
僕はうんうんと熱に浮かされるように身悶えするアニーの頭を膝の上に乗せて(所謂膝枕というやつだ)、団扇で火照って真っ赤になっている顔を扇いであげていた。
別に病気かなにかと言うわけではない。ドラゴンの一種である彼女の身体は強靭で、そうそう病気などにかかることなどない。
彼女の今の状態を説明するには、不思議の国で発生するとある現象と、アニーが与えられたとある仕事のことについて話さなくてはならない。
不思議の国はハートの女王と呼ばれる、強大な力を持った魔物娘が作り出した異世界だ。
魔物娘が作り出した世界なだけあって、そこかしこに淫らで愉快なハプニングが引き起こされるように魔法が仕込まれており、不思議の国の住人たちはそれらのイベントを日々楽しみつつ、自由気ままに生活を送っている。
そのイベントの中に、媚薬の雨というものが存在する。
これは文字通り人間や魔物娘の情欲を掻き立てる強力な媚薬が空から降ってくるものであり……降ってきた雫が直接身体にかかるのはもちろんのこと、その雫で出来た水溜まりから立ち上る香りを吸っただけで発情を促す。そうして理性を溶かされた住人たちはこの降って湧いたイベントを楽しむべく、大抵外だろうとお構い無くパートナーと交わり始める。そして雨が止んだ後もしばらく、辺りは肉と肉がぶつかるパンパンという音や淫らな体液、魔物娘たちの嬌声で満たされるのだ。
そしてアニーはそんな不思議の国を治めているハートの女王から、この不思議の国に訪れたり迷ってきたりと、様々な理由でやってくる者たちから、国を守る仕事を仰せつかっている。
無害そうな男やハートの女王が呼び寄せた者が入った場合はともかく、ときおり魔物娘を毛嫌いしている者たち……例えば神に仕える教団の司祭や修道師……などの魔物娘やそのパートナーに危害を可能性がある者が現れた場合、彼女は彼らの元に急行し、速やかに無力化。女王に仕える兵士たる、トランパートという宙に浮かぶ巨大なトランプに身を宿した魔物娘にその獲物≠引き渡したり、場合によっては女王陛下に断罪してもらうべく、裁判所へ直接連行することもある。
そんな栄誉ある役目だが、アニー自身は実はあまり乗り気ではない。正確には、乗り気ではなくなってしまった=B
理由は単純で、
「最愛の夫(つま)と片時でも離れたくない!ほんの少しでもアズマの顔を見られなくなるのは余りにも辛すぎるのだ!頭おかしくなるぞっっ!」
……ということらしい。
そう言ってくれるのは嬉しいのだけど、仕事は真面目にやって欲しいと僕がしっかり頼み込んだ後はいくらかマシになったものの、それまでは行きたくない行きたくないと子供のように駄々をこねる始末だった。今でもたまにそんな風になるが。
そんな訳で、僕と離れ離れになっている間に溜まりに溜まったストレスを吐き出すべく、仕事帰りの彼女はいつにも増して激しくねっとりとした性交をするのがお決まりとなっていた。
現在の彼女は、その仕事から帰ってきたばかりである。普段ならすぐにでもベッドで愛し合うのだが、彼女はふらふらへろへろとまるで酔っぱらいのような姿で帰ってきたのだ。すぐさま医者を呼び、診察してもらったところ……原因は媚薬の過剰摂取=B
なんと彼女はより僕と淫らで新鮮なセックスをするべく、帰り際にたまたま発生していた媚薬の雨雲に突っ込んでしまったそうなのだ!
媚薬が完全に抜けるまで安静にするよう医者に言いつけられた僕たちは、こうして久々にまったりとした時間を過ごしていたのだった。
「ほら、アニー。君の好きな代用海亀頭のスープだよ。飲める?」
「んくっ、んくっ……はやくアズマと交わりたいのに……」
「はいはい、元気になったら幾らでも、どんなプレイでも付き合ってあげるから」
「何!?今どんなプレイでもと言ったか!……ぐぎぎ、頭が痛い……」
だが、そんな時間も長くは続かなかった。
「や〜や〜てっきり今ごろえっちの最中かなって思ってたんだけど……これは珍しい光景だねぇ」
「ケイト!いらっしゃい、久しぶりだね」
「うんうんアズマくん、アニー、久しぶりぃ」
唐突にぼん!と何もない空中で紫色の煙が弾けたと思うと、その中から見慣れた猫耳娘が現れた。
「……変態猫娘が、私の家に何の用だ?」
闖入者の登場に、アニーが不機嫌そうな声を上げる。
彼女のそんな声はドラゴンだけあってかなりの迫力がある。並みの人間や魔物娘なら震え上がってしまうだろう。
だがケイトはそんなこともどこ吹く風といった様子で、いつものいやらしいにやにや笑いを崩さない。
「おやおやぁ?ボクにそんな態度取っちゃっていいのかな〜?これはどこかの誰かさんが昔、いそいそと露出プレイに励んでいたことをうっかりばらしちゃうかもにゃ〜♥」
「うわぁぁぁぁぁやめろぉぉぉ!!」
突然告発された衝撃の事実。頭を抱えて僕の膝枕の上でゴロゴロと転がりながら喚くアニー。
家や僕の前では甘々だが、他人に対しては威厳のある態度で接するアニーがそんな属性(露出癖)を持っていたなんて……ちょっと意外で……興奮する、かも。
(あとでその時のことを記録した映像結晶(スクリーンクリスタル)、渡してあげるからね♥)
声に出さずに口の動かした形でケイトは僕にそう伝えてきた。是非ともよろしくお願いします。僕はアニーに気づかれないように隠してケイトにサムズアップを送った。
「まぁまぁ淫乱メストカゲの話はこの際ど〜でもいいのさ!アズマくん、ハートの女王からお手紙を預かってるにゃん」
「陛下が……?」
その言葉に僕は頭の中に疑問符を浮かべた。気づかない内に、何かマズいことでもしてしまっただろうか。
「そうさ、是非ともキミの力を借りたいと仰せでねぇ〜、ボクはその使いで来たってワケ!」
そう得意気に言ってどやぁ!と胸を張るケイト。そのはずみに、柔らかで豊かな二つの双丘がたゆんと揺れた。
ハートの女王が自分の能力を求めている。その言葉を聞いて、心が躍らない住人は不思議の国にはいないだろう。
ケイトは胸元からおもむろに一枚の封筒を取り出した。裏側にはしっかりとハートの女王の紋章の焼印が押されている。
「これが女王から預かった封書だにゃ〜。後でボクにも何が書いてあるかみせてね〜」
「ありがとう、ケイト」
封筒を渡された僕は、すぐにペーパーナイフで切り開くと、中身をあらためた。
そこには、
アーネスト・ヴォーパル二世の夫、アズマ。
そなたはこの国でもっとも淫らな種族であるジャバウォックを妻に迎え、立派な不思議の国の住人となりつつも、ある程度の理性を保持した珍しいインキュバスである。
そこで、そなたのその精神を見込み、この不思議の国の年鑑……ガイドブック作成の任を与える。
「ガイドブック……?」
「すご〜い!アズマくん、とっても名誉なお仕事じゃない!」
首を傾げる僕に対して、いつの間にか後ろに回り込んでいたケイトが歓声を上げる。
「ガイドブック?それは本当か!」
アニーも随分と驚いた様子で、上体を引き起こし、手紙を覗き込んだ。
二人はなにか知っているようだが、ガイドブックとはいったいなんなんだろう?
「ガイドブックっていうのはね、ここに来たばかりでなかなか馴染めないカップルや人間たちに……不思議の国はこんなところがありますよー、みんなはこうやって暮らしてますよー、って紹介するための教科書見たいなものなんだよ?」
「確かに最近は全く更新されていなかったが……まさかアズマが選ばれるとは。うんうん、さすが我が夫(つま)だな!」
アニーはしきりに深く頷き、ケイトはなにやら不思議なリズムの踊りを踊っている……何だかとっても嬉しそうな二人を見て、僕の顔も自然と綻ぶ。
「これは明日から忙しくなるにゃ〜!お茶会のメンバーにも伝えとかないとね〜!」
「私もできる限りのことは手伝おう。というか嫌だと言っても何でも手伝うからなっ!」
突然任命された大役に、僕は改めて身と肉棒を引き締める。
これからはもっと刺激的でえっちな毎日になるだろうという期待と予感に心を震わせながら。
▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽ ▽
その夜、日課のアニーとのまぐわいを始める前に、僕は自分の書斎でいくつかの旧い不思議の国ガイドブックに目を通していた。
不思議の国の名所、固有の魔物娘の図鑑に、住人の文化や生活、不思議の国の大まかな地図……。
読み物としての面白さもさることながら、このガイドブックを作った者の、不思議の国への確かな愛を感じ、僕は静かな感慨を抱いた。
僕にこんな素晴らしいものが作れるだろうか?いや、作らねばならない。女王陛下から賜った名誉ある仕事だ。しっかりやり遂げないと。
僕は椅子に深く腰掛けながら、今までの自分の人生を思い返していた。人間の世界では、僕は武家の次男坊だった。
家族は跡継ぎである兄にばかり手をかけ、僕のことはほとんどほったらかしにして育ってきた。僕は何かが欠けたまま、幼少の頃を過ごしていた。
そして、僕は不思議の国へ迷い込み、アニーと出会い……誰かを愛すること、愛されることを彼女との交わりの中で教わった。
誰かに想われることがこんなに心地いいことなんて、誰かを想うことがこんなに気持ちいいことなんて、ジパングにいたら絶対に知ることは無かっただろう。
だから僕はこの国を愛しているし、いつの日からか、こんな素敵な日々を送れるこの国に、恩返しをしたいと考えるようになっていた。そして、その想いがようやく叶いそうなのだ!
そして次に……。僕は最愛の妻である、褐色の肌をした竜姫のことを思い浮かべる。
彼女たちジャバウォック属は、不思議の国で誰よりも淫らなメスであるようにといつでも研鑽を欠かさない。
無論僕もそんな彼女の夫に恥じぬよう努力は重ねているが……まだ、彼女に相応しいレベルではないと思っている。
だから、このガイドブックの作成という仕事を通して、他のカップルから、より良く、淫らな夫になれるよう学んでいこうと思う。
それが無償の愛を与えてくれた、彼女に報いることができる方法なのだと信じて。
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「ようやく本調子に戻れたぞ……ほら、見てくれアズマ♥
媚薬が一度全身に染み込んだお陰で、私のおまんこはぐちゅぐちゅのとろとろだ♥♥
挿入したら……くふふっ♥さぞ気持ちいいだろうなぁ♥♥」
私は寝室にやって来たアズマの前で、しゃがんで股をおもいっきり開き……アズマの故郷では蹲踞という姿勢に近いらしい……口のついた尻尾でおまんこを左右に引っ張って、愛液が止めどなく流れ出る膣のなかを見せつけて彼の情欲を誘った。
両手で胸をぐにゅぐにゅと揉みしだき、限界まで勃起した乳首を時折弾くことで、自分の中の昂りを最高潮まで高めていく。
ジャバウォック族の汗は天然のローション。蝋燭によって照らされた私の濃い褐色の肌は、艶かしく輝き、今が食べ頃なのだとオスに主張している。
そうだ、もっといやらしく、もっと淫らに。それこそがジャバウォック族の、ヴォーパル家の誇り。
そして今日はアズマが大きな仕事を、あの女王陛下から任された素晴らしい日。しっかりと記憶に残るようなセックスをしなければ。
……否。それらもあるが、それだけではない。
ただ単に、私は昼間の件で欲求不満なだけだった。ここにいるのは、夫(つま)のちんぽが恋しくて仕方ない淫乱メストカゲ♥もうガツンと肉欲をおまんこに打ちつけてもらわねば、脳を溶かすこの甘くてどろっとした身体の疼きは治まらん♥
私はこれからの激しい性交を想像して、思わず腰を震わしてしまう。ぴゅっ、と軽く潮が尿道から噴き出し、シーツに一筋の跡を残した。
もはや私たちの間に言葉は要らない。そこにはただ、二匹の獣がいるだけだった―――。
18/05/18 14:58更新 / ねこかん
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