まもむす結婚相談所-キャンディーとクリーム-
「お姉さま、結婚しましょう」
テーブルを挟んで向かい合って座る妹がそう言った時、ついに男に縁がなさすぎておかしくなったのかと思った。
「氷華、女同士で結婚は無理よ」
こめかみをおさえて呆れた声を出す私に、妹の氷華はきょとんとした顔になっていた。
「当たり前じゃないですか。何を言っているんですかお姉さま。もしかしてここの熱で少しおかしくなってしまったのでは」
氷華がキョロキョロと辺りを見渡す。そこでは次の撮影に向けて、スタッフさんたちが忙しく歩き回っていた。それとさっきまで使われていたストロボの熱で、確かにここは少し暑くなっている。
私達は普段モデルをしていて、それなりに人気があると自覚している。私がグラキエスで氷華が雪女なので、魔物娘向けだけじゃなく人間向けのファッション誌にも仕事の依頼が来ることがある。今はそんな仕事の1つをこなしながら休憩中というわけだ。
「今まではお仕事が忙しくて行けませんでしたけど、今度こそお休みを作って行きましょうよお姉さま」
「1人で行けばいいでしょう」
「嫌ですー、お姉さまと一緒がいいですー」
ぷぅと頬を膨らませる氷華。この子は昔からそうだ。何をするにしても私と一緒にやりたがる。この仕事だって、2人同時に声を掛けられていなければやるかやらないかは私に合わせたことだろう。
私も例に漏れず、グラキエスという種族柄男にはあまり興味がない。だから男を見つけろと言われても全然乗り気にはなれない。
氷華は雪女なので、どちらかと言えば男を強く欲するタイプの魔物娘だ。だから今回こんなことを言ってきたのは、必然だろう。むしろ今までよく我慢していたと言うべきか。
「じゃあついて行ってあげるけど、どうすればいいの」
堪忍したように言うと、氷華は目をキラキラさせた。
「あのですね、実はこの近辺に評判の結婚相談所があることがわかったんです。ですからそこへ行こうと思います」
「結婚相談所って、いきなりそんなところへ行くの。最初から結婚目当てなんて、ちょっと急すぎない」
「え、でも、お付き合いするからには結婚しますよね」
「まぁ……そう……なのかな」
「そうですよ。付き合ったけど別れたなんて話、私聞いたことないです。お姉さまだってないでしょう」
「確かにそうだけど」
「それでは決まりですね」
今から楽しみで仕方ないとばかりに、氷華は体から冷気を溢れさせた。ちょっと、あんまり出さないの。迷惑になるから。
元々趣味や遊び間隔で仕事をする魔物娘にとって、休みを取るのはごく普通のことだ。しかもそれが未来の夫を見つけるとなれば、むしろ仕事なんてしている場合じゃない。
数日後、氷華に連れられて相談所に来た私は、身だしなみをチェックされていた。
「お姉さまも私と同じキレイな髪をしていますから、凛々しさがより際立つようにポニーテールにしましょう」
櫛で私の髪を整えながら、氷華は後ろに立って私の髪を束ねていく。モデルをやっている癖にそういうところには無頓着な私がこの仕事をやれているのは、こうして氷華が世話をやいてくれているところが大きい。
「さて……と。それではお姉さま、さっそく受付に行きましょう」
満足した出来栄えになったのか、長くストレートの髪を揺らしながら氷華は私の前を先導して歩きだした。
「いらっしゃいま……お、おおぉ」
受付にいたハーピーの子が発した第一声はそれだった。
「もしかしてもしかして、あのフローズン姉妹ですか」
「はい」
「そうだけど」
ファンが好きな芸能人に会えた時のような反応をしたその子は、手に持っていた雑誌を広げて私達に見せてきた。そこにはこの前の撮影で撮られた私達の写真があった。
「まさかちょうど読んでいた雑誌のお二人に会えるなんて、私感激です」
「あ、ありがとう」
「結婚しているっていうお話は耳にしたことがなかったのですが、まだお相手がいなかったんですね」
「仕事が忙しかったもので」
さすがに騒ぎになるのは避けたらしく、少し声を落としてハーピーの子は話しかけてくる。周りの皆に私達のことがバレたとしても、ここは熱心に相手を探している魔物娘ばかりなので大きな騒ぎにはならないと思う。だけどそういった配慮は嬉しい。
「それでは希望する条件の記載など、やって欲しいことがありますので、別室までご案内ささていただきますね」
「あ、それなんですけど、お姉さまと2人一緒でも構わないでしょうか」
「構いませんよ。もしかして2人で1人の方を夫にしたいとのことですかね」
「いけませんか」
「いえいえ、別に珍しいことではありませんよ」
にこやかな笑顔で別室に案内されると、あの子は受付担当なのか、しばらくして戻っていった。もっと話したそうな雰囲気を出していたけど、ちゃんと仕事はするらしい。
「ねぇお姉さま、気付きましたか。ここの職員さん、皆結婚していますね」
「そうなの」
「はい。はっきり見えるように皆さん指輪が光っていますもの」
渡された用紙に希望する相手の条件を書きながら私と氷華がそんな話をしていると、しばらくして別の職員が部屋に入ってきた。
「どうもー。あたくしがお二人を担当させていただきます、ぬれおなごの雫です。お二人のファッションは旦那様も好きで、よく再現させてもらっていますー」
どこか間延びした口調の雫さんは、用紙を書き終えた私達からそれを受け取ると、じっくり目を通し始めた。
「あれー、お姉さんの方は特に希望が無いんですかー」
「ええまぁ、そうね」
ここに来たのは氷華に言われたからであって、私はあくまでオマケのようなものだと思っている。そもそもまだ男を見つけて結婚するような気持ちになっていないから、条件には当たり障りのないことを書いたはずだ。そのへん雫さんはプロで、私のそんな思いをしっかりと見透かしていた。
「それでは条件に合う男の人がいるか、ちょっと見てきますねー。また少しお待ちくださいなー」
雫さんはそう言うとペタペタと部屋を去っていった。
「私、お姉さまと離れるつもりはありませんから。良い人が見つかるといいですね」
「そううまくいくかしらね」
これから訪れる出会いに興奮しているのか、氷華の体から少し冷気が漏れ出ていた。
「あのー、少しよろしいでしょうか」
やがて雫さんが、ファイルを抱えて戻ってきた。その表情が曇っていることから、どうやらよくない知らせがあるようだ。
「何でしょうか。何か不都合でもありましたか」
「いえ、お二人には何も問題はないんです」
「条件に合う男の人が見つからなかったとかですか」
「うーん、まぁ、そうですね。まずはこれを見ていただきながら説明させてください」
雫さんは持っていたファイルを私達に手渡すと、向かい合って腰掛けた。
ファイルには男の写真とプロフィールが書かれている。
「なかなか良い顔立ちじゃないですか、お姉さま」
「んー、そうなのかしらね。よくわからないわ」
「その人はかなたさんと言いまして、つい先日ここに登録したばかりの人なんです。ですが少し問題が発生してしまいまして」
ふーん、背丈は私より低いのね。氷華と同じくらいかしら。別にプロフィール上はおかしなところは無いと思うけど。
「確認ですが、お二人は一緒に暮らしているんですよね」
「はい、私とお姉さまの二人暮らしです」
「ということは、もう一人増えても構いませんか」
「どういうこと。いきなり同居しろとでも言うのかしら」
さすがにそんなことはないと思うけど。
「実は、お二人が良ければそうして欲しいんです」
「まぁ、何か事情があるんですか」
渋い顔をした私とは裏腹に、氷華は何やら期待している素振りだった。
ちょっと待って。初対面の男といきなり同居なんて、できるわけがないでしょう。
「そうですね。近い内に日程を合わせて、直接本人から聞くのが良いと思います。もしそれで合意していただけるのなら、それに越したことはないですから」
「お姉さま、どうするかはともかく、私会ってみたいです。いいですか」
「まあそうね。取り敢えず会うだけと思うことにしましょう」
「ありがとうございます」
それから私達は日程を合わせる。こっちはいつでも休もうと思えば休めるので、向こうの日程に合わせる形になった。
氷華は今から楽しみで仕方ないようで、ずっとそわそわしていた。
ついに初対面の日、私と氷華はそれなりに見栄えを整えて相談所へ出向いた。特に氷華なんかは、いつもより念入りに化粧をしていた。
「いよいよですねお姉さま。いったいどんなタイプの人なんでしょうか」
通された相談室の椅子に腰掛け、静かに待つ。
いくら氷華が前向きだからといっても、家のことも関わってくるのだ。だから私がしっかりしないといけない。浮かれていない冷静な立場から、ダメだと思ったらはっきり断ろう。
「お待たせしました。こちらがかなたさんです」
ゆっくりとドアが開いて雫さんが入ってくると、後に続いて写真で見た通りの男が入ってきた。
「ど、どうも。かなたと言います。よろしくお願いします」
第一印象は、自信の無い男といった感じだった。目線をそらして挨拶する表情からも、それが見て取れる。
「さっそくだけどいいかしら」
「あ、はい。僕の事情ですね。実は僕、田舎からこの街に来たんですけど、ここで誰か良い人を見つけないと、田舎に戻らされて結婚させられるんです」
「そうなの。でも戻ったら結婚できるなんていいじゃない」
「全然よくないですよ。僕の田舎って、勝ち気な魔物娘さんが多いんです。昔からそういう我が強い人って苦手なんです。子供の頃だって、どれだけ振り回されたことか」
「まぁ、それは大変ですね」
「そうなんです。それなのに働いていた職場が無くなってしまって。きっと良い機会だから田舎に戻って来いと言われるので、迷惑になる前に登録を消して貰おうと来たところ、今回の話を貰ったというわけです」
「初めに言っておこうと思いますが、あの件に関してはあくまで私の提案です。かなたさんからの提案ではありませんよ」
私達のところに転がり込もうなんていい度胸だと思った矢先に、雫さんがフォローに入った。まぁ、確かに初対面の相手と一緒に住もうなんて人はいないわよね。
チラリと横に座る氷華の様子を見てみると、ものすっごく目をキラキラさせていた。完全にこの子のタイプなんだわ。もしかしたら、これは止められないかもしれない。
「働く場所がなくなってしまったということは、これからのお住まいはどうしようと思っているのですか」
「そうですね。少しだけ蓄えはあるので、一月くらいはどうにかなりそうですが、それ移行はやっぱり田舎に戻ることになると思います。なかなか仕事も見つからないと思いますし」
「ふむふむ、住む場所に困っていると。お姉さま、これは放っておけませんよね」
「え、別にいいんじゃないかしら。田舎に帰るだけでしょう」
いくら氷華のタイプだからって、いきなりそこまで認めはしないわ。私は断固として断るんだから。
「いけませんお姉さま。田舎に帰ってしまったら、かなた様は結婚してしまうんですよ」
「いいことじゃないの」
「むーーーー」
「かわいくむくれてもダメよ。言いたいことがあるならちゃんと言いなさい」
「わ、わかりました」
皆に聞こえる声で言うのは恥ずかしいのか、氷華は私に耳打ちしてきた。
「あの、一言で言って私、かなた様のことが気に入ってしまったんです。だからお願いですから、一緒に住むのを認めてくれませんか」
「あの人のことを気に入ったのはいいけど、家には私だって住んでるのよ。もっと段階を踏んでからでもいいじゃないの。少なくとも一月は猶予があるんだし」
「そんなことを言っていたら、きっと逃してしまいます。私きっと何も手につかなくなってしまいますよ。そうなったらお姉さまのお仕事にも支障が出てしまいますよ」
「うーん、確かに、私達は姉妹でやってるもんね。それはあるんじゃないかしら」
「でしょう。というかですね、あの、私もうすでに、かなた様と触れ合いたくて仕方がないんです。だから一生のお願いですから、お姉さま」
「はぁ、仕方ないわね。いいわよ。その代わり、私の言うことをちゃんと聞くのよ」
「ありがとうございます。大好きですお姉さま」
今にも泣き出しそうな顔でお願いされたら、私はいつも断れない。一生のお願いは氷華の常套文句だけど、一生のお願いが一回だなんて決まりは確かに無いから、最終的に私はいつも聞き入れてあげることになる。
「お話はまとまりましたか」
「はい。あの、かなた様」
「なんでしょうか」
「もし住む場所に困っているのでしたら、私達と一緒に住みましょう。ね、ね、お互いの相性を確かめるお試しだと思って。ね」
「えっ、でも、そんなの悪いですよ」
かなたが私をチラリと見る。
「こうなったら氷華は止められないわ。仕方ないから許してあげる。このままだとこの子、あなたの家に押しかけそうだし。そうなったらいちいち迎えに行く私が面倒だわ」
「はい、それでは同居ということで決まりですね。よかったですね」
この状況を面白がっているのか本当に嬉しいのか、雫さんは晴れやかな顔でそう締めくくった。
ペットを飼うような間隔で人間の男を家に入れることになってしまった私は、これからどんな面倒なことが起こるのか気が重かった。
「さっそくですが、私からかなた様にこの家で過ごすルールについて説明があります」
あれから数日後、仕事が無く自由な時間がたっぷりあるかなたはすぐに家にやってきた。安く買えた一軒家であるところの我が家には、一人増えたところでまだ部屋は十分にある。かなたの荷物は殆どなかったので、家に少し物が増えた程度で収まった。
まずリビングに通されたかなたは、緊張した面持ちで座っていた。向かい合う私達姉妹はまるで面接官みたいだ。
「部屋は用意しますが、私達がいる時はできるだけどちらかと一緒にいてくれると嬉しいです」
「あ、はい。わかりました」
よく見ると、かなたはさっきから震えている。初めは緊張のせいかと思ったけど、どうやら寒さで震えている様子だ。
「かなた様、どうかされましたか」
「あ、すみません。その……少し寒くて」
「あ、そうでしたね。私達は二人共氷の魔物娘でしたから、気付きませんでした。とはいってもごめんなさい。私達が平気だから、暖を取るものはおいてないんです」
「仕方ないから、あとで何か厚着できるものでも用意してあげるわ」
「お願いします」
「それで続きだけど、私としては家の掃除なんかをしてくれると助かるわ。お仕事で家を空けることがあるからそういう時にできるだけやってちょうだい」
それから簡単な説明をかなたにすると、私はさっそく外に出て日用品を買い出しに行くことにした。どんなものが好みかはわからないから、適当に無難なものを選んでいけばいいと思うし、向こうは居候させてもらう身なのだから文句を言うことはないだろう。
「帰ったわ。氷華、かなた」
両手に買い物袋を下げて、帰宅した私は誰にも迎えられなかった。出かけたのかと思い耳を澄ましてみると、ゴソゴソと何やら音がする。どうやら家にはいるようで、私の声が聞こえなかっただけのようだ。
「仕方ないわね」
荷物を持ったままため息をついて、私は音のする方へ向かう。
「……ん……あ……そこですよ…………そう……ゆっくり……」
氷華の部屋まで来た私は、扉一枚を隔てた向こう側で何が行われているのか敏感に感じ取った。漏れてくる艶のある声は間違いなく氷華のものだ。そして精の反応から、同じ場所にかなたがいることがわかる。
「まったく、人が買い物してる間に。本当氷華ったら手が早いんだから」
扉の隙間から微かに漂ってくる冷気を感じながら、私は呆れて荷物をかなたの部屋へ置きに行く。
かなたの部屋は私物がダンボールに入ったままになっていて、生活感がまるで無い。私はその中央に乱雑に荷物を置くと、髪をキュッとお気に入りのポニーテールに結んで気合を入れた。
これが人間なら、情事に及んでいる二人に気を使うところだろう。けれどえっちなことが日常茶飯事の魔物娘としては、どうせ二人の世界に入っていることだし、こんな距離でも何をしていようが気にならない。
掃除用具を持ってきた私は、せめて汚い家だと思われないようにと、かなたの部屋の壁や床を念入りに拭き掃除した。水は自前で氷を作ることができるので無制限だ。
氷華は家事ができそうで私はできなさそうに見られがちだが、普段の家事は二人で分担していたので、私だってきちんとできる。だからいつも通りつつがなく掃除は終わった。
掃除が終わった後に、仕上げとして部屋全体に冷気を飛ばして空気を澄んだものにすれば完了だ。
むしろ私の方がタイミングを見図られていたのか、ちょうど掃除が終わったタイミングで二人がこちらへやってくるのを感じた。
「あ、おかえりなさいお姉さま」
「おかえりなさい、冷華さん」
「私がいない間に随分仲良くなったのね。そんなにくっついて」
かなたはぴったりと氷華にくっついていた。精を出したからだろう。その顔は少し消耗しているようだ。一方の氷華は、念願の精をもらえて嬉しそうにしている。
「ごめんなさいお姉さま。私どうしても我慢できなくて」
「あの、来てそうそうですが、僕氷華さんとお付き合いさせていただくことになりました。なので改めてこれからよろしくお願いします」
「そう。ま、節度を守るのならいいわ。よかったわね氷華」
「ありがとうございますお姉さま」
かなたは結局、その日から氷華にくっついたままだった。隙きさえあればくっついているところを目にする。
「ん……ぁ……んくぅ……ひぁ……」
かなたが来てから数日が経った。
夜、恋人や夫がいる魔物娘ならえっちが盛んになる時間帯に、家でもそれが行われるのが当たり前になっていた。
今日もかなたは氷華と一緒にえっちしている。していない日は二週間に一度くらいだ。
昼間はかいがいしくかなたの世話を焼き、夜はお互いに求め合う。雪女としては理想の生活だろう。
私は今日も、そんな二人の様子を強制的に聞かされながら彼らから精を分けてもらう。
隣の部屋からはかれこれ3時間にも及ぶ嬌声が聞こえてくる。
雪女の氷華と違い、グラキエスである私は送り込んだ冷気から精を得ることができる。だからわざわざ二人の邪魔をしなくてもいい。
これまではマズい精補給剤でまかなっていたのが、良質な精を得られたことで私達の体調はすこぶる良い。今日の撮影だって、カメラの子にかなり褒められた。
ベッドで横になる私は、ふと下半身が濡れているのを感じた。最近はいつもそうだ。特にこうして夜に精を分けてもらった直後が多い。
「今日も……しようかしら」
そっと股間に手を伸ばして、まるで触ってはいけないものに触るかのような手つきでそっと触れる。するとクチュと湿った音がして、同時に少しの気持ちよさが私を襲う。
「……ん」
念の為声が漏れないよう口元まですっぽりと布団を被ると、私はゆっくりと股間を指で擦っていく。
初めは恐る恐る、しかし次第にもっと快楽が欲しくなり、自然と大胆に。魔物娘の本能が知っている気持ちよくなる為の動きをする。
一度触れて自覚した後のオマンコは、次から次へとヌルヌルの液を出す。すると弄る指の滑りが良くなって、もっと激しく動けてしまう。
入り口を擦っているだけでは我慢できなくなった私は、ついに指先を膣内へ挿れる。ツププと空気の混じる音がいやらしく立つ。
「……くぅ……はぁ……はぁ…」
空いている方の手を使って横に置いてある抱きまくらを手繰り寄せると、それを片手でギュッと抱きしめる。少し物足りないという気持ちを感じるも、それでも安心するような満たされた気持ちになる。
「ん……ん……きもちぃ……」
氷華はいつもこれ以上に気持ちいいことをしているんだろう。そんな考えがよぎるけれど、すぐにオマンコから伝わる気持ちよさに思考が呑まれてしまう。
仰向けからうつ伏せになり、抱きまくらを少し下へ。膣内に挿れている指の本数を増やして、もっと、もっと快楽を求める。
「イッ……イ………クゥ」
ビクビクと体を跳ねさせて、私はついに絶頂した。ペタンと脱力し、余韻を楽しむ。
耳を澄ませば、微かに喘ぎ声が聞こえてくる。まだ二人はしているんだろう。
「……だめよね、こんなんじゃ」
両手で抱きまくらを抱きしめた私は、決心することにした。
「えぇっ、今なんて言いましたお姉さま」
「だから、ここを出ていくって言ったのよ」
よく晴れたお休みの日。私は氷華にそう打ち明けた。
氷華はすっかりお馴染みとなった、かなたを後ろから抱っこした体制で聞いていた。私の話を聞いた彼女は、とても驚いているようだった。
「そんなお姉さま、何かの間違いですよね。ここを出ていくだなんて。嘘ですよね」
「嘘じゃないわ、本当よ」
「そんな、どうしてですか」
「あのね。あなたたち、もうすっかり夫婦みたいになってるでしょ。そこに余計なのがいるのはやっぱりいけないと思うのよ。だから私は出ていくわけ。大丈夫よ近くに住むから」
「そんな……確かにかなた様と私はもう離れられませんけど、でもそれはお姉さまと私も同じです。私にとってお姉さまはとっても大事なんです」
「それはわかっているわ。だから近くに住むって言ってるじゃない。まだどこに住むかは決めてないけどね」
氷華ってばこの世の終わりみたいな顔して。別にもう会えなくなるわけじゃないのに。でもそんな顔されたら、せっかく固めた決意が揺らいでしまうわ。
「冷華さん、もしかして僕のせいですか」
「そんなわけないでしょう。むしろかなたは氷華のこと幸せにしなかったら氷像にしてやるわ。私の大切な妹なんだもの」
正直毎日後ろめたく情事にふけっている以上、かなたとはあまり話したくない。向こうは知らないけれど、こっちが勝手に気まずくなってしまうから。それに、初めてかなたから精を吸収してしばらくしてから、どうにもかなたを見ると夜のことが思い出されてしまって冷静じゃいられなくなる。
「じゃあそうね、こうしましょう。しばらく私と別行動してみて、どうしてもダメだったら残ることにするわ。でも私が大丈夫だと思ったら出ていくから。それでいいかしら」
「うぅ……わかりましたお姉さま」
ちゃんと言うことを聞いてくれる、本当にいい子だ。
「お仕事はいつも通り二人でやるから、それ以外はなるべく別々に行動することにしましょう。大丈夫よ、氷華にはかなたがついているんだから。そうよねかなた」
「えっ、あ、そ、そうですね」
対象的に、かなたは本当に頼りない。もうすぐ家に来て一月になろうと言うのに、まだ私に対して緊張しているような節があるし。誰かが見ていないとダメなタイプだと思う。氷華もそこを刺激されて好きになったのかもしれない。
涙目になっている氷華の頭を撫でてあげると、泣き笑いのような顔を見せた。
そうよ。いつも一緒にいたいけど、どこかで別々にならなきゃいけないのよ。私も氷華もそれを知る時が来たんだわ。
氷華にはこれまで通り過ごしてもらって、私はなるべく部屋にいることにしよう。顔を合わせればいつも通り接するし、ご飯も一緒に食べるけれど。
「うぅ……お姉さまと離れるのは嫌ですが、仕方ありません。私頑張ります」
これで氷華が私から離れても大丈夫になってくれればいいけれど。
そう思いながら、私はこの話を終えて、さっそく一緒に仕事へ向かうことにした。ちょうど二人一緒じゃなくて一人の仕事をしてみないかと言われていた矢先だったので、その話を受けることにしようと思う。
「あん……ひぅ……もっと……もっとください……かなた様ぁ」
その日から、氷華とかなたの夜ごと行われるえっちはより激しいものになった。微かに漏れていた今までとは違って、まるで私に聞かせるように大きな声で氷華は喘いでいる。
私はいつも通り冷気を忍ばせてかなたから精をもらいながら、すっかり日課となってしまっている自慰をする。氷華の声もあってか、その行為もまた遠慮無いものになりつつあった。
いやらしい音を立てて、空いている手で自分の胸を揉みしだきながら、荒い息と共に気分を高めていく。
少し前まで自慰なんてしたこともなかったけれど、もうすっかりハマってしまった。一人でするだけでもこんなに気持ち良いのだから、氷華みたいにセックスしたらどれだけ気持ち良いんだろうか。
体をくの字に折り曲げて、少しでも多く快感を得ようとする私の姿は、すっかり一人の魔物娘だ。
胸を触る手はかなたの手、おまんこを弄る指はかなたのおちんぽになり、的確に私が感じるところを刺激してくる。
とめどなく溢れる愛液を指ですくい取り、全身に塗りたくるようにして絡ませる。ローションを使うまでもない、窓から差し込む月明かりに照らされた私の体は、ヌラヌラと光を反射していた。
「かなた……かなたぁ……」
気付けば私は、甘い声でかなたの名前を呼んでいた。
聞こえないよう小さい声で呼ぶ度に、私のおまんこは切なくてキュンと締まる。
頼りない男だと思っていたし、氷華が夢中になったのならそれで良いと思っていたのに、自然と彼を求めてしまう私がいた。毎日精を貰っている間にこんなにも好きになっていたなんて。
だけど私は、これから二人と離れなきゃいけない。せっかく氷華が幸せになっているんだから、この期に及んでこんな気持ちを打ち明けて混乱させるわけにはいかない。
成り行きだったとはいえ結婚相談所に登録したんだから、この気持ちに整理をつけて違う誰かを見つけないといけない。
…………そんなこと、できるかわからないけれど。
切ない気持ちのまま、だけどしっかりと四回イった私は、いつの間にか聞こえなくなっていた氷華の声に気付くことなく眠りについた。
あまりにも氷華が私にべったりだった為、これまでは依頼するのが忍びなかったとのことで、私が一人の仕事を受けてからというもの、別々で行う仕事は一気に増えた。モヤモヤした気持ちを忘れようとするかのように仕事を入れまくったおかげで、目論見通りに私と氷華が別々に行動する機会は多くなった。
今日は私が家にいて氷華が撮影の日なので、家でソワソワしながら過ごしている。
というのも、最近の氷華は外に行く時にもかなたと一緒に行くようになっていてすっかり彼に依存するようになっていたのだけど、今日は撮影が遠方ということでかなたが家にいるからだ。
「あの……冷華さん。今いいですか」
もうすっかり氷華のものだからなるべく接しないようにしようと我慢している私のところに、かなたが遠慮がちな声で話しかけてきた。
「何かしら……って、どうしたのそんなに布団にくるまって」
私の部屋に来たかなたは、何がそんなに寒いのか布団にくるまって凍えている様子だ。顔が赤くないしフラフラもしていないので、体調が悪いということはなさそうなのに。
「ちょっと大丈夫なの。いいからこっちに来なさい」
とにかく安静にさせようと、彼の手を引いてベッドへ座らせる。
「まったく、自分の部屋で寝てなさいよ。今何か持ってくるから」
「あ、待って。行かないでください」
部屋を出ようとする私の手を取って、かなたは引き止めてきた。
「はぁ、仕方ないわね」
離してくれないだろうとふんだ私は、一旦かなたの横へ腰を降ろす。こんな時に氷華がいないなんて、運がないわ。
「あのっ、ごめんなさい」
「何を言って……っきゃ」
私がかなたの様子を見る為に顔を向けた途端、かなたは勢いよく私を押し倒してきた。急なことだったから勿論対応できなかった私は、そのまま背中を柔らかなベッドに預けることになってしまう。
「お姉ちゃん……冷華お姉ちゃん」
「急にどうしたのよいったい、ちょっと」
かなたは私の胸に顔を埋めて、一心不乱に抱きついている。
まるで私を味わうように、スーハーと深い呼吸をする。下半身に意識を向けると、僅かだけど動いているのがわかった。
狙いを定めているわけでもない、ただ気持ちよさを味わう為だけのひっそりとした腰振りで、かなたは私に甘えていた。呼び方も「お姉ちゃん」になっているけど、それはそんなに悪い気がしない。それどころかむしろ嬉しささえあった。
少し落ち着いたのか、キュッと私を抱いたまま動かなくなったのを見計らって、ゆっくりと私はかなたの体を少し持ち上げた。
「いったいどうしたって言うのよ。いきなり抱きついてきたりして」
「だ、だって寒くて仕方なかったんです」
「寒いって。今は氷華がいないからそうでしょう。確かに私も同じようなものだけど、私とあの子じゃ質が違うからどうにもできないわよ」
私達氷系の魔物娘は、持ち前の冷気で男を虜にする習性がある。かなたにべったりだった氷華はもちろんそれをしているだろうけど、私は少し冷気を通して精をもらっているだけであって、そこまでしていないはずだ。
「確かに初めは氷華さんがいないと寒くて仕方がありませんでした。だけどだんだん氷華さんがいるだけじゃ寒さが収まらなくなってしまって。最近は氷華さんと一緒にいても寒さが抑えられなかったんです」
間違いないわ、これは私が毎夜出していた冷気が原因に違いない。少しなら平気だと思っていたけれど、毎日になるとこんなに影響が出るものなのね。
こうなってしまったのは完全に私のせいだわ。彼の為にもここは満足するまで一緒にいてあげることにしましょう。
かなたを抱き寄せると、私は胸で優しく彼を受け入れる。
「仕方ないわね。私でいいなら甘えなさい」
「あ、ありがとう冷華お姉ちゃん」
許されたことで、かなたは入れていた力を緩めて少しリラックスしたようだった。魔物娘の私にとっては簡単に振り払うことができる程度の力だったけれど、彼にとっては逃げられたくないと必死の思いで私を抱いていたに違いない。
「冷華お姉ちゃん、冷華お姉ちゃん」
お姉ちゃんと言われる度に、私の心がキュンとする。気付けば自然と手が伸びて、かなたの頭をゆっくり優しく撫でていた。
「ホラ、まだ甘え足りないでしょう」
上着とブラを取り、おっぱいを露出させる。ピンと立った乳首を見たかなたがそれを口に含むと、私の体は敏感に反応した。
かなたと接している箇所は熱く火照り、私に感じたことのない快楽を与える。それは夜に一人で慰めていた時なんか比べ物にならない。もっと欲しい、もっと欲しいと本能が訴えかけてくる。
「どう、私の体。氷華とはまた違うでしょう」
「うん。冷華お姉ちゃんの体、スベスベで気持ち良いよ」
チューチューとおっぱいを吸いながら、かなたは両手で私の体をなぞっていく。背中から始まり、脇腹、お腹、腰、お尻、太腿……だんだん下へ下へと、貪欲に腰を動かしながら触るその手付きは、時折見せる縋るような目と合わさって私をときめかせる。
「ねぇ、もっと気持ちよくなりたいでしょう。私がしてあげるから、少し離れなさい」
「うん」
一瞬だけ体を離して今度はかなたをベッドに寝かせると、まだ少し震えている彼の為に私は布団を羽織ってかなたに覆いかぶさった。
「ふふ、もう私から逃げられないわよ」
「ぁぅ……」
耳元で囁くと、ビクリとかなたは体を震わせた。それがかわいくて、そのまま耳にチュッチュと何回かキスを降らせる。その度に敏感に反応するのが本当に愛おしい。
「氷華は優しく甘やかしてくれたんだろうけど、私はそんなに優しくないわよ。私と一緒に溶けてもらうんだから」
いつでもえっちできるように氷華がしているのか、ズボンはすぐに脱げてしまった。じっとかなたの表情を見ながら、手だけでどんなおちんぽをしているのか確かめる。
「わっ、あ、あ、冷華お姉ちゃん、ダメッ、それダメだから」
「ダメじゃないでしょう、気持ちいいんでしょう。それに、まだシコシコもしてないのにこんなに感じちゃって。えっちな子ね」
つつーっと指先でなぞって形を確かめているだけなのに、かなたは喘ぎ声を漏らして反応する。密着していて自分のおちんぽが見えない分、余計に感じてしまうんだろう。かなたがもっと興奮できるよう静かに耳元で囁きながら、私も自分の気分を高めていく。
おちんぽを触る指先に、かなたの先走り汁がつく。それをおちんぽ全体に塗り込むようにすると、手でおちんぽを包み込んでゆっくりとしごいた。
「ほら、シコシコ、シコシコ。気持ちぃ、気持ちぃ。お耳も弄ってあげる。わかるかしら、密着してる私の体も熱くなっているでしょう。私氷の魔物娘なのに、こんなに熱くされちゃって。かなたのせいでこんなになってるのよ」
「ふあぁぁぁ、冷華お姉ちゃん気持ちいいよぉ」
かなたは私の囁きですっかりトロトロになっていた。目はトロンとして、完全に脱力しきっている。私からもたらされる快楽に身を任せて、時折「あっ、あっ」と喘ぐばっかりで自分から動くなんてとてもできそうにない様子だ。
密着して触れている部分がジンジンと熱い。かなたのことを溶かすと言ったけれど、逆に私が溶けているみたいだ。氷の体が溶けて水になっているかのように、私のおまんこはぐっしょりと濡れて、シーツに染みを作っていることだろう。
「出るっ、出ちゃう」
「あらもう出ちゃうのね。じゃあ……はーい、おしまい」
一際強く擦ったのを最後に、私はおちんぽをしごく手を止めた。もう少しでイけそうだったのを寸止めされて、かなたは混乱したような、縋るような顔になる。
「ど、どうして……」
「手だけで先にイっちゃうなんて勿体無いでしょう。出すならちゃんと、私のここに出しなさい。おまんこに」
おまんこと聞くと、かなたのおちんぽがピクリと跳ねた。
「あ、でも、かなたは氷華と結婚するのよね。いいのかしら、私としちゃったら浮気えっちになるんじゃない」
言葉の端々に耳へのキスをはさみながら、敢えて焦らしていく。こんなことを言っているけれど、我慢できないのはむしろ私の方だ。
「そ、それは、あの」
「えいっ」
ツププッと音を立てながら、一気に挿入した。
「――っは、入った、わ。あーあ、はいっ、ちゃ、ったぁ」
体の芯から暖められるような間隔に陥った私は、どうしていいかわからずバタバタさせているかなたの両手を取って、ばんざいするような格好で上に上げた。指を絡めて恋人つなぎの状態で、もっともっと身動き取れなくしてしまう。
「私のおまんこ、どうかしら」
「あの、その、温かい中にもひんやりと冷たくて、すごく、気持ちいいよ」
「あら、もうお姉ちゃんって言ってくれないの」
「ご、ごめんなさい、冷華お姉ちゃん」
「んっ……ちゅ、いい子ね」
まだ挿れただけで動かさず、じっくりとかなたのおちんぽで私のおまんこが蕩ける感触を味わう。
二人で布団にくるまり、ヒソヒソと囁きえっちをしていると、激しいえっちとは違った閉塞感があって二人きりの世界に入り込める。これがとても心地よくて、まるで溶けて一つになるような錯覚に囚われていく。
「お姉ちゃん」
「何かしら」
「動いてもいい。動きたいよ」
「動いちゃっていいの。今ならまだ、私に無理やり組み伏せられたって言い訳できるのに。動いちゃったら自分から浮気えっちしちゃうんじゃないの」
「う……でも、だって気持ちよくて」
「……なーんて、嘘よ。大丈夫、安心していいから。そんな顔しないの。いいわ、好きなように動きなさい。私の、冷華お姉ちゃんの体でいっぱい気持ちよくなりなさい」
「うん、冷華お姉ちゃん、お姉ちゃん」
私に許されると、かなたは腰を振って私のおまんこに甘えてきた。さすがに毎日氷華とえっちしているだけあって腰使いは慣れたもので、変化をつけて私にいろいろな刺激をくれる。経験ではかなたの方が圧倒的に上で、このままだと主導権を握れないと思った私は、下半身に体重を掛けて、かなたが動ける範囲を小さくしてみた。結果として常に深くまでおちんぽが入ることになり、一突きごとに子宮と亀頭がキスをする。
「あん、きゅぅ、ほ、ほら、がんばれ、がんばれ。ちゅ、ちゅ、お耳も、お口も、おちんぽも、たくさんキスしてあげる。ちゅ、ちゅ」
「出したい、出したいよぉ」
「出しちゃう。冷華お姉ちゃんに出しちゃうのね」
「うん、うん」
「じゃあ、五つ数えてあげるから、ゼロになったらびゅーするのよ」
「が、頑張る」
「ごーお」
ぱんぱん
「よーん」
ぱんぱんぱんぱん
「さーん」
ちゅっちゅ、ちゅっちゅ
「にーい」
スリスリ、クチュクチュ、ナデナデ
「いーち」
スキスキ、だーいすき
「いーち」
ほら、もう少しよ。がんばれ、がんばれ
「いーち」
あら、どうしたの
「いーち」
そんなにお姉ちゃんのこと見て、かわいいんだから
「いーち」
「冷華お姉ちゃん、お願い、お願いだから」
「んー、何かしら。ほら、いーち」
「イかせて、冷華お姉ちゃん、お願い、変になっちゃう」
「そうなの。でもお姉ちゃん、私のことが好きな人の精液が欲しいのよね。だから気持ちがわからない人とはここまででいいかなって思うのよ。はいいーち」
「好き、大好き、大好きだから。だから冷華お姉ちゃん、お願い」
射精しないよう必死に我慢しながら懇願するかなたの顔が、もうかわいすぎて仕方ない。体を合わせた瞬間から、私はすっかり彼のことが大好きになっている。
「よく言えました。ふふっ、私もかなたのこと、大好きよ」
「お姉ちゃ――んぅ」
そう言うと私は触れていない箇所なんてないように、かなたの口にキスをした。舌を絡めて、口腔内を味わうように、ねっとりと舌を這わせる。それと同時に、押さえつけていた腰をかなたが振る動きに合わせて動かす。
一人で頑張るんじゃなくて、二人で一緒に気持ちよくなる為の抽送は、一気に二人の快感を高めていった。
「あ、あ、あ、あぁ、いい、いいわこれ」
「ああああ、出る、でるでるでるぅ」
「いいわ、出しなさい。そーれ、ゼロ、ゼロゼロゼロ」
「冷華お姉ちゃん、冷華お姉ちゃん」
「びゅー、びゅっびゅぅぅぅぅ」
最後は子宮口に密着していた亀頭から、勢い良く私の子宮に精液が注がれていく。それは私が感じたことのない、最も大きな快感となって私を襲った。こんなの知ってしまったら、もっと求めたくなるに決まっている。
もう私は……かなたから離れられない。
「フー、フー」
「はぁ、はぁ、はぁ」
一緒に果てた私達は、ぐったりとそのまま脱力した。おまんこは繋がったままのおちんぽからもっと欲しいとねだるように、ウネウネと動いている。
えっちの快感を一度知ってしまった私は、これなら氷華も毎日するわねなんて、妙に冷静に考えていた。
「あのねかなた」
「なに、冷華お姉ちゃん」
「もう私、あなたと離れられそうにないわ」
「ですよね。なら、家を出ていくことはないですよね」
「そうね、今まで通り家で生活するわ…………って、え、あれ」
かなたの方へ顔を向けると、そこにはものすっごい笑顔の氷華がベッド脇にいた。
「氷華、いったいいつからそこにいたの」
「はい、お姉さまがかなた様を押し倒したところからいました。お姉さまの愛し方、しっかり見せていただきました」
「あ、違う、違うのよ氷華。かなたが悪いんじゃないの。あなたも見てた通り、私がこの子を襲ったんだから」
「そんな、違います。僕が我慢できなかったのが悪いんです。冷華さんは悪くありません。ごめんなさい氷華さん」
慌てて起き上がった私達は、必死に氷華へ弁明した。その様子を氷華は笑顔のままおとなしく聞いていた。
魔物娘というのは、これと決めた一人の男を愛するようにできている。いくら姉妹とはいえもし他の女に取られようものなら、最悪旧魔物時代もかくやと言われるほどの争いに発展しかねない。
「まぁまぁ落ち着いてください二人共。私は別に怒ってなんていませんよ」
「でも氷華、あなたは彼のこと大好きでしょ。なのに私がこんなことしちゃって」
「そのへんは後で説明しますから、まずはですね」
スルスルと、おもむろに氷華は服を脱ぎだすと、上気した頬を浮かべた。
「お姉さまとかなた様のえっちを、私ずっと見ていたんです。ですからもう我慢できなくなってしまっていて。まずはそれを鎮めさせてくださいね」
そう言うと、氷華は私のベッドに入ってきた。窓側にいた私は逃げることができず、かなたを姉妹で挟む形になる。
「いつも私と最低3回はしているんですもの。かなた様もまだまだ物足りませんよね」
「氷華さん、いいんですか」
「……むー」
「うっ……氷華、お姉ちゃん」
「はい。むしろ襲っちゃいますから。今日はお姉ちゃん二人とえっちして過ごしましょうね、かなた様」
私も一緒にすることは氷華の中でもう決まっているみたいだ。かくいう私も、実はまだ満足していないので、氷華さえよければ参加したい。
「そうね。まだ私だって満足していないもの。ちゃんと溶けきるまで相手してもらわないとね」
「頑張るよ、お姉ちゃん」
そうして今日も明日も、結局一週間、休憩を入れながら三人で愛し合った。
「そういえばかなた様、お仕事についてなんですけど」
「もしかして氷華、あの話をするの」
かなたの両側に座る私と氷華は、耳元で囁きながらかなたに話しかける。露出したかなたのおちんぽを二人で挟み込むようにして繋がれた手は、リズミカルにおちんぽを扱いている。
あれから話し合った結果、かなたは私達二人と結婚することになった。元々氷華が相談所に出していた希望は、私達姉妹を二人共愛してくれる人というものだったのだが、当時は興味がなかった為に私は知らなかった。なので氷華にとってみれば、あの日私とかなたのえっちを目撃した時に、悲しむどころかむしろ私が自分と同じ人を好きになってくれたことが喜ばしかったらしい。
一夫多妻が珍しくはないこの世界なので、かなたも違和感なく結婚を承諾してくれた。
「新しいファッションを着た私達への反応をするお仕事があるんですが、どうでしょうか」
「紙面じゃなくて動画のお仕事なんだけれど、ようは『恋人がこんな反応をする良い服です』っていうのをアピールするのよ」
「それは……いいですね……うっ、出る」
ビュクビュクと勢いよく精液が飛び散り、私と氷華の手にべったりと付着した。まだおちんぽの中に残っている精液を絞り出して手に塗りたくると、私は氷華に、氷華は私に、それぞれ手を口元へ向けていく。
差し出された手をお互いにしゃぶると、精液のおいしい味と指の感触が合わさって、とても甘いものになっていた。
氷の魔物娘二人の冷気にすっかり虜となったかなたは、もう私達無しでは生きられないような状態だった。少なくともどちらかとくっついていないと、孤独感と寒さで耐えられないらしい。もちろんそれは私達も同じことで、かなたと一緒にいないとどうにかなってしまいそうになったことが何度もあった。
そんな状態なので、この先仕事をしていく上でかなたの同伴は必須になっていた。
「ねえかなた、今日はどっちと最初におまんこするの」
「ふわふわトロトロの甘々氷華お姉ちゃんにしますか」
「それとも締めつけキツキツのいじわる冷華お姉ちゃんにする」
「「どっちにする」」
テーブルを挟んで向かい合って座る妹がそう言った時、ついに男に縁がなさすぎておかしくなったのかと思った。
「氷華、女同士で結婚は無理よ」
こめかみをおさえて呆れた声を出す私に、妹の氷華はきょとんとした顔になっていた。
「当たり前じゃないですか。何を言っているんですかお姉さま。もしかしてここの熱で少しおかしくなってしまったのでは」
氷華がキョロキョロと辺りを見渡す。そこでは次の撮影に向けて、スタッフさんたちが忙しく歩き回っていた。それとさっきまで使われていたストロボの熱で、確かにここは少し暑くなっている。
私達は普段モデルをしていて、それなりに人気があると自覚している。私がグラキエスで氷華が雪女なので、魔物娘向けだけじゃなく人間向けのファッション誌にも仕事の依頼が来ることがある。今はそんな仕事の1つをこなしながら休憩中というわけだ。
「今まではお仕事が忙しくて行けませんでしたけど、今度こそお休みを作って行きましょうよお姉さま」
「1人で行けばいいでしょう」
「嫌ですー、お姉さまと一緒がいいですー」
ぷぅと頬を膨らませる氷華。この子は昔からそうだ。何をするにしても私と一緒にやりたがる。この仕事だって、2人同時に声を掛けられていなければやるかやらないかは私に合わせたことだろう。
私も例に漏れず、グラキエスという種族柄男にはあまり興味がない。だから男を見つけろと言われても全然乗り気にはなれない。
氷華は雪女なので、どちらかと言えば男を強く欲するタイプの魔物娘だ。だから今回こんなことを言ってきたのは、必然だろう。むしろ今までよく我慢していたと言うべきか。
「じゃあついて行ってあげるけど、どうすればいいの」
堪忍したように言うと、氷華は目をキラキラさせた。
「あのですね、実はこの近辺に評判の結婚相談所があることがわかったんです。ですからそこへ行こうと思います」
「結婚相談所って、いきなりそんなところへ行くの。最初から結婚目当てなんて、ちょっと急すぎない」
「え、でも、お付き合いするからには結婚しますよね」
「まぁ……そう……なのかな」
「そうですよ。付き合ったけど別れたなんて話、私聞いたことないです。お姉さまだってないでしょう」
「確かにそうだけど」
「それでは決まりですね」
今から楽しみで仕方ないとばかりに、氷華は体から冷気を溢れさせた。ちょっと、あんまり出さないの。迷惑になるから。
元々趣味や遊び間隔で仕事をする魔物娘にとって、休みを取るのはごく普通のことだ。しかもそれが未来の夫を見つけるとなれば、むしろ仕事なんてしている場合じゃない。
数日後、氷華に連れられて相談所に来た私は、身だしなみをチェックされていた。
「お姉さまも私と同じキレイな髪をしていますから、凛々しさがより際立つようにポニーテールにしましょう」
櫛で私の髪を整えながら、氷華は後ろに立って私の髪を束ねていく。モデルをやっている癖にそういうところには無頓着な私がこの仕事をやれているのは、こうして氷華が世話をやいてくれているところが大きい。
「さて……と。それではお姉さま、さっそく受付に行きましょう」
満足した出来栄えになったのか、長くストレートの髪を揺らしながら氷華は私の前を先導して歩きだした。
「いらっしゃいま……お、おおぉ」
受付にいたハーピーの子が発した第一声はそれだった。
「もしかしてもしかして、あのフローズン姉妹ですか」
「はい」
「そうだけど」
ファンが好きな芸能人に会えた時のような反応をしたその子は、手に持っていた雑誌を広げて私達に見せてきた。そこにはこの前の撮影で撮られた私達の写真があった。
「まさかちょうど読んでいた雑誌のお二人に会えるなんて、私感激です」
「あ、ありがとう」
「結婚しているっていうお話は耳にしたことがなかったのですが、まだお相手がいなかったんですね」
「仕事が忙しかったもので」
さすがに騒ぎになるのは避けたらしく、少し声を落としてハーピーの子は話しかけてくる。周りの皆に私達のことがバレたとしても、ここは熱心に相手を探している魔物娘ばかりなので大きな騒ぎにはならないと思う。だけどそういった配慮は嬉しい。
「それでは希望する条件の記載など、やって欲しいことがありますので、別室までご案内ささていただきますね」
「あ、それなんですけど、お姉さまと2人一緒でも構わないでしょうか」
「構いませんよ。もしかして2人で1人の方を夫にしたいとのことですかね」
「いけませんか」
「いえいえ、別に珍しいことではありませんよ」
にこやかな笑顔で別室に案内されると、あの子は受付担当なのか、しばらくして戻っていった。もっと話したそうな雰囲気を出していたけど、ちゃんと仕事はするらしい。
「ねぇお姉さま、気付きましたか。ここの職員さん、皆結婚していますね」
「そうなの」
「はい。はっきり見えるように皆さん指輪が光っていますもの」
渡された用紙に希望する相手の条件を書きながら私と氷華がそんな話をしていると、しばらくして別の職員が部屋に入ってきた。
「どうもー。あたくしがお二人を担当させていただきます、ぬれおなごの雫です。お二人のファッションは旦那様も好きで、よく再現させてもらっていますー」
どこか間延びした口調の雫さんは、用紙を書き終えた私達からそれを受け取ると、じっくり目を通し始めた。
「あれー、お姉さんの方は特に希望が無いんですかー」
「ええまぁ、そうね」
ここに来たのは氷華に言われたからであって、私はあくまでオマケのようなものだと思っている。そもそもまだ男を見つけて結婚するような気持ちになっていないから、条件には当たり障りのないことを書いたはずだ。そのへん雫さんはプロで、私のそんな思いをしっかりと見透かしていた。
「それでは条件に合う男の人がいるか、ちょっと見てきますねー。また少しお待ちくださいなー」
雫さんはそう言うとペタペタと部屋を去っていった。
「私、お姉さまと離れるつもりはありませんから。良い人が見つかるといいですね」
「そううまくいくかしらね」
これから訪れる出会いに興奮しているのか、氷華の体から少し冷気が漏れ出ていた。
「あのー、少しよろしいでしょうか」
やがて雫さんが、ファイルを抱えて戻ってきた。その表情が曇っていることから、どうやらよくない知らせがあるようだ。
「何でしょうか。何か不都合でもありましたか」
「いえ、お二人には何も問題はないんです」
「条件に合う男の人が見つからなかったとかですか」
「うーん、まぁ、そうですね。まずはこれを見ていただきながら説明させてください」
雫さんは持っていたファイルを私達に手渡すと、向かい合って腰掛けた。
ファイルには男の写真とプロフィールが書かれている。
「なかなか良い顔立ちじゃないですか、お姉さま」
「んー、そうなのかしらね。よくわからないわ」
「その人はかなたさんと言いまして、つい先日ここに登録したばかりの人なんです。ですが少し問題が発生してしまいまして」
ふーん、背丈は私より低いのね。氷華と同じくらいかしら。別にプロフィール上はおかしなところは無いと思うけど。
「確認ですが、お二人は一緒に暮らしているんですよね」
「はい、私とお姉さまの二人暮らしです」
「ということは、もう一人増えても構いませんか」
「どういうこと。いきなり同居しろとでも言うのかしら」
さすがにそんなことはないと思うけど。
「実は、お二人が良ければそうして欲しいんです」
「まぁ、何か事情があるんですか」
渋い顔をした私とは裏腹に、氷華は何やら期待している素振りだった。
ちょっと待って。初対面の男といきなり同居なんて、できるわけがないでしょう。
「そうですね。近い内に日程を合わせて、直接本人から聞くのが良いと思います。もしそれで合意していただけるのなら、それに越したことはないですから」
「お姉さま、どうするかはともかく、私会ってみたいです。いいですか」
「まあそうね。取り敢えず会うだけと思うことにしましょう」
「ありがとうございます」
それから私達は日程を合わせる。こっちはいつでも休もうと思えば休めるので、向こうの日程に合わせる形になった。
氷華は今から楽しみで仕方ないようで、ずっとそわそわしていた。
ついに初対面の日、私と氷華はそれなりに見栄えを整えて相談所へ出向いた。特に氷華なんかは、いつもより念入りに化粧をしていた。
「いよいよですねお姉さま。いったいどんなタイプの人なんでしょうか」
通された相談室の椅子に腰掛け、静かに待つ。
いくら氷華が前向きだからといっても、家のことも関わってくるのだ。だから私がしっかりしないといけない。浮かれていない冷静な立場から、ダメだと思ったらはっきり断ろう。
「お待たせしました。こちらがかなたさんです」
ゆっくりとドアが開いて雫さんが入ってくると、後に続いて写真で見た通りの男が入ってきた。
「ど、どうも。かなたと言います。よろしくお願いします」
第一印象は、自信の無い男といった感じだった。目線をそらして挨拶する表情からも、それが見て取れる。
「さっそくだけどいいかしら」
「あ、はい。僕の事情ですね。実は僕、田舎からこの街に来たんですけど、ここで誰か良い人を見つけないと、田舎に戻らされて結婚させられるんです」
「そうなの。でも戻ったら結婚できるなんていいじゃない」
「全然よくないですよ。僕の田舎って、勝ち気な魔物娘さんが多いんです。昔からそういう我が強い人って苦手なんです。子供の頃だって、どれだけ振り回されたことか」
「まぁ、それは大変ですね」
「そうなんです。それなのに働いていた職場が無くなってしまって。きっと良い機会だから田舎に戻って来いと言われるので、迷惑になる前に登録を消して貰おうと来たところ、今回の話を貰ったというわけです」
「初めに言っておこうと思いますが、あの件に関してはあくまで私の提案です。かなたさんからの提案ではありませんよ」
私達のところに転がり込もうなんていい度胸だと思った矢先に、雫さんがフォローに入った。まぁ、確かに初対面の相手と一緒に住もうなんて人はいないわよね。
チラリと横に座る氷華の様子を見てみると、ものすっごく目をキラキラさせていた。完全にこの子のタイプなんだわ。もしかしたら、これは止められないかもしれない。
「働く場所がなくなってしまったということは、これからのお住まいはどうしようと思っているのですか」
「そうですね。少しだけ蓄えはあるので、一月くらいはどうにかなりそうですが、それ移行はやっぱり田舎に戻ることになると思います。なかなか仕事も見つからないと思いますし」
「ふむふむ、住む場所に困っていると。お姉さま、これは放っておけませんよね」
「え、別にいいんじゃないかしら。田舎に帰るだけでしょう」
いくら氷華のタイプだからって、いきなりそこまで認めはしないわ。私は断固として断るんだから。
「いけませんお姉さま。田舎に帰ってしまったら、かなた様は結婚してしまうんですよ」
「いいことじゃないの」
「むーーーー」
「かわいくむくれてもダメよ。言いたいことがあるならちゃんと言いなさい」
「わ、わかりました」
皆に聞こえる声で言うのは恥ずかしいのか、氷華は私に耳打ちしてきた。
「あの、一言で言って私、かなた様のことが気に入ってしまったんです。だからお願いですから、一緒に住むのを認めてくれませんか」
「あの人のことを気に入ったのはいいけど、家には私だって住んでるのよ。もっと段階を踏んでからでもいいじゃないの。少なくとも一月は猶予があるんだし」
「そんなことを言っていたら、きっと逃してしまいます。私きっと何も手につかなくなってしまいますよ。そうなったらお姉さまのお仕事にも支障が出てしまいますよ」
「うーん、確かに、私達は姉妹でやってるもんね。それはあるんじゃないかしら」
「でしょう。というかですね、あの、私もうすでに、かなた様と触れ合いたくて仕方がないんです。だから一生のお願いですから、お姉さま」
「はぁ、仕方ないわね。いいわよ。その代わり、私の言うことをちゃんと聞くのよ」
「ありがとうございます。大好きですお姉さま」
今にも泣き出しそうな顔でお願いされたら、私はいつも断れない。一生のお願いは氷華の常套文句だけど、一生のお願いが一回だなんて決まりは確かに無いから、最終的に私はいつも聞き入れてあげることになる。
「お話はまとまりましたか」
「はい。あの、かなた様」
「なんでしょうか」
「もし住む場所に困っているのでしたら、私達と一緒に住みましょう。ね、ね、お互いの相性を確かめるお試しだと思って。ね」
「えっ、でも、そんなの悪いですよ」
かなたが私をチラリと見る。
「こうなったら氷華は止められないわ。仕方ないから許してあげる。このままだとこの子、あなたの家に押しかけそうだし。そうなったらいちいち迎えに行く私が面倒だわ」
「はい、それでは同居ということで決まりですね。よかったですね」
この状況を面白がっているのか本当に嬉しいのか、雫さんは晴れやかな顔でそう締めくくった。
ペットを飼うような間隔で人間の男を家に入れることになってしまった私は、これからどんな面倒なことが起こるのか気が重かった。
「さっそくですが、私からかなた様にこの家で過ごすルールについて説明があります」
あれから数日後、仕事が無く自由な時間がたっぷりあるかなたはすぐに家にやってきた。安く買えた一軒家であるところの我が家には、一人増えたところでまだ部屋は十分にある。かなたの荷物は殆どなかったので、家に少し物が増えた程度で収まった。
まずリビングに通されたかなたは、緊張した面持ちで座っていた。向かい合う私達姉妹はまるで面接官みたいだ。
「部屋は用意しますが、私達がいる時はできるだけどちらかと一緒にいてくれると嬉しいです」
「あ、はい。わかりました」
よく見ると、かなたはさっきから震えている。初めは緊張のせいかと思ったけど、どうやら寒さで震えている様子だ。
「かなた様、どうかされましたか」
「あ、すみません。その……少し寒くて」
「あ、そうでしたね。私達は二人共氷の魔物娘でしたから、気付きませんでした。とはいってもごめんなさい。私達が平気だから、暖を取るものはおいてないんです」
「仕方ないから、あとで何か厚着できるものでも用意してあげるわ」
「お願いします」
「それで続きだけど、私としては家の掃除なんかをしてくれると助かるわ。お仕事で家を空けることがあるからそういう時にできるだけやってちょうだい」
それから簡単な説明をかなたにすると、私はさっそく外に出て日用品を買い出しに行くことにした。どんなものが好みかはわからないから、適当に無難なものを選んでいけばいいと思うし、向こうは居候させてもらう身なのだから文句を言うことはないだろう。
「帰ったわ。氷華、かなた」
両手に買い物袋を下げて、帰宅した私は誰にも迎えられなかった。出かけたのかと思い耳を澄ましてみると、ゴソゴソと何やら音がする。どうやら家にはいるようで、私の声が聞こえなかっただけのようだ。
「仕方ないわね」
荷物を持ったままため息をついて、私は音のする方へ向かう。
「……ん……あ……そこですよ…………そう……ゆっくり……」
氷華の部屋まで来た私は、扉一枚を隔てた向こう側で何が行われているのか敏感に感じ取った。漏れてくる艶のある声は間違いなく氷華のものだ。そして精の反応から、同じ場所にかなたがいることがわかる。
「まったく、人が買い物してる間に。本当氷華ったら手が早いんだから」
扉の隙間から微かに漂ってくる冷気を感じながら、私は呆れて荷物をかなたの部屋へ置きに行く。
かなたの部屋は私物がダンボールに入ったままになっていて、生活感がまるで無い。私はその中央に乱雑に荷物を置くと、髪をキュッとお気に入りのポニーテールに結んで気合を入れた。
これが人間なら、情事に及んでいる二人に気を使うところだろう。けれどえっちなことが日常茶飯事の魔物娘としては、どうせ二人の世界に入っていることだし、こんな距離でも何をしていようが気にならない。
掃除用具を持ってきた私は、せめて汚い家だと思われないようにと、かなたの部屋の壁や床を念入りに拭き掃除した。水は自前で氷を作ることができるので無制限だ。
氷華は家事ができそうで私はできなさそうに見られがちだが、普段の家事は二人で分担していたので、私だってきちんとできる。だからいつも通りつつがなく掃除は終わった。
掃除が終わった後に、仕上げとして部屋全体に冷気を飛ばして空気を澄んだものにすれば完了だ。
むしろ私の方がタイミングを見図られていたのか、ちょうど掃除が終わったタイミングで二人がこちらへやってくるのを感じた。
「あ、おかえりなさいお姉さま」
「おかえりなさい、冷華さん」
「私がいない間に随分仲良くなったのね。そんなにくっついて」
かなたはぴったりと氷華にくっついていた。精を出したからだろう。その顔は少し消耗しているようだ。一方の氷華は、念願の精をもらえて嬉しそうにしている。
「ごめんなさいお姉さま。私どうしても我慢できなくて」
「あの、来てそうそうですが、僕氷華さんとお付き合いさせていただくことになりました。なので改めてこれからよろしくお願いします」
「そう。ま、節度を守るのならいいわ。よかったわね氷華」
「ありがとうございますお姉さま」
かなたは結局、その日から氷華にくっついたままだった。隙きさえあればくっついているところを目にする。
「ん……ぁ……んくぅ……ひぁ……」
かなたが来てから数日が経った。
夜、恋人や夫がいる魔物娘ならえっちが盛んになる時間帯に、家でもそれが行われるのが当たり前になっていた。
今日もかなたは氷華と一緒にえっちしている。していない日は二週間に一度くらいだ。
昼間はかいがいしくかなたの世話を焼き、夜はお互いに求め合う。雪女としては理想の生活だろう。
私は今日も、そんな二人の様子を強制的に聞かされながら彼らから精を分けてもらう。
隣の部屋からはかれこれ3時間にも及ぶ嬌声が聞こえてくる。
雪女の氷華と違い、グラキエスである私は送り込んだ冷気から精を得ることができる。だからわざわざ二人の邪魔をしなくてもいい。
これまではマズい精補給剤でまかなっていたのが、良質な精を得られたことで私達の体調はすこぶる良い。今日の撮影だって、カメラの子にかなり褒められた。
ベッドで横になる私は、ふと下半身が濡れているのを感じた。最近はいつもそうだ。特にこうして夜に精を分けてもらった直後が多い。
「今日も……しようかしら」
そっと股間に手を伸ばして、まるで触ってはいけないものに触るかのような手つきでそっと触れる。するとクチュと湿った音がして、同時に少しの気持ちよさが私を襲う。
「……ん」
念の為声が漏れないよう口元まですっぽりと布団を被ると、私はゆっくりと股間を指で擦っていく。
初めは恐る恐る、しかし次第にもっと快楽が欲しくなり、自然と大胆に。魔物娘の本能が知っている気持ちよくなる為の動きをする。
一度触れて自覚した後のオマンコは、次から次へとヌルヌルの液を出す。すると弄る指の滑りが良くなって、もっと激しく動けてしまう。
入り口を擦っているだけでは我慢できなくなった私は、ついに指先を膣内へ挿れる。ツププと空気の混じる音がいやらしく立つ。
「……くぅ……はぁ……はぁ…」
空いている方の手を使って横に置いてある抱きまくらを手繰り寄せると、それを片手でギュッと抱きしめる。少し物足りないという気持ちを感じるも、それでも安心するような満たされた気持ちになる。
「ん……ん……きもちぃ……」
氷華はいつもこれ以上に気持ちいいことをしているんだろう。そんな考えがよぎるけれど、すぐにオマンコから伝わる気持ちよさに思考が呑まれてしまう。
仰向けからうつ伏せになり、抱きまくらを少し下へ。膣内に挿れている指の本数を増やして、もっと、もっと快楽を求める。
「イッ……イ………クゥ」
ビクビクと体を跳ねさせて、私はついに絶頂した。ペタンと脱力し、余韻を楽しむ。
耳を澄ませば、微かに喘ぎ声が聞こえてくる。まだ二人はしているんだろう。
「……だめよね、こんなんじゃ」
両手で抱きまくらを抱きしめた私は、決心することにした。
「えぇっ、今なんて言いましたお姉さま」
「だから、ここを出ていくって言ったのよ」
よく晴れたお休みの日。私は氷華にそう打ち明けた。
氷華はすっかりお馴染みとなった、かなたを後ろから抱っこした体制で聞いていた。私の話を聞いた彼女は、とても驚いているようだった。
「そんなお姉さま、何かの間違いですよね。ここを出ていくだなんて。嘘ですよね」
「嘘じゃないわ、本当よ」
「そんな、どうしてですか」
「あのね。あなたたち、もうすっかり夫婦みたいになってるでしょ。そこに余計なのがいるのはやっぱりいけないと思うのよ。だから私は出ていくわけ。大丈夫よ近くに住むから」
「そんな……確かにかなた様と私はもう離れられませんけど、でもそれはお姉さまと私も同じです。私にとってお姉さまはとっても大事なんです」
「それはわかっているわ。だから近くに住むって言ってるじゃない。まだどこに住むかは決めてないけどね」
氷華ってばこの世の終わりみたいな顔して。別にもう会えなくなるわけじゃないのに。でもそんな顔されたら、せっかく固めた決意が揺らいでしまうわ。
「冷華さん、もしかして僕のせいですか」
「そんなわけないでしょう。むしろかなたは氷華のこと幸せにしなかったら氷像にしてやるわ。私の大切な妹なんだもの」
正直毎日後ろめたく情事にふけっている以上、かなたとはあまり話したくない。向こうは知らないけれど、こっちが勝手に気まずくなってしまうから。それに、初めてかなたから精を吸収してしばらくしてから、どうにもかなたを見ると夜のことが思い出されてしまって冷静じゃいられなくなる。
「じゃあそうね、こうしましょう。しばらく私と別行動してみて、どうしてもダメだったら残ることにするわ。でも私が大丈夫だと思ったら出ていくから。それでいいかしら」
「うぅ……わかりましたお姉さま」
ちゃんと言うことを聞いてくれる、本当にいい子だ。
「お仕事はいつも通り二人でやるから、それ以外はなるべく別々に行動することにしましょう。大丈夫よ、氷華にはかなたがついているんだから。そうよねかなた」
「えっ、あ、そ、そうですね」
対象的に、かなたは本当に頼りない。もうすぐ家に来て一月になろうと言うのに、まだ私に対して緊張しているような節があるし。誰かが見ていないとダメなタイプだと思う。氷華もそこを刺激されて好きになったのかもしれない。
涙目になっている氷華の頭を撫でてあげると、泣き笑いのような顔を見せた。
そうよ。いつも一緒にいたいけど、どこかで別々にならなきゃいけないのよ。私も氷華もそれを知る時が来たんだわ。
氷華にはこれまで通り過ごしてもらって、私はなるべく部屋にいることにしよう。顔を合わせればいつも通り接するし、ご飯も一緒に食べるけれど。
「うぅ……お姉さまと離れるのは嫌ですが、仕方ありません。私頑張ります」
これで氷華が私から離れても大丈夫になってくれればいいけれど。
そう思いながら、私はこの話を終えて、さっそく一緒に仕事へ向かうことにした。ちょうど二人一緒じゃなくて一人の仕事をしてみないかと言われていた矢先だったので、その話を受けることにしようと思う。
「あん……ひぅ……もっと……もっとください……かなた様ぁ」
その日から、氷華とかなたの夜ごと行われるえっちはより激しいものになった。微かに漏れていた今までとは違って、まるで私に聞かせるように大きな声で氷華は喘いでいる。
私はいつも通り冷気を忍ばせてかなたから精をもらいながら、すっかり日課となってしまっている自慰をする。氷華の声もあってか、その行為もまた遠慮無いものになりつつあった。
いやらしい音を立てて、空いている手で自分の胸を揉みしだきながら、荒い息と共に気分を高めていく。
少し前まで自慰なんてしたこともなかったけれど、もうすっかりハマってしまった。一人でするだけでもこんなに気持ち良いのだから、氷華みたいにセックスしたらどれだけ気持ち良いんだろうか。
体をくの字に折り曲げて、少しでも多く快感を得ようとする私の姿は、すっかり一人の魔物娘だ。
胸を触る手はかなたの手、おまんこを弄る指はかなたのおちんぽになり、的確に私が感じるところを刺激してくる。
とめどなく溢れる愛液を指ですくい取り、全身に塗りたくるようにして絡ませる。ローションを使うまでもない、窓から差し込む月明かりに照らされた私の体は、ヌラヌラと光を反射していた。
「かなた……かなたぁ……」
気付けば私は、甘い声でかなたの名前を呼んでいた。
聞こえないよう小さい声で呼ぶ度に、私のおまんこは切なくてキュンと締まる。
頼りない男だと思っていたし、氷華が夢中になったのならそれで良いと思っていたのに、自然と彼を求めてしまう私がいた。毎日精を貰っている間にこんなにも好きになっていたなんて。
だけど私は、これから二人と離れなきゃいけない。せっかく氷華が幸せになっているんだから、この期に及んでこんな気持ちを打ち明けて混乱させるわけにはいかない。
成り行きだったとはいえ結婚相談所に登録したんだから、この気持ちに整理をつけて違う誰かを見つけないといけない。
…………そんなこと、できるかわからないけれど。
切ない気持ちのまま、だけどしっかりと四回イった私は、いつの間にか聞こえなくなっていた氷華の声に気付くことなく眠りについた。
あまりにも氷華が私にべったりだった為、これまでは依頼するのが忍びなかったとのことで、私が一人の仕事を受けてからというもの、別々で行う仕事は一気に増えた。モヤモヤした気持ちを忘れようとするかのように仕事を入れまくったおかげで、目論見通りに私と氷華が別々に行動する機会は多くなった。
今日は私が家にいて氷華が撮影の日なので、家でソワソワしながら過ごしている。
というのも、最近の氷華は外に行く時にもかなたと一緒に行くようになっていてすっかり彼に依存するようになっていたのだけど、今日は撮影が遠方ということでかなたが家にいるからだ。
「あの……冷華さん。今いいですか」
もうすっかり氷華のものだからなるべく接しないようにしようと我慢している私のところに、かなたが遠慮がちな声で話しかけてきた。
「何かしら……って、どうしたのそんなに布団にくるまって」
私の部屋に来たかなたは、何がそんなに寒いのか布団にくるまって凍えている様子だ。顔が赤くないしフラフラもしていないので、体調が悪いということはなさそうなのに。
「ちょっと大丈夫なの。いいからこっちに来なさい」
とにかく安静にさせようと、彼の手を引いてベッドへ座らせる。
「まったく、自分の部屋で寝てなさいよ。今何か持ってくるから」
「あ、待って。行かないでください」
部屋を出ようとする私の手を取って、かなたは引き止めてきた。
「はぁ、仕方ないわね」
離してくれないだろうとふんだ私は、一旦かなたの横へ腰を降ろす。こんな時に氷華がいないなんて、運がないわ。
「あのっ、ごめんなさい」
「何を言って……っきゃ」
私がかなたの様子を見る為に顔を向けた途端、かなたは勢いよく私を押し倒してきた。急なことだったから勿論対応できなかった私は、そのまま背中を柔らかなベッドに預けることになってしまう。
「お姉ちゃん……冷華お姉ちゃん」
「急にどうしたのよいったい、ちょっと」
かなたは私の胸に顔を埋めて、一心不乱に抱きついている。
まるで私を味わうように、スーハーと深い呼吸をする。下半身に意識を向けると、僅かだけど動いているのがわかった。
狙いを定めているわけでもない、ただ気持ちよさを味わう為だけのひっそりとした腰振りで、かなたは私に甘えていた。呼び方も「お姉ちゃん」になっているけど、それはそんなに悪い気がしない。それどころかむしろ嬉しささえあった。
少し落ち着いたのか、キュッと私を抱いたまま動かなくなったのを見計らって、ゆっくりと私はかなたの体を少し持ち上げた。
「いったいどうしたって言うのよ。いきなり抱きついてきたりして」
「だ、だって寒くて仕方なかったんです」
「寒いって。今は氷華がいないからそうでしょう。確かに私も同じようなものだけど、私とあの子じゃ質が違うからどうにもできないわよ」
私達氷系の魔物娘は、持ち前の冷気で男を虜にする習性がある。かなたにべったりだった氷華はもちろんそれをしているだろうけど、私は少し冷気を通して精をもらっているだけであって、そこまでしていないはずだ。
「確かに初めは氷華さんがいないと寒くて仕方がありませんでした。だけどだんだん氷華さんがいるだけじゃ寒さが収まらなくなってしまって。最近は氷華さんと一緒にいても寒さが抑えられなかったんです」
間違いないわ、これは私が毎夜出していた冷気が原因に違いない。少しなら平気だと思っていたけれど、毎日になるとこんなに影響が出るものなのね。
こうなってしまったのは完全に私のせいだわ。彼の為にもここは満足するまで一緒にいてあげることにしましょう。
かなたを抱き寄せると、私は胸で優しく彼を受け入れる。
「仕方ないわね。私でいいなら甘えなさい」
「あ、ありがとう冷華お姉ちゃん」
許されたことで、かなたは入れていた力を緩めて少しリラックスしたようだった。魔物娘の私にとっては簡単に振り払うことができる程度の力だったけれど、彼にとっては逃げられたくないと必死の思いで私を抱いていたに違いない。
「冷華お姉ちゃん、冷華お姉ちゃん」
お姉ちゃんと言われる度に、私の心がキュンとする。気付けば自然と手が伸びて、かなたの頭をゆっくり優しく撫でていた。
「ホラ、まだ甘え足りないでしょう」
上着とブラを取り、おっぱいを露出させる。ピンと立った乳首を見たかなたがそれを口に含むと、私の体は敏感に反応した。
かなたと接している箇所は熱く火照り、私に感じたことのない快楽を与える。それは夜に一人で慰めていた時なんか比べ物にならない。もっと欲しい、もっと欲しいと本能が訴えかけてくる。
「どう、私の体。氷華とはまた違うでしょう」
「うん。冷華お姉ちゃんの体、スベスベで気持ち良いよ」
チューチューとおっぱいを吸いながら、かなたは両手で私の体をなぞっていく。背中から始まり、脇腹、お腹、腰、お尻、太腿……だんだん下へ下へと、貪欲に腰を動かしながら触るその手付きは、時折見せる縋るような目と合わさって私をときめかせる。
「ねぇ、もっと気持ちよくなりたいでしょう。私がしてあげるから、少し離れなさい」
「うん」
一瞬だけ体を離して今度はかなたをベッドに寝かせると、まだ少し震えている彼の為に私は布団を羽織ってかなたに覆いかぶさった。
「ふふ、もう私から逃げられないわよ」
「ぁぅ……」
耳元で囁くと、ビクリとかなたは体を震わせた。それがかわいくて、そのまま耳にチュッチュと何回かキスを降らせる。その度に敏感に反応するのが本当に愛おしい。
「氷華は優しく甘やかしてくれたんだろうけど、私はそんなに優しくないわよ。私と一緒に溶けてもらうんだから」
いつでもえっちできるように氷華がしているのか、ズボンはすぐに脱げてしまった。じっとかなたの表情を見ながら、手だけでどんなおちんぽをしているのか確かめる。
「わっ、あ、あ、冷華お姉ちゃん、ダメッ、それダメだから」
「ダメじゃないでしょう、気持ちいいんでしょう。それに、まだシコシコもしてないのにこんなに感じちゃって。えっちな子ね」
つつーっと指先でなぞって形を確かめているだけなのに、かなたは喘ぎ声を漏らして反応する。密着していて自分のおちんぽが見えない分、余計に感じてしまうんだろう。かなたがもっと興奮できるよう静かに耳元で囁きながら、私も自分の気分を高めていく。
おちんぽを触る指先に、かなたの先走り汁がつく。それをおちんぽ全体に塗り込むようにすると、手でおちんぽを包み込んでゆっくりとしごいた。
「ほら、シコシコ、シコシコ。気持ちぃ、気持ちぃ。お耳も弄ってあげる。わかるかしら、密着してる私の体も熱くなっているでしょう。私氷の魔物娘なのに、こんなに熱くされちゃって。かなたのせいでこんなになってるのよ」
「ふあぁぁぁ、冷華お姉ちゃん気持ちいいよぉ」
かなたは私の囁きですっかりトロトロになっていた。目はトロンとして、完全に脱力しきっている。私からもたらされる快楽に身を任せて、時折「あっ、あっ」と喘ぐばっかりで自分から動くなんてとてもできそうにない様子だ。
密着して触れている部分がジンジンと熱い。かなたのことを溶かすと言ったけれど、逆に私が溶けているみたいだ。氷の体が溶けて水になっているかのように、私のおまんこはぐっしょりと濡れて、シーツに染みを作っていることだろう。
「出るっ、出ちゃう」
「あらもう出ちゃうのね。じゃあ……はーい、おしまい」
一際強く擦ったのを最後に、私はおちんぽをしごく手を止めた。もう少しでイけそうだったのを寸止めされて、かなたは混乱したような、縋るような顔になる。
「ど、どうして……」
「手だけで先にイっちゃうなんて勿体無いでしょう。出すならちゃんと、私のここに出しなさい。おまんこに」
おまんこと聞くと、かなたのおちんぽがピクリと跳ねた。
「あ、でも、かなたは氷華と結婚するのよね。いいのかしら、私としちゃったら浮気えっちになるんじゃない」
言葉の端々に耳へのキスをはさみながら、敢えて焦らしていく。こんなことを言っているけれど、我慢できないのはむしろ私の方だ。
「そ、それは、あの」
「えいっ」
ツププッと音を立てながら、一気に挿入した。
「――っは、入った、わ。あーあ、はいっ、ちゃ、ったぁ」
体の芯から暖められるような間隔に陥った私は、どうしていいかわからずバタバタさせているかなたの両手を取って、ばんざいするような格好で上に上げた。指を絡めて恋人つなぎの状態で、もっともっと身動き取れなくしてしまう。
「私のおまんこ、どうかしら」
「あの、その、温かい中にもひんやりと冷たくて、すごく、気持ちいいよ」
「あら、もうお姉ちゃんって言ってくれないの」
「ご、ごめんなさい、冷華お姉ちゃん」
「んっ……ちゅ、いい子ね」
まだ挿れただけで動かさず、じっくりとかなたのおちんぽで私のおまんこが蕩ける感触を味わう。
二人で布団にくるまり、ヒソヒソと囁きえっちをしていると、激しいえっちとは違った閉塞感があって二人きりの世界に入り込める。これがとても心地よくて、まるで溶けて一つになるような錯覚に囚われていく。
「お姉ちゃん」
「何かしら」
「動いてもいい。動きたいよ」
「動いちゃっていいの。今ならまだ、私に無理やり組み伏せられたって言い訳できるのに。動いちゃったら自分から浮気えっちしちゃうんじゃないの」
「う……でも、だって気持ちよくて」
「……なーんて、嘘よ。大丈夫、安心していいから。そんな顔しないの。いいわ、好きなように動きなさい。私の、冷華お姉ちゃんの体でいっぱい気持ちよくなりなさい」
「うん、冷華お姉ちゃん、お姉ちゃん」
私に許されると、かなたは腰を振って私のおまんこに甘えてきた。さすがに毎日氷華とえっちしているだけあって腰使いは慣れたもので、変化をつけて私にいろいろな刺激をくれる。経験ではかなたの方が圧倒的に上で、このままだと主導権を握れないと思った私は、下半身に体重を掛けて、かなたが動ける範囲を小さくしてみた。結果として常に深くまでおちんぽが入ることになり、一突きごとに子宮と亀頭がキスをする。
「あん、きゅぅ、ほ、ほら、がんばれ、がんばれ。ちゅ、ちゅ、お耳も、お口も、おちんぽも、たくさんキスしてあげる。ちゅ、ちゅ」
「出したい、出したいよぉ」
「出しちゃう。冷華お姉ちゃんに出しちゃうのね」
「うん、うん」
「じゃあ、五つ数えてあげるから、ゼロになったらびゅーするのよ」
「が、頑張る」
「ごーお」
ぱんぱん
「よーん」
ぱんぱんぱんぱん
「さーん」
ちゅっちゅ、ちゅっちゅ
「にーい」
スリスリ、クチュクチュ、ナデナデ
「いーち」
スキスキ、だーいすき
「いーち」
ほら、もう少しよ。がんばれ、がんばれ
「いーち」
あら、どうしたの
「いーち」
そんなにお姉ちゃんのこと見て、かわいいんだから
「いーち」
「冷華お姉ちゃん、お願い、お願いだから」
「んー、何かしら。ほら、いーち」
「イかせて、冷華お姉ちゃん、お願い、変になっちゃう」
「そうなの。でもお姉ちゃん、私のことが好きな人の精液が欲しいのよね。だから気持ちがわからない人とはここまででいいかなって思うのよ。はいいーち」
「好き、大好き、大好きだから。だから冷華お姉ちゃん、お願い」
射精しないよう必死に我慢しながら懇願するかなたの顔が、もうかわいすぎて仕方ない。体を合わせた瞬間から、私はすっかり彼のことが大好きになっている。
「よく言えました。ふふっ、私もかなたのこと、大好きよ」
「お姉ちゃ――んぅ」
そう言うと私は触れていない箇所なんてないように、かなたの口にキスをした。舌を絡めて、口腔内を味わうように、ねっとりと舌を這わせる。それと同時に、押さえつけていた腰をかなたが振る動きに合わせて動かす。
一人で頑張るんじゃなくて、二人で一緒に気持ちよくなる為の抽送は、一気に二人の快感を高めていった。
「あ、あ、あ、あぁ、いい、いいわこれ」
「ああああ、出る、でるでるでるぅ」
「いいわ、出しなさい。そーれ、ゼロ、ゼロゼロゼロ」
「冷華お姉ちゃん、冷華お姉ちゃん」
「びゅー、びゅっびゅぅぅぅぅ」
最後は子宮口に密着していた亀頭から、勢い良く私の子宮に精液が注がれていく。それは私が感じたことのない、最も大きな快感となって私を襲った。こんなの知ってしまったら、もっと求めたくなるに決まっている。
もう私は……かなたから離れられない。
「フー、フー」
「はぁ、はぁ、はぁ」
一緒に果てた私達は、ぐったりとそのまま脱力した。おまんこは繋がったままのおちんぽからもっと欲しいとねだるように、ウネウネと動いている。
えっちの快感を一度知ってしまった私は、これなら氷華も毎日するわねなんて、妙に冷静に考えていた。
「あのねかなた」
「なに、冷華お姉ちゃん」
「もう私、あなたと離れられそうにないわ」
「ですよね。なら、家を出ていくことはないですよね」
「そうね、今まで通り家で生活するわ…………って、え、あれ」
かなたの方へ顔を向けると、そこにはものすっごい笑顔の氷華がベッド脇にいた。
「氷華、いったいいつからそこにいたの」
「はい、お姉さまがかなた様を押し倒したところからいました。お姉さまの愛し方、しっかり見せていただきました」
「あ、違う、違うのよ氷華。かなたが悪いんじゃないの。あなたも見てた通り、私がこの子を襲ったんだから」
「そんな、違います。僕が我慢できなかったのが悪いんです。冷華さんは悪くありません。ごめんなさい氷華さん」
慌てて起き上がった私達は、必死に氷華へ弁明した。その様子を氷華は笑顔のままおとなしく聞いていた。
魔物娘というのは、これと決めた一人の男を愛するようにできている。いくら姉妹とはいえもし他の女に取られようものなら、最悪旧魔物時代もかくやと言われるほどの争いに発展しかねない。
「まぁまぁ落ち着いてください二人共。私は別に怒ってなんていませんよ」
「でも氷華、あなたは彼のこと大好きでしょ。なのに私がこんなことしちゃって」
「そのへんは後で説明しますから、まずはですね」
スルスルと、おもむろに氷華は服を脱ぎだすと、上気した頬を浮かべた。
「お姉さまとかなた様のえっちを、私ずっと見ていたんです。ですからもう我慢できなくなってしまっていて。まずはそれを鎮めさせてくださいね」
そう言うと、氷華は私のベッドに入ってきた。窓側にいた私は逃げることができず、かなたを姉妹で挟む形になる。
「いつも私と最低3回はしているんですもの。かなた様もまだまだ物足りませんよね」
「氷華さん、いいんですか」
「……むー」
「うっ……氷華、お姉ちゃん」
「はい。むしろ襲っちゃいますから。今日はお姉ちゃん二人とえっちして過ごしましょうね、かなた様」
私も一緒にすることは氷華の中でもう決まっているみたいだ。かくいう私も、実はまだ満足していないので、氷華さえよければ参加したい。
「そうね。まだ私だって満足していないもの。ちゃんと溶けきるまで相手してもらわないとね」
「頑張るよ、お姉ちゃん」
そうして今日も明日も、結局一週間、休憩を入れながら三人で愛し合った。
「そういえばかなた様、お仕事についてなんですけど」
「もしかして氷華、あの話をするの」
かなたの両側に座る私と氷華は、耳元で囁きながらかなたに話しかける。露出したかなたのおちんぽを二人で挟み込むようにして繋がれた手は、リズミカルにおちんぽを扱いている。
あれから話し合った結果、かなたは私達二人と結婚することになった。元々氷華が相談所に出していた希望は、私達姉妹を二人共愛してくれる人というものだったのだが、当時は興味がなかった為に私は知らなかった。なので氷華にとってみれば、あの日私とかなたのえっちを目撃した時に、悲しむどころかむしろ私が自分と同じ人を好きになってくれたことが喜ばしかったらしい。
一夫多妻が珍しくはないこの世界なので、かなたも違和感なく結婚を承諾してくれた。
「新しいファッションを着た私達への反応をするお仕事があるんですが、どうでしょうか」
「紙面じゃなくて動画のお仕事なんだけれど、ようは『恋人がこんな反応をする良い服です』っていうのをアピールするのよ」
「それは……いいですね……うっ、出る」
ビュクビュクと勢いよく精液が飛び散り、私と氷華の手にべったりと付着した。まだおちんぽの中に残っている精液を絞り出して手に塗りたくると、私は氷華に、氷華は私に、それぞれ手を口元へ向けていく。
差し出された手をお互いにしゃぶると、精液のおいしい味と指の感触が合わさって、とても甘いものになっていた。
氷の魔物娘二人の冷気にすっかり虜となったかなたは、もう私達無しでは生きられないような状態だった。少なくともどちらかとくっついていないと、孤独感と寒さで耐えられないらしい。もちろんそれは私達も同じことで、かなたと一緒にいないとどうにかなってしまいそうになったことが何度もあった。
そんな状態なので、この先仕事をしていく上でかなたの同伴は必須になっていた。
「ねえかなた、今日はどっちと最初におまんこするの」
「ふわふわトロトロの甘々氷華お姉ちゃんにしますか」
「それとも締めつけキツキツのいじわる冷華お姉ちゃんにする」
「「どっちにする」」
19/01/15 03:23更新 / NEEDLE