連載小説
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第六話 吹雪と火蜥蜴の誘惑
俺はハートの家にしばらく世話になることが決まった。
ハートは持ち家で一人暮らし、ずっと前に亡くなった両親が遺してくれたこの家を離れる気になれず、火山のふもとの村の人たちの支援もあって今まで暮らしてきたらしい。
「明日皆の紹介に行くから、とりあえずパパのベッドで休んでくれ。」
意外にも、ハートは両親のことをパパとかママとか呼んでいる。
早いうちに亡くしたから、子供のころからの癖が抜けないんだと言っていた。
整えられたベッドは、多分ずっとハートが維持してきたんだろう、誰かが使った形跡もなくきれいなもんだった。
俺はそこを荒らすことに、恐ろしいくらいの躊躇を覚えた。
彼女がずっと守ってきた領域だ、必要最低限しかできない俺ですら驚くくらい家事が下手だったあの子が、今までずっと一人でここを守り続けてきたんだ。
そこを異物でしかない俺が踏み荒らす、それは彼女の冒涜につながらないか?
とりあえずベッドに横になる前に、置いてあった戸棚に目をやる。
やっぱりこれもきれいに整えられていた。
それだけじゃない、この部屋にある家具はみんなまるで持ち主が今も欠かさず手入れしているようにきれいで、汚れひとつ見当たらない。
「あいつは、両親のこと大好きだったんだろうな。」
この部屋を見ればわかる。
ハートは両親のことを尊敬していた、両親のことが心の底から大好きだった。
だからこそ、二人が生きていたあかしを失いたくないんだろう。
形にして残していないといつか風化してしまいそうで怖いから。
残された記憶だけでもこうして形を保っておけば残しておけると思うから。
だから、ハートはこんな辺鄙な場所で一人っきりで生きてこれたんだろう。
「…………」
ベッドに向かって目を閉じて合掌すると、その姿勢のまま十秒ほど待機。
「申し訳ないが、あんたを踏み荒らさせてもらう……」
そう言って俺は二人で寝ても窮屈じゃない大きなベッドの中にもぐりこむ。
人の居場所に入り込むなんて俺は本来ならしたくないんだが、そうも言っていられない。
コンコン
「あ、フブキ、まだ起きてるか?」
ドアをノックしたハートの声に、できるだけベッドを汚さないように工夫しながら起き上る。
「起きてる。」
「入るぞ。」
入ってきたハートは鎧を外していた。
裸というわけじゃなく、しかし紐ビキニのような下着に近い恰好(ってか下着だなこれ)をしていて、俺はかなり目のやり場に困る。
「どうかしたのか?」
「風呂まだだよな? よかったら入ってくれ。」
そう言われてみれば、俺はあれだけ熱い場所にいてしかも結構な運動をしてたのに風呂に入ってなかった、酸っぱくさいと思ったらこれ俺の汗の臭いだったんだな。
「ありがたくいただく、風呂はどこだ?」
「案内するよ。」
そう言ってハートは無骨な石造りの家の中を俺を先導して歩いていく。外とは石の種類が違うのかそれとも特殊な道具で遮熱してあるのか、家の中はそんなに熱くはない、せいぜい暖かい程度。
少し歩いた先に、風呂はあった。
温泉だった、露天だった。
「そうくるかー、そりゃ火山だもんなー、活火山だもんな温泉くらい湧くよなー。」
思わず笑ってしまう、とりあえず手を入れてみるがそんなに熱くはない。
多分家と同じ素材を使ってあるんだろう、火山に熱されすぎることなく温泉は大体四十度前後を保っている。
服を脱ぎ始めるが、ズボンを脱ぐ前にあることに気づく。
「いつまで見てんだ? ハート。」
さっきからずっと、黒い紐下着のような恰好のままハートは俺の着替え姿をじっくりと見つめていた、いくらなんでも異性に生着替えを注視されるのは恥ずかしいんだが。
「いや、綺麗な体してるなと思って。」
「どこがだよ。」
俺の体はあちこちに先生が作ってくださった痣や擦り傷の跡が生々しく残り、中には真剣で切られたときにできた創傷さえある。見るに堪えないもんだと俺は思ってるし、クラスメイトにはヤクザと抗争したときにできた傷だと思ってる奴さえいた。
ちなみにいうが先生はヤクザでも極道でもないただの殺人剣術師範だ。
女性で、子供生んでるとは思えないほど美人でその上若々しかった。
「見た目がじゃなくて体つきだぞ? 全体に無駄がなく動きを邪魔しない程度に必要な筋肉が必要な分ある、よっぽど正しい鍛錬を積んできた人間じゃない限りそうはならない。」
言われて納得する。
先生は本当に関節の動かし方から剣を振る角度までみっちりミリ単位で矯正して俺に叩き込んでくれたから、おかげで俺はこんな体つきになった。
「……褒めてくれたのはうれしいんだが、見るな。」
ここから先は女人禁制のシークレットゾーン御開帳タイムだ。
しっしと俺はハートに向かって手を動かすが、彼女は動じない。
「別にいいだろ? 見たって。」
「よくねーよ! 俺にも羞恥心があるんだよ!」
「だって私も入るつもりだからな。」
本気でツッコむ俺に向かって、ハートはそんなことをごく当たり前のように言ってのけた。
「おい今なんつった?」
「私も入るつもり。」
とりあえず冷静にまた服を着始める。
「ちょっと待て、お前何してんだ。」
あわててハートが止めようとするが、無視して服を全部着る。
「女と混浴は正直勘弁しろ、風呂から出たら教えてくれ。」
そう言い残して俺はもう一度ハートの親父さんの部屋に戻る。
はっきり言うが俺はハートが嫌いなわけじゃない、ちょっとバカなのは引っかかるところだが、見た目は好みだし歯に衣着せぬ物言いも俺からしたら高評価がでる。
だが、だから一緒に風呂に入れるのかと言われればそれはあり得ない。
「そういうことは、昨日今日会ったやつとすることじゃねぇんだよ。」
床に座り込みながら一人口に出す。
いい加減な気持ちで、中途半端な覚悟で何かをしでかすことくらい、俺が大嫌いなこともない。俺の両親が、俺を捨てたあいつらがそうだったから、だから嫌いになった。
俺の両親は驚くくらい一人息子だった俺に興味がなかった。
口に出すのは仕事の話か『夫婦』の話で、俺のことは二の次だった。
金は与えられていたけれど料理は本当に作り置きの品ばかりで、授業参観はおろか三者面談や家庭訪問も「忙しいから」という理由だけでずっと断り続けてきた。
そんな連中が最後の最後にやった行為が、息子を捨てて夫婦だけでの失踪だった。
呆れてものも言えなかったことをよく覚えている。それと同時に、ほんのわずかに頭の隅で抱いていた最後の期待を打ち砕かれた俺は大人に失望した。
だからだろう、大人なんぞに振り回されないようになりたいと切実に願ったのは、俺の人生を好き勝手に乱されることなく、自分で選んで生きられるようになりたいと思ったのは。
そんな時に先生に会った。
『習ったから何か変わるわけじゃない、それに私はスパルタだから練習のたびに死ぬ寸前までしごく。けど興味があるなら弟子入りは歓迎するよ。授業料もタダにしておいてあげる、私の道楽だからね。』
それが、弟子入りをしたいといった俺に向けての先生の言葉だった。
元気にしてるんだろうか、あの世界に未練があるとしたら、彼女のことくらいしか思い浮かばない。
俺のことを心配してくれてるととても嬉しいんだが。
「いや何思ってんだよ、相手は子持ちの人妻だぞ? 娘が俺より三つ下だぞ?」
俺はあの人のことが大好きではあった、確実に好きだったし尊敬もしていたしかし、だからってあの人のことを女性として見たことはないつもりだ。
「いい湯だった、ほらフブキ、空いたぞ。」
ドアを開けたハートが俺に向かってそういう。
そういやこいつ、全体的な雰囲気が先生に似てるんだよな。
思いっきり先生よりバカだし常識知らずだけど。
「わかった、すぐ入るよ。」
「あ、ところで。」
横を通り過ぎた俺に向かいハートが声をかける。
「『子持ちの人妻』ってのは、誰のことだ?」
その目によくわからない空気を宿して、ハートが俺に訪ねてくる。
特に隠し立てする必要もないと思った俺は、素直に答えることにした。
「俺に剣術を仕込んでくれた先生だ。」
十数回殺されかけたし、五度ほど首が落ちるかと思うような事故もあったがそれでも俺はそのおかげで少なくとも物理戦力的にはかなり強くなった。
精神も鍛えられたとは思う、日ごとに激しさを増していくあの特訓に心が折れなかったんだから。
「強いのか?」
「俺じゃ及びつかないくらい圧倒的に強かった、多分あっちの世界でもあの人より強い人なんて片手で足りるくらいしかいないと思う。」
こっちの世界でも少なくともハートじゃ先生には勝てないだろう、よっぽど名の通った武人とでも彼女なら渡り合える気がしてならない。
殺人剣術の師範だったから公式試合には出れなかったけど、出ていたらおそらく最強の一人に数えられていたであろうことは容易に予想がつく。
結構入門も厳しくて、先生が気に入った「力を正しく使いうる自制心を持った若者」にしか技を教えてないから、門下生は俺を含めて四人だけだった。
その中で俺は下から二番目、上から三番目。
「フブキよりさらに強い……どんな怪物だよ……」
「先生いなくて本当に良かったな、いたらぶっ殺されてるぞ。」
先生は怪物呼ばわりされることを嫌っていた。
「とりあえず風呂もらうぞ。」
とりあえず風呂に行かせてもらう。
そういえば俺は露天風呂に入ることも初めての気がする。
とりあえず体を洗ってから湯船に肩まで浸かる。
正しい作法を俺はよく知らないんだが、これで良かったんだろうか。
温泉に浸かってのんびりしながら、俺は視界に移る広大な世界を見渡していた。
月がこんなに明るいんだとは知らなかった。俺たちの世界とは違うのかもしれないけど。
火山のふもとに確かに見える村、ここからそんなに遠くない。歩いて三十分程度か。
日本じゃめったにお目にかかれないような、ところどころに木の生えた岩の野原、そしてそこを切り裂くように流れる二つの川と、それに引っ付くように作られたいくつもの町。
そして地平線のギリギリ上のところに見える謎の壁。
「本当に、違う世界に来ちまったんだなぁ……」
そんな感想しか浮かんでこない。
あちらの世界での生活を捨てたことに未練があるわけじゃない。
あちらの世界に全く未練がないわけでもないけれど、この選択が間違ってなかったとも俺は感じているからだ。
それに過去の行動を悔やんでる時間なんか俺にはないことも理由にある。
これからのことを考えておかないといけないんだ。
「……これから……か。」
一緒にこの世界を訪れた仲間たち。
早く合流したほうがいいんだろう、ほかの皆も心配しているはずだ。
「フブキ、入るぞ。」
風呂に勝手にハートが入り込んできた。
しかも、全裸で。
「………………」
あまりに唐突すぎて頭がとりあえずフリーズする。
鎧どころか黒下着さえつけていない、文字通り素っ裸のハートがそこにいた。
「背中流してやるよ。」
そう言いながら、ハートは顔を明らかに赤らめて俺に近づいてくる。
「ちょぉっトまテぇっ!!」
焦りと混乱で声の一部を裏返しながらも、俺はギリギリのところでハートを止める。
怪訝そうな顔をして首をかしげるハートの手には石鹸が握られていて、そして尻尾の炎はまるで情欲の炎でも灯してるみたいにメラメラ燃え盛っている。
「背中なガすっテなンだょ! オれはヒとコともたのンでねぇそ!」
月明かりに照らされて、日光の下で見るよりもさらに妖艶さを増した気のする、あまりにきれいすぎるハートの裸体に声をあちこち裏返して舌足らずにしながらも、必死に俺はハートの接近を退けようとする。
「夫婦なら、このくらい当然だろ?」
顔を赤らめて俺に接近しながら、俺が言っていることのほうが間違いとでもいいたげにハートは言う。
「夫婦ってお前、最初っから思ってたけど何言ってんだよ!」
ようやく心臓はまだバクバク言ってるが普通にしゃべれるようになった。
「ああそうか、お前はよく知らないのか。」
ハートは俺に顔を近づけながら言う、下半身は地面と垂直のまま、上半身だけを地面と平行にして、上半身が倒れないように手を膝に置くことでバランスをとったその姿勢。
異常なくらい胸が強調されている、それはもう俺のほとんど目と鼻の先でプルプル小刻みに揺れている。
「私たちサラマンダーは、戦士として生きる種族だ、常に最高の戦いを求める性質を持っていて、最高の戦いを提供してくれた相手に惚れる。」
「……つまり、俺がお前に最高の戦いを提供したと、そういうわけか。」
「理解が早くて助かる。……じゃ、もらうぞ?」
そう言いながらハートが接近してくる。
ゴギッ
その顎に、俺は膝蹴りをくらわせていた。
一瞬白目をむいて崩れそうになったハートの脇をすり抜けて、湯船から上がる。
「悪いけど、本当に悪いけど無理なんだよ……そういうのは。」
別に不能ってわけじゃない、それにハートはとても魅力的だし彼女が真摯に訴えてきていることだってよく解る。けれど、どうしても頭が納得しない。
どうしても、あいつらのことを思い出してしまう。
高校生でその場のノリでセックスして、できた子供を堕胎することも捨てることもできずに必死になって養おうと働いて、最後には結局子供を捨ててどこかに逃げたやつらのことを思い出す。
そんな奴らと同類になりたくないから、今ここで彼女は抱けない。
「私はそんなに魅力がないか?」
「いやそんなことはない。」
即答で否定する、まず間違いなくハートは美人だし、俺のタイプだ。
「じゃなんでだよ。」
「……俺には両親がいない、お前みたいに亡くなったんじゃなくて、俺の両親はその場のノリで子供を作ってさんざん後悔して最後には息子を捨てたような連中だ、そいつらと同じに、俺はなりたくない。」
自分の世界から、自分を取り巻いてきたほとんどのものから逃げてこの世界に来ておいて気取った言い方だとは思う、無責任なら似たり寄ったりだ。
でも俺は、その最後の一線だけは、最後のプライドだけは守りたい。
「……そっか。」
ハートは納得してくれたようで、とぼとぼと風呂から出ていく。


と思った瞬間だった、
突然方向転換したハートが俺にタックルして、もろとも風呂にダイブした。
さすがに受け身は取れたが、俺の腰にハートの腕が絡み付いている。
「油断したろー、私たちサラマンダーに対する知識がない証拠だぞ?」
その通り完璧に油断していたさ、説得は成功だと思っていた。
「私たちの尻尾の炎は感情によって状態が変わるんだ、気づいてなかったか?」
そういえば、泣いていたときは火が勢いを弱めていたし興奮してたときは煌々と燃え盛っていた記憶がある。俺の脇を通り抜けようとしたときの尻尾の炎もやっぱりメラメラ燃え盛っていた。
人間相手は慣れてたが人間のように見える人外の相手はこいつが初めてだったから、対処のパターンに全くの無知だった。
「このっ離れろっ!」
力技でどかそうとするが全く歯が立たない、この細腕のどこにこんな馬鹿力が眠っていたのやら。
「魔物に力で勝てはしないさ、さて、イタダキマス。」
そう言うと、ハートは本当に好物でも食べる時みたいに嬉しそうな顔で俺の息子を口に含む。そして、
じゅぞぞぞぞぞ れろれろれろべろぉっ
喉の奥まで俺の息子を押し込むと、喉奥で吸い込みながら竿を舌で嬲ってくる。
「うぅおっっくっ!」
さっきからハートの綺麗な褐色の裸に魅せられていたせいで熱くたぎり始めていた息子は、初めての刺激でも素直に快感を受け入れてしまう。
じゅぼっじゅぼっじゅぽ ぶぢゃびちゅれろるろぉっ
俺の反応に対して目を細めて喜んで見せたハートは、さらに激しく俺の息子をしごき始める。
目を閉じると喉の奥の奥まで息子を飲み込み、頭を前後させながら卑猥な音を立てて竿の先端あたりから根元に至るまでひたすらに舐りまわしてくる。
正直、犯罪的に気持ちいい。
どんどん股間に血が集まってきて、俺の息子は今までなったことのないようなでかいサイズに膨れ上がる。
ぐぐぐぐぐ、ぐぼん
ハートはさすがに苦しくなったのか口から息子を吐き出す。
「っておいおい……私今の今までこんなの咥えてたのか?」
目を開いて、ギンギンにそそり立った俺の息子を驚き半分興奮半分に見つめながら、今更ながらハートはそんなことを言う。
「すっげー…グロい……こんなの入れんのか?」
「怖気づいたなら今すぐ止めてくれても結構、あとは自分で処理できる。」
むしろ怖気づいてくれと思いながら、挑発するように俺は言う。
しかし俺の願いは届かなかったらしい、ハートは意を決したように俺の体を抑えながら腰を俺の息子の真上に持ってくる、ちょうど垂直に落とせば、間違いなく息子が秘唇をこじ開けて奥の奥まで貫くであろう位置だ。
彼女の陰唇は早くほしいと言わんばかりに涎を垂らして、ときどきその綺麗なピンク色の中身まで見せながら自身が準備万端であることを訴えている。
「一……二の……さんっ!!」
そんなムードもへったくれもない掛け声を出して、ハートは一気に腰を落とす。
ずにゅう ブヂィっ! ずぶぶぶぶぶぶ ごづん!
「――ッ!! んぁおあああっ あはぁう!!」
俺の息子が飲み込まれ、処女膜を突き破り、そしてさらに奥まで行って彼女の奥に強烈にぶつけられるまでおよそコンマ二秒。
ハートは失った痛みに一瞬だけ悶えて、すぐに顔を蕩けさせた。
「ハァ………入ったぁ……」
どこかうっとりしたように、ハートはそんなことを呟く。
ずぐっじゅぶっじゅぬっじゅぼっ
鱗に覆われた手でしっかり俺の腕を抑え込みながら、俺の体の上で腰を上下させ始める。処女だったとは思えないほど淫蕩な腰つきで、見せつけるように褐色の肌を俺の体の上で躍らせながら、ハートは快感を貪る。
しかし、俺は襲われることに納得してやった覚えはない。
ハートの腰に向かって、腰を無理やり打ち付ける。
「ンはぅっ!」
ビクンと大きく体を跳ねさせた彼女を無視して、足を一気に彼女の脇の下に通し、腕に絡める。
「っせいっ!!」
そのまま足の力だけで彼女を押し倒し、上下を無理やり逆転させる。
これなら逃げられる。
そう思った瞬間、ハートの足が俺の腰に絡み付いてくる。
そのままがっちりと抑え込まれて、俺はまた捕まったことを再認識する。
うまくいったと思ったんだが、甘かったか。
「油断したけど放す気ないんだよ。ちなみにこれ、『だいしゅきホールド』って寝技な。」
「寝技の意味が明らかにちげぇ……」
二人で寝ながら使う技じゃないだろ寝技ってのは。
うんざりしながら脱出方法を探るが、半分答えは出てるようなもんだ。
腰は抑え込まれて動かすことができず、腕もやっぱり抑えられたまま。
一発で孕むほど俺は種馬じゃねぇし、仕方ない……か。
諦めた、もー諦めた、考える方がバカバカしく思えてきた。
「付き合ってやるから腕放せ。」
そう言って、俺のチンポをもっと奥まで飲み込もうとひねりながら腰を押し付けてきていたハートに言う。
「ウソだ、信用できない。」
「あっそ、んじゃいいよ勝手にやっから。」
人がせっかく付き合って気持ちよくしてやろうとか思ってたのによ。
まぁ、ついさっきまで童貞だった俺にできることなんてタカが知れてるかも知れないが。
じゅぐじゅぐに濡れてるこいつのマンコじゃ、本当にすぐ果てるだろ。
そう思いながら、ハートの体に体重を預けるようにして少しずつ息子をハートの奥にめり込ませていく。少しして子宮口に触れるが、気にせず押し込む。
「ン゙い゙ぃいいい――――――――――――――――ッッ!!」
歯を食いしばってハートが耐える、痛いのか痛くないのかは不明。
子宮口まで達してもまだ俺は体重をかけるのをやめない。
徐々に奥まで入っていく、子宮口がどんどん押されて後退していっている。
「子宮が押しつぶされてるな、あれおかしいぞ、締め付けが強くなってる。」
棒読みのまま俺はどんどん体重をかけていく。
俺の言葉通り膣の締め付けはさっきの強さの比ではなく、もし俺の息子が硬く怒張していなかったらこの圧力に負けて潰されていたかもしれない。
どうやらこんな無茶苦茶極まりない攻め方されてるのに、すっかり発情しきったこいつの頭はそれすらも気持ちいいらしい、もしくはマゾか。
それに絡み付いた足も必死に俺の腰を抑え込んできていて、すでに後ろに引けない状態になってしまっている。
「ひぎぃい゙あ゙っぢゅぶれりゅゔっ! しぎゅうぢゅぶぢゃれりゅぅううう!!!」
「なら足放せ、本当に子宮使い物にならなくするぞ。」
俺の言葉にやっと自分がどんな体勢をとっていたのか思い出したのか、ハートの足が俺の腰を開放する。
それと同時に俺は子宮の弾力に押し戻されるように腰を後ろに下げる。
「お゙まえ゙ヴぁぁあ……女の子の子宮なんだと思ってんだぁ……」
「子宮。」
それを使い物にならなくなる一歩手前まで追い込んだくせに、鬼気迫る表情のハートに向かって俺は当たり前のように返事をする。
「ほら、まな板の上の鯉に徹してやるから機嫌直せ。」
そう言ってまた俺は床の上に座り込む。
猜疑心満々の表情でハートは俺の息子の上にもう一度腰を持ってくる。
不安そうにそろそろと腰を落とし、やがてもう一度陰唇を割り開いて(この瞬間腰を上げたら最高の不意打ちだっただろうがやめておいた)俺の息子が彼女の中にゆっくり埋没していく。
今まで俺が見てきた中のどれとも比にならないほどバキバキに勃起した俺の息子はハートの経験が少なすぎる膣にはあまりに大きいらしく、まだ根元まで埋没していないのにすでに子宮口にめり込み始めている。
「なんだよこれぇ……デカすぎるだろぉ…」
俺の息子に限界近くまで拡張されながら、ハートはうっとりした表情でつぶやく。
内部は余すところなく刺激されていることだろう。
洪水のように愛液を溢れさせながら、ハートの膣は必死に俺の息子を締め付ける。興奮を示すように尻尾の炎もメラメラとキャンプファイアークラスの馬鹿でかさまで燃え上っている、遠くから見たら山火事に勘違いされるんじゃないだろうか。
というかこれ、安全なのか?
「危なくないのかこんなに燃えて。」
「あはぁ? あぁらいりょーぶ、燃やしたくないものは燃えない。」
便利だなおい。
「どれどれ?」
試しに尻尾の先端を握ってみる。
熱くはない、温泉につけたように仄かにあったかい程度で、燃えない。
一瞬ハートの体が跳ねたような気がしたが、無視して先端から根元のほうに向かって尻尾をなぞっていく、尻尾に生えた鱗の感触がなんだか楽しい。
「ンぁあっ……やめぇっ……」
なぜだかハートが悶えている。
「私、尻尾弱いんだよ……やめてくれ。」
顔を真っ赤にしてハートが訴えてくる。
「すまん。」
すぐに手を放すが、尻尾が弱いことは把握した、今度何かの機会にいじってやろう。
じゅぐじゅぐじゅぶじゅぷぐぽぐにゅ
気を取り直してハートは腰を上下に振る。
その動きに合わせて大きな胸がプルプルと揺れて、視覚的な興奮をあおる。
今すぐにむしゃぶりついてやりたい気分になったが、まな板の上の鯉を約束した身分でそんなことをするわけにもいかないだろうから我慢。
少し前まで処女だったとは思えないほどにハートの腰づかいは淫靡で、上下に振っているだけと思いきや細かく角度や挿入するスピードを変更して、様々な刺激を与えてくる。
しかしやはり処女、快楽の許容量は乏しいらしく、だんだん膣の締め付けが搾り取るようなものに変わってくる。
「んぁア゙っフブキぃっ、私っ私もうっ!」
「限界か、もうイっていいぞ、俺も、出す。」
「ふぅン゙あぁああああああああああああッッ!!!!」
「うっぐぅっく!!」
どぼびゅるるるるるるるるるるるる
ぷしゃぁああああああああああああ
俺はハートの子宮に向かって濃厚な白濁液を、ハートは俺の体に向かって透明な液体をそれぞれ放ちながら、俺たちは相手から与えられる溢れんばかりのオーガズムをその体に受け入れた。
十数秒だろうか、お互いに声も出さずにぴくぴくと痙攣する時間が続き、先に意識が戻ってきた俺はハートの膣内から息子を掘り出した。
「……寒い。」
温泉に入ってそのまま流れで野外セックスした影響だろう、すっかり体が冷えてしまっている。
ハートを置いていくわけにもいかないから、俺は仕方なく彼女を運んでベッドに寝かせてやってから、もう一度風呂に入ることにした。
こうして、異世界で過ごす最初の一日が終わる。



11/06/26 18:05更新 / なるつき
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■作者メッセージ
いやはや、ハートのエッチシーンはもっと後にするつもりが……
まぁいまんとこエッチシーンが少々少ない気もしてたのでいいかなと。

すいません……エッチなしにこの間は持たんなと思いました。

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