ツィリアが語る ツィリアとルミネ(エロあり)
どうも、知っている方は毎度ご愛護ありがとうございます。知らぬ方には初めまして、法務局のエンジェル、ツィリアです。
私たち実際その時現場にいた当事者がそれぞれ語ることによってクルツの過去の出来事を知っていただこうというこの企画。
先鋒を務めさせていただくにあたりご挨拶を
何? 堅苦しい挨拶はどうでも良いからさっさとしてほしい?
……まったくもって……なぜ挨拶の意味を理解しようとしない……
失礼、まあそうおっしゃるのならさっさと始めさせていただこう。
私は何を語ればいいのかな?
何? 未定だと? 本人が好きなように語っていいのか?
なんだこの溢れんばかりのグダグダ感は……
しかし何を語るべきか……本編でほとんどモブの私に一体何を期待しているんだ……
何? モブだからこの機会に目立っておけ?
ついでにお色気シーンでもあれば最高? 何を考えてるんだ……
私は早い段階ではストーリーが立っていたんだぞ!(廃案になったが。)
まあ、くだらない言い争いは脇に置き、そうだな……
ルミネが語るとおふざけを多分に混ぜそうだし、私が知る限り最も古いクルツが興る直接のきっかけの一つの話をしようか。
私と、のちに魔物の領主となったルミネとの出会い。
それはもう五十年ほど前の話になるだろうか。
当時の私は控えめにいっても途方に暮れていた。
私の使えていた神、いや私を生んだお父様というべき存在は俗に言われる主神だったのだが、私は彼にとある形で反発したのだ。
「魔物を殺す必要はない、手段によっては人と共に、堕落することなく共存することが可能である。」
それが私が彼に提言し続けてきた意見だった。
しかし彼は聞く耳持たぬどころかことあるごとに進言を繰り返す私を嫌い、魔物に味方する愚かな娘として私を天から追放した。
行く場所も帰る場所も失い、人里に近付くこともできなかった私はそれでも彼に対して自分の意見を曲げてやるつもりだけは一向になく、結果としてそのまま人の寄りつかないような土地をふらふらとさまよっていた。
反魔物派で宗教色の強い王国に落とされたのはおそらく意図するところだったのだろう、行く場所が限られ、考えを改める可能性も多分に在った。
そんな時だった、王国のとある土地で、夫と共に旅をしていたルミネに出会ったのは。
偶然ばったり出くわしたというわけではなく、ルミネはどうやら天から落ちて来る私を目撃して、気配を追ってきていたらしい。
「やっと見つけたわ、堕ちてきた天使さん。」
私を見て彼女はそう言った。
服装は何と言うか魔物らしいようで魔物らしくないものだった。
面積は小さい、大事な部分を隠しているばかりのもの。しかししつらえられた独特の装飾はどこか高貴な、貴族的な雰囲気を漂わせていたのだ。
後ろにいる男、つまりルミネの夫リカルドは、今と変わらぬ仕立ての良い黒い紳士服。
対する私の格好はみすぼらしいとしか言いようがなかった。
金髪はところどころ薄汚れて、体を包む羽衣もあちこち破れていた。
「あら驚いた、勘は信じて見るものね、魔物化してないのに天から落とされる天使がいるなんて。」
「私に何の用だ?」
「どうして落とされたか聞きたいのよ。」
「主神に反したからだ、『魔物と人は堕落せず共存できる』という進言を繰り返してな。」
私はありのままをルミネに告げた。別段私は魔物を憎んでいたわけでもないし、聞かれたことに答えないのは失礼に値すると判断したからだった。
「あら、へぇ……神に逆らう天使なんてのがいたのね。」
「これでも私は自由主義者でな。」
冗談を少しだけ交える。
「ふーん。」
ルミネは私の方に近寄ってくると、
いきなり私の腕をつかんだ。
そしてすぐに尻尾を動かし、
危険に気づいた私はルミネに電撃をくわえて離脱した。
「何するのよ……」
不機嫌そうにルミネが言うが、むしろそれは私のセリフだった。
今こいつは私に何をしようとした?
腕をつかみ、尻尾を動かし。
そのハート型の狙っていた先が確実に私の股間であったことに気づいていた。
今はハート型というよりも何と言うか、亀頭型にすら思えてくる。
「それはこちらのセリフだ、今貴様私に何をしようとした?」
「え? 魔物の魔力を流し込もうと。」
信じられん……あっさりと何の問題があるのと言いたげな顔で言い返してきた。
「なぜそんなことをする必要がある……」
尋ねるとルミネは首をかしげた。
まさか別段理由もないのに私を堕落させようとしたのか?
危険すぎる、本当に危ないにもほどがあるぞこの女。
「ん〜 天使は基本的に堅物でまじめでしょ? それじゃ素敵な恋人に出会えないだろうから性欲にちょっと素直になってもらおうと思って?」
「どうして最後に疑問形をつける……」
「後付けの理由だから、ああけど素敵な恋人を見つけてほしいっていう願いは心の底から本気なのよ? 私がこの人に会った時みたいに皆に素敵な出会いを提供したいのよ。」
リカルドに向かって惜しみのないラブオーラを飛ばしながらルミネは言う。
素敵な出会いというのがすなわち幸せに繋がるのならそれは肯定されるべきものであるのだろうがしかし、私を堕落させようとする理由としては弱くないか?
「あとちょっと、自分の手で天使を堕としてみたいって思うのよ。」
魅力的な笑顔でルミネが言うと、
「そう言うわけだから、捕まって?」
周囲に氷の矢が展開される。
「断る!」
飛んできた氷の矢を飛びながら避ける。
右、左一寸、下、急上昇。
「我が敵を捕らえるのは氷の牢獄、冷たく暗い世界に落ちなさい?」
魔法だ、それも大魔法の詠唱。
「氷獄」
一瞬で作り出された巨大な氷が私の全身を包む。
――雷よ――
声に出せないまま、電撃を呼び寄せる。
電撃で体を包む氷を砕き、
「そちらがその気なら手加減はしない!」
怒りにまかせて雷の束をルミネに飛ばす。
ルミネはそれを魔法で作り出した盾で防ぐ。
「汝は罪人、己の罪にその身を焼かれよ。」
こちらも大魔法の詠唱をする。
「裁きの雷鳴」
私が使える魔法の中で、単発の威力なら最も大きな魔法攻撃だ。
対象は生物、それも罪を犯した生物に限られるが、サキュバスであることを神の一部が罪とみなしている以上ルミネ相手はほぼ無条件で攻撃が成立する。
その魔法を、ルミネはまたも魔力の盾で防いでいた。
氷の弾丸が再度装てんされる。
それを私は雷でうち落として防ぎ、
「我に従う雷鳴よ、蛇となりて我が敵を呑み込め 万雷の蛇」
私の使う魔法の中でまぎれもない最強。
雷そのものに意志を持たせて、自動操作で相手を追い詰める。
呑み込まれれば全身を百の雷鳴に貫かれる、そのダメージは計り知れない。
しかし、ルミネはそれを回避しようともしなかった。
それどころか冷静に何の迷いもなく、くらった。
さすがに死ぬんじゃないかと私も心配になったが、
「氷縛」
杞憂だった。
ルミネは、私の背後に立っていたから。
出現した氷柱から作り出された氷の鎖が私の四肢を拘束して、私は空中に大の字で寝ているような形になる。
どうやら、さっきまで私が戦っていたルミネは幻術で作られた偽物だったようだ。
「ぐっこのっ」
必死で抵抗する私に、
「はい大人しくしなさいね。」
ルミネは無理やりキスをする。
そして、魔力を唇づてに吸いだしてくる。
「ッ――――――――――――――!!」
魔力を吸い出されることがどんな感覚かを説明するのは難しい。
全身をくまなく愛撫されてとにかく敏感にされた後に秘部を何度もつつかれた感覚というのが一番近いだろうか。それとも絶え間なく絶頂している感覚の方が近いだろうか。
まあ少なくとも、絶頂の感覚に近いのだけは言い切れる。
ちゅぽん
魔力がほとんど空になった頃合いを見計らって、ルミネは私の唇を解放する。
「これでもう抵抗できないわね。」
言うとおりだった。
体に満足な力を入れることすらかなわず、当然魔法を使って雷をコントロールすることもできそうにない。
「さーてと、お楽しみタイム。」
ルミネは私の羽衣を剥がしだす。
脱がすのではない、ぼろぼろになっていた羽衣を乱暴に破り捨てた。
残されたショーツも躊躇なく破り捨てられ、私は裸にされた。
マジマジと裸の私を見つめて、
「う〜ん、十字架に磔刑の方が雰囲気出て良かったかしら、どう思う?」
「どっちにしてもこの子は勘弁してほしかったと思うよ。」
ルミネの質問にリカルドが当たり前のように答える。
リカルドの言うとおり、私としては凌辱されるのは勘弁してほしい。
「あら消極的、残念ね。」
肩をすくめるようなしぐさをしたルミネはまた私に向き直る。
私の股間に顔を近づけたかと思うと、秘部を指で軽くつつく。
それから足の線を這うように指を滑らせて、膝のあたりで止める。
次に乳首を軽くつまんでから、すぐに放す。
快感を与える動作というよりは、品定めをするかのように。
「完璧に男を知らない体ね、こんなの下手に激しくしたら壊れちゃう。」
ルミネの言うとおり、私に男性経験は皆無だ。
だったではなく今でも皆無である。
ルミネは少し考えてから、
「発情・性感増幅」
私に向けて魔法を二つ連続で行使した。
心臓が跳ねるのを感じるのと同時、全身が熱くなり、風が体を撫でるわずかな刺激にも快感を覚えるように変化する。
私の尻穴にルミネが顔を寄せたと思ったら、舌で菊門をなめる。
「いやぁ……やめてぇ…」
背筋を這いあがる感触がまぎれもない快感であることに恐怖を感じ、心が折れた私は、情けない声で静止してもらうように哀願する。
しかし、そんなものでやめるくらいなら最初からこんなことはしない。
ルミネの舌は菊門をこじ開けて、私の直腸までもなめ始める。
天使は基本的に排泄しないし、天界にいるうちは食事をすることも少ない。
それゆえに肛門に何かされることも、それどころか肛門を使われること自体が初めてで、そんなところで快感を感じさせられることはどうしようもなく恐ろしかった。
「いや……やだぁ……」
身をよじらせて必死に抵抗しても、力ではルミネに勝てないし魔力が枯渇させられた今四肢を拘束する氷の鎖をどうにかすることもできない。
にゅぽん
「ひゎうっ」
肛門からルミネの舌が抜けていく感触に、私の体が跳ねる。
「じゃ、行くわよ。」
ルミネの尻尾の先端が、私の菊門に押しつけられる。
「いや……いやぁ…お願い、やめて。」
加速度的に恐怖が募り、かろうじて砕かれずにいた誇りや自尊心までも音を立てて崩れ去って行く。
魔物にはなりたくない。
頭の中まで交わることしか考えられないのは堕落だ。
私が求めるのはそうではない、節度をもった共存。
「ふーん、一度折れると弱いタイプなんだ、可愛い。」
にやにやとあくどい笑みを見せるルミネ。
「あなたのお願いに免じて、魔物になっちゃわないよう頑張るわ。」
ルミネはそう言った。
本当なのかウソなのかは分からなかったが、目の前にちらつかされた希望に縋らずにそれを疑うことすらできないほど、私の心は折れ切っていた。
「ほん…とう…?」
「ええ、あなたが、抵抗しなければ、ねっ!」
ずにゅにゅにゅにゅ
尻尾が肛門を割り開き、直腸まで一気に侵入する。
「あっ あっ うあぁっ!?」
電撃よりも速く脊髄をかけのぼってきた初めての快感になすすべもなく私は絶頂に追い込まれる。
陰唇がおねだりをするようにひくひく開閉しながら、愛液を吐き出す。
ぐにゅぐにゅ ぐぶぶぶぶぶ
ルミネの尻尾はどんどん私の奥に埋没していく。
不意にルミネの指が、私の乳首と陰核をそれぞれ同時につまんだ。
「ひきゅゥ――――――――――!!」
凄まじい勢いで駆け上がってきた圧倒的な快感に、私の視界が真っ白に染まる。
ホワイトアウトした視界の中で極彩色の電が縦横無尽に跳ねまわる。
それが自分の脳内で駆け巡る快感であることに気づいて、
「あああ゙っあ゙っ」
獣のような声を上げて、四肢を張り、背中を弓なりにのけぞらせ、愛液を噴水のように噴出しながら私は無様に一分半にも上るオーガズムに押し流された。
「あ…うあ……」
絶頂が終わってもなお私の体は小刻みに痙攣していて、すべての力を使い果たした私は完全にルミネのおもちゃになるしかなかった。
ちゅくちゅくちゅくちゅく カリっ
「あっふあはっ あ…」
ルミネの舌と歯が私の右の乳首を苛め、
くりくり、きゅぅううう
ルミネの右手が私の左の乳首を攻める。
そうしながら
しゅこしゅこぐりぎゅむ
陰核をルミネの左手が襲い、
ぐりぐりっごちゅごちゅ
直腸まで突き刺さった尻尾が腸壁を犯す。
「あっふあっん…へぁ……」
既に抵抗どころかまともな言葉を話す気力も体力も残ってはいない。
刺激を与えられるごとに肺から空気が押し出されて、喘ぎ声によく似た音を出しているだけの、いわば快楽人形というべき状態か。
焦点の合わない視界は何もとらえておらず、既に口さえ閉まらない。
ルミネが言うには、性体験のない人間の精神なら一発で完璧に狂うレベルまで私の性感は増幅してあったらしい。
そんな状態で絶頂に至る体力すらなく、快感だけがどんどん体に蓄積していく。私の頭の中は快楽一色に染められ、正常な思考はない。
今にして思うとどうしてこのとき堕落しなかったのかは謎でしかない。
ぐびゅるるるるる
ルミネの尻尾の先端から、液体の形をとったルミネの魔力が私の体内に注ぎ込まれる。
魔力は枯渇し、気力体力とも底をついた私の体は乾いたスポンジのようにその魔力を全身にしみわたらせる。
それに伴い体力もわずかずつ回復して、
「あっあ゙あ゙あ゙あ゙っあっ」
体をがくがくと痙攣させながら、私は回復した体力すべてを絶頂に使い切る。
氷の鎖の崩壊する音を聞きながら、私の意識は闇に落ちていった。
「う……」
「あら? 目が覚めたみたいね。」
私は何もない地面に裸で横たわっていた。
その隣でルミネが座っていて、ルミネと向かい合ってリカルドも座っている。
自分の手の色を見てみると、どうやら堕天はしていないようだとわかる。
「いやぁ……ごめんなさいねあんまり可愛いもんだからつい苛めちゃったわ。」
つい苛めたレベルの凌辱ではなかった。
本気で私は堕天するかと思っていた。
「なぜまだ私のそばにいる……」
さんざん凌辱しておもちゃにした挙句にそれでもまだ相手のすぐそばにいることに関して私が疑問を申し立てると、
「話があるのよ、お互いにとって悪くない話。」
「信用できん。」
自分を凌辱した女の言うことが信用できるほど楽な世界に生まれた覚えはない。
「魔物にはしなかったじゃない。」
ルミネは不満そうな表情で言い返す。
確かに魔物にはされなかった、しかし凌辱されたのは事実。
しかもまだ性体験ゼロだった私にいきなり快感増幅して発情させたうえでの尻穴攻めなど、えげつないにもほどがある。
そんなことを平気でする相手の言うことは、信用に欠ける。
「話だけでも聞いてよ。」
「……いいだろう。」
別に真摯な訴えに負けたわけではない、目を見て思ったのだ。
もし聞かなかったら、ルミネはまた私を凌辱する。
それも今度は完全に壊して堕落させるか正気を失わせる。
そう言う気配が感じられたのだ、わが身惜しさに聞いてもおかしくはない。
「私は魔物たちに素敵な出会いの場を提供したい、あなたは魔物と人が堕落なく共存できることを証明したい、これってよく似たことだと思うの。」
「似てはいるだろうな、だからどうした?」
「一つ土地には当てがあるの、そこに魔物と人が共存する町を作れないかって考えてるのよ。貴方にはそこで法務官を務めてほしいの。」
「悪くない話だな、もし『実行が可能なら』だが」
この王国は宗教色の強い反魔物派の王国である。
国民の反魔物的性向は強く、教会の騎士たちが魔物たちが細々と暮らす小さな集落を襲撃して魔物たちを追い払うことも少なくない。
いや、追い払うのならまだましか。
教会騎士にとって魔物とは獣にも劣るまさに「モノ」
それを殺す前にどんな風に扱っても、罪にはならない。
殺されることすらまだまし。中には壊れるまで性処理の道具に使われるものや、貴族たちに奴隷として売りさばかれる魔物も少なくない。
そんな中で、魔物と人間が共存する土地を生み出すなど不可能と言っていい。
「そうね、私たちだけじゃちょっと無理だわ。」
「だろう?」
「人間の協力者を見つけたら、もう一回連絡するわ?」
「どうやってだ。」
「あなたの体に流し込んだ魔力と私の魔力を共鳴させて連絡するの。」
にこやかに笑顔でそう告げるが、それは私にとって一つの事実を突き付けられたも同然だ。
私が、この淫魔から逃げられないということを。
これでこの話は終わりだ。
そんなに可哀そうな人を見る目をしてくれるな。
確かに今の部分だけを見れば私は恐ろしく不幸だろうが、多くの魔物や人間がこの土地で幸せを得て、こうなってよかったと思っているんだ。
私の考えは間違っていなかった、人と魔物は手を取り合って生きていくことが可能なのだと確信することができたからな。
それも、ルミネやクロードに会わなければこうならなかった。
ふふ、そう言うことだ。
もう行くのか、他の皆からも話を聞くんだな。
ああ、色々聞いてくると良い。
では、またな。
私たち実際その時現場にいた当事者がそれぞれ語ることによってクルツの過去の出来事を知っていただこうというこの企画。
先鋒を務めさせていただくにあたりご挨拶を
何? 堅苦しい挨拶はどうでも良いからさっさとしてほしい?
……まったくもって……なぜ挨拶の意味を理解しようとしない……
失礼、まあそうおっしゃるのならさっさと始めさせていただこう。
私は何を語ればいいのかな?
何? 未定だと? 本人が好きなように語っていいのか?
なんだこの溢れんばかりのグダグダ感は……
しかし何を語るべきか……本編でほとんどモブの私に一体何を期待しているんだ……
何? モブだからこの機会に目立っておけ?
ついでにお色気シーンでもあれば最高? 何を考えてるんだ……
私は早い段階ではストーリーが立っていたんだぞ!(廃案になったが。)
まあ、くだらない言い争いは脇に置き、そうだな……
ルミネが語るとおふざけを多分に混ぜそうだし、私が知る限り最も古いクルツが興る直接のきっかけの一つの話をしようか。
私と、のちに魔物の領主となったルミネとの出会い。
それはもう五十年ほど前の話になるだろうか。
当時の私は控えめにいっても途方に暮れていた。
私の使えていた神、いや私を生んだお父様というべき存在は俗に言われる主神だったのだが、私は彼にとある形で反発したのだ。
「魔物を殺す必要はない、手段によっては人と共に、堕落することなく共存することが可能である。」
それが私が彼に提言し続けてきた意見だった。
しかし彼は聞く耳持たぬどころかことあるごとに進言を繰り返す私を嫌い、魔物に味方する愚かな娘として私を天から追放した。
行く場所も帰る場所も失い、人里に近付くこともできなかった私はそれでも彼に対して自分の意見を曲げてやるつもりだけは一向になく、結果としてそのまま人の寄りつかないような土地をふらふらとさまよっていた。
反魔物派で宗教色の強い王国に落とされたのはおそらく意図するところだったのだろう、行く場所が限られ、考えを改める可能性も多分に在った。
そんな時だった、王国のとある土地で、夫と共に旅をしていたルミネに出会ったのは。
偶然ばったり出くわしたというわけではなく、ルミネはどうやら天から落ちて来る私を目撃して、気配を追ってきていたらしい。
「やっと見つけたわ、堕ちてきた天使さん。」
私を見て彼女はそう言った。
服装は何と言うか魔物らしいようで魔物らしくないものだった。
面積は小さい、大事な部分を隠しているばかりのもの。しかししつらえられた独特の装飾はどこか高貴な、貴族的な雰囲気を漂わせていたのだ。
後ろにいる男、つまりルミネの夫リカルドは、今と変わらぬ仕立ての良い黒い紳士服。
対する私の格好はみすぼらしいとしか言いようがなかった。
金髪はところどころ薄汚れて、体を包む羽衣もあちこち破れていた。
「あら驚いた、勘は信じて見るものね、魔物化してないのに天から落とされる天使がいるなんて。」
「私に何の用だ?」
「どうして落とされたか聞きたいのよ。」
「主神に反したからだ、『魔物と人は堕落せず共存できる』という進言を繰り返してな。」
私はありのままをルミネに告げた。別段私は魔物を憎んでいたわけでもないし、聞かれたことに答えないのは失礼に値すると判断したからだった。
「あら、へぇ……神に逆らう天使なんてのがいたのね。」
「これでも私は自由主義者でな。」
冗談を少しだけ交える。
「ふーん。」
ルミネは私の方に近寄ってくると、
いきなり私の腕をつかんだ。
そしてすぐに尻尾を動かし、
危険に気づいた私はルミネに電撃をくわえて離脱した。
「何するのよ……」
不機嫌そうにルミネが言うが、むしろそれは私のセリフだった。
今こいつは私に何をしようとした?
腕をつかみ、尻尾を動かし。
そのハート型の狙っていた先が確実に私の股間であったことに気づいていた。
今はハート型というよりも何と言うか、亀頭型にすら思えてくる。
「それはこちらのセリフだ、今貴様私に何をしようとした?」
「え? 魔物の魔力を流し込もうと。」
信じられん……あっさりと何の問題があるのと言いたげな顔で言い返してきた。
「なぜそんなことをする必要がある……」
尋ねるとルミネは首をかしげた。
まさか別段理由もないのに私を堕落させようとしたのか?
危険すぎる、本当に危ないにもほどがあるぞこの女。
「ん〜 天使は基本的に堅物でまじめでしょ? それじゃ素敵な恋人に出会えないだろうから性欲にちょっと素直になってもらおうと思って?」
「どうして最後に疑問形をつける……」
「後付けの理由だから、ああけど素敵な恋人を見つけてほしいっていう願いは心の底から本気なのよ? 私がこの人に会った時みたいに皆に素敵な出会いを提供したいのよ。」
リカルドに向かって惜しみのないラブオーラを飛ばしながらルミネは言う。
素敵な出会いというのがすなわち幸せに繋がるのならそれは肯定されるべきものであるのだろうがしかし、私を堕落させようとする理由としては弱くないか?
「あとちょっと、自分の手で天使を堕としてみたいって思うのよ。」
魅力的な笑顔でルミネが言うと、
「そう言うわけだから、捕まって?」
周囲に氷の矢が展開される。
「断る!」
飛んできた氷の矢を飛びながら避ける。
右、左一寸、下、急上昇。
「我が敵を捕らえるのは氷の牢獄、冷たく暗い世界に落ちなさい?」
魔法だ、それも大魔法の詠唱。
「氷獄」
一瞬で作り出された巨大な氷が私の全身を包む。
――雷よ――
声に出せないまま、電撃を呼び寄せる。
電撃で体を包む氷を砕き、
「そちらがその気なら手加減はしない!」
怒りにまかせて雷の束をルミネに飛ばす。
ルミネはそれを魔法で作り出した盾で防ぐ。
「汝は罪人、己の罪にその身を焼かれよ。」
こちらも大魔法の詠唱をする。
「裁きの雷鳴」
私が使える魔法の中で、単発の威力なら最も大きな魔法攻撃だ。
対象は生物、それも罪を犯した生物に限られるが、サキュバスであることを神の一部が罪とみなしている以上ルミネ相手はほぼ無条件で攻撃が成立する。
その魔法を、ルミネはまたも魔力の盾で防いでいた。
氷の弾丸が再度装てんされる。
それを私は雷でうち落として防ぎ、
「我に従う雷鳴よ、蛇となりて我が敵を呑み込め 万雷の蛇」
私の使う魔法の中でまぎれもない最強。
雷そのものに意志を持たせて、自動操作で相手を追い詰める。
呑み込まれれば全身を百の雷鳴に貫かれる、そのダメージは計り知れない。
しかし、ルミネはそれを回避しようともしなかった。
それどころか冷静に何の迷いもなく、くらった。
さすがに死ぬんじゃないかと私も心配になったが、
「氷縛」
杞憂だった。
ルミネは、私の背後に立っていたから。
出現した氷柱から作り出された氷の鎖が私の四肢を拘束して、私は空中に大の字で寝ているような形になる。
どうやら、さっきまで私が戦っていたルミネは幻術で作られた偽物だったようだ。
「ぐっこのっ」
必死で抵抗する私に、
「はい大人しくしなさいね。」
ルミネは無理やりキスをする。
そして、魔力を唇づてに吸いだしてくる。
「ッ――――――――――――――!!」
魔力を吸い出されることがどんな感覚かを説明するのは難しい。
全身をくまなく愛撫されてとにかく敏感にされた後に秘部を何度もつつかれた感覚というのが一番近いだろうか。それとも絶え間なく絶頂している感覚の方が近いだろうか。
まあ少なくとも、絶頂の感覚に近いのだけは言い切れる。
ちゅぽん
魔力がほとんど空になった頃合いを見計らって、ルミネは私の唇を解放する。
「これでもう抵抗できないわね。」
言うとおりだった。
体に満足な力を入れることすらかなわず、当然魔法を使って雷をコントロールすることもできそうにない。
「さーてと、お楽しみタイム。」
ルミネは私の羽衣を剥がしだす。
脱がすのではない、ぼろぼろになっていた羽衣を乱暴に破り捨てた。
残されたショーツも躊躇なく破り捨てられ、私は裸にされた。
マジマジと裸の私を見つめて、
「う〜ん、十字架に磔刑の方が雰囲気出て良かったかしら、どう思う?」
「どっちにしてもこの子は勘弁してほしかったと思うよ。」
ルミネの質問にリカルドが当たり前のように答える。
リカルドの言うとおり、私としては凌辱されるのは勘弁してほしい。
「あら消極的、残念ね。」
肩をすくめるようなしぐさをしたルミネはまた私に向き直る。
私の股間に顔を近づけたかと思うと、秘部を指で軽くつつく。
それから足の線を這うように指を滑らせて、膝のあたりで止める。
次に乳首を軽くつまんでから、すぐに放す。
快感を与える動作というよりは、品定めをするかのように。
「完璧に男を知らない体ね、こんなの下手に激しくしたら壊れちゃう。」
ルミネの言うとおり、私に男性経験は皆無だ。
だったではなく今でも皆無である。
ルミネは少し考えてから、
「発情・性感増幅」
私に向けて魔法を二つ連続で行使した。
心臓が跳ねるのを感じるのと同時、全身が熱くなり、風が体を撫でるわずかな刺激にも快感を覚えるように変化する。
私の尻穴にルミネが顔を寄せたと思ったら、舌で菊門をなめる。
「いやぁ……やめてぇ…」
背筋を這いあがる感触がまぎれもない快感であることに恐怖を感じ、心が折れた私は、情けない声で静止してもらうように哀願する。
しかし、そんなものでやめるくらいなら最初からこんなことはしない。
ルミネの舌は菊門をこじ開けて、私の直腸までもなめ始める。
天使は基本的に排泄しないし、天界にいるうちは食事をすることも少ない。
それゆえに肛門に何かされることも、それどころか肛門を使われること自体が初めてで、そんなところで快感を感じさせられることはどうしようもなく恐ろしかった。
「いや……やだぁ……」
身をよじらせて必死に抵抗しても、力ではルミネに勝てないし魔力が枯渇させられた今四肢を拘束する氷の鎖をどうにかすることもできない。
にゅぽん
「ひゎうっ」
肛門からルミネの舌が抜けていく感触に、私の体が跳ねる。
「じゃ、行くわよ。」
ルミネの尻尾の先端が、私の菊門に押しつけられる。
「いや……いやぁ…お願い、やめて。」
加速度的に恐怖が募り、かろうじて砕かれずにいた誇りや自尊心までも音を立てて崩れ去って行く。
魔物にはなりたくない。
頭の中まで交わることしか考えられないのは堕落だ。
私が求めるのはそうではない、節度をもった共存。
「ふーん、一度折れると弱いタイプなんだ、可愛い。」
にやにやとあくどい笑みを見せるルミネ。
「あなたのお願いに免じて、魔物になっちゃわないよう頑張るわ。」
ルミネはそう言った。
本当なのかウソなのかは分からなかったが、目の前にちらつかされた希望に縋らずにそれを疑うことすらできないほど、私の心は折れ切っていた。
「ほん…とう…?」
「ええ、あなたが、抵抗しなければ、ねっ!」
ずにゅにゅにゅにゅ
尻尾が肛門を割り開き、直腸まで一気に侵入する。
「あっ あっ うあぁっ!?」
電撃よりも速く脊髄をかけのぼってきた初めての快感になすすべもなく私は絶頂に追い込まれる。
陰唇がおねだりをするようにひくひく開閉しながら、愛液を吐き出す。
ぐにゅぐにゅ ぐぶぶぶぶぶ
ルミネの尻尾はどんどん私の奥に埋没していく。
不意にルミネの指が、私の乳首と陰核をそれぞれ同時につまんだ。
「ひきゅゥ――――――――――!!」
凄まじい勢いで駆け上がってきた圧倒的な快感に、私の視界が真っ白に染まる。
ホワイトアウトした視界の中で極彩色の電が縦横無尽に跳ねまわる。
それが自分の脳内で駆け巡る快感であることに気づいて、
「あああ゙っあ゙っ」
獣のような声を上げて、四肢を張り、背中を弓なりにのけぞらせ、愛液を噴水のように噴出しながら私は無様に一分半にも上るオーガズムに押し流された。
「あ…うあ……」
絶頂が終わってもなお私の体は小刻みに痙攣していて、すべての力を使い果たした私は完全にルミネのおもちゃになるしかなかった。
ちゅくちゅくちゅくちゅく カリっ
「あっふあはっ あ…」
ルミネの舌と歯が私の右の乳首を苛め、
くりくり、きゅぅううう
ルミネの右手が私の左の乳首を攻める。
そうしながら
しゅこしゅこぐりぎゅむ
陰核をルミネの左手が襲い、
ぐりぐりっごちゅごちゅ
直腸まで突き刺さった尻尾が腸壁を犯す。
「あっふあっん…へぁ……」
既に抵抗どころかまともな言葉を話す気力も体力も残ってはいない。
刺激を与えられるごとに肺から空気が押し出されて、喘ぎ声によく似た音を出しているだけの、いわば快楽人形というべき状態か。
焦点の合わない視界は何もとらえておらず、既に口さえ閉まらない。
ルミネが言うには、性体験のない人間の精神なら一発で完璧に狂うレベルまで私の性感は増幅してあったらしい。
そんな状態で絶頂に至る体力すらなく、快感だけがどんどん体に蓄積していく。私の頭の中は快楽一色に染められ、正常な思考はない。
今にして思うとどうしてこのとき堕落しなかったのかは謎でしかない。
ぐびゅるるるるる
ルミネの尻尾の先端から、液体の形をとったルミネの魔力が私の体内に注ぎ込まれる。
魔力は枯渇し、気力体力とも底をついた私の体は乾いたスポンジのようにその魔力を全身にしみわたらせる。
それに伴い体力もわずかずつ回復して、
「あっあ゙あ゙あ゙あ゙っあっ」
体をがくがくと痙攣させながら、私は回復した体力すべてを絶頂に使い切る。
氷の鎖の崩壊する音を聞きながら、私の意識は闇に落ちていった。
「う……」
「あら? 目が覚めたみたいね。」
私は何もない地面に裸で横たわっていた。
その隣でルミネが座っていて、ルミネと向かい合ってリカルドも座っている。
自分の手の色を見てみると、どうやら堕天はしていないようだとわかる。
「いやぁ……ごめんなさいねあんまり可愛いもんだからつい苛めちゃったわ。」
つい苛めたレベルの凌辱ではなかった。
本気で私は堕天するかと思っていた。
「なぜまだ私のそばにいる……」
さんざん凌辱しておもちゃにした挙句にそれでもまだ相手のすぐそばにいることに関して私が疑問を申し立てると、
「話があるのよ、お互いにとって悪くない話。」
「信用できん。」
自分を凌辱した女の言うことが信用できるほど楽な世界に生まれた覚えはない。
「魔物にはしなかったじゃない。」
ルミネは不満そうな表情で言い返す。
確かに魔物にはされなかった、しかし凌辱されたのは事実。
しかもまだ性体験ゼロだった私にいきなり快感増幅して発情させたうえでの尻穴攻めなど、えげつないにもほどがある。
そんなことを平気でする相手の言うことは、信用に欠ける。
「話だけでも聞いてよ。」
「……いいだろう。」
別に真摯な訴えに負けたわけではない、目を見て思ったのだ。
もし聞かなかったら、ルミネはまた私を凌辱する。
それも今度は完全に壊して堕落させるか正気を失わせる。
そう言う気配が感じられたのだ、わが身惜しさに聞いてもおかしくはない。
「私は魔物たちに素敵な出会いの場を提供したい、あなたは魔物と人が堕落なく共存できることを証明したい、これってよく似たことだと思うの。」
「似てはいるだろうな、だからどうした?」
「一つ土地には当てがあるの、そこに魔物と人が共存する町を作れないかって考えてるのよ。貴方にはそこで法務官を務めてほしいの。」
「悪くない話だな、もし『実行が可能なら』だが」
この王国は宗教色の強い反魔物派の王国である。
国民の反魔物的性向は強く、教会の騎士たちが魔物たちが細々と暮らす小さな集落を襲撃して魔物たちを追い払うことも少なくない。
いや、追い払うのならまだましか。
教会騎士にとって魔物とは獣にも劣るまさに「モノ」
それを殺す前にどんな風に扱っても、罪にはならない。
殺されることすらまだまし。中には壊れるまで性処理の道具に使われるものや、貴族たちに奴隷として売りさばかれる魔物も少なくない。
そんな中で、魔物と人間が共存する土地を生み出すなど不可能と言っていい。
「そうね、私たちだけじゃちょっと無理だわ。」
「だろう?」
「人間の協力者を見つけたら、もう一回連絡するわ?」
「どうやってだ。」
「あなたの体に流し込んだ魔力と私の魔力を共鳴させて連絡するの。」
にこやかに笑顔でそう告げるが、それは私にとって一つの事実を突き付けられたも同然だ。
私が、この淫魔から逃げられないということを。
これでこの話は終わりだ。
そんなに可哀そうな人を見る目をしてくれるな。
確かに今の部分だけを見れば私は恐ろしく不幸だろうが、多くの魔物や人間がこの土地で幸せを得て、こうなってよかったと思っているんだ。
私の考えは間違っていなかった、人と魔物は手を取り合って生きていくことが可能なのだと確信することができたからな。
それも、ルミネやクロードに会わなければこうならなかった。
ふふ、そう言うことだ。
もう行くのか、他の皆からも話を聞くんだな。
ああ、色々聞いてくると良い。
では、またな。
11/05/01 22:16更新 / なるつき
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