読切小説
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苦里巣増す特別話!
「しーねーばーいいのにー♪ しねばいいのにー♪
  みんな脳○をぶちまけーれーばいいのにー♪」

 静かに雪の降る夜。あぁ妬ましい。
 浮かぶ雲の切れ目に見える綺麗な星空。なんて妬ましい。
 そこら辺の巣であんあんひんひん歌ってる同族。おねーさん殺意沸いちゃうなー♪

「男持ちみんな爆発しろー♪ ハラワタをぶちまけろー♪ チッ○クノライヌー♪
  ハラ○リトラー♪ ヒキ○ゲカバー♪ あっはー☆ えむえすじゅうはちー♪」

 静かに揺れる水面。あぁあぁ妬ましい妬ましい。
 小船の上でヤってますか、そーですか。数秒後に転覆させちゃうゾ☆
 プレゼントはアナタですか、そーなのかー☆ そのまま手足縛って海中に沈めんぞコラ。

「どうせ乳なんぞありゃしませーん♪ 色気だぁって無ぇですよー!♪
  最近微妙にお腹が気になるけれどー、きょよーうーはーんーいー、たーぶーんー!」

 あぁあぁあぁあぁ妬ましい妬ましい妬ましい妬ましい。
 もう、そろそろセイレーンじゃなくて橋姫になるんじゃなかろーか、私。
 本当にShitが止まらないよ☆ パルいね☆ あはっ☆ 意味は自分で調べろやボケ☆

 性なる夜と評判のクリスマス。
 なんかこう、純正の教団の人達に怒られそーな勘違いの下、
 今年も皆元気良くエロスに励んでるでエロス。語尾っぽいよね、エロス。
 まぁ、そんな感じで雄と雌の臭いがむんむんしている中を私は飛行中☆
 名前は言いませんがセイレーンの2○○歳独身です。畜生。
 さっ、寂しくないんだからねっ! とか言ったら笑われました。何なんだ一体。

「ズドン系巨乳巫女ー♪ セメント系侍女ー♪ 無意識エロスー♪ わんわん騎士ー♪
そんな奴らに対抗できるわけあるかー♪ 畜生現実はクソみたいな物語だー♪!」

 まぁ、そんな訳で精○臭い夜の空を熱唱しながら飛んでるわけですよ畜生。
 迷惑? どうせ連中は自分が歌うあんいやんな歌しか聞こえてねぇよ畜生。

「しーねーばーいいのにー♪ しねばいいのにー♪ あの月の向こうでー♪
  しーねーばーいーのにー♪ どこか遠いところでー♪ あは☆」

 いやまぁ、別に真顔で言ってるわけじゃないよ? 笑顔が強張ってるの自分でもわかるけど。
 えぇえぇ。冗談ですともさ、7割は。
 あぁもう、本当にどうしてくれようか、この妬ましさ。

 佃煮にして食べるかさぞ不味かろうな畜生めあぁもう最近良い男が居ないのが行けないんだよ畜生第一人魚どもとの取り合いの後に同族の中で取り合いだしなーもうやってらんないね競争率高すぎるんだよ無理無理無理悲劇だってかまいませんよ畜生め乳くれ乳それで多分野郎の7割が釣れるからよぉあぁもう妬ましいなぁ人魚どもの乳乳乳そんなに乳が好きか畜生てめぇらは海のホルスタウロスだくそったれ野郎とヤりながら干からびれそもそも私だってそんなそんな容姿は悪くないわけですよなのに今現在現時刻この瞬間この場所に野郎が居ないってのはあれだよ横取りだよスワップだよパワーかスキルかは知らないけどさ!わざわざこの文読んでくれたひとありがとう意味は無いから読み飛ばしてもおkですよーちくしょうちくしょうもういいよ一人で寝るよくそったれ吟遊詩人とか見っけて襲って二人で歌ってやろうかあぁでもそれは予定している文章に被るからNGだよね常識的に考えてというかゴーストの文章が全然進まないよ鈍筆ってレベルじゃないよ怒られても何も言えないぜあはーあぁもうふぁんたしーすたーぽーたぶる2が面白すぎるせいだよあとがっこうの課題とか某せんせいの課題ああもうあの馬鹿きょうし自重してよ頭いいのは解るからさぁあとようやくかりめんとれたぜー3カ月かかるってなんなんだいったい…。

 以上、読む必要皆無ッ!

「……船、こんな時間に?」

 なーんて事を思っていたら、前方に何やら船が見えましたよ、と。
 こんな深夜に海に出てるなんて良い根性してるわねー。それとも進路見失った?
 んー。最近の漁船はめぼしい男性持ってかれちゃってるしなー。
 残ってるのは性根が腐った連中ばっかだし。見捨てても良いかな?
 しかもこの海域はアレね、人のこと悪魔扱いする勘違い連中が乗ってる船が多い所。
 ……うわぁ、本当に見捨てようかな。こんな日に矢で撃たれて死ぬとか嫌よ私。
 んー……。や、駄目よね。ンなのは許されないっしょ、常識的に。
 あーもー。はいはい女神が悪魔の顔して助けに行くよー♪ っと。

「Silent night, holy night. All is calm, all is bright♪」

 まぁ聖夜だしね? 選曲はやっぱりこれですよ。他意は無いよ? 1096Pは凄い重かった!
 Go Ahead! 港はあちら〜♪ 私の温情に涙し、良い感じの男を寄越しつつ帰れ〜♪
 羊を後ろから追い立てるように、船から距離を取りながら歌う。
 幸いなことに船の先端は一番近くの港の方向から多少しかずれてない。
 このまま少しずつ調整しつつ追い立てていけば港へと送れるはず。

「ってありゃ、寄ってくる?」

 んー。声に魔力は意図的に込めなかったんだけどね、なによ無理にでも殺す気なのかなー?
 あ、船の上の人が見えた。
 んー、矢はつがえてないっぽい、かな。んじゃ近づきましょうか?
 はいはいこんばんはー。漁師の皆の女神ですよー恋人募集中ですよー。

「はいはい、私の夜間演奏でも聞きたいのー?」
「あ、えと、いえ。それは港でお願いします。
  失礼ですが、貴方はこの海域に住まうセイレーン様ですか?」

 セイレーンを見慣れてないのかな?
 微妙にうろたえ気味な船員の中から歩み出てきたのは一人の青年。
 年のころは20ちょっと前位かな、船長だというのなら凄く若い。
 にしても様づけなんて可愛いなぁ。初々しい感じ。
 漁師のおっちゃん達も見習ってほしいね。
 最近は私達に慣れたのか、そこら辺の歌姫迎えるような感じだし。
 ……いやまぁ、あれはあれで嬉しいけどさ。

「はいはいそうですよー。何か御用ですかなー? 港見失ったから教えて欲しいとか?」
「ご慧眼の通りです。長い航海で航海士が病に伏してしまいまして……」

 おおう本当に立ち往生だったのね。
 というか航海士がぶっ倒れたとは災難な。私が居てよかったわね本当に。
 に、してもこの人なんかこう、全身から良い人オーラが出てるなー。
 なんかこう、やわやわって感じの声色で良い感じ。

 しかも、彼の私を見る目……直視できない、でも見たいって感じの視線は……。
 ……もしかして、脈あり……?
 ……これはアレですかサンタ様。クリスマスプレゼントってやつですか?

 ……おぅいぇ、気持ちは解るけど落ち着け。落ちつけよ我が股間の淑女。
 甘い甘い歌を今すぐに彼だけに聞かせたいけども、とりあえずはちゃんと船を送らないとね?
 ここで連れ去って巣に帰るとか外道すぎるでしょうよ。
 よーしよしステイステイ。私ステイ……。

「はいはいー。じゃぁ方向指示するんで、その通りにお願いね?
  距離はそんなに無いからすぐに着くよ」

 船の上に着地。優しそうな彼のすぐ隣に着地するのは乙女のサガってやつですよ。
 少し戸惑ってるけど嫌そうではなさそうだし。
 ヒャッハー! こいつぁ上玉だぁ! 聖なる夜に乾杯! サンタさん愛してる!

 船はすぐに動き出した。長い航海してたってのは本当なのか、皆凄く動きが早い。
 で、私はというと、彼に付きまとっていると彼の邪魔になるし、
 だからといって出来る事が有るわけでもなく。
 船が進路からずれてないかと周囲を眺めつつ、一人で歌ってるわけですよ。寂しいね。

「お揃いーね私−たーちー♪ これでお揃いーね、あぁしあーわーせー♪」
「セイレーン様」

 おおう? この声は私の王子様。
何でございましょう、愛の歌が聴きたいの? 存分に歌っちゃうよ?
 振り返れば、やや心配そうな表情をした彼が手に上質な毛布なんぞ持ってらっしゃいますよ。

「寒くはありませんか? この時期、船の上の風は冷たいですし」

 飛びついて押し倒さなかったのは、ひとえに私の鉄の自制心の力です。
今のでオーバーヒートしたけどね! やばいよやばいよ顔とか赤くなって無い?

「あ、と。少し、寒いかな」

 う、嘘じゃないよ! ほんとだよ! 私達ハーピー系の魔物は空飛ぶから基本超薄着だし!
 飛んでる時は動いてるから暑いくらいだけど、こうやって地上に居ると寒いよ普通に。

「でしたら、これを」

 ステイステイ私ステイッッ! 股間の淑女、ダム決壊はまだ早いよ耐えてお願いね!
 うわぁんそんな優しい笑顔で毛布掛けられるとか何これ! 駄目惚れた抱いて!
 あぁぁ何この幸せな地獄! 連れ去れない現状が辛いよサンタさん!
 幸せだけど! 幸せなんだけどもッッ!

「あ、ありがとう……」

 ッキャー! こんな乙女なセリフ言う日が来るとは思わなかった!
 わぁ自然と可愛らしい声作ってる気がする何これ何これ!?
 
 ああぁサンタさん本当にありがとう。クリスマス最高。マジ最高。ひゃっはー!










 長かった。たった数時間が死ぬほど長かった。
 彼に即興歌を聴いてもらったり、お話したり。幸せな地獄は長かった……ッ!
 そして今ッッ! 船は着岸し積み荷も下ろし終わるこの瞬間ッッ!
 私はッッ! 私は彼と結ばれるッッッッッ!!!!

 あぁぁ長かったなぁ一人身。
 バレンタインデーとかクリスマスのたびに一人で毒吐いて酒飲んでたなぁ。
 今度からは目の前の彼と二人っきりで飲んだり、寝所で……ッキャー!
 ふふふ未だ一人身の寂しい連中ざまぁみろ! こんな良い男を婿に頂きましたよ!
 彼って閨ではどうなんだろう? 責めるのも責められるのもいいなぁ、うへへ。

 さぁ、最後の積み荷が今持たれて!
 運ばれて!
 おr

「キョースケ!」
「レン!」

 おう?

「キョースケェー!」
「レェーン!」

 なんですか、あの片足の膝から下が無くなってて、松葉杖で必死に走ってくるホルスタウロスさんは。
 んでもってなんですか、そのホルスタウロスさんを見た瞬間走っていく彼は。
 おーおー、熱い抱擁が交わされてますよ。感動的光景ー。
 倒れる松葉杖が良い雰囲気を出してますなぁオイ。

「………あー…セイレーンの嬢ちゃん……」
「うん、解ってる。何も言わないで船員のおっちゃん」

 結論から言うとあれか。船の上で野郎しか居なかったから私の薄着みて嬉し恥ずかしだったのね、あの兄ちゃん。
 でもって既に妻帯者と。あーあーまた乳か。貴様らそんなに乳が良いのか。
 ………どちくしょう。







 泣いてない! 泣いてなんかいないからな! ばーか! 乳に埋もれてしねばいいのに!
























「船員のおっちゃん……。後で一杯付き合ってくれる?」
「あいよ。嬢ちゃんには礼もあるしなぁ」
「ありがと……」
09/12/25 20:06更新 / ○もち。

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