読切小説
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孤独だったリリラウネの日記
〜魔物歴18年5月23日〜

今日から日記をつけようと思う
でも眠いから本格的に書くのは明日から


〜魔物歴18年5月24日〜

今日も森から出て、近くの街のエンケへと半身を探しに行った。
結果は、全員に拒否された。
「あなたの半身なんて嫌よ」
「私には夫がいるから無理」
「私は男だ!やめろー!」
なんて言っていたっけ
きー!悔しかったわ!
魔物娘だからって変な目で見られたりもしたわ
あいつら全員呪ってやろうかと考えたけど、
まだ、みんなが魔物娘という存在に慣れていないし
しかも、この街には魔物娘があまりいないから
仕方ないわね
明日は違う街にでも半身を探しに行ってみようかしら


〜魔物歴18年5月25日〜

少し遠くのトオイっていう街に出かけてみた。
結果は同じだったが。
魔物娘が多く、様々な話が聞けたし、
面白い施設がいろいろあった。
それにしても、
私に半身がくるのはいつになるのかしら…
今年で21になるのに…
もしかして、私は一人のまま死んじゃうの?
一生アルラウネと勘違いされて死んじゃうの?
なんで、私はリリラウネという種族で生まれたの…
親を呪いたくなる…


〜魔物歴18年5月26日〜

昨日行った街へ行こうと思ったら、
幼馴染のグリズリーのシュリに声をかけられ
森の奥まで引っ張られていった。
奥に来るまでに訳を話してくれないから、
かなり焦った…
それで、森の奥に来たら、
森中の魔物娘がいっぱいで、人ごみができていたわ
人ごみをかきわけて騒ぎの正体をつきとめようと
人ごみをかき分けて行ったら、
血まみれの女の子が倒れていたの…
外傷はなくて、ただ血で濡れているだけだったわ
白い髪の毛に白い肌…見惚れてしまうほどだったわ
とりあえず私の家に運んでおいたわ(みんな反対したけど)
目を覚ますまで待つしかないわね
今日は、街に行くことは控えておいた

〜魔物歴18年5月27日〜

んー、大丈夫なのかしら…
息はしているのだけれども、目を覚まさないわ…
森中の魔物娘たちが私の家にきて、
この子の様子を見に来てはいるのだけれども…
正直、ユニコーンさんしか頼りにならなかったわ…
命に別条はないらしい
でも、背中に赤い痣があったけど…
まぁ、とりあえず、もう少しだけ様子を見てみようと思う


〜魔物歴18年5月28日〜

今日、あの子の様子を見に行ったら
「やめて…こわいよ…」って
寝言でつぶやいたわ…
心配になってきたわ…


〜魔物歴18年5月29日〜

目を覚ましたわ!よかった!
私を見て驚いていたけど、まぁ仕方ないわ
とりあえず、ご飯を食べさせて寝かせておいた。(食欲はあったみたい)
この子になにがあったかは
まだ、聞かないでおこうと思う
落ち着いてから聞こう


〜魔物歴18年5月30日〜

少しだけ元気になったみたいだし
名前を聞いてみたわ
女の子の名前は「メイル」っていう名前だったわ
まだ、体の調子が良くないみたいだったから
寝かせておいた。
シュリに留守をまかせて
森中の魔物娘や、街に行って
その子の身元について聞いてみたけど
みんな知らなかったわ…
あれじゃ、あの子は一体どこから来たのかしら


〜魔物歴18年6月1日〜

メイルはベッドから出て歩けるまでには回復したみたい
遠くまでは歩けそうにはなさそうだけど…
私の家の周りだけ歩かせてみた。
少し表情が不安そうだったわ
元気になるまで、私の家に置いておこうと思う
半身探しはかなり後になりそうね


〜魔物歴18年6月2日〜

他の魔物娘たちがやってきて、メイルに
いろんなものをもってきたわ
シュリの持ってきたボールが気にいったみたい
ずっと持っていたわ
顔がものすごく明るくなっていたわ
シュリ、なかなかやるじゃない
でも、人形だけ遊んでなかったわね
なぜかしら
それどころか怯えているようにも見えたわ


〜魔物歴18年6月3日〜

今日買い出しに行っていたら、
不穏なうわさを聞いてしまったわ
この大陸の村が一つ消えたらしいの
教団の仕業かしら?
教団は嫌いだわ…
前に襲われて逃げるのに必死だったから
他にも、各地で人間の子どもが行方不明になっているらしいわ
いつになったら人や魔物娘は平和に暮らせるのかしら?
メイルにはこのことを話さないでおこう


〜魔物歴18年6月4日〜

メイルがきてから半身を探しに行く暇がなくなった
寂しくないからいいけど、
すっかり元気になって他の魔物娘と
よく遊んでいる
魔物娘を嫌ってしまったらどうしようかと
不安だったけど大丈夫みたいね


〜魔物歴18年6月5日〜

メイルが元気になったから
いろいろとメイルについて聞いてみた

・メイルはどこに住んでいたか(ケイトゥスという街らしい…知らないな)
・年齢は?(13らしいが怪しい、外見が幼すぎる)
・両親について(親の名前、特徴すら覚えていない不明)
・人形がなぜ嫌なの?(分からないらしい、見ただけで寒気がするらしい)
・なぜ血まみれで倒れてた?(分からないらしい)

最後の質問のあと
なぜかガタガタ震えだしたの
怯えていたみたい…
悪いことをしてしまったわ
メイルが落ち着くまで大変だったわ


〜魔物歴18年6月6日〜

昨日はゴメンと謝っておいた
「だいじょうぶだよ、心配させてごめんなさい」
って言っていたわ
私、思わず泣いてしまったわ…
メイルに情けない顔を見せてしまったわ
一人なのに強い子だわ
この子のためにも早く親の所に帰してあげたい


〜魔物歴18年6月7日〜

私に半身と夫がいないのは寂しいけど、
メイルがいるから寂しくないわ
あの子の笑顔を見ていると落ち着くわ
あの子を半身にしようかしら…
いや、駄目よね…
あの子は幼いし…
断られるのがオチに決まっているわ…


〜魔物歴18年6月9日〜

メイルが来てから
自分でシていなかったせいと半身がいないから、
昨日の夜は日記を書くのも忘れて
自慰にふけっていた…
情けない…
しかも、メイルにばれるところだったわ…
あぶないあぶない…
早く半身と夫も探したいし、
メイルを元のところに帰してもあげたい
やりたいことが多いなぁ…

〜魔物歴18年6月10日〜

大変なことになってしまった。
教団の連中がトオイに攻めてきたらしい
今は近くの街のエンケに避難中だ。
軍がなんとかしてくれるらしく
森は安全だと言っていた。
それでも心配だ。
大丈夫だろうか…?
もしなにかあったらメイルを逃がさないと
私は一人だから、誰も悲しまないわ


〜魔物歴18年6月11日〜

嫌な話を避難住民の方から聞いてしまった。
トオイの方に攻めてきた連中は
子どもを使って戦っていたらしい…
しかもメイルのような女の子が多かったとか
気になるな…
話は他の人にも流れていたようで、
メイルをにらみつけている人や陰口をたたくヤツがいた…
やったのはメイルじゃないのに…
似てるだけなのにおかしくないかしら?


〜魔物歴18年6月14日〜

メイルが男に殴られそうになった…
すぐ、他の人に取り押さえられたわ
「お前が、俺の親を殺したんだ!」と
言いながら殴りかかろうとしたらしい…
どういうことなのだろう…
まさかとは思うけど、昨日聞いた話と関係がある?
とりあえず、メイルのそばにいてあげなきゃ…


〜魔物歴18年6月16日〜

戦いが長期化しているらしい
落ち着いて日記も付けられない


〜魔物歴18年6月17日〜

やっと家に帰ってこれた
戦闘の爪痕がかなり激しかったみたいで
私の自慢の花壇がかなり荒らされていたり
家の一部が壊れていた…
少し片づけないと…
友達に手伝ってもらおうっと…


〜魔物歴18年6月20日〜

メイルが帰ってこない…
友達の家に遊びに行くって
言っていたけど遅いわね…


〜魔物歴18年6月23日〜

体が痛む…
矢が刺さった背中の痕が特に…


〜魔物歴18年6月25日〜

植物系の魔物でよかったわ
すぐ治って、おかけでピンピン!
まさか、メイルを探しに行っているときに、
教団の敗残兵に襲われるとは思わなかったわ…
近くに魔王軍の人が運よくパトロールしていたから
殺されずにすんだわ
でも、あの敗残兵は、
メイルにむかって、
「失敗作め!消えてしまえ!」なんて言ってたわね…
まさか…


〜魔物歴18年6月27日〜

認めたくない…

メイルは教団の実験体の一つだったみたい…
襲われた敗残兵の口から吐かれた言葉が気になって
調べてみたら、大陸の各地から子どもたちを集めて洗脳した
教団の兵士の一体だったみたい…
戦っている最中に偶然、転移魔法で飛ばされてしまって
魔王軍の捕虜として捕らえられるはずだったけど、
なにかの手違いで、私たちの住む森に飛ばされてしまったみたい
私は彼女になんて声をかけたらいいのかしら…


〜魔物歴18年6月28日〜

メイルの様子がおかしい
どうしたのだろう…
もしかして、気づいてしまった…?


〜魔物歴18年6月30日〜

危ないところだった…
助けることができてよかった…
彼女、自分が多くの人を殺めたことに
責任を感じて自分で死のうとしていた…
見つけた時に身を投げようとしていたから
慌てて、花のつるを伸ばしてメイルを助けたわ…
リリラウネでよかった…
お父さん、お母さんありがとう


〜魔物歴18年6月31日〜

これから私は彼女を
私の半身にしようと思う
彼女はもう覚悟を決めているわ
彼女を生まれ変わらせてあげたい
兵器として使われた彼女を
これから幸せな人生を歩ませてあげたい…


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「懐かしいわね〜こんなことあったわねぇ…もう一度日記つけようかしら?」
「うぅ…ぐすん…」
「あら、どうしたの?」
「すみません…お姉さま、昔のことを思い出しちゃって…」
「大丈夫よ、あの時は寂しい思いさせちゃったね」
「お姉さまはいつもそばにいてくれたじゃないですか」
「どうだったかしら…日記のことだけど…
適当に書いてた箇所もあったのよね〜」
「私は覚えてますよ」
「よく覚えてるわね、流石わたしの半身ね」
「えへへ…あ、そろそろ旦那様が帰ってこられる時間ですね」
「そうね、帰ってきたら3人で楽しみましょ?」
「はい、お姉さま」
「メイル」
「なんでしょうか?」
「私の半身になってくれてありがとう…これからもよろしくね?」
「はい、お姉さま…」

〜END〜
15/08/22 22:44更新 / もさきち(魔物大好き隊)

■作者メッセージ
二作目
孤独なリリラウネの日記でした
面白くエロく書こうとしたら、少しシリアスになってしまいました…
(´ω`;)
エロにも挑戦してみたいですね…

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