読切小説
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ドラゴンさんとの楽しい休日デート
チュンチュン…
「うーん…もう朝か、長く寝てたみたい…」
時刻は10時をさしていた

僕の名前は、岡部 優
普通の高校生だ
普段、この日は、アルバイトをしているのだが
今日は、シフトも入ってなく、
家族も用事で遠くまで出かけているので、
のんびりとした休日を過ごそうと思っている。

「今日の全国のお天気を見てみましょう、全国的に、今日一日、晴れになる見通しです。
午後から雨が降る地域もありますので、注意しましょう、続いては…」
「(僕が住んでるところは晴れか)」
リビングで遅めの朝食をとりながら、
テレビから聞こえる天気予報士の声に耳を傾けながら、
そう考えていた。
「さて、せっかくの休日だし、何をしようかな…
久しぶりに会いに行こうかな…寂しがってるかもしれないし」
そう独り言をつぶやきながら、
朝食を食べ終えた後の食器を片づけようと
立とうとしたその時、
「ククク…今日は、晴れのようだな、たっぷり楽しめるな…優…」
「うわぁっ!?」ドンガラガッシャーン!
不意に後ろから声をかけられ、思い切りこけてしまった。
「む?大丈夫か?」
「イテテ…な、なんだ、智恵さんか…びっくりした…」

声をかけてきたのは、
僕の同級生でもあり、彼女でもある
永井 智恵だった
人間ではなく、魔物娘のドラゴンという種族だ
頭には立派な二つの角があり、
全身のあちこちに美しい深緑の鱗が生えており、
それをさらに美しくみせる綺麗な紫のロング髪
岩さえ簡単に砕きかねないほどの立派な手足
振るえば突風ですら起こしかねない強靭な尻尾を持っている。
本来、ドラゴンという種族は、人間や他の魔物に対し、高圧的な態度をとり、他者を近づかせぬ雰囲気を持っている
好色的な魔物娘が多い中でも、
自分から人間の男性に近づいていく、ドラゴンは少なく
自分を打ち倒したものや自分が宝物と認めた者にしか
近づかず、伴侶にはしないという…
しかし、智恵さんは違っていた
実は、彼女の方から
「我のモノになれ、貴様に拒否権はない」
と強引にアタックされて(他人からすれば脅しに聞こえるかもしれないが…)
つきあいはじめたのだ。
もしかして、僕を宝物と認めたからと思ったこともあったが、
怖くて聞けていない
なぜ、こんな自分にアタックしてきたのかは
いまだに分からない…

「全く、その程度で驚いているとは人間はやはり貧弱だな」
「誰だって後ろから急に声をかけられたら驚きますよ、
しかも事前に来るとか知らなかったし…」
僕がこけて散らかってしまったリビングを片づけながら、
ソファにどっかりと座っている智恵さんにそう返した
「眠れなかったのか?」
「え?」
「注意力がなかった、どうやら眠れていなかったようだな優、それだから驚きあんな無様な姿をさらしたのではないか?」
「違いますよ!いきなり後ろから声をかけられたら驚きます!」
「む?人間にとってはそういうものなのか?それならば、今度からは優の前に立ってから声をかけた方がいいのだな?」
「それ以前に、家にくる前には…」
彼女が本当にドラゴンなのか疑ってしまうことがある
智恵さんとは、人の常識が通用しないことが
よくあるからだ。
付き合い始めた頃、
一緒に学校に行く為に、待ち合わせをしていると
遠くからものすごいスピードで、様々なものや人、魔物娘などを吹き飛ばしながら、やってきたときは恐ろしくて逃げるしかなかった。
ちょっとおつかいを頼まれて
外出していたときには、ものすごい勢いで空中から飛んできて、
「どこへ行くんだ?連れていってやろうぞ」と
かっさらわれたこともあった…
それをやめてもらうために、何度同じ話をしあったことがある
「そういえば、なにか用があって僕の家に来たんですよね?」
「はっ、そ、そうだった、このまま優の家にいてもよいのだが…
優よ、きょ、今日はなにか用事でもあるのか?」
「いえ、今日は用事はないですけど…」
「用事がなかったら、こ、これからデートでもい、行かぬか?///」
智恵さんは立ち上がり、もじもじしながら顔を赤らめてそう言った。
「えっ、今からですか?」
「ああ!そうだ、これからだぞ、い、嫌ならいいが…」
智恵さんはもじもじと恥ずかしそうにそう言った。
僕は驚いた、最近どちらも
学校のことなどで、忙しかったので、
デートになど行く余裕はなかったから
彼女の誘いはとても嬉しい
「大丈夫ですよ、僕も今日一日、なにして過ごそうか考えていたんですよ」
「ということは…?」
僕の返答に智恵さんは、表情を変え、とても嬉しそうな表情になった。
「久しぶりのデート行きましょうか!」
「ほ、本当か!?は、早く支度してくるんだな!」
その言葉に、智恵さんは顔を明るくして、僕に支度してくるように促した。
「はーい、少し待っててくださいね」
僕は、自分の部屋へと荷物を取りに向かいに行った
「今日で最後にしたいぞ…優…」
その時、急いで荷物を取りに行っている僕の耳に、
智恵さんの言葉は届いていなかった…

デートに出たのはよかったのだが…
「さぁ、どこへ行く?何をしに行く?」
「ま、待ってください…ひっぱらないで、痛い」
智恵さんは今、嬉しそうに、僕のショルダーバッグをものすごい力で引っ張って僕を引きずって歩いている
これではデートではない、昔、時代劇などで見た引き回しの刑のようだった。
さらには他の人が僕を見ながら
「彼女を持つって大変ねぇ…」
「うらやましいぜ…」
「ママー、あれなにー?」「あんなの見ちゃいけません!」
「リア充爆発しろ」
とひそひそ声(変なのもいたが)で僕らのことをしゃべっていたので、
肉体的にも精神的にも僕にとっては大ダメージだった。
いつもは、威厳のあるドラゴンで、
皆から慕われている智恵さんだが…
「ち、智恵さん!ちょっ、おまっ」
「久しぶりの優とのデートなのだぞ、とても楽しみだったのだ!こんなに嬉しいことがあるか、さぁ行くぞ!」
あまりに興奮して暴走している
どうにかして止めなければ…
「待ってください、ぼ、僕の話を…お願いですから聞いて〜!」
「なんなんだ、優よ、話なら早くしてk…ハッ!?」
僕の言葉と、僕を引きずっていることに気づいてくれたのか
智恵さんは、ようやく止まってくれた…

「すまないっ、優!」
僕に治癒の術をかけながら智恵さんは謝っていた
「ぜぇぜぇ…デートって言ってもどこに行くんですか?」
久しぶりのデートで興奮しているのはよく分かるのだが、
場所について聞けてはいなかったので、これだけは聞いておきたかった
「優が行きたい場所ならどこでもよいのだぞ、どこへ行きたい?」
「僕の行きたいところですか…(どこに連れていくつもりだったんだろ?)」
行きたいところを聞かれて少し戸惑ってしまう
最近、忙しかったため、地域のイベントなどよく分かっていないから
どう答えようか迷っていると、
ふと、掲示板に目が行った。
そこには近くで祭りがやっていると書いてあった
「近くで祭りがやっているみたいですね、行ってみません?」
「祭りか…たまにはよいだろう、では行くぞ」
と言って
智恵さんは、翼を広げ、僕を抱えて飛ぼうとするので
「ちょ、ちょっと待ってください!(胸やわらかい…)」
「なんだ、高いところが怖いのか、慣れていたはずだったのでは」
「いえ、そうじゃないんです」
「だったらなんだ?」
「時間がないわけでもないんですし、ゆっくり行きませんか?」
僕を抱えて飛んでくれるのは嬉しいのだが
急用でもなんでもないので
ゆっくりと歩いて楽しい話をしながら、
僕は智恵さんとデートをしたいと彼女に伝えると
「そうか、我としたことが…久しぶりだったからな、すまない優」
「いえ、大丈夫ですよ、さぁ行きましょうか」
「そうだな…我からもひとつお願いがあるのだがいいか?」
顔を赤らめながらモジモジさせて智恵さんは聞いてきた
「なんですか?」
「その…手を…あぁ、もうじれったい!」
そう言うと智恵さんはドラゴン独特の大きな手でいきなり手を握ってきた。
お互い顔が真っ赤になってしまう
「さ、さあ行くぞ!///」
「は、はい///」
何回もデートに行っているはずなのに
手をつなぐことは慣れていない僕たち、
こんな調子でデートはちゃんと進むのか少し心配になってしまった。

そんなこんなで、二人で会話を楽しみながら
祭りの会場に辿り着いた
祭りの会場は広く、たくさんの屋台や人、様々な種族の魔物娘で溢れていた。
たくさんの物に目が移ってしまう
「さて、優よ、見るだけでは楽しめんぞ?どこから回っていく?」
「そうですね…ここ行ってみませんか?」
会場の入り口でもらったパンフレットを見ながら、
智恵さんに尋ねる
「うむ、分かった、さぁ行こうか」
僕は智恵さんと
ヨーヨーすくいや射的、くじびきの屋台など
様々な場所を回っていったが全部はまだ回り切れていなかった。
「さぁ、次はどこの屋台に行く?こんなに歩いても会場は広いからな、
むむ…まだ全部歩き切れていないようだな」
「えっと…」
次に行く所を探していると
グウゥ〜と僕のお腹が鳴ってしまった。
「す、すみません」
「結構歩いたものな、すまん気づいてやれなくて、腹ごしらえでもしてから回ろうぞ、優よ何か食べたいものはあるか?」
「それじゃあ、あれ食べに行きませんか?」
そういって焼きそば屋を指差した
「ふむ、焼きそばか…いいだろう、それでは買いに行こうか」
僕たちは腹ごしらえのために、焼きそばを買いに行くことになった。

「いらっしゃいませ〜」
店番の方は、見たこともない魔物娘の方だった。
「すみません、焼きそば二つください」
「できるまで、少々時間がかかりますが、よろしいですか?」
と丁寧に聞いてきたので
「あ、はい大丈夫です」
と返した途端
「あいよっ!焼きそば二つ注文入ったぜー!」
「へいっ!」
急に店番の上品な雰囲気が変わり、ワイルドな雰囲気になり
奥の調理している人に、大声で注文を伝えた。
急に雰囲気が変わったので少し驚いた。
「こら、獅子!お客様の前では出るなと言ったろう!」
「へへっ、すまねぇな〜」
一人で雰囲気を変えながら、しゃべっている…
店番の方はどうやら一つの肉体に山羊、獅子、竜、蛇の四つの人格を持ち、
様々な魔獣の特性を兼ね備える
魔物娘のキマイラだった。
「ふむ、キマイラか…珍しいな」
智恵さんが、興味津津にキマイラさんを見ながらそう言うと
「どうだ、珍しいだろ〜」
「珍しいでしょ〜ほめていいんだよ〜」
嬉しそうにころころと中身が入れ替わりながら返してくれた
見ていて面白かったが同時に少し緊張した
「獅子!山羊!お客様に対してご無礼な真似はよしなさい!も、申し訳ございませんお客様!あとで叱っておきますので…」
中身が蛇に変わったようで、
「気にするな、叱ることはないと思うぞ、なぁ優?」
「え?あ、はい」
漫才のような光景に、呆気にとられていたが、智恵さんの言葉で、
ようやく我にかえることができたが
「ウチの蛇と竜より優しいなアンタら!もしかしてカップルか?」
「えっ、いきなりなにを聞くんですか!///」
獅子の魂の状態で、僕に体をどんどん近づけながら、言い寄ってくる
「キスはしたの〜?してないみたいだし、初キスもらっちゃおうかな〜」
「ちょ、ちょっと…やめてくださいよ…(なんだこれ動けない…)」
山羊の方も僕に言い寄ってきた。
拒否しても、
ころころと魂が入れ替わり
いつのまにか、
僕は恐怖で体が動かせなかった。
「おい」
「んあ?」
後ろからものすごいドスのかかった声がキマイラさんにかかり、
キマイラさん気の抜けた声を発しながらは声のする方を向いた。
僕もその声の方向をキマイラさんにつられて見てみると、
見たこともない智恵さんの姿があった。
髪の毛が逆立ち
目が赤く光り
深緑の鱗が少しずつ黒く染まっていっている
感じたことのない恐ろしい殺気を智恵さんは発していたのだ。
「優は我のものだ、消し炭になりたいのなら私の前でしてみるのだな、貴様の塵すら残してやらんぞ」
「ひぇっ…い、今のは冗談なんだぜ〜アハハ…」
「じょ、冗談だよぅ…」
ものすごい光景だった。
ドラゴンと互角の力を持つほどのキマイラが震えあがり、怯えていたのだ。
キマイラを震え上がらせる智恵さんがとても恐ろしくも見えたが、
同時にかっこよくも見えた。
青ざめた顔になりながらキマイラさんは僕から離れ、なんとかなった…
「お客様、私の中の者が、大変な無礼をかけてしまった、私の力でも暴走するこやつらを止められず、種族は違えど同じ竜として大変申し訳ない」
深々と頭を下げるキマイラさん、口調から察するに竜に変わったようだ。
「フン、分かればよいのだ…行くぞ優」
智恵さんが僕を連れて離れようとすると
「ちょうどできあがりましたぜ!お客さん!どした?なんかあったんか?」
筋骨隆々の調理係のおじさんが僕たちの分の焼きそばを持って出てきた。
外の様子には気づいてはいなかったようで、キマイラさんに質問していた。
「あぁ…後で話す、それよりお客様に」
「へい!待たせてすまねぇなお客さん!ちょうどできたてですぜ!二つで…」
「いや、代金は受け取らなくてよい、渡してやってくれ」
「へいっ!」
キマイラさんは代金を受け取ろうとせずに
おじさんはやきそばを僕に渡してきた。
「俺が丹精こめたんだ!きっと美味いぜ!」
渡してきたのはよかったが、智恵さんの方を見ると
智恵さんはとても不満そうだった。
「これで我の怒りが静まるとでも思うのか?」
「静まるとは思っていない、そうだ、アドバイスをしてやろう
私の中の者が君の優とやらの匂いに反応していたが、智恵とやら、伴侶には
早めに匂いはつけておいた方がよい」
「なっ…貴様ぁ…我をまた怒らせるのか!」
「この祭りは大規模だからな、この祭りには見ての通り様々な者がいる
家族連れ、カップル、独身」
「それが何だというのだ」
「そやつらに奪われてよいのか?君の未来の伴侶が」
「うっ…それは…だが優は我が守る!なにがアドバイスだ、我の伴侶を奪おうとした癖に、行くぞ優…」
「あぁ、ちょっと…」
「デート楽しんでこいよ〜!」
とおじさんの声を聞きながら
僕は強引に智恵さんに手を引っ張られて、
キマイラさんの店をあとにした。

キマイラさんの店から離れて
僕らはまだ祭りの会場を歩いていた。
しかし、智恵さんの表情は暗くボーっとしていた。
「智恵さん…」
「えっ、あぁどうした?」
さっきから智恵さんは、
僕がキマイラさんに襲われそうになったのを、
まだ気にしているようだった
「さっきのこと、まだ気にしてるんですか?」
「あぁ、当たり前だ…我の優が目の前で…
自分が情けなくてたまらん…!」
こんなに暗い表情をした智恵さんは見たことがなかった。
僕は智恵さんにどんな言葉をかけていいか分からず
悩んでいると
「ん?」
僕の頭の上に小さな水滴が落ちてきた
どうやら、雨が降ってきたようだった。
だんだんと雨は激しくなっていき、
地面に水滴が落ちるたび音がするほどになった。
「雨降ってきましたね、とりあえず傘もありませんし…」
どこかで雨宿りでもしませんか?と言おうとした瞬間
僕は宙に浮いていた
「えっ、うわあぁ!」
いきなり智恵さんに抱きかかえられて飛んでいた
「智恵さんどこへ!?」
「暴れるな…」
そう一言、言うと智恵さんは僕を抱えて黙ってどこかへと飛んでいった。

僕を抱えて智恵さん飛び立ってから数分後…
祭りの会場から少し離れたところにある小さな洞窟にきていた。
「あれ、ここは…?」
「急にすまないな、雨宿りの場所ならいくらでもあったし、
デートの最後にここへ連れてきたかったのだが、土砂降りだったからな、
暗い表情を見せてしまって嫌な思いをさせたな」
と言って智恵さんは僕の手を引っ張って行った。
「えっ、ちょっと」
「心配するな」
智恵さんに抱えられて洞窟の奥に運ばれていくと、
洞窟の奥にはドアが取り付けれていた
「ただいま」
「えっ」
ドアを開けると大きな部屋があった
人が住むのにはあまりにも広くて、
生活するのに充分な家具がちゃんと置いてあった。
「ここは我のもうひとつの家だ」
「えっ…もうひとつって…」
智恵さんの家は本来、僕の家の近くにあるはずなのだが
こんなとこに智恵さんのもう一つの家をあるとは知らなかった。
「なんでこんなところに、しかももう一つの家って?」
「優よ、お前には教えていなかったな
我は時々、ここにきて一人で勉強をしにきたり、お前のことを…
いやなんでもない」
と説明してくれた(最後の方はよく聞こえなかったが)
「そうなんですか…へっくしゅん!」
雨で濡れたため体が冷えていた
「ほら、拭いてやるこっちにこい」
「は、はい」
智恵さんの手はとても優しかった
鱗が生えた頑強な大きな手で
僕の雨で濡れた体を優しく拭いてくれた。
タオルごしとはいえ、智恵さんの手はとても暖かった。
「ん、拭き終わったぞ」
「あ、ありがとうございます」
智恵さんの手が離れていくのが少しさびしく感じた。
「上着はそこにでも干していろ、そのうち乾くだろう
我は少し隣の部屋で体を拭いてくる、かけ終わっても少し待っていてくれ」
よく見ると智恵さんもびしょぬれで
「さてと、あれかな?」
物干しを見つけ僕は服をかけに行った。
自分の服をかけようとしたのだが、
智恵さんの身長に合わせている物干しのためか、
かなり高い位置にかけなければならないものだった。
さらに、服がかなり濡れていて上手くかけられない
「むむむ…上手くかからないぞ…よいしょっと!」ガタン!
ようやく服をかけることができたが
服をかけた衝撃で棚に置いてある物が落ちてきた物が僕の上に降ってきた。
「いたた…なんだろうこれ…?」
落ちてきたのは飾り気のない質素なアルバムだった。
「なんだろうこのアルバム?」
開けていいのだろうかと思っていたが
こっそり見てもばれないだろうと思い
好奇心に負けて開いてしまった。
「あれ…これって僕の写真?」
アルバムをめくると
僕の写真がでてきた。
アルバムをめくってもめくっても
僕の写真ばかりだった。
最近撮られたものから、かなり古い時に撮られた写真まであった。
しかし、撮られた覚えのないものがいくつかあった。
「どういうことだろう…」
「見てしまったか…」
「ギクッ!」
不意に後ろから声をかけられてアルバムを
落としそうになる
「おっと危ない」
いつの間にか僕の目の前に智恵さんがいて、智恵さんにアルバムを
とられていた。
「智恵さん、こ、これは違うんです!」
「ちょっとこっちに来い」
「うわぁ!」
智恵さんにグイっと引っ張られて智恵さんが
行っていた部屋に連れてこられ、ベッドの上に座らされた。
「優」
「は、はい!」
(智恵さんに怒られる…)
僕はそう考えていた。
「さっきのアルバムのことについては怒ってないぞ、話さねばならぬだろうとずっと前から考えていた。」
「あれはなんなんですか?」
「教えてやる」
そう言ってひとつひとつ話してくれた。
「なぜお前の写真があるかだが…
お前を…影から撮っていたんだ」
「僕を影から?」
アルバムに貼ってある写真は
僕を影から撮っていたとのだという
「ずっと前、お前に注意されてから気をつけていたんだが
どうしても、声を掛けたくても声をかけられないときには
こうやって発散させたりしていた。
それでも足りない時には、
お前の写真で自分で自分を慰めたりしていたんだ…すまない」
「そうだったんですか…ごめんなさい」
智恵さんは暗い表情で言っていた。
僕の注意のせいでこんなことをさせていたんだ…
罪悪感がわいてきてしまい、悲しい気持ちになる
「ずっとお前が忙しかったからな
悪いとは思ってもいたが抑えきれなかった
強引に襲ってしまおうとも考えていたが、
嫌だった。
襲ったらお前が離れてしまうのではないかと思っていた。
もしかしたら他の魔物娘にとられるかもしれないとも思っていた。
今日のキマイラのことでも、相手が怖気づかなかったらとも
考えると怖かった」
「僕もそれのことはちゃんと相手を拒否することができなかったから
自分も悪いと思ってます…」
「優が悪いものなどあるものか!
実はな、我はドラゴンの中でも弱い個体だった。
だから、お前に魔力による我のものである証を
うまくつけることができなかった…
それを、キマイラの奴に言われた時は悔しかったな…
出会うのもかなり久しぶりだったし
一緒にいた時の匂いも、もしかしたら薄れていたのかもしれん
もし、また会えなくなったら…」
智恵さんは今にも泣きそうだった。
「大丈夫ですよ」
「なぜそんなことが言える?」
「根拠はないですけど…
僕も智恵さんから離れている時間が惜しくてたまらなかったんです。
会えない日の時はずっと智恵さんのことばかり考えていました」
「ふふふっ」
急に涙声で智恵さんが笑い始めた
「なんで笑うんですか」
「そうか嬉しいな…ふふふ…ううっ」
「あぁ、泣かないでくだs…」ガバッ
僕は智恵さんに急に抱きつかれ
押し倒されるようにそのまま仰向けに倒れてしまう。
「もう離さん…お前は我だけの物だ…」
「智恵さん…」
とても嬉しかった
智恵さんが僕のことをこんなに思ってくれていたことに、
僕も涙が出そうだった。
「ハァハァ…」
「!?どうしたんですか!?」
智恵さんの様子がおかしくなった
急に顔が赤くなり息が荒くなっていた。
「もう抑えられん!」ビリビリ
「えっ、ちょっ!」
智恵さんの鋭く大きな手でどんどん服が破られていく
「なにするんですか!?」
破かれた服に困惑しながら、
智恵さんの目を見た瞬間、ゾワっとしてしまった。
とらえた獲物を食べようとする…
そんな目をしていた。
「これからお前に我のものである証を刻んでやる」
「えっ、まさか…」
「今夜は寝かせてやらんぞ…今まで性欲を抑えていたが
今日で最後だ…」
「ま、待って智恵さん心の準備が…あと、まだ僕ら高校生ですし!
ね!正気にもどっ…う、うわアッー!」
その日から学校のある日まで、僕は智恵さんにこってり搾られて
搾られた後も抱き枕にされたり「まだ足りん…」と言われながら
ずっと愛された。

後日…
「そういえば、気になっていたことがあるんですけど…」
「ん?なんだ?」
「いや、やっぱりやめておきます」
「言ってくれ、あれだけ愛し合った仲ではないか、隠しごとはよくないぞ」
「ちょ、聞こえてますよ!」
「まぁ気にするな、言ってくれんと言うまで搾るぞ」
「うっ、それは…分かりました」
「…」ジーッ
「なんで僕のことを好きになったんですか?出会ってから
1日も立ってなかったのに…」
「あぁ、それか…それはな…お前が宝物に見えた」
「えっ、宝物?」
「我の所有していた宝物のどんなものより、
お前を見た時輝いて見えたんだ…
我は他のドラゴンよりは弱いが
こいつを、いやこの者を我の宝物にしたいと思っていたんだ」
「宝物…」
「あぁ……まさか、それだけか?」
「えっ、はい」
「本当にそれだけか?」
「それだけですけど…?」
「そ、そうか…」
「そうだ、優に言いたいことがあったんだ…」
「なんでs…うわっぷ!」ギュー
「お前は我の一番の宝物だ…それは永遠に変わらない誰にも変えられない…
出会うことができて本当によかった、愛しているぞ…これからもよろしくな」

〜終わり〜
15/08/01 22:54更新 / もさきち(魔物大好き隊)

■作者メッセージ
みなさん、はじめまして
もさきちです。
はじめてこういうSSを書いてみました。
書いている間に様々なハプニングにあいながらも
無事書くことができました。
このSSを書いている間に様々なネタが浮かんできていたので
また書きたいと思っております。
そのときも見てくれたら嬉しいです。

〜智恵たちがキマイラさんの店を去った後の話〜
オジサン「キマイラの姉御!」
竜「なんだ」
オジサン「アドバイスしときながら、あんたも独身だろ?
えらそうに言っちまってよぅ、大丈夫なのかい?」
蛇「あら、そういうあなた様はどうなんでしょうねぇ…」
オジサン「?うちには妻がいるぞ?」
キマイラ全員「んなっ!?」
オジサン「おいおい、大丈夫かよ…焼きそばの匂いで鼻がイかれちまったか?」
竜「うるさいっ!クッ…なんてことだ…」
蛇「智恵と優にひどいことを言ってしまいましたね…」
竜「あぁ…我ももっと力をつけねば…」
オジサン「あと、男もだろ?」
キマイラ全員「うるさい!」

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