連載小説
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その4
「あ〜疲れた、暑い・・・」
この街にきてもう1年・・・
いつだったか似たようなセリフを言った気がするがいつだったか・・・
配達先常連の教会の前でこぼした。

「あら。ブルートさん。今日もご苦労様です。」
ニコニコ笑顔で出迎えてくれたのはダークプリーストのミシェルさん。
ほんわかした雰囲気、上品な物腰、そしておっぱい・・・素晴らしい・・・

「あーいえいえ。これ、今日の分です。重いから中まで運びますよ。」
「あら。いつもありがとうございます。こんなに優しい旦那様がいて、奥様が羨ましいわぁ〜♥」
「奥様?あ、いや、いつも一緒にいるのは・・・親友ですよ。」
「ええっ!てっきり奥様かと・・・あら、じゃあ私が嫁いじゃおうかしら♥」
「ハハハ。お世辞でも嬉しいですよ。こんな人相だからオレの田舎じゃもてなくって・・・ハハハ・・・ハァ・・・」
「今日もありがとうございました。またお願いしますね♪」
「いえいえ、こちらこそまたお願いします。では!・・・」


「ふふふ。見る目ない女の人多かったのね。・・・それともこんな風に気づかなかったのかしら。いずれにせよチャンスだわ・・・♥」



「ふぅ・・・ミシェルさんにはいつも癒されるなぁ・・・次は・・・うわ・・・冒険者ギルドか・・・あいついないといいなぁ・・・」


「こんにちわ〜配達で〜す!」
「おお、ブルートさん!いつもありがとね〜♪」
迎えてくれたのは冒険者ギルドの受付嬢、ダークスライムのケイトさん。
いつも明るく元気できさくな姉御肌。そして・・・おっぱい。おっぱいは正義。

「いえいえ。あ、そうそう、ついでなんですけどこれ、この前話したワインですよ。」
「あ!ありがと。わざわざ持ってきてくれるなんて気がきくなぁ・・・優しい上にたくましいし、はぁ、奥さん羨ましい・・・」
「ハハハ、それ教会でも言われましたよ。いつも一緒にいるのは親友ですって。」
「へ?そなの?じゃあ奥さんに立候補しちゃおうかな♥」
「ハハハ、ホメても何もでませんよ?・・・あいつがこないうちに帰ります・・・」
「あぁ、そうね・・・残念だけどまたね?」
「はい、またおねがいし「あー!いた!!!」ます」

振り返ると、そこにはオレよりやや小さめではあるがガッチリとした体にでかい斧を背負ったミノタウロスが・・・
「今日こそケリつけてやるぜ!!!」
「あー・・・仕事中だからまたなマギステル・・・」
「ここで会ったが百年目・・・」
おい、その斧を降ろせ・・・
「わかった、勝負はしてやる。でも腕相撲だぞ?」
「ちっ・・・しょうがないね!」

こいつはミノタウロスのマギステル。たまたま配達に来た時にここで大喧嘩していたこいつを取り押さえてからというものやけに絡まれる・・・

「時間がないから一本勝負な。」
「人間があたしに力で勝とうなんて甘いぜ?
 それより勝ったらあたしの婿になってもらうからな?」
「・・・聞こえない・・・ケイトさん、審判お願いします。」
「はいはい。んじゃレディー・・・ゴー!!!」

「ふん・・・ぐぐぐ」
「んぎぎぎ・・・」
やっぱりミノタウロス、力は凄まじいものがある・・・
だがしかし、元より力自慢かつこの街に来てから配達で毎日鍛えたこの腕・・・負けはしない!!何よりオレの貞操のために!!!

「よっしゃああ!」
「また負けた・・・ちくしょーー!覚えてろ!!!」
マギステルは涙目で走り去っていった・・・
「頼むから忘れてくれ・・・」
・・・マギステルもあの勝負癖さえなければ・・・
しなやかな筋肉に、勝負が終わった後のさっぱりとした性格。
なんというか武人としての日々を思い出させてくれるんだよなぁ。
そしてあの・・・おっぱい。おっぱいは宇宙だ・・・






そんなこんなで仕事を終え、帰宅。
今日はレオナが飯当番の日だ。
というか最近飯を作らせてもらえない・・・
「僕がやるからブルートは座っててよ!!」
なぜ怒られるんだ・・・
あいつが作る飯も日に日に美味くなっている。
まぁ精のつくメニューが多いけど・・・それは仕方ない。

「ねぇ、ブルート・・・今日も、ね♥」
「わかったわかった。とりあえず飯済ませてからな。」
「うん。やったぁ♪」
・・・最近、こいつの中でフェラの手段と目的が逆転している気がする・・・
いや、気にしたら負けだな。きっと。





数日経ったある日。

今日はなんだか配送物の量が多い。
昨晩、ダメ元でレオナに相談してみたら、
「じゃあ明日は本屋休んでブルートのお手伝いするよ。
 働いてるブルートも見てみたいし・・・♥」
よくわからないけど手伝ってくれるならよしとしよう。
「でも・・・その代わり・・・ね♥」
「わかった。明日はいつもより多めに飲ませてやるから。」
「やったぁ!」


「んじゃ、レオナはそっち持ってな。えーと、次は・・・ミシェルさんとこか・・・」
「こんにちは〜配達で〜す。」
トタトタとかわいい足音を立てて、教会の主であるミシェルさんが姿を見せた。
「こんにちは、ブルートさん。お待ちしてましたよ♥」
「ハハハ、光栄ですね。」
「あら、そちらの方は・・・?」
「あぁ、親友のレオナです。今日は人手足りないので一日手伝いですよ。」
「例のご友人の方ですのね。ブルートさんに奥さんができたのかと驚いてしまいました・・・」
「いつになったら嫁さんもらえるんでしょうね〜・・・ほんと・・・ハァ」
「ブルートさんがほしければいつでもわた「おおっと!!」」
「なんだよレオナ突然?」
会話の途中で割り込んできたレオナを振り返る。
さっきまであんなに上機嫌だったくせになぜか機嫌が悪い表情だ・・・
「ブルート、今日は荷物が多いんだろう?道草を食ってる場合じゃないだろ?」

なぜかレオナはオレの方じゃなく、ミシェルさんを見つめている。
ミシェルさんも張り付いたような冷たい笑顔でレオナを見ている・・・
え?何?一日手伝いなのに猛烈な職業意識???
とりあえずこの雰囲気に耐えられないので次へ行こう・・・

「・・・えっと、なんか、その、すみません。ミシェルさん・・・また来ますのでよろしくお願いしますね・・・」
「あら、すみませんね、対したお構いもせず♥
 また今度邪魔の入らない時にでもゆっくりとお話しましょう?
 そう、色々と・・・♥」
なんだかミシェルさん今日はやけに近い・・・やべ、顔が赤いのがばれないといいんだが・・・
「ブルート・・・お客様に鼻の下伸ばしてないでさっさと行くよ・・?
 そちらの方はブルートにとってお客様なんでしょう?
 あんまり馴れ馴れしくしたら失礼だよ・・・」
・・・こんなに冷たいレオナは初めて見る・・・恐ろしい・・・
「で、ではまた!」
この1年で身につけた営業スマイルでその場を去った・・・



「おい。」
「・・・」
「おい、レオナ。いきなりどうしたんだ?」
「別に〜?親友なんだからわかるんじゃないの?親友なんだから。」
大事なことなのか?だから2回言ったのか??わからん・・・


「おっと、次はここだな。こんにちは〜配達で〜す!」
「はーい。あ!ブルートさんじゃないの〜。今日もありがとう。
 今日も暑いよね。こんなに暑いと大変だろうから少し休憩していったら?」
「あ、そうですか?それじゃお言葉に甘えて・・・」
「何か冷たい物出すね・・・えっと・・・あったあったこれこれフフフ・・・
 はい、元気が出る飲み物♥」
「なんだか甘い匂いがしますね。うまそうだ。
 いただきま「おおっと!!手が滑ったぁ〜」」
ガシャン!!
ケイトさんからもらったグラスを落としてしまった。
「あ・・・すみません。おい、レオナ!」
「どうもすみませんでしたー」
「チッ・・・いえいえ・・・この方が例の親友さんかな?」
「はい、そうなんですよ!今日は人手が足りないので一日お手伝いで・・・」

「あらそうなの?へぇ〜え。」
「うちのブルートがいつもお世話になっております〜。」
「あなたがブルートさんのお友達のレオナさんね。いいお友達だってブルートさんから聞いてるよ?」
・・・ミシェルさんの時と同じ空気だ・・・いかん・・・なぜか胃に穴が開きそうだ・・・この上マギステルまで現れたら・・・
「でででではまた来ますのでよろしくお願いしますね!」
「うん。今度はこの前プレゼントしてくれたワインでも開けながらゆっくり・・・ね♥」


「・・・なぁ。」
「・・・」
「なぁ、レオナ・・・」
「・・・プレゼントねぇ・・・そう言えば僕、ブルートからもらったことないなぁ・・・」
「アハハ・・・そ、そうだっけ?」
「ふ〜ん、ああやって女の人の気を引くんだぁ。親友として勉強になるなぁ・・・」
「よ、よし、今度何か贈るよ、な?」

そんなこんなでようやく配達も終わり、帰路についた・・・
もう終わったと思ったんだ・・・それなのに・・・

「フフフ・・・今日こそは逃さないぜ・・・?」
聞き覚えのある声に振り向いた。嫌な予感がタップリだ・・・
「マギステル・・・今日は本当に疲れてるんだ・・・勘弁してくれ・・・」
「はぁ?何言ってんのさ。
 今日こそあんたに勝って婿になってもらう「はぁ〜〜〜〜!!?」からね!」
突然会話に割り込む声。このパターン・・・3回目だ。
「ブルート、婿ってどういうことさ!」
「あれは勝手にあい「あたしに負けたらブルートは婿になるんだよ!」つが・・・」
「・・・ブルート、僕聞いてないんだけど?」
「ん〜?そういえばあんた誰?あ、あんたが例のブルートの親友?
 男女の話はお友達には関係ないだろ?すっこんでな!」
「ブルートは今日は本当に疲れてるんだよ・・・
 配達が多いから僕が手伝いに駆り出されてるのさ。
 それとも何?ミノタウロスは疲れきってる相手に全力を出す種族なの?」
「くっ・・・!そんなわけあるか!
 ・・・まぁいい、んじゃブルート、勝負はまた後日にお預けだね。
 今日は邪魔も入ったし・・・またな!」
「いいよ・・・もう来なくて・・・ハァ・・・」


「あの・・・」
「・・・」
「あの・・・レオナ・・・さん?レオナ・・・様??」
「・・・」
「レオナ。一体どうしたんだ?」
「知らない。自分で考えれば?」
いや、そんな調子で隣に居られてもこっちが疲れる・・・
なんて言ったら修復不可能な溝が生まれる気がする。
ここは平謝ってやり過ごす作戦だな!


家に着くなり、レオナは無言で夕飯の準備を始めた。
不機嫌だからてっきりオレがやるのかと・・・

「はい。これ。」
そう言って出された夕飯は妙に味の濃いような甘いようなスープだった・・・
正直残したい気もするけど、そんな空気じゃないな・・・
ようやく平らげたオレに更なる試練が!!
「おかわり、いるよね?」
張り付いた笑顔のレオナがオレにお代わりを迫る。
・・・気が済むまで付き合うか・・・


夕飯が終わると、いつもより早い時間なのに急に眠くなってきた。
レオナがあの調子じゃ、今日はとっとと夢の世界に逃げたほうがいいな。
何か約束していた気もするけど、尋常じゃない眠気に襲われている。

「もう眠いから寝るわ〜・・・おやすみ〜。」
「・・・うん、おやすみなさい、ブルート。」
・・・眠りに落ちるオレの視界に映るレオナはなぜだか笑っている気がした・・・


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「ねぇ、ブルート。ブルートがいけないんだよ?
 僕というものがありながらあんなに他の子にデレデレして・・・
 みんなおっぱい大きい子ばっかり・・・
 僕だって随分大きくなったじゃないか。ブルートが大きくしたんだよ?
 こんなにいやらしい体にしたんだよ?
 口でのご奉仕だってブルートが僕に教え込んだんだよ?
 こんなにブルートに食べられるための、ブルート専用の女の子がいるのに・・・
 ・・・どうしてブルートは僕を食べないで他の子に手を出すのかな?
 ブルートがこんなに食べ頃にしたくせに・・・
 1年間、ブルートがいつ食べてくれるのか、ずぅーっと待ってたけど・・・
 もう待てない・・・
 ねぇ、今日の夕飯美味しかった?
 ブルートが狼さんになっちゃう薬、入れたんだ・・・
 目が覚めたらもう逃さないよ・・・
 君のために女の子になった君専用の女の子を君のものにしてもらうんだ・・・
 フフフ・・・」
12/04/26 05:22更新 / もょもと
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