連載小説
[TOP][目次]
中編
 あれから数日、あたしはあのビーチへ行かずに家でずっと過ごしていた。
 意味もなく隅から隅まで徹底的に掃除をしたり、家具の位置を変えてみたり、模様替えをしてみたりと、没頭する何かを探していた。
 何かに没頭していれば余計な事は考えないでいい。それに夢中でいれば時間は過ぎて、気がつけばもう一日が終わっていたりする。
 でもそれも長くは続かなくて、一週間も持たなかった。
 今までの風景と違うあたしの家をぼうっと眺めながら、あたしはあのビーチでの出来事を無意識に思い出す。いつもと何も変わりないただの日常だったはずなのに、あの日だけは違った。
 普段は現れない人間の男女がやってきて、そこで…………。そしてあたしは…………。それを誰かが…………。

 「いやぁぁああぁぁあーっ!」

 思わず声を上げて顔を覆ってしまう。勝手にあたしの顔は熱くなるし、びちびちと尾びれで床を叩く音が聞こえる。こうでもしないと恥ずかしくてダメ。時間が経ったからちょっとはマシになっただとかそんなのはなかった。いつ思い出しても恥ずかしすぎて、こうして尾びれで床をびちびち叩く。
 しかも、それは夢の中でもあの事を鮮明に再現してしまうほど。しかも、それはあたしの視点じゃなくってあたしを見ながら勃起した逞しいお、おち、おちんちんを凄い勢いでしごいている、あの日居たはずの男の人の視点。
 息を荒くして、オナニーしているあたしを見ながらごっしゅごっしゅって凄い勢いでしごいているの。そして最後には精液をいっぱい出した所で夢は終わる。
 目が覚めればあたしのおまんこはおもらししたみたいにびしょびしょで、起きたばかりなのにとってもえっちな気分になっている。あたしはそれを我慢する事も出来ずに夢で見たあのおっきなおちんちんを思い出しながら、オナニーしちゃったり。
 イッちゃった後はぼーっとしながらあのたくましいおちんちんの持ち主はどんな人なのかな、なんて考える。
 オナニーするあたしを見て思わずシちゃったくらいなのだから、普段からちょっとえっちな事を考えている人なのかなぁ。だとすると若い男の人かな? その場でシちゃう程だから結構大胆。でも襲う事はせずに逃げちゃったから大胆なようで、小心なのかしら。
 あたしがするのを見てシちゃうって事はあたしにもそれだけの魅力があるって思っていいのかな。少なくともその人にとっては。それに魔物をオカズにしちゃうくらいなのだから魔物の事はきっと嫌いじゃないはず。
 お互い第一印象はえっちなのかもしれないけど、出来る事なら仲良くなりたいな。
 それで、あたしだけの王子様になって欲しい。
 今度はオナニーじゃなくって、セックスを…………したい♪
 そこまで考えて、あたしのお腹の奥がきゅんっと疼いた。あたしは何も考えずにおまんこに手を伸ばす。

 「……やだぁ、愛液、溢れてきた……」

 そしてあたしの手はいつものようにおまんこをまさぐってしまう。
 恥ずかしい気持ちがそのままえっちな気持ちに切り替わって、もう止められなくなっていく。
 指で円を描くように触れば、もう水音がする。汗よりもちょっと粘っこくて、触れた指を開けば糸が引いている。

 「あぁん……っ、こんなに濡れてるぅ」

 あたし、それだけ興奮してるんだ。あの日の事を思い出しながら、空想の中のあの人の事を考えながら。
 オナニーを見られて恥ずかしくて、死んでしまいたいくらいなのに、それが気持ちいい。

 「ふぁああっ♪ 余計に感じちゃ……っ」

 あたしは見られて興奮するような変態だったんだ……っ。
 今まで気づかなかったけれど、それに気がついてしまったらそれの快感に病みつきになっちゃうぅっ♪
 あたしのオナニーを見られて、おちんちんを力強くしごいて欲しいって♪
 あぁあんっ♪ あたしのオナニー、また見たらオナニーしてくれるかな。興奮しておちんちん勃起してくれるかな♪

 「ぅんっ、いい、よぉ……♪ あたしのっ、あっ、ああんっ、オナニー見てぇ♪ あたしの恥ずかしくてえっちなところぉ……っ♪♪」

 まだ、顔も名前も知らない男の人へ向けて。
 ここに居るはずのない人に見られているという妄想をしながら。すると背筋からぞくぞくって刺激が来て、頭まで届いた時に大きな声が出ちゃった♪
 ねぇっ、あたしをオカズにした人っ♪
 今、あたしっ♪ あなたの事を妄想しながら、あなたの事をオカズにしてオナニーしちゃってるよっ♪ 気持ちっ、いいっ♪
 あたし以外誰も居ない家なのに、すぐ傍で勃起したおちんちんを出したあなたの事を想像しておまんこをまさぐっちゃってるのっ♪♪ ガチガチに勃起したおちんちんを舐め回すように見ながら、指でおまんこの疼きを慰めてるのっ♪ こんなの我慢できないよぉっ♪ 我慢なんてしたらあたし死んじゃうっ♪
 
 「ひゃ、あ、あぁぁっ♪ 乳首っ♪ 乳首もこんなにじんじんしてぇっ♪」

 おまんこだけじゃなくて乳首、おっぱいも疼き始めたから空いていた手で揉む。
 中指でおまんこの中のあたしが感じる場所をいじめながら、おっぱいを揉んだり乳首をきゅっと絞ってみたり。

 「んんぅぅっ♪ おっぱいも、おまんこも全部、全部見てぇっ♪ あたしの恥ずかしくて変態なところぉっ♪♪ ふぁぁあンっ♪ だからっ♪ だからそのおちんちんっ♪ しごいてっ♪ あたしをオカズにしてしごいてぇっ♪♪」

 そこにあるはずのない男の人へ。
 ううん、男の人のおちんちんへあたしの願望をぶつける。大きく反り返ったおちんちんはびくびくって動いて、自分も気持ちよくなりたがっているの。
 我慢しないで♪ あたしみたいに我慢しないで快楽だけを求めましょ? 一人だけじゃないよ♪ 一緒にオナニーしているんだからより気持ちいいっ♪ 見せあいっこオナニーっ♪
 でも、オナニーじゃ我慢できなかったらあたしを犯してもっ♪ いいんだよっ♪ ううん、あたしを犯してっ♪ 犯して犯して、無茶苦茶にしてほしいのっ♪
 そのおちんちんであたしのおまんこを好きなだけっ♪ 初めてだけど、自分でこんなにいじってきたからきっと初めてでも気持ちいいからっ♪
 好きなだけ動いて、好きなだけ味わってぇ♪ そして、最後にはたっぷりと全部ぜぇんぶ、あたしの中に出して欲しいっ♪♪ あたしを妊娠させて欲しいのぉっ♪
 初めてのセックスで妊娠したいっ♪♪♪
 あぁぁんっ♪ それ、凄く素敵で、凄くえっちだよぉぉっ♪♪♪

 「はぁああんっ♪ あなたの精液で妊娠っ♪ あたしを妊娠させてぇ♪」

 いつでも発情しっぱなしの変態子宮にお仕置きの精液ちょうだいっ♪ 子宮の奥まで満たしちゃうくらいにいっぱいいっぱい欲しいのぉ♪ お腹が膨れるくらいに、どぷどぷして欲しくてたまらないのぉっ♪
 それでね、それでねっ、あたしの中に出した後はちゅっちゅって優しくキス欲しいの♪ 繋がったままで、なでなでされながらのちゅーっ♪ だって王子様とらぶらぶしたいんだもんっ♪ こんなにわがままでごめんなさいぃぃ♪♪
 あたしのカラダ、あなただけのモノ♪ 王子様だけが触っていいの♪ おっぱいを揉んだり吸ったりしてもいい♪ パイズリだってしてあげる♪ お口もいつだってちゅーしていいんだよ♪ それにお口でおちんちん、いっぱいぺろぺろしたいな♪ あたしに王子様の精液の味を覚えさせて、王子様の精液中毒になっちゃうくらいに飲ませてぇ♪ おまんこもっ♪ おまんこだってあなたのおちんちんを受け入れる準備はいつだって出来てるよっ♪ えっちでオナニーが好きなあたしだから、きっとあなたと結ばれたならえっちの事ばかり考えちゃって、いつでも濡れ濡れなのっ♪ いーっぱい中に出して♪ お尻も……っ♪ あたしでもここでオナニーした事はないけれど、あなたが望むなら、お尻でイッちゃうくらいに調教して欲しいっ♪ やぁぁああんっ♪

 「愛する王子様にえっちな調教ぉ♪ 王子様好みの、王子様専用のオンナにされちゃうのねっ♪  あ、あっ、あんっ、あっ、あぁぁあんっ♪」

 毎日毎日えっち三昧で、あなたの精液がないと生きられないくらいの変態中毒者になりたいっ♪
 こんなわがままでえっちで淫乱メロウのあたしをあなた色に染められたい♪ オナニーする必要がないくらいにいっぱいされたいのぉっ♪

 「王子様っ、おうじさまぁ♪ んぁあっ♪ 早く、会いたいよぉ♪ 早く会って、あぁんっ、このあたしのえっちなところ見て♪ あなたとのえっちな生活を妄想しながらぁ、んくぅっ♪ おまんこをぐちょぐちょに濡らして、オナニーっ♪ あっ、あぁあんっ♪ してるあたしをっ♪」

 そして、出来るなら……♪
 あなたのお嫁さんになりたいの……♪

 「〜〜〜〜〜〜〜ぁぁあああんっ♪♪♪ ぞくぞくきたぁ♪ 強いぞくぞく来ちゃったぁぁあっ♪ ごめんね王子様っ♪ あたし、あたしもうだめ♪ 我慢できないっ♪ イッていい? あぁ、ああっ♪ イッていいですかっ♪ いつもえっちな事ばっかり考えてて濡れ濡れのおまんこ、もうイきたいって言ってるのぉ♪ おまんこの中の気持ちイイところっ♪ 処女なのに敏感なおまんこでっ♪ あなたのザーメンを中に出される妄想で♪ イッていいですかっ♪ イッちゃいますっ♪ もう止められないのぉ♪ あ、あっ、クる、クるぅ♪ あ、あっ、あっあっあっ♪ ああぁああんっ♪ ごめんなさい王子様ぁ♪ あたしイクっ♪ 妄想オナニーであたし、あたしっ♪ イクっ♪」

 ――――――王子様ぁっ♪ だいすきぃぃぃっ♪♪♪

 「ふぁあああぁぁああぁぁぁあああっ♪ あぁぁああぁああっ♪♪♪」

 あ、あ……♪
 もう何も考えられない…………♪

 「王子様、やっぱりあたし、あなたに会いたい…………♪」

 強い絶頂で、頭の中が真っ白になりながらあたしは呟いた。
 避けるように過ごしてきたけど、やっぱりだめ。あの場所に居た人の事を考えれば考えるほど、会いたくて仕方がなくなる。見ず知らずの、顔も名前も知らない誰かを。実際に会ってお話してみたい。
 どんな性格で、どんな声で喋るのか。本人が気づいていない癖だってあるかもしれない。そして、どんな顔で笑うのだろう。空想の中での王子様はやっぱり空想でしかなくて、いつもあたしの身体を触るのはあたしだけ。
 まだお互いの事を知らないからおかしいかもしれないけれど、あたしはあなたにならこの身体に触れて欲しいなって思う。あたしも、あなたの身体に触れてみたい。あなたの体温を感じてみたい。
 ……王子様はあたしの事、どう思っているのかな。



 欠けた月が小さなビーチを照らす。
 白い砂浜に波が押し寄せては引いていく音だけが支配する。
 海を眺めても先には何もなく、暗い海がただ広がって水平線が見えて、ゆらゆらと揺れる欠けた月が海面に写っている。
 静かだった。
 数日振りにあたしはお気に入りのビーチにやってきていた。
 家に居ても想いを抑えきれるはずもなく、あたしの心に身を任せたら、ここに居た。
 夜空の月と星が綺麗で、それを眺めていたら苦しくなるほどの想いが和らいで、じんわりとそれがあたしの身体中に染み渡った。
 きっと、あたしは王子様に恋しているんだ。

 「…………顔も知らないのに」

 自分で言って笑ってしまう。
 だって、見ず知らずの知らない男の人だもの。それなのにあたしはその人に恋をしている。
 それは、あたしがまだ世間知らずの生娘であって、空想、妄想の産物に憧れて錯覚しただけに過ぎないのかもしれないけれど、でも。

 「あたしだって、メロウだもの」

 恋に恋したって、いいじゃない。
 その恋した人がちょっとエッチな人でも全然構わない。だってあたしだってエッチな事が多少…………結構、好きだし。
 それにちょっとはプラスな事だってある。
 それは見ず知らずの彼があたしに少しは魅力を感じてくれていたかもしれないから。だって、魅力もない女相手に発情しちゃう事はないだろうし。
 だから、そこに賭けてみたいなって。
 …………あたしの事をオカズにしてくれたのも悪い気分じゃ、ないし。だってあたし、魔物でメロウだもの♪

 「会ってお話がしてみたいなぁ……」

 そう、まずはそれから。
 お互いに出会いはエッチな始まりだったけれど、それもありだと思うの。
 魔物は愛する人と触れ合う事が大好きだもの。エッチから始まる恋だってあるわ。
 けれど、実際に会ってお話出来るのはいつの日だろうか。

 「あたしだけの、王子様」
 「おうじサマ?」
 「え?」

 あたししか居なかった筈のビーチに、違う女の子の声が聞こえた。
 見ると、水面に月明かりに照らされ綺麗に透き通ったシースライムちゃんが居た。
 そのシースライムちゃんが首をかしげながらあたしを見ていた。
 ……独り言を聞かれて、ちょっと恥ずかしくなった。

 「おうじサマ、ッテなに?」
 「え、えっとね……」

 水面をゆらゆらと漂っていたシースライムちゃんは、海から上がってもう一度聞いてきた。
 こ、答えにくい。けど真っ直ぐにあたしを見つめるシースライムちゃんの顔を見たら答えないのも悪い気がした。

 「あたしの事を好きでいてくれて、ずっと傍に居てくれる男の人の事、かな」

 物心ついた頃からあたしは『あたしだけの王子様』が欲しかった。
 あたし、メロウやマーメイドはやっぱりそういったロマンティックな事に憧れているから。
 けれどシースライムちゃんのような純粋な子に説明するのは、なんだか気恥ずかしい。

 「オトコのヒト?」
 「そう。男の人」
 「オトコのヒトとけっこん、スルの?」
 「…………そうなるといいわね」

 純粋だけれど、やっぱり彼女も魔物だ。結婚だとか、そういった事は知っているみたい。
 ……結婚、か。
 もちろん望むなら王子様と結婚して一生一緒に過ごしたい。愛する王子様と一緒に暮らせるなんて、それはきっととてもしあわせな事だろうから。
 シースライムちゃんはあたしの前に座って、質問を続けた。

 「オネエサンのおうじサマはどんなヒトなの?」
 「…………わからないわ」
 「? わからナイ?」
 「まだ、お話した事がないの」
 「オネエサンは、コイビトボシュウチュウ?」
 「うーん、それとはちょっと違うの」
 「??」

 不思議そうに首を傾げるシースライムちゃん。なんだかこの子が可愛く見えてきた。

 「王子様かもしれない人を知ってるけれど、まだ会った事がないの」
 「……あったコトがナイ?」
 「そう」
 「よく、わかんナイ」
 「…………だね」

 でもここで正直にあたしがオナニーしていた所を見られたからだって言うのは、恥ずかしい。かなり恥ずかしい。
 首をかしげたままのシースライムちゃんは何かわかったのか、にこ、と笑った。

 「じゃあ、オネエサンはここでオウジサマをまってるノ?」
 「うん。この場所がきっかけだったから、ここで待つしかないの。でも今日はもう来ないかもしれないわ」
 「…………ハヤクあえるとイイネ」
 「そうね。ありがとう」

 シースライムちゃんの頭をなでなでしてあげると、気持ちよさそうに目を細めた。ぷにっとしてて程よい弾力があって、独特の感触だった。

 「んにゃ、ソレきもちいい」
 「シースライムちゃんの肌も気持ちいいわよ」
 「ホント?」
 「えぇ。いつか貴女にも好きな人が出来たら、抱きしめてあげるといいわ」
 「ダキシメル?」
 「優しく、ぎゅーってしてあげるのよ。全身が貴女に包まれて気持ちいいでしょうね」
 「ソッカ、じゃあスキなヒトができたらぎゅースル!」
 「うふふ。貴女も早く会えるといいわね」
 「ウン!」

 そう言ってシースライムちゃんはあたしを先にぎゅーってしてくれた。少しひんやりして、水よりも弾力があって、包み込んでくるような安らぎを感じる。
 この子の未来の王子様がこれをずっと感じられると思うとちょっと羨ましいかも。
 それに心は純粋で素直で、明るい。
 きっとこの子なら素敵なオウジサマに出会えるだろう。
 …………あたしも、きっといつかは。
 この帽子をあなたに渡せる日がきっと来る。


 
 シースライムちゃんと別れてから、あたしはそのままビーチに居た。
 夜が更けても動かずに、ただ海をじっと眺めたままで。
 家に戻ってまたお昼頃に来ようか考えたけれど、その間に王子様がやって来たら…………と思うとそこから動けずにいた。
 それに、この辺の地域はあたしたち魔物に対して友好的だと聞いている。あたし達マーメイド系の魔物の血は寿命を伸ばす事が出来て、人間達はそれを狙うらしいけれどその危険もない。何せ治めているのが魔物らしい。でもあたしは海に住んでいるからどんな魔物なのかはわからない。サキュバスが治めているだとか、ドラゴンが治めているだとか。噂話に過ぎないけれど。
 まぁ、安全な場所に住むのが一番よね。それに魔物に対して友好的なのもあたしにとっては嬉しい事。魔物であるあたし達を怖がらず、襲ってこない。――――まぁ、大体の魔物は逆に襲って無理矢理夫にしちゃうけど。でも言葉だけで終わらずに全身を使って愛するなんて、素敵だと思う。
 だからちょっと乱暴でもいいと思う。あたしはひ弱だからそんな事はしないし出来ないけれど。それに襲ってしまうのは魔物としての本能だし、そこに愛が生まれるならいいと思う。
 あたし達マーメイドやメロウの魔物はみんなロマンティックな恋に憧れているから、襲ったりしないけれど、出会う為の手段は沢山ある。
 …………あたしの場合、手段じゃなくって事故だったのだけれど。

 「でも、それでもいいわ。王子様にならあたしの身体なんていくらでも、いつでも見て欲しいから」

 それにいつまでも綺麗でいたい。王子様の為に綺麗でいるって、素敵でしょう?
 恋はオンナを綺麗にするって言うもの♪

 「コイバナを聞いたりするのもいいけど、実際に恋をするとなると違うわね」

 だって、王子様と会ってお話するのを想像したらドキドキしてくるんだもの。
 ちょっと胸の奥が苦しくて、でもそれがなんだか愛しくて。あたしは恋をしているんだって気持ちになれる。
 それでちょっと興奮して一人でシちゃうのはあたしが魔物だからって事で許してね、王子様♪

 「…………ちょっと、眠くなってきたかも」

 そのままあたしは、日光で段々と星が見えなくなっていく空を見ながら仰向けになった。
 少しずつ暖かくなっていくのも眠気を誘う要因になって、我慢していた眠気が一気に襲ってくる。
 なんだか、今のあたしはビーチに打ち上げられたみたいだわ。でもここは滅多に人は現れないから大丈夫…………な、はず。それに親魔物国家らしいから、いいよね…………。
 一度眠気を認識したらそれに抗えずに意識がどんどんと沈んでいく。
 王子様、起きる時はあなたのキスで起きたいな…………。
11/12/20 00:30更新 / みやび
戻る 次へ

■作者メッセージ
前編投稿から一ヶ月が過ぎて、これはいかんと急遽中編に致しました。
後編は……ゆっくりお待ちくださいませ……。きっと年内には完結させます。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33