連載小説
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グッと来た
俺たちは召喚魔方陣の真ん中に敷かれた畳のうえに向かい合って座った。
なかなかシュールだw

「俺って何で召喚されたの? バフォメットって強い人間を伴侶にするんじゃ無かったっけ?」

「うむ、普通はそうなのじゃが、わしは魔物差別や戦争が嫌いでの。
あちこち異世界を遠見の魔法で見て魔物差別や戦争の無い世界を探したんじゃ。
まったく差別も戦争もしておらん世界は見つからなんだけど、兄上の世界はここしばらくは大きな戦争もしとらんし、魔物がおらんので魔物差別も無い。その中でも法で戦争を禁じている国にいたのが兄上なのじゃ。 兄上の家の近くにはワーキャットみたいな絵がデカデカと飾られた街もあったのじゃから魔物も受け入れてくれるに違いないと思っての。」
アキバの事だろうか・・・?

「そちらの学校の授業を見て歴史の勉強もしたのじゃ。」
学費踏み倒しかw

「何人か候補はおったんじゃが、やはり兄上が1番なのじゃ。さっきのあの優しさにわしは惚れ惚れしたのじゃ。 武術の心得もあるし、一時的にじゃが世界一にもなっておった様じゃしの。」


それにしても、オレは強いと表現出来るほどの腕前でも無いと思うんだけど・・・一時的に世界一ってどうゆう事だろ?

あ、もしかして召喚された瞬間にやってたゲーム
ちょうど1試合終わってランキング出てたけど、確かあれ俺がトップだったよなぁ・・・
まさかアレの事か!?(; ̄ェ ̄)

「兄上、どうしたんじゃ?そんな微妙な顔して」

「い、いやなんでも無いよ。優しくて強いだなんて初めて言われたからビックリしたんだ」
これは本当。
そんなに強くは無いから言われる訳無いし。

ゲームでの瞬間的な成績の事なのかを確かめるのが恐いからやめておこう。


「次の質問、俺は・・・元いた所には帰れるの?」

俺には家族がいる。
妻や恋人がいる訳ではないけど、両親と妹、そして俺の四人家族。
俺は何よりも家族を大切にしているつもりだ。
母が経営している蕎麦屋を俺が手伝っているので、いきなり俺が行方不明になると家族を失うだけで無く労働力も失うので非常に困るはずだ。

そのことをルーに言うと

「心配には及ばぬのじゃ!
兄上を召喚したことでゲートは開通しておる。
あとは通行料となる魔力をそそげば場所は兄上の世界に限定されるが時間も地域もある程度自由に移動出来るのじゃ。」
なんというご都合主義だw

てっきり俺が帰りたいと言ったらまた泣いちゃうかと思ったが
さすがバフォメット、歪みねぇぜ。


「まぁ、ゲートを通るのに必要な魔力の総量はたいした事はないんじゃが、さっきの魔女たち20人が19時間ずっと微量ずつ流し込む必要があるんじゃ。
臨時ボーナスと特別休暇2日を対価にやってもろうたが、もう一回は嫌がるじゃろうなぁ」


・・・歪みねぇぜ(−_−;)



さっきルーと向かい合ったときに気がついたんだけど

「俺、激ヤセしてねぇ?
召喚された直後は記憶にある通りの体型だったと思ったんだけど?」

向かい合って座った瞬間に
あれ?座るときに腹が邪魔じゃない?
続いて顔を触ると、顎の裏のタプタプとされた事もある贅肉が感じられないし。



「あ〜・・・そ、それはのう・・・何と言ったら良いのか・・・」
なにやらルーの態度が急に煮えきらないものになった

チラッとルーが部屋の入り口をみると、先ほどルーの年齢を暴露した魔女がまた覗き込んでいた。

「バフォ様ぁ、私が説明しましょうか〜?」
「う、うむ。頼むのじゃ。」

は〜い、と言いながら出て来た魔女は
楕円の縁なし眼鏡をかけた委員長っぽい娘だった。

委員長風ロリメガネっこ!アニメや漫画以外では初めて見たかも!

「はじめましてぇ。ルーサバトの副代表を務めております、キルケ・ノームと申しますぅ。
先ほど〜、ナオユキ様の顎にバフォ様が角で体当たりをしてぇ、時間差で気を失われたのは覚えておいでですか〜?」
ボクシングによくあるあれか。
座ってたから気がつかなかったけど、足にもきてたのかもしれない。

「チガウ!あれは抱擁じゃ!ちょっと角はぶつかったかもしれんが・・・」
魔王軍幹部に就任する事の多いバフォメット種の物理攻撃はちょっとじゃすまないとおもうんだがなぁ。

続けて、と先を促すとキルケは帽子の中から何かのリストをとりだした。

「ナオユキ様が気を失ったのを見て〜、バフォ様は酷く取乱しちゃいましてぇ。
回復魔法だけで15種、ポーションが23種、気功は3流派、鍼灸は2時間全身コース、金額にしてサバトの活動予算二ヶ月分に相当する資材がナオユキ様の身体に処方されましたぁ。 しかも組み合わせ無茶苦茶で・・・」
用法容量を正しく守って、では無いらしい。
キルケの持ってるリストは俺に投与されたモノの一覧か、よくあの量投与されて生きてたな俺。

「ついでに間違えて人間の女性を魔女に変える秘術も行われてしまいましてぇ」
男である俺には効果はないと思うが
パル◯ンテを数回かけられたのと大差ない気がしてきた(−_−;)


「何がどう作用したのかは不明なんですが、十代後半の身体に若返っちゃいましたぁ」




しばらく頭の中が真っ白になって唖然としてしまった
客観的に見たらさぞかじ間抜けヅラだったろうなぁ


「・・・は?(゚д゚lll)」

ルーは部屋の隅で小さくなっている

「若返った?まぢ?」
「はい、まぢで」



よぉっしゃぁああああああ!!!!
おもわずガッツポーズをとった

「あ、兄上。怒っておらぬのか?」
部屋の隅にいたルーは不安そうな顔のままこっちを見ていた。

「だって十代後半っていったら俺の身体の全盛期だよ!? この体重(90kg)になってからずっと戻りたかったコンディションなんだよ!!デスクワーク時代に付いた脂肪を落とそうと思って運動しても痩せるどころから筋肉になって体重が増えるし、かといって運動しないとあっという間にブヨブヨになるし。ファンタジー的ご都合主義万歳!!」
溜まっていたものを一気に吐き出すよう、努力無しに痩せた事を叫んで喜んだ。

対価として若干ルーに引かれたのでヘコんだ。


「ま、まぁ喜んでくれて何よりじゃ。さすがワシじゃ、狙い通りの処方であったわ。」
「(思いっきり事故だったんですけどねぇ〜)」
「これ!言うで無い!」

実際、十代後半の頃の俺は、柔道では黒帯になれたし、バイトの肉体労働で腹筋が六つに割れ始めた頃だ。
体重も30kgも軽かった。


「じゃぁ最後に

俺で・・・本当に良かったの・・・?」



何時の間にかに横にすり寄って来ていたルーは、俺をじっと上げ見ながら

「兄上・・・」


「ん?なに?」




「大好き・・・♪」
極上の笑顔で言った。



は、初めて女の子に好きだって言われたぁ!!

心臓がズキーン!と痛んで、どんどん顔が熱くなっていくのがわかる。





ヤバイ、グッと来た。





俺はロリコンじゃ無いけど







惚れた(//∇//)
11/01/10 15:25更新 / ミニたん
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■作者メッセージ
俺の気持ちは固まりました。
あとは伝えるだけ。

完成してるのはココまで。
続きはしばらくお待ちくださいね。

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