読切小説
[TOP]
魔女裁判

 世の中は理不尽で満ちている。

 無理が横行しすぎて道理など出る幕もない。



 冤罪。



 理不尽の極みの一つと言っていいだろう。

 何の罪もない人間を処罰する。

 歴史を紐解けば、そんな裁判記録がいくらでも出てくる。

 だが、ほとんど記録されない冤罪裁判もあった。



 魔女裁判。



 被告は罪ありきで裁かれた。

 裁判という名をつけた私刑。



 これは、そんな魔女裁判で奇跡的に記録の残っていた一つである。





 木槌が台を二回叩く音が法廷に響いた。

「これより裁判を始めます。セイ粛に」

 一段高いところに座っている黒のガウン、法服を着た幼い少女が、凛々しくも宣言した。

 少女のみに許された伝説の髪型、ツインテールに黒髪を結び、くりっと大きな瞳はキラキラとまぶしく、ややぷっくりとした頬はすべすべで、注意している口はちっちゃくて愛らしい。世界中探してもこれほど可愛い裁判長は他にいないだろう。

 そのかわいい裁判長の声に、ぺちゃくちゃとおしゃべりしていた傍聴人席の魔女やファミリアの少女たちが静かになった。

 その様子に満足して、凛々し可愛い裁判長の魔女はエンジェルスマイルを輝かせた。

 裁判長の前には書記官役と速記官役のファミリアが二人、お絵かき帳にクレパスを持って構えていた。

 そして、その前のスペースでは、左右の壁際に陣取った二人の魔女が向き合って対峙していた。

 裁判長から見て右側が検察側となり、そこには眼鏡をかけて、明るい灰色のおかっぱ頭をした真面目そうな魔女が自信満々で席についていた。

 そして、左側は弁護側。ピンク色の髪を三つ編みにした少し気の弱そうな、だが優しそうな魔女が不安を一生懸命隠して座っていた。

 それらの魔女やファミリアたちの中心、被告人席には二十代半ばの野暮ったい、ちょっと太り気味な青年がスーツ姿で、刑務官役のファミリアに伴われ呆然と立っていた。

「いったい、俺は……」

 青年が呟きを漏らすと裁判長の木槌が激しく鳴らされた。

「被告人は求められるとき以外、発言を控えるように」

 勝ち誇ったような顔をして命令した。彼女は木槌の魔力にとりつかれたようだ。青年はとりあえず黙るしかなかった。

「では、裁判を始めます。被告人、権俵平蔵。二十六歳。職業、海山商事勤務の会社員。住所は――日本のどっか。以上間違いないですね?」

「間違いありませんけど、いったい、これは?」

 すこぶる適当な人定質問がされて答えはしたが、質問を返した。

「何回同じことを言わせればいいんですか?」

 裁判長に木槌を構えて睨みつけられ、青年は「すいません」と謝って沈黙した。

 青年は通勤しようと家を出たところを幼女に声をかけられ、話を聞こうとしゃがみこんだところを後ろから何者かに殴られ、気がついたらここにいた。まったくもって、意味がわからなかった。

「では、検察官。起訴状を朗読してください」

 眼鏡の魔女が立ち上がった。

「被告人は、ロリコンであるにもかかわらず、その事実を隠蔽し、幼い少女のお兄ちゃんとならなかった。罪状、ロリコン隠匿罪およびお兄ちゃん未就罪」

 被告人の平蔵は反論しようとしたが、裁判長が木槌を振り上げているのを見て言葉を飲み込んだ。

「被告人は終始チン黙できます。個々の質問にチン述を拒めます。チン述することもできます。被告人がチン述したことは証拠になります」

 裁判長がそう告げると弁護士の三つ編みの魔女が手を挙げた。

「弁護側は、検察の起訴状をヒニンします。権俵平蔵さんは、ロリコンではありません」

「被告人もですか?」

 裁判長に訊かれて、しゃべっていいのか迷ったが、平蔵は口を開いた。

「はい。俺、ロリコンじゃないです」

 その言葉に傍聴人席がざわついた。

「静粛に!」

 木槌が鳴り響いた。裁判長は木槌を打てて、ちょっと満足そうに鼻を膨らませていた。

「検察は冒頭チン述してください」

「被告人の権俵平蔵は、小中高と共学の学校に通学し、高校卒業後、都会の文系大学に進学しています。
 大学在学中は、ファミレスという女子高生、女子大生の大勢いる職場で長期的にバイトをしており、バイトリーダーにもなった経験があります。
 大学卒業後、海山商事に就職。社内および関連企業には事務職の女性が大勢います。
 ここまで女性との出会いのチャンスがたくさんあったにもかかわらず、二十六歳にして童貞です。しかも、恋人いない歴も年齢と一致します。それどころか、被告白回数はもちろん、告白回数が0です。
 さらに、これまで風俗店に行くこともなく過ごしています。
 加えて被告人の秘蜜の本棚にはロリコン雑誌が二冊あり、購入から二年三か月、三年五か月を経過しても処分されていません。また、レンタルされたAVは貧乳ものが38本あり、内11本は妹物でした。
 このことより、被告人がロリコンであることは疑いなく、ロリコン隠匿罪にあたります。そして、同時にお兄ちゃん未就罪でもあると告訴いたしました」

 長台詞をかむことなくしゃべりきってほっとする眼鏡の魔女をよそに、被告人は精神的ダメージで崩れ落ちていた。

「弁護側、意見はありますか?」

「はい。あります」

 三つ編みの魔女が立ち上がった。

「権俵平蔵さんは恋人がいなかっただけで、何人かの同級生や同僚女性を片想いすることを続けていました。
 用も無いのに相手の家の近所をうろつき、偶然の出会いを演出しようとしたり、放課後に片想い相手の席の椅子に頬ずりしたり、下駄箱の上履きの匂いを嗅いだり、飲み終えて捨てた紙パックジュースを収集したりと、強い恋心を抱いていました。
 しかし、奥ゆかしく行動力のない権俵平蔵さんは告白することができず、告白しなかっただけです。そうしている間に片想いの相手が彼氏を作ったり、結婚したりして、受動的失恋を繰り返しています。
 また、風俗店には怖いイメージがあり、危険を回避する高い能力を持っているため利用しなかったことと、風俗店で童貞を捨てることへの自尊心の抵抗がありました。二十歳を過ぎて童貞というものに自分なりに価値を見出して、希少価値とブランド力を生み出そうとしたのです。これは貧乳はステータスという価値観を生み出したと同じパイオニア精神です」

「では、秘蜜の本棚とレンタルAVに関することは認めるのですか?」

「ロリコン雑誌は確かに所有していますが、秘蜜の本棚に占める割合は2%と低く、定期購入をしていません。長期にわたり処分されなかったのは、ノリと勢いで買ったはいいものの廃品回収で目撃されることを恐れてのことです。ここにも危機回避能力の高さが現れています。
 さらにこれら雑誌の使用頻度も月に2回程度で、月平均150回オナニーするだけでなく、その手法が多彩なオナニーマエストロの権俵平蔵さんにとっては、数あるオカズのうちの一つでしかありません。
 レンタルAVは巨乳ものも45本。近親相姦でも姉や伯母ものが7本。これとは別に熟女もの5本。若妻ものに至っては68本と多いです。このことから、守備範囲が広いマルチプレイヤーであるだけで、ロリコンと断じるものではないと証拠として認めません」

 三つ編みの魔女による反論で被告人は再起不能に落ち込んでいた。

「これより、弁護側から被告人チツ問をします」

 三つ編みの魔女は崩れ落ちている被告人を立たせた。そして、彼が着ているスーツを脱がせた。

「な、なにを!」

 抵抗したが、見事な手際であっという間に全裸にされた。

「見てください! これだけの幼女に囲まれていながら、ちじこまったおちんちんを! もし彼がロリコンなら、想像の中で私はもちろん、裁判長、検察官、傍聴人席の半分ぐらいを犯して、勃起しているはずです。射精して小さくなっていない証拠として、今はいていたパンツを提出します」

「証拠を認めます」

 三つ編みの魔女は裁判長に脱がしたパンツを裁判長のところに持って行った。裁判長はそのパンツを顔に当てて、匂いを吸い込んだ。

「射精はしていないわね」

 三つ編みの魔女は検察の眼鏡の魔女にもパンツを渡した。

「確かに射精はしていないわ」

「このように、権俵平蔵さんはロリコンじゃないという特殊な性癖なのです。ロリコンを隠匿していた事実はありません。ゆえに、お兄ちゃん未就罪でもありません」

 三つ編みの魔女が断言すると、傍聴人席から「かわいそうに」「変態だわ」「ロリコンじゃないなんて、頭がおかしいのね」「ちっちゃい子に興奮しないなんて人として終わってる」「ロリコンにあらずばお兄ちゃんにあらず」「無実としても矯正施設に入れないと不安だわ」などなどざわめきが起こった。

「静粛に!」

 裁判長が楽しそうに木槌を打ち鳴らした。

「裁判長。しかし、これは状況証拠でしかありません」

 眼鏡の魔女が三つ編みの魔女に異議を唱えた。

「はい。ですから、これから、このおちんちんをシコシコしてあげます。それで射精しなければロリコンじゃないことになります。それを証拠として提出します」

 三つ編みの魔女は法服を脱いで裸になった。

 ぷっくりと膨らみかけのオッパイの上に盛り上がった乳輪と乳首があらわになった。少しお腹が膨らんだような寸胴のシルエットでありながら、ほんのりと丸みを帯び始めたお尻が女になりかける色香を漂わせていた。
 毛が生えたことのない、すべすべとした股間に魅惑的な縦筋がちょっと覗いている。大勢の前で裸になることに恥ずかしがって、太ももを内に締め付けて内股で立つ姿は、幼いながらも女を感じさせた。

「権俵平蔵さん。我慢してください。有罪になったら二度と太陽を拝めませんから」

 小声で注意されて意味は分からなかったが、彼はうなずいた。

「それでは、シコシコします」

 小さい手で両手ではさみこ上下にこすり始めた。たどたどしい手つきだが、やわらかい少女の手でそれをされていると思うと、彼のものは反応し、固くなり始めた。

「大きくなってきているじゃない。有罪よ!」

 検察側の眼鏡の魔女が勝ち誇ったように指摘した。

「男の人のは、木の股にだってこすり付ければ反応するんですー。そんなのも知らないなんて、処女じゃないんですかー?」

 三つ編みの魔女が馬鹿にしたように言い返した。先ほどまでのおどおどしたところがなくなっていたのは、彼女がエッチのときに脱ぐと性格が変わるからであった。

「しょ、処女じゃないもん!」

 眼鏡の魔女が涙目になって反論した。

「じゃあ、被告人チツ問してみたら? 私がしても、手加減しているからだって言いそうだもん」

 三つ編みの魔女が彼の股間の前から退いた。

「それとも、処女だからおちんちんの扱いは上手じゃない?」

「わ、わかったわよ! おちんちんの扱いぐらい、慣れたものよ。日に三本、朝昼晩って扱ってるわ」

 三つ編みの魔女の挑発に乗って言い返した眼鏡の魔女は法服を脱いで裸になった。

 三つ編みの魔女よりもつるぺたな、ふくらみのないスレンダーな体型だが、乳輪と乳首だけはぷっくりとふくれているのが、それはそれでエロスであった。肉付きが少ないので少年ぽくもあったが、膝をぴったりとつけても太もものところに少しばかり空間ができるのは、少女のみにできる秘密の三角形であった。

「な、なによ。貧相とか思ってるんじゃないわよね?」

 眼鏡の魔女は胸と股間を手で隠しながら被告人を睨みつけた。

「権俵平蔵さん。チャンスですよ。多分、あの娘、処女です。人間の処女をイかせるのは難しいですけど、魔女の処女は簡単にイっちゃいます。彼女をイかせて、権俵平蔵さんがいかなければ、ロリコンでないという、かなり重要な証拠になります。イっちゃだめですよ」

 三つ編みの魔女が被告人に耳打ちした。彼はわけもわからず、とりあえず頷いた。

「何をこそこそ話してるのよ」

 眼鏡の魔女がその打ち合わせを見て、自分の職務を思い出して注意した。

「べーつーにー。それより、そんなところで突っ立ってないで、早く被告人チツ問してくださーい」

「わかったわよ! 言われなくたって……これが男の人の……」

 眼鏡の魔女は被告人の股間に顔を近づけて、興味深々にガン見した。見られているということにくわえ、少女の荒い吐息がかかり、勃起率が上昇した。

「えーと、たしか……」

 眼鏡の魔女は両手で竿をやさしく包んで、鈴口を小さな舌で舐めた。その途端、竿が痙攣して、当たりを知らせた。

「な、なにっ?」

 眼鏡の魔女がその反応にちょっと涙目になった。その初々しさが、被告人の萌え回路を刺激して、勃起率をさらに上昇させた。

「くっ……処女ゆえの初々しいカマトト。女性に神聖を求める童貞には威力抜群ね。検察はそれを見越して、彼女を送り込んできたのね。恐ろしい組織」

 三つ編みの魔女が指を咥えて歯噛みした。ところが、眼鏡の魔女は魔女でいっぱいいっぱいだった。

「ま、毎日、ねぶりの果実で練習してるから、大丈夫。週に一回ぐらいしか暴発させないし」

 眼鏡の魔女は自分に言い聞かせるようにぶつぶつとつぶやいていた。

 ねぶりの果実は、バナナのような形をしていて、外の皮を剥いて、中の実をしゃぶると甘い汁がにじみ出てくる魔界特産の果物である。しゃぶるときに歯を立てたり、強すぎる刺激を与えると、中の汁が一気に飛び出し暴発する特徴があった。魔界では子供のおやつとして定番の果物である。

 小さな口に頬張って、ちょっと涙を滲ませながら一生懸命にねぶった。その刺激はたどたどしくも刺激的で、視覚的な効果もあり、被告人の射精ゲージを着実に上げていた。

「我慢です。我慢ですよ、権俵平蔵さん」

 三つ編みの魔女が自分の戦略ミスを被告人の我慢という戦術でカバーしようと応援した。

 しかし、このまま続けられれば、被告人の自白濁液は時間の問題だった。と思えた瞬間、眼鏡の魔女がくわえるのをやめた。

「おっきくて、あごが……いたい……」

 眼鏡の魔女が頬を押さえながら涙目になっていた。三つ編みの魔女は小さくガッツポーズした。

「権俵平蔵さんが、長さはないけど太い人で助かった。これが細くて長かったらアウトだった」

 三つ編みの魔女はほっとちっぱいをなでおろした。

「でも、こんなことで射精しないぐらいでは証拠として不十分よ」

 眼鏡の魔女は被告人を押し倒し、仰向けに寝かせると、その上にまたがった。そして、咥えていただけでエッチな汁まみれになっているつるつるすべすべの縦筋を裏スジに合体させた。

「あれはロリ騎乗位スマタ!」

 説明しよう! ロリ騎乗位スマタとは、性交が難しそうな体格差のときに男性側がジェントルマン精神を発揮して、擬似性交として行う正常位スマタの逆バージョンである。
 このロリ騎乗位スマタは、幼女の入れたいけど、入れるのが怖いという、好奇心と不安を滲ませつつも、積極的なエッチを望む心情が形になったプレイである。そんな色々なものが絡み合って思考が破綻しているところが、子供っぽさを演出して、なおかつ、純粋に男女共に気持ちいい。
 こんなテクニックまで使うとは、検察のエリート恐るべし!

 三つ編みの魔女は親指の爪をかんだ。ママに叱られるのもかまわずに。しかし、指を咥えていない。そう。見ているだけではない。

「異議あり! チツ問なのに、膣を使用しないのは反則です!」

「異議を認めます。検察は正常なチツ問を行ってください」

 裁判長が三つ編みの魔女の意義を認めた。

「くっ……私、初めてなのに……」

 眼鏡の魔女がスマタをしながら険しい顔をした。

「あー、やっぱり、処女だったんだー。嘘つきー」

「ち、ちがうもん! できるもん!」

 眼鏡の魔女は三つ編みの魔女の挑発に乗り、被告人に乗ることになった。

 スマタで十分に濡れてしまったタテスジを何度となく噴火を直前に控えている活火山の火口へとあてがった。

「ひひゃぁ」

 その熱さに声を漏らした。

 口に入れただけでもあごが外れそうなものを初めてのところに入れられるのか、しかも、こんな熱いものを。

 眼鏡の魔女は逡巡した。

「このまま焦らされると不利」

 そう判断した三つ編みの魔女は、眼鏡の魔女の肩に手を置いた。

「手伝ってあげるね♥」

 そのまま一気に肩を押し下げた。

「あがぁ!」

 愛らしさのかけらも無い悲鳴と共に、幼いタテスジは太くて短い肉棒を飲み込んでいった。処女膜が破れて、破瓜の血が股間から被告人の下腹部に流れた。

「処女だったんだねー。ごめんねー」

「しょ、処女じゃないし。これは、太かったから、裂けただけだし」

 強がりを言った彼女はしびれるような痛みが下腹部に広がったが、それがいつしかしびれるような何か別の感覚に変わりつつあった。みっちりと自分の中を押し広げる強烈な異物感が妙に愛らしくも愛おしくも狂おしくもあった。

「はぁっ……あんっ♥」

 少し動いた拍子に電流が走り、身体が痙攣した。それがスイッチになったのか、よくわからない感覚が快感の前兆であることに気付いた。誰に教えられるまでもなく知っている。魔物の本能が教えてくれた。

「あっ♥ あっああ♥」

 そこから我を忘れるように腰を振り出した。血と愛液が混じったものが、いやらしい音を立て始め、傍聴人席の魔女たちも何人かがたまらずに、自分の股間に手を添え、割れ目に指を沿わせていた。

「こし、こしが、とまらないのぉー」

 眼鏡が少しずれているのも直すことなく、自分の理性の言うことなどまったく聞かなくなった腰に驚きつつも、眼鏡の魔女は快楽の虜になっていた。

 被告人もその攻撃的な腰使いと、ロリマンコの締め付け、何よりも浅いがゆえに膣の奥の子宮口に先端が何度も何度もディープキスする魅惑の快感に昇天しそうになっていた。

「頑張って。出しちゃ駄目だからね」

 三つ編みの魔女が意識をそらせようと、被告人の乳首をつねった。しかし、それは彼にとってはご褒美だった。

「あっぐぅっ!」

 危うく射精しかけるのを何とか踏みとどまった。後日、彼はこう語っていた。

「非貫通型一桁ロリマンコ仕様のオナホールと乳首への洗濯ばさみ責めを同時に体験していたからこそ我慢できた。間一髪だった」

「やんっ! やだぁ、きちゃう! きちゃうよぉ♥」

 眼鏡の魔女は自分の快楽に忠実に、自分が気持ちよくなるように腰を振り続けたのである。快感が大きいのは自業自得であった。

「あはぁあああぁっ♥」

 眼鏡の魔女は被告人の下腹部へ敗北のシオ旗を放出して、彼の上に騎乗位土下座した。

「勝った」

 眼鏡の魔女がいったときの収縮にも耐え切った被告人は親指を立てて三つ編みの魔女に笑顔を見せた。

「裁判長! このように、幼女との行為にも先に果てずにいたことから、被告人はロリコンではないという証拠とします」

 三つ編みの魔女が声高らかに勝利宣言をした。眼鏡の魔女は気を失ったままのため、刑務官のファミリアによって被告人から引き離され、検察側の席に移動させられていた。

「確かに。それでは――」

「待ってください!」

 木槌を振り上げた裁判長に待ったをかけた。

「検察官。何かまだあるのか?」

 気絶から目を覚ました眼鏡の魔女が、いまだに体中に残る快感の余波と戦いながら異議を唱えた。

「確かに、射精はしていません。しかし、私をイかすほど硬さを保ったままでした。つまり、中折れしなかったのです」

「でも、射精しなかったじゃない!」

 三つ編みの魔女が眼鏡の魔女に食って掛かった。

「弁護人はセイ粛に。今は検察官が喋っている最中です」

 久々に木槌をたたけて満足そうな裁判長は、眼鏡の魔女に続けるように促した。

「確かに射精はしなかった。でも、私は処女でした。処女の魔女は、童貞の早漏よりも早いことはよく知られています」

「処女じゃないと言ったくせに。裁判長! 検察官は虚偽の申告をしました。よって、今より示そうとする証拠に証拠能力がないことを要求します!」

 三つ編みの魔女はチェックメイト寸前で見落としていたルートにキングが逃げられそうだと焦りをあらわにした。

「裁判長。確かに、その点は嘘をつきました。でも、この証拠に処女かどうかは重要ではありません。むしろ、魔女は相手が童貞であれば、より感じてしまうものです。処女はそれをセイ御できないから、そう言われているだけです」

「検察の意見を採用する。弁護人の異議を却下する」

 裁判長の言葉に三つ編みの魔女は涙目になった。

「ロリコンはその性癖により、ある一定の年齢、それなりの大人になるまでは性交することがありません。性交可能な大人になっても、サバトに入信しなければ、幼女と密接に関係を持つことは難しく、風俗ではロリコンはご法度です。
 ゆえに、ロリコンは性交できないまま年齢を重ねる傾向にあります。年齢によって高くなったプライドを傷つけず、自分に自信を持ったお兄ちゃんになってもらうため、魔女は童貞に感じやすいのです。私が先にイったのは、被告人が童貞だったからです」

 快感から立ち直った眼鏡の魔女がいつもの調子を取り戻した。

「だけど、それがロリコンなことにはならないじゃない」

「そうかしら? 被告人のオチンチンをご覧ください。そこには何が付着していますか?」

 三つ編みの魔女の反論に眼鏡の魔女はやっとずれていた眼鏡を人差し指で直した。

「ナニって、あなたの血と愛液と被告人の我慢汁ぐらいで……っ!」

 三つ編みの魔女がそこまで言って、しまったと顔をしかめた。

「そう! 我慢汁。つまり、射精を我慢していたんです。私が、もし、処女でない経験豊富な魔女であれば、被告人はロリマンコの中に射精していたことは想像に難くありません。これをもって証拠とします。必要であれば、サンプルを採取して、我慢汁が含まれていたことを科学的鑑定を行います」

 逆転したとばかりに眼鏡の魔女が高らかに言い放った。

「科学的鑑定など不要です。我慢汁が含まれていることは認めます。で、でも、射精させたかはあくまで推測の域を出ません」

 三つ編みの魔女が苦しい反論を試みた。

「確かに証拠としては決定を欠く。ここは裁判長自らが、その証拠の鑑定を行います」

「ちょ……!」

 裁判長が立ち上がると、三つ編みの魔女だけでなく、眼鏡の魔女も驚きの声を上げた。

「先ほどから、木槌の柄でぐりぐりしてたからもう準備オッケーだし、私は処女じゃないから、検証もできる。まさに適任♥」

 法服を脱ぎ去り、被告人のところへと降りてきた。

 ちゃんとしたオッパイを思わせるふくらみをして、二人よりかは少しお姉さんな身体が楽しそうに弾んでいる。

「そ、それなら、私だって処女じゃないし、弁護人として検証することもできるわよ」

 三つ編みの魔女が両手を広げて通せんぼして妨害した。

「弁護人だと手心を加える可能性がある。私だって、さっきので処女じゃなくなった。なら、権利がある」

 眼鏡の魔女もそれに加勢した。というか、二人の邪魔をした。

「あんたはさっきしたでしょ!」

 裁判長がそれに文句を言って、頬を膨らませた。

「射精させてないからした内に入りません」

 舌を突き出して眼鏡の魔女が反論した。

「ナニよ? その独自ルール!」

 三つ編みの魔女がツッコミを入れる。

 三者三様、三人の裸の幼女が言い争いをつづけ、書記と速記係のファミリアは画用紙にお絵かきをしていた。カオスな状況を傍聴人席の傍聴人たちも固唾を飲んで見守っていた。

「こうなったら、誰がいいか、被告人に選んでもらおうよ!」

「いいわよ。どうせ私だろうけど。弁護士だし、被告人とは強い絆で結ばれてるもん」

「大した自信ね。でも、こっちには始めて同士の絆があるもの」

 ついに選択を被告人に任せることになった。

「じゃあ、ということで、選んで!」

 いきなり三人の裸の幼女にセクシーポーズで迫られて、被告人は困惑した。

「早く選んでよ。私でしょ?」

「いいえ、私です」

「二人にはっきり言ってやりなさいよ、私だって」

 三人はセクシーポーズどころか、M字開脚でトロトロになったロリマンを指でくぱぁしていた。

「え、えーと……ですね」

「なに?」

 被告人が何か言いかけるのを三人が注目した。

「検察官の始めて同士でキツキツのも捨てがたい」

 眼鏡の魔女がガッツポーズした。

「でも、弁護士さんのぷくぷくした柔らかボディも魅力的だ」

 三つ編みの魔女が勝利のブイサインをした。

「裁判長のちょっと小生意気ボディも食指が動く」

 裁判長が拳を突き上げた。

「ついでに言えば、速記係のファミリアちゃんの手も気になってしょうがないし、刑務官のファミリアちゃんの尻尾で巻きつかれてしごかれるのも想像するとヤバイんですけど、選ばないと駄目ですか?」

 被告人の言葉が終わり、三人はお互いに見合わせた。

「……裁判長。論告求刑していいですか?」

 眼鏡の魔女が冷たい声で裁判長に申し出た。

「……いいわよ。やっちゃいなさい」

「被告人は、ロリコン隠匿罪ではなく、変態チン列罪に当たると論告します。使い魔にして変態を矯正する刑を求刑します」

 びしっと被告人を指さした。

「弁護人。弁論は?」

 裁判長が三つ編みの魔女に訊いた。

「論告は妥当としますが、求刑は重過ぎます。お兄ちゃんにして変態を矯正する刑が妥当と思われます」

 三つ編みの魔女も冷たい声で弁論を述べた。

「ちょ!」

 被告人は刑がどのようなものかは想像できなかったが、明らかに味方が居なくなったのを感じて焦った。

「被告人。最終意見チン述として、そのオチンチンで意志を示すように」

 裁判長は再び、ロリマンコをくぱぁさせた。

「ここで頑張れば、痴情酌量の余地ありと減刑もあるから、頑張って」

 三つ編みの魔女が笑顔でくぱぁした。

「さあ、私を納得させてみろ」

 眼鏡の魔女もいやらしい顔でくぱぁした。

 この後の裁判記録は、書記係と速記係のファミリアも最終意見チン述に乱入したため、記録されていない。

 ただ、判ケツだけは記載されていた。





判ケツ。
被告人、権俵平蔵。
被告人を変態チン列罪とし、お兄ちゃんにして変態を矯正する刑三人とする。





 ちなみに、サバト人物列伝によると、権俵平蔵は三人の兄として、精力的に活動し、多種多様なオナニー技術からヒントを得た特殊なプレイを開発した。しかし、一向に変態を矯正できず、刑期をまっとうすることはなかったと記載されている。

 なお、この裁判に関わった裁判長、検察官、弁護士はその判決が出た日に法曹界を妹引退したが、誰の妹になったかは裁判に関係がないため記録にはない。







 魔女裁判――

 サバトの魔女が気に入った男性を逮捕監禁して、無ロリコンの性癖をロリコンに仕立て上げ、お兄ちゃんにしてしまう極悪非道な裁判である。

 なお、上告すれば、裁判長がバフォメットになるとの噂があるが、これまで、魔女裁判の上告が棄却されなかったことはない。





 世の中は理不尽で満ちている。

 無理が横行しすぎて道理など出る幕もない。

 あなたも、道で見知らぬ幼女に声をかけられたら、気をつけなければいけません。



「すいませーん、ちょっといいですか?」

「ん? 何かなー――っ!」
17/01/15 18:02更新 / 南文堂

■作者メッセージ
誰もが思いつくけど書かないシリーズ第二段。
最初は本物の魔女裁判っぽく書こうとも思ったのですが、「バフォメット様を見て勃起したからロリコン」とかで瞬殺されて終わるので、現代の裁判のように書きました。
できるだけ裁判らしく、そして馬鹿馬鹿しく書きましたが、笑っていただければ幸いです。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33