恋する女の子は狼である
この集落のどこからでも、その丘を見ることができる。
向こう側をさえぎる小高い丘は、集落の人間にとっては、外の世界からここを隔絶する壁のように思えた。
狼の丘と呼ばれるそこに関して、この集落の子供は二つの話を聞かされる。
一つ目は大人から。狼の丘は危険だから、絶対に近づいてはいけない。あそこには名前の通り、狼が現れる。
二つ目は……
「アマラ、この問題が分かるかい？」
アマラは隣の席の同級生に突付かれるまで、自分がリュカ先生に話しかけられていることに気付かなかった。
クラスメートたちの笑い声で、ようやく意識が覚醒する。
「えっ？あ！あっと……」
慌てて席から立ち上がり、板に書かれた問題を凝視する。
『羊が７頭ずつ１列に並んで歩いており、それが３列ありました。羊は全部で何頭でしょう？』
――７頭が３列だから、ななさんが……
首をひねって答えを導き出そうとするが、自分がまだ九九の七の段を覚えていないのに気付き、思考を停止させてしまった。
「ふぅ、しょうがないな。放課後、先生と一緒に九九の勉強だな」
リュカがそういうと、『座っていいぞ』と彼女を着席させた。
アマラは顔を赤く染めつつ、彼の言葉に従った。うつむく彼女の瞳、そこには決意の光が灯っていた。
「先生」
放課後、質素な木造校舎が橙色に染め上げられる頃。職員室でリュカとの九九の復習を終えたアマラは、意を決して彼に声をかけた。
「何だい？」
いつも通りの優しげな、兄を思わせる口調で、彼が答える。
「あの……この後、一緒に来て欲しいところがあるんです！」
うつむいていた顔を上げ、彼女はいつもとは違う強い口調で言った。彼女はどちらかというと物静かな性格で、あまりはっきりと物を言わない少女である。
だが、これは彼がすでに予想していたことであった。彼の心中に浮かんだのは驚きではなく『ついに来たか』という言葉であった。
この集落では、何年も前から男の子が生まれなくなっている。そのせいで、この学校に通っている生徒も、女子のみとなってしまっていた。思春期の女子は、身近にいる年上の男に夢を見る傾向がある。教師はその最たるものだ。
リュカは、日に日に熱っぽくなってくる生徒たちの視線を感じ取っていた。そして、最近特に強い視線を送っていたのが、今目の前にいるアマラなのである。
――彼女たちが『恋』と思っているのは、年上に対する『憧れ』を勘違いしているにすぎない。だから、大人として、きっちりとそれらを区別しないといけない。
リュカはそう考えていた。だから、彼は彼女の誘いを受けて、そこでしっかりと説明しないといけないと考えた。
「分かった」
「ちょっと出かけてくる」
というアマラの言葉に両親は困惑の表情を浮かべたが、彼女の後ろからリュカが姿を現すと、すぐに安堵のものへと変わった。彼は集落の子供たちを一手に引き受けており、大人たちからの信頼が厚い。
「アマラさんは僕がしっかりと見ておきますので」
そう言って、二人は彼女の家を後にした。
背筋を伸ばし手にはバスケットを持ち、意気揚々と黄昏を進むアマラ。彼は彼女が何処へ行くのかを知らないので、ついて行くしかない。
北へ北へと大通りを進む。公園を抜け、市場を抜け、戻ってきた学校も通り越し、更に進む。
やがて、視界の下半分を、黒緑が覆った。建物がなくなり、木がなくなり、ただ芝生のみが空の宵闇と色を二分している。
彼女は、申し訳程度の杭と縄を潜り抜け、更に奥へと歩いていってしまった。
「待て、アマラ！そっちは」
そっちは……狼の丘。
――ねえ、知ってる？
――何を？
――好きな人と両想いになれる方法。
――知らない。
――知りたい？
――……うん。
アマラは、ある日狼の丘の前で会った見知らぬ少女から教えられたことを、心の中で反芻した。
――好きな人と二人きりで狼の丘を登る。
――手にはバスケット。中には羊毛でできたものとマッチを入れる。
「アマラ！」
リュカの声が背中から浴びせられるが、彼女は答えずに歩みを止めず進む。
かつてこの丘が使われていた頃、通り道にしていたであろう硬い土の露出した部分を選び、一歩一歩確かめるように、しかし急いで歩く。やがて坂を登りきり、平坦な場所にたどり着いた。
視界が開け、下界が見える。彼女にとっては、生まれて初めて見る光景。それと同時に漂ってくる甘ったるい香り。
彼女の視線の先には、巨大な街が広がっていた。堅牢な石の壁に囲まれた、城塞都市。
橙と桃色の明かりがそこかしこに灯り、祭りのような雰囲気を擁している。
中央に位置する一際目立つ城。その姿はまるで陽炎のように滲み、揺らめいていた。
アマラたち集落で生まれ育った子供には、その存在すら教えられなかった教団信者の汚点、魔界国家レスカティエ。
「アマラ……はぁ、はぁ……やっと追いついた……」
初めて見るレスカティエに見とれている間に、息を切らせたリュカがようやく丘のてっぺんまで登りきった。
「はぁ、まったく……いつもお父さんやお母さんに言われているだろ？ここに来てはダメだって」
今の彼女に、彼の言葉は届いていなかった。北の彼方から漂う淫気に中てられ、彼女の頭の中には、言われた作業を行うことしか残っていなかった。
――てっぺんに着いたら、そこで羊毛を燃やす。そのとき、呪文を唱えなければならない。
「プリメーラ様プリメーラ様。どうか私に愛の矢を。恋の魔法を」
次の瞬間、彼女の正面から風が駆け寄ってきた。
きゅんと締め付けられるような、甘酸っぱい胸の苦しみを覚え、床にうつぶせに倒れこんでいた雌狼は目を覚ました。
顔を上げる。頬と床が離れるとき、膠のように張り付いていた精液がにちゃりと音を立てはがれる。
彼女は、何故自分が眠っていたかを思い返す。
――あいつといつも通りにヤって、いつも通り気持ちよすぎて気絶して。
頭の上に乗っている二つの耳がぴくりと動く。寝起きでうすぼんやりとしていた五感が、元の鋭さを取り戻していく。
愛する夫と、彼女と同じくらい彼を愛する妻たちの、終わることのない嬌声が聞こえる。
鼻がひくつく。精液と愛液の混じった、嗅いでいるだけで絶頂しそうなほどの濃厚な性臭がする。
体を起こす。空気の流れが、粘液でべとついた肌に冷たさを伝える。
ぺろりと舌で唇を舐める。気絶する前に味わった、夫の精液の味がよみがえる。
縦に切り裂かれたような瞳孔が、一気に縮まる。彼女たちがいる、レスカティエ城の王座の間、その石壁の更に向こう、遠く彼方に、赤く燃える炎が見える。
炎の側に、近い将来結ばれることが確定している男女の姿が見える。
初めての恋に身を焦がされ、一世一代の賭けに出た少女の、人生を賭した証が見える。
狼は短く何かを唱え、何もない空間から一対の弓矢を取り出した。
矢を弓につがえ、大きく腕を伸ばす。ギリギリと音を立て、矢の先が炎を指す。
「恋せよ女の子」
彼女の口から思わず歌が漏れる。彼女は嬉しくて仕方がなかった。自らの手で、悩める少女を素直にできること。自分の後押しで、最後の一歩を踏み出させてあげられること。
彼女は、素直になれずに悩む気持ちがよく分かっていた。かつての自分を思い出し、胸が締め付けられる思いがするのだ。
「決め手は男の子」
歌を口ずさみながら、混血の黒狼プリメーラは、弦と矢をつなぐ指を離した。
「危ない！」
アマラが燃やした羊毛から出る炎が赤から紫を帯び、リュカの体の正面に突風が吹きつけたとき、嫌な予感がした彼は思わず彼女に覆いかぶさった。
直後に彼の背中に走る衝撃。一点のみを強く叩かれる感覚を受けた。そしてそれが、真っ直ぐ正面へと貫いていく。しかし、痛みを感じなかった。
彼は、ぎゅっと閉じた目をゆっくりと開いた。突然彼に覆いかぶされ、目を見開き驚いている教え子の顔。視線を落とす。衝撃を受けた右胸から、何か黒くて長いものが生えているのが見えた。
――これは……矢？
彼は、自分の背中から受けた衝撃は、この矢によるものだと理解した。黒く禍々しく、とても遠くまで飛びそうにないくらいいびつな形だったが、彼にはどう見ても矢だと思った。
そして、次の瞬間に、嫌な考えが頭に浮かぶ。
――今、俺は彼女と向かい合い、そして右胸から突き出ているということは……！
矢の先に視線を移す。鏃が、彼女の心臓の位置を貫いていた。
「おい！アマラ！大丈夫か！アマラ！」
彼は必死になって肩を掴みゆすった。しかし、彼女の表情は普段通りである。痛みを感じているわけでもないようだ。
「んっ、せんせぇ……」
彼女が言った。いつもより、ねっとりとしていると彼は感じた。
すると、二人をつないでいた矢が、形を変化させた。熱したバターのようにどろりと溶け、それが鏃へ、彼女の心臓へと、ずぶずぶと吸収されていく。
「ん、ふぅっ」
そのたびに、彼女は年齢に似合わない艶っぽい声を上げた。
「大丈夫……か？アマラ……」
突然の出来事に、彼は呼びかけることしかできない。
「わふぅぅ」
アマラの様子がおかしい。彼女の頬は赤く染まり、日が落ちて涼しい風が吹いているにも関わらず、皮膚は汗が浮かんできらめく。更に、彼女の髪の毛がざわざわと逆立ってきた。
「お、おい、アマラ……」
もう一度呼びかけると、彼女の顔が彼の首筋に近づいてきた。
「かぷっ」
甘噛み。彼女は大きく口を開け、彼の首に軽く歯を当てた。
「えっ」
予想外の刺激。思わず彼の体から力が抜けてしまった。重力に従って、彼女の元へと近づき。
「ちゅぅ」
すかさず彼女が彼の唇を、自らの唇でふさいだ。
「んっ！んぅっ！」
――ちょっ……アマラっ……！
強引なキスに、彼は文句を言いたかったが、その口がふさがれていて叶わない。彼女の唇から逃れたかったが、後頭部が彼女の腕に抱き寄せられて叶わない。
大人の男をがっちりと固定し、身じろぎすら許さない彼女の腕力は、異常であった。とても年齢二桁直前の少女が持ちうる力ではない。
リュカは、自らの後頭部に接する彼女の腕が、ざわざわとうごめいているのを感じた。
――何だこれは……これは、毛？
そう、彼女の肘から先の部分、そこからカイワレのように灰色の毛が生え始めていた。そして、それと共に彼女の体の様々な部分が変化を遂げる。
手の先から鋭い爪が生え、彼の頭に触れるたび、冷たい感触を与える。頭の上から、髪の毛を押し分けるように二つの犬耳が生えてくる。腰からはふさふさの尻尾が生え、彼とキスしている喜びにぱたぱたと左右に揺れている。そして、これは彼からは見えないが、太ももから下の部分も、腕と同じ毛に覆われてしまった。
彼の視界に最も強い印象を与える彼女の目。それがにぃと笑みを浮かべるように細くなり、瞳が満月のようにキラリと光った。
――犬、いや、狼……？
彼には、彼女が狼になってしまったかのように思えた。
「あむちゅっ、れるぅ、ぬるぅ」
彼女は彼の下唇を自分の唇で食み、固く閉じたそこをこじ開けるように舌を差し入れた。
「んっ！」
リュカは驚き、思わず口を開いてしまった。
「んふぅ」
嬉しそうにアマラは笑い、舌を更に奥へと割り入れる。すぐに、彼の舌を発見した。彼女は舌先で突付き、彼のものがぴくりと震えると、上手に舌で絡め取って手前へと吸い寄せた。
「あむっ！ちゅっ、ちゅぅっ、ちゅぅぅっ！」
吸い付きと舌の蠕動運動によって、彼の舌を口外へと招くと、唇で包み込み、何度も何度も奥へ手前へとピストンさせた。
「んっ！ぐっ！」
――舌が、フェラチオされて……
彼が考える通り、それはもはやキスではなかった。舌を相手にした擬似的なフェラ。それほどの暴力的な快楽が、彼の全身を駆け巡った。抵抗しようとすると、魔物化によって尖った歯が、舌の弱い部分をこしこしと掻き、彼の力を失わせる。
――まずい……これ、気持ちよすぎ……
彼は、キスだけで限界に近づきつつあった。何しろ、魔物娘の性技を受けるのは初めてである。人間のものとは段違いであるそれを受け、抵抗ができようはずがなかった。
――うわっ、キス、だけで……
「うぅっ」
彼はうめき声を上げると、腰を何度もぶるぶると震わせた。股間に不快な湿り気を感じる。彼は、キスだけで射精をしてしまった。
「んふっ、んーんっ。ちゅぽっ」
アマラが嬉しそうに笑い、唇を離す。彼女は性に関する勉強をしていなかったので、彼が正確には何をしたのかは分からなかった。しかし、本能で彼が自分に屈服したということは理解した。
ツンと彼女の鼻につく、濃厚な精の香り。彼女は、それを嗅いだだけで股間がきゅんと切なくうずくのを感じた。
「はぁ……はぁーっ」
酸欠と欲情で、彼女の呼吸が荒くなる。
「あーっ、わぅーっ、わぅぅっ」
呼吸が、徐々に犬の鳴き声のように変化した。
「はっはっ、はっはっ。せんせぇ、おまたがぁ、うずくぅ……」
抱きしめていた腕を解放し、両足を広げる。リュカは彼女の拘束から逃れることができたが、その場から動くことができない。
彼は、彼女の姿から目を離せないでいた。
「おなかのなかぁ、たりないのぉ……」
彼女の両手が、下腹部へと動く。そしてスカートを何の抵抗もないかのように、軽々と破いてしまった。同時に下着も破れ、彼女の一番大事な部分が外気に、彼の視線にさらされる。
「ここぉ、ここぉ……たりないのぉ。さむいのぉ……」
彼女は両方の人差し指で、その部分、ぷっくりと膨らんだ股間の土手を押し広げた。にちゃっ……と粘っこい音があふれる。
――ごくり……
彼の喉が鳴る。
――俺は、教え子に……それも年端も行かない少女に欲情するような男だったのか。
彼は自分が彼女に興奮しているという事実に愕然とした。彼の陰茎は痛いほどに勃起し、先ほど漏らしたばかりの精液と下着に触れ、にちりと音を鳴らした。
「せんせぇ、せんせぇ……すきなのぉ、だいすきぃなのぉ……さむいよぉ、あっためてぇ……わふぅ、わぅーっ」
大好きな先生に一番恥ずかしい穴の中を覗かれたまま、彼女は腰をかくかくと上下に動かした。足りない、寒い部分を、早く目の前の男に埋めてほしい、暖めてほしい。何をどうすればいいのかさっぱり分からない幼い少女の、精一杯のおねだりだった。
何とか理性で性欲を押さえ込むリュカ。しかし、拘束が解かれているにも関わらず、その場から離れようとしない時点で結果は決まっているようなものだった。
「……くっ」
ついに理性が崩れ去った彼は、急いでズボンを脱ぎ捨てた。
「はぁーっ、はぁーっ！」
性欲に支配され、すっかり獣のような呼吸になった状態で、下着も脱ぐ。慌てていたため片足から抜けなくなってしまったが、そんなことも構わず、足首に残ったままで彼は彼女の腰をがっしりと押さえ込んだ。
「わぅっ」
驚きと嬉しさで、アマラは小さく声を上げる。
「入れるぞ」
本能に侵され、ぎらついた目を彼女に向け、彼は言った。彼女は、わうわうと言いながら、何度もうなずく。
にちりっ。硬くそそり立った肉棒が、未発達の女陰を割り開く。きつく貼り付くような肉壁であったが、極度の性的興奮による大量の愛液によって、彼女のそこは驚くほど滑らかにペニスを受け入れた。
――ぶちぶち。
途中、何かが小さく弾けるような感触があった。興奮で熱せられた彼の思考が、少しだけ晴れる。
――これは、まさか……
しかし、理解したところで体は止まらない。彼女が処女の華を散らすのを、彼は他人事のように思っていた。
「わうぅぅっ！」
彼の根元がぱつんと彼女の薄い尻に当たった瞬間、彼女は大きく鳴いた。
「痛いのか？」
きゅっきゅっと締めてくる膣肉に身を震わせながら、彼が問う。
「えぇ？いたいってぇ、なぁにぃ？……せんせぇ、あうぅ、ふわふわぁ、するぅ……これきもちいぃ、あったまるの、きもちいぃぃ……」
そう言って、彼女はまた一声鳴いた。
「大丈夫なのか。じゃあ、動く、ぞっ」
言い終わらないうちに、奥まで挿入されたペニスを、彼は抜いて挿した。
抜いて挿し、抜いて挿し。そのたびに、アマラが子犬のような鳴き声を発する。
「わんっ、わんっ。なにぃ、なにこれぇ……はうぅ、せんせいのぱちゅぱちゅ、ぞくぞくするぅ！」
「セックスだっ！」
リュカは彼女に顔を寄せ、切羽詰った状態で言う。
「しぇっくすぅ？」
「ぐっ、そうだっ……いま、先生としているのは、くっ、『セックス』って言うんだ」
職業柄、こんなときにも学校と同じように物事を教えてしまう。
「せっくすぅ、わうぅ、しぇっくしゅぅぅぅ……きもちいいぃよぉ、おまたぱちゅぱちゅいぃぃ……」
「それからっ……」
更に顔を下ろし、彼女の耳元に口を寄せる。
「ふっ、くっ、今、はぁっ、アマラにはいっているのは、先生の『ちんちん』だっ、それからっ、ちんちんが入っているところはぁっ、『まんこ』って、言うんだっ」
ぱつぱつと腰の動きを続けつつ、二人の青空学級は続く。
「ちんちん……まんこ……」
彼女が声に出して反芻した瞬間、彼女の膣肉がきゅっと縮こまった。
「ぐぅっ、アマラっ、急に、締め付けがっ！」
二つの性器の言葉を聞いた瞬間、魔物娘の本能が、それらの単語がとても淫らで大切なものだと気付いたのだ。
「せんせぇのかたぁくてふとぉくてぷりぷりこりこりのちんちんがぁ……わたしのまんこにぱちゅぱちゅわぅわぅぅ……！」
彼女の両腕が彼の首に回る。
「ぐちゅぐちゅまぅまぅぅ、しぇっくしゅぅ、だいしゅきぃ！」
感極まり、彼女の腕が締まる。二人の体がより密着する。二人の鼻先が触れ合い、唇が触れ合う。
「しぇんしぇぇのぉ、ちんちんぅ、あったかぁいぃ！きもちぃぃ！だいすきぃ！すきぃ！しゅきぃ！」
「ああっ！先生も、アマラのことぉ、好きだぞ！気持ちいいぞ！愛してる！」
「わおぉぉん！」
歓喜の一声。互いに好きだということを理解し合い、彼女の心に幸せが満ち溢れる。
もう一度口付け。今度はどちらともなく舌を絡ませ合い、唾液が絡み合った。
「れるっ、ちゅぽっ、ちんちんぷくぷくしてきたぁ！」
「ああっ、先生、出すからな！アマラの中に、ぐっうぅっ、精液、出すからな！」
「せいえきぃ？」
新しい言葉。彼女の学んでいない言葉だ。
「そうだっ、ふっうっ！まんこの中に出して、赤ちゃんを作るためのものだ！アマラはいけない子だなぁ！こんなことっ、ぐぅぅ、結婚しないとしちゃだめなんだぞ！セックスは！赤ちゃんを作るためのものなんだぞっ！子供には、まだっ」
「わたしぃ、こどもじゃないもんっ、せんせぇのおよめさんだもん！」
だから！彼女は叫んだ。
「せんせぇにせぇえき、まんこのなかに、たくさん、だしてもらうもんっ！」
そう言い切ると、彼女の両足が、彼の腰に強く回った。
「はぁっ、はぁっ！」
「わんっ！わうぅーっ！」
二人の頭の中には、もう外に出すという選択肢はなかった。ただ『中に出す』『中に出してもらう』それしかなかった。
「ぐぅっ、出るっ！」
「わんっ！わんっ！あおぉぉぉんっ！」
ぐちゅりと一際大きな音を立てペニスが最奥に突き立てられたとき、尿道を駆け上がった大量の精液が、処女膣を通り抜け子宮へと注がれた。
「せぇえきぃ、あったかぁいぃ……わうぅ……」
足りないものが満たされ、アマラは至福の表情を浮かべた。
「あっ、はぁっ、はぁぁ……」
対するリュカは、彼女の魔物膣に分身を揉み解され、今までの人生の中で一番の快楽を味わっていた。とても他人には見せられない、緩んだ表情を見せている。
「先生、可愛い……」
ゆるゆるの顔をしている彼を見て思わずそうつぶやいた彼女は、彼のだらしなく開いた口に、自分の唇を重ねた。
■レスカティエ南 臨時監視塔からの報告
*月○日。レスカティエ南方、同国亡命者らによって作られた集落が、狼型の魔物に制圧された模様。集落の全ての女が魔物化、および全ての男が堕落。当監視塔を即日解体、防壁の建設を開始。以後、国民にレスカティエ南方平原の侵入を禁じるよう通達されたし。
集落の南、とある国の学校に一ヶ月前、一人の教師と一人の女子児童が転校してきた。二人は親子で、戦火から逃れるためにこの国に来たと言った。住民や同級生は、ここなら安全だ。北方は大変な状態らしいが、この国までは被害が及んでいない。何より高く堅牢な城壁に囲まれ、防御は安全であるから。と、二人を心から歓迎した。
そして、彼らがこの国に来ると同時に、子供たちの間である噂が広がった。
「ねえ、知ってる？好きな人と両想いになれる方法」
「何それ？知りたい」
「北の教会にね、好きな人と二人きりで行くの、それから……」
向こう側をさえぎる小高い丘は、集落の人間にとっては、外の世界からここを隔絶する壁のように思えた。
狼の丘と呼ばれるそこに関して、この集落の子供は二つの話を聞かされる。
一つ目は大人から。狼の丘は危険だから、絶対に近づいてはいけない。あそこには名前の通り、狼が現れる。
二つ目は……
「アマラ、この問題が分かるかい？」
アマラは隣の席の同級生に突付かれるまで、自分がリュカ先生に話しかけられていることに気付かなかった。
クラスメートたちの笑い声で、ようやく意識が覚醒する。
「えっ？あ！あっと……」
慌てて席から立ち上がり、板に書かれた問題を凝視する。
『羊が７頭ずつ１列に並んで歩いており、それが３列ありました。羊は全部で何頭でしょう？』
――７頭が３列だから、ななさんが……
首をひねって答えを導き出そうとするが、自分がまだ九九の七の段を覚えていないのに気付き、思考を停止させてしまった。
「ふぅ、しょうがないな。放課後、先生と一緒に九九の勉強だな」
リュカがそういうと、『座っていいぞ』と彼女を着席させた。
アマラは顔を赤く染めつつ、彼の言葉に従った。うつむく彼女の瞳、そこには決意の光が灯っていた。
「先生」
放課後、質素な木造校舎が橙色に染め上げられる頃。職員室でリュカとの九九の復習を終えたアマラは、意を決して彼に声をかけた。
「何だい？」
いつも通りの優しげな、兄を思わせる口調で、彼が答える。
「あの……この後、一緒に来て欲しいところがあるんです！」
うつむいていた顔を上げ、彼女はいつもとは違う強い口調で言った。彼女はどちらかというと物静かな性格で、あまりはっきりと物を言わない少女である。
だが、これは彼がすでに予想していたことであった。彼の心中に浮かんだのは驚きではなく『ついに来たか』という言葉であった。
この集落では、何年も前から男の子が生まれなくなっている。そのせいで、この学校に通っている生徒も、女子のみとなってしまっていた。思春期の女子は、身近にいる年上の男に夢を見る傾向がある。教師はその最たるものだ。
リュカは、日に日に熱っぽくなってくる生徒たちの視線を感じ取っていた。そして、最近特に強い視線を送っていたのが、今目の前にいるアマラなのである。
――彼女たちが『恋』と思っているのは、年上に対する『憧れ』を勘違いしているにすぎない。だから、大人として、きっちりとそれらを区別しないといけない。
リュカはそう考えていた。だから、彼は彼女の誘いを受けて、そこでしっかりと説明しないといけないと考えた。
「分かった」
「ちょっと出かけてくる」
というアマラの言葉に両親は困惑の表情を浮かべたが、彼女の後ろからリュカが姿を現すと、すぐに安堵のものへと変わった。彼は集落の子供たちを一手に引き受けており、大人たちからの信頼が厚い。
「アマラさんは僕がしっかりと見ておきますので」
そう言って、二人は彼女の家を後にした。
背筋を伸ばし手にはバスケットを持ち、意気揚々と黄昏を進むアマラ。彼は彼女が何処へ行くのかを知らないので、ついて行くしかない。
北へ北へと大通りを進む。公園を抜け、市場を抜け、戻ってきた学校も通り越し、更に進む。
やがて、視界の下半分を、黒緑が覆った。建物がなくなり、木がなくなり、ただ芝生のみが空の宵闇と色を二分している。
彼女は、申し訳程度の杭と縄を潜り抜け、更に奥へと歩いていってしまった。
「待て、アマラ！そっちは」
そっちは……狼の丘。
――ねえ、知ってる？
――何を？
――好きな人と両想いになれる方法。
――知らない。
――知りたい？
――……うん。
アマラは、ある日狼の丘の前で会った見知らぬ少女から教えられたことを、心の中で反芻した。
――好きな人と二人きりで狼の丘を登る。
――手にはバスケット。中には羊毛でできたものとマッチを入れる。
「アマラ！」
リュカの声が背中から浴びせられるが、彼女は答えずに歩みを止めず進む。
かつてこの丘が使われていた頃、通り道にしていたであろう硬い土の露出した部分を選び、一歩一歩確かめるように、しかし急いで歩く。やがて坂を登りきり、平坦な場所にたどり着いた。
視界が開け、下界が見える。彼女にとっては、生まれて初めて見る光景。それと同時に漂ってくる甘ったるい香り。
彼女の視線の先には、巨大な街が広がっていた。堅牢な石の壁に囲まれた、城塞都市。
橙と桃色の明かりがそこかしこに灯り、祭りのような雰囲気を擁している。
中央に位置する一際目立つ城。その姿はまるで陽炎のように滲み、揺らめいていた。
アマラたち集落で生まれ育った子供には、その存在すら教えられなかった教団信者の汚点、魔界国家レスカティエ。
「アマラ……はぁ、はぁ……やっと追いついた……」
初めて見るレスカティエに見とれている間に、息を切らせたリュカがようやく丘のてっぺんまで登りきった。
「はぁ、まったく……いつもお父さんやお母さんに言われているだろ？ここに来てはダメだって」
今の彼女に、彼の言葉は届いていなかった。北の彼方から漂う淫気に中てられ、彼女の頭の中には、言われた作業を行うことしか残っていなかった。
――てっぺんに着いたら、そこで羊毛を燃やす。そのとき、呪文を唱えなければならない。
「プリメーラ様プリメーラ様。どうか私に愛の矢を。恋の魔法を」
次の瞬間、彼女の正面から風が駆け寄ってきた。
きゅんと締め付けられるような、甘酸っぱい胸の苦しみを覚え、床にうつぶせに倒れこんでいた雌狼は目を覚ました。
顔を上げる。頬と床が離れるとき、膠のように張り付いていた精液がにちゃりと音を立てはがれる。
彼女は、何故自分が眠っていたかを思い返す。
――あいつといつも通りにヤって、いつも通り気持ちよすぎて気絶して。
頭の上に乗っている二つの耳がぴくりと動く。寝起きでうすぼんやりとしていた五感が、元の鋭さを取り戻していく。
愛する夫と、彼女と同じくらい彼を愛する妻たちの、終わることのない嬌声が聞こえる。
鼻がひくつく。精液と愛液の混じった、嗅いでいるだけで絶頂しそうなほどの濃厚な性臭がする。
体を起こす。空気の流れが、粘液でべとついた肌に冷たさを伝える。
ぺろりと舌で唇を舐める。気絶する前に味わった、夫の精液の味がよみがえる。
縦に切り裂かれたような瞳孔が、一気に縮まる。彼女たちがいる、レスカティエ城の王座の間、その石壁の更に向こう、遠く彼方に、赤く燃える炎が見える。
炎の側に、近い将来結ばれることが確定している男女の姿が見える。
初めての恋に身を焦がされ、一世一代の賭けに出た少女の、人生を賭した証が見える。
狼は短く何かを唱え、何もない空間から一対の弓矢を取り出した。
矢を弓につがえ、大きく腕を伸ばす。ギリギリと音を立て、矢の先が炎を指す。
「恋せよ女の子」
彼女の口から思わず歌が漏れる。彼女は嬉しくて仕方がなかった。自らの手で、悩める少女を素直にできること。自分の後押しで、最後の一歩を踏み出させてあげられること。
彼女は、素直になれずに悩む気持ちがよく分かっていた。かつての自分を思い出し、胸が締め付けられる思いがするのだ。
「決め手は男の子」
歌を口ずさみながら、混血の黒狼プリメーラは、弦と矢をつなぐ指を離した。
「危ない！」
アマラが燃やした羊毛から出る炎が赤から紫を帯び、リュカの体の正面に突風が吹きつけたとき、嫌な予感がした彼は思わず彼女に覆いかぶさった。
直後に彼の背中に走る衝撃。一点のみを強く叩かれる感覚を受けた。そしてそれが、真っ直ぐ正面へと貫いていく。しかし、痛みを感じなかった。
彼は、ぎゅっと閉じた目をゆっくりと開いた。突然彼に覆いかぶされ、目を見開き驚いている教え子の顔。視線を落とす。衝撃を受けた右胸から、何か黒くて長いものが生えているのが見えた。
――これは……矢？
彼は、自分の背中から受けた衝撃は、この矢によるものだと理解した。黒く禍々しく、とても遠くまで飛びそうにないくらいいびつな形だったが、彼にはどう見ても矢だと思った。
そして、次の瞬間に、嫌な考えが頭に浮かぶ。
――今、俺は彼女と向かい合い、そして右胸から突き出ているということは……！
矢の先に視線を移す。鏃が、彼女の心臓の位置を貫いていた。
「おい！アマラ！大丈夫か！アマラ！」
彼は必死になって肩を掴みゆすった。しかし、彼女の表情は普段通りである。痛みを感じているわけでもないようだ。
「んっ、せんせぇ……」
彼女が言った。いつもより、ねっとりとしていると彼は感じた。
すると、二人をつないでいた矢が、形を変化させた。熱したバターのようにどろりと溶け、それが鏃へ、彼女の心臓へと、ずぶずぶと吸収されていく。
「ん、ふぅっ」
そのたびに、彼女は年齢に似合わない艶っぽい声を上げた。
「大丈夫……か？アマラ……」
突然の出来事に、彼は呼びかけることしかできない。
「わふぅぅ」
アマラの様子がおかしい。彼女の頬は赤く染まり、日が落ちて涼しい風が吹いているにも関わらず、皮膚は汗が浮かんできらめく。更に、彼女の髪の毛がざわざわと逆立ってきた。
「お、おい、アマラ……」
もう一度呼びかけると、彼女の顔が彼の首筋に近づいてきた。
「かぷっ」
甘噛み。彼女は大きく口を開け、彼の首に軽く歯を当てた。
「えっ」
予想外の刺激。思わず彼の体から力が抜けてしまった。重力に従って、彼女の元へと近づき。
「ちゅぅ」
すかさず彼女が彼の唇を、自らの唇でふさいだ。
「んっ！んぅっ！」
――ちょっ……アマラっ……！
強引なキスに、彼は文句を言いたかったが、その口がふさがれていて叶わない。彼女の唇から逃れたかったが、後頭部が彼女の腕に抱き寄せられて叶わない。
大人の男をがっちりと固定し、身じろぎすら許さない彼女の腕力は、異常であった。とても年齢二桁直前の少女が持ちうる力ではない。
リュカは、自らの後頭部に接する彼女の腕が、ざわざわとうごめいているのを感じた。
――何だこれは……これは、毛？
そう、彼女の肘から先の部分、そこからカイワレのように灰色の毛が生え始めていた。そして、それと共に彼女の体の様々な部分が変化を遂げる。
手の先から鋭い爪が生え、彼の頭に触れるたび、冷たい感触を与える。頭の上から、髪の毛を押し分けるように二つの犬耳が生えてくる。腰からはふさふさの尻尾が生え、彼とキスしている喜びにぱたぱたと左右に揺れている。そして、これは彼からは見えないが、太ももから下の部分も、腕と同じ毛に覆われてしまった。
彼の視界に最も強い印象を与える彼女の目。それがにぃと笑みを浮かべるように細くなり、瞳が満月のようにキラリと光った。
――犬、いや、狼……？
彼には、彼女が狼になってしまったかのように思えた。
「あむちゅっ、れるぅ、ぬるぅ」
彼女は彼の下唇を自分の唇で食み、固く閉じたそこをこじ開けるように舌を差し入れた。
「んっ！」
リュカは驚き、思わず口を開いてしまった。
「んふぅ」
嬉しそうにアマラは笑い、舌を更に奥へと割り入れる。すぐに、彼の舌を発見した。彼女は舌先で突付き、彼のものがぴくりと震えると、上手に舌で絡め取って手前へと吸い寄せた。
「あむっ！ちゅっ、ちゅぅっ、ちゅぅぅっ！」
吸い付きと舌の蠕動運動によって、彼の舌を口外へと招くと、唇で包み込み、何度も何度も奥へ手前へとピストンさせた。
「んっ！ぐっ！」
――舌が、フェラチオされて……
彼が考える通り、それはもはやキスではなかった。舌を相手にした擬似的なフェラ。それほどの暴力的な快楽が、彼の全身を駆け巡った。抵抗しようとすると、魔物化によって尖った歯が、舌の弱い部分をこしこしと掻き、彼の力を失わせる。
――まずい……これ、気持ちよすぎ……
彼は、キスだけで限界に近づきつつあった。何しろ、魔物娘の性技を受けるのは初めてである。人間のものとは段違いであるそれを受け、抵抗ができようはずがなかった。
――うわっ、キス、だけで……
「うぅっ」
彼はうめき声を上げると、腰を何度もぶるぶると震わせた。股間に不快な湿り気を感じる。彼は、キスだけで射精をしてしまった。
「んふっ、んーんっ。ちゅぽっ」
アマラが嬉しそうに笑い、唇を離す。彼女は性に関する勉強をしていなかったので、彼が正確には何をしたのかは分からなかった。しかし、本能で彼が自分に屈服したということは理解した。
ツンと彼女の鼻につく、濃厚な精の香り。彼女は、それを嗅いだだけで股間がきゅんと切なくうずくのを感じた。
「はぁ……はぁーっ」
酸欠と欲情で、彼女の呼吸が荒くなる。
「あーっ、わぅーっ、わぅぅっ」
呼吸が、徐々に犬の鳴き声のように変化した。
「はっはっ、はっはっ。せんせぇ、おまたがぁ、うずくぅ……」
抱きしめていた腕を解放し、両足を広げる。リュカは彼女の拘束から逃れることができたが、その場から動くことができない。
彼は、彼女の姿から目を離せないでいた。
「おなかのなかぁ、たりないのぉ……」
彼女の両手が、下腹部へと動く。そしてスカートを何の抵抗もないかのように、軽々と破いてしまった。同時に下着も破れ、彼女の一番大事な部分が外気に、彼の視線にさらされる。
「ここぉ、ここぉ……たりないのぉ。さむいのぉ……」
彼女は両方の人差し指で、その部分、ぷっくりと膨らんだ股間の土手を押し広げた。にちゃっ……と粘っこい音があふれる。
――ごくり……
彼の喉が鳴る。
――俺は、教え子に……それも年端も行かない少女に欲情するような男だったのか。
彼は自分が彼女に興奮しているという事実に愕然とした。彼の陰茎は痛いほどに勃起し、先ほど漏らしたばかりの精液と下着に触れ、にちりと音を鳴らした。
「せんせぇ、せんせぇ……すきなのぉ、だいすきぃなのぉ……さむいよぉ、あっためてぇ……わふぅ、わぅーっ」
大好きな先生に一番恥ずかしい穴の中を覗かれたまま、彼女は腰をかくかくと上下に動かした。足りない、寒い部分を、早く目の前の男に埋めてほしい、暖めてほしい。何をどうすればいいのかさっぱり分からない幼い少女の、精一杯のおねだりだった。
何とか理性で性欲を押さえ込むリュカ。しかし、拘束が解かれているにも関わらず、その場から離れようとしない時点で結果は決まっているようなものだった。
「……くっ」
ついに理性が崩れ去った彼は、急いでズボンを脱ぎ捨てた。
「はぁーっ、はぁーっ！」
性欲に支配され、すっかり獣のような呼吸になった状態で、下着も脱ぐ。慌てていたため片足から抜けなくなってしまったが、そんなことも構わず、足首に残ったままで彼は彼女の腰をがっしりと押さえ込んだ。
「わぅっ」
驚きと嬉しさで、アマラは小さく声を上げる。
「入れるぞ」
本能に侵され、ぎらついた目を彼女に向け、彼は言った。彼女は、わうわうと言いながら、何度もうなずく。
にちりっ。硬くそそり立った肉棒が、未発達の女陰を割り開く。きつく貼り付くような肉壁であったが、極度の性的興奮による大量の愛液によって、彼女のそこは驚くほど滑らかにペニスを受け入れた。
――ぶちぶち。
途中、何かが小さく弾けるような感触があった。興奮で熱せられた彼の思考が、少しだけ晴れる。
――これは、まさか……
しかし、理解したところで体は止まらない。彼女が処女の華を散らすのを、彼は他人事のように思っていた。
「わうぅぅっ！」
彼の根元がぱつんと彼女の薄い尻に当たった瞬間、彼女は大きく鳴いた。
「痛いのか？」
きゅっきゅっと締めてくる膣肉に身を震わせながら、彼が問う。
「えぇ？いたいってぇ、なぁにぃ？……せんせぇ、あうぅ、ふわふわぁ、するぅ……これきもちいぃ、あったまるの、きもちいぃぃ……」
そう言って、彼女はまた一声鳴いた。
「大丈夫なのか。じゃあ、動く、ぞっ」
言い終わらないうちに、奥まで挿入されたペニスを、彼は抜いて挿した。
抜いて挿し、抜いて挿し。そのたびに、アマラが子犬のような鳴き声を発する。
「わんっ、わんっ。なにぃ、なにこれぇ……はうぅ、せんせいのぱちゅぱちゅ、ぞくぞくするぅ！」
「セックスだっ！」
リュカは彼女に顔を寄せ、切羽詰った状態で言う。
「しぇっくすぅ？」
「ぐっ、そうだっ……いま、先生としているのは、くっ、『セックス』って言うんだ」
職業柄、こんなときにも学校と同じように物事を教えてしまう。
「せっくすぅ、わうぅ、しぇっくしゅぅぅぅ……きもちいいぃよぉ、おまたぱちゅぱちゅいぃぃ……」
「それからっ……」
更に顔を下ろし、彼女の耳元に口を寄せる。
「ふっ、くっ、今、はぁっ、アマラにはいっているのは、先生の『ちんちん』だっ、それからっ、ちんちんが入っているところはぁっ、『まんこ』って、言うんだっ」
ぱつぱつと腰の動きを続けつつ、二人の青空学級は続く。
「ちんちん……まんこ……」
彼女が声に出して反芻した瞬間、彼女の膣肉がきゅっと縮こまった。
「ぐぅっ、アマラっ、急に、締め付けがっ！」
二つの性器の言葉を聞いた瞬間、魔物娘の本能が、それらの単語がとても淫らで大切なものだと気付いたのだ。
「せんせぇのかたぁくてふとぉくてぷりぷりこりこりのちんちんがぁ……わたしのまんこにぱちゅぱちゅわぅわぅぅ……！」
彼女の両腕が彼の首に回る。
「ぐちゅぐちゅまぅまぅぅ、しぇっくしゅぅ、だいしゅきぃ！」
感極まり、彼女の腕が締まる。二人の体がより密着する。二人の鼻先が触れ合い、唇が触れ合う。
「しぇんしぇぇのぉ、ちんちんぅ、あったかぁいぃ！きもちぃぃ！だいすきぃ！すきぃ！しゅきぃ！」
「ああっ！先生も、アマラのことぉ、好きだぞ！気持ちいいぞ！愛してる！」
「わおぉぉん！」
歓喜の一声。互いに好きだということを理解し合い、彼女の心に幸せが満ち溢れる。
もう一度口付け。今度はどちらともなく舌を絡ませ合い、唾液が絡み合った。
「れるっ、ちゅぽっ、ちんちんぷくぷくしてきたぁ！」
「ああっ、先生、出すからな！アマラの中に、ぐっうぅっ、精液、出すからな！」
「せいえきぃ？」
新しい言葉。彼女の学んでいない言葉だ。
「そうだっ、ふっうっ！まんこの中に出して、赤ちゃんを作るためのものだ！アマラはいけない子だなぁ！こんなことっ、ぐぅぅ、結婚しないとしちゃだめなんだぞ！セックスは！赤ちゃんを作るためのものなんだぞっ！子供には、まだっ」
「わたしぃ、こどもじゃないもんっ、せんせぇのおよめさんだもん！」
だから！彼女は叫んだ。
「せんせぇにせぇえき、まんこのなかに、たくさん、だしてもらうもんっ！」
そう言い切ると、彼女の両足が、彼の腰に強く回った。
「はぁっ、はぁっ！」
「わんっ！わうぅーっ！」
二人の頭の中には、もう外に出すという選択肢はなかった。ただ『中に出す』『中に出してもらう』それしかなかった。
「ぐぅっ、出るっ！」
「わんっ！わんっ！あおぉぉぉんっ！」
ぐちゅりと一際大きな音を立てペニスが最奥に突き立てられたとき、尿道を駆け上がった大量の精液が、処女膣を通り抜け子宮へと注がれた。
「せぇえきぃ、あったかぁいぃ……わうぅ……」
足りないものが満たされ、アマラは至福の表情を浮かべた。
「あっ、はぁっ、はぁぁ……」
対するリュカは、彼女の魔物膣に分身を揉み解され、今までの人生の中で一番の快楽を味わっていた。とても他人には見せられない、緩んだ表情を見せている。
「先生、可愛い……」
ゆるゆるの顔をしている彼を見て思わずそうつぶやいた彼女は、彼のだらしなく開いた口に、自分の唇を重ねた。
■レスカティエ南 臨時監視塔からの報告
*月○日。レスカティエ南方、同国亡命者らによって作られた集落が、狼型の魔物に制圧された模様。集落の全ての女が魔物化、および全ての男が堕落。当監視塔を即日解体、防壁の建設を開始。以後、国民にレスカティエ南方平原の侵入を禁じるよう通達されたし。
集落の南、とある国の学校に一ヶ月前、一人の教師と一人の女子児童が転校してきた。二人は親子で、戦火から逃れるためにこの国に来たと言った。住民や同級生は、ここなら安全だ。北方は大変な状態らしいが、この国までは被害が及んでいない。何より高く堅牢な城壁に囲まれ、防御は安全であるから。と、二人を心から歓迎した。
そして、彼らがこの国に来ると同時に、子供たちの間である噂が広がった。
「ねえ、知ってる？好きな人と両想いになれる方法」
「何それ？知りたい」
「北の教会にね、好きな人と二人きりで行くの、それから……」
11/10/17 22:53更新 / 川村人志