#6:天使の揺り篭・後編
――話は2009年12月24日に遡る。
『……2009年もあと数日でオシマイか……。どうせまた、一人なんだろうなぁ……』
少女は一人リビングでテレビを見ながら、そう思っていた。
彼女は交通事故で両親が死んでから、近所の人達の力を借りながら、一人で生活している。
そして、自分の部屋に戻り眠ろうとしたとき、見たこともないモノが枕元に置かれていた。
『なにこれ……。新しいコンピュータなのかしら……』
開けてみると、左側に液晶画面が有り、右側にキーボードがあった。
その後突然、液晶が光りだし、その眩しさで彼女は目を閉じた。
暫くして目を開くと、4人の天使が姿を表した。
「私たちは、エンジェルクレイドルに登録された天使たちです」
「御命令を、マスター」
「……命令って……。そんなモノはないわ」
「は……?」
少女の言葉に、ポカンとなる天使たち。
「だって、私には魔物娘をどうこうしたいって気持ちは全くないの。
ただ、一緒にいて欲しい。それだけ。命令が必要ならば」
ずっと一人ぽっちで寂しかったから、と付け足して少女は言った。
◇
それから、彼女−保科咲希の生活は変わった。
寂しかった生活は、寂しさを感じないほど騒がしい生活となった。
しかし、天使たちに咲希の命令とは別にプログラムされた命令、魔物を倒せという命令には逆らうことは出来なかった。
咲希が寝静まった頃に、天使たちは外へ出て攻撃を始めていた。
ただ、対象が魔物娘管轄部に変わっただけで、攻撃することにはかわりなかった。
「……再生したがこの姿とはな……」
「仕方ないだろ。あいつらにボコボコにされて、なんとか再生した姿がこれなんだからよ」
あるビルの屋上で、大天使メルキセデクのノルーカスはそう言った。
「そうね……。まあ、最高神には感謝しなきゃね」
「その通り。……あの戦争で唯一生き残ったのが私だけだもの……」
「しかし、俺たちのマスターである咲希は変わってるよな。『一緒にいて欲しい』だなんて……」とノルーカス。
「まあ……。寂しい生活を送っていたって言ってたじゃないか。
ふふ、俺たちがクリスマスプレゼントになっちまったな」
「それもその通りだな、エイクス。……けどよ、これ以上魔物娘管轄部の奴らを攻撃する必要あるか?」
「ないな。そもそも、あいつらと争っても戦闘不能に出来るとも思えん。
……変な邪魔さえはいらなければ……」
「そうだな……。リターニア、ユウキ・シキドウと決着を付けたい。構わないか」
「ええ、構わないわ。ただし、戦える余力を残しなさい。何があっても対処出来るように」
「分かった。ノルーカス、割り込みが入らないように手助けを頼む」
「オッケー。そうしたらフェレナス、お前はアイリ・タカサキの相手を頼む」
「任せて。最近、骨のある相手と戦ったことがないからね、望むところですわ」
「それでは、今日2010/1/6を持って作戦を開始する。行くぜ」
――2010年1月6日。
それぞれの思惑を抱えたまま、その日は過ぎていった。
彼らが、魔物娘管轄部と決着を付ける日はすぐそこまで来ていた。
『……2009年もあと数日でオシマイか……。どうせまた、一人なんだろうなぁ……』
少女は一人リビングでテレビを見ながら、そう思っていた。
彼女は交通事故で両親が死んでから、近所の人達の力を借りながら、一人で生活している。
そして、自分の部屋に戻り眠ろうとしたとき、見たこともないモノが枕元に置かれていた。
『なにこれ……。新しいコンピュータなのかしら……』
開けてみると、左側に液晶画面が有り、右側にキーボードがあった。
その後突然、液晶が光りだし、その眩しさで彼女は目を閉じた。
暫くして目を開くと、4人の天使が姿を表した。
「私たちは、エンジェルクレイドルに登録された天使たちです」
「御命令を、マスター」
「……命令って……。そんなモノはないわ」
「は……?」
少女の言葉に、ポカンとなる天使たち。
「だって、私には魔物娘をどうこうしたいって気持ちは全くないの。
ただ、一緒にいて欲しい。それだけ。命令が必要ならば」
ずっと一人ぽっちで寂しかったから、と付け足して少女は言った。
◇
それから、彼女−保科咲希の生活は変わった。
寂しかった生活は、寂しさを感じないほど騒がしい生活となった。
しかし、天使たちに咲希の命令とは別にプログラムされた命令、魔物を倒せという命令には逆らうことは出来なかった。
咲希が寝静まった頃に、天使たちは外へ出て攻撃を始めていた。
ただ、対象が魔物娘管轄部に変わっただけで、攻撃することにはかわりなかった。
「……再生したがこの姿とはな……」
「仕方ないだろ。あいつらにボコボコにされて、なんとか再生した姿がこれなんだからよ」
あるビルの屋上で、大天使メルキセデクのノルーカスはそう言った。
「そうね……。まあ、最高神には感謝しなきゃね」
「その通り。……あの戦争で唯一生き残ったのが私だけだもの……」
「しかし、俺たちのマスターである咲希は変わってるよな。『一緒にいて欲しい』だなんて……」とノルーカス。
「まあ……。寂しい生活を送っていたって言ってたじゃないか。
ふふ、俺たちがクリスマスプレゼントになっちまったな」
「それもその通りだな、エイクス。……けどよ、これ以上魔物娘管轄部の奴らを攻撃する必要あるか?」
「ないな。そもそも、あいつらと争っても戦闘不能に出来るとも思えん。
……変な邪魔さえはいらなければ……」
「そうだな……。リターニア、ユウキ・シキドウと決着を付けたい。構わないか」
「ええ、構わないわ。ただし、戦える余力を残しなさい。何があっても対処出来るように」
「分かった。ノルーカス、割り込みが入らないように手助けを頼む」
「オッケー。そうしたらフェレナス、お前はアイリ・タカサキの相手を頼む」
「任せて。最近、骨のある相手と戦ったことがないからね、望むところですわ」
「それでは、今日2010/1/6を持って作戦を開始する。行くぜ」
――2010年1月6日。
それぞれの思惑を抱えたまま、その日は過ぎていった。
彼らが、魔物娘管轄部と決着を付ける日はすぐそこまで来ていた。
10/01/12 23:44更新 / ヘイズル
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