連載小説
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閉店時間
 
〜駆け込み禁止〜

あー、しまったなぁ。余計な残業しちまったせいで終電に乗るはめになってしまった。只今の時刻は0時29分か・・・。最寄駅に着いてから家まで6分。うーん・・・ぎりぎり1時ってところか。なんとか間に合うかどうか。

「とりあえず駅に着いたらダッシュで家に帰って速攻で用意して行くか」

-まもなく〜神憑り駅。降りる御客様はお忘れ物が無いよう御注意下さい-

おっと、もう着いたか。定期を用意して一気に階段を下りて改札口を抜けダッシュで家まで直行。よっし、4分で家に着いたぞ。んで、ボディソープにリンスinシャンプーもOK。髭は・・朝でいいか。後はタオルに下着に小銭か。そして今の時間は!?

「やばいな…、もう1時10分じゃないか。金玉は2時までだからダッシュで行かないと!」

家を飛び出し猛ダッシュで金玉目指して走り続ける。なんだっけな、この状況。ああ、あれだよ。友の為に走り続けた男みたいな感じだな。えーと、走れメロンおっぱいだっけ?ま、今はそんな事どうでもいいか。とりあえずなんとか間に合ってくれよ。

「・・到着・・。はぁ〜〜、しんどかった・・」

「あら?いらっしゃ〜い、来てくれたのは嬉しいけど・・後30分で閉めちゃうわよ?」

「30分で充分ですよ」

「あら、そうなの?」

「んじゃ、時間勿体無いんで入ってきます」



「はいは〜い。……あら?何か言う事忘れてる気がするんだけど何かしら?」



-カララララララ・・・・-

「お〜〜・・・やっぱ誰も居ないなー。貸し切りみたいで最高だわ」

ま、時間も時間だし居るわけないな。それじゃ、女将さんに迷惑掛からんようにさっさと体洗おうか。まずは髪から・・・。

「ふぅ・・、髪洗ってる時が落ち着く・・」

こう、もやもや感が抜けていくような感じがしてすっきりさっぱり。はぁ〜、シャワー気持ちええ・・。んで、体もささっと素早く洗ってしまおう。そうじゃないと湯船を堪能出来ないし。

「ちょい適当になっちまったがしょうがないか。さぁて・・残り湯に福がありますように・・っと」

ふはぁ・・・、温まるなあ。やっぱ風呂はこうじゃないとな。もうちょい時間があれば電気風呂かサウナ、それかエステバスも堪能したかったんだけどなあ。時間無いから大風呂しか入れない。

「次来る時はもっと早い時間に来よう」

おっと、もう1時55分か。早く出ないと迷惑掛けてしまうな。少し名残惜しいが今日はこの辺で。


-カラララララララ・・・・-

「ん?」

「ん?アンタ何してんの?もう掃除の時間だよ?」

「ああ、ごめん。もう出るからちょっと後ろ向いててくれないか」

「はいはい、じゃあさっさと出てよね。アタシは今から忙しいんだから」

それじゃ後ろ向いてくれてる間に失礼して、と・・・。

「・・・!ちょっと待って!」

「うわっ・・・びっくりしたな・・。俺に何か用でもあるんか?」

って、おい!こっち向くなよ。タオル一枚あったから良かったものの何も持ってなかったら丸見えだったじゃないか。

「・・・アンタ・・ちゃんと体洗ってないね?」

うっ・・、なんでわかったんだ。もしかして臭ってたのか?

「時間ぎりぎりで来てしまったからなぁ・・。まー、朝にでもシャワー浴びてその時にでも・・」

「座れ」

「え、なんでいきなり・・・」

「いいからそこに座る!!」

なんで俺怒られてるんだ?

「ほら、こっちに背中向けなさい。もっときっちり洗ってあげるから」

はいはい、・・・なんだろうこの状況。よくわからん内に掃除の子に背中洗ってもらってるし。しかもすっごい柔らかいスポンジ使ってるんだなあ。少しだけぬるぬる感があるけど背中がすっきりしていくのが実感出来る。こりゃ気持ちいいな。

「まったく・・これだから男の人は・・」

「返す言葉もございません…」

「わかってんなら綺麗に洗う事、いいね?」

「・・・はぃ」

「ほら、次は腋の下洗うから右腕上げて」

言われた通りに右腕を上げてじっとしていると腋にくすぐったい何かが這っていく。ああ、このスポンジすげー超気持ちええ・・・。

「はい、次は左ね」

「ふぁぃ・・・」

これ最高だよ…、洗ってもらった後にどこでこのスポンジ売ってるか聞いておこう。もしかしたら番台に置いてたりしてな。あ・・・もう終わったのか。少し残念だ。

「それじゃあそのままで立って。こっち向いちゃダメだからね」

「ふぁ〜い・・・」

「・・・もう!足も綺麗に洗ってないじゃないの!」

「あぁっぁぁぁぁぁぁ・・・、そこ・・・気持ちええ・・」

このぬるぬるスポンジで洗われてるかと思うだけで遅れて来て良かったと思う。それに心無しか体が軽くなった気もするし。おまけに洗ってくれてる子が少し地味っぽいけど、雀斑が似合って可愛い。俺的にはポイント高いですぞな!おっと、変な口調になりそうだ。

「はい、終わり。掛け湯して綺麗さっぱりしなさいよね」

「・・・えっ?お・・終わったのか・・・」

くそっ!!すっげー気持ち良かったというのに、もう終わりかよ。こうなったらしょうがねえ・・。なんとか頼み込んで前も洗ってもらうしか!

「済まんが前も洗って・・・んなっ!?」

「わっ!?バカ!!こっち見るなって言ったでしょ!!」

し・・・舌あああああああああああああああああああああああああああ!!なんかめっちゃ長いんですけどおおおーーーーーーーーーーーー!?

「全く・・・だから見るなって言ったのに」

「・・・も・・もしかして・・だが・・・、さっきのスポンジみたいな感触は・・・」

「・・・アタシの・・・・舌・・・だよ」

なんてこったい!!体を舐められて洗われてたんか!もしかしてもしかすると・・あのぬるぬる感は・・・

唾液!!!

「・・あ、あかん。知った途端に半勃ちした・・」

「バ、バカ!なにこんな所でおっきくしてんのよ!」

今の今まで舐められて綺麗にされてたとは・・・。これを毎日されたらと想像するだけで何かが滾ってくる。

「な・・なぁ」

「・・・何よ」

「いつも・・・この時間に居るのか?」

「そりゃそうよ、アタシは掃除係だし・・って何?アタシの居る時間聞いてどうするつもりなのよ?」

落ち着け俺・・・、俺の他に誰も居ないし・・・言うなら今だ!

「ま、またこの時間に会ったら俺の体を洗ってくれ!!」

「えーっ・・・・・」

やっぱり良い返事は期待出来ないか。

「アタシも暇じゃないんだけどねー・・・」

「そ、そうだよ・・・な」

「まぁ別に〜ここの掃除が終わった後でもいいんなら〜・・・やっぱどうしよっかなぁ〜」

「お願いします、何でもしますんで」

つい土下座して頼んでしまった。これでも駄目なのか・・。

「今、何でもするって言ったよね〜」

「・・・に、二言は・・無い」

「それじゃ〜・・・、いつもいつも銭湯で洗うのも何だし〜・・・。特別にアンタの家で毎日洗ってあげるよ♥」

よ・・・、よっしゃーーー!って、毎日!?なんで毎日になったの!?でも俺的には最高ッス!

「・・二言は無い・・よねー♪」

「寧ろ喜んで!!」

明日から仕事終わって家に帰るのが楽しみになりそうだ。明日も同じように・・あのぬるぬる舌で洗われて・・・。

「だからなんでおっきくするのよ!!早く出なさいよ!今から掃除するんだから!」

「ご、ごめん!」

早く出ないと掃除の邪魔になりそうだ。っと、その前に。





『後でうちのスペアキー・・受け取ってくれよな』

15/01/10 21:26更新 / ぷいぷい
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■作者メッセージ
今回はバスタイムさんからのリクエスト『残り湯』『あかなめ』『掃除係』でした。
・・・一番最後まで残ってた事あったけど…あかなめさんに一度も遭遇した事無いなあ。

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