読切小説
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こんにちは〜赤ちゃん♪私が〜ママ(妻)よ〜♥
 

〜♥未来の幸せ掴みましょう♥〜

あらあら、今日もお隣さんの赤ちゃん泣いてるわね。元気でいいわね〜♪でも、あんまり泣かせちゃダメよ。癖になっちゃうかもしれないじゃない。はぁ〜、でも羨ましいわねー。赤ちゃんかぁ。いいなぁ、私なんてもう53年も独り身だってのに、どうして誰とも縁が無いのかしら?自分で言うのもなんだけど、この美貌、スタイルはもちろん上から97、59、89よ!ふっさふさの3本尻尾に料理上手に床上手、いつでもお嫁さんになっても構わないのよ?いいのよ?私はいつでも受け止めてあげるわ♪

「・・・鏡の前で言うのって悲しいわ〜・・」

なにかしら、この悲壮感。はぁ、お隣の夫婦が羨ましいわ。ま、仕事に行きましょ。



・・・、お隣さんが騒がしいわね。何かあったのかしら?って、あら?

「あ、志乃ちゃんいい所に!お願いがあるの!少しの間だけうちの子預かっててもらえないかしら!」

「・・・・は?預けるって急に言われても仕事が・・」

「お願いよー・・、先ほど実家から祖父が亡くなったって報せが来ちゃって・・。今から急いで行かなきゃいけないのよ。本当にお願い!少しの間だけでいいの!光を預かってて欲しいの」

「・・・ぅん・・・?ひかるちゃん・・?」

「お願いよ〜志乃ちゃん・・。もう出ないと間に合わないのよ・・お願い・・」

「わ、わかったわ・・。なんとかするわ」

「ありがと〜、志乃ちゃん。すぐに光を連れてくるわね」

ああ、言っちゃった。私のバカバカ・・、子供なんて育てた経験無いのに。その前に旦那さんすら居ないのに・・グスン。

「はい、志乃ちゃん。本当にごめんなさいね、暫くの間お願いするわね。それと、うちの鍵渡しておくわ。オムツとかミルクとか自由に使っていいから。あっ、もう行かないと!それじゃあお願いするわね!志乃ちゃん・・・?」

ひゃ・・ひゃあああああああああああああああああ♥な、なんですか、このプニプニほっぺは!?それになんて穢れの無いつぶらな瞳なの!嗚呼、私の腕の中に本物の天使が居るわ♪はぁ〜〜い、光ちゃん。志乃ママでちゅよ〜♪

「だ、大丈夫かしら・・」

「・・・ハッ!?だ、大丈夫ですよ!任せてください♪」

「そ、そう・・?それじゃ少しの間お願いするわね」

あ、行っちゃった。でもでも・・なんて可愛らしいのかしら♪

「あぶぅー」

「どうちまちたー?お外は寒いからおうちに入りまちょうねー。ポンポン空いちゃったのかなー?それともまだまだオネムの時間でちゅかー?」

ああ、凄く幸せ♪この温かい感情は何かしら。この子を抱いてるだけでほんわかとした生温かい何かが・・。

「んぶぁー・・」

「・・・・漏らしてたわ」

や、やだ、早くお隣さんから替えのオムツとミルク持ってこないと。えと、サイズはこれで合ってるのかしら。きっとこれよね。早く戻ってあげないと。

「んぁー・・・・あぶぁ〜・・・ぶぅー・・」

「はいはい、オムツ替えましょうね〜・・と、その前に御仕事休まないといけないわね。電話しなきゃ」




「はい、こちらコレット総合・・・ん?志乃か?どうした?」

「アキノちゃん、今日から暫く休むから『あぶぁ〜・・・んむぅ〜・・きゃふん』宜しくお願いね」

「ま、まて!?今何か聞こえたぞ。今の声は・・・」

はいプッチン♪これから暫くは光ちゃんとのお楽しみタイムだから邪魔しないでね〜♪はいはい、オムツ替えまちゅねー。

「横のストッパーを外して〜、・・・ッ!?」

パタッ・・ポタッ・・

な、なんてことなの・・・。この私が溢れる思いを抑える事が出来ないなんて。このままだと大量出血で私が萌え死んじゃうわ♥

「はぁぁ・・・・ジュルリ・・・ハッ!い、いけないわ。でも・・が、我慢しな・・我慢なんて出来る訳ないじゃない!早く動画を撮らないと!

この奇跡の一瞬は二度と手に入らないわ!早く私の携帯に撮らないと。ひゃわわわわぁぁぁ〜〜〜〜、可愛いでちゅよー。光ちゃんのちっちゃなオチンチンはお姉さんの一生の宝物にちまちゅからねー♥

はぁはぁはぁはぁ・・・・、さ、最高だったわ。今まで生きてきた中で最高の時間だったわ。光ちゃん・・貴方って何てピュアな子なの。お姉さんの心をこんな小さな頃から弄ぶなんて悪い子だわ。そんな悪い子にはオチンチン綺麗綺麗の刑にしてあげる。

「ぅぶぅ〜・・きゃふっ!」

「はいはい、いい子にちまちょうね〜。ここは大事な所だから綺麗にフキフキしてあげるわ〜・・ハァハァ」

光ちゃんのオチンチンを綺麗綺麗したタオル。凄く甘酸っぱい臭いがして頭の中がクラクラしてきちゃう。これが子を育てるという事なのね。堪らないわ。これだけで御飯5杯はイけるわ。あ、・・あら?

「ぅ・・・ぅぁぶぅ・・・ぅっ・・ぅっ・・・」

なんだか嫌な予感がするわ・・。

「ぁ`ぁ`ぁ`ぁ`ぁ`っ`ぁ`ぁ`っ`ぁ`ぁ`っ`ぁーーーーー!!」

「ひゃぁぁ〜・・、赤ちゃんの泣き声って近くで聞くと半音高い感じなのね」

どうちまちた〜、ポンポン空きまちた〜?ミルクのお時間でちゅか〜?違うみたいね?うーん、抱っこかしら?

「んぶぅ〜・・・ぁー♪」

良かった〜、抱っこされて安心したのね。ほ〜ら志乃ママでちゅよー。たかいたかーい♪

「キャッ♪キャッ♪」

なんて素敵な笑顔なのかしら、でも志乃ママは・・もうダメかも・・。

プシッ!!

ああ、私今日で死んじゃうかも。さっきから鼻血が止まらないわ。でも・・。

この場で萌え死んでも悔いは無いわ!!

「あぶぅー・・・ぅー?」

「・・・何かしら、私の後ろばかり見つめてますけど?何も無い・・わね?」

後ろを振り返っても見えるのは家具だけだし、一体何を見てるのかしら。あら、今度は反対側?本当に何かしら。やっぱり何も無いわ?でも光ちゃんはずっと私の後ろを見てるわよね。窓の外に何か見えたのかしら。あっ!?光ちゃんの瞳に映ってるのはもしかして・・。

「はい右〜」

「んぶー・・」

「はい左〜」

「あぶぁ〜・・」

なーんだ、私の尻尾を見てただけなのね。もしかして尻尾を気に入ってくれたのかしら。うーん、ちょっとだけだからね。はい♪

「あびゅー♪」

「あああ、なんだかすごくゾクゾクしてきちゃうわ・・・。尻尾の中に光ちゃんが・・。ぁん♪そこは触っちゃダメよ、弱いんだから〜」

アッ、ダメ・・、そんなとこ触っちゃったら・・触ったら・・志乃ママはイっちゃうかも。んんんんんっ!・・・はぁ・・・危なかったわ。マイエンジェル光ちゃんのちっちゃな手が私の尻尾を抱き締めて・・・ぁ。

「どうしましょう・・・、鼻血が止まらないわ」

「ぁ〜・・・・・・・・・」

あら、尻尾掴んだまま寝ちゃったのね。それじゃあこうして尻尾でくるんで、と。うん、これで良し。ゆっくりおやすみなさい♪

「さてと、・・・まずは鼻血拭きましょうか」

フローリングの床に付いた赤い染みを綺麗にしないとね。はぁ〜、まいったわね・・・、子育てがこれほど難しくて萌え萌えだなんて。・・おちんちんちっちゃくて可愛かったわぁ。光ちゃんの次のお漏らしに耐えられるのかしら・・私。

さ〜て、部屋も綺麗にしたから次は光ちゃんのベビーベッドを用意しなきゃって、・・そういえばお隣さんちにあったベビーベッド・・ちょっと大きかったわね。一人で運ぶのはちょっと辛いかも。誰かの手を借りなきゃ持ちこめないわ。困ったわね。

「んぶぅ〜・・・」

「あら、起きちゃった?そろそろミルクの時間かしらね」

哺乳瓶の先っちょプニプニしてなんだかイヤラシイわね。このチクビ型ってのがそそるわ〜。おバカな感想言ってる場合じゃないわ、すぐに用意しなきゃ私のマイエンジェル光ちゃんが泣いちゃう。待っててね〜、私だけの天使ちゃん♥

「ああ、この人肌温度の母乳いやらし・・じゃなかったわ、ミルクよミルク。は〜い光ちゃ〜ん♪チュッチュちまちょうね〜♪」

尻尾布団から出て、こちらのソファの上で飲みまちょうねー。はいアーンして。

ぢゅっ・・・ぢゅ・・・ぢゅっ・・

「いやぁぁ〜〜〜〜〜〜ん♪なんて可愛らしい飲み方するの。光ちゃんってば乙女殺しの天才だわ♪」

半分しか飲まなかったわね・・?少し量が多すぎたのかしら?えーと・・この後は背中をトントンしてあげてげっぷさせるはずよね?こうかしら。

「・・・・・ケプッ」

は〜〜、良かったぁ。って、また寝ちゃうの!?ワーシープの倍の速さだわ!?これが『寝る子は育つ』ってやつかしら。本当に言葉通りなのね。それじゃ、また尻尾布団の中でオネムちまちょうね〜♪

ぁぁぁぁ・・・・光ちゃんが尻尾の中で寝てるのを感じるだけで・・ふぅ。これが俗に言う男性の賢者モードってアレね。今なら理解出来るわ。次は私の御飯作りましょうか。出来ればなるべく火を使わないのがいいわね。尻尾の中に光ちゃんが居るから危ない事は出来ないし・・。


ピンポーン♪

「はーい、どちら様ですかー?」

「・・・私だ」

げっ!?なんでアキノちゃんが来てるのよ。ど、どうしよ。なんとかして帰ってもらわないと。

「ご、ごめんなさいね〜。今手が離せなくて〜・・、だ か ら〜、今度で〜」

「その『今度』とやらは一体いつの日になるのだろうなぁ?なぁ、志乃?」

くっ、こんな時に限って無駄に先読みするんだから。かと言って、このまま追い返したら明日も間違いなく来るだろうし。しょうがないわねえ。

「・・・わかったわよ、少しだけよ?本当に少ししか時間無いんだからね」

本当に本当に!しょうがなくドアの解除ボタン押すのよ!?ごめんねえ、私の天使ちゃん。社内権力に弱いママを許して・・シクシク。

「全く、居るなら居るでさっさと開けないか!」

「ちょ、ちょっとぉ。そんなに大きな声出さないでよね。それにアンタの鎧の音が五月蝿いわよ。今眠ったばかりなんだから騒がないで」

「ほぅ?一体何が寝てると言うのだ?ここには私と志乃しか居ないは『んぶぅ〜・・』・・・ん、いきなり変な声を出すな」

「シーッ、起きちゃうから静かにしてちょうだい」

これ以上アキノの五月蝿い声でオネムの時間を潰されちゃ敵わないわ。はぁ、・・・秘密にしておきたかったのになー。

「寝てるのは・・この子よ。私だけのマイエンジェル光ちゃん♪」

「・・・・・・・・・・・・・」

アキノが固まったまま動かないわね?って、その目は何?なんでそんな悲しそうな目をしてるのよ。

「そうかそうか・・そういう事情があったのか・・」

「そういう事なの。だから・・」

「まさかとは思ってたが・・とうとう誘拐をしてしまうとはな。私と一緒に出頭しよう、な?なに、悪いようにはならないようにしてやるから・・」

「え、何それ。もしかして私ってそういう目で見られてたの!?凄いショックなんだけど!この子は急遽お隣さんから預かった子なの!誘拐じゃないわよ!」

「・・・んぶぅ・・・んぐっ・・・ぅ〜〜」

はっ、しまった!?私達の声で起きちゃったわ!このままだと確実に泣いちゃうわ。こうなったら。

「ほ〜ら光ちゃーん。尻尾でたかいたかーいしてあげる〜」

「ぁびゃぁ〜♪キャッ♪」

ほぅ、・・・危なかったわ。って、あら?光ちゃんなんだか温かいわね?尻尾に何か温かい熱が伝わって・・。

「光ちゃんお漏らししちゃったのね〜、は〜い。オムツ替えまちゅね〜」

「志乃・・お前が赤ちゃん言葉を使うと何故か卑猥に聞こえるのは気のせいか?」

全くしっつれいね!ま、そんな事はどうでもいいわ。今は大事な・・大事な・・ハァハァ・・・オムツの交換なんだから。動画撮影の準備して、と。

「は〜いオムツ外しまちゅよ〜。可愛いオチンチンでちゅね〜♥オムツ替える前に綺麗綺麗ちまちょうね〜。ちっちゃいオチンチンを柔らかタオルでポンポンしちゃいまちゅね〜」

「なっ!?男の子だったのか!?ひかるだなんて言うからてっきり女の子かと・・・・ハァハァ・・・ジュルリ」

やだもう、涎垂らしながら光ちゃん覗かないでよね。私の天使が汚れちゃうじゃないの。ほら、タオル渡すから自分で涎拭きなさいよ。



「んぐ・・、ふぅ。そ、そう言った経緯ならしょうがあるまい・・。と、特別に育児休暇を申請しておこう。ただし・・」

「ただし・・何よ?」

「志乃がしっかり世話をしているか定期的に確認しに来るからな・・・ハァハァ・・・」

本音と建前が混ざってるじゃないの。でもこれで堂々と光ちゃんと愛の一時を・・、そうだわ。

「ね、アキノ。ちょっとだけ手伝って欲しいんだけど」

「何でも言え。力になれるのであれば何でもしようじゃないか」

「お隣さんから光ちゃんのベビーベットを持ち込みたかったんだけど私一人じゃ辛くて・・」

「私に任せろ、行ってくる!」

あ、凄い勢いで行っちゃったわ。まさかアキノったら一人で担いで持ってくる気じゃないでしょうね・・?

「戻ったぞ・・・ハァ・・ハァ・・」

まさか本当に担いでくるなんて思わなかったわ。でもこれで光ちゃんをゆっくり寝かせられるわ♪

「はぁ〜い、光ちゃん。ベッドでおねんねしましょうね〜♪」

これでやっと食事が作れるわね。そうだ、手伝ってもらったしアキノの分も作っちゃいましょうか。

「アキノ〜、どうせだから一緒に食事しない?手伝って貰ったお礼に、だけどね」

「も、もちろんだ!」

どこ見て返事してるのよ。光ちゃん見ながら返事されると安心出来ないんだけど。さぁて、何作りましょうか。




「あぁ、美味かったぞ。ごちそうさま」

「どういたしまして」

今日の御飯は最高に美味だわ。光ちゃんを眺めながらの御食事って100万$の夜景を見ながら御食事するよりも豪華だわ♥

「志乃・・・、赤ん坊の頬は本当にプニプニしてるんだな。本当に・・なんて・・・柔らかさ・・ハァ・・ハァ・・」

「私も人の事をとやかく言う事なんて出来ないけど、アキノも結構変態よね」

「わ、私は変態じゃな・・・はぅっ!?」

んぢゅ・・・ちゅぅ・・・

はっ!?こ、これはあの伝説の指チュパじゃないの!?寝ぼけながらアキノの人差し指をしゃぶってるわ!なんて羨ましい事を・・。

「・・・・・・・」

「ア、アキノ?どうしちゃったのよ?ヒッ!?」

アキノが白目剥いて失神しちゃってる!ちょっと!しっかりしてよアキノってば!





「ねぇ・・本当に送らないで大丈夫なの?」

「だ、・・大丈・・・夫・・だ。これしきの事でデュラハンたる私が・・・」

どう見ても産まれ立ての小鹿みたいな足になってるのに無理しちゃって。後ろからツンツンしたら簡単に倒れちゃうかも。でも、流石にそこまで悪戯はしたくないわ。あれからアキノの意識が戻るまで三時間以上も掛かったし。

「と、とりあえず・・・休暇届けのほうは私がなんとかしておこう・・」

「助かるわ♪」

「それでは、またな。光♥」

パタン…

え、何それ?私じゃなくて光ちゃんに言っちゃうの!?ダメよ!光ちゃんは私だけのマイエンジェルなのよ!誰にも渡さないわ。とは言っても預かってる間だけなのよね・・・はぁ。

「ねぇ光ちゃん・・・将来大きくなったら絶対に迎えに来てよね?それまで志乃ママはずっと待ってるから♪」

「んぶぅ〜・・・」

って、今言ってもわかんないよね。間違ってもアキノとか迎えに行っちゃダメよ?ほんとにもう・・罪作りな子ね♪そんな子はほっぺツンツンしてあげ・・・ぁ。

んちゅっ・・ちゅぅ・・・ちゅぅ・・・・

ひゃあああぁぁあっぁあぁ!?な、何この感覚は!?指吸われてるだけなのにぃぃぃ!?これが指チュパなのねぇっ!?ああああ、足がガクガク震えてきちゃう・・・。は、早く満足してぇ!

「・・はぁはぁはぁはぁはぁ・・・はぁ〜・・・。腰が・・立たないわ・・・」

「あばぁ〜・・ぁぶう?」

後5分・・いえ、後1分以上吸われていたら間違い無く失禁してたわね・・。本当に危なかったわ・・。わっ・・尻尾の毛が全部逆立ってる。ふぅ・・・、少し疲れてきたわ、今日はもう寝ましょう。





「んんぎゃぁぁぁぁーー!ぅんぎゃぁぁぁーー!」

「・・・ハッ!?どうしたの光ちゃん!?ポンポン痛いの!?怖い夢でも見ちゃったの!?」

どうして泣き止まないの!?お漏らしでも無いし、抱っこしても止まらないし。・・ぁ、そろそろミルクの時間なのね。そうだったわ・・赤ちゃんには時間は関係無いもんね。私がしっかりしなきゃ。

んぢゅ・・・ぢゅ・・んぢゅ・・・

「子育てって結構厳しいのね・・・、赤ちゃんにはこちらの都合なんて関係ないもんね。・・・でも」

この子を護ってあげたい感情は産みの親であり、育ての親にしかわからない事だけど、だけど私も・・この子、・・光ちゃんを見守っていきたいわ。いつの日か立派になって私を迎えに来てくれると。

「そうなったら志乃ママは嬉しいのにね〜、ね?光ちゃん♥」

「ん・・・ンマー・・マー・・」

え、今・・ママって言わなかった!?私の妄想だったのかしら?

「ンマー・・・・マー・・・」

「う、嘘・・・、本当にママって言ってる・・。ひ、・・光ちゃん・・

志乃ママも光ちゃんが大好きよ♥






はぁ、・・・深夜のあれでテンションが凄い事になっちゃってるわ。まさかママって言われるなんて思ってもいなかったし。でも・・・ママって言葉の響きが嬉しかったわぁ♪子育ては不安だけど、あの一言でなんでも出来ちゃう気がしてくるわ。

ピンポーン♪

「こんな早くに誰かしら?・・・仕事はどうしたのよアキノ?」

「たまたま通りかかっただけだ、気にする事は無い」

絶対に嘘だわ。なんとか理由付けて私のマイエンジェル光ちゃんに逢いに来るつもりね。そうはさせない・・わ・・?

「志乃、これにサインしないと休暇届け出せないぞ」

「・・・あ、忘れてたわ」

しまったぁ・・、なんてミスをしちゃったのかしら。クッ・・届けを出してもらわないと光ちゃんとの愛の一時を味わえない・・でも、アキノの目はどう見ても獣の目だし・・。

「おぃ、・・今失礼な事を考えてなかったか?まぁいい、それよりも早くドアを解除してくれないか?」

しょうがないわねぇ・・。はいはい、開けましたよーだ。

「失礼する。・・・光、今日も・・ハァハァ・・元気そうじゃないか・・・♥」

「ぁぶぁ〜・・」

「ほーら、今日は私がたかいたかーいしてやろうじゃないか♪」

「キャッ♪キャッ♪」

出勤時間ぎりぎりまで光ちゃんLoveを堪能するつもりなのね。どっちが変態なんだかわからないわ。さて、休暇届けにサインしなきゃね。

「ふぅ、・・なかなか楽しかったぞ志乃」

「・・・真顔で鼻血出しながら言う台詞じゃないわよ。それと、休暇届け出しておいてよ?」

「ああ、わかった。ところで御土産は何がいいのだ?」

「御土産はオマケでしょう?」

「な、なんの事を言ってるのだ!私は慣れない事をしている志乃を労おうと・・」

はいはい、わかってますよー。私よりも光ちゃんに用があるんですねー。あら?光ちゃんがハイハイしてる!?やぁぁ〜〜〜〜ん♥なんて愛くるしい姿なのかしら!この姿も動画に収めないと!

「ヒュー♪ベリーベリーキュートだわ!こっちよ!こっち向いて光ちゃん!ああ、いいわぁ〜、その愛くるしい瞳、その表情、ちっちゃなお手手、どれをとっても貴方は一級品よ!」

「こ、これが萌えというものなのか・・・ブフッ・・」

「アキノ!鼻血出して倒れてる場合じゃないわよ!しっかりと目に焼き付けなさい!私のマイエンジェル光ちゃんのハイハイを」

「ああ・・天使が見えるぞ・・。私にもとうとうお迎えが・・」

一体どこに行く気なのよ。って、ああ!?もう8時じゃないの!起きて!起きないと遅刻するわよ!?

「そ・・そうだった・・・早く・・いかなけれ・・・ば・・」

ああ、もう・・本当にしょうがないわねえ。こうなったらとっておきを使ってあげるわ。本当は遅刻回避用に持ってるだけなんだけど♪

「ほら、玄関まで行って靴履いて・・鞄も持ったわね。この符で強制的に会社のロビーまで飛ばしてあげるから後は自力で部署まで行きなさいよ?」

「何から何まで済まない・・・」

「はい、いってらっしゃい」

さーて、邪魔者は行ったし・・光ちゃぁ〜〜ん♪志乃ママと遊びまちょうね〜♥

「だぁ〜・・・ぶぅー・・」

あら?ご機嫌斜めみたいね、どうしちゃったのかしら?ミルクの時間にはまだ早いみたいだし、オムツは・・・・アアッ!!

「・・・だぅー・・」

大きいほう漏らしてたのね・・。ごめんね、ママ気付かなくて。すぐに綺麗にしてあげるわ!




-暫くお待ちください-



うん、綺麗になったわ。ついでにお風呂にも入れたし。それにしても蒙古斑可愛かったわ〜♪指でクリクリ弄ってあげると手をパタパタさせて喜んじゃって・・。ハッ!?お尻動画撮り損ねたわ!ま、まぁいいわ・・・。まだチャンスはいくらでもあるし。綺麗になった所で〜、お昼まで一緒に遊びまちょうねー♪

「ほ〜ら、尻尾でたかいたかーいしてあげる〜」

「キャッ、キャッ」

尻尾が3本あって良かった♥もし1本だったら危なくて出来なかっただろうし。今日はハイハイの練習しましょうね〜。それじゃ、光ちゃんはココね。そして志乃ママはココ♪はぁ〜い、こっちにいらっしゃ〜い。

「ぶー・・・」

あ・・あら?どうしてこっちに来てくれないの?志乃ママすっごく悲しいわ。・・・それじゃこうしてあげる。ほ〜ら、尻尾ポンポンしてまちゅよ〜。

「ぁ〜・・・ぁー♪」

あは♪凄い勢いでこっちにハイハイしてる。本当にママの尻尾が大好きなのね。は〜い、良く出来まちた〜。御褒美に尻尾布団でくるくるしちゃうわ♥

「ぅー♪」

ハァハァ・・、そ、そろそろオムツの交換じゃないかしら・・。・・・残念、まだお漏らししてなかったのね。後少ししたらミルク飲みまちょうねー。









早いものね。光ちゃんの相手をしてあげてるだけなのに一日があっというまに終わっちゃうなんて信じられない。でも、そろそろ・・・。

ピンポーン♪

ほら来た。

「開けてくれないか・・。両手が塞がってしまって・・・」

両手が塞がるって・・もしかして本当に御土産を持ってきてるのかしら?ま、アキノの事だから変な物は持ってこないと思うけど。

「いらっしゃーい、・・・って・・これまた凄い量ね」

「何を言うか!これでも絞りに絞ったんだぞ!本当なら部屋中おもちゃだらけにしたかったものを・・」

アキノったら子煩悩だったのね。いつか絶対に親バカになるわ。でも、・・・。

「いくらなんでも『3歳児でも出来る剣術』は無いんじゃないかしら・・」

「子は早ければ早いほど才能を開花させやすいというからな!見ろ!その為にオモチャの剣も買ってきてあるぞ」

はいはい、・・はい光ちゃん。オモチャの剣でちゅよ〜。

「だー・・・・あー!あー♪」

「おおっ!?なかなか筋がいいではないか!これは将来が期待出来るぞ」

もう、アキノったら本当に親バカなんだから。でも、これが家庭の幸せなのね。温かくて、どこか懐かしくて・・・そして嬉しくて。こんな日が毎日続いたらいいのに。でも、やっぱり終わりの日は刻一刻と迫ってくるわけで・・。














「志乃ちゃん、アキノさん。本当にありがとうね。しんどかったでしょう?」

「いえ、凄く楽しかったですよ♪」

「うむ、あの数日は本当に良き経験となった。こちらからも礼を言わせて頂きたい」

「そう言われると困っちゃうわ。無理言って押し付けたようなものだし」

ぁ、・・光ちゃんがこちらをずっと見てるわ。何か言いたそうな感じなのかしら。

「どうしたの光?」

「・・・ンマー・・マー」

・・・ッ!?ダメ・・、折角我慢してたのに涙が出ちゃう。今ここで泣いちゃったら・・・もう我慢出来ないかも。笑ってお別れしなきゃ・・。

「バイバイ、光ちゃん♪」

「・・・」

「・・・」

や、やだ。なんで皆黙ってるのよ。どうして変な目で見てくるの。私、何かしたの?

「志乃ちゃん、私が忙しい時にまた光の相手をお願い出来ないかしら?」

「・・・ぇ?」

どうして急にそんな事言うの。私は別に・・・、やだ・・どうして視界が滲んでくるのかしら。どうして・・・。

「志乃、・・・良かったな」



「・・・ええ♥」

















「と、いうのがママとパパの初めての出会いと別れだったのよ〜♪」

「ママすっご〜い!」

「ただいま〜」

あ、あの人が帰ってきたわ♪さ、昔話はここまでにして食事の用意しなきゃね。今日は皆の大好物のエビフライよ♪・・って、なんでアキノも一緒に居るのかしら?

「帰りにアキノ姉さんとばったり逢っちゃって」

「食事は賑やかなほうが楽しいだろう?」

アキノったら、偶然を装って逢う口実を作ってるわね。

「ダメよ、光は私だけの旦那なんだからね!いくらアキノでもダメなものはダメよ!」

「なぁ、光。もう一人ぐらい嫁が居てもいいと思わないか?私なんてどうだ?」

「人の話聞きなさいよ!」

あの日に願った通りに光を旦那様に出来たけど、アキノもいまだに光の事を狙ってるから気を抜けないわ。でも、優しい光の事だから、きっとアキノも一緒にっていつかは考えるでしょうね。でもね、それまでは私が独占してもいいわよね?





ね?光ちゃん♥

14/12/11 22:11更新 / ぷいぷい

■作者メッセージ
少しだけ妖狐さんに浮気したくなったので書いてみました・・・。こんな純情妖狐さんと一緒に子育てしてみたい。

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