石鹸
「いらっしゃい♪珍しいわね、貴方が此処に来るなんて?え?お湯が出なくなったの?あらあら・・、それじゃ直るまではこちらに?・・・そうですか、明日には直るのですか・・。あ、いえいえ、そういう訳では。それでは、ごゆるりと・・」
少し残念ね、今日しかウチに来ないなんて。でも、一回でも充分だわ♪ちょうど今日はあの子が来る日ですし。くふふふ・・・♥どうなっちゃうかな〜♪
「あら、噂すれば・・いらっしゃ〜い。ちょうど良かったわ♪今ね・・・」
〜一番風呂〜
今日はついてないな。折角定時で帰ってこれたというのに、まさか湯が使えない状態になってたなんて。最近忙しくて業者にメンテナンス頼んでなかったのが不味かったんだよな。前々からちょっとおかしいな、とは思ってたけど。次からはこまめにみてもらおう。
「知り合いのとこで風呂を借り・・、やめとこ。アイツ確か結婚したばかりだし」
いくらなんでも新婚ほっかほかの御宅に風呂貸してくれ、というのも気が引ける。逆の立場だったら間違いなく断わりそうだし。あー、そうだ。確か近所に銭湯があったよな。一度も行った事が無いから忘れかけてたわ。なんだっけなー・・あの名前・・。ほら、あれだよ、あれ。えー・・、そうだ!金玉の湯だ!あまりにもネタな名前すぎて笑った事あったんだ。ちょっと恥ずかしいけど行くしか無いか。
風呂セットを用意して、のんびり出掛ける。えっと、ウチから2〜3分ぐらいの・・ああ、あったあった。通勤に使う道とは正反対のとこだから忘れそうだったよ。結構近いとこにあったんだな。暖簾がいい味してるわ。それじゃ、入ってみるか。お、番台が妖狐なのか、てっきり稲荷様かと思ったんだが。
「いらっしゃ〜い♪金玉の湯へようこそ〜。お一人ですか〜♪」
「・・・・・・ブフゥ!!」
「どうしました、御客様?」
「い、いえ・・・、ここって金玉・・の湯ですよね・・」
「御客様・・・・・、
ここは金玉(こ・ん・ぎょ・く)の湯でございますわ♪決して金玉(き・ん・た・ま)の湯ではありませんので御間違えのないように!」
だ、ダメだ・・。また笑いが込み上がって来る。笑うな俺、笑うな俺!なんだかきっつい罰ゲーム感覚だ。番台の妖狐さんが大声で『きんたま!』って叫ぶのってどんなシチュだよ。
「ご、ごめん、今度から・・ぷふっ・・間違えないようにします・・くっ・・」
「・・・・むぅ〜」
あまり此処に居ると怒られそうだし、さっさと脱衣所に行くか。おお・・、結構広いな。この畳と茣蓙の触り心地最高。しかも、俺が一番客か。風呂が使えなくなったのは痛いけど、この風呂を一番先に味わえる事が出来るなんて最高だな。とっとと服を脱いで放り込んで、っと。
「おー、いいねぇ。昔ながらの風呂そのままだな。まずは掛け湯をして」
風呂に入る前に掛け湯するのは当然のマナーだからな。汚い体のまま直接湯船に入るなよ?って、誰に説明してんだ、俺?んじゃ、入りますか。
「ふぁ〜〜〜、極楽極楽・・・じじくさっ!」
つい言ってみたくなる名言の一つだな。しかし、意外と客が入って来ないんだな?俺が入ってから10分以上経ったはずなのに・・。
<カラララララ・・・・>
「お?誰か来たみたいだな。・・・って、向こうか」
どうやら女湯みたいだ。ま、別にいいか。その分、一人で満喫出来るんだし。さて、体洗うとすっか。
「あー・・俺んちの風呂もこんだけ広かったらなぁ・・」
所詮、2畳ほどの広さしか無いよ!俺一人分しかスペースねぇよ!せめてもう1畳分の広さが欲しい。安月給の俺には無理な相談だけど。懐的に・・。さて、先に頭から洗うとすっか。ふはぁ〜〜、冷たくて気持ちいい。やっぱ男はクールだろ。このさっぱり感と爽快感が充実してないとな。頭皮をごりごりと削るぐらいの強さで髪を洗うのは超スッキリする。あんまり強く擦ると髪が痛む?将来が怖い?そんな事気にしちゃいかんよ?
「はぁ〜、ええ感じやー・・」
少しばかり低い温度の湯で洗い流す。これこれ、この冷たさがダイレクトに伝わってくる感覚って最高だな。次はボディソープを・・と、ありゃ?最悪だな、間違えてほとんど空の容器を持ってきちまった。あー、これどうすっかな。折角久しぶりに銭湯に来たってのに、体洗えないのはなんか損した気分だ。しょうがない、家に帰った後で水シャワーで体洗うしかないか。
「石鹸でも持ってくれば良かったな・・・」
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがと。・・・・おわっ!?」
壁向こう、女湯との仕切り壁の上から紐で吊るされた石鹸が入ったケースが一つ。すっげーびびったけど、とりあえず使わせて貰おう。
「どなたか知りませんが、有難く使わせて頂きます」
「はい♪」
いい声だなぁ。絶対若い娘だよ、この声は。しかも、桃石鹸か。桃・・・桃・・・桃尻!ピンときた!って、アホな想像はやめとこ。貸してくれた人に失礼だろ。でも、いい匂いだ。今度から石鹸にしようかな。石鹸の香りって暫く体に残るから結構好きなんだよな。ん?という事は・・、この石鹸を貸してくれた人と同じ香りを体に纏う訳だ。・・・若い子だったらいいな。いや、きっと若い!俺はそう信じる!
「あ〜・・・桃の香りっていいなぁ」
「ですよね〜」
独り言が向こうの女性に聞かれてしまったみたいだ。すっげー恥ずかしいぞ、この状況。でも、案外悪くないな。
「石鹸貸してくれてありがとうございます」
「いえいえ、いいんですよ〜。困った時は御互い様ですから」
すっげー良い人だ。風呂から上がったら後で礼を言っておこう。では、失礼して・・。これこれ・・この泡立ちがいい。桃石鹸なんて初めて使ったけどいい匂いするんだなー。今度買って家でも使おう。ああ、気持ちええ・・。それに、若い子が使ってた石鹸と想像するだけでチンコ勃ちそうだし。ぁ、立っちまった。最低だよ、俺。
「ぁ…」
「んぅ?どうかしましたか?」
「あ、あのぅ・・・、実は私・・まだ体を洗っていない事に気付きまして・・あはは・・」
ちょっとうっかりさんな所が実にイイ。俺好みが満載してますよ。親切でうっかり屋さんで少しばかり控え目な所が実に最高ですよ!でも、どうすりゃいいんかな。あ、そうだ。とりあえずさっさと泡を流して。
「それじゃ、さっきの紐をこっちに投げてもらえませんか?」
「あ、はい・・」
仕切り壁の上から投げ込まれた紐を上手くキャッチし、石鹸ケースを括りつける。意外にも紐は丈夫そうだし、これなら簡単に外れないだろうな。端っこはきっちり手に巻いて掴んでおくか。そのまま投げ込むなんて失礼だろうし。
「それじゃ、いきますよー」
「は〜い」
石鹸を上手く投げ込み、少しずつ紐を伸ばして下ろしていく。そろそろ掴める位置だと思うけど。
「どうですか?届きましたか?」
「後、少しだけ下げてもらえませんか?」
なんで届かないんだ?さっき向こうから投げ込まれた時は簡単に届いたのに。・・あ、俺が手に巻いてる分だ。んじゃ、ちょっとばかり壁に近づけば・・。
「これで届きましたかー?」
「は〜〜い♥届きましたよ〜」
お、届いたみたいだな。んじゃ、紐を放して、と・・ん?なんか微妙に引っ張られてる感じがする。ちょっとこっちも引っ張ってみるか。よくわからんが軽く引っ張ると何か返事みたいなのしてくるな。でも、よくわからんからそろそろ手を放そう。
「・・・・・ぁっ・・」
不意に聞こえた寂しそうな声。手を放したの不味かったかな。・・・でも、いつまでも紐遊びをするわけにはいかないし。さて、湯船に浸かってのんびりするか。なんだか、少しだけ罪悪感を感じてしまったな。
静かだな。石鹸を返してからずっと無言が続いてる。この雰囲気って地味に辛いわ。でもまぁ、そろそろ時間も押して来てるし出ようか。腹も減ってきたからな。
「んじゃ、最後に水風呂の冷水を被って・・と」
くぅ〜〜、冷たくて気持ちええ。んじゃ出ますか。
<カラララララ・・・・>
どうやら向こうの女性も上がったみたいだな。ああ、そうだ。さっきのお礼に何か冷たい物でも渡そう。風呂上りで御互い体が熱いだろうし。素早く体拭いて・・早く着替えて。
「番台さーん、何か冷たいのありますー?」
「あるわよ〜。普通のがいいの?それとも精力剤?あ、もしかして・・・ワ・タ・シ♥」
「・・・・普通のでお願いします」
「ちぇ〜〜・・・、ノリ悪いね〜、キミ。そこは嘘でも『貴女の特製ジュースが飲みたいんだ、今すぐ飲ませてくれるよね?イヤと言ってもムリヤリ飲ませてもらうからな!』って言って私に覆い被さってオマンコにしゃぶりついて愛液を心ゆくまで堪能して・・」
「普通のでお願いします!」
これ以上の会話は危険すぎる。たまたま客が居なかったから良かったけど。それじゃ何を選ぼうか。牛乳は風呂上りには定番だな。俺はいいんだけど、石鹸貸してくれた人の好みがわからんしパスするか。風呂上りに炭酸飲料はあんまり飲みたくないし。飲んだ時はスカッとするんだけど・・後々になって腹が・・な。と、いうわけで炭酸は却下。なんか色々あるな。
ど・れ・に・し・よ・う・か・な?
あ、桃ジュースあるんだ。桃・・桃、そういやさっき借りた石鹸・・桃石鹸だったな。よし、これにしよう。これ2つ貰っていくか。
「んじゃ、これ貰っていくよ」
番台さんの前に代金を置いて入り口前の休憩椅子に座りのんびり女性が出てくるのを待つ。番台さんが何か独り言みたいなの言ってたけど何だったんだろ?
「・・・・クフフッ♪桃ジュースを選ぶなんて・・これも運命かしらね♪」
椅子に座ってのんびり寛いでいると真後ろにある女湯のドアが開く音がした。さっきの女性が出てきたんだろうな。石鹸の礼も兼ねて桃ジュースを渡すか。
「さっきは石鹸を貸してくれて・・・」
振り向いた先に居たのは白蛇さんだった。腰まで届いた白い髪にちょっと温和そうに見える垂れ目。風呂上りのせいか、ほんのり朱に染まった頬。それに。
「・・・・・(やっべぇ・・・。タンクトップブラの上に7分袖のワイシャツとかエロすぎんだろ・・、しかも風呂上りのせいか汗でちょっとだけ透けてるし)」
「あの・・何か・・?」
「ぁ、あの・・石鹸貸してくれて助かりました。そ、そうそう・・風呂上りで体が熱いでしょうから・・これをどうぞ」
持っていた桃ジュースを渡し、なるべく直視しないように顔を背ける。
「あ、ありがとうございます♪私、桃ジュース大好物なのです♪」
よ、良かった。なんとなくの思いつきで買ってしまったが好物で良かった。お礼も言ったし渡す物も渡したし、早く帰ろう。いつまでもここに居たら精神的に良くない。主に俺の無節操な息子が。風呂上りのせいか、僅かだがブラが湿ってるのがわかる。おかげで乳首の形がくっきりと浮かび上がってるのが見えた。早く帰って飯食って寝よう。ああ、そうしよう。そうじゃないと勃起しかけのチンコがばれてしまう。
「それじゃ、俺はこれで・・」
グゥゥゥゥゥ〜〜〜〜
うわ、めっちゃ恥ずかしい。こんな時に腹から大音量が・・。
「ま、待ってください!」
いきなり何だろうか、出来れば手短にしてもらいたいんだが。そうじゃないと、もう既に8割近く勃起しちまった節操の無い息子が暴れそうなんですけど。ついでに言うと腹も減ったし・・減ったし。
「あの、・・今・・お時間ありますでしょうか・・」
「あ、ああ・・帰っても飯食って寝るぐらいだし・・」
「あ、・・あのっ!一緒に・・御食事しませんか!」
ぐぅぅぅぅ〜〜〜・・きゅるるぅぅ〜〜〜
俺の腹が代わりに返事してくれたようだ。すっげー恥ずかしいぞ。でも、白蛇さん可愛いし・・こんなお誘いを無碍にしたくないし。ここは腹の虫と同じように正直に行くか。
「それじゃお言葉通りに一緒に・・・(グゥゥ〜〜〜)、・・・行きましょうか」
「ふふっ♪それでは行きましょう」
「あ〜〜〜、なんだか急にあっついわね〜?どうしてかしら?」
番台の妖狐さんがジト目でこっち見てる、早く出よう。焦ってつい無意識に白蛇さんの手を握ってしまった。
「あっ・・・」
「あっ・・・」
御互いに顔を真っ赤にしながら銭湯を出る。白蛇さんの手、柔らかくていい。ずっと握っていたい。
「それで・・どこに行きますか?」
まだ何も考えてなかった俺の質問に笑顔で答えてくれる白蛇さん。
「わ、私の・・手料理などは如何ですか?」
ああ、最高すぎる今日の晩飯。もし石鹸を持っていたら・・ボディソープが満タンだったら出会えなかったんだろうな。今日、銭湯に行く前に確認しなかった俺、本当にありがとう!
「本当ですか!?・・あ、えっと・・・」
「ぁ、私の事は・・桃・・って呼んで欲しいです・・」
桃、・・桃さんか。石鹸といい、渡したジュースといい綺麗に桃繋がりだなあ。
「たまには銭湯もいいもんだな!」
「ふぇ!?ど、どうかしましたか!?」
「いや、こっちの事なんで」
俺は桃さんに手を引かれながら家に案内される。これからの事を想像するだけで腹の虫が暴れだす。
「うふふ・・、すぐに御料理お作りしますね♪」
今日は銭湯に来て本当に良かった。まさか、こんな可愛い子と一緒に食事するキッカケが出来るなんて夢にも思わなかった。
「早く行きましょう♥」
「っととと、そんなに焦らなくても」
「早く私の手料理を食べてもらいたいのです♪」
・・・・・・・・。
銭湯に来て、本当に良かったなぁ
少し残念ね、今日しかウチに来ないなんて。でも、一回でも充分だわ♪ちょうど今日はあの子が来る日ですし。くふふふ・・・♥どうなっちゃうかな〜♪
「あら、噂すれば・・いらっしゃ〜い。ちょうど良かったわ♪今ね・・・」
〜一番風呂〜
今日はついてないな。折角定時で帰ってこれたというのに、まさか湯が使えない状態になってたなんて。最近忙しくて業者にメンテナンス頼んでなかったのが不味かったんだよな。前々からちょっとおかしいな、とは思ってたけど。次からはこまめにみてもらおう。
「知り合いのとこで風呂を借り・・、やめとこ。アイツ確か結婚したばかりだし」
いくらなんでも新婚ほっかほかの御宅に風呂貸してくれ、というのも気が引ける。逆の立場だったら間違いなく断わりそうだし。あー、そうだ。確か近所に銭湯があったよな。一度も行った事が無いから忘れかけてたわ。なんだっけなー・・あの名前・・。ほら、あれだよ、あれ。えー・・、そうだ!金玉の湯だ!あまりにもネタな名前すぎて笑った事あったんだ。ちょっと恥ずかしいけど行くしか無いか。
風呂セットを用意して、のんびり出掛ける。えっと、ウチから2〜3分ぐらいの・・ああ、あったあった。通勤に使う道とは正反対のとこだから忘れそうだったよ。結構近いとこにあったんだな。暖簾がいい味してるわ。それじゃ、入ってみるか。お、番台が妖狐なのか、てっきり稲荷様かと思ったんだが。
「いらっしゃ〜い♪金玉の湯へようこそ〜。お一人ですか〜♪」
「・・・・・・ブフゥ!!」
「どうしました、御客様?」
「い、いえ・・・、ここって金玉・・の湯ですよね・・」
「御客様・・・・・、
ここは金玉(こ・ん・ぎょ・く)の湯でございますわ♪決して金玉(き・ん・た・ま)の湯ではありませんので御間違えのないように!」
だ、ダメだ・・。また笑いが込み上がって来る。笑うな俺、笑うな俺!なんだかきっつい罰ゲーム感覚だ。番台の妖狐さんが大声で『きんたま!』って叫ぶのってどんなシチュだよ。
「ご、ごめん、今度から・・ぷふっ・・間違えないようにします・・くっ・・」
「・・・・むぅ〜」
あまり此処に居ると怒られそうだし、さっさと脱衣所に行くか。おお・・、結構広いな。この畳と茣蓙の触り心地最高。しかも、俺が一番客か。風呂が使えなくなったのは痛いけど、この風呂を一番先に味わえる事が出来るなんて最高だな。とっとと服を脱いで放り込んで、っと。
「おー、いいねぇ。昔ながらの風呂そのままだな。まずは掛け湯をして」
風呂に入る前に掛け湯するのは当然のマナーだからな。汚い体のまま直接湯船に入るなよ?って、誰に説明してんだ、俺?んじゃ、入りますか。
「ふぁ〜〜〜、極楽極楽・・・じじくさっ!」
つい言ってみたくなる名言の一つだな。しかし、意外と客が入って来ないんだな?俺が入ってから10分以上経ったはずなのに・・。
<カラララララ・・・・>
「お?誰か来たみたいだな。・・・って、向こうか」
どうやら女湯みたいだ。ま、別にいいか。その分、一人で満喫出来るんだし。さて、体洗うとすっか。
「あー・・俺んちの風呂もこんだけ広かったらなぁ・・」
所詮、2畳ほどの広さしか無いよ!俺一人分しかスペースねぇよ!せめてもう1畳分の広さが欲しい。安月給の俺には無理な相談だけど。懐的に・・。さて、先に頭から洗うとすっか。ふはぁ〜〜、冷たくて気持ちいい。やっぱ男はクールだろ。このさっぱり感と爽快感が充実してないとな。頭皮をごりごりと削るぐらいの強さで髪を洗うのは超スッキリする。あんまり強く擦ると髪が痛む?将来が怖い?そんな事気にしちゃいかんよ?
「はぁ〜、ええ感じやー・・」
少しばかり低い温度の湯で洗い流す。これこれ、この冷たさがダイレクトに伝わってくる感覚って最高だな。次はボディソープを・・と、ありゃ?最悪だな、間違えてほとんど空の容器を持ってきちまった。あー、これどうすっかな。折角久しぶりに銭湯に来たってのに、体洗えないのはなんか損した気分だ。しょうがない、家に帰った後で水シャワーで体洗うしかないか。
「石鹸でも持ってくれば良かったな・・・」
「はい、どうぞ」
「ああ、ありがと。・・・・おわっ!?」
壁向こう、女湯との仕切り壁の上から紐で吊るされた石鹸が入ったケースが一つ。すっげーびびったけど、とりあえず使わせて貰おう。
「どなたか知りませんが、有難く使わせて頂きます」
「はい♪」
いい声だなぁ。絶対若い娘だよ、この声は。しかも、桃石鹸か。桃・・・桃・・・桃尻!ピンときた!って、アホな想像はやめとこ。貸してくれた人に失礼だろ。でも、いい匂いだ。今度から石鹸にしようかな。石鹸の香りって暫く体に残るから結構好きなんだよな。ん?という事は・・、この石鹸を貸してくれた人と同じ香りを体に纏う訳だ。・・・若い子だったらいいな。いや、きっと若い!俺はそう信じる!
「あ〜・・・桃の香りっていいなぁ」
「ですよね〜」
独り言が向こうの女性に聞かれてしまったみたいだ。すっげー恥ずかしいぞ、この状況。でも、案外悪くないな。
「石鹸貸してくれてありがとうございます」
「いえいえ、いいんですよ〜。困った時は御互い様ですから」
すっげー良い人だ。風呂から上がったら後で礼を言っておこう。では、失礼して・・。これこれ・・この泡立ちがいい。桃石鹸なんて初めて使ったけどいい匂いするんだなー。今度買って家でも使おう。ああ、気持ちええ・・。それに、若い子が使ってた石鹸と想像するだけでチンコ勃ちそうだし。ぁ、立っちまった。最低だよ、俺。
「ぁ…」
「んぅ?どうかしましたか?」
「あ、あのぅ・・・、実は私・・まだ体を洗っていない事に気付きまして・・あはは・・」
ちょっとうっかりさんな所が実にイイ。俺好みが満載してますよ。親切でうっかり屋さんで少しばかり控え目な所が実に最高ですよ!でも、どうすりゃいいんかな。あ、そうだ。とりあえずさっさと泡を流して。
「それじゃ、さっきの紐をこっちに投げてもらえませんか?」
「あ、はい・・」
仕切り壁の上から投げ込まれた紐を上手くキャッチし、石鹸ケースを括りつける。意外にも紐は丈夫そうだし、これなら簡単に外れないだろうな。端っこはきっちり手に巻いて掴んでおくか。そのまま投げ込むなんて失礼だろうし。
「それじゃ、いきますよー」
「は〜い」
石鹸を上手く投げ込み、少しずつ紐を伸ばして下ろしていく。そろそろ掴める位置だと思うけど。
「どうですか?届きましたか?」
「後、少しだけ下げてもらえませんか?」
なんで届かないんだ?さっき向こうから投げ込まれた時は簡単に届いたのに。・・あ、俺が手に巻いてる分だ。んじゃ、ちょっとばかり壁に近づけば・・。
「これで届きましたかー?」
「は〜〜い♥届きましたよ〜」
お、届いたみたいだな。んじゃ、紐を放して、と・・ん?なんか微妙に引っ張られてる感じがする。ちょっとこっちも引っ張ってみるか。よくわからんが軽く引っ張ると何か返事みたいなのしてくるな。でも、よくわからんからそろそろ手を放そう。
「・・・・・ぁっ・・」
不意に聞こえた寂しそうな声。手を放したの不味かったかな。・・・でも、いつまでも紐遊びをするわけにはいかないし。さて、湯船に浸かってのんびりするか。なんだか、少しだけ罪悪感を感じてしまったな。
静かだな。石鹸を返してからずっと無言が続いてる。この雰囲気って地味に辛いわ。でもまぁ、そろそろ時間も押して来てるし出ようか。腹も減ってきたからな。
「んじゃ、最後に水風呂の冷水を被って・・と」
くぅ〜〜、冷たくて気持ちええ。んじゃ出ますか。
<カラララララ・・・・>
どうやら向こうの女性も上がったみたいだな。ああ、そうだ。さっきのお礼に何か冷たい物でも渡そう。風呂上りで御互い体が熱いだろうし。素早く体拭いて・・早く着替えて。
「番台さーん、何か冷たいのありますー?」
「あるわよ〜。普通のがいいの?それとも精力剤?あ、もしかして・・・ワ・タ・シ♥」
「・・・・普通のでお願いします」
「ちぇ〜〜・・・、ノリ悪いね〜、キミ。そこは嘘でも『貴女の特製ジュースが飲みたいんだ、今すぐ飲ませてくれるよね?イヤと言ってもムリヤリ飲ませてもらうからな!』って言って私に覆い被さってオマンコにしゃぶりついて愛液を心ゆくまで堪能して・・」
「普通のでお願いします!」
これ以上の会話は危険すぎる。たまたま客が居なかったから良かったけど。それじゃ何を選ぼうか。牛乳は風呂上りには定番だな。俺はいいんだけど、石鹸貸してくれた人の好みがわからんしパスするか。風呂上りに炭酸飲料はあんまり飲みたくないし。飲んだ時はスカッとするんだけど・・後々になって腹が・・な。と、いうわけで炭酸は却下。なんか色々あるな。
ど・れ・に・し・よ・う・か・な?
あ、桃ジュースあるんだ。桃・・桃、そういやさっき借りた石鹸・・桃石鹸だったな。よし、これにしよう。これ2つ貰っていくか。
「んじゃ、これ貰っていくよ」
番台さんの前に代金を置いて入り口前の休憩椅子に座りのんびり女性が出てくるのを待つ。番台さんが何か独り言みたいなの言ってたけど何だったんだろ?
「・・・・クフフッ♪桃ジュースを選ぶなんて・・これも運命かしらね♪」
椅子に座ってのんびり寛いでいると真後ろにある女湯のドアが開く音がした。さっきの女性が出てきたんだろうな。石鹸の礼も兼ねて桃ジュースを渡すか。
「さっきは石鹸を貸してくれて・・・」
振り向いた先に居たのは白蛇さんだった。腰まで届いた白い髪にちょっと温和そうに見える垂れ目。風呂上りのせいか、ほんのり朱に染まった頬。それに。
「・・・・・(やっべぇ・・・。タンクトップブラの上に7分袖のワイシャツとかエロすぎんだろ・・、しかも風呂上りのせいか汗でちょっとだけ透けてるし)」
「あの・・何か・・?」
「ぁ、あの・・石鹸貸してくれて助かりました。そ、そうそう・・風呂上りで体が熱いでしょうから・・これをどうぞ」
持っていた桃ジュースを渡し、なるべく直視しないように顔を背ける。
「あ、ありがとうございます♪私、桃ジュース大好物なのです♪」
よ、良かった。なんとなくの思いつきで買ってしまったが好物で良かった。お礼も言ったし渡す物も渡したし、早く帰ろう。いつまでもここに居たら精神的に良くない。主に俺の無節操な息子が。風呂上りのせいか、僅かだがブラが湿ってるのがわかる。おかげで乳首の形がくっきりと浮かび上がってるのが見えた。早く帰って飯食って寝よう。ああ、そうしよう。そうじゃないと勃起しかけのチンコがばれてしまう。
「それじゃ、俺はこれで・・」
グゥゥゥゥゥ〜〜〜〜
うわ、めっちゃ恥ずかしい。こんな時に腹から大音量が・・。
「ま、待ってください!」
いきなり何だろうか、出来れば手短にしてもらいたいんだが。そうじゃないと、もう既に8割近く勃起しちまった節操の無い息子が暴れそうなんですけど。ついでに言うと腹も減ったし・・減ったし。
「あの、・・今・・お時間ありますでしょうか・・」
「あ、ああ・・帰っても飯食って寝るぐらいだし・・」
「あ、・・あのっ!一緒に・・御食事しませんか!」
ぐぅぅぅぅ〜〜〜・・きゅるるぅぅ〜〜〜
俺の腹が代わりに返事してくれたようだ。すっげー恥ずかしいぞ。でも、白蛇さん可愛いし・・こんなお誘いを無碍にしたくないし。ここは腹の虫と同じように正直に行くか。
「それじゃお言葉通りに一緒に・・・(グゥゥ〜〜〜)、・・・行きましょうか」
「ふふっ♪それでは行きましょう」
「あ〜〜〜、なんだか急にあっついわね〜?どうしてかしら?」
番台の妖狐さんがジト目でこっち見てる、早く出よう。焦ってつい無意識に白蛇さんの手を握ってしまった。
「あっ・・・」
「あっ・・・」
御互いに顔を真っ赤にしながら銭湯を出る。白蛇さんの手、柔らかくていい。ずっと握っていたい。
「それで・・どこに行きますか?」
まだ何も考えてなかった俺の質問に笑顔で答えてくれる白蛇さん。
「わ、私の・・手料理などは如何ですか?」
ああ、最高すぎる今日の晩飯。もし石鹸を持っていたら・・ボディソープが満タンだったら出会えなかったんだろうな。今日、銭湯に行く前に確認しなかった俺、本当にありがとう!
「本当ですか!?・・あ、えっと・・・」
「ぁ、私の事は・・桃・・って呼んで欲しいです・・」
桃、・・桃さんか。石鹸といい、渡したジュースといい綺麗に桃繋がりだなあ。
「たまには銭湯もいいもんだな!」
「ふぇ!?ど、どうかしましたか!?」
「いや、こっちの事なんで」
俺は桃さんに手を引かれながら家に案内される。これからの事を想像するだけで腹の虫が暴れだす。
「うふふ・・、すぐに御料理お作りしますね♪」
今日は銭湯に来て本当に良かった。まさか、こんな可愛い子と一緒に食事するキッカケが出来るなんて夢にも思わなかった。
「早く行きましょう♥」
「っととと、そんなに焦らなくても」
「早く私の手料理を食べてもらいたいのです♪」
・・・・・・・・。
銭湯に来て、本当に良かったなぁ
14/07/26 14:52更新 / ぷいぷい
戻る
次へ