〜もしも〜 堕ちてゆく人達
もしも、誰もがパーラーの存在を当たり前のように知る事になったのなら・・・。
ピンクの霧が日本を覆い尽くしてから早半年。今まで極秘裏に進んでいた魔物娘達の行動が明るみになった頃、ネット上に嘘か真か既に魔物娘を娶った男性達の画像が掲載された。セイレーンを抱き寄せる若者、アリスに肩車している大学生、家族写真だろうか妖狐2人に左右から腕を組まれている男性と僅かながらも載せられていた。その画像を見ていた若い男性が一人呟く。
「ほ、本当にこんな世界になるなんてな・・・」
まだ数少ない魔物娘の画像を見ながら悦に浸る男性。個人の紹介や種族などに目を通した後、最後のコメントで驚愕の事実を知ってしまう。
「ふ〜ん・・出逢いは・・。・・・ぇ?パー・・ラー・・・DE☆A☆Iだと・・・!!」
正直ありえない話だ。それは男性が小説を投稿しているサイトの中で稀に読む程度のSSの話だったからだ。だが、男性は思った。こんな世界になったのなら・・・常識が通用しなくなるはずだ、と。男性は何か意を決したようにSS投稿サイトである『クロビネガ』を自室のPCで開いた。
「・・・えと、確か筆者はプイプイさんだったか?いや、ぷいぷいさんだったか?」
男性はサイトを開いた瞬間、速攻でチャットルームに突撃する。
ひん槍:こんばんは、お久しぶりです
G13 :こんばんは
Ganota:ばんわー
・
・
・
緑の姫君:こんばんは
この男性はチャット上では【ひん槍】と名乗っている。ひん槍は挨拶もそこそこにパーラー筆者である【ぷいぷい】が入室しているか確認した。居た。入室者メンバーの中に筆者である【ぷいぷい】の名があった。だが、普段なら真っ先に挨拶が返ってくるはずなのに全く返答が無い。
ひん槍:ぷいぷいさん居ないのか!
G13 :結構前から居たけど反応無いよ
Ganota:パーラー2部でも書いているんじゃないかな?
・
・
緑の姫君:・・・さっき居たはずだけど・・・
ひん槍:なぁ、ニュース見たか!あの妖狐二人に腕組まれてるやつ!
G13 :見ましたよ!いい家族でしたね〜
Ganota:ああ・・あれだろ。出逢いはパーラーでした、ってコメントで気になって此処に来たんでしょ・・
緑の姫君:・・・
やはり知られていたみたいだった。流石は魔物娘に超絶敏感なメンバー。
G13 :えと、さ・・。今更こんな時に言いにくいんだけど・・。
ひん槍:ぇ?なになに?何でも言っていいよ
Ganota:?
緑の姫君:・・・(察し
G13 :自分の嫁はデュラハンのグリシアです!
ひん槍:もげろよ!チクショウォォォォォ!!
Ganota:爆ぜろ!w
*(わからない方は【憧れの騎士と剣と鞘】を読むとわかります)
ちくしょうぉぉ。あのSS通りになってやがったのかー!だったら俺もパーラー探してやるよ。悔しさの余り筆者であるぷいぷいに何度も話しかけるが応答無し。焦りが俺の中で生じてくる。早く気付いてくれよ、と何度も打ち込むが返事が返ってこない。
ひん槍:なんでこんな時に限って居ないんだよ!
G13 :さぁ?
Ganota:もしかして寝落ちしてるんじゃないのか?
緑の姫君:・・・ぷいぷいさんなら腰痛が再発したらしくて休んでますよ
ひん槍:まじで!?って、なんで知ってるんだよ
緑の姫君:さっき、ささやき送信で腰痛が再発したから少しだけ休むって
なんというタイミングの悪さ。このままだとパーラーの居場所が聞けないじゃないか。と、突然ぷいぷいの名が消え退出してしまう。
ひん槍:ちょ!なんで落ちたんだ!
G13 :たまに無言で落ちるよね
Ganota:もしかして聞いてた?
緑の姫君:いえ、たぶん回線落ちかと。気が付いたら大抵入ってきますよ。たまに戻って来ない時もありますが・・・
ひん槍:戻って来てくれーーー!(切実
G13 :ぁ、ごめん。ちょっと嫁に呼ばれたので
緑の姫君:・・・・・
ひん槍:・・・・・
Ganota:・・・・・
嫁という一言で現実に戻された3人。ひん槍は自室でPCを前にして項垂れていた。このまま筆者が気付いて戻って来るのを待つか、それとも今日は諦めて明日もう一度入室するべきか。きっと他の2人も同じ思いだろう。そして午後11時半を回った頃、ぷいぷいの名が入室者に再度加わる。
ぷいぷい:・・・いやぁ、腰痛再発した挙句落ちちゃってたよ(汗
Ganota:お、お久しぶり&こんばんは
緑の姫君:こんばんは
G13 :こんばんは さっきひん槍さんが何度も呼んでたよ
ぷいぷい:ん〜・・・?あぁ、パーラーの事ね、まさか自分のSSが現実になってたなんてねw
ぷいぷい:んで、ひん槍さんは?
今度はひん槍が寝落ちしてしまっていた。折角のチャンスなのに探していた本人は日頃の疲れからかPCの前で項垂れたまま熟睡していた。
ぷいぷい:居ないの?・・・じゃ、自分はもう寝ます
Ganota:待った!ぷいさん、もし・・もしだけど、SSの中で次に出すパーラーの予定地とかもう決めてる?
緑の姫君:・・・(ワクワク
ぷいぷい:いや、それは明日にでも考えようかと・・。どうしたの?
Ganota:明日か・・・、全裸待機して待ってます
そしてパタンという音と共に退出してしまった、ぷいぷい。ひん槍が目を覚ましたのは深夜1時頃だった。結局は聞けなかった。だが、今日はパーラー予定地を決めて入室してくるはず。ひん槍はそれを超期待してベッドに潜った。
朝6時を過ぎた頃、ひん槍は起床しPCの電源を入れサイトのチャットルームに入室したまま放置し仕事に出掛けた。帰宅した際に筆者が入室している事を祈りながら。
帰宅し、風呂や飯よりも先にPCを確認する。入室者の中にまだ筆者は居ない。ひん槍は安心して風呂と飯を済ませ余裕の足取りでPC前に座る。待つ事30分、まだ筆者は入室してこない。1時間経った。でもまだ来ない。イライラしたひん槍はモニターを鷲掴みにして揺さぶる。
「なんで来ないんだよぉぉぉ!今日インするって言ってたはずだろーーー!」
ただいまの時刻は21:13。本来なら居てもいいはずの時間帯なのに筆者は入室してこない。もしかして腰痛のせいで入って来れないのだろうかと考え始める。腰痛で苦しんでいるぷいぷいさんには悪いが俺には夢がある。俺はホルスたんとイチャラブしたいんだ。だから早く入ってきてくれ。そしてパーラーの居場所を教えてくれ。
そして21:30を少し過ぎた頃、筆者が入室してきた。
ぷいぷい:こんばんは
ひん槍 :こんばんは!さぁ早く巨乳ホルスたんとチュッチュする為にパーラーの居場所を吐くんだ(キリッ
G13 :こんばんは。出来れば自分も知りたいです
Ganota:アンタはもう嫁が居るだろ!
緑の姫君:こんばんは、本気でPC前で全裸待機してました
待つ事数分、ぷいぷいさんが次にパーラーを出す予定地をチャットに打ち込んだ。
ぷいぷい:一応だけど、次の出現予定地は●●県●●市にしてるんだけど
G13 :ほぅ、・・・ちょっと遠いけど行けない事は無いなぁ
Ganota:更に詳しく(ワクテカ
緑の姫君:・・・行ける場所だけど所持金大丈夫かなぁ
細かい詳細を語ってくれる筆者。次に聞くのは日時だ。
ひん槍:それで、いつパーラーを出すんだ!ハァハァ・・・
ぷいぷい:ん〜・・、出来れば次の休日かな。下手に平日にすると不公平になりかねないし
G13 :GJ!!(´・ω・`)b
Ganota:いいね!!
緑の姫君:全裸待機ちょっと寒かったので服着ます
ひん槍:これで克つる!!
細かい詳細を聞いた俺は財布の中身を確認する。上手いタイミングで先週は給料日だったので懐は温かい。まるで俺の懐事情をわかってて決めたようなタイミング。これでホルスたんは俺の嫁。細かい詳細を聞いた後は普段通りの会話が始まるが、やはり会話のネタはパーラーになってしまった。
それから数日後、とある街にひん槍が到着する。時刻は午前5時を回ったばかり。更に1時間後、そこにGanotaが合流した。
「あ、初めまして。ひん槍と申します」
「こちらこそ初めまして、しがないSS書きのGanotaです」
御互いに挨拶し、目的地に向かって歩き出す二人。これから探すパーラーがどんな店か想像しながら御互いに嫁自慢をする。
「やはり巨乳ホルスさんの柔らかオッパイを揉みながら搾乳するのは男の浪漫だな」
「俺はB以下のぺたん娘のちっぱい乳首に左右から挟まれてみたい」
「ところで、・・・・肝心の筆者のぷいぷいさんは何故居ないんだ?」
「それはちょっとわからんねー?」
二人は日頃から語っている【俺の嫁】をのんびり力説しながら予定地に到着したが、そこには何も無い。
「・・・なんで何にも無いんだ・・」
「・・・いや、普通無いでしょ。まだ7時前だし」
「・・・あ!そうか、パーラーは普通は10時オープンだもんな!ちょっと早く来すぎたか!」
「そういやSSでも朝早くに開店してるなんて一度も書いてなかったし」
普通の店なら開店は10時。そんな当たり前の事を完全に失念していた二人は近くに時間を潰せる所はないか考える。
「開店まで後3時間か・・・、どうします?どこか近くでモーニング出してる喫茶店でも探しますか?」
「そうですねぇ・・、流石に3時間も此処で待つのは・・」
二人は周囲を見渡すと一軒の喫茶店を見つける。
「お、ちょうどいい位置に喫茶店あるじゃないか」
「ちょうど斜め向かいか・・・。張りこみにはうってつけですね」
二人は喫茶店に入ると窓際に席を取りいつでも出撃出来るように何も無い土地を見張る。その姿はまるで立て篭もり犯を炙りだすかのような真剣な眼差しを持った刑事のようだ。ひん槍とGanotaは揃って同じ注文を頼み外を眺め続けると、隣の席で独り言を呟く青年と目が合う。
「まだかなぁ・・・、モンムスとか早く打ってみたい・・」
「・・・ん?」
隣の青年は確かに今【モンムス】と言った。確証は無いがとりあえず訊ねてみる。
「あの、もしかして・・今モンムスって言いました?」
「・・・?え、もしかして・・・もしかしてですが・・ひん槍さん・・ですか?」
「あぁぁぁあぁーーーー!やっぱり!あんた緑の姫君だろ!!」
「うえぇぇっぇえええええええ!緑氏だとおおーー!」
話の途中からGanotaも加わり、これからの事を話し合う。
「な、なぁ・・・、本当にあそこに出ると思うか・・?」
「わからん・・・それはぷいぷいさんの言葉が本当なら出てくるはず・・・」
「私は信じてますので・・、それに昨日の晩から此処で待ってるんですから出てくれないと困ります」
「・・・・昨日の晩って・・」
「俺達も他人の事を言えないが・・緑氏、あんたいつから居たんだよ・・」
「・・・昨日の晩10時頃から・・。それで朝6時にこの店が開いたのでそれからずっとこの店で待ってますけど」
俺達二人以上にバカが居た。だけど、こんなバカが居てもいいじゃないか。それだけ魔物娘を愛しているのだから。それから3人はモーニングを食べながら窓から外を見つめ、これからの行動を確認しあう。先に口火を切ったのはひん槍だった。
「ええと、だな。まずは所持金だが・・二人共いくらぐらい持ってきた?」
「俺は・・虎の子のへそくり15万持ってきた!」
「私は・・なんとか頑張ったみたのですが・・8万ほど・・しか」
「ちょ!8万はヤバイだろ!あんた確かエキドナマニアだったよな!SSだと8万でなんとかドラゴンだったんだぞ!」
「・・・そうなんですよね・・・。もしかしたら自分には店が見えないかもしれませんし・・」
「いやいや、まてまて。例え所持金が8万でも店が見えたらいいだけの話じゃないか」
そうだ。例え所持金が多くても店が見えなくては意味が無い。所持金の多さで入れる訳じゃないんだった。SS通りだと相性が100%の子が居ないと見えないし入れないはず。
「や、やばい・・。俺・・給料のほとんど持ってきちゃったけど・・店が見えなかったらどうしよう・・」
「きゅ・・給料のほとんどって・・」
「20万以上とか・・・ですか?」
ひん槍は黙って頷く。迂闊な行動だったと反省する。所持金の多さで店が見えるんじゃない、相性で視えるんだという事に。ひん槍は、もし見えなかったらという恐怖で体を僅かに震わせ時間を確認した。
「いつのまにか・・・もう9時か・・。9時半になったら・・あの前で待たないか・・」
「・・・同意」
「・・・ええ」
9時半になると、3人は同時に席を立ちレジに向かう。ひん槍は5千円札をレジの前に置き「3人分だ、釣りは要らん!」と言い二人を引き連れ店を出る。レジ打ちをしていた女性が驚いていたが、これからの事を考えるだけで5千円程度なんてどうでもいい。3人は喫茶店の向かいの空き地に腰を下ろすと無言で待ち続ける。
そして5千円札を受け取った店員はと言うと・・・。
「ウフフ…♪頑張ってね、3人共♪」
ただいまの時刻9:59。後1分で入れるかどうかが決まる。俺達3人は固唾を呑んで空き地を凝視した。なんという長い時間だろうか、たかが1分がこれほど長く感じるなんて今まで味わった事が無い。そして10秒前。3人揃ってカウンドダウンする。これは誰が見えても見えなくても恨み無しという事で決めたルールだ。
「10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」
「「「0!!!」」」
0と叫んだと同時に目の前の空間が歪み出す。その様子を俺達3人は彫刻のように固まったまま見つめ続ける。
「おおお・・・本当に・・出てきた・・」
「ゴクッ・・・・、お、俺・・あんまり信用してなかったけど・・騙されて元々で来て良かったよ・・・」
「・・・み・・視えるよ・・。本当に・・SS通りに空間歪ませながら出てくるなんて・・」
俺達3人の前にSSで読んだイメージ通りのパーラーDE☆A☆Iが出現した。ちょっと古めかしい、だけど温かみのある雰囲気。それになにより・・。
「本日はパーラーDE☆A☆Iに御越し下さり有難うございます。当店では御客様に最高の出逢いと幸せを提供する事をモットーにしております。本日は心ゆくまでごゆるりと・・・」
リリム店長キタ――――!!SS通りの美しさ、最高の美貌の持ち主、見るだけで勃起しそうになるほどの妖艶で豊満な体つき。前に突き出ている角は最高級の芸術品じゃないかと思えるほど綺麗だ。俺達3人は店長の一挙手の動作だけで呆けてしまう。
「御客様、あまり私に見惚れていますと肝心の子が嫉妬してしまいますわよ?」
そうだ、俺達は目的があって此処まで来たんだ。だが俺は店に入らずスマホを取り出しサイトに繋ぎチャットルームに入室する。
「なんで入らないんだ。って、なんでチャット・・?」
「チャット・・ですか?」
俺はチャットルームに入室し、肝心の筆者が居るか確認した。居た、いつものように入室している。だけど何故ルームに居るんだろうか。
ひん槍:ぷいぷいさん!本当にパーラーDE☆A☆I見つけたぜ!
ぷいぷい:・・・そっか・・。おめでと・・
ひん槍:どうした?そういや、・・・なんでこの場所知ってるぷいさんが此処に来てないんだ?
ぷいぷい:・・・・また、・・腰痛再発した(泣
ひん槍:・・・なんか、ごめん
俺は手短に会話を終了させるとスマホの電源を切り3人一緒に店内に入る。
「ぷいぷいさん・・居たのか?」
「ん、ああ・・・なんで此処がわかってるのに来ないんだ?って聞いたら・・・また腰痛再発したって・・」
「ぷいぷいさん・・悲惨な・・」
一番の功労者でもある筆者が腰痛で来れないのは痛い。何が痛いかって。それはもちろん、これから起こる事にどう対処したらいいかは筆者であるぷいぷいが一番わかってる事だ。
「とりあえず・・・何を打つか、だな」
「俺はもちろんモンムスパラダイスでドッペルたん狙いだ!そしてあわよくばメデューサたんも狙う!!」
「私は・・エキドナ様さえ居てくれたら・・」
三者三様に口を開き逢いたい魔物娘を語る。ひん槍は言うに及ばずホルスたん狙いだ。3人は店内に設置されている台を一台一台念入りに確認した後、入り口横に設置してある長椅子に腰掛ける。
「俺は【翠の丘】を打ってくる!」
「俺はドッペルたん狙いで【モンムス】だ。それから【深緑の隠れ里】を打つ!」
「私は・・・【勇者の行く末】を打ちます」
三人が方針を固めていると自動ドアが開き出す。どうやら店が見える人が入ってきたようだ。だが、入ってきたのはデュラハンを連れた青年。何か妙に憶えのある組み合わせだ。
「ぁ、居た居た。緑氏来てたんだ」
「・・・G13さんかーーーー!!」
「クッ・・・、嫁が居るのになんで居るんだよ!」
「いやぁ、チャットで見てたら何か気になってさ。それにグリシアと逢えた想い出の場所だし。もう一度来てみたかったんだよ」
---チャキッ---
「・・・サーティ?もしかして打つ気なのか?もし・・そうなら・・」
おぉぉぉ、デュラハンの目が怖い。G13の首元にでっかい剣をピタピタと当てている。
「まさか、それこそ無い無い。ただ、ここの店長に御礼が言いたくて来たぐらいなんだから」
「そ、そうか・・。うむ、ならばいいのだ」
「グリシアは本当に心配性だなぁ」
「アッ・・、やめないか・・。人が居る前で・・」
俺達3人の前で乳繰り合う2人。この負け気分は一体何だろう。Ganotaも緑も見えない血涙を流しているようだ。だがそれもここまでだ。これから俺達は最高の嫁を手に入れるのだからな。俺達3人は狙った台に座り金を投入する。上手い具合に俺達は隣同士の島に座っている。手前の島には俺が、通路を挟んで奥にGanotaと緑が座っている。御互いに現状が把握出来るのは有難い。そして俺達は銀玉に願いと想いを込めて同時にハンドルを握った。
打つ事10分、わずか10分でGanotaの台にリーチが掛かったようだが御目宛の子じゃなかったようだ。だが、Ganotaの様子が少し変だ。なんだか悶えているような、葛藤しているような雰囲気だ。
「お、おい・・?どうしたんだ?」
「い、・・いや・・・マーメイドの子だったんだけど・・、この子もいいなぁって・・」
「おいおい、しっかりしろよ?御目宛はドッペルたんだろ?」
ひん槍がGanotaの気をしっかりさせようとするがGanotaの心は妥協しかかっている。
そんな時、不意に緑が思い出したかのように台の特性を教えてくれた。
「そういえば、・・・G13さんの時って・・・キャラに誘惑されまくってやつれたんだよね・・」
そうだ、SS通りなら一回リーチが掛かる毎に誘惑が襲いかかってくるんだ。それも妥協してもいいかな、という二番目三番目の好みの子が・・・。
「・・・こ、こえぇぇ・・。これって・・半分拷問みたいなもんじゃねぇか」
「今更ながらに・・超博打台なんだな・・これ」
「当てれば・・いいだけの事です」
「緑、案外落ち着いてるな」
「私はエキドナ様さえ来てくれたら満足ですので・・・」
緑は無言で画面を見つめたまま打ち続けている。ひん槍も緑を見習って無言で打つ。Ganotaはリーチが外れて安堵したのか気を取り直したようだ。三人無言でひたすら打つ。静寂が店を支配する中、入り口横の長椅子ではG13とデュラハンのグリシアがディープキスをしていた。
「んんっ・・、な、なにも・・こんな所でしなくても・・」
「君と初めて出会った場所なんだからいいじゃない」
「だからって・・そんな・・あっ!」
チラリと横を見ればG13がグリシアの胸当ての隙間に手を突っ込んでいる。鎧の下から直接揉む気のようだ。ひん槍は悔しさの余り反対側に首を回すと隣の島で打っているGanota、緑と目が合う。どうやら二人も見ていたようだ。ひん槍は二人に無言のまま空いてる左手でゼスチャーを送る。
「・・・・(絶対に勝つぞ!!)」
「・・・・(当たり前だ!あんなの見せつけられて我慢出来るか!!)」
「・・・・(エキドナ様のおっぱい・・エキドナ様にロールミーされたい)」
黙々と打つ事1時間、なかなかリーチが掛からず焦りが生まれる。そんな中、緑の台にリーチが掛かり残された二人は焦りだす。
「ぅおおおぉぉ・・・、やべぇ!緑が一番乗りになるのかよ!」
「ドッペルたーーーーん!俺だ!来てくれぇぇーー!!」
しかし、緑が打っている台に掛かったリーチはバフォメットだった。
「・・・ロリは趣味じゃないので・・」
その言葉通りにキャラクターは素通りし、外れてしまう。
「・・・おおおお・・・、緑すげぇな・・」
「俺だったら・・バフォたんのちっぱい欲しさに堕ちるとこだったよ・・」
冷静に対処した緑だったが、よく見ると額には薄らと脂汗が滲み出ていた。
「・・・本当は怖かったんだな・・」
「・・・さっきの俺の状態か・・」
「・・・・・・あっ・・、ど、どうしよ・・」
「どうした緑!」
「連続リーチ・・しかもWリーチだよ・・・」
緑の台に掛かったWリーチはドラゴンとメデューサ。緑は蛇フェチでもあるのでメデューサもどうしても喉から手が出るほど欲しい。
「ううううぅぅ・・・。ドラゴンとメデューサのWだなんて・・」
「えっ!マジで!?その台にメデューサ出てるのか!」
「しっかりしろ!堕ちるなよ!エキドナ一択なんだろ!」
メデューサはチラチラと画面を見つめる見事なツンデレ状態で待機している。そしてドラゴンは画面越しにこちら側を睨みつけているような雰囲気だ。
「ああぁぁぁ・・・、メデューサも可愛いなぁ・・」
「おおぃ!マジやべぇよ!」
「ゴクリ・・・ああ、俺でもドラゴンとメデューサがWで来たら・・あんな風になるな・・」
Ganotaとひん槍は堕ちかけ寸前の緑を見て本当の意味の堕落を知ってしまった。これ以上の恐怖は一生味わえないと。緑がメデューサに呆けている間にGanotaの台にもリーチが掛かった。
「ウッ!!・・・やべぇ、・・・・・・幼女稲荷だ」
ちっぱい好きのGanotaにはなかなか魅力的な魔物娘だ。だがちっぱい好きと言っても幼女嗜好では無い。
「確かに・・確かに稲荷は可愛い!!だけど俺は成熟したちっぱい女性がいいんだ!」
その言葉も虚しく幼女稲荷が当たり桝目に近づいてきた。
「ちょおおおおーーー!なんで近づいてくんのーーー!!」
当たるかと想った瞬間、当たり桝目1個手前でピタリと止まる幼女稲荷。外れた悲しさからか、幼女稲荷は両手を頬に当て泣いていた。
「な、なんだこの罪悪感みたいなのは・・・」
外れた幼女稲荷が泣いているのを見ていると胸が締め付けられる思いだ。こんな思いを当たるまで味わうなんて考えられない。そう思うと御目宛をきっちり当てたG13が尊敬出来る。
「はぁ〜〜・・・。これを後何回味わうんだ・・」
Ganotaが横を見ると緑も外れたのか安堵の表情でぐったりしている。
「緑、大丈夫か・・?」
「な、なんとか・・耐え、ました・・」
緑とGanotaがぎりぎり理性を保ちながら打っているとひん槍の台にもやっとリーチが掛かる。碧の草原の丘で昼寝しているワーシープの姿が映る。ワーシープの姿を見た途端、ひん槍の額から大量の汗が噴出した。
「何で・・・なんでワーシープで・・しかもスーパーリーチになってしまうんだ!!」
丘の上で寝ていたワーシープはゆっくり目を覚ますと自分の膝をポンポンと叩き膝枕を勧めてくる。
<一緒に〜〜、御昼寝しましょうよ〜〜♪>
「くぅっ・・・、ワーシープのモコモコ巨乳・・・可愛いじゃないか・・!」
画面に映っているワーシープもホルスタウロスに負けず劣らず中々の巨乳だ。さぞ揉み甲斐があるだろう。搾乳を味わいたいひん槍にとってはワーシープのミルクも興味がある。
「羊のおっぱいミルクって・・美味いのかな・・ジュル・・」
ひん槍は無意識に涎を垂らしていた。乳牛ではなく、羊のミルクも味わってみたいと欲望の鎌首がゆらゆらと心の中で揺れる。涎がツツゥーと落ちた時、ひん槍のこめかみに100円玉が直撃した。
「あいたっ!!・・・何すんだGanota!」
「お前・・涎垂らしながらワーシープ見てたぞ!」
「エッ!マジか!?」
隣から見ていた二人が無言で頷いた。気が付けば口元に涎の跡があった。
「す、すまん。助かったよ・・・」
気をしっかり持つとワーシープは何事も無かったように昼寝に戻り外れてしまった。どうやら誘惑さえ乗り切ればなんとかなるようだと確信したひん槍は二人に手助けを求めた。
「なぁ、もし御目宛じゃない子が来たらさ・・・御互いに物でもぶつけるか殴るかしないか?」
「なんでそんな事しなきゃ・・・、そうか!それなら痛みで一瞬だけ誘惑に勝てるな!ひん槍さん賢いッス!」
「・・・たぶん無理。実はさっき・・誘惑に負けそうになった時、自分の太腿つねって耐えてたけどそれでも危なかったから・・」
どうやら緑は既に実践していたようだ。多少の痛みでは一瞬だけ逃れてもすぐに誘惑されるようだ。
「マジか・・・、打つ手無しか・・」
「理性で耐えるしか無いのか・・」
「・・・もう逃げたい気分です」
それから先は悲惨な光景だった。御目宛じゃないけども居てくれると嬉しい魔物娘のリーチばかり掛かり三人共一気にやつれてしまっている。開店と同時に意気込んで入って来た時とは大違いなほどやつれていた。
「ぁぁ〜〜・・、Ganota・・・今ので何回目のリーチだ・・?」
「・・・・もう数えてないです。緑は・・?」
「・・・もぅ、・・・帰りたい気分です・・」
「・・・所持金は・・まだ半分どころか三万も使ってないのに」
「俺も・・まだ三万しか使ってませんよ」
「私も・・まだ二万六千円ほどしか・・」
ぐったりとやつれた三人だったがGanotaの台に待望のドッペルリーチが流れ込む。
「・・・ぁ〜・・もうなんでもいい・・・って!!おおおおっ!キトゥワーーー!!」
「どうした!?もしかして来たのか!?」
「・・・!!アッ!ドッペルのリーチが!!しかもSS通りの満月からのリーチ!」
SS通りの満月からのドッペルリーチ。月が欠けていく毎にドッペルの白いうなじがチラチラと見える。
「おおおぉぉぉぉ・・・・、こ、これが・・あの満月からのリーチなのか・・!」
月が新月に近づくにつれてドッペルの動きが少しづつだが緩くなっていくのがわかる。
「こ、これは・・確定ですかーーー!確定なのですかーー!?」
Ganotaは興奮し、大声を出して歓喜する。
「ちくしょーーーーー!!先越されたーーーー!!」
「ま、負けられません・・」
二人の予想通りに月が欠け新月になった瞬間、ピタリと当たり桝目に止まるドッペルゲンガー。
「ち、・・・ち・・・・・・・」
「「ち?」」
「ちっぱいキター!!」
呆れ顔の二人を尻目にGanotaは皿に残っていた玉を打ち出し念願の金貨を手に入れる。
「・・・・フッ、・・・とうとう・・念願のドッペルたんを手に入れたぞ・・」
「何かっこつけてんだよ・・、まだメデューサ狙ってないだろ」
「メデューサは【深緑の隠れ里】と【砂上の薔薇】で出てくるみたいですね」
「よっしゃ!【深緑の隠れ里】を打ってくる!!」
御目宛のドッペルを手に入れた事でテンションが昂り別の台に移動していくGanota。
「・・・Ganota、とうとう当てたな・・」
「そうですね、・・・私達も早く当てましょう・・」
二人黙って黙々と打つ。先を越された焦りからか、心が妥協しかかっている緑とひん槍。
「なんでもいいから当たってくれーー!」
「ラミアたん・・メデューサたん・・・白蛇たん・・」
「・・・・ハッ!!違う!俺はおっぱいがいいんだ!じゃない!ホルスたんとチュッチュしたいんだ!」
「全ての蛇にロールミーされて・・・、!!・・・危ない・・・初めの目的を忘れる所でした・・」
心を揺さぶられながらも当初の目的を思い出し一心不乱に打つ二人。そして隣の島では・・・。
「アッーーーーーー!!巨乳ハニービーのリーチがぁぁっぁぁぁぁぁーー!」
ドッペルたんを手に入れた勢いはどこへやら、初めの勢いに戻ってしまっているGanota。
3人が苦戦している中、長椅子ではG13とグリシアが御互いの性器を触り合いイチャイチャしている。
「グリシアのここ・・、すごく濡れているよ・・」
「そういうお前のここも・・立派に硬くなって・・」
その様子を涙を流しながらも無視しひたすら打つひん槍と緑。隣を見れば愛撫の最中、前を見れば変化しない画面。悲しみと失意をひしひしと感じながら一縷の希望を胸に抱き、玉を打ち続ける。そして次に変化が来たのは緑だった。
緑が打っている台の画面が横にスクロールしていき、エキドナの顔に懸賞金$100000000と書かれた手配書が画面に張り出された。
「ぁ・・ぁぁっ・・・、やっと・・やっとエキドナ様のリーチが・・・」
「エキドナのリーチが来たのか!」
「長かった・・本当に長かったよ・・」
緑はエキドナのリーチが確定した事に喜ぶが、ひん槍は違和感を感じていた。
「なぁ・・、いくらなんでも早くないか?」
「・・・ぇ?なんで?」
「いや、だってさ・・、エキドナって一番最初は絶対に腕試しするだろ・・」
「・・・・・ああっ!も、もしかして・・・最低でも二回は・・リーチしないといけないのですかーーー!」
ひん槍の予想通りにエキドナのリーチは簡単に外れてしまう。
「ウウッ・・・、やっと・・やっと当たると思ったのに・・・」
緑は本気で泣いている。念願のエキドナが手に入ると思ったのも束の間。何の発展も無く別キャラが止まったからだ。
「な、泣くなよ・・。俺だって・・全然来ないんだから・・」
御互いに情けない顔をしているのがわかる二人。そして隣からはまたもや・・。
「グリズリーが!!グリズリーが襲ってくるぅーー!!」
Ganotaも苦戦しているようだった。何とも言いようが無い雰囲気の中、ひん槍の台に待望のリーチが飛び込んできた。
「キ、・・・キター!!って!ホルスたんとワーウルフのWだとぉ!?」
ゆっくりとキャラクターが回っていると、ホルスタウロスが画面中央に現れ布の胸当てを外すと、自らの豊満な乳を搾り回っているキャラクター達にミルクをかけていく。
「おっ・・おっ・・、おふ・・・、おお、おっぱいおっぱい・・」
ホルスタウロスは自分のキャラクターに大量のミルクをぶちまけるが外れてしまった。そして、ひん槍はホルスたんのおっぱいリーチを見て見事に勃起していた。
「おお、おっぱいでけぇ・・・。次こそは当ててやる!!」
望みのホルスたんリーチを見て感動すら憶えている。あの巨パイをもう一度見る為にひん槍は打ち続ける。3人の沈黙が続く空間で聞こえてくるのは長椅子で事に励んでいる二人の嬌声。グリシアの両手を長椅子の背に掴ませバックから突いているG13。ただ、この二人の声だけがBGM代わりに店内に響き渡る。
G13とグリシアの一回戦目が終わった頃、ひん槍の台にまたもや念願のホルスタウロスのリーチが飛び込む。
「お、お・・おふ・・・。今回はホルスたん単騎のリーチだ・・・、おお・・巨パイでっけぇ〜・・・」
キャラクターがくるくる回るだけかと思われた時、ホルスタウロスが回っているキャラクターを一人ずつオッパイで挟んで潰していく。
「ばっばっばばっば・・、爆乳サンドイッチキターーーー!!」
一人ずつペチャンコにされるキャラクター達、そして最後に流れてきたホルスタウロスも挟まれてしまう。
「アアッ!!だめ!頼むから潰さないで!!」
ぎゅぎゅっと巨乳に挟まれたホルスタウロスだったが巨乳の谷間から弾け飛び綺麗に縦一列にキャラクターが揃う。
「・・・・・・・・・」
「・・・?どうしました?」
「き・・きき・・きたぁぁっぁーーーーー!爆乳ホルスたんがキター!!」
充血しまくったような血走った目で入賞口に残っていた玉を打つ、そして玉が全て飲み込まれた瞬間・・・。
「あぁ・・、おおおおお・・・。こ、これが・・・俺だけのホルスたんなのか!!・・・名前は・・メーリィン・・・可愛らしい名前じゃないか!」
下の受け皿から出てきた金貨を摘み感動するひん槍。金貨に描かれたホルスタウロスの温和そうな顔付きがひん槍の興奮を更に高めていく。
「おお、・・もろ俺好みのホルスたんだ・・。これで明日からは俺も・・・ホルスたんのおっぱいミルクをおはようの挨拶がてらにチュッチュ出来るんだ!!」
金貨を手に入れた嬉しさからか、明日からの性活を想像しているひん槍。そんな感動の中、例の如く聞こえるGanotaの叫び声。
「マンティスが襲ってきたぁぁーーーー!」
あれからどれだけ時間が経過しただろうか、ひん槍が待望のホルスたんを手に入れてから最低でも3時間は経ったかと思われる。それでも残った二人はなかなか当たらない。ひん槍はひん槍で長椅子に座りながら金貨を眺めニヤニヤしている。3時間も長椅子に座ったまま二人が当たるのを心待ちにしている。
「き、・・来たッ!!懸賞金$1億の張り紙飛んできたぁ!!」
どうやら緑の台にまたもやエキドナのリーチが確定したようだ。そして何時の間に後ろに居たのかひん槍が一緒に画面を見つめる。
「・・・・また、試されるのかなぁ・・」
「来たのか!?・・・って、発展してるじゃないか!!」
「・・あっ!洞窟の奥まで・・画面が移動してる!」
「これは・・期待していいのか!?」
奥へ奥へと誘導されるように画面が進む。途中、三叉路や二股に分かれた道が何度かあったが確実に奥へと進んでいるのがわかる。
「おお・・・すっげぇリアルだな・・」
「もう、・・これだけで充分なぐらい感動してます・・・」
一番最奥まで画面が進むとピタリと止まり周囲を見回す。どうやら勇者の視点で見えてるような雰囲気だ。
「あっ、おい緑!奥に何か居るぞ!」
「・・・・?あっ!!い・・・居た・・。エキドナが・・エキドナの尻尾が見えてる・・」
洞窟の奥深く、勇者の往く手を阻むかのように岩陰から静かに現れるエキドナ。
『フフ♪・・・ここまで来れた貴方に敬意を評し私自ら御相手しましょう♥』
キャラクターが高速で回る中、勇者とエキドナの戦いの火蓋が切って落とされる。
「す、すごい・・。リアルで見るとこんな感じになるんだ・・」
「すげぇな・・・・、魔法のオンパレードに剣戟、それに異常な速さで画面が動いてやがる・・」
まるで本物の戦いを味わっているかのように感じてしまうほど素晴らしい一戦だ。
「・・・・この場合、どっち応援したらいいんでしょう・・」
「・・・勇者が勝てばいいのか・・?エキドナなのか?」
白熱する戦いを目に焼き付ける二人だったが、一瞬の隙を見逃さなかったエキドナが勇者の足に尻尾を絡ませ捕獲してしまった。
「あっ!・・ま、負けたのか・・」
「え、ちょ、ちょっと待て!この勇者の顔って・・」
エキドナに絡みつかれた勇者の顔をよく見ると、その顔は緑の顔と瓜二つ。
『うふふ・・・、やっと捕まえたわ♥ちょっと頼り無さそうですけど、そこがいいですわ〜♥』
捕獲された勇者とエキドナの場面が画面から消えた瞬間、斜めに揃ったエキドナが画面に浮き上がってきた。
「あ・・・あ・・・・、うああああぁっぁぁぁぁぁ〜〜・・・」
大量の涙を流しながら入賞口に玉を打ち出していく緑。緑の後ろではひん槍も貰い泣きしている。
「すごかった・・・。マジですごかったなぁ・・」
これで残すは2台目に突撃したGanotaのみ。未だに泣き続けている緑とテンションMaxのひん槍はGanotaの後ろに立ち一緒に液晶画面を見つめる。後ろに二人が立っている事に気付いたGanotaは後ろを振り返り情けない声を絞りだした。
「こねぇよ〜〜・・・、メデューサたんがこねぇよ〜・・・、って・・緑、なんで泣いてんだ?」
「ああ、緑な・・マジでエキドナをゲットしたんだよ。しかもすっげーリーチでな」
「どんなリーチだったんだ?」
「勇者とエキドナのガチバトル。魔法は飛び交うわ、高速で走りまわるわで最高だったぞ!」
「おお、・・・俺も見てみたかったな・・」
緑とひん槍が後ろに立っているという事は二人共御目宛の娘を手に入れた証拠。それに気付いたGanotaはまたもや焦りだす。
「やばい、やばいよ・・!俺が最後の一人かよ!」
「いや、お前・・2台目だし」
「ううっ・・・、明日から毎朝・・エキドナ様にロールミーされながら起こしてもらえるんだ・・」
「とりあえず、・・・なんだ、俺達が居ると邪魔だろうしちょっと休憩してくるよ」
そう言って二人は入り口横に設置してある長椅子に座り明日からの性活を語り出している。
長椅子の端のほうでは、激しい性行為で燃え尽きたのかG13とグリシアが肩を寄せ合いながら熟睡している。ひん槍と緑はそんな二人を見ても先程のような嫉妬感は全く生まれない。それどころか温かい眼差しで見つめている。
「なぁ、緑。俺達も明日から・・あんな風になるんだろうな〜」
「そうですね・・・。でも私は別に構いません!むしろウェルカムです、明日の自分!さようなら!今日までの自分!」
「お、おい!なんか変になってるぞ!さっきまでの冷静なキャラはどうした!?」
「冷静?何を言ってるんですか!明日から輝かしい人生が始まるのですよ!ひん槍さんも明日から毎日好きなだけホルスたんのおっぱいミルクを飲めるのですよ!揉めるのですよ!」
「・・・・。お、・・・オッパイたん最高!!ホルスたん最高!!」
緑の変なテンションが移ったのか、ひん槍も諸手を挙げて叫ぶ。
「そうだ、・・明日から・・いや、今日の深夜0時から夢の巨パイをしゃぶれるんだ・・。帰ったら速攻でベッドを綺麗にしてホルスたん専用の枕を用意しなくては!」
ハイテンションになりながら熱く語る二人を尻目にGanotaは画面を見つめる。深緑の隠れ里と言うだけあって、森に住んでるであろう魔物娘ばかりリーチが掛かる。御目宛であるメデューサは回転しているキャラクターの中に含まれては居るが中々止まってくれない。こんな時までツンデレにならなくていいのに、とGanotaは意気消沈する。
緑がエキドナを手に入れてから1時間ほど経った頃、ようやくGanotaの台にメデューサのリーチが掛かってくれた。だが、Ganotaは喜んでいない。ただ虚ろな瞳で画面を見つめている。それもそのはず2台目に挑戦した事によって、ひん槍と緑の2倍以上の誘惑と葛藤に苦しんだのだから。もう燃え尽きた、と言っていい姿のGanotaだったが待望のメデューサリーチを意識した途端に瞳に生気が戻ってきた。
「ぁ・・・ぁぁ・・、やっとメデューサが・・」
<しょ、・・・しょうがないわね!別にアンタの心配なんてしてないんだから!>
テンプレのようなツンデレ告白を聞いたGanotaは発展してくれる事をひたすら祈る。
「頼む!頼むから発展してくれ!!」
祈りも虚しく当たり桝目を一歩超え止まってしまった。
「ダメだったか・・」
Ganotaが肩を落とし、再度ハンドルを握ろうとした瞬間通り越したはずのメデューサが再度高速で一周し当たり桝目で止まってくれる。
<本当にアンタは私が居ないとダメなんだから!べ、別に気になった訳じゃないんだからね!>
Ganotaは呆然としている。外れたはずのメデューサが再度動き戻ってきてくれたからだ。
「メ・・・・・・、メデューサたんバンザーーーーイ!!」
憔悴しきった顔で玉を打ち出し入賞口にありったけの玉を入れていく。そして玉が全て飲み込まれた時、すぐに下の受け皿を確認するGanota。
「や、・・やったぞ。ドッペルたんと・・メデューサたんの夢のちっぱいサンドを・・手に入れたんだああああああああああああ!」
受け皿に出てきた金貨を摘み一生の宝物でもあるかのように大事に両手で包む。
金貨を無事に2枚手に入れたGanotaはフラフラとおぼつかない足取りで長椅子に近づき、二人の前で膝を折り前のめりに倒れこんだ。
「お、おい!しっかりしろ!」
「大丈夫ですか!」
「・・・・・・、エヘヘ・・約束通り、金貨2枚・・・ゲットした・・よ」
ひん槍と緑はGanotaを抱え長椅子に寝かせてやる。
「・・・・本当に2枚ゲットするとはな・・」
「すごい・・執念ですね。私だったら絶対に無理ですよ・・」
凄まじい執念で金貨2枚を手に入れたGanotaを称賛する二人だったが、スマホで時間を確認したひん槍が突然焦りだす。
「おい!もうすぐ閉店の時間だぞ!」
「ぇ!そんな!・・Ganotaさん寝てますよ!」
二人が大声で叫んでいると長椅子の端で寝ていた二人が目を覚ました。
「ん〜〜・・、どうした〜??」
「んん、・・騒がしいぞ・・」
「騒がしいじゃねぇよ!もうすぐ閉店だっつうの!」
「それなら大丈夫だぞ。オーナーが送ってくれるからな」
グリシアの言葉に安心する二人。だけど、どうやって帰れるのだろうか。
「あ、来た来た」
オーナーであるリリムが満面の笑顔を浮かべながらこちらに近づいてくる。
「んふふふ・・♪なかなかいい物が見れたわ♪まさか自力で二人もお嫁さんにしちゃうなんてね♥」
気を失って寝ているGanotaをチラリと見て満足に微笑むオーナー。
「それでは、・・・名残惜しいですが・・。まもなく閉店ですの御客様全員をお送りしますね」
オーナーが軽く指を弾くと長椅子で寝ていたGanotaが一瞬にして消えてしまう。
「あっ!Ganotaが!!」
「ウフフ・・、大丈夫よ。その人なら今頃自室のベッドで寝ているわ♪それでは次にグリシアね♪」
「ああ、済まないな。いきなり用も無しに来てしまって」
「いいのよ♪貴女のイヤラシイ声が聞けただけでも満足だったから♥」
そして羞恥で顔が真っ赤になったG13とグリシアが消える。
「さて、次は貴方達ね」
「・・・ちょっとだけ、待ってくれないか・・」
「あら?何かしら?」
「消える前に聞きたい事があるんだ・・、どうして貴女はパーラーを始めようと思ったのですか?」
「・・・そうねぇ。私なりのけじめと・・・お節介かしらね♪」
「そっか・・、それだけ聞けば満足です。ありがとうございました」
そして、ひん槍と緑も店内から姿を消した。
「フフ・・・、私なりのけじめ・・か」
誰も居ないパーラーで呟くオーナー。
深夜23:50、ひん槍と緑は御互い自室で金貨を眺めている。Ganotaはいまだ自室のベッドで深い眠りに就いている。そして心待ちにしている二人はというと・・・。
「はぁ〜・・、後10分でホルスたんの巨パイを独り占め出来るんだな・・」
「・・・エキドナ様にロールミーされるんだ・・・」
待ちに待った0時ジャスト、ひん槍、Ganota、緑の自室では金貨からピンクの煙が溢れ出し部屋中を淫靡な色に染め上げていく。
「うおおおぉおおおおおぉぉぉ!SS通りのピンク煙きたぁぁーー!!」
「SS読んで知ってたけど煙がすごすぎるぅぅーーーー!!」
「うわわわわわわっわっわわわ・・・!!なんだ!?何が起きたんだ!」
熟睡していたGanotaも目を覚ます。
「はふぅぅ〜〜〜・・・・、出〜れ〜ま〜し〜た〜♪あ〜〜♪旦那様だ〜〜♥」
「あら・・、貴方は確か私に巻かれて悶えていた子ね・・。フフ・・貴方の望みは私に巻きつかれて果てたいようですね♥」
「ちょ!ちょっとー!先に唾つけたのは私よ!」
「あぅぅぅ〜〜・・・、私が先に会えたのに〜・・」
Ganota宅では、プチ争奪戦が始まりそうだ。
御互い三人が、ホルスタウロス、エキドナ、ドッペルゲンガー、メデューサを解放してから初の日曜日。
ひん槍宅では毎朝日課となっている乳搾りが行われていた。
「メーリィン、今日も直飲みだからな!」
「はぃ〜〜♪旦那様のオッパイしゃぶり・・優しくて好きです〜♥」
「んぐ・・んぐ・・・、んぢゅ〜〜・・・、んんっ・・」
「はぅぅっぅぅ〜・・♥旦那様〜・・もっとぉ、もっと吸ってください〜♥」
「んん・・プハッ!・・・んはぁ〜・・!うめぇ!このミルクタンクはいつしゃぶっても最高だな!」
「旦那様だけの〜あま〜〜いあま〜〜いミルクを頑張って毎日出しますね〜♪」
「・・・でも、そろそろ・・俺のミルクが欲しくなってきたんじゃないのか」
「・・・♥欲しいですぅ〜、早く旦那様のおちんちんミルクが欲しいですぅ〜♥」
恒例行事となっている御互いのミルク搾りを堪能する二人。これから先も御互いのミルク搾りを毎朝続けていくのだろう。
緑宅では・・・。
「ほぉ〜ら・・、尻尾の先でおちんちんをこちょこちょされて感じているのね♪」
「うぁぁっ・・!そ、それ・・すごくいいです!!」
エキドナのエーリンに巻きつかれ、チンポだけを晒された緑が呻いている。
「ほらほら♪早くビューーッて私のオマンコ目掛けて射精してくださいな♥」
「あ・・ああっ・・、も、もう出るよ!」
噴水のように噴出した精液を恥部を両手で左右に開き膣で受け止めながら悦に浸るエーリン。びちゃびちゃと自らの性器に降り注ぐ精液にうっとりしながらも尻尾での愛撫を怠らない。
「ふふ・・、まだ・・・出してもらいたくて元気ですね♥次は・・私を妊娠させたいのですね♥・・・妊娠と聞いておちんちんが元気になるなんて・・正直な子♥」
果てしなく続く蛇独特の執拗な性行為。巻きつかれたまま引き寄せられた緑は抵抗する事も無く精液まみれになったエーリンの恥部にペニスを突き入れる。
Ganota宅では朝から痴話喧嘩が始まっている。毎朝の日課のように続く口喧嘩。
「今日は私が先って言ったじゃないの!!」
「ふぇぇぇ〜〜・・、そんなぁ〜・・。昨日もシフェルさんが先だったじゃないですか〜・・・」
「何言ってんのよ!昨日の晩、ルルに濃厚膣出しを先に譲ってあげたでしょう!」
「それじゃぁ〜・・・、今日の晩は・・私が後でいいので・・。ですから・・・朝一番は・・・」
御互いに朝一番の出来たて精液を味わう為に口論になる二人。そんな二人の頭を撫でながら仲裁に入るGanota。困り果てたような顔をしているが内心は喜び一色に染まっている。
「あ〜・・。まぁ、・・そんな事で口論しなくても・・」
「何言ってるのよ!!朝一番よ!朝一番!わかってるの!一番濃厚で美味しいのは寝起きの出来たて精液なのよ!」
「そ、・・そうですぅ〜・・。こ、こればかりは・・譲れません・・」
Ganotaは御互い膠着状態のシフェルとルルの頭をぐりぐりと力を込めて撫でると二人の前に性器を晒す。
「それじゃ今朝は、・・・二人のおっぱいで挟んでもらおうかな。それなら二人共味わえるでしょ?」
「・・・仕方ないわね・・、これ以上は時間の無駄だし。・・べ、別にアンタの為に妥協したんじゃないから!わかってるの!?」
「朝・・一番が味わえるのでしたら・・」
Ganotaは二人の服を優しく脱がすと僅かしか膨らみのないシフェルとルルの胸に反り立ったチンポを軽く押し付ける。
「えとさ・・、アレ・・やってくれないか・・?」
「・・・ふんっ!アンタも変よね・・、私達の乳首に挟まれて擦られたいなんて・・」
「で、でも・・これって・・すごく恥ずかしい・・です」
シフェルとルルはGanotaのペニスを御互いの柔らかくも薄い胸で挟み込み息の合ったWパイズリで奉仕する。
「ん・・。本当に・・アンタって変よね・・。私のBぐらいしか無いおっぱいで擦られたいなんて」
「はぅぅ・・。でも・・嬉しいです・・♥」
「おふ・・、今・・乳首がカリに当たって・・」
「ふんっ!・・・きょ・・今日だけなんだからね!明日もしてもらえるなんて思わないでね!」
「わ、私は・・貴方が望むのでしたら・・い、いつでも・・♥」
「あっ!アンタずるいわよ!・・・だったらアタシも・・」
「お・・おぅ・・・。だ、出すぞ・・!」
シフェルとルルが作った谷間とは言えない胸と胸の隙間に吐き出される大量の精液。シフェルとルルは御互いに乳首や柔らかく薄いおっぱいに巻き散らかされた朝一番の精液を嬉しそうに指で掬い口に運ぶ。
「んん〜〜〜〜♪やっぱり朝一番の濃厚な精液は美味しいわね♥」
「はぃぃ〜・・♪甘くて・・まろやかで・・・とても美味しいです・・・」
二人が朝一番に吐き出された精液を美味しそうに舐めてるのを見てるだけで萎えていたGanotaのペニスは再度力を取り戻す。
「よ〜〜し!今日は休みだし二人同時に愛してやるからな!」
「あ、当たり前でしょ・・・。このバカ・・♪」
「うれしぃ・・です♥」
念願の魔物娘を嫁にした三人は居場所は違えど同じ思いを同時に口に出した。
「愛しているぞ、死ぬまで・・・いや、死んでも一緒だからな!」
ピンクの霧が日本を覆い尽くしてから早半年。今まで極秘裏に進んでいた魔物娘達の行動が明るみになった頃、ネット上に嘘か真か既に魔物娘を娶った男性達の画像が掲載された。セイレーンを抱き寄せる若者、アリスに肩車している大学生、家族写真だろうか妖狐2人に左右から腕を組まれている男性と僅かながらも載せられていた。その画像を見ていた若い男性が一人呟く。
「ほ、本当にこんな世界になるなんてな・・・」
まだ数少ない魔物娘の画像を見ながら悦に浸る男性。個人の紹介や種族などに目を通した後、最後のコメントで驚愕の事実を知ってしまう。
「ふ〜ん・・出逢いは・・。・・・ぇ?パー・・ラー・・・DE☆A☆Iだと・・・!!」
正直ありえない話だ。それは男性が小説を投稿しているサイトの中で稀に読む程度のSSの話だったからだ。だが、男性は思った。こんな世界になったのなら・・・常識が通用しなくなるはずだ、と。男性は何か意を決したようにSS投稿サイトである『クロビネガ』を自室のPCで開いた。
「・・・えと、確か筆者はプイプイさんだったか?いや、ぷいぷいさんだったか?」
男性はサイトを開いた瞬間、速攻でチャットルームに突撃する。
ひん槍:こんばんは、お久しぶりです
G13 :こんばんは
Ganota:ばんわー
・
・
・
緑の姫君:こんばんは
この男性はチャット上では【ひん槍】と名乗っている。ひん槍は挨拶もそこそこにパーラー筆者である【ぷいぷい】が入室しているか確認した。居た。入室者メンバーの中に筆者である【ぷいぷい】の名があった。だが、普段なら真っ先に挨拶が返ってくるはずなのに全く返答が無い。
ひん槍:ぷいぷいさん居ないのか!
G13 :結構前から居たけど反応無いよ
Ganota:パーラー2部でも書いているんじゃないかな?
・
・
緑の姫君:・・・さっき居たはずだけど・・・
ひん槍:なぁ、ニュース見たか!あの妖狐二人に腕組まれてるやつ!
G13 :見ましたよ!いい家族でしたね〜
Ganota:ああ・・あれだろ。出逢いはパーラーでした、ってコメントで気になって此処に来たんでしょ・・
緑の姫君:・・・
やはり知られていたみたいだった。流石は魔物娘に超絶敏感なメンバー。
G13 :えと、さ・・。今更こんな時に言いにくいんだけど・・。
ひん槍:ぇ?なになに?何でも言っていいよ
Ganota:?
緑の姫君:・・・(察し
G13 :自分の嫁はデュラハンのグリシアです!
ひん槍:もげろよ!チクショウォォォォォ!!
Ganota:爆ぜろ!w
*(わからない方は【憧れの騎士と剣と鞘】を読むとわかります)
ちくしょうぉぉ。あのSS通りになってやがったのかー!だったら俺もパーラー探してやるよ。悔しさの余り筆者であるぷいぷいに何度も話しかけるが応答無し。焦りが俺の中で生じてくる。早く気付いてくれよ、と何度も打ち込むが返事が返ってこない。
ひん槍:なんでこんな時に限って居ないんだよ!
G13 :さぁ?
Ganota:もしかして寝落ちしてるんじゃないのか?
緑の姫君:・・・ぷいぷいさんなら腰痛が再発したらしくて休んでますよ
ひん槍:まじで!?って、なんで知ってるんだよ
緑の姫君:さっき、ささやき送信で腰痛が再発したから少しだけ休むって
なんというタイミングの悪さ。このままだとパーラーの居場所が聞けないじゃないか。と、突然ぷいぷいの名が消え退出してしまう。
ひん槍:ちょ!なんで落ちたんだ!
G13 :たまに無言で落ちるよね
Ganota:もしかして聞いてた?
緑の姫君:いえ、たぶん回線落ちかと。気が付いたら大抵入ってきますよ。たまに戻って来ない時もありますが・・・
ひん槍:戻って来てくれーーー!(切実
G13 :ぁ、ごめん。ちょっと嫁に呼ばれたので
緑の姫君:・・・・・
ひん槍:・・・・・
Ganota:・・・・・
嫁という一言で現実に戻された3人。ひん槍は自室でPCを前にして項垂れていた。このまま筆者が気付いて戻って来るのを待つか、それとも今日は諦めて明日もう一度入室するべきか。きっと他の2人も同じ思いだろう。そして午後11時半を回った頃、ぷいぷいの名が入室者に再度加わる。
ぷいぷい:・・・いやぁ、腰痛再発した挙句落ちちゃってたよ(汗
Ganota:お、お久しぶり&こんばんは
緑の姫君:こんばんは
G13 :こんばんは さっきひん槍さんが何度も呼んでたよ
ぷいぷい:ん〜・・・?あぁ、パーラーの事ね、まさか自分のSSが現実になってたなんてねw
ぷいぷい:んで、ひん槍さんは?
今度はひん槍が寝落ちしてしまっていた。折角のチャンスなのに探していた本人は日頃の疲れからかPCの前で項垂れたまま熟睡していた。
ぷいぷい:居ないの?・・・じゃ、自分はもう寝ます
Ganota:待った!ぷいさん、もし・・もしだけど、SSの中で次に出すパーラーの予定地とかもう決めてる?
緑の姫君:・・・(ワクワク
ぷいぷい:いや、それは明日にでも考えようかと・・。どうしたの?
Ganota:明日か・・・、全裸待機して待ってます
そしてパタンという音と共に退出してしまった、ぷいぷい。ひん槍が目を覚ましたのは深夜1時頃だった。結局は聞けなかった。だが、今日はパーラー予定地を決めて入室してくるはず。ひん槍はそれを超期待してベッドに潜った。
朝6時を過ぎた頃、ひん槍は起床しPCの電源を入れサイトのチャットルームに入室したまま放置し仕事に出掛けた。帰宅した際に筆者が入室している事を祈りながら。
帰宅し、風呂や飯よりも先にPCを確認する。入室者の中にまだ筆者は居ない。ひん槍は安心して風呂と飯を済ませ余裕の足取りでPC前に座る。待つ事30分、まだ筆者は入室してこない。1時間経った。でもまだ来ない。イライラしたひん槍はモニターを鷲掴みにして揺さぶる。
「なんで来ないんだよぉぉぉ!今日インするって言ってたはずだろーーー!」
ただいまの時刻は21:13。本来なら居てもいいはずの時間帯なのに筆者は入室してこない。もしかして腰痛のせいで入って来れないのだろうかと考え始める。腰痛で苦しんでいるぷいぷいさんには悪いが俺には夢がある。俺はホルスたんとイチャラブしたいんだ。だから早く入ってきてくれ。そしてパーラーの居場所を教えてくれ。
そして21:30を少し過ぎた頃、筆者が入室してきた。
ぷいぷい:こんばんは
ひん槍 :こんばんは!さぁ早く巨乳ホルスたんとチュッチュする為にパーラーの居場所を吐くんだ(キリッ
G13 :こんばんは。出来れば自分も知りたいです
Ganota:アンタはもう嫁が居るだろ!
緑の姫君:こんばんは、本気でPC前で全裸待機してました
待つ事数分、ぷいぷいさんが次にパーラーを出す予定地をチャットに打ち込んだ。
ぷいぷい:一応だけど、次の出現予定地は●●県●●市にしてるんだけど
G13 :ほぅ、・・・ちょっと遠いけど行けない事は無いなぁ
Ganota:更に詳しく(ワクテカ
緑の姫君:・・・行ける場所だけど所持金大丈夫かなぁ
細かい詳細を語ってくれる筆者。次に聞くのは日時だ。
ひん槍:それで、いつパーラーを出すんだ!ハァハァ・・・
ぷいぷい:ん〜・・、出来れば次の休日かな。下手に平日にすると不公平になりかねないし
G13 :GJ!!(´・ω・`)b
Ganota:いいね!!
緑の姫君:全裸待機ちょっと寒かったので服着ます
ひん槍:これで克つる!!
細かい詳細を聞いた俺は財布の中身を確認する。上手いタイミングで先週は給料日だったので懐は温かい。まるで俺の懐事情をわかってて決めたようなタイミング。これでホルスたんは俺の嫁。細かい詳細を聞いた後は普段通りの会話が始まるが、やはり会話のネタはパーラーになってしまった。
それから数日後、とある街にひん槍が到着する。時刻は午前5時を回ったばかり。更に1時間後、そこにGanotaが合流した。
「あ、初めまして。ひん槍と申します」
「こちらこそ初めまして、しがないSS書きのGanotaです」
御互いに挨拶し、目的地に向かって歩き出す二人。これから探すパーラーがどんな店か想像しながら御互いに嫁自慢をする。
「やはり巨乳ホルスさんの柔らかオッパイを揉みながら搾乳するのは男の浪漫だな」
「俺はB以下のぺたん娘のちっぱい乳首に左右から挟まれてみたい」
「ところで、・・・・肝心の筆者のぷいぷいさんは何故居ないんだ?」
「それはちょっとわからんねー?」
二人は日頃から語っている【俺の嫁】をのんびり力説しながら予定地に到着したが、そこには何も無い。
「・・・なんで何にも無いんだ・・」
「・・・いや、普通無いでしょ。まだ7時前だし」
「・・・あ!そうか、パーラーは普通は10時オープンだもんな!ちょっと早く来すぎたか!」
「そういやSSでも朝早くに開店してるなんて一度も書いてなかったし」
普通の店なら開店は10時。そんな当たり前の事を完全に失念していた二人は近くに時間を潰せる所はないか考える。
「開店まで後3時間か・・・、どうします?どこか近くでモーニング出してる喫茶店でも探しますか?」
「そうですねぇ・・、流石に3時間も此処で待つのは・・」
二人は周囲を見渡すと一軒の喫茶店を見つける。
「お、ちょうどいい位置に喫茶店あるじゃないか」
「ちょうど斜め向かいか・・・。張りこみにはうってつけですね」
二人は喫茶店に入ると窓際に席を取りいつでも出撃出来るように何も無い土地を見張る。その姿はまるで立て篭もり犯を炙りだすかのような真剣な眼差しを持った刑事のようだ。ひん槍とGanotaは揃って同じ注文を頼み外を眺め続けると、隣の席で独り言を呟く青年と目が合う。
「まだかなぁ・・・、モンムスとか早く打ってみたい・・」
「・・・ん?」
隣の青年は確かに今【モンムス】と言った。確証は無いがとりあえず訊ねてみる。
「あの、もしかして・・今モンムスって言いました?」
「・・・?え、もしかして・・・もしかしてですが・・ひん槍さん・・ですか?」
「あぁぁぁあぁーーーー!やっぱり!あんた緑の姫君だろ!!」
「うえぇぇっぇえええええええ!緑氏だとおおーー!」
話の途中からGanotaも加わり、これからの事を話し合う。
「な、なぁ・・・、本当にあそこに出ると思うか・・?」
「わからん・・・それはぷいぷいさんの言葉が本当なら出てくるはず・・・」
「私は信じてますので・・、それに昨日の晩から此処で待ってるんですから出てくれないと困ります」
「・・・・昨日の晩って・・」
「俺達も他人の事を言えないが・・緑氏、あんたいつから居たんだよ・・」
「・・・昨日の晩10時頃から・・。それで朝6時にこの店が開いたのでそれからずっとこの店で待ってますけど」
俺達二人以上にバカが居た。だけど、こんなバカが居てもいいじゃないか。それだけ魔物娘を愛しているのだから。それから3人はモーニングを食べながら窓から外を見つめ、これからの行動を確認しあう。先に口火を切ったのはひん槍だった。
「ええと、だな。まずは所持金だが・・二人共いくらぐらい持ってきた?」
「俺は・・虎の子のへそくり15万持ってきた!」
「私は・・なんとか頑張ったみたのですが・・8万ほど・・しか」
「ちょ!8万はヤバイだろ!あんた確かエキドナマニアだったよな!SSだと8万でなんとかドラゴンだったんだぞ!」
「・・・そうなんですよね・・・。もしかしたら自分には店が見えないかもしれませんし・・」
「いやいや、まてまて。例え所持金が8万でも店が見えたらいいだけの話じゃないか」
そうだ。例え所持金が多くても店が見えなくては意味が無い。所持金の多さで入れる訳じゃないんだった。SS通りだと相性が100%の子が居ないと見えないし入れないはず。
「や、やばい・・。俺・・給料のほとんど持ってきちゃったけど・・店が見えなかったらどうしよう・・」
「きゅ・・給料のほとんどって・・」
「20万以上とか・・・ですか?」
ひん槍は黙って頷く。迂闊な行動だったと反省する。所持金の多さで店が見えるんじゃない、相性で視えるんだという事に。ひん槍は、もし見えなかったらという恐怖で体を僅かに震わせ時間を確認した。
「いつのまにか・・・もう9時か・・。9時半になったら・・あの前で待たないか・・」
「・・・同意」
「・・・ええ」
9時半になると、3人は同時に席を立ちレジに向かう。ひん槍は5千円札をレジの前に置き「3人分だ、釣りは要らん!」と言い二人を引き連れ店を出る。レジ打ちをしていた女性が驚いていたが、これからの事を考えるだけで5千円程度なんてどうでもいい。3人は喫茶店の向かいの空き地に腰を下ろすと無言で待ち続ける。
そして5千円札を受け取った店員はと言うと・・・。
「ウフフ…♪頑張ってね、3人共♪」
ただいまの時刻9:59。後1分で入れるかどうかが決まる。俺達3人は固唾を呑んで空き地を凝視した。なんという長い時間だろうか、たかが1分がこれほど長く感じるなんて今まで味わった事が無い。そして10秒前。3人揃ってカウンドダウンする。これは誰が見えても見えなくても恨み無しという事で決めたルールだ。
「10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・」
「「「0!!!」」」
0と叫んだと同時に目の前の空間が歪み出す。その様子を俺達3人は彫刻のように固まったまま見つめ続ける。
「おおお・・・本当に・・出てきた・・」
「ゴクッ・・・・、お、俺・・あんまり信用してなかったけど・・騙されて元々で来て良かったよ・・・」
「・・・み・・視えるよ・・。本当に・・SS通りに空間歪ませながら出てくるなんて・・」
俺達3人の前にSSで読んだイメージ通りのパーラーDE☆A☆Iが出現した。ちょっと古めかしい、だけど温かみのある雰囲気。それになにより・・。
「本日はパーラーDE☆A☆Iに御越し下さり有難うございます。当店では御客様に最高の出逢いと幸せを提供する事をモットーにしております。本日は心ゆくまでごゆるりと・・・」
リリム店長キタ――――!!SS通りの美しさ、最高の美貌の持ち主、見るだけで勃起しそうになるほどの妖艶で豊満な体つき。前に突き出ている角は最高級の芸術品じゃないかと思えるほど綺麗だ。俺達3人は店長の一挙手の動作だけで呆けてしまう。
「御客様、あまり私に見惚れていますと肝心の子が嫉妬してしまいますわよ?」
そうだ、俺達は目的があって此処まで来たんだ。だが俺は店に入らずスマホを取り出しサイトに繋ぎチャットルームに入室する。
「なんで入らないんだ。って、なんでチャット・・?」
「チャット・・ですか?」
俺はチャットルームに入室し、肝心の筆者が居るか確認した。居た、いつものように入室している。だけど何故ルームに居るんだろうか。
ひん槍:ぷいぷいさん!本当にパーラーDE☆A☆I見つけたぜ!
ぷいぷい:・・・そっか・・。おめでと・・
ひん槍:どうした?そういや、・・・なんでこの場所知ってるぷいさんが此処に来てないんだ?
ぷいぷい:・・・・また、・・腰痛再発した(泣
ひん槍:・・・なんか、ごめん
俺は手短に会話を終了させるとスマホの電源を切り3人一緒に店内に入る。
「ぷいぷいさん・・居たのか?」
「ん、ああ・・・なんで此処がわかってるのに来ないんだ?って聞いたら・・・また腰痛再発したって・・」
「ぷいぷいさん・・悲惨な・・」
一番の功労者でもある筆者が腰痛で来れないのは痛い。何が痛いかって。それはもちろん、これから起こる事にどう対処したらいいかは筆者であるぷいぷいが一番わかってる事だ。
「とりあえず・・・何を打つか、だな」
「俺はもちろんモンムスパラダイスでドッペルたん狙いだ!そしてあわよくばメデューサたんも狙う!!」
「私は・・エキドナ様さえ居てくれたら・・」
三者三様に口を開き逢いたい魔物娘を語る。ひん槍は言うに及ばずホルスたん狙いだ。3人は店内に設置されている台を一台一台念入りに確認した後、入り口横に設置してある長椅子に腰掛ける。
「俺は【翠の丘】を打ってくる!」
「俺はドッペルたん狙いで【モンムス】だ。それから【深緑の隠れ里】を打つ!」
「私は・・・【勇者の行く末】を打ちます」
三人が方針を固めていると自動ドアが開き出す。どうやら店が見える人が入ってきたようだ。だが、入ってきたのはデュラハンを連れた青年。何か妙に憶えのある組み合わせだ。
「ぁ、居た居た。緑氏来てたんだ」
「・・・G13さんかーーーー!!」
「クッ・・・、嫁が居るのになんで居るんだよ!」
「いやぁ、チャットで見てたら何か気になってさ。それにグリシアと逢えた想い出の場所だし。もう一度来てみたかったんだよ」
---チャキッ---
「・・・サーティ?もしかして打つ気なのか?もし・・そうなら・・」
おぉぉぉ、デュラハンの目が怖い。G13の首元にでっかい剣をピタピタと当てている。
「まさか、それこそ無い無い。ただ、ここの店長に御礼が言いたくて来たぐらいなんだから」
「そ、そうか・・。うむ、ならばいいのだ」
「グリシアは本当に心配性だなぁ」
「アッ・・、やめないか・・。人が居る前で・・」
俺達3人の前で乳繰り合う2人。この負け気分は一体何だろう。Ganotaも緑も見えない血涙を流しているようだ。だがそれもここまでだ。これから俺達は最高の嫁を手に入れるのだからな。俺達3人は狙った台に座り金を投入する。上手い具合に俺達は隣同士の島に座っている。手前の島には俺が、通路を挟んで奥にGanotaと緑が座っている。御互いに現状が把握出来るのは有難い。そして俺達は銀玉に願いと想いを込めて同時にハンドルを握った。
打つ事10分、わずか10分でGanotaの台にリーチが掛かったようだが御目宛の子じゃなかったようだ。だが、Ganotaの様子が少し変だ。なんだか悶えているような、葛藤しているような雰囲気だ。
「お、おい・・?どうしたんだ?」
「い、・・いや・・・マーメイドの子だったんだけど・・、この子もいいなぁって・・」
「おいおい、しっかりしろよ?御目宛はドッペルたんだろ?」
ひん槍がGanotaの気をしっかりさせようとするがGanotaの心は妥協しかかっている。
そんな時、不意に緑が思い出したかのように台の特性を教えてくれた。
「そういえば、・・・G13さんの時って・・・キャラに誘惑されまくってやつれたんだよね・・」
そうだ、SS通りなら一回リーチが掛かる毎に誘惑が襲いかかってくるんだ。それも妥協してもいいかな、という二番目三番目の好みの子が・・・。
「・・・こ、こえぇぇ・・。これって・・半分拷問みたいなもんじゃねぇか」
「今更ながらに・・超博打台なんだな・・これ」
「当てれば・・いいだけの事です」
「緑、案外落ち着いてるな」
「私はエキドナ様さえ来てくれたら満足ですので・・・」
緑は無言で画面を見つめたまま打ち続けている。ひん槍も緑を見習って無言で打つ。Ganotaはリーチが外れて安堵したのか気を取り直したようだ。三人無言でひたすら打つ。静寂が店を支配する中、入り口横の長椅子ではG13とデュラハンのグリシアがディープキスをしていた。
「んんっ・・、な、なにも・・こんな所でしなくても・・」
「君と初めて出会った場所なんだからいいじゃない」
「だからって・・そんな・・あっ!」
チラリと横を見ればG13がグリシアの胸当ての隙間に手を突っ込んでいる。鎧の下から直接揉む気のようだ。ひん槍は悔しさの余り反対側に首を回すと隣の島で打っているGanota、緑と目が合う。どうやら二人も見ていたようだ。ひん槍は二人に無言のまま空いてる左手でゼスチャーを送る。
「・・・・(絶対に勝つぞ!!)」
「・・・・(当たり前だ!あんなの見せつけられて我慢出来るか!!)」
「・・・・(エキドナ様のおっぱい・・エキドナ様にロールミーされたい)」
黙々と打つ事1時間、なかなかリーチが掛からず焦りが生まれる。そんな中、緑の台にリーチが掛かり残された二人は焦りだす。
「ぅおおおぉぉ・・・、やべぇ!緑が一番乗りになるのかよ!」
「ドッペルたーーーーん!俺だ!来てくれぇぇーー!!」
しかし、緑が打っている台に掛かったリーチはバフォメットだった。
「・・・ロリは趣味じゃないので・・」
その言葉通りにキャラクターは素通りし、外れてしまう。
「・・・おおおお・・・、緑すげぇな・・」
「俺だったら・・バフォたんのちっぱい欲しさに堕ちるとこだったよ・・」
冷静に対処した緑だったが、よく見ると額には薄らと脂汗が滲み出ていた。
「・・・本当は怖かったんだな・・」
「・・・さっきの俺の状態か・・」
「・・・・・・あっ・・、ど、どうしよ・・」
「どうした緑!」
「連続リーチ・・しかもWリーチだよ・・・」
緑の台に掛かったWリーチはドラゴンとメデューサ。緑は蛇フェチでもあるのでメデューサもどうしても喉から手が出るほど欲しい。
「ううううぅぅ・・・。ドラゴンとメデューサのWだなんて・・」
「えっ!マジで!?その台にメデューサ出てるのか!」
「しっかりしろ!堕ちるなよ!エキドナ一択なんだろ!」
メデューサはチラチラと画面を見つめる見事なツンデレ状態で待機している。そしてドラゴンは画面越しにこちら側を睨みつけているような雰囲気だ。
「ああぁぁぁ・・・、メデューサも可愛いなぁ・・」
「おおぃ!マジやべぇよ!」
「ゴクリ・・・ああ、俺でもドラゴンとメデューサがWで来たら・・あんな風になるな・・」
Ganotaとひん槍は堕ちかけ寸前の緑を見て本当の意味の堕落を知ってしまった。これ以上の恐怖は一生味わえないと。緑がメデューサに呆けている間にGanotaの台にもリーチが掛かった。
「ウッ!!・・・やべぇ、・・・・・・幼女稲荷だ」
ちっぱい好きのGanotaにはなかなか魅力的な魔物娘だ。だがちっぱい好きと言っても幼女嗜好では無い。
「確かに・・確かに稲荷は可愛い!!だけど俺は成熟したちっぱい女性がいいんだ!」
その言葉も虚しく幼女稲荷が当たり桝目に近づいてきた。
「ちょおおおおーーー!なんで近づいてくんのーーー!!」
当たるかと想った瞬間、当たり桝目1個手前でピタリと止まる幼女稲荷。外れた悲しさからか、幼女稲荷は両手を頬に当て泣いていた。
「な、なんだこの罪悪感みたいなのは・・・」
外れた幼女稲荷が泣いているのを見ていると胸が締め付けられる思いだ。こんな思いを当たるまで味わうなんて考えられない。そう思うと御目宛をきっちり当てたG13が尊敬出来る。
「はぁ〜〜・・・。これを後何回味わうんだ・・」
Ganotaが横を見ると緑も外れたのか安堵の表情でぐったりしている。
「緑、大丈夫か・・?」
「な、なんとか・・耐え、ました・・」
緑とGanotaがぎりぎり理性を保ちながら打っているとひん槍の台にもやっとリーチが掛かる。碧の草原の丘で昼寝しているワーシープの姿が映る。ワーシープの姿を見た途端、ひん槍の額から大量の汗が噴出した。
「何で・・・なんでワーシープで・・しかもスーパーリーチになってしまうんだ!!」
丘の上で寝ていたワーシープはゆっくり目を覚ますと自分の膝をポンポンと叩き膝枕を勧めてくる。
<一緒に〜〜、御昼寝しましょうよ〜〜♪>
「くぅっ・・・、ワーシープのモコモコ巨乳・・・可愛いじゃないか・・!」
画面に映っているワーシープもホルスタウロスに負けず劣らず中々の巨乳だ。さぞ揉み甲斐があるだろう。搾乳を味わいたいひん槍にとってはワーシープのミルクも興味がある。
「羊のおっぱいミルクって・・美味いのかな・・ジュル・・」
ひん槍は無意識に涎を垂らしていた。乳牛ではなく、羊のミルクも味わってみたいと欲望の鎌首がゆらゆらと心の中で揺れる。涎がツツゥーと落ちた時、ひん槍のこめかみに100円玉が直撃した。
「あいたっ!!・・・何すんだGanota!」
「お前・・涎垂らしながらワーシープ見てたぞ!」
「エッ!マジか!?」
隣から見ていた二人が無言で頷いた。気が付けば口元に涎の跡があった。
「す、すまん。助かったよ・・・」
気をしっかり持つとワーシープは何事も無かったように昼寝に戻り外れてしまった。どうやら誘惑さえ乗り切ればなんとかなるようだと確信したひん槍は二人に手助けを求めた。
「なぁ、もし御目宛じゃない子が来たらさ・・・御互いに物でもぶつけるか殴るかしないか?」
「なんでそんな事しなきゃ・・・、そうか!それなら痛みで一瞬だけ誘惑に勝てるな!ひん槍さん賢いッス!」
「・・・たぶん無理。実はさっき・・誘惑に負けそうになった時、自分の太腿つねって耐えてたけどそれでも危なかったから・・」
どうやら緑は既に実践していたようだ。多少の痛みでは一瞬だけ逃れてもすぐに誘惑されるようだ。
「マジか・・・、打つ手無しか・・」
「理性で耐えるしか無いのか・・」
「・・・もう逃げたい気分です」
それから先は悲惨な光景だった。御目宛じゃないけども居てくれると嬉しい魔物娘のリーチばかり掛かり三人共一気にやつれてしまっている。開店と同時に意気込んで入って来た時とは大違いなほどやつれていた。
「ぁぁ〜〜・・、Ganota・・・今ので何回目のリーチだ・・?」
「・・・・もう数えてないです。緑は・・?」
「・・・もぅ、・・・帰りたい気分です・・」
「・・・所持金は・・まだ半分どころか三万も使ってないのに」
「俺も・・まだ三万しか使ってませんよ」
「私も・・まだ二万六千円ほどしか・・」
ぐったりとやつれた三人だったがGanotaの台に待望のドッペルリーチが流れ込む。
「・・・ぁ〜・・もうなんでもいい・・・って!!おおおおっ!キトゥワーーー!!」
「どうした!?もしかして来たのか!?」
「・・・!!アッ!ドッペルのリーチが!!しかもSS通りの満月からのリーチ!」
SS通りの満月からのドッペルリーチ。月が欠けていく毎にドッペルの白いうなじがチラチラと見える。
「おおおぉぉぉぉ・・・・、こ、これが・・あの満月からのリーチなのか・・!」
月が新月に近づくにつれてドッペルの動きが少しづつだが緩くなっていくのがわかる。
「こ、これは・・確定ですかーーー!確定なのですかーー!?」
Ganotaは興奮し、大声を出して歓喜する。
「ちくしょーーーーー!!先越されたーーーー!!」
「ま、負けられません・・」
二人の予想通りに月が欠け新月になった瞬間、ピタリと当たり桝目に止まるドッペルゲンガー。
「ち、・・・ち・・・・・・・」
「「ち?」」
「ちっぱいキター!!」
呆れ顔の二人を尻目にGanotaは皿に残っていた玉を打ち出し念願の金貨を手に入れる。
「・・・・フッ、・・・とうとう・・念願のドッペルたんを手に入れたぞ・・」
「何かっこつけてんだよ・・、まだメデューサ狙ってないだろ」
「メデューサは【深緑の隠れ里】と【砂上の薔薇】で出てくるみたいですね」
「よっしゃ!【深緑の隠れ里】を打ってくる!!」
御目宛のドッペルを手に入れた事でテンションが昂り別の台に移動していくGanota。
「・・・Ganota、とうとう当てたな・・」
「そうですね、・・・私達も早く当てましょう・・」
二人黙って黙々と打つ。先を越された焦りからか、心が妥協しかかっている緑とひん槍。
「なんでもいいから当たってくれーー!」
「ラミアたん・・メデューサたん・・・白蛇たん・・」
「・・・・ハッ!!違う!俺はおっぱいがいいんだ!じゃない!ホルスたんとチュッチュしたいんだ!」
「全ての蛇にロールミーされて・・・、!!・・・危ない・・・初めの目的を忘れる所でした・・」
心を揺さぶられながらも当初の目的を思い出し一心不乱に打つ二人。そして隣の島では・・・。
「アッーーーーーー!!巨乳ハニービーのリーチがぁぁっぁぁぁぁぁーー!」
ドッペルたんを手に入れた勢いはどこへやら、初めの勢いに戻ってしまっているGanota。
3人が苦戦している中、長椅子ではG13とグリシアが御互いの性器を触り合いイチャイチャしている。
「グリシアのここ・・、すごく濡れているよ・・」
「そういうお前のここも・・立派に硬くなって・・」
その様子を涙を流しながらも無視しひたすら打つひん槍と緑。隣を見れば愛撫の最中、前を見れば変化しない画面。悲しみと失意をひしひしと感じながら一縷の希望を胸に抱き、玉を打ち続ける。そして次に変化が来たのは緑だった。
緑が打っている台の画面が横にスクロールしていき、エキドナの顔に懸賞金$100000000と書かれた手配書が画面に張り出された。
「ぁ・・ぁぁっ・・・、やっと・・やっとエキドナ様のリーチが・・・」
「エキドナのリーチが来たのか!」
「長かった・・本当に長かったよ・・」
緑はエキドナのリーチが確定した事に喜ぶが、ひん槍は違和感を感じていた。
「なぁ・・、いくらなんでも早くないか?」
「・・・ぇ?なんで?」
「いや、だってさ・・、エキドナって一番最初は絶対に腕試しするだろ・・」
「・・・・・ああっ!も、もしかして・・・最低でも二回は・・リーチしないといけないのですかーーー!」
ひん槍の予想通りにエキドナのリーチは簡単に外れてしまう。
「ウウッ・・・、やっと・・やっと当たると思ったのに・・・」
緑は本気で泣いている。念願のエキドナが手に入ると思ったのも束の間。何の発展も無く別キャラが止まったからだ。
「な、泣くなよ・・。俺だって・・全然来ないんだから・・」
御互いに情けない顔をしているのがわかる二人。そして隣からはまたもや・・。
「グリズリーが!!グリズリーが襲ってくるぅーー!!」
Ganotaも苦戦しているようだった。何とも言いようが無い雰囲気の中、ひん槍の台に待望のリーチが飛び込んできた。
「キ、・・・キター!!って!ホルスたんとワーウルフのWだとぉ!?」
ゆっくりとキャラクターが回っていると、ホルスタウロスが画面中央に現れ布の胸当てを外すと、自らの豊満な乳を搾り回っているキャラクター達にミルクをかけていく。
「おっ・・おっ・・、おふ・・・、おお、おっぱいおっぱい・・」
ホルスタウロスは自分のキャラクターに大量のミルクをぶちまけるが外れてしまった。そして、ひん槍はホルスたんのおっぱいリーチを見て見事に勃起していた。
「おお、おっぱいでけぇ・・・。次こそは当ててやる!!」
望みのホルスたんリーチを見て感動すら憶えている。あの巨パイをもう一度見る為にひん槍は打ち続ける。3人の沈黙が続く空間で聞こえてくるのは長椅子で事に励んでいる二人の嬌声。グリシアの両手を長椅子の背に掴ませバックから突いているG13。ただ、この二人の声だけがBGM代わりに店内に響き渡る。
G13とグリシアの一回戦目が終わった頃、ひん槍の台にまたもや念願のホルスタウロスのリーチが飛び込む。
「お、お・・おふ・・・。今回はホルスたん単騎のリーチだ・・・、おお・・巨パイでっけぇ〜・・・」
キャラクターがくるくる回るだけかと思われた時、ホルスタウロスが回っているキャラクターを一人ずつオッパイで挟んで潰していく。
「ばっばっばばっば・・、爆乳サンドイッチキターーーー!!」
一人ずつペチャンコにされるキャラクター達、そして最後に流れてきたホルスタウロスも挟まれてしまう。
「アアッ!!だめ!頼むから潰さないで!!」
ぎゅぎゅっと巨乳に挟まれたホルスタウロスだったが巨乳の谷間から弾け飛び綺麗に縦一列にキャラクターが揃う。
「・・・・・・・・・」
「・・・?どうしました?」
「き・・きき・・きたぁぁっぁーーーーー!爆乳ホルスたんがキター!!」
充血しまくったような血走った目で入賞口に残っていた玉を打つ、そして玉が全て飲み込まれた瞬間・・・。
「あぁ・・、おおおおお・・・。こ、これが・・・俺だけのホルスたんなのか!!・・・名前は・・メーリィン・・・可愛らしい名前じゃないか!」
下の受け皿から出てきた金貨を摘み感動するひん槍。金貨に描かれたホルスタウロスの温和そうな顔付きがひん槍の興奮を更に高めていく。
「おお、・・もろ俺好みのホルスたんだ・・。これで明日からは俺も・・・ホルスたんのおっぱいミルクをおはようの挨拶がてらにチュッチュ出来るんだ!!」
金貨を手に入れた嬉しさからか、明日からの性活を想像しているひん槍。そんな感動の中、例の如く聞こえるGanotaの叫び声。
「マンティスが襲ってきたぁぁーーーー!」
あれからどれだけ時間が経過しただろうか、ひん槍が待望のホルスたんを手に入れてから最低でも3時間は経ったかと思われる。それでも残った二人はなかなか当たらない。ひん槍はひん槍で長椅子に座りながら金貨を眺めニヤニヤしている。3時間も長椅子に座ったまま二人が当たるのを心待ちにしている。
「き、・・来たッ!!懸賞金$1億の張り紙飛んできたぁ!!」
どうやら緑の台にまたもやエキドナのリーチが確定したようだ。そして何時の間に後ろに居たのかひん槍が一緒に画面を見つめる。
「・・・・また、試されるのかなぁ・・」
「来たのか!?・・・って、発展してるじゃないか!!」
「・・あっ!洞窟の奥まで・・画面が移動してる!」
「これは・・期待していいのか!?」
奥へ奥へと誘導されるように画面が進む。途中、三叉路や二股に分かれた道が何度かあったが確実に奥へと進んでいるのがわかる。
「おお・・・すっげぇリアルだな・・」
「もう、・・これだけで充分なぐらい感動してます・・・」
一番最奥まで画面が進むとピタリと止まり周囲を見回す。どうやら勇者の視点で見えてるような雰囲気だ。
「あっ、おい緑!奥に何か居るぞ!」
「・・・・?あっ!!い・・・居た・・。エキドナが・・エキドナの尻尾が見えてる・・」
洞窟の奥深く、勇者の往く手を阻むかのように岩陰から静かに現れるエキドナ。
『フフ♪・・・ここまで来れた貴方に敬意を評し私自ら御相手しましょう♥』
キャラクターが高速で回る中、勇者とエキドナの戦いの火蓋が切って落とされる。
「す、すごい・・。リアルで見るとこんな感じになるんだ・・」
「すげぇな・・・・、魔法のオンパレードに剣戟、それに異常な速さで画面が動いてやがる・・」
まるで本物の戦いを味わっているかのように感じてしまうほど素晴らしい一戦だ。
「・・・・この場合、どっち応援したらいいんでしょう・・」
「・・・勇者が勝てばいいのか・・?エキドナなのか?」
白熱する戦いを目に焼き付ける二人だったが、一瞬の隙を見逃さなかったエキドナが勇者の足に尻尾を絡ませ捕獲してしまった。
「あっ!・・ま、負けたのか・・」
「え、ちょ、ちょっと待て!この勇者の顔って・・」
エキドナに絡みつかれた勇者の顔をよく見ると、その顔は緑の顔と瓜二つ。
『うふふ・・・、やっと捕まえたわ♥ちょっと頼り無さそうですけど、そこがいいですわ〜♥』
捕獲された勇者とエキドナの場面が画面から消えた瞬間、斜めに揃ったエキドナが画面に浮き上がってきた。
「あ・・・あ・・・・、うああああぁっぁぁぁぁぁ〜〜・・・」
大量の涙を流しながら入賞口に玉を打ち出していく緑。緑の後ろではひん槍も貰い泣きしている。
「すごかった・・・。マジですごかったなぁ・・」
これで残すは2台目に突撃したGanotaのみ。未だに泣き続けている緑とテンションMaxのひん槍はGanotaの後ろに立ち一緒に液晶画面を見つめる。後ろに二人が立っている事に気付いたGanotaは後ろを振り返り情けない声を絞りだした。
「こねぇよ〜〜・・・、メデューサたんがこねぇよ〜・・・、って・・緑、なんで泣いてんだ?」
「ああ、緑な・・マジでエキドナをゲットしたんだよ。しかもすっげーリーチでな」
「どんなリーチだったんだ?」
「勇者とエキドナのガチバトル。魔法は飛び交うわ、高速で走りまわるわで最高だったぞ!」
「おお、・・・俺も見てみたかったな・・」
緑とひん槍が後ろに立っているという事は二人共御目宛の娘を手に入れた証拠。それに気付いたGanotaはまたもや焦りだす。
「やばい、やばいよ・・!俺が最後の一人かよ!」
「いや、お前・・2台目だし」
「ううっ・・・、明日から毎朝・・エキドナ様にロールミーされながら起こしてもらえるんだ・・」
「とりあえず、・・・なんだ、俺達が居ると邪魔だろうしちょっと休憩してくるよ」
そう言って二人は入り口横に設置してある長椅子に座り明日からの性活を語り出している。
長椅子の端のほうでは、激しい性行為で燃え尽きたのかG13とグリシアが肩を寄せ合いながら熟睡している。ひん槍と緑はそんな二人を見ても先程のような嫉妬感は全く生まれない。それどころか温かい眼差しで見つめている。
「なぁ、緑。俺達も明日から・・あんな風になるんだろうな〜」
「そうですね・・・。でも私は別に構いません!むしろウェルカムです、明日の自分!さようなら!今日までの自分!」
「お、おい!なんか変になってるぞ!さっきまでの冷静なキャラはどうした!?」
「冷静?何を言ってるんですか!明日から輝かしい人生が始まるのですよ!ひん槍さんも明日から毎日好きなだけホルスたんのおっぱいミルクを飲めるのですよ!揉めるのですよ!」
「・・・・。お、・・・オッパイたん最高!!ホルスたん最高!!」
緑の変なテンションが移ったのか、ひん槍も諸手を挙げて叫ぶ。
「そうだ、・・明日から・・いや、今日の深夜0時から夢の巨パイをしゃぶれるんだ・・。帰ったら速攻でベッドを綺麗にしてホルスたん専用の枕を用意しなくては!」
ハイテンションになりながら熱く語る二人を尻目にGanotaは画面を見つめる。深緑の隠れ里と言うだけあって、森に住んでるであろう魔物娘ばかりリーチが掛かる。御目宛であるメデューサは回転しているキャラクターの中に含まれては居るが中々止まってくれない。こんな時までツンデレにならなくていいのに、とGanotaは意気消沈する。
緑がエキドナを手に入れてから1時間ほど経った頃、ようやくGanotaの台にメデューサのリーチが掛かってくれた。だが、Ganotaは喜んでいない。ただ虚ろな瞳で画面を見つめている。それもそのはず2台目に挑戦した事によって、ひん槍と緑の2倍以上の誘惑と葛藤に苦しんだのだから。もう燃え尽きた、と言っていい姿のGanotaだったが待望のメデューサリーチを意識した途端に瞳に生気が戻ってきた。
「ぁ・・・ぁぁ・・、やっとメデューサが・・」
<しょ、・・・しょうがないわね!別にアンタの心配なんてしてないんだから!>
テンプレのようなツンデレ告白を聞いたGanotaは発展してくれる事をひたすら祈る。
「頼む!頼むから発展してくれ!!」
祈りも虚しく当たり桝目を一歩超え止まってしまった。
「ダメだったか・・」
Ganotaが肩を落とし、再度ハンドルを握ろうとした瞬間通り越したはずのメデューサが再度高速で一周し当たり桝目で止まってくれる。
<本当にアンタは私が居ないとダメなんだから!べ、別に気になった訳じゃないんだからね!>
Ganotaは呆然としている。外れたはずのメデューサが再度動き戻ってきてくれたからだ。
「メ・・・・・・、メデューサたんバンザーーーーイ!!」
憔悴しきった顔で玉を打ち出し入賞口にありったけの玉を入れていく。そして玉が全て飲み込まれた時、すぐに下の受け皿を確認するGanota。
「や、・・やったぞ。ドッペルたんと・・メデューサたんの夢のちっぱいサンドを・・手に入れたんだああああああああああああ!」
受け皿に出てきた金貨を摘み一生の宝物でもあるかのように大事に両手で包む。
金貨を無事に2枚手に入れたGanotaはフラフラとおぼつかない足取りで長椅子に近づき、二人の前で膝を折り前のめりに倒れこんだ。
「お、おい!しっかりしろ!」
「大丈夫ですか!」
「・・・・・・、エヘヘ・・約束通り、金貨2枚・・・ゲットした・・よ」
ひん槍と緑はGanotaを抱え長椅子に寝かせてやる。
「・・・・本当に2枚ゲットするとはな・・」
「すごい・・執念ですね。私だったら絶対に無理ですよ・・」
凄まじい執念で金貨2枚を手に入れたGanotaを称賛する二人だったが、スマホで時間を確認したひん槍が突然焦りだす。
「おい!もうすぐ閉店の時間だぞ!」
「ぇ!そんな!・・Ganotaさん寝てますよ!」
二人が大声で叫んでいると長椅子の端で寝ていた二人が目を覚ました。
「ん〜〜・・、どうした〜??」
「んん、・・騒がしいぞ・・」
「騒がしいじゃねぇよ!もうすぐ閉店だっつうの!」
「それなら大丈夫だぞ。オーナーが送ってくれるからな」
グリシアの言葉に安心する二人。だけど、どうやって帰れるのだろうか。
「あ、来た来た」
オーナーであるリリムが満面の笑顔を浮かべながらこちらに近づいてくる。
「んふふふ・・♪なかなかいい物が見れたわ♪まさか自力で二人もお嫁さんにしちゃうなんてね♥」
気を失って寝ているGanotaをチラリと見て満足に微笑むオーナー。
「それでは、・・・名残惜しいですが・・。まもなく閉店ですの御客様全員をお送りしますね」
オーナーが軽く指を弾くと長椅子で寝ていたGanotaが一瞬にして消えてしまう。
「あっ!Ganotaが!!」
「ウフフ・・、大丈夫よ。その人なら今頃自室のベッドで寝ているわ♪それでは次にグリシアね♪」
「ああ、済まないな。いきなり用も無しに来てしまって」
「いいのよ♪貴女のイヤラシイ声が聞けただけでも満足だったから♥」
そして羞恥で顔が真っ赤になったG13とグリシアが消える。
「さて、次は貴方達ね」
「・・・ちょっとだけ、待ってくれないか・・」
「あら?何かしら?」
「消える前に聞きたい事があるんだ・・、どうして貴女はパーラーを始めようと思ったのですか?」
「・・・そうねぇ。私なりのけじめと・・・お節介かしらね♪」
「そっか・・、それだけ聞けば満足です。ありがとうございました」
そして、ひん槍と緑も店内から姿を消した。
「フフ・・・、私なりのけじめ・・か」
誰も居ないパーラーで呟くオーナー。
深夜23:50、ひん槍と緑は御互い自室で金貨を眺めている。Ganotaはいまだ自室のベッドで深い眠りに就いている。そして心待ちにしている二人はというと・・・。
「はぁ〜・・、後10分でホルスたんの巨パイを独り占め出来るんだな・・」
「・・・エキドナ様にロールミーされるんだ・・・」
待ちに待った0時ジャスト、ひん槍、Ganota、緑の自室では金貨からピンクの煙が溢れ出し部屋中を淫靡な色に染め上げていく。
「うおおおぉおおおおおぉぉぉ!SS通りのピンク煙きたぁぁーー!!」
「SS読んで知ってたけど煙がすごすぎるぅぅーーーー!!」
「うわわわわわわっわっわわわ・・・!!なんだ!?何が起きたんだ!」
熟睡していたGanotaも目を覚ます。
「はふぅぅ〜〜〜・・・・、出〜れ〜ま〜し〜た〜♪あ〜〜♪旦那様だ〜〜♥」
「あら・・、貴方は確か私に巻かれて悶えていた子ね・・。フフ・・貴方の望みは私に巻きつかれて果てたいようですね♥」
「ちょ!ちょっとー!先に唾つけたのは私よ!」
「あぅぅぅ〜〜・・・、私が先に会えたのに〜・・」
Ganota宅では、プチ争奪戦が始まりそうだ。
御互い三人が、ホルスタウロス、エキドナ、ドッペルゲンガー、メデューサを解放してから初の日曜日。
ひん槍宅では毎朝日課となっている乳搾りが行われていた。
「メーリィン、今日も直飲みだからな!」
「はぃ〜〜♪旦那様のオッパイしゃぶり・・優しくて好きです〜♥」
「んぐ・・んぐ・・・、んぢゅ〜〜・・・、んんっ・・」
「はぅぅっぅぅ〜・・♥旦那様〜・・もっとぉ、もっと吸ってください〜♥」
「んん・・プハッ!・・・んはぁ〜・・!うめぇ!このミルクタンクはいつしゃぶっても最高だな!」
「旦那様だけの〜あま〜〜いあま〜〜いミルクを頑張って毎日出しますね〜♪」
「・・・でも、そろそろ・・俺のミルクが欲しくなってきたんじゃないのか」
「・・・♥欲しいですぅ〜、早く旦那様のおちんちんミルクが欲しいですぅ〜♥」
恒例行事となっている御互いのミルク搾りを堪能する二人。これから先も御互いのミルク搾りを毎朝続けていくのだろう。
緑宅では・・・。
「ほぉ〜ら・・、尻尾の先でおちんちんをこちょこちょされて感じているのね♪」
「うぁぁっ・・!そ、それ・・すごくいいです!!」
エキドナのエーリンに巻きつかれ、チンポだけを晒された緑が呻いている。
「ほらほら♪早くビューーッて私のオマンコ目掛けて射精してくださいな♥」
「あ・・ああっ・・、も、もう出るよ!」
噴水のように噴出した精液を恥部を両手で左右に開き膣で受け止めながら悦に浸るエーリン。びちゃびちゃと自らの性器に降り注ぐ精液にうっとりしながらも尻尾での愛撫を怠らない。
「ふふ・・、まだ・・・出してもらいたくて元気ですね♥次は・・私を妊娠させたいのですね♥・・・妊娠と聞いておちんちんが元気になるなんて・・正直な子♥」
果てしなく続く蛇独特の執拗な性行為。巻きつかれたまま引き寄せられた緑は抵抗する事も無く精液まみれになったエーリンの恥部にペニスを突き入れる。
Ganota宅では朝から痴話喧嘩が始まっている。毎朝の日課のように続く口喧嘩。
「今日は私が先って言ったじゃないの!!」
「ふぇぇぇ〜〜・・、そんなぁ〜・・。昨日もシフェルさんが先だったじゃないですか〜・・・」
「何言ってんのよ!昨日の晩、ルルに濃厚膣出しを先に譲ってあげたでしょう!」
「それじゃぁ〜・・・、今日の晩は・・私が後でいいので・・。ですから・・・朝一番は・・・」
御互いに朝一番の出来たて精液を味わう為に口論になる二人。そんな二人の頭を撫でながら仲裁に入るGanota。困り果てたような顔をしているが内心は喜び一色に染まっている。
「あ〜・・。まぁ、・・そんな事で口論しなくても・・」
「何言ってるのよ!!朝一番よ!朝一番!わかってるの!一番濃厚で美味しいのは寝起きの出来たて精液なのよ!」
「そ、・・そうですぅ〜・・。こ、こればかりは・・譲れません・・」
Ganotaは御互い膠着状態のシフェルとルルの頭をぐりぐりと力を込めて撫でると二人の前に性器を晒す。
「それじゃ今朝は、・・・二人のおっぱいで挟んでもらおうかな。それなら二人共味わえるでしょ?」
「・・・仕方ないわね・・、これ以上は時間の無駄だし。・・べ、別にアンタの為に妥協したんじゃないから!わかってるの!?」
「朝・・一番が味わえるのでしたら・・」
Ganotaは二人の服を優しく脱がすと僅かしか膨らみのないシフェルとルルの胸に反り立ったチンポを軽く押し付ける。
「えとさ・・、アレ・・やってくれないか・・?」
「・・・ふんっ!アンタも変よね・・、私達の乳首に挟まれて擦られたいなんて・・」
「で、でも・・これって・・すごく恥ずかしい・・です」
シフェルとルルはGanotaのペニスを御互いの柔らかくも薄い胸で挟み込み息の合ったWパイズリで奉仕する。
「ん・・。本当に・・アンタって変よね・・。私のBぐらいしか無いおっぱいで擦られたいなんて」
「はぅぅ・・。でも・・嬉しいです・・♥」
「おふ・・、今・・乳首がカリに当たって・・」
「ふんっ!・・・きょ・・今日だけなんだからね!明日もしてもらえるなんて思わないでね!」
「わ、私は・・貴方が望むのでしたら・・い、いつでも・・♥」
「あっ!アンタずるいわよ!・・・だったらアタシも・・」
「お・・おぅ・・・。だ、出すぞ・・!」
シフェルとルルが作った谷間とは言えない胸と胸の隙間に吐き出される大量の精液。シフェルとルルは御互いに乳首や柔らかく薄いおっぱいに巻き散らかされた朝一番の精液を嬉しそうに指で掬い口に運ぶ。
「んん〜〜〜〜♪やっぱり朝一番の濃厚な精液は美味しいわね♥」
「はぃぃ〜・・♪甘くて・・まろやかで・・・とても美味しいです・・・」
二人が朝一番に吐き出された精液を美味しそうに舐めてるのを見てるだけで萎えていたGanotaのペニスは再度力を取り戻す。
「よ〜〜し!今日は休みだし二人同時に愛してやるからな!」
「あ、当たり前でしょ・・・。このバカ・・♪」
「うれしぃ・・です♥」
念願の魔物娘を嫁にした三人は居場所は違えど同じ思いを同時に口に出した。
「愛しているぞ、死ぬまで・・・いや、死んでも一緒だからな!」
13/10/26 18:36更新 / ぷいぷい
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