幼き日の思い出と溢れる母性愛
早朝6時、私は携帯のアラーム音で起こされる。いや、起こされるはずだったが、今日からは柔らかくふさふさした尻尾で起こされる毎日になる。
「旦那様♪早く起きてくださいな」
まるで黄金の稲穂のような尻尾が私の頬を撫で上げくすぐったい感触と未知の快感を私に与えてくれる。しかし、私は一向に起きるそぶりを見せない。まだ一本しか味わってないからだ。妻は尻尾が5本あるので全ての感触を味わう為にわざと寝たフリをする。
「旦那様、早く起きないと朝餉が冷めてしまいますよ?」
妻はわかっていながらも尻尾を順々に私の顔に触れさせていく。最後の一本の感触を味わった私は軽いおねだりをした。
「んぅ〜〜、アレをして欲しいなー・・・」
アレとは妻が妖力で5本の尻尾を一本に纏めるという嬉し楽しい妖術だった。
「しょうがない旦那様ですね〜、でもそこが可愛いですから許しちゃいます♪」
妻はそう言うと尻尾に軽く力を入れ妖力を注ぎ込んだ。
パフン♪
可愛らしい音と共に現れた一本の尻尾、5本全ての尻尾を纏めたせいか抱き枕以上の大きさとなっている。私は尻尾に抱きつき頬擦りをすると妻は嬉しそうに頬を染める。5本全て味わうのも楽しいが一本に纏めた大きな尻尾を味わうのも私の楽しみの1つだった。
「あらあら、そんなに大きな尻尾が嬉しいのですか?」
「すごく嬉しいに決まってるじゃないか、触り心地も美しい毛並みも抱きついた時の感触も最高だ」
「んふふ♪旦那様は甘えんぼさんですね〜」
子供のような扱いをされるが逆に私は嬉しく感じてしまう。これから毎日、自分だけが味わう嗜好。いや、嗜好ではなく全てを癒してくれる存在。私はひとしきり尻尾の感触を味わうと用意された朝餉を食すために食卓に就く。妻はすでに元通り5本に戻し向かいで同じように朝餉を食している。少し残念な気もするが大きな尻尾のままでは椅子に座り辛いと言って元に戻したのだ。
「旦那様、今日の御帰りは何時頃でしょう?」
「…。21時過ぎた頃だと思うが・・どうかしたか?」
「・・・・・・・・・・」
妻は何も言わず悲しい表情のまま朝餉を食している。何故悲しい顔をしているのだろう。私が何か悪い事を言ってしまったのだろうか。朝餉も終わりスーツに着替え少し早めに出社しようと玄関に向かう。だが、そんな私の袖をそっとつまんでくる妻。
「旦那様・・・、私は悲しいです。旦那様と一緒に居る時間が僅か数時間だなんて・・・・」
妻は泣き入りそうな小声で私に打ち明ける。どうやら妻は私が残業をする事に僅かばかりの不満があるらしい。私が残業をするということは単純に夜の営みの時間が減るという事だ。妻は目に涙を貯め上目使いで私に懇願するが自らを納得させるかのように掴んでいた手を離し私を送り出そうとする。
「いってらっしゃいませ、旦那様」
ここまで献身的で健気な女性は居るだろうか。否、居ないだろう。そう考えた私は胸ポケットから携帯を取り出すと会社に連絡を入れる。
「申し訳ありませんが・・・・・、・・・・・はい・・はい、それでは有給を使わせていただきます」
携帯を切り、スーツを脱ぎ捨てると妻の手を取り寝室に入る。今日一日、妻が満足するまで昨晩の続きをする為だ。
「あ、あの・・旦那様。どうして寝室に行くのですか?」
「もちろん昨晩の続きをするからだ。今日は有給で休みにしたから満足するまで子作りセックスをするつもりだ」
「ああ・・旦那様、私は・・私は果報者です・・。旦那様にこんなに愛される私は世界一幸せ者です・・・」
普通は言う立場が逆だがな、と心の中で思ったが実は私も同じ事を考えていたし本音を言えば今日は休みたかったのだ。この時点で私は妻に溺れているんだろうな、と思ったがこれも良し、というもう一人の私の声が聞こえたような気がした。
「さ、早く子作りするぞ!」
「はい!旦那様♪」
妻に似た可愛い子が出来ますように、と考えながら私は妻の秘所を突き始める。
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私の名は菰野 陽一(こもの よういち)。とある会社で内勤勤めをしている。毎日毎日データ管理や顧客リストの作成、電話番をする事もあれば朝から晩まで書類に目を通すだけの作業もある。毎日が鬱屈しそうなほどつまらない。最近では死んだ目のまま仕事をこなしている日もある。同僚達も皆同じように目が沈んでいる。僅かな刺激も未来への展望も浮かばない毎日に正直飽き飽きしていた私は定時で帰ろうとするが上司に呼び止められた。
「菰野君、すまんがこれに目を通してくれないか。その後で君の意見を聞きたいんだが頼めるか」
帰ろうと思った矢先にこれだ。私は渋々ながらも目を通し率直な意見を上司に述べる。
「私の意見としましては、・・・・であるからして・・・、この部分に着目したいと思います」
「ふむ、なかなかいい判断だがそれだと時間が掛かるのがネックだ。私としてはここに注目したいのだが君ならどう考える?」
そして不毛な遣り取りが3時間も続き、やっと帰宅出来る。上司は仕事熱心で思い当たる事があれば今日のように誰彼構わず意見を聞き出そうとするほど勤勉な人だ。私にはそれだけの意欲も情熱も無い。ただ毎日を生きる為だけに働く私とは大違いだ。少し羨ましいと思った事もあるが結局それは他人の人生である。他者の人生を羨ましいと思いながらも自分自身の事に関しては達観するだけの毎日。そんな自分を引き摺りながら帰宅する。
「・・・ただいま。・・・・」
2LDKのマンションに帰宅した私を出迎えてくれる人は居ない。ただいまの挨拶も自身を確立させる為だけのパフォーマンスだ。両親は私が10歳の時に他界しており一人で住むには心が寒くなるほどの広さ。暇潰しに集めたマンガ本も贅沢に寝てみようと思って購入したダブルベットも全てが凍りついた無機物のように感じられた。
「・・・なんか疲れたな・・。飯食う気力もあまり出ない・・」
僅かばかりの愚痴を零した私は適当にシャワーを浴びると戸棚に隠していたカップラーメンに湯を注ぎ5分待つ。ほどよい柔らかさになった麺をずるずるっと啜り胃に流しこんだ。あまりにも適当な食事、体の事を考えない不健康な食生活、鬱になりそうな環境。このままの生活を続けていけば確実に日常生活に支障をきたすだろう。だが、そんな人生でも構わないと私は考えるようになっていた。そしていつものように自分一人には広すぎるベットにダイブし、死んだように眠る。
翌朝、いつも通りの時間に起き、いつも通りに出社し、いつも通りに仕事をこなす。まるで血の通った機械だな、と考えるようになってきた。そして今日もいつものように誰も居ないマンションに帰宅して『ただいま』を言う。自分が生きてるのか、ただの機械なのかわからなくなってきている。誰も助けてはくれない。そこにあるのは菰野 陽一という1つの固体。自分自身を物として見ている私が居る事に心がゾクッとしたがそれもすぐに収まる。
「ふぅ…、危ない危ない・・。変な事を考えだしたら止まらないというからな・・」
独り言で自身を納得させ昨晩と同じようにカップ麺を啜りベットにダイブする。これからもずっとこんな毎日が続くのだろうと深く考えながら意識を闇に落す。そして翌朝目を覚まし何も変わらない日常が続く。人であるならば誰もが一度は考えてしまう事だ、と昨日の自分を叱咤し出勤する。生きる為だけに働く、これでいいじゃないか。今はこれだけの理由があれば充分だ、と自分自身に納得させ業務をこなしていく。生きる為に働くんだ、という大雑把ながらも明確な意思を持った私は昨日よりも効率の良い作業方法で定時までに全ての業務をこなしていった。
「では、御先に失礼します」
それだけを言うと上司に声を掛けられる前にすぐに退社した。今日は何故だか早く帰りたかった。自分でもわからないが何かに心を急かされるような感覚だった。でもそのおかげで素早く退社出来た事は嬉しい事だ。珍しく定時上がり、家に帰っても何もする事が無いだろうと悩んだ私は適当にふらふらと歩き出す。最近は時間が無くて本を買えなかったから一気に買おうか、それとも部屋に何か飾ってみようか、などを思いながらあっちにふらふら、こっちにふらふらと優柔不断の見本と思われるかのように移動していく。ふらふらと行き場の無い足を頼りに路地裏に入り込んだ私は一軒のパーラーを見つけた。
「パチンコかー。懐かしいな、社会人成り立ての頃は負けるとわかってたのに話題合わせする為に打ったもんだな」
軽く笑った私は惹き寄せられるようにパーラーに入っていく。なかなか小奇麗で台には汚れ1つ無い。客も何故か居ないし暇潰しにはもってこいの優良物件だ、これなら多少打ってもいいかと店内を見渡すとカウンターで一人の女性がぶつぶつと独り言を言っている。
「うーん・・・そろそろ足りなくなりそうだわ。でも予備枠で集めた子が居るからもう少し大丈夫ね・・」
カウンターで独り言を言っていた女性はこちらに気付くと急ぎ足でこちらに近づいてきた。
「本日は当店に御越しいただきありがとうございます。今宵貴方を幸運に導く出逢いがありますよう心より願います」
店員はそれだけを言うとすぐにカウンターに戻り椅子に座りながらぶつぶつと独り言を言い始める。あまりの短い挨拶に呆けてしまったがそれ以上に店員の美しさに呆けていた。
「世の中・・・居るには居るんだな・・。うちの会社に居たら一生仕事に情熱を注ぎそうだ」
そんな妄想を考えたが無いもの強請りと諦めて台を物色していく。久しぶりに見るパチンコ台。知らない台ばかりで心が躍動していく。
「いつのまにか全部知らない台になってしまったなー。ま、それはそれで新鮮に感じるからいいか」
ふらふら所在無さげにうろつく。久しぶりに打つパチンコだからじっくり選んでみたいとあちらこちらと移動する。
「お、これ打ってみるか」
見つけた台は----------『心の御宿』
早速打ってみる。なんだか釘が甘い気がしたが、これが最近出てきた甘デジというやつなのかな、と誤解したまま打ち続ける。回りだしたキャラクターを目で追っていく。猫耳な子や犬っぽぃ子、狸みたいな耳を付けた子や狐のような耳を付けた子、なんだかわからないがずぶ濡れになっている女性や雪女(?)などが回っている。最近の台はすごくリアルになったもんだと感心しながら打つ。もちろんこんなリアルな台があるわけ無い。あってもせいぜい精密に描かれたアニメキャラだ。完全に勘違いをした私は打ち続ける。
「ふんふふ〜ん・・・・♪」
ただ無駄に回すだけでも楽しい。久しぶりに打つパチンコは楽しくて時間が経つのを忘れてしまいそうになる。でも打つからには当ててみたいもんだ。時間を忘れ黙々と打つ。そしてするりと飛び込むリーチ、心をワクワクさせながらリーチの行方を見守るがハズレた。
「こんなもんだな。すぐには当たらないだろうし・・」
それからもちょくちょくリーチが飛び込むが当たってくれない。ほぼ間違いなく当たる事は無いだろうと思われるノーマルリーチばかりが飛び込んでくる。賭け事なんてこんなもんだ、と納得しながらでも止めようとは全く思わなかった。この先どうなるかを見てみたくなってきた私は夢中で玉を打ち続けている。また同じようにリーチが飛び込んできたが今回は違った。小さな狐耳の女の子がブランコに乗って遊んでいる。
「お兄ちゃーーん。あそぼーー♪」
画面の中の幼い少女は足をバタバタさせながら一緒に遊ぼうと誘ってくる。なかなか凝った演出だと驚いた。本当に目の前に少女が居て誘ってきてるようなクリアな音質。幼いながらも時々媚びるように上目遣いでこちらを覗きこむ綺麗な瞳。あまりのリアルさに驚きを隠せなかったが最近の技術は素晴らしいと感動してしまう。そんな事を考えていたら画面の中の少女が拗ねたように答える。
「ぶぅ〜〜〜!・・・今度会ったら一緒に遊んでもらうからね!」
リーチはハズレ再度回りだす。リーチ演出の良さを見て感動した私は他の演出も見てみたくなってきた。贅沢な事を考えしまった、と思いながらも片方ではこれで賭け事に嵌ってしまうんだな、と複雑な気持ちで一杯だ。財布の中身は少しづつ軽くなっていくがそれでも気にせず打ち続けた。そしてまたリーチが来る。今度はチャイナ服を来た狐耳の女性とさきほどの幼い少女のWリーチだった。チャイナ服の女性が声を掛けてくる。
「ねぇ、私を選んで遊んでみない・・?」
豊満な胸を誇張させるように両腕を組む。だけど、負けじと少女も誘いを掛けてくる。
「おにいちゃん、今度会ったら遊んでくれる約束だったよね!」
一瞬だけ呆けてしまった。『今度会ったら一緒に遊んでくれる約束』って。一体どうなってるんだか・・・、呆けたままの私を他所に二人は執拗に誘いを掛けてくる。
「ねぇ・・、どう?私を選んで今晩から遊んでみたいと思わない?」
「お兄ちゃん!一緒に遊ぶ約束したよね!」
パチンコのキャラクターとはいえ、こんなに執拗に誘いを受けると嬉しくなってきたが何か違うなと感じ黙々を玉を打つ。
「次会ったら私の虜にしてあ・げ・る」
「おにいちゃんのバカーーー!!」
妖艶な言葉と拗ねた言葉を残しキャラクターは回りだす。ちょっと嬉しい気分になった私は次はどんな言葉が来るのかな、と期待を胸に回し続ける。この台に興味を惹かれた私は我侭な子供のように飽きるまで回し続ける。いや、きっと飽きないだろう。その後、色々とリーチが来るがなかなか当たらない。
「今日は充分に楽しめたし、今度来る時はもうちょっと金を下ろしてこようかな」
今日はそろそろ帰ろうとした時、ゆっくりとリーチが掛かった。
「こういう時ってあるよな。帰ろうと思った時にリーチが来る変な法則」
誰にでもあるだろう御約束的な状況。そしてするりと入り込んだリーチは雪女と銀髪の狐みたいな女性。久しぶりのWリーチだった。
「へぇ、二人共すごい美人だな」
「うふふ・・、さぁ旦那様。私と共に凍った時間の狭間で楽しみましょう」
「旦那様、御逢いしとうございます・・・」
こんな二人に求められるなら今すぐにでも楽しみたい、・・・でも銀髪の狐耳女性のほうが好みだ。二人は割烹着を来て料理を始める。二人同時に料理を終わらせ菜箸でおかずを摘むとこちら側に差し出してきた。
「はぃ、旦那様。あーんしてください♪」
「私の手料理を存分に味わってくださいね♪」
すごく美味そうだ。画面の中とはいえ匂いが漂ってくるようにも感じられた。こんな美人二人に あーん、なんてされたらもう死んでもいい。でもやっぱりどちらから先に食べようかなと思うと銀髪狐耳の女性のほうを選んでしまう。
「んふふ♪選んでくれて嬉しゅうございます」
画面一杯にハートが飛び交い最後に大きなハートマークが破裂するとさきほどの銀髪の狐耳女性が揃っていた。すごい演出だったなぁ、とひとしきり感心しながら玉を打つ。でも何故か玉は減るばかりで肝心の受け皿には何も出てこない。台の裏側で玉が詰まってるんだろうかと思ったが最後の一玉を打った瞬間に受け皿に一枚の金貨が飛び出した。
「お・・?おおおおお!?ナニコレ!?新手のドッキリか!?」
驚きながらも金貨を摘み裏、表と眺めているといつのまに居たのか店員に声を掛けられる。
「おめでとうございます。今宵、貴方様が授かる幸運は童心。きっと御満足頂けるかと存じます」
店員は僅かながらに微笑むとカウンターへと戻っていった。そして意味がわからない私は金貨を懐に大事に仕舞い込むとのんびりと帰宅する。帰宅途中、何故金貨なのかと何度も悩んだが両面に綺麗な女性が彫られていた事もあって家に着いた頃には顔がにやけていた。
「綺麗な女性だなぁ。さっきのように手料理を作ってもらえたらどれだけ嬉しい事か・・・。金貨に言ってもしょうがないな」
そしていつものようにカップ麺に湯を注ぎのんびり5分待つ。
(・・・・嗚呼、・・旦那様がそのような貧相な御食事を食べるだなんて・・)
「・・・・・??」
気のせいだろうか、なにか心にザックリ来るような事を言われたような気がする。それはさておき、いつもの如く麺を啜り始めるが妙な視線を感じる。
(うぅぅっ・・・、私が至らないせいで旦那様があのような貧しい食事をするなんて・・・)
麺を一回啜るごとに私の心は泣きそうになってくる。なんだかすごく憐れみの目で見られてる気がする。今日のカップ麺は塩辛いな。いつのまにか私は泣きながらカップ麺を食べている。子供の頃、母の手料理を喜んで食べていた事を不意に思い出す。
「なんでだろうな・・、もう食べれないとわかってるのに・・ううっ・・・なんで今頃思い出すんだ・・・」
泣きながらもカップ麺を全て食べたが味気なかった。情けないとわかってても泣きたい時はある。私は泣いた。誰かのぬくもりが欲しいと、誰かの手料理を味わってみたいと。気が済むまで泣いた私は風呂に入り心をさっぱりさせるように丁寧に体を洗い風呂から上がるとすぐに眠りに就いた。
(あぁ・・私の愛しい旦那様。もうしばらく・・もうしばらくの辛抱です。月が真上に来ましたら・・)
深夜0時。私は呪縛から解き放たれる。この時をどれほど待ちわびたか。私はこっそりと旦那様の寝室に忍び込み寝顔を眺める。
「旦那様が・・・泣いて・・。これはきっと過去の悲しい夢を見ているのでしょうか。・・・ですが・・、これからは私が旦那様の為に尽くしましょう」
私は旦那様のベットに潜りこみ向かい合わせになると軽く口付けをする。口付けで目を覚ました旦那様は寝ぼけながら私に「母さん・・?」と。でも、私は旦那様のお母様ではありません。旦那様の愛しき妻となる身です。ちょっとだけ旦那様のお母様に嫉妬してしまいますが私に母を感じてくれた事を嬉しく思います。これからは旦那様だけの妻になれる喜び、そして母として一生を捧げるのです。旦那様は完全に目を覚ますと私の頭でぴょこぴょこと動く耳を優しく撫でてくれました。私のような魔物娘を見ても驚かない事にこちらが驚いてしまいましたが「君のような美人にキスで起こされるなんて夢のようだよ」と仰ってくださった事は感激致しました。私はあまりの嬉しさに子宮が疼き、旦那様に「今宵、私に御情けを頂きとう」と懇願してしまいました。愛しい旦那様は「こんな私でも良ければ喜んで」と返事をくださいました。私は着物の帯を緩め、するりと着物を肌蹴させ旦那様に胸を晒します。興奮しながらも嬉しそうに私の着物が全て取り払われていくのを眺めていた旦那様が私の尻尾に注目し、触れてみたいと御願いしてきます。私自慢の5本の尻尾。旦那様は私の尻尾がお気に召したみたいで優しい手付きで尻尾を撫でていき、時には毛並みに逆らうように手を尻尾の毛の中に入れてきます。この優しい愛撫だけで私の体は発情期のように心が昂ぶり、今すぐに子種を子宮に注いで欲しいと体が欲します。旦那様はすぐに察して一矢纏わぬ姿になると優しく肉棒をすじに宛がいゆっくりと挿入してきます。ゆっくりとした優しい性交、私の体を気遣ってか抱き会うように、そして絡みつくように座位で子宮を優しく叩いてきます。激しい性交でも嬉しいのですが愛情を深く感じ取れる性交は私を何度も絶頂させ、これから一生旦那様だけを愛する雌にされたと認識させられるのです。何度も何度も絶頂し旦那様の体力も尽きかけようとした頃、旦那様から最後にどうしてもと1つの約束事を頼まれました。それは私自慢の尻尾を1本に変化させ、それを抱き枕にして眠りたいとお願いしてきたのです。勿論、私は喜んで願いを聞き入れます。私が尻尾を一本に変化させ旦那様に抱かせるとまるで子供のような無垢な笑顔で眠りに就きました。旦那様の嬉しそうな寝顔を見れた私は尻尾を抱かれたまま隣で眠りに就きます。明日の朝、旦那様お気に入りの尻尾で起こしてあげましょう。そして私も深い闇に意識を落す。
願わくば、これから先、幸あらんことを・・・。
「旦那様♪早く起きてくださいな」
まるで黄金の稲穂のような尻尾が私の頬を撫で上げくすぐったい感触と未知の快感を私に与えてくれる。しかし、私は一向に起きるそぶりを見せない。まだ一本しか味わってないからだ。妻は尻尾が5本あるので全ての感触を味わう為にわざと寝たフリをする。
「旦那様、早く起きないと朝餉が冷めてしまいますよ?」
妻はわかっていながらも尻尾を順々に私の顔に触れさせていく。最後の一本の感触を味わった私は軽いおねだりをした。
「んぅ〜〜、アレをして欲しいなー・・・」
アレとは妻が妖力で5本の尻尾を一本に纏めるという嬉し楽しい妖術だった。
「しょうがない旦那様ですね〜、でもそこが可愛いですから許しちゃいます♪」
妻はそう言うと尻尾に軽く力を入れ妖力を注ぎ込んだ。
パフン♪
可愛らしい音と共に現れた一本の尻尾、5本全ての尻尾を纏めたせいか抱き枕以上の大きさとなっている。私は尻尾に抱きつき頬擦りをすると妻は嬉しそうに頬を染める。5本全て味わうのも楽しいが一本に纏めた大きな尻尾を味わうのも私の楽しみの1つだった。
「あらあら、そんなに大きな尻尾が嬉しいのですか?」
「すごく嬉しいに決まってるじゃないか、触り心地も美しい毛並みも抱きついた時の感触も最高だ」
「んふふ♪旦那様は甘えんぼさんですね〜」
子供のような扱いをされるが逆に私は嬉しく感じてしまう。これから毎日、自分だけが味わう嗜好。いや、嗜好ではなく全てを癒してくれる存在。私はひとしきり尻尾の感触を味わうと用意された朝餉を食すために食卓に就く。妻はすでに元通り5本に戻し向かいで同じように朝餉を食している。少し残念な気もするが大きな尻尾のままでは椅子に座り辛いと言って元に戻したのだ。
「旦那様、今日の御帰りは何時頃でしょう?」
「…。21時過ぎた頃だと思うが・・どうかしたか?」
「・・・・・・・・・・」
妻は何も言わず悲しい表情のまま朝餉を食している。何故悲しい顔をしているのだろう。私が何か悪い事を言ってしまったのだろうか。朝餉も終わりスーツに着替え少し早めに出社しようと玄関に向かう。だが、そんな私の袖をそっとつまんでくる妻。
「旦那様・・・、私は悲しいです。旦那様と一緒に居る時間が僅か数時間だなんて・・・・」
妻は泣き入りそうな小声で私に打ち明ける。どうやら妻は私が残業をする事に僅かばかりの不満があるらしい。私が残業をするということは単純に夜の営みの時間が減るという事だ。妻は目に涙を貯め上目使いで私に懇願するが自らを納得させるかのように掴んでいた手を離し私を送り出そうとする。
「いってらっしゃいませ、旦那様」
ここまで献身的で健気な女性は居るだろうか。否、居ないだろう。そう考えた私は胸ポケットから携帯を取り出すと会社に連絡を入れる。
「申し訳ありませんが・・・・・、・・・・・はい・・はい、それでは有給を使わせていただきます」
携帯を切り、スーツを脱ぎ捨てると妻の手を取り寝室に入る。今日一日、妻が満足するまで昨晩の続きをする為だ。
「あ、あの・・旦那様。どうして寝室に行くのですか?」
「もちろん昨晩の続きをするからだ。今日は有給で休みにしたから満足するまで子作りセックスをするつもりだ」
「ああ・・旦那様、私は・・私は果報者です・・。旦那様にこんなに愛される私は世界一幸せ者です・・・」
普通は言う立場が逆だがな、と心の中で思ったが実は私も同じ事を考えていたし本音を言えば今日は休みたかったのだ。この時点で私は妻に溺れているんだろうな、と思ったがこれも良し、というもう一人の私の声が聞こえたような気がした。
「さ、早く子作りするぞ!」
「はい!旦那様♪」
妻に似た可愛い子が出来ますように、と考えながら私は妻の秘所を突き始める。
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私の名は菰野 陽一(こもの よういち)。とある会社で内勤勤めをしている。毎日毎日データ管理や顧客リストの作成、電話番をする事もあれば朝から晩まで書類に目を通すだけの作業もある。毎日が鬱屈しそうなほどつまらない。最近では死んだ目のまま仕事をこなしている日もある。同僚達も皆同じように目が沈んでいる。僅かな刺激も未来への展望も浮かばない毎日に正直飽き飽きしていた私は定時で帰ろうとするが上司に呼び止められた。
「菰野君、すまんがこれに目を通してくれないか。その後で君の意見を聞きたいんだが頼めるか」
帰ろうと思った矢先にこれだ。私は渋々ながらも目を通し率直な意見を上司に述べる。
「私の意見としましては、・・・・であるからして・・・、この部分に着目したいと思います」
「ふむ、なかなかいい判断だがそれだと時間が掛かるのがネックだ。私としてはここに注目したいのだが君ならどう考える?」
そして不毛な遣り取りが3時間も続き、やっと帰宅出来る。上司は仕事熱心で思い当たる事があれば今日のように誰彼構わず意見を聞き出そうとするほど勤勉な人だ。私にはそれだけの意欲も情熱も無い。ただ毎日を生きる為だけに働く私とは大違いだ。少し羨ましいと思った事もあるが結局それは他人の人生である。他者の人生を羨ましいと思いながらも自分自身の事に関しては達観するだけの毎日。そんな自分を引き摺りながら帰宅する。
「・・・ただいま。・・・・」
2LDKのマンションに帰宅した私を出迎えてくれる人は居ない。ただいまの挨拶も自身を確立させる為だけのパフォーマンスだ。両親は私が10歳の時に他界しており一人で住むには心が寒くなるほどの広さ。暇潰しに集めたマンガ本も贅沢に寝てみようと思って購入したダブルベットも全てが凍りついた無機物のように感じられた。
「・・・なんか疲れたな・・。飯食う気力もあまり出ない・・」
僅かばかりの愚痴を零した私は適当にシャワーを浴びると戸棚に隠していたカップラーメンに湯を注ぎ5分待つ。ほどよい柔らかさになった麺をずるずるっと啜り胃に流しこんだ。あまりにも適当な食事、体の事を考えない不健康な食生活、鬱になりそうな環境。このままの生活を続けていけば確実に日常生活に支障をきたすだろう。だが、そんな人生でも構わないと私は考えるようになっていた。そしていつものように自分一人には広すぎるベットにダイブし、死んだように眠る。
翌朝、いつも通りの時間に起き、いつも通りに出社し、いつも通りに仕事をこなす。まるで血の通った機械だな、と考えるようになってきた。そして今日もいつものように誰も居ないマンションに帰宅して『ただいま』を言う。自分が生きてるのか、ただの機械なのかわからなくなってきている。誰も助けてはくれない。そこにあるのは菰野 陽一という1つの固体。自分自身を物として見ている私が居る事に心がゾクッとしたがそれもすぐに収まる。
「ふぅ…、危ない危ない・・。変な事を考えだしたら止まらないというからな・・」
独り言で自身を納得させ昨晩と同じようにカップ麺を啜りベットにダイブする。これからもずっとこんな毎日が続くのだろうと深く考えながら意識を闇に落す。そして翌朝目を覚まし何も変わらない日常が続く。人であるならば誰もが一度は考えてしまう事だ、と昨日の自分を叱咤し出勤する。生きる為だけに働く、これでいいじゃないか。今はこれだけの理由があれば充分だ、と自分自身に納得させ業務をこなしていく。生きる為に働くんだ、という大雑把ながらも明確な意思を持った私は昨日よりも効率の良い作業方法で定時までに全ての業務をこなしていった。
「では、御先に失礼します」
それだけを言うと上司に声を掛けられる前にすぐに退社した。今日は何故だか早く帰りたかった。自分でもわからないが何かに心を急かされるような感覚だった。でもそのおかげで素早く退社出来た事は嬉しい事だ。珍しく定時上がり、家に帰っても何もする事が無いだろうと悩んだ私は適当にふらふらと歩き出す。最近は時間が無くて本を買えなかったから一気に買おうか、それとも部屋に何か飾ってみようか、などを思いながらあっちにふらふら、こっちにふらふらと優柔不断の見本と思われるかのように移動していく。ふらふらと行き場の無い足を頼りに路地裏に入り込んだ私は一軒のパーラーを見つけた。
「パチンコかー。懐かしいな、社会人成り立ての頃は負けるとわかってたのに話題合わせする為に打ったもんだな」
軽く笑った私は惹き寄せられるようにパーラーに入っていく。なかなか小奇麗で台には汚れ1つ無い。客も何故か居ないし暇潰しにはもってこいの優良物件だ、これなら多少打ってもいいかと店内を見渡すとカウンターで一人の女性がぶつぶつと独り言を言っている。
「うーん・・・そろそろ足りなくなりそうだわ。でも予備枠で集めた子が居るからもう少し大丈夫ね・・」
カウンターで独り言を言っていた女性はこちらに気付くと急ぎ足でこちらに近づいてきた。
「本日は当店に御越しいただきありがとうございます。今宵貴方を幸運に導く出逢いがありますよう心より願います」
店員はそれだけを言うとすぐにカウンターに戻り椅子に座りながらぶつぶつと独り言を言い始める。あまりの短い挨拶に呆けてしまったがそれ以上に店員の美しさに呆けていた。
「世の中・・・居るには居るんだな・・。うちの会社に居たら一生仕事に情熱を注ぎそうだ」
そんな妄想を考えたが無いもの強請りと諦めて台を物色していく。久しぶりに見るパチンコ台。知らない台ばかりで心が躍動していく。
「いつのまにか全部知らない台になってしまったなー。ま、それはそれで新鮮に感じるからいいか」
ふらふら所在無さげにうろつく。久しぶりに打つパチンコだからじっくり選んでみたいとあちらこちらと移動する。
「お、これ打ってみるか」
見つけた台は----------『心の御宿』
早速打ってみる。なんだか釘が甘い気がしたが、これが最近出てきた甘デジというやつなのかな、と誤解したまま打ち続ける。回りだしたキャラクターを目で追っていく。猫耳な子や犬っぽぃ子、狸みたいな耳を付けた子や狐のような耳を付けた子、なんだかわからないがずぶ濡れになっている女性や雪女(?)などが回っている。最近の台はすごくリアルになったもんだと感心しながら打つ。もちろんこんなリアルな台があるわけ無い。あってもせいぜい精密に描かれたアニメキャラだ。完全に勘違いをした私は打ち続ける。
「ふんふふ〜ん・・・・♪」
ただ無駄に回すだけでも楽しい。久しぶりに打つパチンコは楽しくて時間が経つのを忘れてしまいそうになる。でも打つからには当ててみたいもんだ。時間を忘れ黙々と打つ。そしてするりと飛び込むリーチ、心をワクワクさせながらリーチの行方を見守るがハズレた。
「こんなもんだな。すぐには当たらないだろうし・・」
それからもちょくちょくリーチが飛び込むが当たってくれない。ほぼ間違いなく当たる事は無いだろうと思われるノーマルリーチばかりが飛び込んでくる。賭け事なんてこんなもんだ、と納得しながらでも止めようとは全く思わなかった。この先どうなるかを見てみたくなってきた私は夢中で玉を打ち続けている。また同じようにリーチが飛び込んできたが今回は違った。小さな狐耳の女の子がブランコに乗って遊んでいる。
「お兄ちゃーーん。あそぼーー♪」
画面の中の幼い少女は足をバタバタさせながら一緒に遊ぼうと誘ってくる。なかなか凝った演出だと驚いた。本当に目の前に少女が居て誘ってきてるようなクリアな音質。幼いながらも時々媚びるように上目遣いでこちらを覗きこむ綺麗な瞳。あまりのリアルさに驚きを隠せなかったが最近の技術は素晴らしいと感動してしまう。そんな事を考えていたら画面の中の少女が拗ねたように答える。
「ぶぅ〜〜〜!・・・今度会ったら一緒に遊んでもらうからね!」
リーチはハズレ再度回りだす。リーチ演出の良さを見て感動した私は他の演出も見てみたくなってきた。贅沢な事を考えしまった、と思いながらも片方ではこれで賭け事に嵌ってしまうんだな、と複雑な気持ちで一杯だ。財布の中身は少しづつ軽くなっていくがそれでも気にせず打ち続けた。そしてまたリーチが来る。今度はチャイナ服を来た狐耳の女性とさきほどの幼い少女のWリーチだった。チャイナ服の女性が声を掛けてくる。
「ねぇ、私を選んで遊んでみない・・?」
豊満な胸を誇張させるように両腕を組む。だけど、負けじと少女も誘いを掛けてくる。
「おにいちゃん、今度会ったら遊んでくれる約束だったよね!」
一瞬だけ呆けてしまった。『今度会ったら一緒に遊んでくれる約束』って。一体どうなってるんだか・・・、呆けたままの私を他所に二人は執拗に誘いを掛けてくる。
「ねぇ・・、どう?私を選んで今晩から遊んでみたいと思わない?」
「お兄ちゃん!一緒に遊ぶ約束したよね!」
パチンコのキャラクターとはいえ、こんなに執拗に誘いを受けると嬉しくなってきたが何か違うなと感じ黙々を玉を打つ。
「次会ったら私の虜にしてあ・げ・る」
「おにいちゃんのバカーーー!!」
妖艶な言葉と拗ねた言葉を残しキャラクターは回りだす。ちょっと嬉しい気分になった私は次はどんな言葉が来るのかな、と期待を胸に回し続ける。この台に興味を惹かれた私は我侭な子供のように飽きるまで回し続ける。いや、きっと飽きないだろう。その後、色々とリーチが来るがなかなか当たらない。
「今日は充分に楽しめたし、今度来る時はもうちょっと金を下ろしてこようかな」
今日はそろそろ帰ろうとした時、ゆっくりとリーチが掛かった。
「こういう時ってあるよな。帰ろうと思った時にリーチが来る変な法則」
誰にでもあるだろう御約束的な状況。そしてするりと入り込んだリーチは雪女と銀髪の狐みたいな女性。久しぶりのWリーチだった。
「へぇ、二人共すごい美人だな」
「うふふ・・、さぁ旦那様。私と共に凍った時間の狭間で楽しみましょう」
「旦那様、御逢いしとうございます・・・」
こんな二人に求められるなら今すぐにでも楽しみたい、・・・でも銀髪の狐耳女性のほうが好みだ。二人は割烹着を来て料理を始める。二人同時に料理を終わらせ菜箸でおかずを摘むとこちら側に差し出してきた。
「はぃ、旦那様。あーんしてください♪」
「私の手料理を存分に味わってくださいね♪」
すごく美味そうだ。画面の中とはいえ匂いが漂ってくるようにも感じられた。こんな美人二人に あーん、なんてされたらもう死んでもいい。でもやっぱりどちらから先に食べようかなと思うと銀髪狐耳の女性のほうを選んでしまう。
「んふふ♪選んでくれて嬉しゅうございます」
画面一杯にハートが飛び交い最後に大きなハートマークが破裂するとさきほどの銀髪の狐耳女性が揃っていた。すごい演出だったなぁ、とひとしきり感心しながら玉を打つ。でも何故か玉は減るばかりで肝心の受け皿には何も出てこない。台の裏側で玉が詰まってるんだろうかと思ったが最後の一玉を打った瞬間に受け皿に一枚の金貨が飛び出した。
「お・・?おおおおお!?ナニコレ!?新手のドッキリか!?」
驚きながらも金貨を摘み裏、表と眺めているといつのまに居たのか店員に声を掛けられる。
「おめでとうございます。今宵、貴方様が授かる幸運は童心。きっと御満足頂けるかと存じます」
店員は僅かながらに微笑むとカウンターへと戻っていった。そして意味がわからない私は金貨を懐に大事に仕舞い込むとのんびりと帰宅する。帰宅途中、何故金貨なのかと何度も悩んだが両面に綺麗な女性が彫られていた事もあって家に着いた頃には顔がにやけていた。
「綺麗な女性だなぁ。さっきのように手料理を作ってもらえたらどれだけ嬉しい事か・・・。金貨に言ってもしょうがないな」
そしていつものようにカップ麺に湯を注ぎのんびり5分待つ。
(・・・・嗚呼、・・旦那様がそのような貧相な御食事を食べるだなんて・・)
「・・・・・??」
気のせいだろうか、なにか心にザックリ来るような事を言われたような気がする。それはさておき、いつもの如く麺を啜り始めるが妙な視線を感じる。
(うぅぅっ・・・、私が至らないせいで旦那様があのような貧しい食事をするなんて・・・)
麺を一回啜るごとに私の心は泣きそうになってくる。なんだかすごく憐れみの目で見られてる気がする。今日のカップ麺は塩辛いな。いつのまにか私は泣きながらカップ麺を食べている。子供の頃、母の手料理を喜んで食べていた事を不意に思い出す。
「なんでだろうな・・、もう食べれないとわかってるのに・・ううっ・・・なんで今頃思い出すんだ・・・」
泣きながらもカップ麺を全て食べたが味気なかった。情けないとわかってても泣きたい時はある。私は泣いた。誰かのぬくもりが欲しいと、誰かの手料理を味わってみたいと。気が済むまで泣いた私は風呂に入り心をさっぱりさせるように丁寧に体を洗い風呂から上がるとすぐに眠りに就いた。
(あぁ・・私の愛しい旦那様。もうしばらく・・もうしばらくの辛抱です。月が真上に来ましたら・・)
深夜0時。私は呪縛から解き放たれる。この時をどれほど待ちわびたか。私はこっそりと旦那様の寝室に忍び込み寝顔を眺める。
「旦那様が・・・泣いて・・。これはきっと過去の悲しい夢を見ているのでしょうか。・・・ですが・・、これからは私が旦那様の為に尽くしましょう」
私は旦那様のベットに潜りこみ向かい合わせになると軽く口付けをする。口付けで目を覚ました旦那様は寝ぼけながら私に「母さん・・?」と。でも、私は旦那様のお母様ではありません。旦那様の愛しき妻となる身です。ちょっとだけ旦那様のお母様に嫉妬してしまいますが私に母を感じてくれた事を嬉しく思います。これからは旦那様だけの妻になれる喜び、そして母として一生を捧げるのです。旦那様は完全に目を覚ますと私の頭でぴょこぴょこと動く耳を優しく撫でてくれました。私のような魔物娘を見ても驚かない事にこちらが驚いてしまいましたが「君のような美人にキスで起こされるなんて夢のようだよ」と仰ってくださった事は感激致しました。私はあまりの嬉しさに子宮が疼き、旦那様に「今宵、私に御情けを頂きとう」と懇願してしまいました。愛しい旦那様は「こんな私でも良ければ喜んで」と返事をくださいました。私は着物の帯を緩め、するりと着物を肌蹴させ旦那様に胸を晒します。興奮しながらも嬉しそうに私の着物が全て取り払われていくのを眺めていた旦那様が私の尻尾に注目し、触れてみたいと御願いしてきます。私自慢の5本の尻尾。旦那様は私の尻尾がお気に召したみたいで優しい手付きで尻尾を撫でていき、時には毛並みに逆らうように手を尻尾の毛の中に入れてきます。この優しい愛撫だけで私の体は発情期のように心が昂ぶり、今すぐに子種を子宮に注いで欲しいと体が欲します。旦那様はすぐに察して一矢纏わぬ姿になると優しく肉棒をすじに宛がいゆっくりと挿入してきます。ゆっくりとした優しい性交、私の体を気遣ってか抱き会うように、そして絡みつくように座位で子宮を優しく叩いてきます。激しい性交でも嬉しいのですが愛情を深く感じ取れる性交は私を何度も絶頂させ、これから一生旦那様だけを愛する雌にされたと認識させられるのです。何度も何度も絶頂し旦那様の体力も尽きかけようとした頃、旦那様から最後にどうしてもと1つの約束事を頼まれました。それは私自慢の尻尾を1本に変化させ、それを抱き枕にして眠りたいとお願いしてきたのです。勿論、私は喜んで願いを聞き入れます。私が尻尾を一本に変化させ旦那様に抱かせるとまるで子供のような無垢な笑顔で眠りに就きました。旦那様の嬉しそうな寝顔を見れた私は尻尾を抱かれたまま隣で眠りに就きます。明日の朝、旦那様お気に入りの尻尾で起こしてあげましょう。そして私も深い闇に意識を落す。
願わくば、これから先、幸あらんことを・・・。
13/06/05 20:43更新 / ぷいぷい
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