憧れの騎士と剣と鞘
「ん、朝だぞ。もう起きないか」
「ん〜、もう少しだけこのままで居たい」
俺は今、憧れのおっぱい枕で寝ている。バスト100という小ぶりなメロンで寝れる俺は幸せ者だ。この至福な時間をもう少しだけ味わいたい。おっぱいに顔を埋め、ふにふにした弾力を顔全体に味わいながらだらけた表情で眠りに就こうとしたが左右からの圧迫感が許してくれなかった。
「いいかげんに起きないか」
俺の嫁になったグリシアが両手で自分のおっぱいをおもいっきり挟み込み俺の顔をぐにぐにと圧迫する。だが、俺には御褒美にしか思えない。おっぱいサンドイッチで起こされるなんて男の浪漫としか思えない。
「んぁ〜〜・・。これイイ〜〜・・・。もっとしてくれないか」
ゴンッ!!
「お・き・た・か・?」
「はぃ・・、起きました」
調子に乗っていたら拳骨食らった。でも手加減してくれる拳骨なのでそんなに痛くない。ちょっと未練が残るが今日の晩も味わうのだからいいか、と体を起こしグリシアの為に朝食を作る。
「う、…済まない。こちらの料理がわからず夫に作らせるなんて・・私は嫁失格だな・・」
「いや、別に構わない。来たばかりでわからないのは当然だし、これから覚えていけばいいだけじゃないか。それに朝食は簡単なものにしようと考えてたし、そんなに気にする必要ないよ」
そう言って俺はテキパキと朝食を作っていく。鮭の切り身を買っていたのを思い出しグリルで軽く焼いておく。その間にも晩に炊いておいた米とインスタントだが味噌汁を用意し湯を沸かす。ほどよく鮭が焼けたのを確認し皿に乗せ御飯をよそおいグリシアが待ってるテーブルに置いていく。味噌汁はインスタントだがこの際しょうがない。味噌をお椀に入れ沸かした湯を注ぎ静かにテーブルに乗せると自分もグリシアの向かいに座る。
「さて、頂こうか。グリシアは鮭とか味噌汁とか平気か?」
「・・・・・・?鮭はわかるが味噌汁と、・・・この白い粒は何だ?」
「あぁ。味噌汁は、んー・・スープみたいなもんだ。そっちの白いのは米だよ」
「おおっ、・・・これがジパングで出される米なのか!」
「ん?そっちにも米はあるのか?」
「あるぞ。ジパングという国で出される料理の中に米があったはずだ。私は行った事が無いから旅行者に聞いて知ってはいたが・・まさかこれが米だとは・・」
「ま、食ってみてよ」
「わかった。確か鮭と一緒に食べると美味いはず」
目を輝かせて鮭を眺めていたグリシアだが全く食べようとしない。ただひたすら目の前の鮭と米を眺めるばかり。
「どうしたグリシア?食べないの?」
「あ、いや・・今更なんだが、どうやって食べればいいのかと・・」
あ、そうか。と納得した俺はフォークとスプーンと小さめのナイフを差し出した。どうやら目の前に置かれた箸が何かわかっていなかったようだ。
「すまんかった。グリシアは箸がわからなかったんだな。フォークとナイフで鮭と米をスプーンで味噌汁を飲んでくれ」
「ありがとう」
察してくれた嬉しさからか眩しいほどの笑顔で礼を言うグリシア。そんな笑顔を直視してしまった俺は顔を赤くしながら無言で鮭を食う。朝からあんな笑顔は反則だろ、と思ったが内心はドキドキしていた。このままだと朝食を食い終わった瞬間にでもグリシアを襲ってしまいそうだ。いや、我慢だ。今日はグリシアの生活用品を買いに行くんだからな。デートがてらにどこかに寄るのもいい。そしてそのまましっぽりと・・・。
「サーティ!これは美味いな。鮭のほどよい甘味と米のまったりした味が見事に調和している!ジパングの人は毎日これほどのものを食べているとは・・・うむむ。・・・ズズッ、むっ・・この味噌汁とやらは塩分が含まれているのに辛く感じないぞ。それどころか口の中に残った鮭の味を打ち消し自らの味を主張しておる・・。素晴らしい一品だ」
「・・・(いや、普通の飯なんだがな・・)」
終始そんな感じで食事が進む。食べ終えた時にはグリシアが満面の笑顔でゴチソウサマをしていた。インスタントが混じっていたけどあんなに嬉しそうに喜んでもらえると逆にこっちも嬉しくなる。食器を片付け洗い場に置きグリシアに今日の予定を伝える。
「とりあえず今日は、・・・グリシアの生活用品を買いに行こうかと思ってる。それと新しいチョーカーも必要だしな」
チョーカーの部分だけ強く言うとグリシアの顔が真っ赤になった。
「んじゃ、行きますか」
それだけを言うと俺は手を差し出す。真っ赤になりながらもグリシアが手を差し出してきた。しっかりと手を握りあって買い物に出掛ける。
「よし、グリシア。今日のおやつは焼きプリンだ!」
「なんだそのデザートは!美味いのか!」
他愛も無い会話をしながらも俺の新しい人生が今から始まる。
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俺は普段はG13って呼ばれてる。ネット仲間同士でHNで呼び合ってるのでこれがしっくりくる。あ、ちゃんと名前あるからな。わかる人にはわかるんでG13で通している。ネットで何をしてるのかって?人では無い人外娘の評論をしている一般人だ。一般人が人外の評論なんかしないって?俺の趣味なんだからいいだろう。誰にも迷惑なんて掛からないし、それどころかネット内では俺と同じ思想を持った人が話し掛けてくる。そして今日もPC前に座りチャットを開始する。
「こんばんは。」
そう打ち込むと同じように返事が返ってくる。
「こばは〜」「にゅ〜」「こんばんわ」「こばは」「おはようですの」
挨拶は様々だがこれも皆の個性なので当然といえば当然。
「早く日本が魔界に沈まんかな」
誰かが言う。
「魔界に沈んだら俺はもちろんドラゴンさん一択だな」
「やはりセイレーンちゃんでしょ」
「サンドウォームさんペロペロしたい」
「エロ・・じゃなくメロウだろ」
「クラーケン姉さんの触手と戯れたい」
この反応もいつもの事だ。俺もいつも通りに返信する。
「デュラハンさんとイチャラブしたい」と、これもいつもの返事だ。毎日いつも通りの会話、いつも通りの返信。時折、今日は新作のゲームが出てたとか新しいSSに挑戦したいんだが、といった内容も含まれる。そういえば最近、俺もSS書いて投稿してなかったな、と思い出した。早く新しい構想を練ってデュラハンさんとイチャラブしなければ、と考える。だけど、そんな簡単にSSは浮かばない。納得して書かなければ自分にも読み手にも怠惰で無駄な時間を費やさせるだけだ。そういう失礼な事だけはしたくないし、俺も投稿したくない。そんな無駄をするぐらいなら妄想チュッチュしてるほうが楽しい。そして俺は一人黙々とチャット内の会話が過ぎ去っていくのを眺めている。そんな折、誰かが打ち込んだ言葉に何かが反応した。
「今、気になってる5つのSSなんだけど・・」
「・・・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「・・・・・・・・」「パーラーDE☆A☆Iにようこそ」
「・・・・(あぁ。あれか…俺はパチは興味ないから別にいいよ)」
俺はパチには興味ないからスルーしてた。筆者本人はどうだかわからないが俺にとっては別に気にする内容では無かった。まぁ、人それぞれ気になるSSってのは違うもんだし興味無くても困るもんじゃない。でも、まぁそんな店あったらいいな、とは微妙に思う。ただそれだけだ。興味なくても一応返信はしておこう。
「そんな店あればいいな、ハハッ」
これでいいか。と、・・・腹減ったし何か買ってこよう。
「ちと飯食ってくる」
今日はコンビニで適当に済ますか、それとも何か食材でも買いこむか。ふらふらと外出した俺は近くのコンビニに寄る。適当に店内を見回すがあまりいいのが無かったので少し離れたスーパーに行くことにした。一度家に戻り自転車でのんびり買い物に出掛ける。自転車で15分ほど離れたスーパーの駐輪場に自転車を置き食材を買う。そしてまた15分ほど掛けて自宅に戻るがなんとなく寄り道したくなってジグザグに通路を走っていく。
「…(寄り道した所で何も無いけどな)」
適当に走ったせいであまり立ち寄りたくない路地裏に出てしまった。だが気にせず走り抜けようとしたが、少し前方に見えるネオンの光に気を取られ立ち止まってしまった。
「はっ!こんな所でパチか。客なんか来るわけないだろ」
どうでもいいしさっさと帰りたかった俺は店をスルーしようとしたがネオンの文字を見た瞬間に恐怖・希望・夢とあらゆる言葉が脳裏に浮かんだ。ネオンで書かれた文字は『パーラーDE☆A☆I』だったからだ。
「ああああ、・・・あるわけ・・ねぇだろ。あんなのはSSだけの話だ・・・。これは夢なんだ。そう夢だ・・。現実に・・・ある・・はず・・」
膝が震え言葉も途切れ途切れになってしまう。あるわけない!あるわけない!現実にこんなもんがあるわけない!必死に膝の震えを止めようとしたが店内で誰かがこちらに手を振っている。あのSSでチラッと出て来る店員のイメージそっくりな女性がこちらに手を振って微笑んでいる。俺が見えているのか、ずっと手を振る店員。これが本当なら・・・俺はデュラハンと結ばれるはず!そう一気に解釈した俺は急ぎ財布の中身を確認した。が、さきほど買い物をしたので残金が三千円ちょっとしか入ってなかった。
「急ぎ金を下ろしてくる!」
もしあのSS通りなら!もし本当に願いが叶うなら!もし!そればかりが頭に響く。一旦家に戻り買い物袋を玄関に置くとダッシュでATMに向かった。ATMで三万下ろした俺はさっきの路地裏に急ぐ。俺の願いを叶えてくれ!と心の中で叫びながら走った。だが、路地裏には何も無かった。パーラーDE☆A☆Iがあった場所はただの空き地だった。
「そんな・・そんなバカな事が・・。さっきまでここにあったはず」
ほんの10分ほど前までネオンの光を撒き散らしながら俺を誘っていたはずなのに今は何も無い。あれは俺の空想だったのか、と肩を落とし家路に着いた。
そしてPC前で俺は打ちこむ。
「なぁ、もし・・もしだが本当にパーラーDE☆A☆Iがあったらどうする?」
・・・・・・・・・・・・
「ナイナイwwハハッ♪」
「あったらいいなとは思っても現実はムリムリww」
「俺パチ打たねw」
「もう寝る、おやすみ」
やはり信じてくれないようだ。SSで書かれた出来事が早々目の前で起きるはずがない。所詮は他人が作り出した仮想・妄想・非現実な内容だ。だが俺は確かに見てしまった。あれを非現実というならそれを見た俺は一体何だ。わからない、わからないがあの店員の姿が脳裏に焼き付いている。もし夢ならこんなにクリアに記憶に残るはずがない。明日、もう一度路地裏に行ってみよう。
早朝、俺はあの路地裏に居た。まだ夜明け前だというのに空き地の前で突っ立っている。昨日の出来事は夢だったのか、それとも現実なのかを。
「最近は暑くなってきたけど、早朝は寒いな・・。しかし、…何度見ても何もない」
もうすぐ夜明けになる。それでも俺はここで待っている。あれが見えたのなら俺にも店に入れる資格があるはず、と。陽が差し始めた頃、空き地の真ん中で何かが光る。何か小さな物が光ってるようだった。俺はどうせ空き缶か鉄屑が光ってるのだろうと思ったが真っ直ぐに光っているので空き缶や鉄屑じゃないと感じた。近づくと地面の亀裂に小さな玉が半分埋まっていた。俺はそれをつまみあげる。そして見てしまった。玉に彫られた店名を・・。
「パーラーDE☆A☆I・・・、本当にここにあったんだ!あったんだ!!あれは夢でもなんでも無いんだ!」
俺は半分狂気染みた声で叫んだ。昨日の事は夢じゃない。誰も信用してくれなかったが俺は信用する。証拠は今俺が握っている。パーラー名がDE☆A☆Iなんてどんだけ探してもあるはずがない。俺はとうとう証拠を掴んだんだ。今は見えないけど実際にあるんだ。浮かれ気分で自宅に戻ったがまだ確証が無い。もしチャット内で「玉を見つけた!」と言った所で「手作り乙」「偽装乙ww」と笑われかねない。そんな悩みの中、ふと思い出す。俺が金を下ろしてる間に消えたのはわかってる。だけど何故消えたのか、だ。もし・・・あのSS通りなら三万では足りないという事なのか?それとも、あの時間に現れ消えるのか。わからない事だらけだった。ただ保険としてこっそり二万下ろしていつでも五万使えるように懐に入れた。だが気付いてしまった。昨日、一体何時に路地裏に居たのか覚えてない。今日のチャットで昨日の事を聞いてみるか。
そしていつものようにPC前。
「こんばんは」「こばはー」「こばにゅ〜」
いつもの挨拶が飛び交う。昨日と同じだ。ここからが正念場だ。早速俺は昨日の事を思い出し何時頃に出て何時頃に戻ってきたかを確認する。
「そういやさ、昨日の事なんだけど俺何時頃に飯買いにいったっけ?」
「ちょ、昨日の事忘れてるってww」
「ん、22時過ぎあたりだったか?」
「いや21時過ぎだろ?22時だったら店閉まってるじゃないか」
「ああ、そうか。でも戻って来た時はほとんど皆寝てたし23時ちょいぐらいに戻ってきたんだったか?」
そうか、俺は21時過ぎあたりに飯を買いに行って23時過ぎに戻って・・・、おかしいな?なんで23時過ぎてるんだ。普通のパチなら閉まってるはずだ。変な矛盾を見つけたおかげでパーラーは実在してたって証拠になる。
「ん、ありがとう。これでなんとかなりそうだ」
「なんかあったか?」
「いや、確証は無いんで」
「??」
俺はそれだけを言うといつも通りの会話をしていく。決行日を明日に決め、今日は早く寝る事にした。
翌朝、あの場所に足を運ぶ。やはり何も無い空き地だ。だけど、昨日ここで玉を見つけたんだ。きっとまた此処に現れるはずだ。全く自信は無かったが確信はあった。この玉を回収する為に現れるはず、と。そして自宅に戻り仮眠を取る事にした。
そして20時を少し回った頃、俺は玉を握り締め空き地の前に立つ。まだ何も無い空き地。暫く待ってみるが現れない。もうすぐ21時になる。ダメなのか・・・やはりあれは夢なのか。そう思った瞬間、目の前の空間が歪んだ。・・・現れた。本当にパーラーDE☆A☆Iが目の前にある。俺は右拳を固く握り頬を殴った。
「いってえええ・・・。夢じゃない。現実だ!」
自分で自分を殴るというバカな事をして確認していると自動ドアが開く。中から店員がこちらに向かって近づいてくる。やはり近くで見るととんでもない美人だ。まるで図鑑世界のリリム様のように感じられる。
「貴方が・・・玉の持ち主かしら?ここがわかるということは貴方が私達の身近にある物を持ってるはずですわね」
「あ、・・・あぁ、うん、・・この玉の事だろ?昨日の朝、この空き地で見つけたんだ」
「そぅ、・・・預かっててくれてありがとうね」
それだけを言うと玉をひょいとつまみ上げ店へと戻る。俺は慌てて声を掛ける。
「待ってくれ!俺もここの台を打ちたいんだ!」
「・・・・・・・・・・・・?」
店員は訝しげな顔でこちらを見ている。もしかして俺は打てないのか。それどころかこのまま店は消えてしまうのか。俺は焦った。この機会を逃せば一生後悔するだろうと。
「御客様?御客様は御店が見えてますよね?」
「もちろんだ!だから打ちたいんだ!」
「私の御店が見えてる方を拒否する事なんてありえませんわ。私は今から定位置で御客様をお迎えするだけですので」
そして店員は自動ドアの前に立ち恭しくお辞儀する。
「本日は当店に足をお運び頂きありがとうございます。当店は一期一会、出会いをモットーにしております。今宵、貴方様の出会いを演出させてくれます台を御自由に御選びくださいませ」
俺はゾクゾクした。所詮はSS、ありもしない現実だと思っていた事が目の前で起きている。店員の謳い文句を聞いてるだけで体が感動に震えている。俺は平静を保ちながら店に入った。後ろから店員も一緒に入り軽くお辞儀してからカウンターへと戻っていく。カウンターへ戻る後ろ姿が艶めかしい。特にお尻がエロい・・。
「御客様?ワタクシのお尻にばかり見惚れていますと閉店の時間になってしまいますよ?」
振り返りもせずに答える店員に俺は驚いた。全てお見通しのようだ。そうだ、俺はどうしても探さないといけない台があるんだった。時計を確認すると今は21時10分。普通に考えれば22時40分頃には追い出されるだろう。残りは1時間半。俺は一台一台入念に確認する。マジカル☆キャンディ・・違う。竜の峡谷・・これも違う。華嵐・・これも違う。薫風・・これでも無い。モンムスパラダイス・・違う。必死に探す。俺の求める台は1つ。デュラハンが出てくる台だけだ。絶対にあるはずだ。もし無ければ俺は此処に入れないはずなんだ。
探す事10分少々、御目宛の台を見つけた。これだ!俺が求めるのは絶対にこれだ!
台の名は・・・『円卓の騎士達』
俺は直感で悟る。きっとこの台は俺を待っていたんだ。懐に五万円ある事を確認しいそいそと玉を買う。
「すぅ〜〜〜〜、はぁ〜〜〜・・・」
軽く深呼吸して冷静になった俺は打ち始めた。スタート口に玉が入りキャラクター達が一斉に動き出す。
「ほほぅ、…リザードマンにサラマンダー。ドラゴンにバフォメット。ヴァンパイアも居る・・。居た!!デュラハンだ!」
予想通りにデュラハンが居た。俺はこの姿を見ただけで心が満たされる気分だ。いや、見て感動してる場合じゃない。俺は絶対に引き当てる。むしろ当るまで帰らない。ひたすら打つ事20分。待望のリーチが飛び込んできた。しかし予想とは違いヴァンパイアだった。ヴァンパイアはシックなドレスの裾を軽くつまみ上げ、こちらに会釈する。
「フフフ・・・今宵、甘美な一時を・・」
誘惑に負けそうになるが俺はデュラハン一筋なんだ。リーチがハズレなんとか胸を撫で下ろすがヴァンパイアの一言がドキリとした。
「フフフ・・・・、また・・御逢いする事を祈ろう」
そしてキャラクターは回りだす。危ない危ない。流石ヴァンパイアだ、誘惑に関してはずば抜けて高そうな感じだ。だが俺は誘惑には屈しない。そして回し続ける。待望のリーチが来た。しかし、サラマンダーとデュラハンのWだった。やばいやばいやばい・・。確率は半々だ。そして無情にもサラマンダーのスーパーリーチへと発展してしまう。なんてこった、このままではサラマンダーが当ってしまいそうだ。次々とステップアップするサラマンダーリーチ。画面の中ではサラマンダーが岩を大剣で次々と叩き割っていく。そしてとうとう最後の大岩が砕かれるかと思われたがヒビが入るだけで終わった。
「チッ!しょうがないなー。次だ次!」
ほっとしたがこれはなかなか心臓に悪い。希望とスリルを同時に感じるパチンコなんて絶対に無いぞ。その辺のパチで打ってアタリを引いて騒いでるほうが気が楽だ。そしてキャラクター達は回りだす。あれからどれぐらい打っただろうか。今の残金がまだなんとか四万円ある。結構回したはずなのに意外と注ぎ込んでない。これはこれで助かるが肝心のデュラハンが来ない。いや、焦ってはダメだ。ここは辛抱、耐えてこそ希望が生まれるはず。それから一万円を注ぎ込む。なかなかリーチが来ない。焦るな俺、焦るな俺。あれからどれぐらいの時間が経過しただろうか。かなり集中したせいで時間がわからなかったが俺は気にしない事にした。
「クッ・・・、まだか・・まだ来ないのか!・・・・き・・来たぁぁぁ!!」
待望のデュラハンのリーチ。デュラハンは大剣を地面に突き刺し黙ってこちらを見ている。凛々しい目つき、麗しい睫毛、薄いサファイアブルーの色をした長い髪。どれもこれも俺好みだった。もう感動しか出ない。いや感動してはダメだ。俺は意地でも当ててやると決めたんだ。興奮しながらリーチの行方を見守るがスルーしてしまう。
「ふぅ、・・・焦りは禁物だな」
その言葉を残し再度キャラクターは回りだす。何故ダメだったんだ。俺のデュラハンへの愛情はこの程度なのか!だがまだだ。まだ当ってはいない。まだ希望は残っている。俺はひたすら打つ。そしてすぐにリーチが訪れる。だが・・・。
「ろ・・・・、ロリィィィィィッィィーーー!」
バフォメットが魔女と一緒にラインダンスをしている。辞めてくれ・・辞めてくれ!俺はデュラハンだけ当てたいんだ。祈りが通じ当たりそうになった途端バフォメットがこけた。ぎりぎりで回避出来た安心感からか冷や汗が異常なほど噴き上がってくる。
「ふぅ〜〜〜・・・・超スリルを味わった気分だ」
心臓がバクバク言ってる。たぶん二度とここで打つ事は無いだろうがそれよりも早く当てないといけない。そしてまたもやサラマンダーのリーチが来る。
「へへへ〜♪次こそは砕いてやるぜ!」
前と同じように岩を次々と砕き、そして最後の大岩・・・、さっきヒビを入れた大岩だった。
「ちょ!これってさっきの続きなの!かなりマズイじゃないか!」
「さて、いっくぞ〜〜〜!」ガヅン!!
ビシビシとヒビが進むが途中で止まる。
「チッ!なかなか硬い石(意思)だな。だが気にいった!」
ん?なんか変な言葉だったが今のは何だ?だがこれで回避は出来た。早くデュラハン来てくれ。俺の意思が砕ける前に。来ない・・来ない・・来ない。リーチが来なくなった。金はまだ残っているが、このままだとデュラハン以外をお持ち帰りしそうな自分が居る。なんて危険なタイトロープなんだ。だが俺は負けん。帰りません!勝つまでは!心の中で呟きながら打つ。回す事数分・・・最悪なリーチが来た。ヴァンパイアだ。
「フフフ…また逢えたね。さぁ、我が城へようこそ・・」
優雅に決めポーズを作りながら手をこちらに差し伸べている。危険だ、俺の脳内では既に赤ランプが回転している。だがここで誘惑に負けてはいけない。無心で玉を打ち知らん顔をする。
「フフ、・・まだ堕ちないか。ますます気に入ったぞ・・」
俺は今どんな顔で打っているんだろう・・。きっと憔悴しきった顔かもしれない。だがわかった事があった。この台は俺を試している。そうでなければあんなに誘惑してこないはずだ。頼む、早くデュラハン来てくれ。残りはもう二万円だ、なんとかして引き当てないと俺の精神が持たない。ヴァンパイアも去り、回転し始める。
「ハァハァ・・・なんて危険な台なんだ・・。SSの中だと簡単に当ててるくせに・・。」
ヴァンパイアリーチ後、待望のデュラハンが流れ込むようにしてリーチになる。頼む、来てくれ。次に他の魔物娘が来たら堕ちてしまいそうだ。
「フッ、強い意志は時に脆くなる・・・、だが今こそ!!」
次々と現れる教団兵を薙ぎ倒していくデュラハン。演出の出来の素晴らしさ、デュラハンの美しい剣技、飛び散る汗。あまりの素晴らしさに心が揺らぎ惹かれていく。デュラハンは兵士を薙ぎ倒した後、司令官と思わしき人物と一騎打ちを始める。流れるような剣捌きで司令官を追い詰めていくデュラハン。倒してくれ!絶対に倒してくれ!心の中で必死に祈る。そしてとうとう司令官の剣を折り喉元に剣を突き付けた。
「私の勝利・・だな」
・・・・・。やったぞ。とうとう念願のデュラハンが揃った。液晶の画面にはデュラハンが綺麗に揃っている。俺は必死に入賞口に玉を打ち始めた。やはりSS通り、玉が出てこない。全ての玉が飲み込まれた時、予想通りに下の受け皿に金貨が一枚あった。
「はは・・・やった。やったぞ!念願のデュラハンを手に入れたんだ!」
俺は歓喜のあまり飛び跳ねた。
「御客様。おしぼりをどうぞ」
不意に後ろから店員に話し掛けられおしぼりを渡された。気が付けば俺は体中汗まみれになっていた。パチンコ打つだけで汗まみれってちょっと恥ずかしい。急いで汗を拭き店員に渡すと嬉しそうな顔をしていた。
「おめでとうございます。この金貨は幸運の金貨。貴方様を幸せに導く・・「いや、なんとなくわかってます」・・えっ?」
SS通りならわかる。これを深夜に掲げるはずだ。店員さんには悪いが急いで帰ろう。
「ありがとう!この店が繁盛するといいな!」
それだけを言うと俺は急いで帰宅した。店では一人ポツンと店員が立っている。
「・・・?まだ途中だったのに変な人ね?」
そういって汗まみれになったおしぼりをカウンター傍にある箱に投げ込んだ。投げ込んだ箱から一斉にピンク色の霧が溢れてくる。
「あらあら、あの人の汗ってそんなに美味しいの?んふふ・・、でもちょっと残念ね。もう御相手は決まっちゃったみたいだし」
店の照明が突然消える。周りは完全に闇に包まれ静寂が店を支配していく。
「本日の御利用ありがとうございました。またの御越しをお待ちしております・・」
そして店は夜の闇に溶け込むかのように消えていった。
俺は急いで自宅に戻ると時間を確認する。今は23時ちょうど、まだ時間がある。汗まみれになったまま逢うのは失礼だと思った俺はシャワーを浴びる。清潔にしなければ嫌われてしまいそうで必死に体を洗う。さっぱりした後、ゆっくりと風呂に浸かる。
「あぁ〜…、さっぱりするぅ〜・・・。念願のデュラハンの金貨も手に入ったし幸せだなぁ・・」
ワクワクしながら風呂から上がり、自室で時間が過ぎるのを待つ。金貨を見つめながらニヤニヤしてる俺は変態に見えるだろう。だが!金貨を手に入れたんだ。ニヤニヤして何が悪い、今まで金貨を手に入れた連中もこんな気分になったんだろうな。時計を確認する。まもなく24時、そろそろ頃合だろう。俺は金貨を握り締めた手を頭上に掲げる。
「来てくれ!デュラハン!」
願い通りに24時ジャストに金貨からデュラハンが現れた。現れたが自室でしかも手を掲げてたせいでデュラハンは天井に頭をぶつけそのまま床に落ち呻きだす。
「うううぅぅぅぅ〜〜〜〜〜・・・・・痛いぞぉ・・」
そうだった。SSでは皆広い空間で解放してたはず。俺はなんて事をしてしまったんだ。逸る気持ちを抑えられず室内で解放なんて・・なんてバカな事をしてしまったんだ。
「痛いぃ〜〜〜・・・・、此処はどこだ・・」
頭を押えながらデュラハンが訊ねてきた。俺は何故か必死に説明していた。
「そうか。私はアイツの言う通りに解放されたという事か。すると、お前は我が夫という事なのだな」
必死に頭をコクコクと上下に振る。図鑑世界でしか見た事がないデュラハンが今目の前に居る。そして俺を夫と呼んでくれるなんて幸せすぎる。至福のまどろみの中、再度訊ねられた。
「そういえば我が夫よ、名前を聞いてなかったな。私の名はグリシア・フォア・フレンだ。グリシアと呼んでくれ」
「あ、・・俺はG13・・(サーティーン・・いやサーティだ)サーティと呼んでくれ」
「そうか、ではサーティよ。この部屋は何だ?かなり奇妙な物が置いてあるのだが?」
「ん、ああ。本棚にベットはわかるよな。PCに携帯etc・・。こんな感じかな」
「よくわからない物だらけだな・・。ん?これは何だ?」
グリシアが本棚から僅かに出ていた雑誌を1つ取り出した。
「おっぱい美譚総集編・・・。このような物を・・」
「んbvcxrちゅjgfghjk!!」
なんて物を取り出してしまうんだ。言葉にならない悲鳴が俺の口から漏れる。混乱している俺を他所に次々と本棚を漁っていくグリシア。見られたくない物ばかり的確に本棚から抜いていく姿は悪魔に見えてくる。
「ふむ、・・我が夫はおっぱい好きと見える。このような本を一体何に使ってるのやら・・」
「ししし・・資料ですよ・・。そう、資料。SS書く為の資料なんですよ」
我ながらバレバレな嘘を吐いてしまった。
「・・・資料だと・・?まさかこんな資料の為に無駄撃ちをしてる訳では無かろうな・・(チャキッ」
いつのまに抜いたのか首筋に剣先を当てられる。そうだった。魔物娘に共通するのは無駄打ち嫌いだった。ここは正直に言って許してもらうのが得策だ。
「は、はぃぃぃ・・・、時々無駄撃ちしてしまいました・・・」
正直に答えるとグリシアは含み笑いを始めた。
「そうかそうか…。このような資料程度で無駄撃ちをしていたのか。ならば、資料が無くなればいいのだな」
そういうとグリシアは雑誌を一気に掴むと空中に放り投げた。そして一閃の煌きの如く剣を振るうと雑誌が細切れになった。
「あああああ・・・・、俺のオッパイが・・・」
「何を女々しい事を言っているんだ。これからは必要無いだろう」
グリシアが体中に気合を入れると着ていた鎧が全部ばらばらになって落ちていく。鎧の下から現れたインナー用のシャツ。そして下着一枚。なんて事だ、どう見ても98はあるだろう。俺の愚息が猛々しく主張し始める。目の前にあるメロンを見ているとさっき破られた雑誌なんて塵に感じる。
「どうした、我が夫よ。早くその剛直な剣を鞘に戻すぞ」
グリシアはシャツを脱ぎ捨て豊満なおっぱいを晒す。これだけで俺は満足だ。このメロンを直に見てるだけでごちそうさまです。グリシアはこっちに近づき、俺のパジャマのズボンを一気に下着ごと下げる。
「うおおおっ!いきなり何すんだ・・、おふぅ・・・」
「何を言ってるんだ?この剛直な剣を私のおっぱい鞘に収めているだけだろう」
にちゃにちゃと音を立てながら俺の愚息をおっぱいに埋もれさせる。すげぇ、これが魔物娘のパイズリなのか・・。病み付きになる快楽だ。グリシアはおっぱいの谷間に涎を垂らし滑る速度を上げていく。
「うおおおぉぉっ!グリシアすごいぞ・・!こんなに擦られたら・・で・・でちまう・・くうっ!」
ドクドクとグリシアのおっぱいマンコに精液を吐き出していく俺だったが、一発出した事で頭がスッキリし、おかげで違和感を感じとれた。デュラハンは淑女なはずだ。こんな急に欲しがる事なんて無いはずだ。図鑑世界通りならツンデレに近いはずだ。もしくはクールデレだ。それなのにいきなりおっぱい雑誌を細切れにするわ、パイズリを始めるわ、おかしな事ばかりだ。思案顔で悩んでいた俺の亀頭をグリシアはペロペロと舐め始める。
「んっ・・、美味しい・・。ちゅ・・ちゅる・・れろ・・んん・・」
「くおおおお・・・次はペロペロですかーーー!・・・おおっ・・・裏スジまで・・」
「んちゅ〜〜・・・、んっんっ・・れろ〜〜っ・・・ピチャ・・チュ・・」
グリシアは上目使いで俺が快楽に溺れてるのを確認すると今度は愚息を横から舐め回してくる。横から舐めまわし、時には亀頭だけを口に含み舌で転がす。我慢出来なかった俺はグリシアの口内にありったけの精液をぶちまけた。腰をガクガク震わせながらもグリシアの口内を俺の精液で穢していく。だが、俺はこの時に信じられない物を見てしまった。チョーカーが僅かにずれて隙間からピンク色の何かが漏れているのを見てしまう。チョーカーは全く触っていないはずだ。何故、・・・あっ、天井に頭をぶつけた時だ。あの時にずれていたんだ。早く元通りにしないと俺が干乾びてしまう。俺はすぐにグリシアの頭を抑え込もうとしたが強烈なバキュームフェラの快感に負けて動けなくなってしまう。
「んじゅぅ〜〜〜〜〜〜〜、じゅっぽん!んぅ・・チュポチュポ・・」
「ああ・・止め・・・るんだ・・。グリシア・・早く首を・・」
聞く耳持たないグリシアは執拗にバキュームフェラを続ける。このまま俺は朝まで搾られるんだろうかと思ったが不意にフェラを止められた。助かったと思いグリシアの頭に手を置こうとした瞬間ベットに投げられた。うおおおおお!魔物娘こえぇぇ!俺を簡単に投げやがったよ。俺はベットに大の字になったまま動けなかった。俺を投げたと同時に腰の上に跨ったからだ。これが魔物娘の実力なのか、と見当違いな事を考えてしまう。
「さぁ、今度は・・・その剛直な剣を私のオマンコ鞘に収めてもらおうか・・」
ジュルリと舌なめずりしたグリシアは自らの下着を一気に破り捨て俺の愚息を筋に宛がった。どうやら騎乗位がお好みのようだ。
「お手柔らかにお願いします・・」
グリシアは俺から良い返事を貰った事に感激し、一気に腰を落とし俺の愚息を子宮口まで収めてしまう。途中、何かに引っかかったが間違いなく処女膜だろう。
「んふぅぅっ!・・ああっ・・。わかるか・・サーティの剛直な剣が私のマンコ鞘に収まってるのが・・」
「はふぅ・・・。グリシアの膣が・・熱い。それに膣壁が蠢動して・・くっ・・今すぐ出してしまいそうだ・・」
「何を言ってるんだ。私はまだイッてないんだから頑張ってもらうぞ」
「え?ちょ、・・待ってくれ」
俺の懇願虚しくグリシアは跳ねるように腰を上下に動かし、俺の愚息を膣肉で搾るように擦っていく。腰を打ちつけるたびに結合部からはにちゃにちゃとイヤラシイ音が響き渡る。結合部が粘り気を帯びたねちゃねちゃした音からびちゃっと水っぽい音に変わるのは早かった。グリシアが腰を10回ほど落すごとに俺が射精しているからだ。このままだと俺は干乾びてしまう。俺はグリシアが腰を下ろすタイミングを計り下から力一杯突き上げる。
「んふぅぅぅーー・・、いい、・・いいぞ。もっと突いてくれ・・」
俺はタイミングを計り必死に腰を突き上げる。それに合わせるようにグリシアも腰を落としてくる。このまま絶頂させないと俺の身が危険だ。
「あっ・・はぁ・・はぁ・・。ふぅぅ・・んっ!あはぁ・・・」
「ぐっ!・・まだか、グリシア・・まだか!俺はもう・・出そうだ!」
「あ、あぅ・・あん・・もう・・少し・・もう少しだから・・もっと突いて!」
「ダメだ!もう出すぞ・・!」
「こっちもイク!んんんんっ!サーティ!出してぇーーーー!」
俺はグリシアの腰を掴み子宮口に亀頭でキスするほど一気に愚息で突き精液を迸らせる。ドクドクと子宮に流れ込む快楽でグリシアの顔は完全にだらけきっていた。グリシアはイッたと同時に俺の体に覆い被さるように倒れ込んだ。今なら頭を直せる。意識を半分失いかけていた俺だったがチョーカーのずれをなんとか元通りにした。それから俺は繋がったまま寝る事に決めた。しんどくて動きたくないだけだった。ちょっと股間がねちゃねちゃしてるが気にしない。起きたらグリシア連れて買い物に行こう・・。
そして俺は深い闇と快楽に意識を沈めていった・・・。
「ん〜、もう少しだけこのままで居たい」
俺は今、憧れのおっぱい枕で寝ている。バスト100という小ぶりなメロンで寝れる俺は幸せ者だ。この至福な時間をもう少しだけ味わいたい。おっぱいに顔を埋め、ふにふにした弾力を顔全体に味わいながらだらけた表情で眠りに就こうとしたが左右からの圧迫感が許してくれなかった。
「いいかげんに起きないか」
俺の嫁になったグリシアが両手で自分のおっぱいをおもいっきり挟み込み俺の顔をぐにぐにと圧迫する。だが、俺には御褒美にしか思えない。おっぱいサンドイッチで起こされるなんて男の浪漫としか思えない。
「んぁ〜〜・・。これイイ〜〜・・・。もっとしてくれないか」
ゴンッ!!
「お・き・た・か・?」
「はぃ・・、起きました」
調子に乗っていたら拳骨食らった。でも手加減してくれる拳骨なのでそんなに痛くない。ちょっと未練が残るが今日の晩も味わうのだからいいか、と体を起こしグリシアの為に朝食を作る。
「う、…済まない。こちらの料理がわからず夫に作らせるなんて・・私は嫁失格だな・・」
「いや、別に構わない。来たばかりでわからないのは当然だし、これから覚えていけばいいだけじゃないか。それに朝食は簡単なものにしようと考えてたし、そんなに気にする必要ないよ」
そう言って俺はテキパキと朝食を作っていく。鮭の切り身を買っていたのを思い出しグリルで軽く焼いておく。その間にも晩に炊いておいた米とインスタントだが味噌汁を用意し湯を沸かす。ほどよく鮭が焼けたのを確認し皿に乗せ御飯をよそおいグリシアが待ってるテーブルに置いていく。味噌汁はインスタントだがこの際しょうがない。味噌をお椀に入れ沸かした湯を注ぎ静かにテーブルに乗せると自分もグリシアの向かいに座る。
「さて、頂こうか。グリシアは鮭とか味噌汁とか平気か?」
「・・・・・・?鮭はわかるが味噌汁と、・・・この白い粒は何だ?」
「あぁ。味噌汁は、んー・・スープみたいなもんだ。そっちの白いのは米だよ」
「おおっ、・・・これがジパングで出される米なのか!」
「ん?そっちにも米はあるのか?」
「あるぞ。ジパングという国で出される料理の中に米があったはずだ。私は行った事が無いから旅行者に聞いて知ってはいたが・・まさかこれが米だとは・・」
「ま、食ってみてよ」
「わかった。確か鮭と一緒に食べると美味いはず」
目を輝かせて鮭を眺めていたグリシアだが全く食べようとしない。ただひたすら目の前の鮭と米を眺めるばかり。
「どうしたグリシア?食べないの?」
「あ、いや・・今更なんだが、どうやって食べればいいのかと・・」
あ、そうか。と納得した俺はフォークとスプーンと小さめのナイフを差し出した。どうやら目の前に置かれた箸が何かわかっていなかったようだ。
「すまんかった。グリシアは箸がわからなかったんだな。フォークとナイフで鮭と米をスプーンで味噌汁を飲んでくれ」
「ありがとう」
察してくれた嬉しさからか眩しいほどの笑顔で礼を言うグリシア。そんな笑顔を直視してしまった俺は顔を赤くしながら無言で鮭を食う。朝からあんな笑顔は反則だろ、と思ったが内心はドキドキしていた。このままだと朝食を食い終わった瞬間にでもグリシアを襲ってしまいそうだ。いや、我慢だ。今日はグリシアの生活用品を買いに行くんだからな。デートがてらにどこかに寄るのもいい。そしてそのまましっぽりと・・・。
「サーティ!これは美味いな。鮭のほどよい甘味と米のまったりした味が見事に調和している!ジパングの人は毎日これほどのものを食べているとは・・・うむむ。・・・ズズッ、むっ・・この味噌汁とやらは塩分が含まれているのに辛く感じないぞ。それどころか口の中に残った鮭の味を打ち消し自らの味を主張しておる・・。素晴らしい一品だ」
「・・・(いや、普通の飯なんだがな・・)」
終始そんな感じで食事が進む。食べ終えた時にはグリシアが満面の笑顔でゴチソウサマをしていた。インスタントが混じっていたけどあんなに嬉しそうに喜んでもらえると逆にこっちも嬉しくなる。食器を片付け洗い場に置きグリシアに今日の予定を伝える。
「とりあえず今日は、・・・グリシアの生活用品を買いに行こうかと思ってる。それと新しいチョーカーも必要だしな」
チョーカーの部分だけ強く言うとグリシアの顔が真っ赤になった。
「んじゃ、行きますか」
それだけを言うと俺は手を差し出す。真っ赤になりながらもグリシアが手を差し出してきた。しっかりと手を握りあって買い物に出掛ける。
「よし、グリシア。今日のおやつは焼きプリンだ!」
「なんだそのデザートは!美味いのか!」
他愛も無い会話をしながらも俺の新しい人生が今から始まる。
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俺は普段はG13って呼ばれてる。ネット仲間同士でHNで呼び合ってるのでこれがしっくりくる。あ、ちゃんと名前あるからな。わかる人にはわかるんでG13で通している。ネットで何をしてるのかって?人では無い人外娘の評論をしている一般人だ。一般人が人外の評論なんかしないって?俺の趣味なんだからいいだろう。誰にも迷惑なんて掛からないし、それどころかネット内では俺と同じ思想を持った人が話し掛けてくる。そして今日もPC前に座りチャットを開始する。
「こんばんは。」
そう打ち込むと同じように返事が返ってくる。
「こばは〜」「にゅ〜」「こんばんわ」「こばは」「おはようですの」
挨拶は様々だがこれも皆の個性なので当然といえば当然。
「早く日本が魔界に沈まんかな」
誰かが言う。
「魔界に沈んだら俺はもちろんドラゴンさん一択だな」
「やはりセイレーンちゃんでしょ」
「サンドウォームさんペロペロしたい」
「エロ・・じゃなくメロウだろ」
「クラーケン姉さんの触手と戯れたい」
この反応もいつもの事だ。俺もいつも通りに返信する。
「デュラハンさんとイチャラブしたい」と、これもいつもの返事だ。毎日いつも通りの会話、いつも通りの返信。時折、今日は新作のゲームが出てたとか新しいSSに挑戦したいんだが、といった内容も含まれる。そういえば最近、俺もSS書いて投稿してなかったな、と思い出した。早く新しい構想を練ってデュラハンさんとイチャラブしなければ、と考える。だけど、そんな簡単にSSは浮かばない。納得して書かなければ自分にも読み手にも怠惰で無駄な時間を費やさせるだけだ。そういう失礼な事だけはしたくないし、俺も投稿したくない。そんな無駄をするぐらいなら妄想チュッチュしてるほうが楽しい。そして俺は一人黙々とチャット内の会話が過ぎ去っていくのを眺めている。そんな折、誰かが打ち込んだ言葉に何かが反応した。
「今、気になってる5つのSSなんだけど・・」
「・・・・・・・」「・・・・・」「・・・・・」
「・・・・・・・・」「パーラーDE☆A☆Iにようこそ」
「・・・・(あぁ。あれか…俺はパチは興味ないから別にいいよ)」
俺はパチには興味ないからスルーしてた。筆者本人はどうだかわからないが俺にとっては別に気にする内容では無かった。まぁ、人それぞれ気になるSSってのは違うもんだし興味無くても困るもんじゃない。でも、まぁそんな店あったらいいな、とは微妙に思う。ただそれだけだ。興味なくても一応返信はしておこう。
「そんな店あればいいな、ハハッ」
これでいいか。と、・・・腹減ったし何か買ってこよう。
「ちと飯食ってくる」
今日はコンビニで適当に済ますか、それとも何か食材でも買いこむか。ふらふらと外出した俺は近くのコンビニに寄る。適当に店内を見回すがあまりいいのが無かったので少し離れたスーパーに行くことにした。一度家に戻り自転車でのんびり買い物に出掛ける。自転車で15分ほど離れたスーパーの駐輪場に自転車を置き食材を買う。そしてまた15分ほど掛けて自宅に戻るがなんとなく寄り道したくなってジグザグに通路を走っていく。
「…(寄り道した所で何も無いけどな)」
適当に走ったせいであまり立ち寄りたくない路地裏に出てしまった。だが気にせず走り抜けようとしたが、少し前方に見えるネオンの光に気を取られ立ち止まってしまった。
「はっ!こんな所でパチか。客なんか来るわけないだろ」
どうでもいいしさっさと帰りたかった俺は店をスルーしようとしたがネオンの文字を見た瞬間に恐怖・希望・夢とあらゆる言葉が脳裏に浮かんだ。ネオンで書かれた文字は『パーラーDE☆A☆I』だったからだ。
「ああああ、・・・あるわけ・・ねぇだろ。あんなのはSSだけの話だ・・・。これは夢なんだ。そう夢だ・・。現実に・・・ある・・はず・・」
膝が震え言葉も途切れ途切れになってしまう。あるわけない!あるわけない!現実にこんなもんがあるわけない!必死に膝の震えを止めようとしたが店内で誰かがこちらに手を振っている。あのSSでチラッと出て来る店員のイメージそっくりな女性がこちらに手を振って微笑んでいる。俺が見えているのか、ずっと手を振る店員。これが本当なら・・・俺はデュラハンと結ばれるはず!そう一気に解釈した俺は急ぎ財布の中身を確認した。が、さきほど買い物をしたので残金が三千円ちょっとしか入ってなかった。
「急ぎ金を下ろしてくる!」
もしあのSS通りなら!もし本当に願いが叶うなら!もし!そればかりが頭に響く。一旦家に戻り買い物袋を玄関に置くとダッシュでATMに向かった。ATMで三万下ろした俺はさっきの路地裏に急ぐ。俺の願いを叶えてくれ!と心の中で叫びながら走った。だが、路地裏には何も無かった。パーラーDE☆A☆Iがあった場所はただの空き地だった。
「そんな・・そんなバカな事が・・。さっきまでここにあったはず」
ほんの10分ほど前までネオンの光を撒き散らしながら俺を誘っていたはずなのに今は何も無い。あれは俺の空想だったのか、と肩を落とし家路に着いた。
そしてPC前で俺は打ちこむ。
「なぁ、もし・・もしだが本当にパーラーDE☆A☆Iがあったらどうする?」
・・・・・・・・・・・・
「ナイナイwwハハッ♪」
「あったらいいなとは思っても現実はムリムリww」
「俺パチ打たねw」
「もう寝る、おやすみ」
やはり信じてくれないようだ。SSで書かれた出来事が早々目の前で起きるはずがない。所詮は他人が作り出した仮想・妄想・非現実な内容だ。だが俺は確かに見てしまった。あれを非現実というならそれを見た俺は一体何だ。わからない、わからないがあの店員の姿が脳裏に焼き付いている。もし夢ならこんなにクリアに記憶に残るはずがない。明日、もう一度路地裏に行ってみよう。
早朝、俺はあの路地裏に居た。まだ夜明け前だというのに空き地の前で突っ立っている。昨日の出来事は夢だったのか、それとも現実なのかを。
「最近は暑くなってきたけど、早朝は寒いな・・。しかし、…何度見ても何もない」
もうすぐ夜明けになる。それでも俺はここで待っている。あれが見えたのなら俺にも店に入れる資格があるはず、と。陽が差し始めた頃、空き地の真ん中で何かが光る。何か小さな物が光ってるようだった。俺はどうせ空き缶か鉄屑が光ってるのだろうと思ったが真っ直ぐに光っているので空き缶や鉄屑じゃないと感じた。近づくと地面の亀裂に小さな玉が半分埋まっていた。俺はそれをつまみあげる。そして見てしまった。玉に彫られた店名を・・。
「パーラーDE☆A☆I・・・、本当にここにあったんだ!あったんだ!!あれは夢でもなんでも無いんだ!」
俺は半分狂気染みた声で叫んだ。昨日の事は夢じゃない。誰も信用してくれなかったが俺は信用する。証拠は今俺が握っている。パーラー名がDE☆A☆Iなんてどんだけ探してもあるはずがない。俺はとうとう証拠を掴んだんだ。今は見えないけど実際にあるんだ。浮かれ気分で自宅に戻ったがまだ確証が無い。もしチャット内で「玉を見つけた!」と言った所で「手作り乙」「偽装乙ww」と笑われかねない。そんな悩みの中、ふと思い出す。俺が金を下ろしてる間に消えたのはわかってる。だけど何故消えたのか、だ。もし・・・あのSS通りなら三万では足りないという事なのか?それとも、あの時間に現れ消えるのか。わからない事だらけだった。ただ保険としてこっそり二万下ろしていつでも五万使えるように懐に入れた。だが気付いてしまった。昨日、一体何時に路地裏に居たのか覚えてない。今日のチャットで昨日の事を聞いてみるか。
そしていつものようにPC前。
「こんばんは」「こばはー」「こばにゅ〜」
いつもの挨拶が飛び交う。昨日と同じだ。ここからが正念場だ。早速俺は昨日の事を思い出し何時頃に出て何時頃に戻ってきたかを確認する。
「そういやさ、昨日の事なんだけど俺何時頃に飯買いにいったっけ?」
「ちょ、昨日の事忘れてるってww」
「ん、22時過ぎあたりだったか?」
「いや21時過ぎだろ?22時だったら店閉まってるじゃないか」
「ああ、そうか。でも戻って来た時はほとんど皆寝てたし23時ちょいぐらいに戻ってきたんだったか?」
そうか、俺は21時過ぎあたりに飯を買いに行って23時過ぎに戻って・・・、おかしいな?なんで23時過ぎてるんだ。普通のパチなら閉まってるはずだ。変な矛盾を見つけたおかげでパーラーは実在してたって証拠になる。
「ん、ありがとう。これでなんとかなりそうだ」
「なんかあったか?」
「いや、確証は無いんで」
「??」
俺はそれだけを言うといつも通りの会話をしていく。決行日を明日に決め、今日は早く寝る事にした。
翌朝、あの場所に足を運ぶ。やはり何も無い空き地だ。だけど、昨日ここで玉を見つけたんだ。きっとまた此処に現れるはずだ。全く自信は無かったが確信はあった。この玉を回収する為に現れるはず、と。そして自宅に戻り仮眠を取る事にした。
そして20時を少し回った頃、俺は玉を握り締め空き地の前に立つ。まだ何も無い空き地。暫く待ってみるが現れない。もうすぐ21時になる。ダメなのか・・・やはりあれは夢なのか。そう思った瞬間、目の前の空間が歪んだ。・・・現れた。本当にパーラーDE☆A☆Iが目の前にある。俺は右拳を固く握り頬を殴った。
「いってえええ・・・。夢じゃない。現実だ!」
自分で自分を殴るというバカな事をして確認していると自動ドアが開く。中から店員がこちらに向かって近づいてくる。やはり近くで見るととんでもない美人だ。まるで図鑑世界のリリム様のように感じられる。
「貴方が・・・玉の持ち主かしら?ここがわかるということは貴方が私達の身近にある物を持ってるはずですわね」
「あ、・・・あぁ、うん、・・この玉の事だろ?昨日の朝、この空き地で見つけたんだ」
「そぅ、・・・預かっててくれてありがとうね」
それだけを言うと玉をひょいとつまみ上げ店へと戻る。俺は慌てて声を掛ける。
「待ってくれ!俺もここの台を打ちたいんだ!」
「・・・・・・・・・・・・?」
店員は訝しげな顔でこちらを見ている。もしかして俺は打てないのか。それどころかこのまま店は消えてしまうのか。俺は焦った。この機会を逃せば一生後悔するだろうと。
「御客様?御客様は御店が見えてますよね?」
「もちろんだ!だから打ちたいんだ!」
「私の御店が見えてる方を拒否する事なんてありえませんわ。私は今から定位置で御客様をお迎えするだけですので」
そして店員は自動ドアの前に立ち恭しくお辞儀する。
「本日は当店に足をお運び頂きありがとうございます。当店は一期一会、出会いをモットーにしております。今宵、貴方様の出会いを演出させてくれます台を御自由に御選びくださいませ」
俺はゾクゾクした。所詮はSS、ありもしない現実だと思っていた事が目の前で起きている。店員の謳い文句を聞いてるだけで体が感動に震えている。俺は平静を保ちながら店に入った。後ろから店員も一緒に入り軽くお辞儀してからカウンターへと戻っていく。カウンターへ戻る後ろ姿が艶めかしい。特にお尻がエロい・・。
「御客様?ワタクシのお尻にばかり見惚れていますと閉店の時間になってしまいますよ?」
振り返りもせずに答える店員に俺は驚いた。全てお見通しのようだ。そうだ、俺はどうしても探さないといけない台があるんだった。時計を確認すると今は21時10分。普通に考えれば22時40分頃には追い出されるだろう。残りは1時間半。俺は一台一台入念に確認する。マジカル☆キャンディ・・違う。竜の峡谷・・これも違う。華嵐・・これも違う。薫風・・これでも無い。モンムスパラダイス・・違う。必死に探す。俺の求める台は1つ。デュラハンが出てくる台だけだ。絶対にあるはずだ。もし無ければ俺は此処に入れないはずなんだ。
探す事10分少々、御目宛の台を見つけた。これだ!俺が求めるのは絶対にこれだ!
台の名は・・・『円卓の騎士達』
俺は直感で悟る。きっとこの台は俺を待っていたんだ。懐に五万円ある事を確認しいそいそと玉を買う。
「すぅ〜〜〜〜、はぁ〜〜〜・・・」
軽く深呼吸して冷静になった俺は打ち始めた。スタート口に玉が入りキャラクター達が一斉に動き出す。
「ほほぅ、…リザードマンにサラマンダー。ドラゴンにバフォメット。ヴァンパイアも居る・・。居た!!デュラハンだ!」
予想通りにデュラハンが居た。俺はこの姿を見ただけで心が満たされる気分だ。いや、見て感動してる場合じゃない。俺は絶対に引き当てる。むしろ当るまで帰らない。ひたすら打つ事20分。待望のリーチが飛び込んできた。しかし予想とは違いヴァンパイアだった。ヴァンパイアはシックなドレスの裾を軽くつまみ上げ、こちらに会釈する。
「フフフ・・・今宵、甘美な一時を・・」
誘惑に負けそうになるが俺はデュラハン一筋なんだ。リーチがハズレなんとか胸を撫で下ろすがヴァンパイアの一言がドキリとした。
「フフフ・・・・、また・・御逢いする事を祈ろう」
そしてキャラクターは回りだす。危ない危ない。流石ヴァンパイアだ、誘惑に関してはずば抜けて高そうな感じだ。だが俺は誘惑には屈しない。そして回し続ける。待望のリーチが来た。しかし、サラマンダーとデュラハンのWだった。やばいやばいやばい・・。確率は半々だ。そして無情にもサラマンダーのスーパーリーチへと発展してしまう。なんてこった、このままではサラマンダーが当ってしまいそうだ。次々とステップアップするサラマンダーリーチ。画面の中ではサラマンダーが岩を大剣で次々と叩き割っていく。そしてとうとう最後の大岩が砕かれるかと思われたがヒビが入るだけで終わった。
「チッ!しょうがないなー。次だ次!」
ほっとしたがこれはなかなか心臓に悪い。希望とスリルを同時に感じるパチンコなんて絶対に無いぞ。その辺のパチで打ってアタリを引いて騒いでるほうが気が楽だ。そしてキャラクター達は回りだす。あれからどれぐらい打っただろうか。今の残金がまだなんとか四万円ある。結構回したはずなのに意外と注ぎ込んでない。これはこれで助かるが肝心のデュラハンが来ない。いや、焦ってはダメだ。ここは辛抱、耐えてこそ希望が生まれるはず。それから一万円を注ぎ込む。なかなかリーチが来ない。焦るな俺、焦るな俺。あれからどれぐらいの時間が経過しただろうか。かなり集中したせいで時間がわからなかったが俺は気にしない事にした。
「クッ・・・、まだか・・まだ来ないのか!・・・・き・・来たぁぁぁ!!」
待望のデュラハンのリーチ。デュラハンは大剣を地面に突き刺し黙ってこちらを見ている。凛々しい目つき、麗しい睫毛、薄いサファイアブルーの色をした長い髪。どれもこれも俺好みだった。もう感動しか出ない。いや感動してはダメだ。俺は意地でも当ててやると決めたんだ。興奮しながらリーチの行方を見守るがスルーしてしまう。
「ふぅ、・・・焦りは禁物だな」
その言葉を残し再度キャラクターは回りだす。何故ダメだったんだ。俺のデュラハンへの愛情はこの程度なのか!だがまだだ。まだ当ってはいない。まだ希望は残っている。俺はひたすら打つ。そしてすぐにリーチが訪れる。だが・・・。
「ろ・・・・、ロリィィィィィッィィーーー!」
バフォメットが魔女と一緒にラインダンスをしている。辞めてくれ・・辞めてくれ!俺はデュラハンだけ当てたいんだ。祈りが通じ当たりそうになった途端バフォメットがこけた。ぎりぎりで回避出来た安心感からか冷や汗が異常なほど噴き上がってくる。
「ふぅ〜〜〜・・・・超スリルを味わった気分だ」
心臓がバクバク言ってる。たぶん二度とここで打つ事は無いだろうがそれよりも早く当てないといけない。そしてまたもやサラマンダーのリーチが来る。
「へへへ〜♪次こそは砕いてやるぜ!」
前と同じように岩を次々と砕き、そして最後の大岩・・・、さっきヒビを入れた大岩だった。
「ちょ!これってさっきの続きなの!かなりマズイじゃないか!」
「さて、いっくぞ〜〜〜!」ガヅン!!
ビシビシとヒビが進むが途中で止まる。
「チッ!なかなか硬い石(意思)だな。だが気にいった!」
ん?なんか変な言葉だったが今のは何だ?だがこれで回避は出来た。早くデュラハン来てくれ。俺の意思が砕ける前に。来ない・・来ない・・来ない。リーチが来なくなった。金はまだ残っているが、このままだとデュラハン以外をお持ち帰りしそうな自分が居る。なんて危険なタイトロープなんだ。だが俺は負けん。帰りません!勝つまでは!心の中で呟きながら打つ。回す事数分・・・最悪なリーチが来た。ヴァンパイアだ。
「フフフ…また逢えたね。さぁ、我が城へようこそ・・」
優雅に決めポーズを作りながら手をこちらに差し伸べている。危険だ、俺の脳内では既に赤ランプが回転している。だがここで誘惑に負けてはいけない。無心で玉を打ち知らん顔をする。
「フフ、・・まだ堕ちないか。ますます気に入ったぞ・・」
俺は今どんな顔で打っているんだろう・・。きっと憔悴しきった顔かもしれない。だがわかった事があった。この台は俺を試している。そうでなければあんなに誘惑してこないはずだ。頼む、早くデュラハン来てくれ。残りはもう二万円だ、なんとかして引き当てないと俺の精神が持たない。ヴァンパイアも去り、回転し始める。
「ハァハァ・・・なんて危険な台なんだ・・。SSの中だと簡単に当ててるくせに・・。」
ヴァンパイアリーチ後、待望のデュラハンが流れ込むようにしてリーチになる。頼む、来てくれ。次に他の魔物娘が来たら堕ちてしまいそうだ。
「フッ、強い意志は時に脆くなる・・・、だが今こそ!!」
次々と現れる教団兵を薙ぎ倒していくデュラハン。演出の出来の素晴らしさ、デュラハンの美しい剣技、飛び散る汗。あまりの素晴らしさに心が揺らぎ惹かれていく。デュラハンは兵士を薙ぎ倒した後、司令官と思わしき人物と一騎打ちを始める。流れるような剣捌きで司令官を追い詰めていくデュラハン。倒してくれ!絶対に倒してくれ!心の中で必死に祈る。そしてとうとう司令官の剣を折り喉元に剣を突き付けた。
「私の勝利・・だな」
・・・・・。やったぞ。とうとう念願のデュラハンが揃った。液晶の画面にはデュラハンが綺麗に揃っている。俺は必死に入賞口に玉を打ち始めた。やはりSS通り、玉が出てこない。全ての玉が飲み込まれた時、予想通りに下の受け皿に金貨が一枚あった。
「はは・・・やった。やったぞ!念願のデュラハンを手に入れたんだ!」
俺は歓喜のあまり飛び跳ねた。
「御客様。おしぼりをどうぞ」
不意に後ろから店員に話し掛けられおしぼりを渡された。気が付けば俺は体中汗まみれになっていた。パチンコ打つだけで汗まみれってちょっと恥ずかしい。急いで汗を拭き店員に渡すと嬉しそうな顔をしていた。
「おめでとうございます。この金貨は幸運の金貨。貴方様を幸せに導く・・「いや、なんとなくわかってます」・・えっ?」
SS通りならわかる。これを深夜に掲げるはずだ。店員さんには悪いが急いで帰ろう。
「ありがとう!この店が繁盛するといいな!」
それだけを言うと俺は急いで帰宅した。店では一人ポツンと店員が立っている。
「・・・?まだ途中だったのに変な人ね?」
そういって汗まみれになったおしぼりをカウンター傍にある箱に投げ込んだ。投げ込んだ箱から一斉にピンク色の霧が溢れてくる。
「あらあら、あの人の汗ってそんなに美味しいの?んふふ・・、でもちょっと残念ね。もう御相手は決まっちゃったみたいだし」
店の照明が突然消える。周りは完全に闇に包まれ静寂が店を支配していく。
「本日の御利用ありがとうございました。またの御越しをお待ちしております・・」
そして店は夜の闇に溶け込むかのように消えていった。
俺は急いで自宅に戻ると時間を確認する。今は23時ちょうど、まだ時間がある。汗まみれになったまま逢うのは失礼だと思った俺はシャワーを浴びる。清潔にしなければ嫌われてしまいそうで必死に体を洗う。さっぱりした後、ゆっくりと風呂に浸かる。
「あぁ〜…、さっぱりするぅ〜・・・。念願のデュラハンの金貨も手に入ったし幸せだなぁ・・」
ワクワクしながら風呂から上がり、自室で時間が過ぎるのを待つ。金貨を見つめながらニヤニヤしてる俺は変態に見えるだろう。だが!金貨を手に入れたんだ。ニヤニヤして何が悪い、今まで金貨を手に入れた連中もこんな気分になったんだろうな。時計を確認する。まもなく24時、そろそろ頃合だろう。俺は金貨を握り締めた手を頭上に掲げる。
「来てくれ!デュラハン!」
願い通りに24時ジャストに金貨からデュラハンが現れた。現れたが自室でしかも手を掲げてたせいでデュラハンは天井に頭をぶつけそのまま床に落ち呻きだす。
「うううぅぅぅぅ〜〜〜〜〜・・・・・痛いぞぉ・・」
そうだった。SSでは皆広い空間で解放してたはず。俺はなんて事をしてしまったんだ。逸る気持ちを抑えられず室内で解放なんて・・なんてバカな事をしてしまったんだ。
「痛いぃ〜〜〜・・・・、此処はどこだ・・」
頭を押えながらデュラハンが訊ねてきた。俺は何故か必死に説明していた。
「そうか。私はアイツの言う通りに解放されたという事か。すると、お前は我が夫という事なのだな」
必死に頭をコクコクと上下に振る。図鑑世界でしか見た事がないデュラハンが今目の前に居る。そして俺を夫と呼んでくれるなんて幸せすぎる。至福のまどろみの中、再度訊ねられた。
「そういえば我が夫よ、名前を聞いてなかったな。私の名はグリシア・フォア・フレンだ。グリシアと呼んでくれ」
「あ、・・俺はG13・・(サーティーン・・いやサーティだ)サーティと呼んでくれ」
「そうか、ではサーティよ。この部屋は何だ?かなり奇妙な物が置いてあるのだが?」
「ん、ああ。本棚にベットはわかるよな。PCに携帯etc・・。こんな感じかな」
「よくわからない物だらけだな・・。ん?これは何だ?」
グリシアが本棚から僅かに出ていた雑誌を1つ取り出した。
「おっぱい美譚総集編・・・。このような物を・・」
「んbvcxrちゅjgfghjk!!」
なんて物を取り出してしまうんだ。言葉にならない悲鳴が俺の口から漏れる。混乱している俺を他所に次々と本棚を漁っていくグリシア。見られたくない物ばかり的確に本棚から抜いていく姿は悪魔に見えてくる。
「ふむ、・・我が夫はおっぱい好きと見える。このような本を一体何に使ってるのやら・・」
「ししし・・資料ですよ・・。そう、資料。SS書く為の資料なんですよ」
我ながらバレバレな嘘を吐いてしまった。
「・・・資料だと・・?まさかこんな資料の為に無駄撃ちをしてる訳では無かろうな・・(チャキッ」
いつのまに抜いたのか首筋に剣先を当てられる。そうだった。魔物娘に共通するのは無駄打ち嫌いだった。ここは正直に言って許してもらうのが得策だ。
「は、はぃぃぃ・・・、時々無駄撃ちしてしまいました・・・」
正直に答えるとグリシアは含み笑いを始めた。
「そうかそうか…。このような資料程度で無駄撃ちをしていたのか。ならば、資料が無くなればいいのだな」
そういうとグリシアは雑誌を一気に掴むと空中に放り投げた。そして一閃の煌きの如く剣を振るうと雑誌が細切れになった。
「あああああ・・・・、俺のオッパイが・・・」
「何を女々しい事を言っているんだ。これからは必要無いだろう」
グリシアが体中に気合を入れると着ていた鎧が全部ばらばらになって落ちていく。鎧の下から現れたインナー用のシャツ。そして下着一枚。なんて事だ、どう見ても98はあるだろう。俺の愚息が猛々しく主張し始める。目の前にあるメロンを見ているとさっき破られた雑誌なんて塵に感じる。
「どうした、我が夫よ。早くその剛直な剣を鞘に戻すぞ」
グリシアはシャツを脱ぎ捨て豊満なおっぱいを晒す。これだけで俺は満足だ。このメロンを直に見てるだけでごちそうさまです。グリシアはこっちに近づき、俺のパジャマのズボンを一気に下着ごと下げる。
「うおおおっ!いきなり何すんだ・・、おふぅ・・・」
「何を言ってるんだ?この剛直な剣を私のおっぱい鞘に収めているだけだろう」
にちゃにちゃと音を立てながら俺の愚息をおっぱいに埋もれさせる。すげぇ、これが魔物娘のパイズリなのか・・。病み付きになる快楽だ。グリシアはおっぱいの谷間に涎を垂らし滑る速度を上げていく。
「うおおおぉぉっ!グリシアすごいぞ・・!こんなに擦られたら・・で・・でちまう・・くうっ!」
ドクドクとグリシアのおっぱいマンコに精液を吐き出していく俺だったが、一発出した事で頭がスッキリし、おかげで違和感を感じとれた。デュラハンは淑女なはずだ。こんな急に欲しがる事なんて無いはずだ。図鑑世界通りならツンデレに近いはずだ。もしくはクールデレだ。それなのにいきなりおっぱい雑誌を細切れにするわ、パイズリを始めるわ、おかしな事ばかりだ。思案顔で悩んでいた俺の亀頭をグリシアはペロペロと舐め始める。
「んっ・・、美味しい・・。ちゅ・・ちゅる・・れろ・・んん・・」
「くおおおお・・・次はペロペロですかーーー!・・・おおっ・・・裏スジまで・・」
「んちゅ〜〜・・・、んっんっ・・れろ〜〜っ・・・ピチャ・・チュ・・」
グリシアは上目使いで俺が快楽に溺れてるのを確認すると今度は愚息を横から舐め回してくる。横から舐めまわし、時には亀頭だけを口に含み舌で転がす。我慢出来なかった俺はグリシアの口内にありったけの精液をぶちまけた。腰をガクガク震わせながらもグリシアの口内を俺の精液で穢していく。だが、俺はこの時に信じられない物を見てしまった。チョーカーが僅かにずれて隙間からピンク色の何かが漏れているのを見てしまう。チョーカーは全く触っていないはずだ。何故、・・・あっ、天井に頭をぶつけた時だ。あの時にずれていたんだ。早く元通りにしないと俺が干乾びてしまう。俺はすぐにグリシアの頭を抑え込もうとしたが強烈なバキュームフェラの快感に負けて動けなくなってしまう。
「んじゅぅ〜〜〜〜〜〜〜、じゅっぽん!んぅ・・チュポチュポ・・」
「ああ・・止め・・・るんだ・・。グリシア・・早く首を・・」
聞く耳持たないグリシアは執拗にバキュームフェラを続ける。このまま俺は朝まで搾られるんだろうかと思ったが不意にフェラを止められた。助かったと思いグリシアの頭に手を置こうとした瞬間ベットに投げられた。うおおおおお!魔物娘こえぇぇ!俺を簡単に投げやがったよ。俺はベットに大の字になったまま動けなかった。俺を投げたと同時に腰の上に跨ったからだ。これが魔物娘の実力なのか、と見当違いな事を考えてしまう。
「さぁ、今度は・・・その剛直な剣を私のオマンコ鞘に収めてもらおうか・・」
ジュルリと舌なめずりしたグリシアは自らの下着を一気に破り捨て俺の愚息を筋に宛がった。どうやら騎乗位がお好みのようだ。
「お手柔らかにお願いします・・」
グリシアは俺から良い返事を貰った事に感激し、一気に腰を落とし俺の愚息を子宮口まで収めてしまう。途中、何かに引っかかったが間違いなく処女膜だろう。
「んふぅぅっ!・・ああっ・・。わかるか・・サーティの剛直な剣が私のマンコ鞘に収まってるのが・・」
「はふぅ・・・。グリシアの膣が・・熱い。それに膣壁が蠢動して・・くっ・・今すぐ出してしまいそうだ・・」
「何を言ってるんだ。私はまだイッてないんだから頑張ってもらうぞ」
「え?ちょ、・・待ってくれ」
俺の懇願虚しくグリシアは跳ねるように腰を上下に動かし、俺の愚息を膣肉で搾るように擦っていく。腰を打ちつけるたびに結合部からはにちゃにちゃとイヤラシイ音が響き渡る。結合部が粘り気を帯びたねちゃねちゃした音からびちゃっと水っぽい音に変わるのは早かった。グリシアが腰を10回ほど落すごとに俺が射精しているからだ。このままだと俺は干乾びてしまう。俺はグリシアが腰を下ろすタイミングを計り下から力一杯突き上げる。
「んふぅぅぅーー・・、いい、・・いいぞ。もっと突いてくれ・・」
俺はタイミングを計り必死に腰を突き上げる。それに合わせるようにグリシアも腰を落としてくる。このまま絶頂させないと俺の身が危険だ。
「あっ・・はぁ・・はぁ・・。ふぅぅ・・んっ!あはぁ・・・」
「ぐっ!・・まだか、グリシア・・まだか!俺はもう・・出そうだ!」
「あ、あぅ・・あん・・もう・・少し・・もう少しだから・・もっと突いて!」
「ダメだ!もう出すぞ・・!」
「こっちもイク!んんんんっ!サーティ!出してぇーーーー!」
俺はグリシアの腰を掴み子宮口に亀頭でキスするほど一気に愚息で突き精液を迸らせる。ドクドクと子宮に流れ込む快楽でグリシアの顔は完全にだらけきっていた。グリシアはイッたと同時に俺の体に覆い被さるように倒れ込んだ。今なら頭を直せる。意識を半分失いかけていた俺だったがチョーカーのずれをなんとか元通りにした。それから俺は繋がったまま寝る事に決めた。しんどくて動きたくないだけだった。ちょっと股間がねちゃねちゃしてるが気にしない。起きたらグリシア連れて買い物に行こう・・。
そして俺は深い闇と快楽に意識を沈めていった・・・。
13/05/30 21:43更新 / ぷいぷい
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